衆議院

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第3号 平成28年3月9日(水曜日)

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平成二十八年三月九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山本 幸三君

   理事 後藤 茂之君 理事 佐藤ゆかり君

   理事 新藤 義孝君 理事 寺田  稔君

   理事 福井  照君 理事 篠原  豪君

   理事 宮崎 岳志君 理事 桝屋 敬悟君

      秋本 真利君    伊藤 達也君

      池田 道孝君    江藤  拓君

      小田原 潔君    越智 隆雄君

      大野敬太郎君    勝俣 孝明君

      菅家 一郎君    小林 鷹之君

      新谷 正義君    菅原 一秀君

      助田 重義君    鈴木 馨祐君

      田中 英之君    谷川 とむ君

      中谷 真一君    野中  厚君

      鳩山 邦夫君    平井たくや君

      福田 達夫君    牧島かれん君

      宮川 典子君    宗清 皇一君

      山田 賢司君    緒方林太郎君

      柿沢 未途君    吉良 州司君

      佐々木隆博君    寺田  学君

      福田 昭夫君    角田 秀穂君

      樋口 尚也君    田村 貴昭君

      宮本 岳志君    椎木  保君

      重徳 和彦君    村岡 敏英君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (国家戦略特別区域担当) 石破  茂君

   内閣府副大臣       福岡 資麿君

   総務副大臣        土屋 正忠君

   文部科学副大臣      義家 弘介君

   内閣府大臣政務官     牧島かれん君

   総務大臣政務官      輿水 恵一君

   総務大臣政務官      森屋  宏君

   文部科学大臣政務官    堂故  茂君

   国土交通大臣政務官    宮内 秀樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      広瀬  直君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 菊地 和博君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 新井  毅君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         池田 憲治君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室長)            佐々木 基君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           中尾 泰久君

   政府参考人

   (総務省統計局統計調査部長)           千野 雅人君

   政府参考人

   (文化庁長官官房審議官) 磯谷 桂介君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           梅田 珠実君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森  和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長)           福田 祐典君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           苧谷 秀信君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       広畑 義久君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         田村  計君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           杉藤  崇君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         清水喜代志君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 志村  務君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月九日

 辞任         補欠選任

  小泉進次郎君     助田 重義君

  菅原 一秀君     越智 隆雄君

  谷川 とむ君     宗清 皇一君

  村岡 敏英君     重徳 和彦君

同日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     菅原 一秀君

  助田 重義君     小田原 潔君

  宗清 皇一君     谷川 とむ君

  重徳 和彦君     村岡 敏英君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     新谷 正義君

同日

 辞任         補欠選任

  新谷 正義君     小林 鷹之君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 鷹之君     秋本 真利君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     小泉進次郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方創生の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 地方創生の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官澁谷和久君、内閣官房日本経済再生総合事務局次長広瀬直君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長末宗徹郎君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長菊地和博君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長新井毅君、内閣府地方分権改革推進室次長池田憲治君、内閣府地方創生推進室長佐々木基君、内閣府地方創生推進室次長中尾泰久君、総務省統計局統計調査部長千野雅人君、文化庁長官官房審議官磯谷桂介君、厚生労働省大臣官房審議官梅田珠実君、厚生労働省大臣官房審議官森和彦君、厚生労働省大臣官房審議官浜谷浩樹君、厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長福田祐典君、厚生労働省職業安定局次長苧谷秀信君、厚生労働省職業安定局雇用開発部長広畑義久君、国土交通省大臣官房総括審議官田村計君、国土交通省大臣官房審議官杉藤崇君、国土交通省大臣官房技術審議官清水喜代志君、国土交通省鉄道局次長志村務君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)委員 おはようございます。民主党の福田昭夫でございます。

 きょうは、石破大臣の所信に対する質疑ということで六十分いただいたものですから、前半は東京一極集中是正策と地方創生の公平性の確保について、後半は地元の問題であります宇都宮市のLRT事業が真に地方創生につながるのかということについてただしてまいりたいと思いますので、大臣初め答弁者は簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず最初に、東京一極集中是正策と地方創生の公平性の確保についてであります。

 一つ目は、人口規模別市町村数と消滅可能自治体についてであります。

 大臣、資料の一をごらんください。

 きょうの私の資料でありますが、これは総務省が作成しました地方公共団体の現状でございます。全国の市区町村数千七百四十一のうち、何と、人口五万人未満の市区町村数が七割、人口にして二割、五万人以上が三割、人口は八割ということで、御多分に漏れず日本でも都市化がどんどん進んでいるという表でございます。

 一昨年、日本創成会議の人口減少問題検討分科会は、今後も東京圏を中心とする大都市圏への人口移動が収束しなかった場合、二〇一〇年から二〇四〇年までの間に二十歳から三十九歳の女性人口が五割以下に減少する自治体数は八百九十六に上る、全体の四九・八%にも及ぶと提言をいたしております。そして、これらを消滅可能都市といたしました。

 そんなことから地方創生が始まったんだと思っておりますが、これはほとんどが人口五万人未満の市区町村でありますけれども、本当にこうした消滅可能都市と言われるような都市を救う道はあるとお考えですか、大臣。

石破国務大臣 それを救うためにこの地方創生という取り組みをやっているわけで、委員御指摘のように、人口五万人以下というものに着目をする必要があるのではないかと私は思っております。ですから、今まで国家公務員の派遣というのも人口五万人以下のところはほとんど行ってこなかったわけですが、そういうところにこそ手厚い支援が必要なのではないだろうか。

 人的面、財政面そしてまた情報の面で、別に差をつけるというわけではありませんが、人口五万人以下のところに今まで行き届かなかった支援というものを行うことにより、こういうところへ光を当て、人口減少に歯どめをかけたいと思っております。

 各論につきましては、またお答えさせていただきます。

福田(昭)委員 大臣のおっしゃるとおり、そのために地方創生総合戦略プランをつくるということになったんだと思いますけれども、私は、そのためには、大臣も所信の中で、前からもずっと言っていますけれども、東京一極集中是正策、是正をして、こう言っているんですが、しかし、その具体策は実は何にもないんですね。何にもないんです。前にも議論しました。

 二つ目に入りますけれども、東京一極集中是正策と圏域整備の公平性の確保が私は必要だと思っているんですね。

 大臣は、いまだに東京一極集中の是正策の具体策は出しておりません。私の議論でもほかの人との議論でも、ゼロサムではないんだと。東京がゼロで地方がサム、東京がサムで地方がゼロじゃないんだ、こういう言い方でありますけれども。日本も、何次にもわたる国土総合政策をつくってやってきました。過密過疎の解消をテーマに掲げたり、あるいは国土の均衡ある発展を掲げてやってまいりました。しかし、残念ながら、やってきた政策というのは、意外と逆な政策をやってきたんですよ。

 例えばでありますが、首都圏整備計画というのがありました。東京と名古屋と大阪を中心とする三大都市圏を整備する計画がありましたけれども、その計画の具体策を見ますと、例えばですけれども、東京から百キロ圏内の都市については、都市開発区域というのを指定しました。この都市開発区域に対しては、補助率が全て一・二倍でした。道路をつくるにしても、公園をつくるにしても、下水道をつくるにしても、補助金を一・二倍出して国は自治体を応援してきました。そうすると、関東地方でいえば首都圏から百キロ圏外、あるいは東北は全く圏外になっておりますけれども、そういうところにはそういう恩恵は一切ありませんでした。

 そういう政策を続けてきた結果、最終的に、まさに首都圏へどんどん人口が集まる。今でも東京には人口がどんどん集中しているという現象が起きているわけであります。まさに、先ほど申し上げたように、五万人以上の都市に人口の八割が住んでいる、そういう事態になってきているわけであります。

 したがって、私は前回も提案しましたけれども、パリのように、もうこれ以上東京は量的に拡大させない、建ぺい率も容積率も拡大させない。ですから、これ以上、大きな建物とかそういう受け入れ策はつくらない、そういう制限をした上で、東京は国際都市としてこれからもしっかり育てていくんだということであれば、質、中身を変えていく。

 例えばですけれども、国際環境モデル都市とか、あるいは、もしかすると、本来なら東京は金融都市になっていたのかもしれません。イギリスからアメリカに移って、アメリカから東京に来ていたかもしれません。しかし、残念ながら、これはアメリカに抑えられて、できていないわけですね。それがいつの間にか上海やシンガポールの方に行っちゃっているという状況だと思います。特に、中国がアジア投資銀行をつくってしまった。本来なら、日本がその主導権を握ってもいいはずでありました。

 先日、私もびっくりしましたけれども、日銀の資金循環統計、九月末現在、七、八、九月が発表されましたけれども、あれを見ますと、何と、日本人の個人が持っている金融資産は千六百八十七兆円でした。加えて、企業が持っている金融資産は千八十兆円を超えていました。

 今、御存じのとおり、日本は世界一の純資産国ですね。世界一の金持ちの国です。その金持ちの国がお金をどう使ったらいいかわからないでいるのが、実は日本のこの二十年だったと思います。このままいくと、三十年たって、もしかすると日本自体が消滅してしまうかもしれない、そういうところにあるんだと思うんですね。

 そこで、為替や株式市場でも、日本の証券取引所には、それこそ一秒間に何万回も売り買いするような市場だけじゃなくて、五年以上、中長期的な投資をするような市場もつくる。そういうことをつくることによって、もしかすると世界じゅうの金がまた集まってくるかもしれない。

 あるいは、今、日本の証券取引所を見ても、外国株の上場というのは少ないですよね。本当に極端に少ないです。日本に進出しても、撤退した企業までありますね。それを、そういう企業がちゃんと日本の証券取引所に上場してくれるような、そういう中長期的な金融の取引の場というものをもし東京につくったら、もしかすると、それこそ世界一の金持ちが、金が生きてくるかもしれない。

 しかし、今のままでは、まさに金融バブルで終わってしまう。いつの間にかどこかへ消えてしまう。そういうことをやはり変えていく、そういうふうに東京を変えていく。量的にはもう拡大させないけれども、中身、質は向上させて、東京を国際都市として、先頭を走る都市として、もしかすると二十一世紀の先頭を走る都市に、そういうふうにしていくことによって、あとは地方が少し元気になれるように。

 今回、それこそ地方に対するさまざまな優遇策をつくったと思います。これはさすがに今までで一番だと私は思っています。しかし、東京の魅力が大き過ぎて、これはだめなんですね、実際。ですから、東京をやはりストップさせる。東京は人を集める巨大なダムなんですよね。だから、これをストップさせるという政策があって初めて今回の地方政策は生きてくる、こう思っているんですが、いかがですか。

石破国務大臣 委員の御指摘のことは全てもっともで、全面的に賛成と言いたいところなんですけれども、なかなか、そういうことをやると立場上余りうまくないので。

 一つは、私は鳥取でずっと育って、高校から東京へ出てきて、二十九で国会議員にならせていただきましたが、とにもかくにも、我々が小学校や中学校のころ、裏日本の天気はと平気で言われましたからね、テレビで。そのたびにふつふつと怒りがたぎって、今に見ておれという思いをずっと持っておったわけであります。

 議員になったばかりのころ、委員御指摘のように、東京に住む場合に、これ以上の一極集中は国全体のためにならない、東京は集中の利益、規模の利益の限界点を超えているのではないかという感じを昭和の終わりから平成の初めにかけてずっと持って研究をしたこともございます。ただ、そのときに、本当にこれ以上の東京の一極集中が進むと国全体がどうなっていくのかという議論が余り表で行われたという覚えがございません。

 日本の社会は、これから先、間違いなく人口の急減期に入っていくわけであります。そして、東京は、今でこそ二〇二〇年オリンピックだということで沸き返っているのでありますが、これから先、あした来てもおかしくない首都直下型地震等々にどう対応するのか、そして東京が、人類が経験したことのない規模とスピードで高齢化が進んでいくということに対応できるのかというと、極めて難しいだろうと思っております。

 この二つの東京の課題を解決するがためにも、地方の発展というのとセットにしてやっていかないと、国全体のサステーナビリティーが失われるという意識を私自身強く持っておるところでございます。

 私どもの国は、大統領制ではないもので、議院内閣制でございますから、非常に意思決定がスピーディーではない、もちろんメリットもデメリットもありますが、そういうところがございます。フランスのようにはなかなかいかないのでありますけれども、東京をどういう意味で世界の中心にしていくかということは、ちょっとお話が前後して恐縮ですが、委員御指摘のような、国家資本主義でもない、金融資本主義でもない、株主資本主義でもない、言うならば公益資本主義的なものということの中心に日本が、東京がなっていくという考え方は、やはり私としては真摯に探求すべきものではないかと思っております。東京を世界の中心としてこれからも発達させるということにおいては、それが一つ。

 もう一つは、地方が押しなべて衰退をしていったのは、私は、やはり公共事業の減といろいろな事業所の撤退というものが一番大きいのだと思っております。もう一度公共事業をかつてのような雇用と所得を生み出すほどの規模をもって再開できるかというと、これは極めて難しいだろう。そして、現状において、同じものを安くたくさん大勢の人でつくるというモデルが地方に展開するかというと、それは極めて難しいだろう。

 つまり、東京に魅力があるから人々が集まったわけですが、地方の魅力というものが相当に落ちているとするならば、まさしく今、人手不足でありますから、いかにして労働生産性を上げ、高い所得と安定した雇用を地方にもたらすか、公共事業と企業誘致以外で、人手不足ということを逆手にとって、いかにして高い所得と安定した雇用を地方にもたらすかということは、従来の手法では無理だと私は思っております。

 ですから、今回、地方版総合戦略というのを、いろいろな御批判はあっても、それぞれの自治体でお考えくださいと。どうすれば人が集まるのか、どうすれば労働生産性が上がるのか、どうすれば交流人口をふやすことができるか、それに対して、国として財政面と人的な面と情報の面で支援をしていくという考え方だと思っております。

 だから、東京は東京の魅力をさらに増すということと地方の魅力を増すということがプラスサムの関係になるような、そういう取り組みを進めておりまして、これから先も、委員も市長、知事をお務めでいろいろな高い御見識をお持ちでありますから、足らざるところを御指摘いただきたいと思っております。

福田(昭)委員 大臣の話は私もそのとおりだと思います。

 ただ、昔、東京都の総合政策審議室長ですかを務めて、今は作家の童門冬二先生がおもしろいことを言っているんですよ。東京は江戸時代から人を食う町だというんですよ。北関東三県あたりから働きに来て、結婚もできずに、子供もできずにそのまま死んでいってしまった、東京というのはそういう町なんだと。ですから、東京はいまだに出生率も一・〇前後なんですよね。そういう意味では、本当に人を食う町なのかもしれません。そこをやはり変えていく。

 今になって、地方からどんどん東京へやってきた人を、高齢化社会になって、入る特養ホームなどがないから皆地方に行けなんということまで言っているわけですよ。こうやって、人を食う町が、今度は人を売る町になっちゃっているんです。とんでもない話であって、ここはちゃんと是正をしていく必要があるというふうに私は思うんですね。

 ですから、そういう意味では、確かに、大臣の立場でなかなか東京の量的制限、量的拡大をこれ以上認めないなんて言えないでしょうけれども、しかし、いつか大臣がそういう立場になったときはぜひそういうことをやらないと、日本は本当に消滅していくと思います。

 それこそ、一生懸命、安倍総理が国民の生命と財産を守るんだと言っていますけれども、もし地方に住む人がいなくなったら、国土防衛、いわゆる地理的な防衛だけじゃなくて、本当に防衛もできなくなると思うんですね。大臣は鳥取ですから、私が聞いている話では、日本海側では、よその国の人たちが簡単に侵入できるんだと聞いています。簡単に侵入できるんだと言っている。ですから、本当に日本海側に住む人がずっといなくなっちゃったら、幾らでも他国の人が侵入してきて、それこそまた人を連れていっちゃうことだって簡単にできちゃう国になっちゃうんですね。

 ですから、国土を安全に保全するということと同時に、本当に国民の生命や財産を守るためにも、地方にちゃんと人が住んで仕事ができて、そういう地域にしていかなかったら大変な日本になる、私はこう思っているんですね。大臣にはこれ以上聞きませんけれども、ぜひ頑張っていただきたいなと思います。

 それでは、三つ目でありますが、過疎地域等自立活性化推進交付金についてであります。

 過疎対策というとハード事業の起債が中心でありましたが、平成二十二年度からソフト事業も対象となり、使い勝手がよくなったと思いますけれども、この過疎地域等自立活性化推進交付金の狙いはどこにあるのか、政務官からお聞きしたいと思います。

森屋大臣政務官 先生から御質問いただきました。ありがとうございます。

 まず、広域の圏域のあり方は、先生御存じのとおりに、今、三つの区分をさせていただいております。その中で、先生から今御指摘をいただきました過疎地域等自立活性化推進交付金ということでございます。

 この交付金につきましては、人口減少や高齢化が著しく進む過疎地域等の自立、活性化を図ることを目的といたしまして、過疎市町村等が行う事業に対して交付をさせていただくものでございます。

 お配りをいただきました先生の資料に四区分がございますけれども、このうち過疎地域等集落ネットワーク圏形成支援事業につきましては、過疎集落等を対象に、基幹集落を中心とした複数集落で集落ネットワーク圏を形成していただきまして、日常生活支援機能を維持するとともに、地域産業を振興する取り組みを支援させていただいているところでございます。

 このほかにも、先進的、波及性のあるソフト事業、定住促進のための団地事業、廃校しました校舎等の遊休施設を活用した交流施設の整備等に対して交付をさせていただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、小規模の過疎地域と言われる地域が自主的にさまざまな制度を生かしていただいて、幅広く支援をしていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 小さな拠点づくりというのもなかなか大変だとは思います。それぞれ地元の自治体の取り組みというのが大事だと思いますが、私がずっと地方自治を経験してきた考えから申し上げると、私も元市役所の職員でありましたが、やはり今までの日本の国の自治体の役割というのがあったと思います。都道府県は経済活動まで一生懸命やる、しかし、市町村は基礎的自治体だからそこまでは余り踏み込まないというのが多分基本的な考え方だったかと思います。

 ですから、市町村が独自に産業を振興して経済を活性化させてお金を稼ぐんだというような発想は非常に乏しかったと思います。例えばですけれども、どこかの自治体では、どうせ稼がなくたって国が交付税をくれるんだから、こういうような考え方で市町村の行政を運営してきた自治体もあるかと思います。

 しかし、だんだん国もお金がなくなってきた中で、地方自治体の自立を求めるようになった。地方分権の時代がそのスタートだったかなというふうに思っておりますけれども。ですから、市町村も、みずからお金、税金を稼ぐ産業構造なりにしていくんだ、あるいは都市にしていくんだ、そういう意識が非常に乏しかったと思います。したがって、市町村のリーダー、市町村長によってまさに自治体に大きな差がついてきているというのが現状かなというふうに思っております。

 そうはいっても、地理的条件でとても無理だというところもあるかもしれませんけれども、そういった中で、やはり過疎地域に対する支援というのも重要な政策の一つかなというふうに思っております。

 そして、四つ目でありますが、定住自立圏構想の財政措置についてであります。

 これにつきましては、中心市及び近隣市町村の取り組みに関する包括的財政措置、これは特別交付税、そして二つとして地域活性化事業債の充当など、六項目で支援をすることになっていることは評価をしたいと思うんですけれども、定住自立圏構想を進める狙いはどこにあるのか。

 そして、五つ目の連携中枢都市圏構想の財政措置についてでありますが、連携中枢都市圏についても、ことしの資料を見ると、支援する項目は定住自立圏構想と同じになっております。

 この二つ、定住自立圏構想と連携中枢都市圏構想の狙いはどこにあるのか、あわせて政務官からお願いいたします。

森屋大臣政務官 先ほど冒頭申し上げましたように、三つの地方の連携のあり方というのを分類させていただきました。先生の方からは、今、定住自立圏と連携中枢都市圏構想というふうなことで御質問があったというふうに思います。

 まず、定住自立圏につきましては、先生御存じのとおりに、要件は人口五万人というふうなことでございます。中心市と近隣市町村が相互に役割分担をして連携協力することによりまして、圏域全体で生活機能を確保し、地方圏における定住の受け皿を形成していくということでございます。現在、百二の圏域、延べ四百六十六の市町村がこの事業に取り組んでいるところでございます。

 これらの圏域の事業に要する経費につきまして、最初に特別交付税として包括的な財政措置をさせていただいているところでございます。

 それからもう一つ、先生からお話がございました二番目の連携中枢都市圏構想ということでございますけれども、この要件につきましては、二十万人以上の中心市、そしてそれを囲む連携の市町村ということでございまして、この連携中枢都市圏を構成する市町村のうち中枢都市に対しましては、先ほど先生もお話がございましたように、経済成長の牽引役それから高次都市機能の集積、強化という機能に着目をいたしまして、普通交付税で措置をさせていただいているところでございます。

 あわせて、生活関連機能サービスの向上ということでそれぞれいろいろな取り組みをしていただいておりますので、そこにつきましては特別交付税措置をとらせていただいているところでございます。

 また、あわせて、連携をします周辺の近隣市町村に対しましても特別交付税措置を講じているところでございます。

 以上でございます。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 皆さんも資料の三と四をごらんいただきたいと思うんですが、定住自立圏都市と連携中枢都市圏では大きな違いが一つあります。それは、一番の取り組みに関する包括的財政措置の(1)に「1普通交付税措置」とあります。これが定住自立圏都市構想との大きな違いであります。ここには、二十万人以上には普通交付税措置があって、経済成長の牽引それから高次都市機能の集積、強化が期待されております。

 しかし、私が先ほど申し上げましたように、昔から基礎的自治体は、経済活動はそれほど積極的にやれということになっておりません。したがって、小さな市町村には経済活動に取り組む組織、行政の課とか部とか、そういうものは本当に少なかったですね。どっちかというと、そちらに余りにも力が入っていない。入っているのは農林課ぐらい、あと商工観光課とか、こんな感じだったですかね、多分。そうすると、何だ、人口五万人以上二十万人以下の都市には経済成長の牽引役あるいは高次都市機能の集積、強化は期待していないのか、こういうふうにも受け取れるんですね。

 ですから、これではますます、実はどんどん大都市に大都市に人口は集まっていってしまう。先ほども申し上げましたように、首都圏整備計画で百キロ圏内の都市の都市開発区域と指定された地域には、道路も公園も下水道も全て補助率が一・二倍で交付されてきた。ですから、財政が豊かな都市ほど国からもらえるお金が多くて、いろいろな都市の整備もできてきた、こういう歴史があるわけですが、まさにこの連携中枢都市圏と定住自立圏も考え方は全く同じになっているんです。これはやはり改めなくちゃならないと私は思うんです。

 石破大臣も今回の所信で「国が選ぶのではなく、地方が選ぶことができる地方分権を実現する」、こう言っておりますけれども、まさに地方を応援する全ての国の制度は、地方が、やりたいという自治体があったらどの制度も活用できる、生かすことができる、そういう制度にしなかったら地方創生はうまくいかないと私は思うんですよ。例えば、五万人から二十万人以下の都市が、よし、私のところも経済成長の牽引役になる都市になりたいと言っても、残念ながらこれは使えないんですね。

 ですから、私は、過疎にまでやれとは言いませんけれども、少なくとも定住自立圏都市には、経済の牽引役も頼む、それから、高次にならないかもしれないけれども、中次都市機能かもしれないけれども、それぐらいの集積、強化もぜひやってほしい、そして人口をちゃんと定着させてほしい、そういう政策にすべきだと思うんですが、まず政務官から聞いて、大臣から聞きたいと思います。

森屋大臣政務官 先生から、定住自立圏と連携中枢都市圏の二つを比較していただきまして、総務省における財政措置について御質問いただいたというふうに思います。

 基本的には、先生の御指摘にございますように、連携中枢都市には、経済成長の牽引役それから高次都市機能の集積、強化ということで、これを必須事項にさせていただいているということにおいて普通交付税、そして基本の定住自立圏構想のエリアにつきましては、それぞれメニューをみずからその地域に合わせた事情の中で選んでいくということで特別交付税措置をさせていただいているところでございます。

 いずれにしましても、定住自立圏から大きく拡大をしていただいて連携中枢都市に発展をしていくというところもございますので、これから、いろいろなメニューをそれぞれ地域の中で自立的に活動されている中で選択していく、そのしっかりとしたメニューを示し、そしてなおかつ、小さなところであっても確かな財政措置、支援をしていくことが大切ではなかろうかなというふうに考えております。

 以上でございます。

石破国務大臣 結局、人口のダム機能を果たし得るものは何なのかということだと思っております。

 ですから、先ほど委員が、過疎の町村まではなかなか難しいよねというお話をなさいました。実際にあれこれ手だてを講じても、過疎の町村がそういう役割を果たすことはなかなか難しいだろう。だとしたら、どこでダム機能を果たさせてという言い方はちょっとおかしいですが、どこがダム機能を果たして、どこでとめるかという議論になるのだろうと思っております。その際に、いろいろな連携を図ることによって無駄を省いて経済の高度化を発現するというような、そういう構想で連携中枢都市圏は来ているのだと思っております。

 ですから、今政務官からお答えがありましたように、定住自立圏がどうやって連携中枢都市圏に昇華していくかということなのですが、何もしなくて昇華をするはずはないので、そういう連携中枢都市圏から外れたところをどうするか、あるいは連携中枢都市圏という概念をさらに拡大していくかということについては、政府の中でも今議論をいたしておるところでございます。

 やはりダム機能を果たしていきませんと東京の一極集中はとまらないということは確かなことだと私は思っておりまして、どこが効率的に、つまり、ばらばらっとばらまくようなことをしても仕方がないので、どうすれば効率的にダム機能が果たせるかということにつきましては、さらに研究し、成案を得たいと思っております。

福田(昭)委員 ぜひ御検討いただきたいと思います。

 後半の方に入りたいと思います。

 次に、宇都宮市と芳賀町が計画しているLRT事業は本当に真の地方創生につながるのかということで、国交省の考え方を伺っていきたいと思います。

 まず一番目は、このLRT事業の基本的な問題点についてであります。

 一つ目は、宇都宮市自治基本条例に違反している点についてであります。

 宇都宮市は、現在、佐藤市長が平成二十一年四月にみずから宇都宮市自治基本条例を制定し施行いたしました。その条例第三章第一節、市政運営の基本原則、第六条第一号には「市民意思の尊重」、市民の意見を尊重すると書いてございます。具体的には「市民が市政に関する意見を述べる機会を確保するとともに、市民意思を尊重すること。」、こう書いてあります。そして、十五条には住民投票の項目がありまして、「市は、市政に係る特に重要な事項について、直接に住民の意思を確認する必要があると認めるときは、事案ごとに別に条例で定めるところにより住民投票を実施し、その結果を尊重しなければならない。」と、みずから佐藤市長は条例をこう定めました。非常にすばらしい条例だと思います。

 しかし、佐藤市長は、住民の請求による、住民投票条例をつくって住民投票にかけろという要求を否決いたしました。また、市議会議員から二度にわたって住民投票の条例をつくる提案をされましたが、これも否決しました。つまり、住民投票条例をつくる要求を三度、佐藤市長は否決いたしました。

 みずからのつくった条例に違反しているんですが、これについて国土交通省はどう評価をいたしますか。

清水政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体が事業を進める際に、住民を初めとする関係者の合意形成に向けた取り組みは極めて重要であると認識しております。その方法につきましては、それぞれの地方公共団体において事業の特性や地域の事情を踏まえ、行われるべきものと考えております。

 先ほど御指摘がございましたように、宇都宮市においては自治基本条例が制定されておりまして、その中で、市政に係る特に重要な事項については、直接住民の意思を確認する必要があると認められるときは、事案ごとに別に条例で定め、住民投票を実施するとされております。

 宇都宮市におけるLRTの導入に関する住民投票条例の制定につきましては、市議会で、平成二十六年一月、平成二十七年三月及び二十七年九月の三回審議されております。市議会におきましては、これまで市民に対し丁寧な説明を行っていること、議会との間でも十分に議論をしていくことなどの理由によりまして、いずれも条例制定が否決され、住民投票に至らなかったと聞いております。

福田(昭)委員 結局、住民投票にかけると反対が多いとわかっているから、かけないんですよ。これは民主主義と言えないですよ。代表制の民主主義を我が国はとっているわけですけれども、それでは足りないという部分があって、住民投票ができるようにだんだんなってきたんじゃないですか。住民投票の請求があったにもかかわらず、それを三度も否決するというのは、これは独裁者ですよ。こんなものがこのまま進むというのは、とても許される話ではないと思います。

 したがって、二つ目ですけれども、そういった意味では、いまだに市民の合意が得られていない点についてであります。

 民主党栃木県連が、昨年の八月三十日に県民の世論調査をいたしました。そのときにLRTについて伺いましたけれども、宇都宮市が中心となって設立する予定の第三セクター運営会社の経営はどうなると思いますか、赤字になる五七・九%、黒字になる七・二%、わからない三四・九%。LRTについて計画どおり進めるべきだと思いますか、進めるべきだ一九・七%、やめるべきだ四七・二%、わからない三三・一%。LRTをどうしても進めるときは住民投票にかけるべきだという意見がありますが、どう思いますか、住民投票にかけるべきだ七〇・七%、住民投票は要らない一四・〇%、わからない一五・三%であります。これが県民の意識であります。

 このLRT事業については、国の税金も県の税金も使われます。宇都宮市の税金だけが使われるわけではありません。したがって、ほとんどの県民が反対をしているということです、宇都宮市民だけじゃなくて。

 こんな市民合意や県民合意が得られていない事業を国土交通省が認可するということになると、最終的に、赤字になってこの会社が破綻することになれば国の責任も問われるということになりますが、国土交通省はどう評価をいたしますか。

清水政府参考人 お答えいたします。

 宇都宮市及び芳賀町におきましては、LRTの導入計画について、これまで、地域説明会の開催や、パネル展及び来場者との意見交換を行うオープンハウスの設置、広報紙の全戸配布などにより、住民理解の促進に向けて取り組んでいると聞いております。

 また、LRT事業の特許を取得するために必要となる軌道運送高度化実施計画については、宇都宮市及び芳賀町の議会の議決に向けた手続が進められているとともに、都市計画決定に向けては、平成二十八年一月より都市計画素案の縦覧や説明会等が実施されていると聞いております。

 地方公共団体が事業を進める際には、住民の理解促進に向けた取り組みが極めて重要であると認識しております。宇都宮市及び芳賀町においては、引き続き誠意を持って取り組まれるものと考えております。

福田(昭)委員 国土交通省も承知していると思いますが、市長なり町長の与党が議会で多い場合には、どんなものも通ってしまいます。その結果、住民から訴訟された場合に、裁判が起きて、今までの過去の歴史をずっと振り返ると、最高裁の判決は、議会が例えば請求権を放棄していれば首長の責任は問われませんでした。しかし、最近の判例はそれとは違います。議会が請求権を放棄しても首長の賠償責任を問うような判決が最近は出てくるようになりました。

 まさに地方分権の時代を迎えて、自治体の言ってみれば統治能力が弱いということを裁判所もだんだんわかってきた、残念ながら。私も地方分権を推進してきた一人として残念なことですが、自治体の議会のチェック機能が非常に弱い、統治能力が本当に弱いということがだんだんわかってきた。これはまた後で、たくさんあるので、質問する機会をつくりたいと思っていますが、非常に弱いということがわかってきた。

 だから、住民の皆さんから赤字になるからやめろと言われていた事業に、議会の議決があるからといってもしこれをやって赤字になって、五、六年で会社が破産をしたということになったときには、今度は、首長の責任が問われるのはもちろんですけれども、国交省の責任まで問われる時代が来るかもしれませんよ、もし認可をしたということになれば。そういうことについてはどう考えていますか。

清水政府参考人 住民合意に関しましては、先ほど申しましたように、地方公共団体が事業を進める際には、そういった声をちゃんと聞いていただいて、住民の理解促進に向けた取り組みというのは非常に重要だと考えておりますので、今後も、宇都宮市、芳賀町の方で、そういった方向で住民理解を得るような取り組みを進めていただくというふうに我々も考えております。

福田(昭)委員 これ以上聞きませんけれども、そうしたら、住民投票にかけるべきじゃないですか。かければ、はっきりしますよ。(発言する者あり)

山本委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山本委員長 では、速記を始めてください。

 福田君。

福田(昭)委員 それでは、時間がなくなってきたのでちょっとはしょりますけれども、三つ目は、過大な積算に基づく新規路線になっている点についてであります。

 今回、ルートを芳賀工業団地、芳賀・高根沢工業団地まで拡大いたしましたが、その行き着く先はホンダ自動車の工場であります。この二つの工業団地は約八割がホンダ関連の工場でありますので、ホンダは自動車をつくっている会社ですから、LRTをつくったからといって本当に乗るのか、そういう点もあります。そうした人たちも母数に加えて、乗降客をどうも水増ししているのではないかというふうな疑いもあります。

 それから、四つ目でありますが、上下分離方式は名ばかりで、官設官営というか、公設公営というふうになっております。

 宇都宮市は、下の整備は宇都宮市と芳賀町がやる、上の事業運営は民間会社に任せるといって進めてまいりましたが、赤字がわかっていますから、どこも手を挙げる企業がありませんでした。そこで、仕方なく、市や町が出資する形で、民間企業にも出資をさせて宇都宮ライトレール株式会社というのをつくりました。まさに公設公営の事業に実はなってしまっているということであります。今後、増資をするときに出資の割合を五一対四九から四九対五一に変えると言っておりますが、苦肉の策をやろうとしております。

 それから、五つ目、これは国土交通省に非常にかかわりがありますので聞いておきたいと思いますが、コンパクトシティーにかなっているのかどうかという点についてであります。

 国土交通省は、急激な人口減少と高齢化を迎えて、財政面及び経済面において持続可能な都市経営を可能にするため、コンパクトシティー・プラス・ネットワークが大切だということで、立地適正化計画を策定するということにしておりますけれども、この点、宇都宮市のLRT新設はどう評価しておるのか、お答えをいただきたいと思います。

志村政府参考人 お答え申し上げます。

 宇都宮のLRT整備計画については、本年の一月二十二日に、宇都宮市、芳賀町及び宇都宮ライトレール(株)から、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく軌道運送高度化実施計画が国土交通大臣に申請をされております。

 計画路線については、宇都宮中心市街地と鬼怒川東側の工業団地を結ぶ東西の基幹公共交通として位置づけられるものというふうに伺っているところでございます。

 また、申請者が策定する路線収支計画の基礎となる需要予測についても、あるいは先ほどございましたような点につきましても、その妥当性を含めて、この高度化実施計画につきまして所要の審査を適切に行ってまいりたいと考えております。

清水政府参考人 コンパクトシティーの関係をお答えいたします。

 宇都宮市は、都市機能を集積した拠点を階層性のある公共交通と道路ネットワークで結ぶネットワーク型コンパクトシティーの形成を目指しておりまして、現在、コンパクトシティーの実現を図るための計画として、都市再生特別措置法に基づく御指摘の立地適正化計画の策定に取り組んでいるところでございます。

 去る二月二十六日に市の都市計画審議会に示された立地適正化計画の素案骨子によりますと、ネットワーク型コンパクトシティーの形成を支える骨格的な公共交通ネットワークとして、JR宇都宮線等の南北方向の既存鉄道に加えて、東西方向の基幹公共交通であるLRTを軸としたまちづくりに取り組むということ、それから、公共交通沿線などへの居住及び都市機能の誘導と交通戦略との連携によりまして、土地利用と交通が一体となった都市づくりを推進するとされております。

 宇都宮市は、まちづくりと交通政策を連携させ、ネットワーク型コンパクトシティーを実現しようとしておりまして、その方針のもと、今般、LRT導入に取り組んでいると認識しております。

福田(昭)委員 今の話を聞きますと、これは国土交通省がつくった、まさにコンパクトシティー・プラス・ネットワークの資料です。これを見ますと、ここには、どちらかというと、コミュニティーバスによるフィーダー、支線輸送、ディマンド型乗り合いタクシー等の導入ということが例示として書かれております。LRTを導入するような例示は全くありません。

 先ほどの答弁の中では沿線開発という話が出てきたようでありますが、このLRTを導入して沿線開発をしないとお客が乗らないという意味なんですかね。しかし、走ってくるところは、田んぼの中と、鬼怒川を渡ってすぐ田んぼと工業団地ですよ。では、市街化調整区域をさらに開発するという意味なんですか。どうなんですか。

清水政府参考人 まちづくりが経営面を応援するということも当然ございますけれども、まちづくりと公共交通の軸がお互いに連携して活性化していくことでこのコンパクトシティーというのは実現されるものと考えております。

福田(昭)委員 宇都宮の佐藤市長が新春の集いで何と言っているかというと、これからは賛成、反対じゃなくて沿線の開発だ、これに力を入れようと言っている。おかしいですね。コンパクトシティーにはそんな理念があるんですか。ないんじゃないですか。だんだん人口が縮小していくから、都市機能を高度化してんだんだん集約していこうという発想がコンパクトシティーなんでしょう。新たに沿線開発をして、それまで取り込もうというのはコンパクトシティーじゃありませんね。

 ですから、これはコンパクトシティーの理念にもかなっていないLRTなんじゃないですか。地元のタクシー会社の社長が何と言っているか。五百億もかけるんだったら、俺たちに任せてくれたら、ドア・ツー・ドアで幾らでも高齢者を運ぶよ、こう言っていますよ。

 国土交通省の資料の中にも、ディマンド型タクシーなんということが入っているじゃないですか。そういうものを幾らでもタクシー会社はやると言うんですよ。多額の税金をかけて、将来負の遺産になってしまうおそれのあるLRTをやるなんという、こんなばかげた計画はやめるべきだと思います。

 時間がなくなってきましたので、先に急ぎます。

 先ほど出ましたけれども、一つ一つ質問する予定でしたが、この軌道運送高度化実施計画の認定申請書というのを私は読んでいます。これを見て、この程度の計画書で審査できるんですか。これでゴーサインを出せるんですか、こんな計画で。これに附属資料があるんだかどうかわかりませんが、この計画書だけではとてもとても、この事業の妥当性、ちゃんと黒字が保てるのかどうか、そういうことまで見通せないと私は思いますよ。ですから、もっとしっかりとした審査をする必要があるということを指摘しておきたいと思います。

 いよいよ時間がなくなってきましたので、後ろの方に行きたいと思っています。

 まず、現宇都宮市副市長の荒川氏でありますが、この荒川氏が主導して宇都宮市のLRT計画を立てましたけれども、四月一日から国土交通省に戻るというんですが、どこに配属されるのか、決まっているのだったら教えていただきたいと思っています。

 何でそんなことを聞くかというと、地元では、荒川氏が国交省に戻ったら、今度は担当審査官になってこの許可をおろすんじゃないか、こんなうわさも出ております。そうなったら国土交通省も困ると思うので、ぜひそうならないように配慮されることをお勧めしたいと思います。これはお答えは要りませんが、そのようにお勧めしておきたいと思います。

 次に、現行ルートに反対している方々の御意見はちゃんと反映されるのかどうかということで、最後の部分に行きたいと思っています。

 仮に工事施工の認可がおりて実際に工事が始まるとしたら、今のルートに反対している人たちがおります。その人たちは、平石学童をLRTの危険から守る会を結成して、活発に活動しています。二月十日には、平石中央小学校の保護者四十三名にアンケートをしたところ、四十一名が反対、二名が賛成だそうであります。

 その方々は、現行LRTの問題点について、五点挙げています。

 それを申し上げますと、一つは、平石中央小隣接の辰街道・LRT交差点は踏切ではなく信号、左の表のようにスピード超過車両との衝突は間違いなく大事故につながります。つまり、辰街道は大変多くの車が走っているということであります。

 それから二つ目、フェンスつきの線路によってほとんどの生活道は行きどまりです、これでは人も車も農耕車も遠回りばかり、地域のきずなが阻害されてしまうばかりか、北側住民は災害時避難所の中央小へスムーズに行けません。

 三つ目、地区センターと離れてしまった下平出駅は地域内利用者にとって不便な駅となってしまい、利用者がどんどん少なくなってしまいます。

 四点目、今宿―山下を結ぶ新四号トンネルは、LRTが整備されると車両が往来できなくなってしまい、集落間のコミュニティーは分断されてしまいます。

 五つ目、数少ない集落をわざわざ破壊しなくても、通れる農地はたくさんあります。

 これだけ、五点述べておりますが、まさに宇都宮市のLRTについては、反対している人たちが三グループ、三団体あります。一つは、LRTは絶対反対だという人たち。もう一つの団体は、少なくとも住民投票にかけろという団体。そして、実際に、ルートがここだと言われて、地権者の人たちが一生懸命反対している、子供たちが危ないと。平石中央小学校の敷地を削りながら走るルートになってきて、しかも、四百五十年も住んでいる人たちのうちを、そこのけそこのけLRTが通るということで、二十二世帯のうちがそこから移転するということを求められて、反対している地権者がおります。その方たちは、土地の買収に絶対協力しないと言っています。

 こうしたものを本当に認可できるのかどうかという問題を抱えております。

 隣が来たのでそろそろ時間がなくなったかなと思いましたが、あと七分あるというので。

 こうした反対の方々、先ほども最初に申し上げましたが、住民合意が全くとれていない、住民投票も三回否決をした、しかも、県民のアンケート調査でも反対している人が非常に多い、住民投票にかけろという人が七割もいる、そしてさらに、現行のルートに対しても地権者が反対をしている、子供たちが危ないということで言っているわけでありますが、こうしたものに対して、国土交通省としては、今評価中だと思いますが、どういう評価をするんでしょうか。お伺いします。

宮内大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 地方公共団体が事業を進める際に、住民を初めとする関係者の合意形成に向けた取り組みは極めて重要であり、当たり前のことであるというふうに認識をいたしております。

 今回の実施計画につきましては、申請者におきまして、関係自治体や道路管理者等の意見も踏まえまして、地域公共交通の活性化に資する計画として作成されたものと承知しております。

 また、宇都宮市及び芳賀町におきましては、このLRTの導入計画につきまして、これまで、地域説明会の開催など、住民理解の促進に向けて取り組んでいると聞いております。

 当該計画につきましては、現在、認定申請を受け付けた関東運輸局におきまして、各道路管理者より意見を聴取する手続を行っているところでございます。なお、各道路管理者は、この意見提出に際し、地方公共団体の議会の意見を徴することとされております。

 国土交通省といたしましては、審査基準に従いまして、まちづくりとの連携や道路管理上適切であるかどうかという観点も含めまして、所要の審査を適切に行ってまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 まだ時間があるようですので、少し戻って、ポイントだけお聞きしたいと思います。

 今の政務官の答えですけれども、住民の意見は聞いているといっても、本当に聞いていないんですよ。本当に聞いていれば、理解が深まっていれば、何でこんなに反対運動が起きるんですか。聞いていないから起きるんですよ。

 この平石の児童を守る会の人たちが何と言っているかというと、市長のところにも行った、知事のところにも行った、全く聞いてくれないと。そういうことで、私たちのところに来たわけですよ。この人たちは、LRTそのものに反対しているわけじゃないんですよ。ルートに反対しているんですよ。幾らでも安全なルートはある、彼らはそういう具体的な提案までしています。こういう人たちの意見も聞いていないというのが、今回のLRTなんですよ。

 それで、戻ってちょっと聞きますけれども、軌道運送高度化事業の効果。効果が七点あるよとしていますけれども、このうち総所要時間の短縮とありますけれども、どの程度、このルートで高度化事業を取り入れてやったら何分短縮できるんですか。これは具体的なことだから審議官でいいですよ。

志村政府参考人 お答えいたします。

 今回認定申請のありました実施計画におきましては、その運行計画について、その最高速度を時速四十キロといたしまして、JR宇都宮駅の東口から本田技研の北門、これは全体で十四・六キロになりますが、こちらの区間を運行するということでお聞きしております。この区間全線にかかる所要時分は、快速列車で約三十八分、普通列車で約四十四分ということで伺っているところでございます。

福田(昭)委員 そうすると、この高度化で何分短縮できるんですか。それが問題。

志村政府参考人 大変申しわけございませんが、その場合の時間短縮時分については、私ども承知しておりません。

福田(昭)委員 ちょっとそれはおかしいでしょう。この高度化計画に効果として七点挙げてありますけれども、その一つに総所要時間の短縮、目的地への移動に要する時間を短縮すると書いてある。国土交通省、この計画を読んでいないんですか。この計画だけでは、先ほども申し上げたように、審査のしようがないと言ったのはそういう意味ですよ。詳しい説明がなかったら、何分短縮されるんですか。

 ですから、今回、ルートを、少し遠回りして平石のコミュニティーセンターを通って行っていたものを、今度は小学校の北側を削りながら通っていくルートにしたわけですよ。これで高度化事業を導入して短縮することにしたわけですが、高度化事業で何分短縮できるんですか。普通、六分間隔で走ると書いてありますけれども、六分しか短縮できなかったらば、やる意味がないんじゃないですか。どうなんですか。

志村政府参考人 お答え申し上げます。

 さまざまな行き方によって、また選択する交通手段によっても時間短縮効果は異なってくることと思いますが、先生に今御指摘いただきました総所要時間の短縮につきまして、私ども、ごらんいただいているこの実施計画本体だけではなくて、参考資料で大部なものも御提出いただいております、その中で十分に審査をさせていただきたいというふうに考えてございます。

福田(昭)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、時間を短縮して危険を増すのでは、短縮する意味がない。六分ぐらいだったら、少し早く起きて電車に乗ればそれで済んじゃう話。全く意味のない話だと思います。

 以上で終わります。

山本委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 民主党、緒方林太郎でございます。

 地方創生特、大臣の所信に対する質疑ということで、貴重な時間をいただきましてありがとうございます。石破大臣もよろしくお願いを申し上げます。そして、我が町北九州の山本委員長にも、きょうは地元の話が多うございますので、よろしくお願い申し上げます。

 きょうは、まず最初に、地方分権と地方交付税による財政措置という観点から質問をさせていただきたいと思います。

 第四次地方分権一括法で、県費負担教員の給与を政令指定都市に移管するという話が成立をしまして、今着々と進んできておりますが、この件、この手の地方分権をやる際に税源移譲した唯一のケースでありまして、個人住民税の所得割の二%を具体的に県から市に移すということで、こういった形で具体的に税源が移譲されたことについてはとても評価をできるものだというふうに思います。

 ただ、地方住民税の所得割二%分を移譲したからといって、学校の先生の給与分が満額それで満たされるかというと、そうではございません。そういう自治体がないわけではありません。非常に財政状況が豊かな、例えば神奈川県の川崎市とか、そういったところはいいんですけれども、我々が住んでいる北九州市とか、あと、財政指数が余り芳しくない、どちらかというと最近政令指定都市になったようなところというのは、非常にこれだけでは対応できないということで、学校の先生の給与を出す権限が政令指定都市側に来たんですが、財源が足らないという状況があります。

 先般、私は予算委員会の分科会でもお伺いいたしましたが、具体的に、この財源が足らない分、いかに対応されるかということを総務省に答弁いただければと思います。

土屋副大臣 ただいま御質問のあった件について申し上げたいと存じますが、基本的には、財源、住民税の二%分を政令指定市に移したわけでございます。これが大体五千億相当になるだろうと思います。日本全体で八千億ぐらいの需要があるんですが、大体五千億ぐらいになるだろうと思います。残りの三千億は地方交付税で措置をする、こういうスキームになるわけでございます。

緒方委員 そうなんです。地方交付税でやるということで、今回、地方交付税の基準財政需要額のところに学校の先生の給与の分を入れるということで話が進んでいるようなんです。

 基準財政需要額に算入するというこの手法なんですけれども、総額で交付税は来るので、どこに入っているかというのがよくわからないんですね。全体で総額で来ていて、算定根拠のところで、基準財政需要額のところに入っていますと。それは地方側からすると、どこに入っているんですかと総務省に聞くと説明してくれるわけです。ここに算定根拠で一〇〇%入っています、何%入っていますということで、全体の枠の中のミシン目のところの、そのミシン目を説明してくれるんです。けれども、全体としてそれほどふえているわけではない。

 ただ、この中に、確かに見てみれば、算定根拠の中に入っていますというだけでは、実際には、説得はされるんですけれども納得はしないんですね。財源が明確にそこにぽんと来るわけではない、総額で来ているわけですから。

 この基準財政需要額に算入するという、いわゆる地財措置と言われるものですけれども、これで本当に地方の財政を十分に、例えば県費負担教員の給与を賄えるというふうに土屋副大臣は思われますか。

土屋副大臣 今、緒方先生から御質問のあったことは、今日における日本の地方自治の制度の本質的な御質問かと存じます。

 個別の話は別にして、今のお話の中にありました地方交付税というのは、基本的には、日本国のどこにいてもさまざまな標準的なサービスが受けられるように財源調整をする、こういう仕組みなのであります。

 したがって、基準財政需要額の積み上げについては、別に恣意的にやっているわけではなくて、御存じだと思いますが、こんな厚いものがあって、例えば教員の場合にはこうだとかといった基準が決まっているわけであります。この基準に基づいて措置をするわけでありますから、基本的には需要を満たしているというふうに我々は考えております。

 ただ、先生がおっしゃっている意味は、そうはいっても、いろいろな要素がつけ加わってグロスで来ますねと。そうすると、補助金みたく一つ一つのことではないから、どこに入っているんだということが必ずしも明確でないねという趣旨の御質問もあるかと思います。

 ただ、総額の算定の基礎の中にはそういう基礎が入っておりますし、また、それぞれの政令市なら政令市の財政の担当者はそういう積算をしておりますので、そういう意味では、一定の、標準的な財政需要を満たす制度になっている、このように理解しております。

緒方委員 理屈の上ではそのとおりでございまして、理屈の上では基準財政需要額のところに算定根拠として入ってくるわけですから、それはそのとおりですが。

 総額としては、では、例えば二十億円足りませんというから二十億円本当に上積まれているかというと、わからないんですね。実際には、もう総額で来ていて、政令指定都市だけではなくて各地方自治体におりていくと、財政局と各部局、国と同じように予算要求と査定のプロセスがあるんだと思いますが、では、算定根拠のところで入っていますというからその分を満額あなたに出しましょうというふうになるかというと、それはそうならない。

 恐らく、武蔵野市長をやっておられたと思いますので、国からグロスで来るものをどう割り振るかというのは地方自治体の自由であって、全体として伸びないのであれば、それはやはり、結果として満額を面倒見てもらえるようにならないということが大体常だろうと思います。だから、今私が言っているような問題提起をしているわけでありまして、ミシン目の違いを説明されるだけでは、地方は絶対に納得しないということです。

 もう一つ、基準財政需要額の話をしましたが、今度は基準財政収入額のところでどういう計算をしているかというと、今回の県費負担教職員の給与の移譲については、県が今、例えば我が北九州市なら北九州市の教員の給与をお支払いいただいている。では、それが満額来るかというと満額は来ません。地方交付税で基準財政需要額のところに一〇〇%入ったからといって、それで満額ではありません。

 大体、地方交付税を地方にお渡しするときに、留保財源が出る形で地方交付税というのはお渡ししていますが、恐らく、この留保財源を使う形で地方交付税の算定根拠よりも多く教員を雇用している場合、その分については来ないわけですね。となると、実際に我々移譲される側からすると、今、目の前に教員がいる、給与も県からお支払いをしている、そして、それが我が町におりてくるときに、その人数分の給与が来ないということになるわけです。

 こういうふうになっていくと、実際には、加配分とか、どういう形で県がお支払いしているかわからないけれども、基準財政需要額のところを大きく超える形で教員の雇用をしているケースにおいては、十分に担保されないと思うんです。

 留保財源の部分も含めて県から政令指定都市側におろしてほしいということを何度か私は質問しているんですが、土屋副大臣、いかがですか。

土屋副大臣 今の緒方先生の御質問を分けますと、地方交付税の性格の話と、それから教職員の加配などをしている場合の費用と、この二つの要素が絡んでいるんだろうと思います。

 まず前半の、地方交付税はさまざまな計算基礎に基づいて総額幾らと決めるわけですが、これは、もう御承知のとおり、長らく意見があるところであります。しかし、基本的には、これは地方自治体の自主財源ということになっております。ですから、極端なことを言えば、教員の計算であったものでも福祉に回すとか、そういうことも政策であり得るわけであります。こういう性格のものであります。ですから、そういう意味では、色がついていない、補助金などと違う性格のものだと思います。

 したがって、その上で、今、緒方先生の御質問のあった二点目は、例えば県費教職員で、都道府県が独自の判断に基づいていわゆる加配をしている教職員分は、政令市に移管されたときにそこまで来ないじゃないか、こういう御質問だろうと思います。

 ここは、先ほどお答えしましたように、標準的経費を賄うのが地方財政措置でありますから、独自の政策判断でいわゆる充実強化した部分については、これはまた充実強化した地方自治体が、例えば政令市なら政令市がどう判断するかということであります。

 とはいえ、御指摘のようなこともあろうかと思いますので、これは十分県と政令市とが協議をしてください、またそのためのお手伝いはいたしますということを総務省としても言っているわけでございます。

緒方委員 いつもこの話を聞くと、県と政令市でよく相談してくださいと言うんですが、これは、山本委員長、おわかりいただけると思いますが、県と政令市で話をして、県からすると、できるだけ渡すのを少なくしたいと思うので、算定根拠の標準的な経費だけを渡したら、あとはもう終わったということで、けれども、もともといる、目の前にいる教員はその標準よりも多いじゃないか、その分くれと言ったからといって、県が、わかりました、もっと色をつけましょう、五億円、十億円、二十億円と県から政令指定都市に渡しましょうと言うかというと、これは渡さないですよ。絶対ないですよ。絶対ないんです。

 だから、県と政令指定都市でよくお話しくださいというのは、現場にいる側からすると余り現実味のない話でありまして、結果として、もう一度申し上げますが、この地財措置で標準的なものだけが移譲されてくるということになると、地方からすると、財源の面倒を見てもらっているという気持ちに、一部そうなんですけれども、全部面倒を見てもらっているという気持ちにならないんですね。

 特に、先ほど冒頭申し上げましたが、例えば、税源移譲のところだけで実はそのお金が十分足りる神奈川県の川崎市とかは、リッチだなと思います。そういう市はいいんですけれども、そうでないところになってくると、財政指数の余りよろしくない政令指定都市からすると、単なる負担の押しつけにしかならないんだというふうに思うんです。

 恐らく、武蔵野市長として長らくやっておられて、この地方交付税の件に悩んでこられたと思います。先ほど、県と市でよく相談していただきたいということでありましたが、もう一声いただけないかと思います。副大臣。

土屋副大臣 もう一声とお話がありましたが、公金を使っての行政でありますから、そこは法令にのっとって粛々とやらなければならないんだろうと思います。

 その前提の上でまたお話を申し上げますれば、県と市町村との間柄で、いわゆる独自の形で、県と市町村がさまざまな形で財政の調整措置をしているところもあります。ですから、そこは一概にこうだということではなくて、とりわけ県費負担教職員を政令市に移すということは相当大きな変化ですので、これについてはそれぞれの事情を踏まえた上で個別にやっていただくのがよろしいだろうと思います。

 なお、加配職員については、県費だけではなくて単費の市や区がやっているところもあります。そういったところで選挙で選ばれた首長が何を重点にしていわゆる市政運営するかということにもなりますので、そういったことも考えなきゃいけないだろうと思います。

 なお、政令市から長い間要望があった今回の件なんですが、これは、政令市はそういうことを百も承知でいろいろ議論してきているわけでございますので、あと個別の話としてはこれからまた。政令市の御希望でこういう制度があったということでよろしくお願いいたしたい。

緒方委員 これは確かに政令市が長らく要望していたものですが、それは大前提がございまして、財源がきちっと確保されるということが大前提でございます。

 結果として、第四次一括法で、平成二十六年だったと思いますが、成立して、そしてそれに伴い税源の移譲が生じた、これは物すごく画期的なこと。私は、第四次一括法でこの件が動いたということは高く評価したいと思いますし、税源移譲が行われたことも高く評価したいと思います。それを前提にお話をしています。

 ただ、結果として、我が町でいいますと、誰かが試算をしたわけではないようでありますが、どうも幾つか情報を聞いてみると十五億円ぐらいの追加的な負担が生じるんじゃないかと。県費で負担していたものが新しく市に来るときに、例えば、退職金の問題とか、あとシステム変更の問題とか、そういったものについても政令指定都市側に乗ってくるということがございます。

 もう既にこれはかなりきつくなってきているということがありまして、山本委員長も地元に戻りましたときは、うちの町とよく話していただければと思います。

 これは、別の政令指定都市の方とお話をしていたときなんですが、口さがない人は、そもそも今回のような県費負担の教員の給与の移譲というのは、国と全国知事会でこれぐらいで握ろうということで握って、政令指定都市への負担押しつけを国と知事会で握ったんじゃないか、そこまで口さがないことを言う人がいるわけであります。

 では、石破大臣に聞きたいと思います。これはそういう事実がございますか。

石破国務大臣 それは口さがない人が言うことなのであって、私どもで政令指定都市にそのようなものを押しつけようと、国と知事会でそのようなことで握ったというような事実はございません。

緒方委員 そうありたいと思います。

 ただ、これは先ほど申し上げましたとおり、十億単位で負担が上がってくるんですね。そうすると、どう考えても、目の前にいる教員は目の前にいる教員で変わらないんです。ただ、その財源が、県から政令指定都市側に、文部科学省が出すもの、税源移譲するもの、そして地方交付税と、全部合わせてみてもそれだけ足らないということになると、その分だけ政令指定都市側は水準を何らかの形で下げるか、十億円足らないから十億円下げるということはないかもしれませんけれども、例えば半分下げようとか何かそういうことがあって教育の水準を下げない限り、この件に絶対対応できないんです。

 そうすると、教育のあり方として問題が生じるんじゃないかと思いますが、これは、本日お越しをいただいております義家副大臣、いかがでございますでしょうか。

義家副大臣 お答えいたします。

 まず、教育水準とは何かということをしっかり整理すべきだと思います。教員の数、教員の質、教育を行う環境、あるいは、小学校、中学校でもそのあり方というのは違ってまいります。

 その上で、移譲が行われることによって教育内容が低下するかについて、まず、教師の数のみの限定したお話をしますと、例えば北九州市は、県から政令市に移管した場合、プラス九人分の財源がやってきます。プラス九人です。一方で、マイナスになる政令市も当然発生いたします。だからこそ、その部分、所要の地方交付税措置が総務省により講じられるものと我々は認識しております。

 また同時に、単純に数だけではなくて、質の環境、これは、今まで人事異動は政令市が行ってきましたから、その質の環境をどうより担保していくのか、あるいは教育環境ですね、教室あるいは学校施設をどうしていくのか等々を含めて、今後、総合的に、政令市が主体的に教員の配置も含めて考えていくべき重要なテーマであろうというふうに思います。

緒方委員 今、プラス九人という話がございましたが、これは恐らく、地方交付税で見るところの標準的な人数が九人ふえるということではないかというふうに思うんですが、それでよろしいですか。

義家副大臣 済みません、訂正いたします。

 プラス九名というのは、全国でならしたときに、政令市側がふえるプラスの教員。北九州市については、プラス三十二人。(緒方委員「それは標準的な」と呼ぶ)はい。定数と加配の実数で三十二人分の教員の財源が政令市に移るということです。

緒方委員 恐らく、それは標準的な部分であって、実際に雇用しているところとの差があるのではないかと私は思いますが、これはちょっと後ほど文部科学省からよくお話をお伺いしたいと思います。

 これまでも、第四次一括法、第五次一括法、そして第六次一括法が今回の国会で上がってまいりますが、この中で、財源措置が地方交付税の基準財政需要額に入れるとかいうことの地財措置で行っているものというのは、それぞれの一括法の中でそれぞれあると思いますけれども、これは内閣府の方にお伺いいたしたいと思いますが、財源措置が地財措置となっているものを、第四次、第五次、そして今回の第六次一括法の中でどのようなものがございますでしょうか。

池田政府参考人 今お話がありました第六次地方分権一括法案は、昨年末の地方分権に関します閣議決定のうち、法律改正を要するものを一括改正するもので、現在、国会に提出すべく準備を進めているところでございます。

 その中で、権限移譲の関係といたしましては、食鳥検査に係る指定検査機関の指定と監督権限の、国から都道府県、保健所設置市等への移譲、あるいは、工場の緑地面積率等に係る地域準則の制定権限の都道府県から町村への移譲などを盛り込む予定でございます。

 また、過去五次にわたります地方分権一括法があったわけでございますが、それらにおきましては、数といたしまして、延べ百二十四の法律の事務権限の移譲を措置したところでございます。

緒方委員 税源移譲したものというのは、第四次一括法での県費負担教職員の給与の話、たしかレクで聞いたときはそれだけだというふうにお伺いをしたので、それ以外のものの移譲というのは全部地財措置なんですね。

 そうすると、この議場におられる各議員の方、それぞれ御地元に帰ってみれば、これで苦しんでいる地方自治体ばかりだと思います、みんなそうだと思います。地方分権に伴うこういう地方交付税での税源移譲というのは、地方は、正直なところ、もう望んでいないと思います。

 何度も申し上げましたが、地財措置というのは何かというと、総額でもらうもののミシン目の切り口だけを説明してくれるんです。ここにこう入っています、ここにこう入っています、ここにこう入っています、だからいいでしょうと説明されるけれども、総額が変わらなければ余り変わらなくて、実際には、地方がこれで苦しんでいるということがあります。

 少し極端なことを言いますが、今後の地方分権のあり方として、こういった地財措置での対応は基本的にやらないといった上で、税源移譲等、目に見える財源移譲をするということでの地方分権を進めるべきだと思いますが、石破大臣、いかがですか。

石破国務大臣 それは、いろいろなやり方があるのであって、税源移譲といったときに、では、地方と都市部で、そもそも税源の偏在というものをどのように考えるか。ですから、交付税が保障機能と調整機能を持っているというのはまさしくそういうことであって、そうすると、さらに、島根ですとか鳥取ですとか、そういうところは一体どこから金を見つけたらいいんだというお話になって、先ほど来総務省からお答えをしておりますように、地方独自の政策を行う場合には、やはり地方独自の財源で御対応いただくということが本筋ではないだろうか。

 そして、交付税というものや地方税というもの、あるいは補助金というもの、いろいろなやり方がございますが、何が一番地方のニーズに合っているかということは、また委員にも委員の御見識があろうかと思います。

 ですから、北九州というような、それでも政令都市ですものね、私も時々お邪魔をしますが、我々の地方からすれば、やはり大都市だなと思います。でも、それも横浜や名古屋に比べればどうなんだという話になるわけで。そこはやはり、どこどこに住んでいるから受益の状況が違うというのは、私は余り好ましいことだと思っておりません。

 今、土屋副大臣からお話がありましたように、やはり、そこの首長たらんとする人が、こういうことでやろうと思います、住民の御負担あるいは国の負担、県の負担、これはこのようなものを求めますということで、まさしく地方の民主主義の主権者たる方々の御判断に最後は委ねるところが多いのではないでしょうか。

緒方委員 結果として、今、石破大臣の言われた理念型はよくわかるんですが、目に見える形での財源が来ないということ、まずこれが一つ。目に見える形で財源が来てほしいということが一つ。

 もう一つは、例えば、今回のように県と政令市という形で財源の話が出たときに、県と政令市でよく相談してくださいというのは、現場におりていくと、それは、お互いやはり数億円単位でのお金を綱引きし合うわけですから、それを、何らかの措置をとらない形であとは全部相談ベースですと言われてしまうと、移譲される側が圧倒的に弱いんですね。圧倒的に弱いんです。

 この二点、目に見える財源であるというのと、県と政令市との間の調整に委ねるということは、これからの制度設計のときにできるだけこういうことがないようにしていただきたいということは、これは要望として申し上げさせていただきます。

 質問を移したいと思います。

 土屋副大臣と義家副大臣、ありがとうございました。

 次に、CCRCについてお伺いをいたしたいと思います。

 この件については、私も地元で聞いていて、いろいろな考え方がございます。我が町も、特区ということでCCRCについて手を挙げさせていただいております。いつも質問すると、アクティブなシニアの方が戻ってきて地域のまちづくりに貢献してもらう、こういう極めてポジティブな、すごく美しいところをよく答弁されるんですが、ただ、それだけではないと思うんですね。

 CCRCを進めることによって、ネガティブとまでは言いませんが、懸念材料的なものもやはり各地方に生じると思うんです。ポジティブな、アクティブな方が帰ってきて、そして地域に戻ってきて頑張っていただく、これはいいんです。本件を進めるために懸念事項のようなものが恐らくあると思いますが、内閣府の方でどういうマイナス面があり得るというふうに認識をしておられますでしょうか。

石破国務大臣 これは、委員御指摘のように、アクティブな方じゃない、要介護とは言わないが、やはり、移ってこられる側のそれぞれの自治体の医療とか介護とか、そういうものの負担が増していくのではないかということが一番大きな御懸念材料ではないかというふうに私は認識をいたしております。

緒方委員 そうなんです。実際に、CCRCを進めたときの将来の姿というのが、ではうちの町はどうなっていくんだろうかと。アクティブでない方が来られることも、これは別に排除されていないわけでありまして、もっと言うと、アクティブな方で帰ってこられても、退職されている方であるとすると、アクティブでなくなるまでの年限が物すごく短いということもあって、十年ぐらいたつと、多分行政に対して負担が医療、介護という形で乗ってくることはあるんだろうというふうに思います。

 CCRCについて、テレビの特集とかそういうものを見ておりますと、よく出てくるのが、豊かな方が新しく切り開いたところに住んで、そしてそこで皆元気に楽しく過ごしておられる、いわゆるゲーテッドコミュニティーのようなものがよく取り上げられるんです。しかし、これはお金を持っている方の話であって、もっと言うと、ゲーテッドコミュニティーになると、地域に溶け込まないとまでは言いませんが、少し切り離された空間に住んでおられるということになると思います。

 私は、国が支援すべき、国が推進すべきCCRCというもの、いろいろなものが考えられると思いますが、少なくとも国として何かの支援をするのであれば、こういうゲーテッドコミュニティーみたいなものは外すべきじゃないかと。お金を持っている方ですから、自分たちでやっていただければいいわけでありまして、ここは、CCRCということを考えるときに、ゲーテッドコミュニティーみたいなものはむしろ私は外して考えるべきじゃないかというふうに思いますが、石破大臣、いかがですか。

石破国務大臣 そのとおりです。

 ですから、CCRCの一つのCというのはコミュニティーなのであって、それがゲーテッドであってはならない、閉ざされた空間であってはならない。

 アメリカに二千カ所のCCRCがあるというのは、これはよく知られた話でありますが、どうも実情を聞いてみると、かなりシニアな七十代後半から八十代ぐらいの方が大宗を占めている、もう一つは、かなりリッチな方というか富裕層の方々が多いということであります。

 委員もあるいはシェア金沢というのをごらんになったかもしれません。あれは一度ごらんになることを私はお勧めいたしますが、そこへ行ってみると、決して富裕層ではない、国民年金に厚生年金を足したぐらいで十分生活ができるという方々であります。

 ですから、私どもの中で検討しましたときに、私は何度か申しましたが、そういう普通の方々、これはいろいろな定義があるんでしょうけれども、そういう方々、国民年金と厚生年金の受給者の方が十分に暮らせるぐらいのサービスというものが提供できるためにどのような仕掛けがあるだろうか。国が応援するからには、富裕層に限って応援するということは国の税金の使い方として私は間違いだと思っております。一般の方々が使えて、そして実際に活動していれば要介護になる率は低いんですよね。そういうものを目指してやっていきたいと思っております。

緒方委員 ありがとうございました。

 ともすれば、CCRCというと、増田寛也さんのレポートにもありましたとおり、地方の医療とか介護の供給能力が高いところに東京から人が移ってくるということで、我が町北九州もあの報告書の中にありましたけれども、ああいうところで名前が挙がると、うちの町は大丈夫かとむしろ心配になるわけでございます。

 そもそも、CCRCというものの理念についてお伺いしたいんですが、CCRCというのは、医療とか介護の供給能力が高いところに東京から人が移ってくる、そういうことをイメージしたものでしょうか、石破大臣。

石破国務大臣 別に高いことをイメージはいたしておりません。しかし、医療とか介護の能力が著しく劣悪なところというのは想定外でございます。

緒方委員 それで、CCRCを地方で検討するときに、これはうちの町じゃないんですけれども、あれっと思うことが時々ございまして、CCRCを検討するというと、まず一番最初に何からスタートするかというと、では病院をどれぐらい建てようかとか介護施設をどれぐらい建てようかとか、そういうどっちかというと箱を建てる不動産業みたいな方がCCRCの中核のところで議論をしているケースというのがあるんですね。

 これは厚生労働省にお伺いいたしたいと思いますが、CCRCを推進する観点で、医療施設や介護施設の新築、増築を過度に推進するようなことというのは、そもそもこの目的に外れているんじゃないかと思うんですね。厚生労働省の見解を伺いたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 生涯のまちの形成事業計画につきましては、市町村全体の介護サービスの整備方針も踏まえて作成することとなっております。

 したがいまして、市町村の意向に反しまして、事業者の意向に基づき施設偏重のサービス提供を進めることにはならないものと考えております。

緒方委員 ならないということでありましたが、実際には、CCRCを推進するということになると、私は、実は、先ほど言われたとおり、地域に溶け込むという観点がとても重要であって、既存のストックをフル活用するという視点でこれを進めるべきだ、そう思っています。

 先般、クローズアップ現代でも実は我が町が取り上げられまして、空き家をできるだけリフォームしてそこに戻ってきてもらう、これなんかはもう理想的ですね。そうあってほしいと思うんです。なので、既存のストックをフル活用することを大前提に置いた事業として、石破大臣、頑張っていただければと思います。

 地域に溶け込んでもらう観点から、例えばそういう空き家とかをリフォームして住みやすいようにして、そしてCCRCで戻ってこられる方が住んでいただけるようにするという観点から、我が町は、空き家の譲渡に伴う贈与税の免除というのを提案させていただいております。

 これはまだ、税にかかわる話でありますので、特区の中だけで処理していくことがなかなか難しいということはよくよく承知をいたしておりますが、多分、そういうふうに既存のストックを活用するやり方をするときに、やはり税のところというのは非常に重要だと思います。

 今、威勢のいい答弁をすることはなかなか難しいと思いますが、こういう空き家の譲渡をする場合の贈与税の免除について、石破大臣、いかがお考えでしょうか。

石破国務大臣 それは国税でございますので、特区になじむかどうかというのは委員がもう百も御案内のとおりであります。

 ただ、それをやることによって、私どもは町中型と申しておりますけれども、CCRCは、どこか山奥のそういうところにゲーテッドコミュニティーをつくるわけじゃありませんので、町中でまさしくそういうにぎわいを取り戻すようなときに、そういうことが可能かどうか、有効かどうか、国税だからだめですとばさっと切ってしまうのではなくて、来年度の税制改正におきまして、その効果もよく考えながら、政策誘導という面からも考えてまいりたいと思っております。

緒方委員 ありがとうございます。この件、よろしくお願いいたします。

 今後CCRCを進めるときに、はやりの言葉にはなっていて、生涯活躍のまちとかCCRCとか言葉が躍っているんですが、多分、まだ大半の方がよくイメージが湧かないのが、どれぐらいの規模感で行われるんだろうかということ。

 では、例えば我が町でいうと、五百人来ていただけるのか、千人なのか、一万人なのかとかいう規模感を国としてどうお考えなのかということがよくわからないので、何となく、美しくCCRCというふうに、横文字だし格好いいかなと思っているところもある、これがまず一つ。

 それともう一つは、やはり、先ほどから議論になっているとおり、介護、医療の負担が今後どうなっていくのかということについては、非常に気になります。

 退職されたシニアの方ですので、住民税については、均等割のところは多分払っていただけると思いますが、所得割のところはかなり少ないだろう。所得税ということでも余り期待できない、所得税は国税ですけれども。住民税とかいうことでも余り入ってこない。もちろん、資産を持っておられるのであれば、資産を持っておられることで消費活動をすることによって地域への貢献はあるかもしれない。

 そういったことを全部考えてみて、例えば、十年たったときに各自治体の負担がどういうふうに変動していくのかというのは、一定の条件を置いた上で、まず、例えば、六十五歳の方がこれぐらい、七十五歳の方がこれぐらいで戻ってこられれば、十年後にはこうなりますとか、そういう姿を見せてほしいなと。

 一定の条件を置いた上で推計を出していただいて、こういう感じになりますという推計を見せていくことがこの案件を進めていく上で非常に重要ではないかと思いますが、石破大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 全くそのとおりです。

 ですから、建てればいいという話でも全然ありませんので、そこへどういう世代の方々、つまり、同じ年代の方にまとめてお入りいただくことになると、同じ時期に、天寿満つるというか、あるいは要介護になるというか、そういうことが起こりかねないわけで、どういう年代の方々に入っていただくか。あるいは、年金収入というのは自治体にとってみれば相当のものでございまして、特に地方の自治体では、年金を持っているお年寄りがお使いになる消費というのは相当のものですから、そこをどう考えるか。

 おっしゃるとおり、五年先、十年先、十五年先までサステーナブルかどうかということは、今、多くのところから手が挙がっていますけれども、こういうプラチナタウンみたいなもの、きらきら輝いて楽しいな、いっときの夢では仕方がないので、十五年、二十年サステーナブルかどうかということはよく検証していきたいと思っております。

緒方委員 規模感とそういう将来像というのは内閣府の方でぜひ見せていただきたいということをお願いさせていただきまして、四十分、実は用意した質問の半分ぐらいしか終わらなかったんですけれども、終えさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、柿沢未途君。

柿沢委員 柿沢未途でございます。

 石破大臣は、自民党政権における次の総理の呼び声も高い、そういう方だというふうに思います。御自身もその意思を公にしておられるわけであります。そして、憲法や安全保障といった国家の根幹にかかわる事項について、国政に携わる政治家が見識を持つことの重要性について深く認識されている方とお見受けしております。

 そこで、大臣所信質疑の時間を使って、石破大臣の御見識をお伺いしたいというふうに思います。

 まず、憲法についてであります。

 憲法についての考え方の一つとして、国家権力を縛るものだという考え方がありますが、しかし、それはかつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的考え方であって、今まさに憲法というのは、日本という国の形、理想と未来を語るものではないか、このように思います。これは、二〇一四年二月三日、予算委員会での安倍総理の答弁であります。

 国家権力を縛るものだという憲法の考え方というのは絶対王政のころの考え方である、こういうお話なんですけれども、私は、これは近代の立憲主義の考え方を理解しておられないのではないか、こういうふうに感じます。憲法というのは、やはり、国家権力から個人の基本的人権を守るために主権者である国民が制定をする、こういうものであって、近代立憲主義の憲法というのは、個人の権利、自由を確保するために国家権力を制限することを目的とする、これが基本的な近代立憲主義の考え方であると思います。

 しかしながら、最近の憲法改正をめぐる議論の中においては、そうした個人の自由というものよりも、むしろ国民の義務ということについて力点を置いてこの憲法改正を議論する、そういう向きが強まってきているように感じます。

 例えば、保守派の言論人として知られる桜井よしこ先生がこう言っておられます。日本国憲法第三章を見ると、国民の権利及び義務が書いてあるわけですけれども、こういうところの章であるにもかかわらず、権利が出てくるのは十六回、自由と出てくるのは九回、しかし、義務というのは三回しか出てこない、義務は果たさなくていいですよというのがこの憲法なんですと。

 結果として、権利を強調し過ぎて、国民の義務というものが軽んじられているのではないか、こういう立場から憲法改正、見直しを提起される方々が多くなってきているようにも感じます。

 こうした今の議論の状況を御紹介させていただいた上で、石破大臣の憲法に対する基本的な考え方をお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 所管外のことでございますので、その点はお断りをした上で、答弁をさせていただきたいと思います。

 私自身が、御尊父にも大変お世話になりましたが、自由民主党というものに属しているのはなぜなのかといえば、それは憲法改正を党是とする党だからであります。ですから、私は、党を移ったこともございますが、そのときも、常に何を基準として移ってきたかというと、憲法でございました。

 やはり、主権を回復していないときにできた憲法でございますから、主権を回復したからにはそれにふさわしい憲法をつくるという我が党の立党の党是というものは、これから先、成就に向けて努力をしなければならぬと思っています。

 やはり、基本的人権でありますとか、平和主義でありますとか、国民主権でありますとか、そういう絶対に侵してはならないものは普遍だと思っております。そして、立憲主義というのは、今委員が御指摘のように、権力を縛るものであると同時に三権分立というものもそれにおいて重要な役割を果たすものだと思っております。司法、立法、行政というものが三権分立の中でどのように相互に牽制を果たすかということも立憲主義の重要な要素であるというふうに認識をしておるところであります。

 義務が少なくて権利が多い、それは事実からすればそうなんでございましょう。問題は、基本的人権、例えば言論の自由とか、結社の自由とか、あるいは集会の自由とか、思想、信条の自由とか、そういうものを守ってくれるのは一体どこでしょうかということでございます。国民が享受をする権利や自由というものが侵されたときに、そのような侵害を排除するのは国家以外にございません。その国家が崩壊してしまったら一体誰が国民の基本的人権を守ってくれるのかということについての議論が余り十分ではなかったのではないかと思っております。

 常に憲法改正のときに議論されるべきは、国民一人一人の権利や自由というものを誰が守ってくれるか、その守ってくれるというものが決して崩壊することのないために何をするかということであって、主権者たる国民、そういう権利あるいは自由というものを守っていくためにどうすればいいかということの議論。

 ですから、手段として義務は論ぜられるべきであって、まず義務が前に出てくるわけではありません。何のための手段たる義務であるのかということ、それは国民の権利と自由を保全するためだと私は認識をいたしております。

柿沢委員 まさに国民の権利と自由を担保するものとして、近代立憲主義のもと憲法が形づくられてきた。しかしながら、その国民の権利と自由を守る最大の力を発揮しなければいけないのは国家の存在である、このバランスの中に憲法というものがあるということは私も理解をするところであります。その一方で、やはり時代の変化によって、その力点をどっちに置くかということは時代の変遷によって揺れ動いてきた、こういう経過があると私は思います。

 まさに自民党の先輩総理であります宮沢喜一総理は、戦争の体験を踏まえてこう言い残しておられます。

 自由は、ある日突然なくなるものではない、それは目立たない形で徐々にむしばまれ、気がついたときには全てが失われる、そうした過程でなくなっていくものであると。物心ついてから成人するまで、思えば長い灰色の時代でした、しかし今、当時を回想して、戦争中の苦労や食べ物のなかったつらさなどはほとんど覚えていない、ただ一つ、年とともに自由が圧迫されて、ついに全く死滅するに至ったその苦しさ、それをどうにもできない憤激だけが、きょうも忘れることができません、再び歴史の魔性に引きずられることがないために、我々は憲法の言うように不断の努力をもって自由を大切にし、日本社会の活力を守ろうではありませんか、こういうことを宮沢喜一総理は著書に書き残しておられます。

 今、こうした時代の方々がだんだんだんだんこの世を去っていかれて、一方で、国家の存立や公の秩序のために個人の自由を制限しなければいけない、こういう必要性を強調する傾向が強まってきているのではないかと感じます。

 そういう意味では、まさに、先ほど近代立憲主義のお話をさせていただきましたけれども、このバランスを欠いたような議論で突き進んでいってしまってはならないということを私はこのタイミングで大変強く思うところであります。

 加えて申し上げれば、先般、予算委員会で、麻生副総理に対しまして、かつておっしゃられた、ワイマール憲法がいつの間にかナチス憲法に変わっていた、このナチスの手口に学んだらどうかね、こういう御発言について取り上げさせていただきました。

 私が一番問題だと思うのは、その言っていることの危険性だけではありません。そもそも、ワイマール憲法がナチス憲法に変わった、こんな歴史的な経過はないんです。ナチス憲法などというものは歴史上存在していないんですよ。ワイマール憲法の四十八条の大統領緊急令、この条文を使って、結果的に国会議事堂放火事件を契機として全権委任法の成立をさせて、その上でナチス独裁が完成をしていった。ワイマール憲法のもとで、憲法改正なしにナチスの独裁は完成しているわけであります。

 私が申し上げたいのは、総理や副総理といった方々が、近代立憲主義あるいはナチス独裁の経過、こういう歴史的な事実について余り十分な知識を持ち合わせているとは思えない状況の中で、戦後レジームからの脱却とか、こういう情念に突き動かされて憲法改正に進んでいく、こうしたことについて私はいささか危惧を覚えざるを得ないと思っております。

 このことをまた前置きで申し上げさせていただいた上で、自民党は憲法改正草案をまとめられているわけであります、その取りまとめの過程において、石破大臣は自民党政調会長を務められていたと思います、決定した時期はもう政調会長でなかったと思いますけれども。そういう意味で、この自民党憲法草案、今まさに掲げられている憲法草案について、石破大臣はどういう評価をされているかということについてお伺いをしたいと思います。

石破国務大臣 改正草案は、あくまで草案でございます。総理が答弁をいたしておりますように、これを自由民主党として国会に提出する、それはどのようなプロセスをとるかというのは党内で議論のあることでございます。そして、それをどのようにまた国会の中で御議論をいただき、国民に対する発議までいくかというのも、これは国会に全て委ねられたことでございます。私が今の立場で憲法改正草案について云々することは、決して適当ではありません。

 ただ、私自身、御指摘のように、政調会長でもございました。また、起草委員の一人も務めております。そこにおいては、先ほど申し上げました日本国憲法の三つの大事な原則というものは絶対に不変なものであるということ、そして、国民一人一人の幸せを実現するために政府というものは存在をしているということだと思っております。

 私は、委員が昔勤めておられました会社がつくりましたところの「映像の世紀」を見るのが非常に好きだというか、暇があればあれを見ている人間でございますが、あのワイマール憲法が提出されるに至ったときの映像というものは、やはり私ども常に見ていかねばならないものだと思っております。あれだけ英明なというのでしょうか、理知的なというのでしょうか、冷静なというのでしょうか、論理的なというのでしょうか、ドイツ国民がなぜあのように変わっていったかということは、我々よく認識をしていかねばいけないことだと思っております。その点は総理も副総理もよく御認識の上で、この憲法の議論には発言をしておられるというふうに私は承知をいたしております。

柿沢委員 期せずして、私が繰り返し繰り返し見ている同じ番組を御紹介いただきましたけれども。

 本当に、この二十世紀の歴史というものを振り返って、なぜあのような戦争が起き、そしてナチスに対するドイツの国民の熱狂があったのか、そして独裁制を進んで迎え入れるような社会状況が生まれてしまったのか、これは経済的な要因も実は背景にあるわけでありますが、そうしたことを私たちは歴史から学ばなければいけないと私も思います。

 自民党の憲法草案について、全部やりたいということを安倍総理は先日予算委員会でおっしゃられておられました。私は、この内容を見ていると、やはり、先ほど懸念をしたような、国家権力による統制色を前面に押し出した内容になっているというふうに受け取っております。

 例えば、きょう資料でお配りをさせていただいた言論の自由のところでありますけれども、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」、日本国憲法二十一条の文言に第二項というのが追加をされていて、「前項の規定にかかわらず、」ということが書いてあって、その上で、時の政権が公益及び公の秩序を害すると認めれば言論の自由を制限することができるようになってしまう。

 参考までに、同じペーパーに、戦前の治安維持法の条文を示しておきましたけれども、どんな結社を、どんな活動を制限するかはともかくとして、私は、言論の自由に対する制限の一歩手前なんじゃないかと、この条文を見て大変恐ろしいものを感じます。こんな憲法改正をやるのであれば、私はやらない方がましだと思います。

 石破大臣も、四日の記者会見で、この自民党憲法草案について、実際に国会で発議する場合には一工夫、二工夫あるだろう、こういうふうにおっしゃられています。とすると、全部やりたいと言う安倍総理とは若干ニュアンスが違うのかな、条文次第によっては、それは採用しない、国会での発議に付さない、こういう選択をされることがあり得べしということを考えておられるのかと思います。

 どんな考え方をお持ちであるのか、記者会見での御発言でありますので、ぜひ真意をお伺いできればと思います。

石破国務大臣 これは、総理が常に答弁をされておられますように、決めるのは主権者たる国民でございます。そして、衆参の総議員の三分の二という非常に高いハードルを持っておるわけでありまして、多くの方々のコンセンサスが得られるものでなければ、実際に改正ということはできません。

 そうすると、やりやすいということは申し上げませんが、何ならば一番多くの方の御理解がいただけるだろうか。もちろん、練習問題みたいな、そんな失礼なことを言うつもりはありませんが、憲法ですから、それぞれの条文が重大な意味を持っております。どれであれば多くの国民のコンセンサスを得る形で、その前に、総議員の三分の二の理解を得られる形でどの条文を取り上げていくかということは、今後のお話し合いなんだろうというふうに思っておるところでございます。

 当然のことでございますが、前に自民党で議論いたしましたのは、フルセットで、さあ、この条文はどうですかということは無理だと。Aは賛成だがBは反対だ、何々条は賛成だが何々条は反対だということを意思表示しようと思うと、これは大変なことでございますから、やはり、一つかもしくは幾つかをセレクトして、国民の前に国民投票として発議をするという形になるんだろうと思います。だとするならば、一体どれを優先してやるべきかということは、これから先の国会の御議論次第でございます。

柿沢委員 石破大臣は、今お示しをさせていただいたこの憲法二十一条二項の追加のような改正も望ましいというふうに思っておいでなのでしょうか。

石破国務大臣 それは、私がここでお答えをすることではございません。

柿沢委員 では、私自身の憲法についての考えもお話をさせていただきたいと思いますが、つまりは、憲法九十二条の地方自治についてであります。これは地方創生にもかかわる話だと思います。

 現行の九十二条は、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」と、国と地方の関係についてほとんど何も言っていないに等しい、こういう条文になっています。

 私は、これまでの依存と分配の中央集権型の国家モデルにかわって、やはり自主、自立、自由を基本とした、道州制を視野に入れた分権型の国家モデルに変えていくべきだと思いますので、それが石破大臣の唱えられている地方創生にもかなう、こういうものだというふうに思っています。

 したがって、国は、やはり国しかできない仕事に特化をして、地方ができることは地方に任せる、ニア・イズ・ベターといいましょうか、補完性の原理、こういうことを憲法九十二条に盛り込んでいく、そして、それをもって地方自治の本旨とする、こういう改正が国のあり方を規定する上でも望ましい憲法改正のやり方ではないか、こういうふうに私は思います。

 同じことを掲げている党派は実は結構多くありまして、そういう意味では、憲法九十二条、自民党憲法草案にも書かれておりますけれども、そういう方向性での改正をこの地方創生、地方の自主、自立、自由を推し進める形で行っていく、こういうことについて御所見がありましたら、お伺いをさせていただきたいと思います。

石破国務大臣 それは、我が党として、道州制は憲法改正を経ずとも可能であるという立場におります。しかし、これはもう私のかねてからの持論ですが、国は外交、安全保障、財政というものに特化して仕事を行うべきである。それはニア・イズ・ベターであるに違いないのです。ただ、そこへ至る過程というものの議論が煮詰まらないままに道州制は是か非かみたいな、そして基礎自治体はみんな反対である、そうするととても無理だよねという状況からいかにして脱していくかというお話をしていかなければならないんだろうと思っています。

 仮に道州制を導入するとしたら、国会というのは一体どういう権能を果たすようになるのかというお話もほとんどなされていない。やはり、ではこういう場でもいいです、道州制導入の暁には国会はどうなるのか、道議会、州議会はどうなるのかということについて議論をさらに進めていかないと、このお話はいつまでたっても成ることではございません。

 私ども国会のまねをするつもりはございませんので、政府として意見を述べよと言われれば、それは述べる義務があるだろうというふうに思っております。ただ、議論の主体はあくまで国会において行われるべきものであります。

柿沢委員 今、道州制に関するお答えを何か特定していただいた形になってしまいましたけれども、私は、合意を形成する上でも、また、日本の国の形を考えていく上でも、基本的に、補完性の原理、そうした考え方、国と地方の役割分担、この考え方については石破大臣も同じ思いを今御答弁いただいたと思うんです。

 そこの部分について、「地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」、この事実上何も言っていない憲法の規定をやはり見直していく、こうしたところから憲法改正の議論を行っていく方がむしろ生産的なのではないかというふうに思うんです。

 後続の篠原議員から、少し時間が食い込んでもいいですよと言われていますので、ちょっと続けます。

 石破大臣、そういう考え方で憲法改正に取り組んでいく、これは石破大臣としてはどうお考えですか。

石破国務大臣 それは、国務大臣としてお答えをすることではございません。

 私は、地方自治の本旨というのは、委員がおっしゃるように、何だかよくわからないわけです。いろいろな物の本を読んでみると、結局、団体自治というものと住民自治というものに二分をされるのだ、団体自治の観点からいえばそれがまさしく地方分権なのだ、ところが、住民自治のところからいきますと一体これは何なのだ、住民自治をさらに深めていくというのは何なのだという議論が今なお十分ではないと私は思っております。

 地方自治の本旨がそういうふうに二つに分かれるとするならば、団体自治の拡充は地方分権でできるけれども、住民自治のところは、去年統一地方選挙をやってもあれだけの低投票率であるということをどう考えたらいいのだろうか。

 つまり、福田議員の御議論にもありましたが、結局、経営者を選ぶ住民自身が何となくお客様みたいな感覚でいるのはなぜなんだろうか。民間企業でいえば、社長が誰でもいいなんということを言ったらとんでもない話であって、だけれども自治体の経営者が誰でもいいと言うことに等しいわけですよね、これだけ投票率が低いところを見ると。やはりそれは、無関心なのがいけないとかそういうお話じゃなくて、何がそういうふうにしてしまったんだろうかという問題があるんだろうと思います。

 これは、住民が無関心なのが悪いとか言っていたらば何にも始まらない。ですから、そういう地方自治なるものを、ニア・イズ・ベターというものを実現する方策はいろいろあるのであって、道州制はその一つの手段だと思っています。

 道州制を導入しなくてもニア・イズ・ベターというものを実現するためにどうすればいいかというお話を、さらに憲法論まで昇華させなければならないのか、今の仕組みの中でまだ改善するべき点は可能なのかという点をきちんと議論して、いつまでも議論だけしていても仕方がないので、それが憲法改正までいかなければ変わらないということの得心を多くの議員が得たときに、三分の二による発議というものが行われるという論理構成になるんだろうと思います。

柿沢委員 最後の質問をさせていただきたいと思います。自然エネルギーと地域活性化についてであります。

 二〇一三年にドイツとデンマークを見てきました。農村部でのバイオマスの熱電併給が盛んに行われております。

 デンマークでは、電力供給のうち熱電併給のコジェネが盛んに行われていました。その占める割合は六三%に二〇一三年の時点でなっているということでありました。その燃料の六五%は再エネ、特にバイオマスであります。ドイツも、二〇〇五年のユーンデ村というところの取り組みを先駆けとして、今や小規模なバイオマスのコジェネのプラントが全国に七千五百カ所あるということであります。

 資料の二枚目の紙に「「バイオエネルギー村」のしくみ」というのをお示しさせていただいていますけれども、住民合意に基づいて計画を進めて、地域暖房のパイプラインの導管のネットワークを各戸に全部敷設して、その上で設置費や運営主体となる協同組合への出資金など、住民がそれぞれ五、六十万円を負担したということであります。

 その上でできたプラントで、牛や豚の家畜の排せつ物でバイオガスを発酵させて、それを燃やして発電する、そして地域熱供給のコージェネレーションを行う。残りかすは肥料として使用する。こういうことを各地で、このユーンデ村を嚆矢として取り組んでいるわけであります。

 農村の住民の皆さんがエネルギーの消費者だけではなくて供給者になって、プロデュースとコンシュームでプロシューマーといいますけれども、村の消費量の二倍の発電量、そしてこれを売電して、その収入や地域暖房の利用料で年間売り上げ一・四億円、黒字経営をしているということであります。農業とエネルギーのダブルインカムになっているわけであります。このわずか人口一千人のユーンデ村で始まったバイオエネルギー村の取り組みも、瞬く間に今や百四十カ所に広がっている、こういうふうにお聞きをしました。

 これを今我が国でも実現できるような仕組みを、民主党、統一会派の同僚議員の皆さんが議員立法で提案しようとしております。私も本当に心から大賛成であります。

 これについては、かつて震災復興の特別委員会で御質問させていただいたときに、当時の平経産政務官に御答弁をいただいています。このユーンデの例は大変参考になる、そして、地域金融機関の預貸率が大変低いところがあって投資先がない、こういう中でエネルギーが全部県外に流出してしまっている、こういう状況下において、地域で雇用を回し、エネルギーを回して、そして資金を回していく、これは大変重要で、パッケージでやるべきことだと思う、こういうお答えをいただいています。

 バイオマスが端的な例ですけれども、自然エネルギーというのは、その資源が全てと言っていい地方にあるわけです。地方の、まさにこうしたプロシューマーとしての、農業とリンケージしたバイオマス等々の自然エネルギー及び熱供給を行っていくこと、このことによって地方の経済の活性化につながっていくのではないかと思います。

 こうした方向性を地方創生の一環として強力に推進していく必要があると私は思いますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。

石破国務大臣 今まで、地方創生の観点から申し上げましても、合計百二十の再生可能エネルギー関連のプロジェクトを交付金を通じて支援してきたところであります。

 私もこの問題には大変関心がありまして、円が高いと言っては国が潰れると言って大騒ぎをし、円が安いと言っては大変大変と言って大騒ぎしというのはどういうことなんだというと、食料とかエネルギーとか国家生存の上において必要なもののほとんどを外国に依存しているからこんなことになるのであって、やはり、全てを自国で賄えとは申しませんが、できる部分がたくさんあるにもかかわらず、そこを怠ってきた部分がたくさんあるのではないかという認識を持っています。

 真庭市というものが岡山県にございますが、これが一つの優良事例なんだろうと思っています。

 このモデルというものも真庭市はかなり似ておりまして、私は、真庭市長とともに、昨年の八月末から九月の初め、二泊四日なんという大変な日程でしたが、オーストリアに行って視察もいたしてまいりました。

 そこは、いわゆるCLT、クロス・ラミネーテッド・ティンバーという新しい木材加工の技術を使って五階建て、六階建て、七階建ての木造建築を建てるという。そこも真庭市が中心となって、同じような取り組みは高知県でも進んでおりますが、やられているところでございます。

 このモデルはそのとおりなのですが、かてて加えて、ここにおける森林の持続可能性というものも、やはり私は要素として入れていかねばならないことだと思っています。

 オーストリアに行ってお話を聞きましても、真庭に行ってお話を聞きましても、確かにタンクローリーで木材のチップが走っていて、真庭はまだそういうことはありませんが、油のかわりにそういう木材チップがざらざらと出てきて、それで冷暖房もなされているというふうな、すごいすごいという話なんですけれども、それだけで成り立っているわけではない。

 要は、その地域において、森林でありあるいは畜産であり、そういうものがどうやって循環していくかというシステムをつくることが一番大事なんだろうと思っています。

 今、日本においてかなりそのシステムが壊れているところがあって、サステーナブルではない地域というものは衰退をしておるわけでございます。それは自然でもそうですし、実はお金でもそうなのですよね。地域においてどのようにお金が循環しているか、循環していなくても、どんどん出ていくばかりのところが衰退をしているわけで、地方創生のキーワードというのは、このエネルギーの面においても経済の面においても、いかにしてサステーナビリティーを担保するかということであり、この取り組みは政府としても全面的に支援をしていくべきものだと考えております。

柿沢委員 地域熱供給はパイプラインを敷設するということになりますので、これは、既成の市街地に後からインストールすることは、合意形成の面も含めて極めて難しい面があります。だからこそ、熱を捨てる、結果的にエネルギー効率は日本が悪くなってしまっている、こういう要因にもなっているわけです。

 しかし今、日本に、一から、ゼロから市街地をつくり直している場所があります。三月十一日、あの津波で全てが失われてしまった東北の被災地であります。

 東北の被災地では、今、特にかさ上げなどのところが大体めどがついてきた。これから市街地をつくり直そうというところでありますから、私は、震災被災地を一つのモデルとして、このバイオエネルギーを核としたプロシューマー型の農山漁村のエネルギー供給と地域熱供給、これを、モデルとして取り組みをぜひ行っていただきたい。石破大臣、大変意識を持っていただいているようですので、ぜひその推進役としてこれからも御活躍をいただきたいと思っております。

 篠原議員の時間を少しおかりさせていただきましたけれども、質問は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

山本委員長 次に、篠原豪君でございますが、柿沢未途君の超過した分は調整した上で質疑をお願いします。

 篠原君。

篠原(豪)委員 維新の党の篠原豪でございます。

 昨年に引き続きまして、当委員会でお世話になります。よろしくお願いいたします。

 本日も、お伺いしたいことがたくさんありますので、どこまで伺えるかわかりませんけれども、御答弁の方もなるべく簡潔に、簡素にやっていただければと思います。

 さて、地方創生については、石破大臣が平成二十六年の九月に就任して以来、一年半になります。この間、地方創生が全国に浸透しているのかどうかといえば、まだ一年半、それはどうかというふうに思います。地方の声を聞けば、やはり景気回復の実感がまだまだできないし、東京圏への一極集中の是正、地方での若者就労支援、結婚、子育てに希望を持てる環境づくりの実現などを掲げてきていますけれども、大臣所信にもありましたように、東京圏への人口の集中がむしろ加速度を増している。その中で、合計特殊出生率も九年ぶりに低下に転じるなど、現実はなかなか、大変厳しいものだというふうに思います。

 そこで、初めに、大臣、この地方創生の困難さをいろいろともしかしたら痛感されているかもしれませんけれども、一年半を振り返って、どういうふうに総括をなさっていて、またこれからどのようにこのことについて挑んでいこうというふうに思っていらっしゃるのか、お伺いいたします。

石破国務大臣 戦後七十年、連綿として一つの国家モデルでやってきたわけです。ですから、日本国じゅう同じように栄え、同じように衰退をしてきたということでありまして、こういう例は世界じゅう余り例がございません。だとすると、これを変えていくというのが一年や二年で魔法みたいにできたら大変なことでありますが、ここは意識改革をやっていかねばいかぬのだと思います。

 今まで、私の鳥取でもそうですし、宮崎でもそうですし、大分でもそうかもしれませんが、地方が栄えた十年間というのは昭和四十年代から五十年代にかけてあって、それは公共事業と企業誘致によるものでしたから、それと違うものをつくっていくというのは大変なことだと思っています。

 ですから、その意識改革というものが始まってきた。全然無関心の市民と、やりっ放しの行政と、頼りっ放しの民間があったらば地方創生は絶対失敗するのであって、そうではいかぬということで、高齢化率が下がり始めた、あるいは移住者がふえた、出生率が上がったというところが現に出始めています。そういうところを私どもはきちんと見ていくべきではないだろうか、国が手とり足とりということではこれから先はやっていけないというのが私の実感であります。

篠原(豪)委員 私も、本当に大きな社会構造の転換の中において、一年や二年ですぐに結果が出るようなものだというふうには思っていません。

 おっしゃるように、今まで国が上からいろいろな事業あるいは規制も含めていろいろとやってきた中で、そこからいかに脱却をさせていって、本当に地方の声を、さっきもありましたけれども、補完性の原理という言葉もありました、ボトムアップ型のガバナンス原理をいかに働かせていくか、道州制かどうかというのは別に置いて、やはりこれは真剣に考えていかなければいけないんだろうと思っています。

 その点に関しては、やはり国も大臣がしっかりとやっていただくということであれば、地方もいろいろと同時に頑張っていかなければいけない。本当に、二十一世紀の国づくり、地域づくりというのをこれからどうするかというのは、一生懸命どっちも同時にやらなければいけないというふうに考えていますので、しっかりとこれからも頑張っていただきたいというふうに思っております。

 その中で幾つか気になる点がありますので、お伺いをしてまいります。

 大臣所信の冒頭で石破大臣は、歴代内閣の今までの取り組みについて、時代時代においていろいろなものがあったというふうに取り上げられています。具体的に言えば、日本列島改造計画、田園都市構想そしてふるさと創生などについて、それぞれの時代でそれぞれにそれなりに意義があったんだろうというふうに評価されているんだと思います。現在と当時では置かれている状況が違うので、過去の延長線上の政策はもはや通用しない、これは変えていかなければいけないというふうにしています。

 この点について、平成二十六年九月のまち・ひと・しごと創生本部の初会合で決定された基本方針においても、「従来の取組の延長線上にはない次元の異なる大胆な政策を、中長期的な観点から、確かな結果が出るまで断固として力強く実行していく。」というふうにしています。

 地方はこの「従来の取組の延長線上にはない次元の異なる大胆な政策」という部分に大いに期待をしていたというふうに聞きます。ですが、今では、我々の期待に応えられるような大胆な政策が打ち出されているとはなかなか言いがたいとして、その期待が急速にしぼんでしまっているという声も一方であるというふうに思います。

 そこで、まず、これまでの取り組みで、「従来の取組の延長線上にはない次元の異なる大胆な政策」として具体的に進められている政策があるのであれば、お示しいただきたいと思います。

石破国務大臣 例えば、中央省庁の地方移転というものは今までやったことがない。竹下内閣のときにやりましたが、あれは東京中枢の地価上昇の抑制ということが政策目的で、ほとんどが横浜ですとか大宮ですとかそういうところへ行った。中央省庁の地方移転。

 あるいは、企業の本社機能。これは拡充型、分散型がありますが、その税制措置というものを今までやったことがない。

 そして、新型交付金というものを法的に担保する。それは国会で御審議いただくことでございますが、これも今までやったことがない。

 あるいは、企業版ふるさと納税。ふるさと納税というものも、初登場のものでございます。

 あるいは、RESASシステムというものをどれだけの自治体において御理解いただいているか、それは私も確たる答えを持っていませんが、人、物、金がどこから入り、どこへ出ていくのか、どんな人であり、どんな物で、どんな金であるかというのがわからなくて、そこの町が発展するということがあるんでしょうか。

 今までと違う大胆な政策、国からもっとがんとお金が来るとか、そういうようなものを期待されているとするならば、そのようなことはできません。国家財政はそのようなものを許しません。だけれども、それとは違う観点で、人、物、金がどこから入り、どこへ出ていくかということをきちんと分析しないままに町の発展を図るといっても、それは経験と勘と思い込みによるものにしかすぎないのではないでしょうか。

 ですから、委員おっしゃるように、御批判をされる向き、失望したぞというふうにおっしゃる向きはあります。だけれども、これを俺たちは待っていたんだとおっしゃる方も少なからずおられます。そこは意識の違いなのであって、私は今のやり方をこのまま進めていく。もちろん、直すべき点は直さねばなりません、改めるべき点は改めねばなりませんが、私はこの方向におおむね間違いはないと思っています。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 昨年はこういったお話を大臣に質問すると、KPIの設定だとか数値目標をどういうふうに見せていくのであろうか、こういう話をよくされていました。これは去年の段階では大胆な政策の転換ということには、それは目標数値であって、そこは当たらなかったんだろうと考えておりますけれども、今のお話を聞きますと、考え方も少しずつ、だんだんと変わってきているのかなと思いますし、こういったことはやはり簡単にできることではない中で、人、物、金、こういったものが今までの考え方と違う中で、後ほど時間があればRESASについても少し触れさせていただきたいと思いますけれども、本当に期待しているのは、国から本当に出るのかどうかというのもなかなか難しい、でも、少しずつでも、先ほど意識の改革だというふうにおっしゃっていただきましたけれども、そういったところにつなげていただきたいというふうに思っています。

 次に、少し飛ばしまして、地方版総合戦略についてお伺いをいたしたいと思います。

 大臣所信でも、地方創生は計画段階から本格的な実行に入るとしています。

 これは、二十七年の十一月十日に発表された、地方版総合戦略がありますけれども、十月末までの策定状況をあらわしたものであります。これを見ますと、今年度中には、三つの市区町村を除いて、ほぼ全ての地方公共団体で策定される見込みとしていました。ただ、これは十月段階のものでありますので、見込みではあるかもしれないけれども、実際にはできていないかもしれないし、あるいはふえたかもしれない。

 こういったことで、この調査後に、今、新たな施策の策定状態というのは把握されているのかどうかについて、まずこれをお伺いします。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 地方版総合戦略につきましては、今年度中に策定をしていただきたいとお願いをしているところでございますので、近く、三月末時点での策定状況の調査を行いたいと考えております。

篠原(豪)委員 ということは、十月末現在の数値以降は今は把握していないということで、これからだということは理解しました。今後ちゃんと調査をしていくということでしょう。

 ここで気になるのが、この策定状況についてです。実は、政府は平成二十七年度中の策定を要請した。これは、今まさにおっしゃったように、今年度末でしっかりと考えるということでございますけれども、この策定状況を見ますと、十月末までに策定した団体が四割以上あるんですね。その理由というのは何だったのかということを、まず大臣にお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 総合戦略をつくっていただきますということは、おととしの秋の時点から申し上げておりました。これが法律となりましたのはおととしの末、総選挙前のことでございますが、そういうものをお願いしますというアナウンスをかなり早くからいたしておりましたし、総選挙におきましてもかなりこのことは強調させていただきました。

 そうしますと、それぞれの町村によって違いはあるんでしょうけれども、第何次何カ年計画というのをつくっていませんというのは世の中で聞いたことがないわけであって、そういうベースになるものはあったんだと思います。

 そして、自治体において、昨年の九月に定例議会が終わったというタイミングがございました。そうすると、地方創生は待ったなしでありますので、これが締め切りを待たずして、議会の御審議を経て、あるいは産官学金労言と言っておりますように、多くの方々の議論を経てできたのが、一つの区切りが九月の末であったということだと思っております。

 そして、それを適切に自治体の施策に反映させるためには、早いは早いにこしたことがない、それが粗製乱造にならないようにというような配意は十分なされたものと考えております。

篠原(豪)委員 ここは、考え方がいろいろあるんだと思います。

 地方創生先行型交付金、これは平成二十六年度補正予算の上乗せ交付金というものがありまして、この地方版総合戦略の先行策定分の条件が、平成二十七年の十月末までに地方版総合戦略を策定した団体というふうにされていまして、これを策定いたしますと一千万円もらえるということになっていました。

 この一千万円をもらうためには、地方創生先行型交付金の上乗せ分の交付は、八月中旬までに実施計画を提出して、今示しました、十月末までに地方版総合戦略を作成するという条件であったため、多くの県や市町村が無理をして地方版総合戦略を策定したのではないかというふうに考えています。

 もちろん、人口減少の克服や地方創生は喫緊の課題であり、これはスピードというものも求められる、それはあるんだと思います。しかし、地方版総合戦略は地域の将来を描く大切なものであるはずなのに、交付金の条件となっていたことで、内容よりも十月までに策定すること自体が目的になって、相当無理をして策定した自治体が多いという声を聞いています。

 本来、地方版総合戦略の策定については、最も大事なことは、地方自治体が地域住民や地域の企業などと課題を共有しつつ戦略を策定していくプロセスが大事、その結果策定された戦略の内容がそこでついてくるんだろうというふうに考えています。

 この観点から、こういった声が実際あるというふうに聞いていますので、地方創生先行型交付金の上乗せ交付分において十月末までの策定を条件としていた、これについては、間違いというのかわかりませんけれども、やはり問題が多少なりともあったんじゃないかと思います。このことについて、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。

石破国務大臣 それはやはり、お客様は地方ですから、いろいろな御批判があるとすれば虚心坦懐に承らなければならないと思っています。

 ただ、私どもとして、一千万円が欲しければ十月末までにとか、そういうさもしいことを言ったつもりは全くございませんで、それぞれの自治体において総合戦略をおつくりいただく、それを実行に移すとなればそれなりの財政需要は生ずるだろうというふうに考えたところでございます。

 また、私もこの役を拝命しましてから大体毎週ごとに幾つもの市町村を回っていますが、議論が煮詰まっていないところもないとは私は言いません。ですけれども、条件が不利なところで、まさしくその町長さんや議員さんのみならずいろいろな方々が集まって、中学生まで一緒になってかんかんがくがくと議論をして一生懸命、言うなれば手づくりの総合戦略をつくってきたというところもあります。

 ですから、十月が一つの区切りだからとにかく急いで何かつくろうというところもあったんでしょうけれども、本当に一生懸命一生懸命積み上げてきたところはそれなりに立派な総合戦略ができているというのが私の実感であります。

篠原(豪)委員 そういうところもあるんだと思います。しかし一方で、そうでなくて、やはり正直なところ、内容よりもこの交付金をもらうんだ、これもあるんだと思います。実際、そういうふうにする自治体が多かったというふうに聞いています。

 もう一度申し上げますけれども、これは何で十月の時点で策定をしたら一千万円、そうじゃないときは全くそれがないということになるんだとすると、やはりスピードが大事だというふうに考えたのではないかと思いますよ。それは確かに大事なことだと思います。

 しかし、結局、これは先ほど大臣がおっしゃいましたけれども、従来型の、この時点でこういうことをすれば国からこの交付金がぼんとおりてきますよ、今までのやり方と何か違うんですかとなったときに、結果として、これは実際に起きたことなので、今後どうするかという話にこれをつなげていかなければいけないと思います。

 その課題について、やはりそのプロセスが重要だというところ、地域の共通課題を地域の方々が共有してやっていく、今大臣はこれが大事だとおっしゃっていましたので、やはりここはもう一度、何か考えることがあるのであれば今後しっかりと検討していただきたいと思います。

 被災地において、先ほど三・一一の話がうちの柿沢委員からありましたけれども、もう一つ、この十一日にもう五年になりますので、お伺いしたいことがあります。

 政府は、東日本大震災の被災地に対しても画一的に二十七年度中の地方版総合戦略の策定を求めたと聞いています。その結果、被災地では、復興事業の推進に職員が手いっぱいで、地方創生に対応する人員が絶対に不足しているのでなかなか難しい、そういう声もありました。これは報道にもありました。

 そこで、また地方版総合戦略の策定について、とりわけ被災地におけるこの策定においては何らかの配慮をしっかりと行ってやってきたのかどうか、このことについてお伺いをいたします。

石破国務大臣 これは当たり前の話で、被災地ですから一律一割乗せとか、そういうべた配りのお話には全然ならないものであります。

 被災地ですから、人もいなくなってしまった、行政職員も減ってしまった、多くの地域から応援を得ているという状況の中で、どうしてもマンパワーにおいて不足する点は否めないだろうと思っております。

 ですので、私ども内閣府といたしましても、被災地からの御要望、御相談等々には、これはそこに限ったわけではありませんが、より親切に丁寧にということは心がけてきたつもりでございます。

 地方創生というのを考えましたときに、先ほどの柿沢委員の御質問あるいは福田委員の御質問にもあったと思いますが、まさしく被災地から新しい日本をつくるんだということからすれば、多くのしがらみ的なものを、不幸にしてという言い方が適切かどうかわかりませんが、失ってしまった地域であるがゆえに、新しい総合戦略というものが立てられるんだろうというふうに思っています。

 それはおのずからほかの地域とは異なるものでありまして、そういうものに対して政府として重点的に対応するということは、結果として起こっていることでございます。

篠原(豪)委員 結果として起こっていることなんですかね。報道に接しますと、被災して住民が避難している自治体にも画一的に地方版総合戦略と人口ビジョンの今年度中の策定を求めたということに対して、うちの町は全町避難しているんですよ、ですので、誰もいないのでなかなか創生すべきふるさとがない、こういう切実な訴えも一方ではありましたので、こういったことが起きているということを大臣には御認識いただきたいと思います。

 恐らく担当の方は、いろいろとあって何かちょっと間違ったかもしれないし、もう少し考えればよかったかもしれないが、実際にはそういう人たちがいて、この人たちに対してそういう苦労を、余計なことをさせていたということがあることをいま一度お伝えさせていただきたいと思います。

 さて、地方版総合戦略の策定期間が短過ぎるんじゃないかということ、これは十月までの上乗せ交付分というのがあったり、問題を今指摘させていただいたんですけれども、この中でもう一つ大きな問題として考えているのが、ノウハウを持った人材が小規模団体では特に不足していたこと、地方創生先行型交付金の交付対象経費となったことなどを理由に、地方版総合戦略の作成の一部や全部を民間コンサルタントに委託した自治体が多くなったというふうに言われています。

 日経グローカルの二月一日号に地方版総合戦略全国調査がありまして、七百七十の自治体から回答がありました。そのうち六・二%、四十八の自治体が、全て委託したというふうになっています。一部委託したという自治体の数は六百団体。母数が七百七十ですから、全自治体が回答したわけじゃありません、その中でこの六百団体というのは七七・九%、約八割です。この八割が何らかの形で外部に委託したというふうに言っています。

 国は、戦略策定に必要な調査等を民間コンサルティング企業等に委託することは差し支えないというふうに、確かに策定の手引には書いてあるんです。また、コンサルタント会社に頼むことそのものが全部悪いというふうには思いません。それは、餅は餅屋で、なかなか人手が足りない、小さいところではなかなかその余裕がない、こういった人たちにとって、これをうまく活用するのはいいことじゃないかというところもあるんだと思います。

 しかし、今申し上げたように、今、母数が七百、そのうちの四十八、六・二%、六百、七七%、約八〇%、そういった人たちが外部に委託しているという調査結果、大臣はこのことについてどう思われているのか。そして、このコンサルタント会社への外部委託が多くなった、八割ですからそう私は思いますよ、そもそもの原因についてはどのようにお考えか、お伺いさせていただきます。

石破国務大臣 これは民間の調査でございまして、私どもが政府としてやったわけではございませんが、これを拝見する限りにおきましては、全て委託したが六・二%、四十八団体。委員からいただきました資料を見させていただきますと、本当かどうかわかりませんが、全て委託したとお答えになった自治体がこれだけあるわけですね。

 ですから、全て委託してつくってもらいましたというふうに正直におっしゃっているわけで、それはそういうことなんでしょう。見ますと、これがみんな本当にちっちゃなちっちゃな町なのかしら、ちっちゃなちっちゃな村なのかしらというと、そうでもないわけですよ。

 ですから、それは、議会に対して議会議決事項になっているところもあれば、そうじゃないところもあると思いますが、我が市は総合戦略は全てどこどこに委託をいたしましたと議会でおっしゃるんでしょう。そこで、議会において議論がなされ、市として決定すれば、それは形式的に瑕疵があるとは私は思いません。

 ですけれども、その地域においていろいろな方々が議論してねということを申し上げたにもかかわらず全てを委託したということであれば、そういう自治体が存在するという事実があるということでございます。(発言する者あり)

山本委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

    〔委員長退席、福井委員長代理着席〕

    〔福井委員長代理退席、委員長着席〕

山本委員長 それでは、速記を起こしてください。

 篠原君。

篠原(豪)委員 今、ちょっと委員会がとまっておりましたので、もう一度お話をしますけれども、今、石破大臣からいただいたのは、六・二%の団体が丸ごとコンサルに委託をしてこの計画をつくってきたということです。

 さらに、よくよく見てみますと、東京のある企業が四十以上の団体から受託をしていた。四十ですよ。一つの会社です。地域の事情に精通した地元のコンサル会社であればまだわかるんです。大臣がおっしゃるように、地域の声をしっかりと、住民の皆さん、地域の課題を捉えて、どういうふうに自治体の職員さんと一緒に計画をつくっていくのか、これが本筋であります。ところが、このような大手コンサルに、調査だけじゃなくて内容に関しても委託をしている団体もあるということです。

 このことについて、大臣、千代田区にある会社、わかりませんけれども、日本の中でも一番都市部のど真ん中、こういったところ、いいのができるのかもしれませんけれども、実態としてこういう東京の大手コンサルに四十といった数の団体が委託をしていることについて、今の話を聞いて、地方創生の観点からどのようにお考えになるか、伺いたいと思います。

石破国務大臣 決して望ましいことだと思いません。

 ただ、外部に委託をしてはいけないという法律があるわけではないので、その契約が無効とかそういうお話ではありません。

 ですから、そこは、これが本当かどうか私はわかりませんが、こうやって公に報道されている以上、そこの自治体において首長さんは、こうやって外部に全て委託をいたしました、しかし、国から求められている、その地域内において産官学金労言ということはやりませんでした、それよりも外部に頼んだ方がよろしいのですということを説明する責任はその自治体にあるというふうに考えております。

篠原(豪)委員 大臣はお立場的には結構厳しいことを精いっぱいおっしゃったんだと思いますけれども、これも、民間コンサルト会社にこの戦略の策定を地方自治体が委託しなければならなかったのは、先ほど来申し上げていますように、一つは期間の問題、そして交付金があったこと。もう一つ、上乗せ分ですね。やはり人的な問題、これも大きかったんだというふうに思います。

 この策定については、支援について、これはRESAS、地域経済分析システムによる情報支援、地方創生人材支援制度や地方創生コンシェルジュによる人的支援、地方創生先行型交付金等による財政的支援が行われてきましたけれども、これをやるときには、やはりこのうち人的支援をもっと充実するべきだったんだろうというふうに考えています。

 このことについて、今の現状をお話しした中で、人的支援についてどう考えるか、大臣の御見解をお伺いします。

石破国務大臣 目いっぱい厳しいことを言ったつもりはないんですが、よくこれを子細に見ると、町とか村とかいうのはないですね。大体、市ですよね。市でも、例えば、夕張とは言いませんが、人口一万、二万、三万になっちゃったというような市よりは、ある程度大きな市も随分見られるのは何でなんだろうなと正直言って思います。それなりの職員もいるのでしょう。あるいは、それなりの積み重ねもあるのでしょう。そういうところがどうして外部に委託されたのか、私自身、聞いてみたいなという思いはございます。

 人的支援はさらに拡充いたしますが、これは、今年度もやっております、来年度も今マッチングの作業中ですが、国家公務員あるいは大学教員、民間の方々を地方に派遣するというのも、できるだけ御要望に応えたいと思っています。あるいは、コンシェルジュ制度、中央省庁の職員をそれぞれの都道府県、場所によっては市もございますが、親切な相談相手をするということもやります。

 情報面、財政面、人材面、この三つで地方に対する支援というものは目いっぱいやっていきます。それでもなお外部に委託をするというのであれば、それはなぜなのかきちんと住民に御説明くださいということです。

篠原(豪)委員 例えば首長の補佐役としてそういった方々が行くようなこともできるというふうに聞いていますので、ぜひよりよい形になるようにしていただきたいというふうに思います。

 少し話をかえるんですが、まち・ひと・しごと創生総合戦略のうち小さな拠点づくりについて、これも同じような観点から伺いたいと思います。

 地方から人口流出が続くと、二十から三十九歳までの若年女性が二〇四〇年までに五〇%以下に減少する市町村が八百九十六に上ると推計されていて、これらの市町村が将来的には消滅するおそれがあるということは、以前から、この数字が出てきたときに衝撃を持って捉えられたというふうに思っています。

 その中で、こういう地域の困り事に対して、地方住民みずからが立ち上がり、解決のための活動を行おう、地域住民の方々が暮らし続けられる地域をつくっていこうというのが、小さな拠点づくりだと思います。

 昨年の委員会でも、昨年は法案を通したということがありましたので、審議をいたしました。私もたしか質疑で取り上げさせていただいたと思いますけれども、住民の活動組織の形成数を、二〇一四年度、千六百五十六団体のところ、二〇一九年度までには三千団体にしようという取り組みであります。

 この小さな拠点の形成を行うには地域再生計画が必要となって、地域再生計画自体は、地方公共団体が作成し内閣総理大臣が認定する。その後、地域住民と協働して小さな拠点づくりの将来ビジョンを作成するとしているけれども、これが、地域住民不在、かつ、計画の多くは、こちらも地域外の民間コンサルタントが策定をしているんじゃないかというような現場からの声が上がっています。

 言いかえれば、スタート時点から住民不在の小さな拠点づくりになっているのではないか、こういった声があることについて、大臣、どう思われるかをお伺いいたします。

石破国務大臣 小さな拠点づくりは、御指摘のように、ハードとソフトと両々相まってできるものでございます。ハードはともかくとして、ソフトの場合に、それが外部に委託してできるというのは、私は考えられないことだと思っています。

 つまり、地域住民、これは昭和の大合併前の集落というのを大体イメージしておるところでございますが、そういたしますと、そこが外部に、全く何も知らない人に委託して一体何ができるのか。仮に、ではこういうような組織をつくりますよ、小さな拠点において、ハードだけではなくて、自治運営組織の一つのバリエーションみたいなものをつくりますよといったときに、住民が納得しないでつくったものがワークするはずはないのであって、そのようなことは概念上あり得ないことだと思っています。もし仮にそれがあったとしても、それは全く機能しないものになるでしょう。

篠原(豪)委員 一つ、余り話されているかどうかわからないんですけれども、石破大臣は、小さな拠点づくりフォーラム、たしか一月二十日でしたっけ、これに参加されていると思うんですね。そこのところで、よりよいものを議論した上で、本当に有効的なものにつながることを期待しているといった旨のことをおっしゃっていたんじゃないかというふうに思います。

 地域住民、地域の声をすくい上げるときに、NPOというのがやはり存在としてあるんじゃないかと思います。

 ちなみに、このNPOというのは、今現在、認定NPOは二%程度ですけれども、認証、認定法人数を合わせると五万件あって、規模も拡大傾向にある。認定を受けること自体がハードルが高いので、一定の経営能力が必要とされるとかいろいろとありますけれども、この要件を下げることについての議論は今後解決すべき課題かもしれませんが、例えば農山村の活性化に取り組むNPOの法人の数だけでも、一昨日現在で千六百八十四団体あるというふうに聞いています。

 そこで、小さな拠点づくりにおける、まあ小さな拠点づくりだけじゃないと思うんですけれども、こういったところの地域の声をきちっといろいろな計画に反映させていく、そのときのNPO法人の役割についてどのように今捉えていらっしゃるか、大臣にお伺いします。

石破国務大臣 今、そういうような団体のうち約八割が法人格を持たない任意団体でありますが、法人格を有している組織形態の中ではNPOが最も多く、一〇%であります。ですから、小さな拠点の形成におけるNPO法人の役割は極めて重要だと思いますが、ただ、ではNPOで全部事足りるかというと、それは違うのかもしれません。もちろん、NPOが一番普及をしている形ですし、法人格を与えるということも必要なものであります。NPOの場合に、その対象がその地域に限定されるわけではなくて、広くあまねくどこからでも参加が認められるという特性がございまして、それをどのように評価していくかということがあろうかと思っております。

 三月一日に、私のもとに、そういう地域の課題解決のための地域運営組織に関する有識者会議というのを立ち上げたところでありまして、明治大学の小田切先生に座長になっていただいて、議論を詰めて行おうと思っております。もちろん、総務省においてもかなり詰めた議論をしていただいておりますが、それを昇華させる形でこれに結論を出したいと思います。

 それを法律上位置づけることが必要なのかどうかということでありますが、要は、市町村の大合併をしてしまったがゆえに、合併されちゃったところは行政の機能が落ちたところが多いということは間違いのないことだと思います。市町村合併をもとに戻すというわけにはまいりませんので、そこにおいて、どういうような組織がその地域におけるいろいろな利便の提供というもの、あるいはそれに類したものを図っていくかということは早急に結論を出していくべきものだと思っています。NPOがその中で大きな役割を果たすことは事実でございます。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 おっしゃるように、NPOも含めて、いろいろな、本当に実効的な取り組みができる仕組みづくりを組んでいく、これが大事だと思いますし、それが組まれたときには、しっかりとそれを判断して見ていく目というのも行政に必要だと思います。

 ですので、きょうはいろいろと課題を少し申し上げましたけれども、大臣が行かれたフォーラムにおいては、事例として、山形県の川西町による、地域住民と役場がワークショップを三年もかけてうまくいったものもあったというふうに聞いています。

 短期的に目標を達成しようとすると、旧態依然の、自治体と発注先のコンサルタント主導による住民不在の計画が進んでしまう。問題は、これから千六百五十六団体のところを三千団体にしましょうと目標に掲げておりますので、この整備のためには、さっきおっしゃっていましたけれども、ソフト、ハードの両面で費用も必要になってくると思うんですね。

 この費用については、財源の確保というものはどのようにお考えかということについてお伺いできますでしょうか。

石破国務大臣 それはこれからの議論だと思っています。

 その費用について、例えば合同会社みたいなものをつくるとしますと、やはり出資をしなければ責任が持てないということなのだと。では、金を出すだけでいいのかといえば、それはそうではないのかもしれないということです。要は、お金も出すが参加もするということが必要なのではないか。

 そこにおいて、行政からのお金を必要とするという説と、なるたけ行政からの支援は少ない方がいいという説と、これまた両説ございます。ですので、有識者会議を立ち上げましたのは、いろいろな説があると。地域によっては、行政からのお金は一円ももらっていないところがあるわけです。行政からお金をもらうと、やることが画一的になって、結局責任の主体が曖昧になってしまうので、行政から一円ももらわないという組織もございます。

 どういう形が一番汎用性があり、実効性を伴うかということについて結論を出したいと考えております。

篠原(豪)委員 実際にNPOの方々に話を聞くと、こういった声がありました。

 この交付金の仕組みは、先ほどの、三年かけてワークショップをやってうまくいくような例、こういったものもあると思うということについて、まずは、当初はワークショップ等の費用は小さい予算でいいので、たくさんの地域へ配賦できないだろうかと。ワークショップを開始してから、場合によっては三年後、五年後に、どのぐらいか、少し多目に予算をとって、そして地域住民団体へハード、ソフト事業を直接交付していく、こういったやり方もあるんじゃないか、こんな話もありましたので、お伝えしておきます。

 あと、税制優遇を受けられる組織として、やはり市民団体の皆さんはなかなか厳しいところがあって、逆に普通の民間会社にしてしまうとこれは大分楽であるというか違うというようなこともあるので、その辺をいろいろとちゃんとやっている団体に対しては、きちっとやっているのであればしっかりその辺にも日の目を当ててやっていただければというような声も上がっていましたので、このこともあわせてお伝えをさせていただきます。

 さて、都道府県版の総合戦略と市町村版の総合戦略の関係について話が戻るんですけれども、よりよい計画づくりという点でお伺いしたいと思っています。

 まち・ひと・しごと創生法の十条第一項には、市町村は、国の総合戦略と都道府県総合戦略を勘案して、市町村の創生総合戦略を定めるよう努めなければならないと書かれているわけです。「地方版総合戦略策定のための手引き」にも、都道府県と市町村の間で、戦略の策定段階において都道府県が調整機能を発揮し、目的設定や施策の方向性について整合性をとることを期待しているというふうに書いています。

 先ほど大臣がおっしゃったことに関連するのかどうかわかりませんけれども、先に市町村が策定をして、県の方が後になるというようなこともあるやに聞いています。

 そうなりますと、この整合性をとるというそもそもの議論が実際には行われていないんじゃないかというようなケース。もちろん、市の総合計画の策定作業と重なって、とてもじゃないけれども、やっている方々は他の市や県との調整を行う時間的余裕もない、県からも地方版総合戦略の策定支援や調整の話もなかった、こういった声も聞いています。

 もちろん、連携が行われた事例が多くあることも承知しています。しかし、地方自治体の実情はそれぞれ異なっていて、地域の意見を集約するのに精いっぱいで、都道府県との連携、他の市町村との連携を行うことができなかった市町村も多いのではないか。

 このような中で策定された都道府県版の総合戦略と市町村版の総合戦略でどの程度整合性が確保されているのか、このことについて、お考えを政府に伺います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の法律の規定に基づきまして、私ども、策定の早い段階から都道府県と市町村との連絡調整を十分に行ってくださいということを申し上げてきました。具体的には、連絡調整の場を設けるですとか、あるいは県の戦略の検討の場にも市町村に入っていただくとか、そういうような形で、できるだけ企画立案の段階から調整をしていただきたいということをお願いいたしました。

 そういう意味で、策定の時期での前後関係というのはあるにしても、早い時点で大方針を共有しながらつくっていただきたいということを申し上げてきておりますので、そのような中で私どもが策定過程で自治体からいろいろお聞きしている中においては、両者が連携をとりながらつくっていただいてきているものだと理解をしているところでございます。

篠原(豪)委員 実際に声を聞くと、今申し上げたように、県からの話もなかったであるとか、忙しくて調整することはできなかったみたいな話もあるんです。

 国の総合戦略と都道府県版の総合戦略との関係についてもどうなっているのかということは正直気になりますが、きょうは時間がありませんので、これはまた次回以降にしっかりとお話をさせていただきたいなと思います。決して悪くしようという話じゃなくて、現実の現場を見て、これを大臣に知っていただいた上で、これからどうするのか、本当にどうして地方創生をやっていくのか、こういう話だと思います。

 ですので、これから地方創生、国と地方でじっくり協議をして、そして方向性については、今あったような、共通認識を持たないこともあるかもしれない、そして国と地方がそれぞれ責任を持てる形で、本来であればさまざまな数値目標の設定がなされる体系となることが望ましいと考えています。

 このことについて、最後、将来的な課題として、大臣はどう捉えていらっしゃるかをお伺いいたします。

石破国務大臣 それは委員御指摘のとおりであります。

 ですから、地方の意見、つまり、お互いが遠慮し合って、お世辞を言い合って、本音を言わなくてもしようがない話でありまして、一体何が足りないんだということは、国と地方との協議の場のみならず、私のところにも大勢の知事さん、市町村長さんがおいでになります。あるいは、議員の方々もおいでになります。とにかく、このままほっておくと東京も地方もどんどん衰退、消滅に向かうわけで、そういう国滅びの手伝いのために政治家をやっているわけじゃありませんので、その認識はお互いに持っておるところでございます。

 ですので、私どもとしては、少なくとも私としては、地方において、この人手不足の今、労働生産性を上げる、それによって雇用を安定させ、所得を安定させ、向上させ、そして人の流れをつくるというのが一番の基本だと思っています。

 そこへ向けて地方に何ができるかということは、そこの地方でなければわかりません。そんなことが霞が関で、永田町でわかるわけはないのです。永田町や霞が関が用意したメニューの中でどれか選べばいいよと言っていた時代は過ぎ去ったのだというお話をすると、ええっとかと言われたりするのですけれども、そこのところから話をしなければならぬだろう、さすれば国が果たすべき責務も今までとは変わったものになるだろう、そこから議論をしたいと思っています。

 お互いに、本当に何が国家に対して、地域に対して果たす責任かということを共有しながら、今後もやりたいと考えております。

篠原(豪)委員 時間ですから終わりますけれども、やはりこれまでの地方と国の関係の、これから先のこの日本の将来を見据えたときに、意識をどうやって一緒に変えていくのか、これが一番大事だというふうにおっしゃっていましたので、私たちも、やはりこの先、しっかりとそういったことも含めてこれは一緒になってやらなきゃいけないことだと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

山本委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 きょうは、東京圏の一極集中の是正について御質問をしたいと思います。

 実は、先月二十六日それから今月の一日、総務委員会でこの東京圏一極集中問題については取り上げてきたんですけれども、きょうが三回目です。大臣、よろしくお願いします。

 資料をお配りさせていただいています。1、2は、住民基本台帳をもとにした東京圏の転出入の推移についてであります。2が一九五四年以降の流れ、1が二〇一一年以降の流れを少し大きくしたものであります。

 まち・ひと・しごと創生総合戦略では、東京一極集中の是正として、二〇一三年から、東京圏から地方への転出を年間四万人増加させていく、そして、地方から東京圏への転入を年間六万人減少させる、そして、二〇二〇年時点で東京圏から地方への転出転入を均衡させるというふうにしています。しかし、現実は、東京圏一極集中が加速しているところであります。

 せんだって安倍総理に伺ったら、二〇二〇年までに均衡を図るのは難しいのではないかと私は聞いたんですけれども、具体的な回答はありませんでした。それから、牧島政務官にもお尋ねしましたら、地方移住に向けたいろいろな施策についての紹介はございました。それから、目標達成に向けて全力を挙げてまいりたいとの答弁がありました。

 端的に石破大臣にお伺いしたいと思います。

 政府が掲げた閣議決定、二〇二〇年までに転入転出を均衡させるとした方針、これはかなり難しくなってきたのではないかなというふうに思うんですけれども、大臣はどうお考えになっておられるでしょうか。

石破国務大臣 それは難しいです。難しいが、できないということは申しません。

 つまり、所信でも申し上げましたが、地方創生は計画段階から実行段階に入っていくわけで、自治体によっては、本当に移住者がふえたね、転入がふえたねと言ってくれるところが出てきました。そういうものが拡大していくことによって、少なくともこの東京一極集中の傾向を変えることはできると思っていますし、その目標として、先ほど委員が御指摘の数字があります。

 ですから、これは加速度的にこれがどれだけ波及していくかということにかかっているのであって、私どもとして、この目標を変えるつもりは今のところ全くございません。

田村(貴)委員 大臣は、長期ビジョンと総合戦略の閣議決定に伴って、二〇一四年十二月二十七日に次のコメントを出されておられます。

 現状、東京圏に十万人の転入超過があるのに対して、これを二〇二〇年までに均衡させるための地方移住や企業の地方立地の促進などにより、「地方への新しいひとの流れをつくる」、

これは、大事なのは、具体的な数字も挙げて、そして二〇二〇年までとしたところであるわけなんです。

 ですから、私はせんだっての委員会でも、二〇一三年、二〇一四年、二〇一五年と、もう東京圏への転入超過が続いている、そうすると、先ほど示したこれを是正させるカーブはむちゃくちゃ厳しくなってくるんじゃないかなというふうにお伺いしました。それから、地方への転出を四万人ふやしていく、それから東京圏への転入を六万人減らしていくというのは、牧島政務官にお尋ねしたら、これはKPIだというふうに言われました。

 これは、三カ年連続で是正ができていない、そして東京圏への一極集中が加速化している、そうなったら、このKPIそのものを修正させていく必要があるのではないかなと考えるんですけれども、いかがでしょうか。

石破国務大臣 先ほどと重複したら恐縮でございますが、KPIと位置づけたものを修正する考えはございません。

 それは、去年一年で、地方創生というのは一体何なんだということを、ようやっと多くの方々、自治体に御理解いただいたかということであります。

 拡充型、移転型のいろいろな企業移転促進税制というものもだんだんと実績が上がってきておりますし、移住についてのCCRCにつきましては、この国会で地域再生法の御審議をいただいて初めて法律としてできるものであり、それから実効性を確実なものとすべく、これから先、努力をしてまいるところであります。

 そうすると、いろいろな手段というものがこれから動き出すところもたくさんございます。したがって、それが全く動き出していないとは言わないが、まだ一部しか動いていない今の段階でKPIを修正するということは、敗北主義とは申しませんが、私としてそのようなことを考えておるものではございません。

田村(貴)委員 大臣、私も地方です。地方の動きについては、予算委員会でも邑南の問題もお話ししましたように、いろいろと勉強させていただいています。問題は、やはり東京圏が動いていないといったところなんですね。

 それで、各自治体は、国の総合戦略を勘案しながら地方の総合戦略と人口ビジョンを今策定しています。できたところもあります。その勘案するまち・ひと・しごと創生長期ビジョン、総合戦略には何と書かれているか。三つの基本的視点の一番目に、東京一極集中の是正と掲げているわけであります。ですから、政府の掲げる地方創生の一丁目一番地はまさに東京圏の一極集中の是正ではないかなと私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 そのとおりです。

 ですから、一極集中是正といっても、何で一極集中しているんだという原因を究明して、それに対する処方箋を講じないと、単なるスローガンに終わるわけであります。

 これはもう委員も百も万も御案内のとおりで、要は、転入超過というのは何なんだというと、男性も女性も、十五歳から十九歳、二十歳から二十四歳、すなわち若い世代の方々がその大半を占めているのだ。ということは、どういうことなんだ。つまり、大学に上がる、あるいは就職するというときにわっと人が来るのだということであって、そうすると、これを是正しようと思えば、地方において高等学校を卒業しても東京の大学に行くことなく地域で学ぶことがどうやってできるかということに策を講じなければだめだということでしょう。

 そして、二十歳から二十四歳までにまた転入が多いということは、まさしく地域に職場がないということなのだが、本当にそうだろうかといえば、有効求人倍率は地方の方が高いのであって、そこにおいてミスマッチが起こっているのは間違いないことですから、先ほど来申し上げておる、どうやってそこにおいて所得を上げ、雇用の環境を改善するかということをやっていかなければいかぬだろう。

 しかし、その二つがもしできたとするならば、この十五歳から十九歳、二十歳から二十四歳の、流入の大半を占めている方々の流れは変わっていくということだと私は考えております。

田村(貴)委員 そこで、東京圏一極集中の是正をいかにして図っていくかということであるんですけれども、大臣、申しわけないです、もう一問ちょっと振り返ります。

 先ほどKPIは変えないと言われたんですけれども、そうすると、今から残された期間で一生懸命転入転出の均衡を図るというのはかなり厳しくなってくると思うんです。そうしたら、出口を、二〇二〇年という区切りを変えるということは考えておられないんでしょうか。

石破国務大臣 現時点で考えておりませんが、中間段階においていろいろな精査は行われます。そこにおいて、到底不可能であるということが明らかになった時点で、なおその数字にこだわることが現実的でないとするならば、それを修正するということは私は可能性としてあり得るものだと思っております。

田村(貴)委員 それでは、質問を進めたいと思います。

 当の東京圏の一都三県がどういうふうにこの問題を捉えているかということについて質問したいと思います。

 東京圏の一都三県も含めて、総合戦略、人口ビジョンが発表されてきています。そもそも、社会増減について将来的に均衡するという予想を立てていません。ある県は、うちは東京から見たら地方である、東京に転出超過である、ある県は、若者人口が東京に対しては転出超過になっているというような認識であります。

 そして、東京都はどう見ているのかということなんですけれども、東京都の総合戦略、ここではこういうくだりがあるわけなんですね。ちょっと紹介します。

  国の「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」では、

 「東京一極集中を是正する」ことを基本的視点の一つとしている。しかしながら、近代日本の経済成長の歴史は、大都市への人口集中の歴史でもあり、都市への人や情報の集積は、歴史的・経済的に必然性を有しているといえる。

  このような東京への人口流入の背景には、旺盛な経済活動、多くの雇用の創出、人や情報などの充実した都市基盤が、地方の企業や若者を誘引したことなどがあり、これは、個々人の自発的な「選択」の結果による、都市への「集中」ともいうべきものである。こうした流れを、個々人の意思に反して政策的に誘導することは困難である。

個々人の意思に反して政策的に誘導することは困難である、東京都の総合戦略にこういうふうに書いておられるんですね。

 転出入の均衡ビジョンを国は掲げる、しかし、一都三県にはそういう方向は見えてこないといった段階で、石破大臣も、目標数値は変えない、目標年次も変えないと言った、閣議決定された東京圏一極集中の是正がどうしてできるのかというふうに私は疑問を持つんですけれども、いかがでしょうか。

石破国務大臣 お見受けするに、たまたま東京の先生はおられないような気もするのですが、その文章には私自身はかなり違和感は持ちます。ただ、それぞれの自治体がそれぞれの責任においておつくりになるものですから、感想を述べることはあっても、是正をするとか、そのような立場に立ってはおりません。

 それはまさしく東京の論理なわけですね、今委員が御紹介をいただいたのは。確かに、個人の意思に反して政策誘導することはできないでしょう。そもそも、個人の意思に反して行政が何かができるなどということはございません。ですけれども、個人の方々が地方に移住しよう、あるいは地方においてこのまま東京に転出しないで地方にとどまろうということを政策的に誘導することは絶対に可能だと私は思っています。

 東京の方々に、私は、東京都の立場としてそうおっしゃらなければいけないのはわかるのですけれども、これから人類が経験したことのない規模とスピードで迎える高齢化に本当に東京は対処できますかということであります。

 東京が魅力を持っているので地方から人が集まったのだというような御趣旨のようでありますが、先ほどどなたかもおっしゃっていましたが、基本的に東京は消費する都市でございますので、食料が生産できるわけではない、再生可能エネルギーが生産できるわけではない、そして出生率は全国断トツの最低であるという意味で、消費する都市だけが残り、生産する地域が疲弊していくという国家があり得るかというと、そんな国家はあり得ないと私は思っているのです。東京は、今の現状を御解説になるのであればそのとおりです。しかし、これから先も本当にそうですかということを我々としては問わねばなりません。

 ですから、東京の人と富を全国にばらまいて、東京が疎になり貧しくなればいいなんてそんなあほなことを考えているのではなくて、どうやってお互いにプラスサムというのか、ウイン・ウインの関係をつくるかであって、私は、東京都の御主張は事実の分析としてそのような認識を持っておられることはよくわかりますが、でも、もう一歩進んで考えてくださいませんかという思いが実は強くしておるところでございます。

田村(貴)委員 だとするならば、政府が掲げる転出入の均衡について、やはり一都三県と合い議すべきじゃないかなというふうにも思うわけです。

 そうした取り組みがないと、私は、総合戦略、人口ビジョンは出てきたんですけれども、拝見させていただいたら、これはちょっと背中合わせになっているんじゃないかなと思うんです。大臣、どうされますか。

石破国務大臣 その意識はかなり早くから持っておりまして、内閣府に昨年のかなり早い時点で、舛添知事、あるいは森田知事、上田知事、黒岩知事にお越しをいただいて、我々の問題意識もお話をいたしました。それぞれ議会を持っておりますから、議会にも説明をされるということもございますけれども、やはり問題意識を共有するというところから作業はいたしております。

 委員御指摘のようにぴたっと整合しているかというと、正直言ってそうではございません。そこは地域地域の利益もありますし、納税者の立場もありますので、それぞれの知事さん、市区長さんも説明する責任を持っていますから、この時点でぴったりと整合したものはできませんが、整合しなければ国全体として跛行性を持つことになりますので、跛行性という言葉が適当でなければ取り消しますが、ここは本当に国に対する危機感を共有するということが必要なことだと思っております。

 ここは、もうどの党がどうのこうのという話じゃありませんので、日本全体がおかしくなっちゃったら、もう主義も主張もあったものではありませんので、いろいろな党におけるいろいろな御見解をまた御教示賜りたいと思っております。

田村(貴)委員 私も危機感を持っています。

 東京との関係でいきますと、全国北は北海道から南は九州、沖縄まで全ての地域ブロックの転出入は、地方から見たら転出超過になっているわけですよね。こうしたところをやはりもっと真剣に考えていかなければ解決できないというふうにも思っています。

 もっと危機感を感じていることが、やはり開発がとまらないといった問題であります。東京と東京圏の人口がもっともっとふえていくという要素はいろいろあるわけであります。二〇二〇年というのは東京オリンピック・パラリンピックの開催と重なるわけであります。国の長期ビジョンも、オリンピック・パラリンピック東京大会の開催は、人口流入を増幅させる可能性が高いというふうにしています。

 人口流入を増幅させる可能性が高いとするその根拠について教えていただけないでしょうか。また、その対策はあるんでしょうか。

石破国務大臣 これは、先ほど来申し上げているように、若い方々が転入超過の大半をなしているということであります。そして、人口流入は、都市部と地方との所得水準の違い、有効求人倍率の違いなど、雇用情勢に大きな影響を受けてきたということであり、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会の開催がそれを増幅させる可能性が高いということを述べたものでございます。

 これは、実際多くの経済効果が見込まれるオリンピック・パラリンピックでございますから、そこにおいて雇用はあるでしょう。そしてまた、全国で例えば建設技能に携わる方々の需給が逼迫をしておりますから、そこにおいて高い給与を提示して人がまた集まるということもございますでしょう。このまま手をこまねいていれば東京に人がまた集中をする可能性は高いということは、それは間違いのない事実でございます。

 ですから、そこに多くの雇用が創出され、そして、そこにおいて多くの高い所得が提示されるということを背景として、このような可能性を述べたものでございます。

田村(貴)委員 対策を打っていかなければならないというふうに思うんですけれども。

 三月五日の日本経済新聞の夕刊にこういう記事がありました。「工事 首都圏集中に備え」という記事であります。大手ゼネコン各社が東京圏での工事の増加を見据え、建設職人の確保と宿泊所を設けるとしています。記事の中では、東京圏では「複合商業施設などの再開発や、インフラ整備などの大型工事が続く。半面、地方では公共工事が減り、民間工事も需要が先細り傾向にある。」と書かれています。まさに、さらに首都圏、東京圏に人が集まり、人が住むことは間違いないというふうに思います。

 そして、大臣、もう一つ私が気になるのは、同じ地方創生で論議している国家戦略特区であります。

 その特区の中に規制改革メニューがあって、「容積率・用途等土地利用規制の見直し」というのが掲げてあります。「居住環境を含め、世界と戦える国際都市の形成を図るために必要な施設の立地を促進するため、都市計画の決定等をワンストップ化」する、そして「グローバル企業等のオフィスに近接した住宅の整備を促進するため、区域計画に定めた住宅の容積率の最高限度の範囲内で、都市計画で定めた容積率を緩和」する。最高限度の範囲内でさらに容積率を緩和していく。

 これでは、ますますビル群が集積され、そして再開発はラッシュとなっていく。これによる人口増というのは政府の方はちゃんと見ておられるのでしょうか。また、その対策というのは立てていかれるのでしょうか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 国家戦略特区制度につきましては、東京圏も地方圏も含めまして、我が国の成長を促進していこう、そういう狙いでつくられている制度でございます。

 東京圏につきましては、人口の過度の集中を是正しつつも、世界の大都市と戦える都市として国際競争力の強化を図るということは重要であろうと考えております。その一環として、国家戦略特区を活用いたしまして、住宅に関する容積率緩和の特例を考えているところがございます。

 その狙いといたしますところは、グローバル企業等の勤務者に対する職住近接の魅力的な住居を提供する、こういうことを通じまして国際的な経済活動拠点の形成促進を図ろうというものでございます。

 一方、国家戦略特区といたしましては、ほかにも、兵庫県の養父市でございますとか新潟市でございますとか秋田県の仙北市でございますとか、こういうところも指定しているところでございますけれども、こういうところはいずれも農業等の産業の国際競争力の強化ということを目指しているものでございまして、東京圏、地方圏をあわせまして日本の成長に寄与するような制度ということで考えているところでございます。

 以上でございます。

田村(貴)委員 特区の説明じゃなくて、容積率を緩和して、例えば一〇〇〇%、二〇〇〇%の超高層ビル群が出てくる、外国から世界一稼ぎやすい、ビジネス展開しやすい東京、東京圏をつくっていくと言ったら、これは人とお金と物が集積される、人口増は避けて通れないということに対してちゃんと考えておられるんですか、対策はあるんですか、見込みはどうなっているんですかと聞いたんですけれども、もう一度答えていただけますか。施策の紹介は要りません。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 今、国家戦略特区として容積率緩和を考えているところにつきましては、先ほど申しましたように、外国から来られる方、グローバル企業等の勤務者に対する魅力的な住居を提供するということを狙いとして考えていると聞いているところでございまして、そういう意味では、国際的な経済活動拠点を強化していくという意味において必要なことではないかというふうに考えているところでございます。

田村(貴)委員 全然答えになっていないと思うんですけれども。

 大臣、補足していただけますでしょうか。

 去年、この委員会で我が党の宮本徹議員が品川とかの再開発問題について取り上げたんですよ。ビル群をつくれば昼間人口はふえます、昼間人口がふえるとやはり流入人口も一緒に来るというような質問をしたところ、石破大臣は、「普通に考えればそういうことになろうかと思います。」というふうにお答えになったと思うんです。

 天井知らずの開発をしていく、ビルの集積をしていく、そして世界一稼ぎやすいビジネス展開をしていく。そうすると、やはりどう考えてももっと人口はふえていくというふうに考えるのが私は当たり前だと思うんですけれども、それを予測されていないのか、対策を持っていないのか、御見解も聞かれない。これはちょっと困ったものだなと思うんですけれども、いかがですか。

石破国務大臣 基本は、今、政府参考人から答弁させていただいたとおりであります。

 委員御指摘のような御質問をいただきましたので、私も、地方から東京へ帰ってきますたびに、また一つタワーマンションがふえたねという感じで、雨後のタケノコとは言わないが、何となくそんな感じでばんばん建つわけですね。そうすると、あの一棟で、私どもの選挙区であれば一つの町が入っちゃうみたいな感じなので、一体何なんだ、これはと。そこに一体どんな方が住まっておられて、それが東京に対する人口集中とどういう関係にあるのだということを今いろいろな手法で調べておるところであります。

 まだ公に申し上げられる段階ではありませんし、もし御要請があればもう一度精査をしたいと思いますが、意外や意外、ああいうタワーマンションに住んでおられる方は、東京二十三区にお住まいだった方がタワーマンションに住まれたということであって、外から来られた方ではございません。

 では、そういう方々が今まで住んでおられたところに誰が入ってきたのか等々、また調べなければいかぬことだと思いますが、あのタワーマンションなるものが地方からの流入をさらに促進しているかというと、意外と数字から見ればそうではないという感じを今持っております。

 いずれにしても、ちゃんと分析をしないままお答えしてもいけませんので、そこはよく分析をした上で対策を講じなければいけません。

 と同時に、これだけ木造密集住宅が存在しているというのも東京の大きな特徴でございまして、ここにおいていかにしてオープンスペースを確保し、いかにして震災等のときに被害が拡大しないような都市政策を展開していくかということは、あわせてやっていかねばならないことだと考えております。

田村(貴)委員 ぜひ分析と、そして精査を進めていただきたいというふうに思います。

 大臣、それから出席の議員の皆さん、私は東京と東京経済圏の発展について物を言っているわけではありません。政府が地方創生の一丁目一番地に東京圏の一極集中の是正を掲げているからこそ、そして、その方向と現実が真逆の方向を向いているからこの問題を取り上げているわけであります。

 今、一生懸命地方が、国の手引に沿って、そして国の方針に即して、人口ビジョン、総合戦略を立てています。こうした戦略にとっても、仕掛けが、土台が崩れてしまったら、これはやはり地方の計画も成り立っていかないだろうというふうにも考えるわけであります。

 資料3には、東京二十三区の人口予測をしております。青が人問研、国立社会保障・人口問題研究所の予測であります。緑が東京都の人口予測であります。現実が赤線であります。大きな違いを見せているところであります。

 大臣、御存じかもわかりませんけれども、「たたかう東京」という本がございます。森記念財団の人口推計値を、財団の前の理事長である都市計画の専門家伊藤滋さんがこの著書の中で紹介しているわけです。何と述べられているかといいますと、これからも東京では公共、民間両面で経済活動が活発であること、人口ピークを迎えるのは、社人研や東京都の予測とは違って、二〇四〇年以降になるというような持論を展開されている、こういう結果があります。

 この表に基づいて、ちょっとこちらの表をごらんいただきたいんです。森記念財団の人口予測を私がお配りした紙に上乗せてみたんですけれども、オレンジのラインがこうなっていくわけです。そうなると、これはやはり、今地方も参考にしている人口問題研究所とかその他の数値とはちょっと違った状況になってきているということが読み取れると思うんです。もうちょっと実態に即した人口計画、人口予測値を示すべきではないかな、これは要望をさせていただきたいというふうに思います。

 土台がやはり定まらない東京一極集中の是正について、国の総合計画を勘案せよと言われても、私は地方にとってちょっと勘案しようがないところにあるんではないかなというふうにも思います。

 重ねて言いますけれども、やはり本腰になって、一都三県、東京圏への人口集中、一極集中を是正しないと、私はこの問題は解決できないというふうにも思っています。

 きょう議論させていただいたと思うんですけれども、三日間議論させていただいたんですけれども、一丁目一番地に対して、政府の取り組み、その本気度がなかなかうかがえない。地方はよく頑張っていますよ。私もよく見てきました。その本気度について、大臣、一番の所管大臣として今後どこを努力されるか、教えていただきたいと思います。

石破国務大臣 これは、舛添知事やあるいは黒岩知事とよく議論をさせていただくことです。

 例えば、舛添知事も福岡の出身で、そして地方のいろいろな状況はよく知っているはずです。地方の高齢化もどんな問題かもよく知っているし、炭鉱が閉山してどうなったかということについても非常にリアルな実感をお持ちの方です。

 ですから、東京がどうとか地方がどうとかという話じゃなくて、このままいったらば、二十年か三十年の時間差を置いて、地方も東京も同じように消滅、衰退に向かうという危機感を共有することが大事なんだというふうに私は思います。

 昭和三十年から昭和四十五年までのたった十五年の間に、五百万人の人が地方から首都圏に移り住んだ。去年は昭和でいえば九十年ですから、昭和三十年に十五歳で来た人は七十五歳になっておられるわけで、これから東京が迎える高齢化というのは、人口カーブがよしんばこのようなカーブを描いたとしても、それはどういう中身の人口構成ですかということまで突っ込んでお話をしなければ意味がないことだと思っております。

 地方と東京とお互いが、ウイン・ウインの関係という言葉を私は余り多用したくないのですが、それへ持っていくためにはどうしたらいいかということにお互い知恵を絞っていかないと国全体が消滅してしまうというような危機感を共有したいと思っております。

田村(貴)委員 時間が来ました。終わります。

山本委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 先日の石破大臣の所信を受けて質問いたします。

 大臣は所信の冒頭で、今のままなら日本人は二百年後に千四百万人、三百年後にはわずか四百万人になるという試算をお示しになって、国家そのものが持続可能性を失うと強烈な危機感を表明されました。

 言うまでもなく、地方創生の取り組みは、人口減少社会の到来と地方消滅、こういう増田レポートというものも一つきっかけにして、二〇一四年秋の臨時国会に当委員会が設置をされ、そして地方創生関連法が制定されたところから始まっております。東京一極集中を是正し、疲弊が進む地方を活性化し、人口減少に歯どめをかける、こういう形で既に国の総合戦略も策定されました。

 先ほどの田村議員の少しおさらいになるんですが、総合戦略では、二〇二〇年に地方、東京圏の転出入を均衡させるということで、二〇一五年から二〇一九年の五年間で、二〇一四年時点での東京圏四都県の人口転入超過数、つまり約十一万人を解消する、こういう計画を立てておられます。でも、五年間で十一万人ですから、単純計算すれば、年二万人程度縮小していかなければなりません。

 そこで、総務省に事実を確認しますが、住民基本台帳人口移動報告によると、二〇一五年、昨年の東京圏四都県の人口転出入超過数はどれだけだったか、そして前年比で増減がどうだったか、お答えいただけますか。

千野政府参考人 お答えいたします。

 二〇一五年の東京圏の転出入超過数は、十一万九千三百五十七人の転入超過となっております。これは、前年に比べまして九千九百四十九人の増加となっております。

宮本(岳)委員 約二万人の縮小が必要というんですけれども、減るどころか逆に、前年比で一万人もふえ続けたと。

 東京圏の人口がふえ続けているこの要因は何か、大臣、どうお考えになりますか。

石破国務大臣 繰り返しで恐縮であります。

 十五歳から十九歳、二十歳から二十四歳が転入超過の過半を占めております以上は、それはやはり、東京の学校で学びたい、高校を卒業した後、大学でありあるいは専門学校であり、東京で学びたいという人が多い。逆に申し上げれば、地方において、高校を卒業した方々を受け入れるだけのキャパがないということもあるのだと思います。

 もう一つは、大学を出た後、地方の大学を出て就職をするときに、やはり東京の職場の方に選択が行われるということがある。それは二面ありまして、地方に職場がないのか、あるいは職場はあるけれども東京の方が給与が高いのか等々。

 いずれにいたしましても、十五歳から十九歳、二十歳から二十四歳が転入超過数の大半を占めておりますので、そこに対して有効な対策というものを考えていかなければこれは解決をしないと考えております。

宮本(岳)委員 大臣も所信で、「現状は依然として厳しい状況にあります。」とお認めになりました。東京一極集中に歯どめがかかっておりませんと、現状と目指すべき目標との乖離をお認めになったわけですね。

 私は、今るるおっしゃったような理由というのは、そういうことから取り組みを始めたわけでありますから、そこから前に進めようというのが前に進まない、むしろ後ろに下がっているということでありますから、今あなた方が進めている地方創生の政策というのはやはり当たっていないんじゃないか、間違っているんじゃないか、こういう問題意識をお持ちにならないか。そういう問題意識はございませんか。

石破国務大臣 それは、自分たちが全面的に正しいと言うほどおこがましい気持ちは持っていないのであります。

 ただ、私が思いますに、その地域、例えば和歌山なら和歌山で、あるいは岡山なら岡山で、香川なら香川で、どこでもいいんですけれども、その地域をどうするかはそこでお考えくださいというのがやはり基本ではないかと思うのです。同じように道路をつくり、同じように公共建造物をつくり、家電であるとか自動車であるとか、そういうようなビジネスが全国に展開していたときは、それは同じでよかったんだと思います。ですけれども、では、和歌山なら和歌山の特性を最大限生かしてどうするのか、福島なら福島の特性を最大限生かしてどうするのか、岡山なら岡山をどうするのかということは、そこでお考えいただかないとわからぬのです。そこは私は間違っていると思っていません。

 それ以外に、地域における労働生産性を上げ、所得を上げ、雇用を安定させ、そこにおいて大学を出たけれども、そこに就職したいという子たちはふえないのではないかと思っています。

 例えば、広島県というのを見たときに、オンリーワンの企業というのはいっぱいあるんですよね。世界でトップシェアを持っている企業はたくさんあるんですけれども、広島に行ってお話を聞くと、ううん、広島にはいっぱい大学はあるんだけれども、その卒業生が就職してくれないというような話をよく聞くところであります。

 そこにおいてどうやってマッチングを行っていくか等々、できることはたくさんあると思っておりますので、私は、もちろん過てる点、足らざる点は直していかねばなりませんが、あなたの政策は間違いではないかと言われると、そうでございますと言う気は全くないのでございます。

宮本(岳)委員 私は、二〇一四年の臨時国会、地方創生関連法案に対する反対討論で、「そもそも、農業破壊や中小企業切り捨て、市町村合併などにより地方の産業と雇用を壊し、地方から魅力と活力を奪い、大型再開発のための規制緩和策で東京一極集中をつくり出したのは、自民党政治そのもの」、こう指摘をし、「その総括も反省も全くないまま、財界、大企業が主導して策定した骨太方針や日本再興戦略改訂版、規制改革実施計画を実現するために集約と活性化を押しつけ、安倍内閣の成長戦略のための地方の構造改革を進めるなどというのは、本末転倒も甚だしい」、こう申し上げました。

 地方衰退の原因ははっきりしております。輸入自由化により農林水産業を潰した、大店法廃止による商店街潰し、地方再生の名による都市再開発、東京一極集中の政策、そして、小泉改革で、地方交付税を削減し、平成の大合併へと地方自治体を追い立てたことだと思うんですね。

 これらは全て、私も当時反対しましたけれども、我が党の反対を押し切って、大臣、自民党がやってきたことではありませんか。

石破国務大臣 かつて地方にもにぎわいがあった時期がありましたということを何度かこの場でも申し上げました。

 それは、私の鳥取でも、今や人口五十八万を切りましたが、人口六十二万だった時期があるのです。それは昭和四十五年ぐらいから昭和五十五年ぐらいまでの十年間でした。

 そこにおいては、押しなべて地方と言われるところはみんなそうだったと思います。人口もふえ、駅前もにぎやかで、シャッター通りもなく、観光客もいっぱい来てという十年は、一体何でそんな十年があったんだろうといえば、やはり私は公共事業と企業誘致だったと思っています。

 それにかわるものを見出さないままに、ある意味で地方と農林水産業と次の時代にしわ寄せを押しつける形で国家を運営してきたのではないだろうかという反省を少なくとも私自身は持っておるところでございます。それは、私も政調会長や幹事長をやっておりましたし、農林水産大臣もやっておりましたから、人を批判するのではなくて、私自身、反省をしていかねばならないことだと思っております。

 そうでありますがゆえに、その地域地域の農業なら農業、漁業なら漁業、林業なら林業はなぜこんなになったのか。日本というのは農業と漁業と林業に世界一向いた国に決まっているのであって、土と光と水と温度の産業である農業、世界で第六位の排他的経済水域を持つ日本、そして国土の八割、七割が森林である日本で、何で農林水産業はこんなことになったのかという原因をきちんと究明していかねばならない。

 それは、私は、全てがTPPと自由化が原因だと思っていません。どうやって付加価値を上げ、どうやってコストを下げるかというマインドが決して十分じゃなかった点が多々あろうと思っています。

 観光客にいたしましても、ようやっと二千万に届こうとしていますが、本当に外国からお客さんを迎えようとしてきただろうか、日本の農産物を外国に出そうとしてきただろうかといえば、それはもう、論理は一貫して一つのものだと思っております。

 私どもとして反省すべき点は多々ありますが、反省ばかりしていても仕方がないのでありまして、そこをどう直し、これから先どうしていくかということについて地域の皆様方と真剣に話し合いながら、地域の創意工夫を最大限応援するという地方創生でありたいと考えております。

宮本(岳)委員 私は、昨年五月二十日、当委員会で大臣に、全国町村会からも国の合併推進策の問題点がるる指摘されているということを申し上げて、平成の大合併の失敗を潔く認めるべきだ、こう申し上げました。大臣は、口が裂けても失敗とは言えないという態度を変えなかったわけであります。

 今、何から何までよかったと言うつもりはない、反省点も大臣自身はないわけではないとおっしゃったけれども、本当に政策の中身一つ一つを掘り下げて、なぜこうなったのかということをしっかり反省するところから始めなければ、地方創生はおぼつかないというふうに私は思うんですね。

 そこで、中身に入りたいと思うんです。

 安倍首相は、去る三月三日、参議院予算委員会で、我が党の小池晃議員に対して、消費税八%の増税による消費の冷え込みについて問われて、予想以上に落ち込み、予想以上に長引いていると答弁されました。

 内閣府が昨日発表した二〇一五年十―十二月期のGDP改定値では年率で一・一%のマイナスですから、個人消費はさらに悪化をしております。

 そこで、石破大臣にもまず確認するんですけれども、地域経済においても消費税率引き上げの影響がやはり大きく響いている、この現状認識はお持ちですか。

石破国務大臣 消費が拡大しないのは、それは暖冬であったとか、いろいろな理由もございますが、賃金が物価の上昇に追いついていない地域があるということも、それは数字が数字として物語っていることだと思っております。

 ですから、賃金が物価上昇に追いつくようにしていかなければならない。それが生産性を上げるということであり、政府として、経営者の方々に、賃金を上げてくださいというお願いをずっとしておるわけでございます。

 あわせまして、消費税が上がったということもございましょう。

 さらには、「三丁目の夕日」の世界みたいに、あの映画の中で展開したのは、テレビが来たね、冷蔵庫が来たね、うれしかったねという、我々昭和三十年代に生まれた者はみんなわくわくしたものでございますが、そういう本当に欲しいものというものが世の中にもっともっと提供されてしかるべきではないだろうか。食べるものと着るものはある程度充足してきたけれども、では、住むところはどうなのだろうかという、国民のいろいろなニーズに対応した商品の提示の仕方というものも、政府として、民間の方々とともに考えていかねばならないことです。

 消費税の増税だけが理由ではございませんで、ほかにもいろいろな理由はあろうかと思いますが、消費が上がっていかなければこの国の経済の回復がないというのは、認識を一にするところでございます。

宮本(岳)委員 地域経済の疲弊というときに、消費税の増税の影響は地方にとりわけ深刻にあらわれていると思うんですね。

 いわゆるアベノミクスというものは、大企業が一時的にもうける効果はあるわけですけれども、地域の中小企業、農業、福祉などを衰退させる結果をもたらすものだ。だからこそ、あなた方も、アベノミクス第二ステージの中で、未来投資による生産性革命の実現とあわせて、ローカルアベノミクスは車の両輪だ、こう言わざるを得なくなったんだと思うんですよ。

 昨年、この地方創生で、地域消費喚起・生活支援型交付金が交付されました。政府の例示に沿ったプレミアム商品券、ふるさと名物商品券、旅行券等々が圧倒的でありましたけれども、これは、経済効果は限定的、一時的という評価が多いです。大臣もそういう御認識をお持ちですか。

石破国務大臣 これは、限定的、一時的でないように、地域における創意工夫をお願いいたしました。一律に二割引きであるとか三割引きであるとかいうことであれば、それは限定的、一時的なものに終わりますが、その地域において新たな需要を創出する。

 今まではその地域の人しか買ってくれなかった、その地域の人しか来てくれなかったのに、例えば鳥取だとすれば、今まで関西圏の人しか来ていただけなかったのに、東京から来ていただけるようになりました、あるいは、ある地域によっては、一回しか来てもらえなかったのに、リピートして来ていただけるようになりました、あるいは年代が違う方に来ていただけるようになりました等々、宿泊にいたしましても、観光にいたしましても、あるいは物品の消費にいたしましても、今までと違うお客様、今までと違う消費形態というものが生まれているというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、これはきちんと集計をして、分析をして、さらによりよきを期していきたいと考えております。

宮本(岳)委員 限定的、一時的であってはならないというわけでありますけれども、本当に地域の経済の再生、活性化ということを考えれば、これはやはり、安定した雇用と社会保障をしっかり地域にどう保障していくかということに向かわなければなりません。

 ただ、ローカルアベノミクスというものが、本当にそういう真剣な反省の上に立った取り組みになっているかといいますと、私は、この間、一月二十五日の産業競争力会議に提出された今後の検討方針というペーパーを見せていただきました。きょうは内閣官房に来ていただいていますけれども、この今後の検討方針の中で、ローカルアベノミクスの推進というのは一体どこに位置づけられておりますか。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御質問ございました成長戦略の進化のための今後の検討方針におきましては、名目GDP六百兆円という希望を生み出す強い経済の実現に向けまして、生産性革命を実現する仕掛け、あるいは成長を担う人材の創出など、五つの大きな柱で検討項目が列記されております。その五つの柱の中で、ローカルアベノミクスの推進につきましては、戦略的成長市場の拡大戦略と並ぶ重要な検討項目として位置づけられているところでございます。

宮本(岳)委員 ペーパーを見ましたけれども、GDP六百兆円に向けた戦略的成長市場の拡大、ここにローカルアベノミクスが位置づけられているわけですよ。つまり、結局、新三本の矢に掲げられたGDP六百兆円という目標がそのままローカルアベノミクスの目標となっている。こういうやり方で本当にいくのかということを私は問わなきゃならないと思うんですね。

 大臣、まず地方の働く場をきちっとつくる、それから小規模企業がしっかり事業を継続できるようにする、そういう施策こそ、私はもっと真面目に愚直に進める必要があると思うんですけれども、それこそ大事なんじゃないでしょうか。いかがですか。

石破国務大臣 私ども、今の日本においてトリクルダウンの理論というのは当てはまらない部分が多いだろうと思っておりますし、政府としてトリクルダウンということを申し上げたことはございません。

 また、世界を相手に商売するグローバルな経済とローカルな経済というのは、重複するところもございますが、今の時代はかなりそこがセパレートされてきたものだという認識を持っております。

 子細に見てみましたときに、地方において雇用の多くを占めておりますサービス業、その生産性はかなり低いのだと思っております。アメリカのみならずヨーロッパ諸国に対しても低いということを考えた場合に、まさしく愚直に、そこにおける生産性を、労働強化とか労働者に対する首切りとかそういう形ではないやり方で労働生産性を上げることが、今であれば可能だと思っております。

 ただ、そこまでしなくてもというような気分をお持ちの経営者もいらっしゃって、もう自分の代で終わるのだ、息子にこの仕事をやらせるつもりはないのだという方も多いので、そこにおいて生産性を上げてくださいよと言っても、余計なお世話だみたいなところもあるわけですね。そこにどうやってその気になっていただくかということは、私どもとしていろいろな工夫が必要だろうというふうに思っております。

 さあ皆さん方が頑張ってくださいだけでどうにかなるんだったら誰も苦労しないのでありまして、地域の方々の疲弊しちゃった諦観みたいなもの、諦めの気持ちみたいなものをどうやってもう一度活性化していただくかということについて、さらに誠心誠意努力をしなければいけないと考えております。

宮本(岳)委員 おっしゃるとおりで、後継者不足というのは本当に、後継者難が一つの鍵になっていまして、中小企業庁が行った引退後の事業継続の意向調査というのを見ても、事業をやめたいという経営者の五割超が後継者難をその理由に挙げている。後継者がいないというのがやはり一番の原因なんですね。

 ただ、それは商売に展望がないからでありまして、最大の問題は、これまでの自民党の経済政策が中小業者にとって展望を奪うものになってきたと思うんですよ。

 私は財務金融委員会もやっておるんですけれども、来年からの消費税増税に伴う軽減税率に伴って、二〇二一年度からインボイス方式の導入ということが決められようとしております。

 インボイスが入りますと、大半は零細な業者ですけれども、全国で五百万を超える免税事業者を事業者間取引から排除するという結果になる。どれだけこの五百万が減っていくだろうかという議論も随分やりました。

 ただ、私が現場で聞くと、インボイスの導入など待たずに、来年消費税が一〇%に上がれば廃業する、こういう声がもう圧倒的なんですね。ここに本当に手を打たなければ、そういう業者を潰すような政策を切りかえなければ、幾ら地方に働き場所をといっても済まない。これはもう聞かずに、御指摘を申し上げたいと思います。

 また、農家の後継者不足も深刻です。TPPをやられたら農業をやめる、こういう声が列島に渦巻いております。

 きょうは配付資料をおつけいたしました。大臣の地元、鳥取県農業会議が平成二十三年二月に行った「農業・農村の現場からTPP問題を考える」というアンケート調査結果の概要であります。恐らく大臣もこれはごらんになったことがあるかと思います。

 中を見ていただくと、約八割の人がTPP参加に反対や慎重な姿勢、こう述べた上で、TPP参加の影響について、回答者の八割が、農業が壊滅し、地域社会が崩壊する、こう予測しております。

 大臣、TPPに参加したら鳥取の農業人口はふえると思いますか。ふえるというのであれば、その根拠をお聞かせいただけますか。

石破国務大臣 私は、そこに明確な因果関係が存在すると思っておりません。TPPに参加したらふえるとか、しなかったらばふえるとか、そういう問題だと思っていないのです。

 むしろ、私自身は、これは農林水産副大臣のときからずっと思っていることなのですが、TPPに参加しようがしまいが、この国の基幹的農業従事者の平均年齢というのは、二十年前は四十五で、十年前は五十五で、今は六十五です。要は同じ世代の方がずっと基幹的農業従事者でやっているわけで、人間は不老不死ではありませんから、基幹的農業従事者の方がある日突然どんといなくなるという事態が起こるはずなのです。

 それでも二種兼業が残るからいいさという議論もあったんですけれども、今、二種兼業農家が一番減っているわけですね。それは、三反でも四反でもやろうと思えば、稲作の場合ですが、七百万ぐらい初期投資が要るのでとても間尺に合わないということで、若い方々は、もう二種兼業でもやめたという方が続出をしておるわけであります。

 これから先、人口は急減するわけですから、だとしたら、そこにおいて、日本の農業者はどこにマーケットを求めていったらいいのだろうかということを考えていかなければなりません。

 もちろん、私は自給率という言葉は余り使いませんが、自給力も上げていかなければならないでしょう。同時に、海外のマーケットに対してどうやって打って出るかということを考えたときに、私が議員になったころは、日本の米みたいに水分が多くて粘り気の多いものは絶対東南アジアじゃ売れないと言われました。今や東南アジアで、日本の米は麻薬、つまり、一回食べたらやめられないと言われているようなものになりました。私は、海外において市場を開拓し、そこにおいて農業者の人口を確保し、あわせて日本の農地の減少を食いとめるということも考えていかねばならないことだと思っております。

 TPPにおいて、私どもが国民に対しまして重要五品目の維持というものはやるんだと言うのは、スローガンで申し上げたわけではなくて、農業者の人口と農地というものをどうやってこれからの人口減少期において確保するかというような考えに基づいたものだと承知をいたしております。

宮本(岳)委員 後継者がいない、つまり、四十五歳、五十五歳、六十五歳と進んでいっているのは、私は、やはり農業で食べていく展望が見えないからだと思うんですね。そこに本当に展望を開かなければ、幾らそう言ったって、衰退の一途をたどることは明瞭ですよ。そして、TPPというものがそういう不安を農家の間に広げていることは事実でありますから、そこに何ら回答はまだ示されていないということだと思うんですね。

 大臣は所信で、道州制についても触れられました。「国会における御議論も踏まえつつ取り組んでまいります。」こうおっしゃったわけですね。この道州制もそうなんです。道州制も、実は全国町村会、全国町村議会議長会が、道州制の導入により市町村合併がさらに強制されれば、農山漁村の住民自治は衰退の一途をたどり、ひいては国の崩壊につながっていくと、断固反対の決議を繰り返し上げております。大臣はもちろん御存じだと思うんですけれども、それでもこれは進めるんですか。

石破国務大臣 私は道州制担当大臣でもございますが、これはまず国会において、道州制はどうなのだろうかと。

 前の御議論でも、これは憲法改正を必要とするんだとおっしゃる論者の方もおられます。我が党としては、憲法を改正しなくても道州制の導入は可能だという立場でございます。

 ですから、道州制導入について賛否両論あるんですけれども、私は長くこの議論を聞いていて、どうも交わらないんですよね。道州制導入の方々は、これをやらないと国が潰れるとおっしゃり、反対の方々は、これをやったらば国が滅びるとおっしゃり、どっちも国が滅びるという結論だけ一緒で、論理構成が全然違っているので、そこを少しでも近づける努力をするのは、まさしく議論の場たる国会の責務ではないかと思っております。

 実際、道州制を導入したときに、では国会の権能というのはどうなるんでしょう。外交と安全保障と財政だけやればいいということになったらば、国会議員の仕事とか数とかいうのはかなり変わってくるはずですし、では農林水産省設置法はどのように変わり、あるいは国土交通省設置法はどのように変わっていくのか等々、その各論が全くないままに、そういう論を唱える人間はとんでもないやつだみたいな感情論の応酬をやっていると、この話は前に進まないと思っています。

 私は、中央政府は外交、安全保障、財政、通貨、そういうものにかなり特化すべきだというふうに考えておりまして、ニア・イズ・ベターという考え方には共感するものでございますが、政府としてこうだということを申し上げるというよりは、まさしく国会の場においてそういう議論をちょうちょうはっし展開していただいて、少しでも前向きに進めていただきたいと考えております。

宮本(岳)委員 時間が来ましたから終わりますけれども、全国町村議会議長会は、「道州制の導入には断固反対」と題したパンフレットで、「我々は意見や問題提起をしてきたが、その都度与党の自由民主党からは、道州制の導入が前提であるかのごとく、すれ違いの表面的な回答しかもらえないのが現状である。」こう強い憤りを示しておられます。

 今、全国の町村議会で七百二十一町村議会、全体の七七・五%の議会で、道州制導入に反対する意見書というのが採択されているわけですよ。八割弱ですよ。

 道州制は、まさに大臣がおっしゃったとおり、国の仕事を外交、軍事などに限定し、社会保障や教育などを守る国の責任を投げ捨てる、国家制度の大改変計画だと言わなければなりません。市町村も再編され、住民から一層遠くなり、住民サービスも危うくなるなど、地方自治の変質、破壊そのものだ。あなた方の掲げる地方創生とも相入れません。全国町村会や全国町村議長会が反対するのは当然だと思うんです。

 こういう方向ではなく、本当に住民と自治体の総意を酌み上げて、これを応援する地方創生の施策の立場に転換することを強く求めて、私の質問を終わりたいと思います。

山本委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後一時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮崎岳志君。

宮崎(岳)委員 民主・維新・無所属クラブの宮崎岳志でございます。

 午前中の質疑では、定足数割れでたびたび審議が中断しました。ぜひ私の質問の途中だけはとめないようにお願いしたいということをお願い申し上げます。

 さて、地方創生と、また安倍政権が昨年の秋から言い出しました一億総活躍の関係についてまず伺いたいと思います。

 おととしの秋、地方創生ということが出てきて、大臣が担当になられた。昨年秋には、一億総活躍ということがまた出てきた。どうも、わかったような、わからないようなところがあるわけでございます。

 安倍総理は大変気の強い方で、何か言われると必ず言い返されるんですが、アベノミクスが最初言われました。そのときに、これは大都市や大企業ばかり潤って、地方に恩恵が行かないんじゃないか、こういう批判が大変高まっていた時期が一昨年の夏ごろだと思います。そうすると、地方切り捨てだという批判が高まったかと思うと、突然、地方創生という言葉が出てきて、なるほどと思っておりましたら、昨年、やはり安倍政権は強権的ではないか、社会的弱者に厳しいのではないかという話が高まってくると、また今度は一億総活躍という話が出てきます。

 動機はともあれ、言った以上はきちんとやってもらいたい、こういうことでございますが、この際に、地方創生と一億総活躍の関係はいかなるものかと。

 地元に戻った際に、国会議員の方々、また地方議員、地方の首長さんら、皆さん、地方創生ということは演説等で頻繁に言われるわけですが、最近、余り政府が大上段に言うことも少なくなった気がしておりまして、この両者の関係を改めてちょっと整理していただきたいというふうに思うんですが、どんな関係にありましょうか。大臣、お願いします。

福岡副大臣 我が国の構造的問題であります少子高齢化に真正面から挑みまして、強い経済、夢を紡ぐ子育て支援、安心につながる社会保障の新三本の矢の実現を目的とする、誰もが活躍できる一億総活躍社会の実現は、安倍内閣にとりましても大変大きな目標であるというふうに考えております。

 一方、先ほど御指摘ありましたように、地方は少子高齢化や過疎化のまさに最前線でございまして、地方創生は一億総活躍の目標実現において最も緊急度の高い政策の取り組みの一つであるというふうに認識をしています。この点については、知事会等からも御要請いただいているところでございます。

 このため、加藤大臣初め担当部局と緊密に連携をとりながら、地方創生に向けた取り組みを推進することによって、一億総活躍社会の実現に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。

宮崎(岳)委員 そうすると、地方創生というのは一億総活躍の一部だということでよろしいんですか。大臣、お願いします。

石破国務大臣 それでも構いません。

 構いませんというのは、一億総活躍というのは、我が国の人口は一億二千七百万人いるわけで、あとの二千七百万人はどうでもいいとか、そんな話でも何でもなくて、要は、国民一人一人がそれぞれに生きがいを持って居場所を見つけて生きていけるような、そういう社会をつくっていかなければいけないということだと思います。そこで具体的に、希望出生率一・八であるとか、GDP六百兆であるとか、介護離職ゼロであるとか、そういう目標が設定をされているわけでございます。

 ですから、地方創生というのは、東京の人と富を地方にばらまこうとかそういう話ではなくて、東京も地方もお互いが裨益する、そういうような日本にしていかなければ、今のままいくと時間差を置いて地方も東京も消滅に向かうという考え方でございます。

 ですから、一億総活躍というのは、地方創生のみならず、全ての政策部局において達成すべきものでありまして、そういう意味合いにおいて、地方創生はその一部だと言っても全く問題はないことだと思っております。

 今副大臣から答弁申し上げましたように、一億総活躍実現のために、地方創生という観点から、私どもとして全力を尽くしていかねばならないし、そうであるがゆえに、まち・ひと・しごと創生本部というのは、総理を長として全閣僚が参加をする形、ほとんどの閣僚が参加する形で構成をしておるものでございます。

宮崎(岳)委員 やはりちょっとよくわからないんです。

 別に私、嫌みや意地悪で聞いているわけじゃなくて、例えば、一億総活躍と地方創生というのは、車の両輪であるのか、あるいは、地方創生が一億総活躍の一部に内包されるものであるのか、重なり合うものであるのか、いろいろな表現があるかと思うんですが、安倍政権が、地方創生というものがいまだ道半ばというか、はっきりした姿が見えていないうちにまた新しいことを言い出されているので、一体これは何なんだろう、地方創生の位置づけというのはどうなってしまったんだろうなという意味で聞いているわけです。

 一億総活躍ですから、何でも一億総活躍になりますよね。財政だって国防だって、全部一億総活躍なんです、そう言ってしまえば。だから、ある意味そこにおさまるといえばそうなんですけれども、そうではないと思うので。

 内閣の中の位置づけとして、一億総活躍と地方創生というのは、重なり合う部分はあるけれども別物なのか、それとも、一億総活躍の一部が地方創生なのか、そういった位置づけについて、改めて教えていただけますか。

石破国務大臣 一部なのかそうではないのかということについて、政府部内あるいは閣内で委員御指摘のような突き詰めた議論をしたことはございません。

 私の認識として、例えばGDP六百兆と言ったときに、誰でも知っている、世界を相手に商売している製造業が雇用に占める割合というのはそれは二割ぐらいのものなんでしょう、GDPに占める割合というのは三割ぐらいのものなのでしょう、それ以外の、雇用の八割、GDPの七割は、主に地方に立地するそれ以外の産業が担っているわけで、そこの生産性を上げ、GDPを上げていかなければ、六百兆なんて実現するはずがないというふうに考えております。

 あるいは、希望出生率一・八にいたしましても、地方によって、また御質問があればお答えをさせていただきますが、全国千七百幾つあります自治体によって出生率というのはこんなに違うのか、例えば平均初婚年齢というのはこんなに違うのかということで、私も愕然としているところでありますが、それは、北海道から九州、沖縄まで、別に違う法律が適用されているわけではございませんので、地域の独自のいろいろな課題があるのだろうということでございます。

 あるいは、介護離職にしても、CCRCというものを法律の中に位置づけたいということで御審議をお願いいたしておりますのは、そのCCRCというものを実現することによって、まだ元気なうちから地方でコミュニティーをつくり地域の方々と交流をして、要介護になるというのをなるべく抑制していく、仮にそういう状況になればきちんとケアをするということを企図しているものでございます。

 ですから、一億総活躍に掲げられておりますいろいろな目的は、地方創生の目的と重複するものが多うございます。ですから、一億総活躍は委員御指摘のように日本国民全てにわたるものでございますから、地方創生はその一部だと言っても、論理的に決して間違いではないと考えております。

宮崎(岳)委員 何でこんなことを聞いているかといいますと、午前中、篠原豪さんの質疑でもあったんですが、地方創生というのは何なのかというのが私にはよくわからないんです。

 それは、地方を大事にしようというのは当たり前の話で、これまでも、歴代の内閣も言ってきたし、それぞれの国会議員も言ってきたと思うんですね。しかし、そこで地方創生とわざわざ言うからには、そこには何か大胆なもの、新しいもの、そういったものが存在するんだろうというふうに推察をするんです。ところが、何が新しいのかが正直よくわからないというのが現在の心境であります。

 例えば、ひもつき補助金を出して事業を支えるというのは、これは昔からある話でありまして、別にそれが新しいわけではない。それが地方に行くというのも昔からある。あるいは、計画を立てさせて、それを認定して、目標管理を行って成果を検証する、そういうのもよくある話で、別にこれまでなかったわけではない。(発言する者あり)なかったと言うんですが、あるんですよ、それは。あるんです。

 地方創生って何ですか、例えば本当の一般の人にこう聞いてみたところで、その人が、これだという、ぴんとくるものが今のところ余り考えつかないと思うんですね。大体どういうふうに一般の人が言うかといいますと、ああ、それはふるさと納税のことでしょうとか、プレミアム商品券ですかとか、そういう話なんです。

 石破大臣の理念はわかるんですよ。今言われた、午前中の審議でも言われてまいりました理念はわかります。では、地方創生というのはどんな政策なのかと一言で言うと、あるいは本当に短く三十秒ぐらいで言うと、どんなことになりますか。

石破国務大臣 それは、地方の発展というのは、今まで、霞が関に来て、公共事業ちょうだい、大手町、丸の内を回って、企業来てちょうだいということが、ともすれば地方の振興であったということは、間違いのないことだったと私は思っています。そうではないのだと。ですから、前橋のことは前橋でなきゃわからぬ、高崎のことは高崎でなきゃわからぬ、桐生のことは桐生でなきゃわからぬ、前橋を、高崎を、桐生をどうしましょうかというのは、その地域で考えてくださいねということであります。

 そんな計画は、今までどこもつくっているとおっしゃるかもしれませんが、委員の表現をかりれば、では、前橋の駅前で、前橋市の第何次何カ年計画を知っていますかと言っていって、私、知っていますという人がいたとしたら、それは市役所の関係者なんでしょう。それ以外の市民は全然知らないのだと思います。どんな目標が定められていましたかと聞いても、誰も知りません。できたかできないかも知りません。誰か責任でもとりましたかといっても、誰も知りません。ですから、やりっ放しの行政であり、頼りっ放しの民間であり、無関心の市民の三位一体がずっと進行してきたのだと思います。

 それを全く変えるのだということであり、行政は地域の方々が選ぶものですから、誰が首長だって同じさなどということは、地方自治の否定以外の何物でもございません。その地域がよくなるか、ならないかは、地域住民の責任なのです。国が何かしてくれるからよくなった、何にもしてくれないからだめになったという、それも全く否定はしませんが、常にそれにエクスキューズを求めるというやり方は、それは誤りだというふうに私は思っております。

 地方において、先ほど申し述べましたように、製造業はそれなりに生産性を持っていますが、そのほかの産業において生産性を上げていく余地は多分にあるのだということでございます。実際にそういうことを考えたことがあるだろうか。あるいは、一つの町の経営を考えたときに、人、物、金がどこから入り、どこへ出ていくのか、どんな人であり、どんな物で、どんな金であるということを突き詰めて議論をしただろうかというと、それは違うと思っております。

 右肩上がりの経済のときであれば今までのやり方でもよかったのですが、経済がそんなに伸びることはない、人口は急減する、地価は下がるあるいはこのままで推移するということになれば、やり方を変えなきゃいかぬのは当たり前のことです。

 三十秒で説明しろと言いながら二百秒もしゃべっていますが、そのようなことではないかと思っております。

宮崎(岳)委員 一言で言えば、恐らく、石破大臣の言いたいことは、地方がそれぞれの自主性を持って、頭で考えて、権限も持ってやるべきだということに尽きるような気がするんですね、私なりの解釈で今の言葉を言えば。ところが、何か、どうもそうなっている感じがしないのがつらいところでございます。

 例えば、一例を挙げれば、地方版総合戦略の第一号というのを京丹後市というところがつくりました。この京丹後市というのは、昭和二十五年に人口が八万三千人いたんですね、当時、域内の人口が。それが、二〇〇四年に合併したとき、これは多分、数字自体は二〇〇〇年の国勢調査だと思いますけれども、六万五千人に人口が減っている。現在は、十数年たって、六万五千人いた人口がさらに五万七千人まで減っている、こういう状況だと思うんですね。直近の五年間ぐらいを見ますと、七百人ずつ減っている。よくある地方都市の姿かなというふうに思います。これ自体は、別に特殊なことだとは思いません。

 二〇六〇年に、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、この京丹後市というのは、人口が二万六千人になるんだという推計を出されている。それに対して、地方版総合戦略の第一号、そのもととなる人口ビジョンというところで、人口を二〇六〇年に七万五千人にする、こう目標を立てられている。目標というか推計ですね、うまくいけばこうなるんだと。

 二万六千人になるというものが、七万五千人になる。それは、なればいいと思います。なればいいと思うんだけれども、その総合戦略を見て、中身、それはいろいろ御苦労はそれぞれされている政策だと思いますけれども、人口が三倍ですからね、そんな劇薬のようなものなのかというのは、正直、ちょっと疑問に思わざるを得ない。いわゆる大本営発表とか大躍進運動とかに近いものに何かなってしまっていないか。

 こういうことで、第一号がこういうことなんですね。そうすると、これまでと変わらないんじゃないですか、こういう疑問がある。そういうことなんです。いかがですか。

石破国務大臣 御指摘がありました京丹後市の人口推計はかなりアンビシャスなものだと私も認識をいたしております。それを、もしもし、余りにアンビシャスなのでもう少し考え直してくれませんかというような権能を私どもは持ちません。それはもうそれぞれの自治体において策定をされたものでございます。

 ですから、KPI、キー・パフォーマンス・インディケーターという目標設定のようなものでそういうものを掲げられた、それは大本営発表だろうが何だろうが、そういうものを掲げることが悪いとは申しません。それなりの推定根拠もあるのでございましょう。

 それだけではなくて、ですからPDCAということを申し上げている。おととし、PDCAと言ったときは、百人中九十八人がわからなかったと思いますね、行政の担当の方々は。

 民間においては当たり前のPDCA、企画立案、プランのP、実行する、ドゥーのD、点検をする、チェックのC、それによって新たな改善行動を起こす、アクションのAというものが機能して、さて、そういうアンビシャスな目標を立てました、プランです、それでいろいろな施策を実行しました、でも、チェックをしてみたらそうはなりませんでしたということになったとしたならば、それはなぜなのだろうかという議論がそこで行われる、仮にそれが現実と乖離したものであったとすれば、なぜなんだという修正が行われるということだと思っております。

 ですから、PDCAにしても、KPIにしても、本邦初演みたいな形でやっておりますので、それぞれを全部合体させたらば国のどんな姿が出るのだろうかというものは、一回やってみなければわかりません。

 なおなお改善の余地はあるだろうと思っていますが、それぞれの自治体において、本当に産官学金労言が知恵を絞ってかんかんがくがくの議論をして、今までそんなものに参画したことがなかったよという信用金庫の方々、今までそんなことに参画したことがなかったよという高校生の方々、あるいは、連合にもお願いしていますが、今までそんなことはやったことがなかったよという連合の方々にも入っていただいて、かんかんがくがくの議論の末に手づくりでつくったものと、どこかのコンサルに丸投げして全然誰も知りませんというものは、それはおのずと違いが出てくるような気が私はいたしております。

宮崎(岳)委員 KPI、重要業績評価指標ですかとか、PDCAとか、私は、新しそうで余り新しくないような気もするんです。中心市街地活性化基本計画等で同じようなことをやっていたんじゃないでしょうか。

 それで、結局、その制度でやってみたところが、業績評価までやったけれども、ほとんど、まあほとんどとは言いませんけれども、多くはその目標は達成できなかった。特に、販売額とか人口とか通行人数とか、その肝のところの数字というのは恐らく一割とか二割しか達成できていないというのがそのときの教訓だったのかなというふうに思うんです。

 だから、まちづくりにかかわっている方ですよ、地方創生でしょう、地方創生なんだから、それにかかわっている方は、まちづくりとか中心市街地活性化にこれまでにかかわってきた方が結構多いんです。そういう方々は、またKPIやるの、またPDCAやるの、これで何が変わるのという感じの方もいらっしゃるというのが私は現実だと思っているんです。

 もう一点、ちょっとそれに関連してお伺いしたいんですが、かつて大臣が、最初のころ、二〇一四年九月十二日に、まち・ひと・しごと創生の推進に当たっての基本方針というのが出たと思うんですね。その中で、「現場に積極的に出向き、地域における先進・成功事例だけでなく、成功には至らなかった事例も含め、得られた知見を今後の政策展開に生かす。」こういうのが基本方針の中に載っております。

 その三日前の九月九日の石破大臣の会見でございますが、成功に至らなかった事例も含めてということについて、農林水産省に長く私もおりましたが、成功事例というのは持ってくるんですね、大喜びで。だけれども、その裏には山ほど失敗事例があるはずなんです。むしろ成功事例よりも失敗事例の方にいろいろなシーズがあるだろうと私は思っているわけでございまして、さすがに失敗事例とは書けないので、成功に至らなかった事例というふうに書きましたが、そういうものもちゃんと検証をしていかなければならない。一生懸命みんながやったのに何でうまくいかなかったんだろうというのは山ほどあるはずでございます。そこから成功事例を導いていかなければいかぬのでありまして、そこは何らかの誤りがあって失敗に至ったということもあるはずです。それは誰の責任だ、彼の責任だということを追及しようというつもりは全くないが、それを生かしていかなければ、これから先のまち・ひと・しごとを創生するという事業はできない、そういう思いでこの総理指示はできている、こういう発言が、石破大臣御本人の発言です。非常にそのとおりだというふうに思うんですね。

 大臣、これまでに恐らく、成功に至らなかった事例というのを、各省庁にそれを上げろ、報告しろ、あるいはそういうことを集めて検証する、こういうことはやられたのかなというふうに私は思うんですけれども、それはどうでしょう、やられましたか。結果はいかがだったでしょうか。

石破国務大臣 悉皆的に失敗事例を集めてという指示は出しておりません。それはやはりそれぞれの所管省庁がございますし、私の権能を越えた部分もございます。

 世の中にいろいろな書物があって、「墓標シリーズ」というのがありまして、私は結構関心を持って読んでみたのです。なるほど、こうやると失敗するのかという。やはり私たちも、私も週末ごとに幾つも自治体にお邪魔をしていろいろな講演とかお話をしていますが、この「墓標シリーズ」のところへ行くのは正直言ってつらいです。こんなにうまくいかなかった、なぜなんだ、責任者追及みたいな話になりますので。

 ですから、特定の何々県何々市においてはなぜ失敗したかみたいなことを余り表座敷で語ることではないと思っていますが、悉皆的に出てきません以上は、やはりそういうような「墓標シリーズ」みたいなもので紹介された例というものは私どもの部局としてよくシェアをしながら反省をしていかねばいけないと思っております。

 また、繰り返しになって恐縮ですが、この閣議決定、平成二十六年十二月二十七日には、なぜうまくいかなかったかという場合に、縦割り構造、全国一律の手法、ばらまき、地域に浸透しない表面的な施策、短絡的な成果を求める施策なぞをやってきたので、国としては反省すべき点が多々あるねというふうに思っておるところでございます。

宮崎(岳)委員 今大臣からまさに言われました「墓標シリーズ」というのがありますが、これは木下斉さんという、まちづくりにかかわっている、私より一回りも年下ですかね、若い方がやられていることなんですね。私も直接面識もあるんです。その木下さんがやはり書かれていた文章の中で、現在やられている地方創生というのはこれまでやっていた同じ失敗の繰り返しではないか、結局、計画をつくって、それを認定して、計画に合ったものには補助金を出すというような仕組みというのはうまくいかないのではないかという御指摘もされている。

 あと一つ、これを私があえて質問したのは、実は、石破大臣が、失敗事例というか、まあ成功に至らなかった事例を報告せよということでいろいろ役所の方に命じたんだけれども、それが、失敗したものというのは上がってこなかったという話を木下さんが文章の中で書かれていたので、では、そういうことがあったのかな、あるいは、なかったのか、やっていないのか、いろいろだと思うんですが、そこら辺はいかがでしょうか。

石破国務大臣 それは、私が指示したのに上がってこなかったという事実はございません。

 ただ、私も、例えば農林水産であれば政務次官も、総括政務次官、今でいう副大臣も、大臣もやりました。いろいろな例は承知をいたしております。これは地方創生と余り関係ないのかもしれませんが、防衛省にも長くおりましたが、いろいろな事例を見ております。

 上げたくないのは、一体誰の責任なんだという話になって、それが責任追及の場と化して、何となく人間の怨念、嫉妬みたいな世界が渦巻くのも余り楽しくないので、そういうことがなかなかできてこなかったんだろうなというふうに思っております。

 今おっしゃった「墓標シリーズ」のほかにも、例えば、単行本ですが、反骨の自治体というのがありまして、国の言うとおりにやるとこんなに失敗したみたいな、そういう事例集であります。

 ですから、私は、国のやることが全て無謬だと思っていませんし、責任を追及するということに全く意味がないとは申しませんが、とにかく、今までなぜ失敗したのか、「墓標シリーズ」の著者の方が今度も一緒になるよとおっしゃるのはなぜなのかということを考えたときに、手法が似ているからだということなのかもしれません。

 ただ、今回は、新型交付金も制度の中に位置づけようと思って御審議をお願いしますが、国が、いろいろなメニューがあります、さあ、その中から選んでちょうだい、どれが事業が大きくて、どれが補助率が高くて、どれが負担が少なくて、その後の効果なんか、検証なんかどこにもない。だって、日本国じゅう回ってみて、委員の選挙区にもあるかもしれませんが、つい十数年前に建てたぴかぴかの建物が、今や廃墟と化しているものがいっぱいありませんか。そういうものは絶対にだめなのだということは、今までと全く違うことだろうと思っております。そんなことをやっていたら、この人口急減期に自治体なんかもつはずがないのであります。

宮崎(岳)委員 現状認識は、私と大臣はほとんど同じだというふうに思うんです。

 ただ、私は、大臣の今やっている地方創生というものにかなりの物足りなさを感じております。それは、先ほどお名前が出た木下さんも恐らく同じ思いでそういったことを書かれているのかなというふうに思うんですね。「墓標シリーズ」の著者の方ですね。また墓標ができるんじゃないかという観点で恐らく書かれているんだと思います。

 では、なぜか。これを私なりに判断しますと、私が見ると、やはり今回の地方創生というのは、制度というものに切り込みが十分ではないのではないか、だから新しいところが感じられないのではないかというふうに思うわけであります。

 方向性はいいと思うんですよ、大臣のおっしゃることはそのとおりだと思いますし、これまでの積み重ねを生かして、それを漸次前進させていくということでいえば、例えば、今、百あるものを百三にしていく、百五にしていくということなら、それでいいと思うんですね。

 ところが、今やろうとしているのはそうではない。百あるものが七十とか六十になってしまった、これを巻き戻して何とか八十とか九十に行かせよう。できれば百を超えて百十とかになればいいな、こういったことでありまして、ちょっと古い、昔流行した言葉でいえば、パラダイムシフトというものですね。これまでの枠組みを大転換させないと変わらないのだ。

 なぜなら、今、地方総負けですよ。発展している地方というのは、大都市圏以外には基本的にはないわけです。つまり、地方の中にも優秀な人もいろいろいるし、自治体の中にもいい自治体、悪い自治体いろいろあるんだと思いますが、総じて大体失敗しているというのが今の姿であって、地方が勝ち組と負け組に分かれているということではないです。

 もちろん、百に一つとか百に二つぐらいの成功事例みたいなものはありますけれども、これが、七割勝って三割負けたみたいな話には基本的になっていないし、確かに、人口が流入しているような自治体もあるけれども、それは、ベッドタウンとして開発されたとか新幹線の駅ができたとか、そういう外部要因によるものが多くて、基本的には総負けだというふうに思っているわけですね。

 そうすると、総負けになっている根本的なところに手をつけないといけないのではないかなというふうに私は思っているわけです。

 そういった意味で、例えば縦割りの弊害を打破するんだ、それはそうだと思うんですね。縦割りの弊害をとめなきゃいけない。しかし、それをやるときに、縦割りの垣根自体を壊しているわけではないですね。そこに調整役を置いて、おのおのを調整できるようにするとかワンストップでどこに行けという指示をしてあげるとか、確かに便利になると思うんです。しかし、それは根本的なパラダイムシフトになるのかなというところがあります。

 私は、予算委員会でも大臣に政府機関の地方移転について質問させていただきました。私は、後でまた質問項目に入っていますが、五十何機関移転すると言っているのに、実際に地方に行く人間が五十人しかいないじゃないか、これはそんな効果があるものですかというふうに言って、大臣は、いや、実際に人が行かなくても、効果が発現すればそれは価値があると。それはわかるんですよ。地方に移すことによって本体の機能が損なわれてはしようがないじゃないか、それもわかるんです。

 しかし、そこを乗り越えるようなパラダイムシフト、大胆な施策が、つまり制度に切り込むようなものが求められているんじゃないかというのが、私の今回言いたいことであります。

 今回は大臣所信への質疑ですから、ある意味、骨太の話、全体の話をさせていただいているんですけれども、まちづくりで、まちづくりというのは若者、よそ者、ばか者にやらせればいいんだ、そうしないとうまくいかないんだという言葉をよく使います。大臣も、答弁の中でもそういう言葉をこれまでも言われたことがあったかと思うんですね。

 私、正直言って、やはり大臣はまだばか者にはなれていないなというところがあるんです。大臣もいろいろな御批判を受けるでしょうけれども、不真面目だとかチャラいとかいう批判を受けたことは余りないと思います。

 私は、大臣、もっと鬼気迫る実行力を持って断行していただくようなところを正直期待しておるところであります。いかがでしょうか。

石破国務大臣 御指摘、御批判は謙虚に承りたいと存じます。

 例えば、高崎の町中というのは結構元気になりつつあるのではないだろうかと思っておりまして、コンサバティブな人たちはどこにもいるものですが、やはり若い方、よそから来た方、斬新な発想をされる方、よそ者、若者、ばか者というのを入れることによって変わる。そこは、そういう人を入れてでも活性化しようというマインドがあるのか、もうそんな人は来なくていい、自分の代で楽しい町だった、せがれも帰ってこなくていい、後は朽ち行くのみであるというふうに思うか、そこの決めの問題の部分がかなりあるんだろうと思っているのですね。

 そこへ、このまま朽ちるままでやむを得ないのだというところに、無理やり何かするわけにはいきません。ですけれども、これではいかぬと思っているところは着実に点が密になりつつあるし、またそれが面になりつつあるところも私はあると思っているんです。

 私のお隣の県の島根県に行きますと、海士町だけではない、例えば邑南町であるとか雲南市であるとか浜田市であるとか、そういう面になりつつある感じがしているのです。それは、島根に行ってお話を承ると、行き着くところまで行ったんだ、これはもうやるしかない、そういうお話をあちこちで承ります。

 この間、雲南に行きましたときに、今まで市民というのは、市役所にやってきて、あれをやってくれ、これをやってくれというのが市民だった、しかし、今や市民がやってきて言うのは、これを俺たちにやらせてくれ、あれを俺たちにやらせてくれというふうに変わっていったんだというお話でございます。そこは、竹下予算委員長のお話をかりれば、やはり島根はそこまで追い詰められたからさというふうにおっしゃっておられましたけれども、そういう面になりつつあるところが実際問題ある。

 邑南の数字なんかを見てみますと、高齢化比率は社人研の予想よりも低いんですね。そして移住者の数もふえているんです。邑南がやっていることは、日本一の子育ての村をつくるのだということで、実際にいろいろな施策をやっています。あるいはA級グルメの町。B級グルメならどこでもあるけれども、結局それは生産者が幸せになっているんだろうか、やはり付加価値をつけていくという形で人を呼び込まなければだめではないかということで、そういうようなところもあるわけでございます。

 ですから、私は、委員御指摘のようにばか者になり切れていない点は深く反省をいたしますが、なり過ぎるとまたお叱りをいただきますので、よく気をつけてやりたいと考えております。

宮崎(岳)委員 これはお答えは要らないんですけれども、環境庁ができたときの話を私は思い出しているんですが、初代環境大臣、実質的な初代ですけれども、大石武一さんという政治家がいらっしゃいました。

 私の地元に尾瀬ケ原というところがあります。その脇に道路ができようとしていた。尾瀬ケ原、尾瀬沼のところに道路ができようとしていた。

 当時、北海道新聞の記者をやめられた方が地元に戻ってその山小屋を継いでいたんですけれども、とにかく、環境庁ができたころの話ですから、この道路をとめるということはできないと。万策尽きて、この方が、わずか就任二週間ぐらいの大石武一さんのところに直訴に行くわけです。それも、もともと新聞記者さんでしたから、共同通信だったかな、旧知の記者を頼って、大石環境庁長官に直訴する。そして、何とかこれをとめて尾瀬の自然を守ってほしいと。

 そうすると、大臣はその場で、よし現地に行こうということで、もう二週間の後には現地に乗り込んでいる。そして二泊三日そこで視察をして、それも環境庁ができたばかりのときですから、いきなり記者団を引き連れて現地に乗り込んで、二泊三日見て、その場でこの道路はとめるということを宣言されたんです。こういったことは、ほとんどその後もできていないんですね。(発言する者あり)まあまあ、それはちょっと、地元として別の見解はありますけれども。

 そのときに、山小屋の若主人に対して大石さんは、私はこれから蛮勇を振るうんだというふうに宣言をして、次期総理の最有力候補であった田中角栄当時建設大臣だったと思いますが、そういった方々、地元自治体、それから閣内の他の大臣、全て反対なんです、全員反対、それを無理やり押し切ってこれをなし遂げたというところが、環境省の創立時のいわば伝説的逸話になっているわけです。

 それがよかったかどうかという話は今はいたしません。いろいろな見解があるかもしれません。大臣も田中角栄氏のまな弟子と言われた方ですから、それは違うんだという見解はもしかしたらお持ちかもしれないけれども、私はやはり政治が何かを動かすというときはそういった蛮勇を発揮することが必要だと思うんです。逆に言うと、うまくいっているときはいいけれども、そうでないときにこれを動かすときに、その蛮勇というのが必要ではないか、私はそれを大臣に期待しているということであります。

 ちょっと話が迂遠になりました。話をもとに戻します。

 先ほど、制度に切り込んでいないから新しさを感じないんではないかというふうに私は申し上げました。その制度、例えばどういうものかというと、やはり地方交付税制度なんですね。本丸はそういうことではないかなと私は思うんです。

 地方の活性化策というのがこれまでなかなかうまくいっていなかったということは、地方自治体の財政における自由度が低いということがその根本的な原因じゃないかと私は思っています。もし財政の自由度が高ければ、大失敗するところもあるかもしれませんが、大成功するところもあるかもしれない。そこを自由に生かし切れていなかったのかなと。無個性で横並びな地方活性化策になってはいないかということであります。

 そうすると、結局、地方交付税というものがあって、補助金もそうですけれども地方交付税も、何かある事業をやると交付税措置があって後でお金を戻してくれるんだから使わなきゃ損だよ、こういう話でありまして、地方交付税という財布をうまく使って政策誘導しているんじゃないか。きょう午前中、緒方林太郎議員からも同趣旨の質問がございました。

 そういったことをやはり根本的に変えていかないとこの問題は解決しないんじゃないかというのが私の考えですが、大臣、お考えはいかがでしょうか。

森屋大臣政務官 先生からただいま地方交付税についての御質問がございました。

 基本的に、大前提としまして、総務省としてお答えをさせていただきたいと思います。

 地方交付税は、地域間の大きな税源の偏在がある中で、財政力の格差を調整し、全国どの地域であっても一定水準の行政を確保するために必要な財源保障をするものであるというふうに思っております。

 また、地方交付税は、地方団体にとって使途の自由な一般財源でありまして、財政における地方の自由度を確保する観点からも、地方の一般財源を確保するものであるというふうに思います。

宮崎(岳)委員 使途は自由なんですが、しかし、基準財政需要額を算定するときに、この事業を行えばこの部分は基準財政需要額に算定するよとか、今回のいわゆる新型交付金についても、二分の一補助ですが、残り二分の一については交付税措置するという仕組みだと思います。そうすると、それが何らかの形で措置はされるんだと思いますよ、何らかの形で措置はされるんだと思いますが、現実には、一つの財布の中の内訳を変えているだけ。これは午前中に緒方林太郎氏が質問したのと同じですけれども。

 ある大きな地方財政というものがあって、その中にミシン目を入れる、つまり、がさっとグロスで来るんだけれども、この根拠はこうですよと、その式の中にその事業についてのものも入っている、こういう仕組みだと思うんですね。

 しかし、その大きな財布自体の大きさが大きくなったり小さくなったりはしない、各事業のことで。つまり、どこかがふえればどこかが減らされているという中で、確かにその算定式を見ているとそこにそういう式は入っているのであるが、しかし、現実にふえているのか減っているのかわからない。こういったものを使って政策誘導をするのは、もう私はやめた方がいいんじゃないかと。

 地方には、もちろんグロスでお金を渡して、どうしてもやらなきゃならないものは補助金でやればいいが、しかし、事業の裏打ちとして交付税を使って、今はお金持ち出しになるような気がする、後で交付税で戻ってくるからとか、あるいは、今は負担になっているかもしれないが、起債ができてその起債を返すときには交付税で見るんだからとか、結局、いろいろな言い方をして、法によらずして、交付税という財布を使って地方の政策を誘導しているように私には見える。

 ここを根本的に変えていかないと、結局、無駄な事業をやるとか、非効率な事業をやるとかということがずっと存続されていくんじゃないですか。やはり、全額自分の金でやらなきゃならないという気分があれば、みんな慎重に、地方もお金を使う。ところが、よくわからないけれどもいずれ戻ってくるんだ、まあ、実際に戻ってくるのか来ていないのかはわからないけれども、いずれ戻ってくるんだよみたいな言い方をすれば、私は、地方の横並びとか非効率というのは改善されないんじゃないかというふうに考えますが、大臣、いかがですか。

石破国務大臣 これはこの大臣を拝命したときもここで議論した覚えがありますが、地方交付税が持つところの財源調整機能と財源保障機能というものが、今、森屋政務官から答弁がありましたように、ある意味で不均衡というか不公平というか、そういうものを是正してきた役割というのは大きいんだと思っています。

 ただ、それはあくまで結果平等を志向するものなので、そこにもう一工夫できないかという思いを私自身ずっと持っているのですが、総務省の所管でもございますし、私としては、今、自分の中で個人的に研究をしているというのにとどまっておるものでございます。

 委員がおっしゃるように、うまくいけばすごくいいが失敗したらえらいことになりますよというのが、私はある意味、財政民主主義の基本のような気がいたしておりまして、やはりそこで、最後は国が面倒を見てくれるのさと、高い補助率、あるいは少ない自己負担というものだけが至上の価値になってしまって、それによってどんな効果があらわれたのかということに誰も関心がないということだったら、財政民主主義も何もあったものではありません。

 そうすると、そこにおいて財政民主主義が機能するような形の地方財政というのは何だろうかということを、私も二十年ぐらい考えているのですが、答えが見つからなくて、呻吟をしておるところでございます。

 ただ、やはり地方が、これは午前中の議論にもありましたが、金を稼ぐというマインドがあっただろうか、そこが、例えば何々町という町の経済の中でどれだけが外へ出ていってしまっているのかということもきちんと議論したことがないまま、我が町の経済は悪いんだとか、我が町の財政は厳しいんだとか言っていても、何の改善もございません。

 そのあたりも、島根県において幾つかいい事例を私は拝見いたしておりまして、そこのマインドチェンジというものはあわせて必要だと考えております。

宮崎(岳)委員 私、交付税については思い出がありまして、新聞記者をやっていたときのことですが、ある病院の取材をしたことがあります。

 地方の病院なんですが、そこが外来センターというのを病院の本体とは別につくって、そこが病院になっていたんですね。制度上は病院なんです。二十床以上なら病院でしたっけ。とにかく、制度上、病院なんです。制度上、病院になると、そこには当直医を置かなきゃならないんです。外来センターですから、入院患者はいないんです。入院患者はいないし、夜間診療もしていないわけですが、そこに当直医を置いているという状況があった。その理由が、こうしないと、つまり、診療所じゃなくて病院にしないと交付税が出ないんだ、こういう話なんです。

 そうなのかなと思って調べていったら、結局、それは、県と市のやりとりがうまくいかなかったんだか、市の担当者が誤解していたんだか、実は、ただ読み間違っていただけで、診療所にすればもともと出たということで、私もその記事を書いて、それが引き金となって、結局そこは診療所に改めて、毎日当直医を、何もしない人を置いておくというような状況は改善されたわけです。

 そのときに、市の人、あるいは県の人も含めてですが、市の方が言っていたのは、交付税の全体像なんてわかっている人はうちの県には誰もいないんですよ、あるいはうちの市には誰もいません、ただ、自分の担当のところのそのページは読むけれどもと。こんな厚い冊子がありますね、私もそのとき見ました。わからないんです、こういう話があったんです。

 その後、片山善博さん、よく御存じだと思います、知事もされて、総務大臣もされて、もともと自治省の出身でございます。この片山さんと私はある会合でお会いをしたときに、質問したんです。交付税制度は余りに複雑過ぎませんかと。こんなことをやっていて、この事業をやると幾ら支出があると支出は決まっているわけですけれども、後で幾ら戻ってくるのかわからないようなことをずっと続けていたのでは、地方のやる事業だっておかしくなりますよねと。

 この交付税制度、基準財政需要額とか、その全体像というのは、日本でわかるのは片山さんぐらいじゃないんですかと言ったんですよ。総務大臣もやって、知事もやって、自治官僚もやっていたんですから。そして地方の公務員もやっている。そうしたら、私にもわかりませんよ、こんなものがわかる人、日本じゅうに一人もいないんです、こういうふうに言われた。交付税制度というのは、交付税措置というのはインチキですよ、だって、全体のパイは変わらないんだからと。

 その中で、ここがふえるから、この事業をやるとこういうお金が来ますよと言うけれども、別のところで減っているだけだから、結局、来てみると、各市町村単位で見たって、別に、その分がふえているというわけじゃない。ただ、減らされるのが減ったのかもしれないという話にしかなっていない。

 こういうことはやはりよくないと私は思う。人口割なり、あるいは面積割なり、今いろいろな基準が多過ぎて、全体像を誰も理解できないという実情の中で、そういう不透明、複雑な仕組みの中でいわゆる地方の活力がそがれているんじゃないかというのが私の考えであります。

 大臣、短くで結構です。所感だけお願いします。

石破国務大臣 批判するのは簡単なんですけれども、では、どうするんだということになると、片山氏と私は因縁浅からぬものがありまして、よく承知をいたしておるところでありますが、では、どうするのだということについて、また御提案をいただきたいと思っております。

 これは、昔、過疎債の仕事というか、自民党でそういう仕事をしておりましたときに、私の選挙区で幾つかが過疎町村になりました。ごめんなさい、過疎町村になっちゃったと連絡をしたところが、お祝いだ、花火だとか言われて、何だろう、これはと思ったような記憶にございます。過疎から脱却しちゃったら、その町長が落選しちゃったとか、もう何なんだ、これはと。だから、努力した者が何かプラスになるようなもの、あるいはインセンティブ的なものを入れることはできないだろうかという問題意識は持っております。

 所管外でございますので、問題意識を申し述べるにとどめさせていただきますが、委員におかれましても、こういうやり方はどうだという御提案をいただければ、真摯に承りたいと存じます。

宮崎(岳)委員 私のこの問題に対する見解はシンプルです。つまり、地方財政のでこぼこをならさなきゃならないから交付税というものを残すにしても、その算定式を極めて簡明で、誰でもわかるものにする、そして事業とのひもづけをやめる、この二点をやれば相当変わってくるかなというふうに思っております。そんなに複雑なことは言うつもりはございません。

 さて、残りの時間で、本当に簡単に質問させていただきたいと思います。

 一点は、日本版CCRCです。

 午前中の質問でもありました。今取り組みを進めておりますし、それに関連する法案も既に提出をされているというふうに聞いておりますけれども、現在の取り組み状況。それから、生涯活躍のまち支援チームとか、あるいは財政支援、こういうことも行うというふうに聞いていますが、現在の状況をお教えいただきたいということであります。

石破国務大臣 CCRCでございますが、平成二十六年十二月にまち・ひと・しごと創生総合戦略を閣議決定いたしました。これを踏まえまして、有識者会議において基本コンセプトを取りまとめ、昨年末に公表いたしました。

 これを推進するために、今国会で地域再生法の改正の審議をお願いしておるところでございますが、地域再生計画に生涯活躍のまちを形成するための枠組みを構築する、先駆的な取り組みは地方創生推進交付金などで財政支援する、関係省庁により、今御指摘の支援チームというものを立ち上げるということに相なっておるところでございます。

 今のところ、私どもの内閣官房の調査では、これに取り組んでみたいね、推進してみたいねという地方公共団体は、昨年十一月時点で二百六十三ございます。かなり多いと思っておりますが、これからいろいろな取り組みが実現しますよう、国としても支援をしてまいりたいと思っております。

 支援チームをそのような趣旨でつくっておるものでございますが、ここにおきましては、活用可能な補助事業などの制度の情報提供、隘路の打開策などノウハウの提供、必要な助言の実施などを行うということにいたしておるところでございます。

 楡周平さんの小説に「プラチナタウン」というのがありまして、テレビドラマにもなりましたが、これが一つのモデルなんですけれども、何せ本邦初演なものですから、仕組みがよくわからない、あるいはどういうような優遇措置があるかよくわからない、全国にどんな例があるのかわからないというのがあります。

 何せ人の一生がかかった話ですので、この手のものは失敗は許されないと思っておりまして、支援チームにおきまして本当に丁寧な御説明を行いながら、人の一生というものが、きちんと第二の人生を全うできるようにしてまいりたいと思っております。

宮崎(岳)委員 私の地元の前橋市でも、日本版CCRCに取り組みたいという動きが今出ているようであります。今大臣もおっしゃったとおり、全国からいろいろなそういう御提案とか計画とかが出ているところでございます。ぜひ成功させていただきたいというふうに思いますが、前半の議論でありましたように、どうしたら成功できるのかということは、やはり本当に基本に立ち返って考えなきゃならないのかなというふうに思っているところでございます。しっかりお取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 それから、これは予算委員会でも質問した別のことでありますが、政府関係機関の地方移転について改めて伺いたいというふうに思います。

 もう時間も十分ほどしかありませんので、そんなに細かいことを聞くつもりはないんですけれども、前回伺いました研究、研修機関については、五十数機関を実際に移転するということであります。結果的に、五十人規模の人員移転にしかならないんじゃないかというふうに私は指摘させていただいて、大臣からは否定のお言葉も特になかったので、そういうことなのかなというふうには思っているんですが。

 その後、一月余り日数もたっておりますが、三月末に向けていろいろ取りまとめを進めていらっしゃると思うんですが、その後の進捗状況をお伺いできますか。

石破国務大臣 これは、政府において恣意的にやるということをなるべく排したいと思ってまいりました。したがいまして、何でもかんでも増田先生頼みでまことに恐縮なのですが、増田先生に座長になっていただき、多くの有識者に御参加をいただいて、第四回の有識者会議を、先般、三月三日に開催したところでございます。

 そこにおいて多くの御意見をいただきました。今委員御指摘の研究機関につきましては、今回の取り組みによる研究拠点の設置が、地域イノベーション創出をスタートとして本当に発展をしていくためにフォローアップが必要だと。

 一回やればそれでいいという話じゃなくて、それがどんな効果を生んだんだということを見なければなりません。十人行ったけれども、その後何にもイノベーションが起こりませんでしたでは、何のためにやったかわけがわかりませんので、その地域における産業の集積とか学問の集積とどのようにしてコラボをしてシナジー効果を生むかということはきちんとフォローしたいと思っております。

 また、省庁の移転につきましては、いろいろな新聞報道がございますが、最終的に決定をしたわけではございません。今月中に、必ずしも今月末を意味するものではございませんが、今月中に政府の基本方針を決定してまいりたいと思っております。

 委員御指摘のように、あえて言えば、なんちゃって移転みたいな、そういうようなことをやってはだめだということはよく承知をいたしておりまして、ここにおいて政府の本気度が問われていると私は認識をしておるところであります。

宮崎(岳)委員 やはり私なんかが見ても、研究、研修機関がこういう結果になって、研修、研究機関というのはある意味で非常に、一番移転しやすいものだということで、地方からも逆に御希望が多かった。大きい中央省庁みたいなことを、そんな夢のような話を言ってもだめだ、もっとこれだったらリアルに移転できるというところを皆さん選んで恐らく申し込んできたんだと思うんですね。

 ところが、それを、ゼロ回答とは申しませんが、私から見ればやはりそれに近い結果になっているんじゃないかなというふうに思います。ここは大臣、違う御見解だと思いますけれども。私から見れば、私は、やはり実際の機関の本部の位置とか、動く人数とか、そういったところがメルクマールだと思っていますので、少々期待外れだなと、少々ではないですね、やはりそういうふうに思っているわけです。

 これから政府機関のことも、今報道をされております。そこも、私は報道ベースでしかもちろんわかりませんが、どうも、その機関が移転するのが本当にふさわしいかどうかということよりも、何か属人的な、大臣のキャラクターによってその成否がかかっているかのような感じを受けてしまうんですね。

 中央省庁を移転するのが難しいなんていうのは当たり前の話です。その当たり前の話を、しかし、俎上にはのせたわけだから、そこには私は一定程度の蛮勇が必要だというふうに思っているわけです。

 最初に戻りますけれども、二〇一四年九月十二日のまち・ひと・しごと創生の基本方針、その中で基本的視点というのは三つぐらいありましたけれども、東京一極集中の歯どめをかけるんだというのが大きなテーマの一つだと思うんです。

 そうしたときに、地方に移転すれば機能が落ちるというのは当たり前の話でありまして、しかし、たとえそういう犠牲を払ってでも、犠牲が大き過ぎればまたいかがなものかと思いますけれども、一定の犠牲を払ってもやらなければいけないんだ、東京一極集中への歯どめということの大目標のために多少の犠牲はやむを得ないという姿勢でなければ私は進まないと思うんです。

 先般の中央省庁移転の基本的考え方という有識者会議でまとまったペーパーを拝見しても、地方移転によって国の機関としての機能の維持向上が期待できるか、なぜそこかについて移転先以外を含めた理解が得られるかとか、ここを主に考えてやれば、結論としては一個も移転すべきじゃないという結論になる蓋然性が高いんだと私は思います。

 有識者会議のメンバーも、最初に記者会見とかで記者さん等からも多少の指摘もあったかと思いますが、なかなか人選的にも、これまで非常になじみ深い方が多く、私から見れば少々コンサバティブな人を集めたのかなという感覚も持っております。

 中央省庁の地方移転、これについて、大臣としてここをアクセルを踏み込んで行うというお気持ちはありますか。いかがでしょう。

石破国務大臣 これは、内閣総理大臣を長といたします、まち・ひと・しごと創生本部で最終的に決めるものでありますが、私も有識者会議に毎回出られたわけではありませんが、決してコンサバティブだったとは思いません。

 やはり、一番反対反対とおっしゃるのは、実はそこにお勤めの官僚の方々である。それがまた私利私欲というよりは使命感に基づいて反対しておられるので、なかなかこれは大変なことであるというお話でございます。

 やはりそういう方々に納得してもらわないで、独裁国家ではありませんので、はい、何々省はどこ、何々庁はどこということはできません。そこにおいては労働問題もあります、労働組合の方々の御意見もあろうかと思っております。

 そこにおいて決してコンサバティブな議論が展開されたわけではありませんが、民間企業と違いましてやはり公平性が要求される、そして正確性が要求される国の行政でございますので、そこはやはり緻密な検討というのが必要であって、余り蛮勇を振るっちゃうということはできなかったんだと思っています。

 ですから、属人的というお話でございますけれども、例えば、新聞の記事などに載っています文化庁あるいは消費者庁というのは、大臣のキャラクターというのはその方々のことを念頭に置かれたことかと思いますが、やはり、京都からリクエストがあった、あるいは徳島からリクエストがあったということで、総理大臣に当たったわけでございます。

 やはり、馳大臣にしてもあるいは河野大臣にしても、文教のプロであり消費者問題のプロでありますから、そういうような方々がその省庁を所管しておられる。そこにおいて適切な結論が出るということだと思っております。決してそれを属人的ということでネガティブに捉えるべきものだとは思っておりませんで、馳大臣も河野大臣も高い見識を持った方だというふうに私自身尊敬しておるところであります。

宮崎(岳)委員 属人的と申しましたのは、悪い意味ではなく、いい意味でもそういうふうに申しているわけであります。ただ、その方向性は、そういうあり方としてそれがいいのかなという思いはちょっと持っているところでございます。

 もう時間でありますので、これで終わりますけれども、最後に、私は大学時代に弁論部におりましたので、ディベートとかそういうことを結構やったんですけれども、そのときに、二つの立論の立て方というか闘い方があったんですね。

 一つはメリット・デメリット論といって、メリットとデメリットをだあっと並べていくんですね。それで、こういうメリットがあり、こういうメリットがあり、こういうメリットがある。デメリットはこういうものがあり、こういうものがあり、こういうものがある。これを差し引きして、どっちがいいか、こういうやり方です。

 もう一つはフィロソフィー論といいまして、最初に大きい哲学を立てるんですね。人の命は絶対に害してはいけない、このためだったらほかのものは全て犠牲にしてもこの哲学は守らなきゃならないんだ。こういう二項対立があったんです。

 私は、やはり、地方創生みたいなパラダイムシフトのことを行うには、後者の方でないとできないのではないかと。今、私は地方創生に関して政府のことを見ていますと、通常であれば、やはり石破大臣がどんどん暴走、独走して、それを安倍総理から手綱を引かれるというぐらいが一番ちょうどいいのかなと思うんですが、どうも逆になっているように思えてならないということも含めまして、ますますの地方創生の発展を期待申し上げて、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、菅家一郎君。

菅家委員 自由民主党の菅家一郎でございます。よろしくお願いをいたします。

 政府関係機関の地方移転、そして企業の本社機能を地方に移転するという方針、これは私は大変期待をしておりまして、まさに地方創生の牽引役、こんなふうに御期待しております。

 過去に国会移転という議論があって、国会等移転、首都機能移転、これは盛り上がったけれども、残念ながら実現できなかったんですね。

 今回は、不退転の覚悟を持って、ぜひ実現に向けて取り組んでいただきたい、このように御期待いたしますので、まずは大臣の御決意をお聞きさせていただきます。

石破国務大臣 明治政府以来このようなことはやったことがなくて、新聞に取り上げられているものでも、本当にできるのかねみたいな、そういう懐疑的な論調が多いんだろうと思っています。

 要は、民間に地方に行ってくださいとか言いながら、政府は何にも動きません、民間にはテレワークをやってくださいと言いながら、政府では全然やっていませんというようなことでは示しもつきませんし、範を示すというか、余りそういう上から目線的なことは好きではないのですが、にもなりません。やはり、国の形を変えるのですから、政府として思い切ってやっていくということは必要なのだと思っています。

 できないとするならば、なぜできないのだということをきちんと立証する責任は、今度は政府の側にあるわけでございますから、国民の皆様方に御納得いただけるとともに、国の形を変えるような、そういうような取り組みをしていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

菅家委員 大変御期待を申し上げたいと思います。

 そこで、これをより、相乗効果といいますか、効果を上げるためにはどうしたらいいのかという視点で考えてみました。

 やはり道路というのは極めて重要でして、実は最近、会津でも、地域高規格道路が開通しましたら企業が十社ぐらい進出したり、ある道路のトンネルが開通したら観光客もふえたり、道路の役割は私は極めて大きいなと思うんですね。

 今まで国も、高速道路とか地域高規格道路とか、あるいは整備新幹線、どんどん整備してこられた。だけれども、東北を見ますと、大臣、やはり東京に向かっているんですね、東京、東京に。人口が減りますと、これは観光客誘客もありますけれども、基本的には、東京一極集中を是正するということであれば、東京、東京ではなくて、やはり今まで整備してきた高速道路等を結んで、ネットワークといいますか、地域ネットワーク、そういうような国づくりの発想の転換も必要なのではないか。

 今までつくられてきたインフラを生かす、生かしながら、ここが結ばれていなかったらここを結んで環状線にするとか、そういう地域内の交流人口を新たに創出するとか、そういうところに企業の本社機能を、来てもらって、あるいは、政府機能、これは地元のあれを優先すると大臣はおっしゃったけれども、ただ、国としては、そういうような国土の中における過疎地域の課題の解決につながるような役割も必要なのではないか、このように私は思うんです。

 ですから、そういう意味では大臣の役割は大きいし、やはりリーダーシップを図って、そのような認識を変えながら、地域のネットワークを生かしながら、鉄道であったり道路事業であったり、そういったものをネットワークを生かすというようなことでの御見解をお聞きしたいと思います。

石破国務大臣 いろいろな御縁をいただいて、委員の御地元にも何度かお邪魔をさせていただきました。

 本当に、日に日にといいますか、委員初め皆さん方の御努力があって交通網がよくなっているなと思います。ですから、東北新幹線をおりて会津若松まで行き、そこから新潟まで行くというのがぱっぱっぱっとできましたので、この間それをすごく実感したことでございました。

 ストロー効果ともバキューム効果とも申しますが、道路ができたので寂れちゃったというところも山ほどあるわけでございます。やはりそこを、今だけ、そこだけ、あなただけという言葉がありますが、そういうものがないところはストロー効果が起こってくるんだろう。やはり、ここにしかないもの、ここにしかいない人というのがあって、そして初めて誘客効果、誘引効果を持つのだろうと思っております。

 そうしましたときに、例えば、委員の御地元でいけば、委員も御尽力なさった会津大学とか、そういうものがベンチャーの割合が最も高いとかいうようなことで、お城のみならずいろいろなもので会津若松に人が寄ってくる。

 そのときに、東京へ東京へ、新潟へ新潟へというラインだけじゃなくて、例えば、この間もやったのですが、秋田から金沢に行こうと思うと一回東京に出なきゃいかぬのですよね、そっちの方がよっぽど早い、どう計算しても。私の鳥取から例えば総理の山口まで行こうと思うと、これまた東京に出た方が早いという妙なことが起こるわけでございます。

 ですから、いろいろな効果を発現するために、東京へ東京へ、我々の地方でいえば大阪へ大阪へということになるのですが、横をつなぐラインというものをつくっていくことによって、非常に誘客、誘引の要素のあるところに、それにふさわしい集積ができるように、私どもとしても努力をさせていただきます。

菅家委員 御期待申し上げたいと思います。

 もう一つ、二〇六〇年を視野に国民希望出生率を一・八だ、これは私はすばらしいと思うんですね。より明確な目標を掲げられた。これを達成するためには、基礎自治体である市町村、ここがやはりこの目標に向かって知恵を出して、そして企画をして取り組んでいくということが一番だと私は思っています。

 今回、地域再生計画が各市町村で出された、五年間で実施するということになるわけですが、私はやはり、具体的な計画を進めた成果といいますか、では各市町村でどのぐらい出生率が伸びたのか伸びないのか、そういったものもしっかり把握をされて、つまり、頑張っている、一遍に一・八は無理だと思うんですけれども、二〇六〇年までは地道に地道にでもいいので、マイナスではなくて同じか少しでも上がっているということであっても評価をして、そしてその自治体がまた前向きに取り組むというところにはしっかりと支援してほしい。

 中にはなかなか成果が上がらないところもあると思うんですね。それはやはり、国の役割としては、情報収集をされて、そして、成功事例じゃありませんが、どこどこはこういうような対策をしたらいい成果が上がったというようなものを情報提供して、とにかく基礎自治体の市町村が前向きに、よし取り組んでいこうというような、そういうようなことを踏まえてこの一・八の出生率を目指して取り組む必要があろう、このように思うわけであります。

 ぜひ、その辺のひとつ頑張ったところを少しでも応援をしていただければと思うんですが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 これはまさしくそのとおりで、私も不勉強で知らなかったんですが、全国千七百十八市町村で出生率というのはこんなに違うのかということであります。四十七都道府県で、沖縄が一番高くて東京が一番低いというのは誰でも知っているんですけれども、でも、これを千七百十八市町村にばらしてみるとこんなに違うのかというのは愕然とします。一番高いのは鹿児島県の伊仙町であります。一番低いところは、別に名前は出しませんが、もう何倍も違うわけですね。

 そして、それと密接に関連すると思われます平均初婚年齢でも、町村あるいは市、そして男性、女性で違いますが、一番若くして結婚されるところと一番遅く結婚されるところでは十三歳違うというのは、一体これは何なんだと。特異な数値は除いてありますし、五年平均でやっておりますので、そんなに荒唐無稽な数字だとは思っておりません。

 それを、全部の市町村にデータをお配りいたしました。それを見てみると、我が市が出生率はこれだけである、あるいは我が町の平均初婚年齢はこれだけであるというのは今まで知っていても、ほかの全国との比較というのを知って、あっとびっくりみたいなところはたくさんあるわけです。

 日本国じゅう、北海道から九州、沖縄まで同じ法律が適用されておりますので、もちろん国として出生率を上げるためにいろいろな施策は講じますが、それと同時に、かなりその地域に特有の問題がありはしないだろうかと思います。

 私は、二週間ぐらい前に東京で開かれました伊仙町のフォーラム、移住フォーラム、あるいはCCRCのフォーラムに行ってきたんですが、あそこの町長さんはお医者様の出身であります。大久保さんとおっしゃる方です。そして、自民党の県会議員から町長さんになられた方ですが、お話を聞いていると、やはりここは出生率が上がるだけの施策を打っているねということがございます。

 ですから、そういうようなことを広く、いい事例を我がものとしていただくという情報提供は、私どもこれから先さらにやっていかねばならないものだと思っております。

菅家委員 ぜひ市町村と国が一体となって、この目標、これがやはり少子化、人口減に歯どめがかかる大きな対策だと思いますので、ひとつリーダーシップを図って頑張っていただきたいと思います。

 次に、過疎化対策なんですね。

 過疎化対策には、いろいろ質疑の中で具体的な数字等が出されたので省かせていただきますが、私は東京で暮らしているわけですが、若い方の住宅事情を考えてみても、やはり家賃は高いし、狭いし、そういったところで子育てする、たくさんの子供を産み育てるというのは非常に条件がよくないなと思っているんですね。

 片や、地方、田舎に行きますと、大変な空き家の数があるわけでございますが、やはり田舎のよさというのは、一戸建てもたくさんあるし、山も川も自然もあるし、そういう環境の方が子育てには非常に適しているんじゃないか、私はこんなふうに思っているんですね。

 ただ、問題は、なりわいはどうするのか、教育の問題、医療の問題、いろいろ課題がありますから、そういった課題というのはなかなか実現しない。

 特に過疎地域でも、過疎市町村という位置づけをしているエリアも日本じゅうたくさんある、会津なんかはほとんど過疎市町村なんですけれども。やはり条件が悪いので、なかなか、都市部に移住するといっても、環境のいいところに移住する。

 だけれども、私は、過疎市町村も救わなくちゃならない、そう考えたときに、国でこういう政策、支援策があるならば、よし、地元が過疎地域で該当するならば、地元にもう一回戻ろうじゃないかとか、こういうメリットがあるならばこっちの方に家族そろって移住したいという、誘導策じゃありませんけれども、そういう何らかの支援策を過疎市町村に具体的に示すことが、そういう地方に移住する、過疎地域に移住することにやはりつながるのではないかと思うんですが、どうなんでしょうか。一つのお考えをお聞きしたいと思います。

石破国務大臣 東京にお住まいの五十代の男性にアンケートをとってみると、五十代の男性の五割は地方に対する移住の希望がある、あるいは検討しているというお話でございます。おもしろいことに、十代、二十代の方でも五割に近い方々が、できれば地方に住みたい、あるいは検討したいとおっしゃっているわけで、ニーズはあるわけです、間違いなく。

 そこにおいてちゅうちょするとするならば、まさしく、なりわいはあるのか、医療、教育、介護は受けられるのか、大丈夫なのか。

 もう一つは、五十代、六十代になると、せっかく汗水垂らして手に入れた東京のマイホーム、地方に移住するのはいいんだけれども、それは借りてくれるのか、売れるのか、誰か住んでくれるのかというのがあります。

 あと、男性の五割と申し上げましたが、女性は三割しか地方に行きたいという方がいないわけで、それは、行きたきゃ、あんた、一人で行きなさいと言われて、結構悲しい思いのお父さんも世の中にはいるわけで、いかにして奥様の御理解を得るかみたいなことがございましょう。

 これはもう、移る側のいろいろな問題でできるのは、例えば中古住宅の流通、これをさらに改善するみたいなことは当然ございましょう。奥様が二地域居住をするような形になるとするならば、JRとか飛行機会社にいろいろなことをお願いしなければいかぬでしょう。

 地方においては、例えば私の選挙区に岩美町というちっちゃな町がありますが、そこはある雑誌では、住みたい田舎ベストワンになっているんですね。すごい過疎のところですけれども、住みたい田舎ベストワンになった。だとすれば、きょうの議論にずっとありますように、どうやって地方において、物価が安いですから、お家賃も安いですから、土地も安いですから、比較的、可処分所得の多い、いい就労環境の仕事をつくるかということに政府としては取り組んでいくべきものだろうと思います。

 行く側、そして受け入れる側の問題は何であり、政府としてできることは何でありということをきちんと整理して、また先生方の御議論に付したいと思っております。

菅家委員 過疎地域でも条件が悪いところは非常に、なかなか、移住といっても厳しい面がありますから、何らかの、インセンティブじゃありませんけれども、そういったものを検討していただければと要望しておきたいと思います。

 もう一点は、例えば地元の公立学校を卒業した、当然、大学に行く、就職するということで、先ほどの話のように、東京に転出されてどんどん減っているということが実態で、また戻ってきてもらえればいいんですけれども。特に福島県などはこれから人材が求められるので、優秀な人材を育てなくちゃなりません。市町村の教育委員会では当然そういう思いで育てるんですが、高校以上は県の教育委員会になって、県立高校に入って、進学だ、就職だになるわけですね。

 やはり一つの方針として、地方創生を進める、東京一極集中の是正だ、そういう地方で学んでいる子供たちを地方で守る、例えばですね。優秀な人材あるいはいろいろな文化芸術の能力を持っている子供は当然これは育てなくちゃなりませんけれども、全部が全部じゃなくて、それは先生がよく判断をして、では、地元で活躍したらどうだという、地元定着を一つの考え方としてやはり持って、地域に貢献する人材を守って育成するというような考え方も重要なのではないか、このように思うわけでありますが、御所見を頂戴したいと思います。

石破国務大臣 それはいろいろな施策がありまして、福島県でも御検討いただいていることかと思いますが、例えば福島で学んで福島で就職したとするならば奨学金を返さなくてもいいということになれば、それはもう、大学進学率が大分上がりましたが、それでも、経済的な事情で進学できない方がおられるわけです。奨学金はもう給付型にせよという御議論があることはよく承知をいたしておりますが、地域によって、そういうような取り組みもあるのでしょう。あるいは、会津大学で学んだいろいろなベンチャーの子供たちを受け入れるだけのそういうような産業基盤をつくるということもあるのでしょう。

 もう一つは、最近、こういう傾向があるなと思っているのは、移住女子というのがえらくはやっているんですね、今。若い女性の方が移住するというのが最近ブームになりつつあって、移住女子のセミナーとかフォーラムに行くと、この間、牧島政務官も行ってまいりましたが、山ほど人がいるわけです。

 彼女たちが言うのは、やはり三・一一の経験というのは大きくて、並んでも、お金を出しても物が買えない東京というのは一体何なんだろうか、そして、地方にこそ、こそというのは言い方が悪いかもしれないが、魅力的な男はたくさんいるのではないだろうかとかいうようなことで、やはり、女性の方々が地方に来ていただける、そして、そこで学んだ男性がよそから来た女性の方と一緒になって世帯を持つというのも、一つのライフスタイルなのかもしれません。

 そういうようないろいろな人々の価値観の転換というものに、私どもとして迅速、機敏、的確に対応できるようなそういう施策も考えてまいりたいと思っておりますが、必要なのは、やはり、そこで学んだ子供たちがそこで就職できる環境がどうやったらつくれるかということだと思っております。また御提案を賜りたいと存じます。

菅家委員 時間になりましたので終わりますが、まさに人口減少、本当に地方は限界集落、そして消滅するような、私は大変危機感を持っておりますので、どうか大臣、リーダーシップを図って、地方創生の実現に向けて邁進されますよう御期待を申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。地方創生特別委員会で初めて議論させていただきます。

 きょうの朝からの議論をずっと聞いておりまして、与党、野党、地方創生とか一億総活躍とか、総理がおっしゃったときはいろいろありましたけれども、私が思いますに、全ての国民、マスコミが食いついた言葉でありまして、大きく定着したなと。同時に、きょうの審議を聞いておりまして、与党、野党ともに、石破大臣、しっかり頑張ってもらいたい、こういう論調であるのかな、こう思っておりまして、意を強くしているわけであります。

 最初に、きょうは一億総活躍の話をいたしますが、有機的、立体的に地方創生と連携する話だと思っておりまして、私ども公明党は、一億総活躍社会実現あるいは地方創生を推進するため、昨年の十一月でありましたけれども、一億総活躍国民会議が緊急対策をまとめる前に、政策提言を行いました。

 どういう内容かというと、いっぱいありましたけれども、その中で、高齢者を含めた多様な人々の多様な活躍、就労の場づくりのため新たな法人制度を検討しようではないか、こういう提言をさせていただいたわけであります。

 これに向かって今作業を党内で進めているわけでありますが、こうした観点から、最初にお尋ねしたいと思います。

 年が明けて、きょうも話が出ましたが、石破大臣は、島根県の雲南市長さんにお会いになって、雲南市長さんから、小規模多機能自治組織を制度的に位置づけるための法人制度創設を求めるという陳情をお受けになって、その後、内閣官房において、地域の課題解決のための地域運営組織に関する有識者会議を発足させたというふうに伺っているわけであります。

 大変関心を持っているわけでありますが、この会議の趣旨、今後の検討内容あるいはアウトプットは何をお考えになっているのか等々、今聞かせていただけることがあれば、ぜひ聞かせていただきたい。大臣にお伺いします。

石破国務大臣 委員におかれては、公明党で地方創生の取りまとめ、本当にありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。

 雲南市の取り組みは委員の方が私よりも御存じかもしれませんが、あそこは、卵かけ御飯で有名なよしだむらもあるところでございます。市長さんは山陰合同銀行の御出身で、とても立派な方で、私もいろいろな教えをいただくのですが、そこにおいて、先ほども答弁申し上げましたが、行政に、あれをやってくれこれをやってくれではなくて、あれをやらせてくれこれをやらせてくれというような市民がふえてきたと。

 しかし、そこにおいてどういう形態が一番望ましいのだろうか。雲南市も御多分に漏れず合併したところでございますので、合併されちゃった町村というのは、やはり人が物すごく減っている、行政の光も当たらなくなってきた。そうすると、市町村合併をもとに戻すわけにいかないので、どういう組織が一番望ましいんだろうかという議論を、私は、議論だけではなくて答えを出さなければいけないのだと思っています。

 NPOでいいのか、あるいは、岡山県津山市でやっておりますような合同会社という形態、つまり、出資もする、しかしその役務の提供はどうするかとか、いろいろな形態があると思っております。これを法律上位置づけるべきかどうかについても議論がございます。

 私は、この件についてやはり結論を出していかないと、小さな拠点も地域の再生もなかなか難しいという認識を持っておるところでございます。

桝屋委員 よくわかりました。全く同じ思いであります。

 雲南市の話が出ましたが、その前に、私は、中国五県、合併も先進地域でありましたし、この十年、本当に地域づくり、まちづくりということで大変苦労してきた、いわゆる地方創生先進地域だというふうに、苦労したがゆえに取り組んできたという実績があるわけであります。雲南の場合も、まさに大臣おっしゃったように、合併した六つの町の三十の地域、それぞれがやはり住民自治組織をつくりながら、まちづくりを進めたいと。

 そこで、私も疑問に思ったわけでありますが、現行の地方自治法あるいは合併特例法によらない地域運営組織というものができてきておりまして、結果も出しているというようなことでありまして、まさに私ども公明党としても、公共的な地域活動、これは経済活動、ソーシャルビジネスなんかも含めて、これを分野横断的にさまざまな活躍ができる、さっき言いました多様な人たち、高齢者ももちろんでありますが、多様な活動、就労形態も含めて、そうしたことができる新たな法人制度というのは検討する価値があると。

 NPOという話は出されましたが、出資はできないわけでありまして、住民参加という意味では、帯に短したすきに長し、こういう状況があるわけでありまして、ここは検討に値すると思っておりまして、ぜひ結論を出していただきたいな、こう思っております。

 そこで、一点だけ。大臣、ぜひあわせて検討していただきたいのでありますが、実は、私どもの大先輩の坂口力元厚生労働大臣も取り組んでまいりました、あるいは民主党の皆さん方もずっと取り組んできた、連合の笹森さんなんかも一生懸命取り組んできたワーカーズコープとか、あるいは生協の活動、JAの活動とか、さまざまな活動、これまでも取り組んできた形があるわけです。我々公明党の今の検討の中でも、こうした非営利の、もっと言えば協同労働、協同組合のような形、これの議論もずっと続けてきた経緯がありますから、やはりそろそろ、地方創生、一億総活躍という観点からも、私はぜひ結論を出すべきだと。今までの積み上げもぜひ視野に入れていただきたい。

 経産省は経産省でいろいろなアイデアがあるようでありますので、ぜひそうした幅広い検討を、我が党もいたしますが、この有識者会議で議論していただくようにお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 大先輩であります坂口先生が会長になられて、超党派の議員連盟ができたのが二〇〇八年の二月というふうに承知をいたしております。もうそれから八年もたつわけであります。

 私がこの議論を始めようと思ったきっかけは、農林水産大臣当時に、地域マネジメント法人というのがつくれないだろうかと思ったところにございます。そこにおいてJAが果たす役割、すなわち、協同の理念の中に、一人は万人のために、万人は一人のためにというのがあるわけで、決して営利ではないだろうと。万人のために一人はいるし、一人のために万人はいる、そういう協同の理念こそが地域再生の核となるべきではないかということで議論を始めて、法律を書き始めたんですが、政権交代等々あって、消えてなくなってしまいました。

 過去のいきさつはともかくとして、このころ議論されたのは、ワーカーズコープとかワーカーズコレクティブという話だったと思っております。

 もう一度、どういうような法的構成がいいのか、有識者会議にもこれは諮ってお願いをしたいと思っております。そこにおいて、協同の理念というものは、私は必要不可欠なものだというふうに認識をしておりますので、今後ともよろしくお願いを申し上げます。

桝屋委員 ありがとうございます。ぜひ御検討を。我々もやりたいと思っております。

 そこで、当面の政策日程を考えますときに、私ども公明党が一番関心を持っておりますのは、多分連休前後になると思いますが、加藤大臣のところで、ニッポン一億総活躍プランというものが一番最初に形として出るのかなと。どこまで、どういう内容が書き込まれるかということは、まさに今作業中だろうと思います。

 さっき、同僚議員の質問を聞いておりまして、一億総活躍本部と地方創生本部はどういう関係なんだという話がありましたが、私に言わせますと、一億総活躍本部の方は、総理も予算委員会で御答弁になりましたけれども、地方創生の方はまさに実動部隊もある、こっちはまさに役所のシンクタンクでありまして、今のさまざまな制度の隘路を塞いでいくというか、これからの成長のために隘路を塞ぐような作業、問題点を暴き出し、そしてその解決策を、方向性を出していく、これが大きな役割ではないかな。

 そういう意味では、当面の課題として、ニッポン一億総活躍プラン、ここにどういう項目がどう書き込まれるのかということは極めて大事だろうと思っておりまして、もちろん、当面の方針でありますから結論まで全部書き込めることはないと思いますが、この内容も、ぜひ、そこへ芽出しができるような方向性になるように、我が党としても主張してまいりたいし、早急に議論を深めていきたいというふうに思っている次第であります。

 それから、二点目でありますが、具体的な話であります。

 きょうも出ましたが、二十七年度補正で積まれた地方創生加速化交付金。これは、使うのは二十八年にしても、二十七年度の補正でありますから、各自治体にほとんど配分が終わっているかなというふうに思っているんですが、どういうふうな配分になっているのか。

 私の問題意識は、先行型三百億の交付金も、パターン一とかパターン二とかいろいろあって、なかなか地方自治体から見えにくい部分もあったわけでありますが、二十七年度の加速化交付金、一千億ですか、これの状況をちょっと教えていただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお話のありました二十七年度補正の地方創生加速化交付金についてでございますけれども、全国の九割に当たる千六百二十五の地方公共団体から、二千七百四十四事業につきまして、千二百五十三億円の申請がございました。

 現在審査中ということで、その審査についてでございますけれども、具体的には、KPIの設定でございますとかPDCAサイクルの整備、こういったものを前提といたしまして、一つには、将来的に、行政からの補助金等に頼らずにその事業が自走していくことができるかというような自立性の観点、それから二つ目には、民間と協働して行う事業であるかという官民協働の観点、三つ目には、他の地方公共団体と連携して、広域的なメリットを発揮した事業であるかという地域間連携の観点、四つ目には、複数の政策を相互に関連づけて、全体として効果を発揮する事業であるかという政策間連携の観点、こういった観点から、現在、先駆性の審査を行っているところでございます。

 三月中の交付決定を目指しまして現在審査を行っているところでございまして、適切な審査に努め、公共団体の地方創生に資するようにしていきたいと考えております。

 以上でございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 内容はわかりました。もう少し具体的に聞きたいんですが、そうしますと、四十七都道府県分で、これが配分されないというところは多分ないんだろうと思いますが、千七百十八ですか、市町村でいくと、届かないところも出るという理解でいいかどうか、再度御答弁をお願いします。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもといたしましては、一律に交付するということは全く考えてございませんで、先駆性というものをあくまでも審査させていただいた上で、当然のことながら、その結果として、仮にの話でございますけれども、交付金が行き渡らないところも出てくるのではないかというふうに思っております。

桝屋委員 しつこいようですが、都道府県分、四十七は全部行きますか。

佐々木政府参考人 これにつきましても、基本的には、交付金につきまして、審査の仕方については同様にやっておりますので、これも仮定の話でございますけれども、可能性としては、県であっても交付金の対象とならないということもあり得るということではございます。

桝屋委員 わかりました。

 この問題は、二十八年度の推進交付金の役割と兼ねて、これから地域再生法に位置づけられるわけでありますから、そこでしっかり、役割分担あるいは今後の流れについて改めてまた議論をさせていただきたいというふうに思います。

 ただ、都道府県の中で全く届かないところがあるというふうに私は思っていないのでありますが、そうであれば、そこはそこで大きな問題、課題だなという気がしております。

 時間がありません、最後のテーマに行きたいと思います。きょうも話題が出ました、これは総務大臣とは一回やった問題でありますが、国民希望出生率一・八。

 きょうは、大変遠い、大変な目標という話もありましたが、大臣もお示しになったとおり、既に百二十ぐらい、直近のデータでも一・八に届いている市町村があります。

 それで、一番問題なのは、きょう大臣も御答弁になりましたけれども、こんなに頑張って、やはり頑張って、その結果としてそういう実態が出ているところと、私が知っている自治体では、何でうちが一・八になっているのかよくわからないんですけれども、なっているんですと。これはすごいことであります。ただ、私は、執行部に聞くと、何で一・八になっているかわかりませんと言われるんですが、長いおつき合いの中で、ここはなるだろうなと。例えば保育に対する考え方であったり、私はよく現場を知っているものですから、ここは多分にそういうことになるんだな、こう思っております。

 それで、総務大臣に、既に一・八に行っているところは何か評価しろと申し上げましたら、総務大臣はちょうど体調が悪い日でしたから余りお答えいただけなかったんですが、褒美ぐらい出せ、評価しろと言ったら、表彰状ぐらい考えます、こう言っておりました。

 何を言いたいかというと、国民希望出生率一・八を目指すというのは簡単なことではない、大変な目標であります。しかし、結果的にそれが既にそういう状態になっている、あるいはこれからなりそうだ、なったというところは、私は、国民希望出生率一・八達成市町村として高く評価してあげるというようなこともあっていいのではないか。

 同時に、もっと大事なことは、大臣がおっしゃったように、なぜそうなっているのか、その原因分析。初婚年齢が違うというお話もありました。地域アプローチということをこれから少子化対策でなさるということでありますが、既にそういう状況があるという地域をやはりしっかり分析していただきたいなというふうに思います。

 とかく、成功事例が走って、それを見ていると、ほかの市町村から、とてもとてもあんなことはできないよということになってもまずいわけで、既に頑張っているところをしっかり分析し、評価してあげる、あるいは、届いたところについては高く評価してあげる。これは国民運動として進めるわけでありますから、そうした取り組みが必要ではないかということを、最後、大臣にお訴えして終わりたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 ありがとうございました。

 やはり、頑張って出生率が上がったところには、表彰状のほかに何かできないかなという思いが私はないわけではありません。そこは国民の税金を使うわけですから、そんな大仰なことはできませんが。

 伊仙町長は、このモデルを全国に広げてくれることが一番の望みなんだということをおっしゃっておられました。いろいろな取り組みをやって出生率が上がりました、これを全国に広げることを私たちは一番望んでいるんですという話でした。ですから、それに対してお金でお応えをするのか、それとも、それをもっともっと頑張って全国に広める努力をしていくのか、いろいろなやり方があろうかと思っております。

 また御教導賜りますようお願い申し上げます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 大臣、予算委員会でこの質問をしましたら、こういうテーマでテレビの前で議論しましたら、ぶわっと私のところへ、うちはこうやって頑張ってこうなっているんだと。やはり頑張っているところは評価してもらいたい、その姿を見て全体が底上げできる、こういうこともあろうかと思います。

 重ねて申し上げます。ここは交付税で評価するというやり方がありますが、そこはやはり全然だめなんですね、総務省は。したがって、きょうの議論じゃありませんが、やはり大胆な政策が必要だと思っております。

 ということを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 改革結集の会、重徳和彦でございます。

 きょうは、今度、近々この国会で審議されることになっております地方版ハローワークの創設について、これは地方分権法の中で法案としては提出されるわけなんですが、これについて、まず最初に議論させていただきます。

 ハローワークというのは言うまでもなく国の機関でありまして、このハローワークの機能というのは、誰でも知っているように、求職情報と求人情報をマッチングさせていくという、働く人あるいは国民生活に極めて密着した、密接なサービスの一つだと思います。

 したがって、国の機関であるハローワークというものを地方に移管するべきではないかという議論は、地方分権の議論が始まりましてからもう二十年来ずっと言われ続けてきた課題だと思っております。

 本当に今、会社が倒産したとかリストラを受けたとか、あるいは子育て世代がそのステージ、ステージに合わせて退職したり就職したり、こういうこともあります。正社員として働きたいという方のニーズもあるし、あるいはパートタイム労働者として働きたいという人もいる。生活保護、生活困窮者の支援の一環としての就労支援もありますし、若者の就労支援、UIJターンといった自治体の施策と本当に密接なものだと思います。

 その意味で、今から議論しますが、今回、地方版ハローワーク、このネーミング、非常に期待させられるところなんですけれども、これは一体どのようなものなのかということであります。

 そこで、まず最初に、これは厚労省の方に確認をします。

 今回改正予定の職業安定法と雇用対策法でありますけれども、その中身は一体どんな内容でありまして、規制緩和のようなもの、あるいは分権的な要素が含まれていると思うんですが、しかし、どの程度の縛りであったのか。どうも何か、今まで何であったのかわからぬような規定を廃止しますというような内容が多いような印象、私、事前の説明ではそういう感じを受けたんですけれども、一体、今までの規制、なぜ地方に分権できなかったのか、このあたりについて御説明を願います。

苧谷政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の職業安定法におきまして、国以外の機関が行う職業紹介事業につきまして、中間搾取等の弊害を排除し労働者の保護を図るため、許可制または届け出制、事業運営に当たっての規制、国からの監督について定めているところでございます。

 規制といたしましては、職業紹介責任者の選任義務あるいは帳簿の備えつけ等もございます。あるいは、監督につきましては、改善命令、事業停止命令等でございます。

 しかしながら、地方公共団体の届け出制による無料職業紹介につきまして、これが平成十六年から開始されましたけれども、その実績を見ますと、地方公共団体は公的な機関でありまして、職業紹介に伴う弊害の発生するおそれが認められなかったということ、あるいは利用者の利便性の向上及び雇用の安定等を図るためには、地方公共団体に、簡易な手続による無料職業紹介事業の実施を認めることに意義があること、こういうことから、平成二十七年十二月二十二日に閣議決定されました平成二十七年の地方からの提案等に関する対応方針においては、ハローワークについては、地方公共団体が民間とは明確に異なる公的な立場で無料職業紹介を実施できることとするとされたものでございます。

山本委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山本委員長 それでは、速記を起こしてください。

 重徳和彦君。

重徳委員 今御答弁が苧谷次長からございましたけれども、これは平成十六年からやってみて弊害が認められないからということなんですが、その弊害として想定されていたのは中間搾取とか、ちょっとえたいの知れない民間の事業者に想定されるようなことを、自治体にやらせてみて弊害がなかったから、十年たってその規制を除去するというのは、全くナンセンスな話だと私は思います。

 もう地方分権が語られて二十年たっているわけです。そういう中で、自治体が行う仕事に対して、民間と同じ、職業紹介責任者を選任しなきゃいけませんとか国がちゃんと監督しますよとかいうようなことが、現状はまだ法改正がされていませんから、いまだにこの時点まであるわけなんですね。これはもう驚くべき、信じられない規定だと私は思います。

 そして、今、次長、やはり利便性があると。自治体が仕事をすることによりまして職業紹介という仕事についても利便性が認められるという、これまた当たり前のことを今ごろ説明されても、では、何でこれを二十年前にやらなかったんだというぐらいに、今さら感のある改正だと私は思いますよ。というコメントをちょっと申し上げまして、もうちょっと別の観点もありますので。

 この制度、では、それはそうとして、できるだけ早急に改めるというのが理でありますので、それはもう進めるにして、この地方版ハローワークがどのように実際には活用されるのか。自治体において、これは県、市町村の場合があると思いますけれども、どのような組織体制で行われることを想定されていますか。

苧谷政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの地方版ハローワークにつきましては、まさに地方自治体の方が地域の実情を踏まえまして創意工夫に基づいて設置いただくものでございますけれども、これは例えばということで申し上げますと、自治体の地方創生等の部局でUIJターンを支援しようということで、都市部でアンテナショップを置かれたりしていますが、そこで移住相談と職業紹介をあわせて実施するというようなことが一つ考えられます。また、男女共同参画部局等で女性の子育て支援と一体となって職業紹介を実施すること、このようなもの。いろいろまだまだたくさんございますけれども、そういうものが想定されてございます。

重徳委員 これはまだまだいろいろな場面が想定されると思います。今のは本当に一部の御紹介だと思いますけれども、基本的には自治体にこの職業紹介という機能を置いた方がベターであるという観点から、今回の法改正が行われるんだと思います。

 後ほど大臣にももう一回お聞きしたいと思いますが、ハローワークはそもそも丸ごと自治体に移管した方がいいんじゃないかという議論がずっとあったと思うんですが、まず次長からお聞きしたいと思います。

 今、二例ほど挙げていただきましたけれども、ハローワークという機能を自治体に丸ごと移管するということ、これは何か困ることがあるんですか。

苧谷政府参考人 お答え申し上げます。

 失業された方につきましては速やかに就職をしていただくように、勤労権の確保ということがございまして、ある地域において国のサービスがないという状態であることは国の責務として許されないということでございまして、これはILO八十八号条約の中でもそういうようなことが規定されてございます。

 そういうことで、国が最低限のネットワークを張りめぐらした上で自治体が行われるそういう事業と一体になる、そういう形でやっていくのがベターかなということで今までやってきたところでございます。

重徳委員 ちょっと、今のに対してはたくさん反論はあるんですけれども、今おっしゃったネットワークということに絞って議論をしていきたいと思います。

 というか、やはりちょっと一言反論を言いますと、地域によってそういうサービスがないというのは、やらない自治体があることを何か念頭に置かれているような気がするんですけれども。いいのか悪いのかは別として、各自治体、ほとんどの事務は義務づけられているわけですから、これは、各自治体の職業紹介という仕事は、自治体に義務づければ、法律でそう位置づければそれで済むわけでありますし、そういう意味では、ILOの国際的な条約に定められているようなものをクリアできると思うんです。

 それから、今から議論しますネットワークについてなんでありますが、ネットワークについても今回整備をするということでありますので、これについてもちょっと内容を確認した上でまた議論をしていきたいと思います。

 この資料にもありますように、今回の改正では、無料職業紹介を行う地方公共団体に対し、国のハローワークの求人情報及び求職情報をオンラインで提供するということになっております。

 まず、求人情報について確認をしたいんですが、現状、ある企業が国のハローワークに求人情報を出すわけなんですが、これは今後、漏れなく全ての地方版ハローワークとその情報の内容が共有されて、そして自治体から求職者に対してその情報が提供されるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

苧谷政府参考人 お答え申し上げます。

 ハローワークに提出されました求人情報につきましては、求人の提出時に、求人申込書の中にハローワーク以外への情報提供という欄がございまして、そこで求人事業主の方の意思を確認してございます。求人事業主の方の中には、事務処理能力に鑑みてハローワーク以外からは要りません、あるいはハローワークの場所を借りて選考したいのでハローワークだけで結構ですという方も中にいらっしゃいますので、そういう確認をさせていただきます。それで、意思の確認が行われたものにつきましては、全て求人情報のオンライン提供により地方版ハローワークに提供することを予定しているところでございます。

重徳委員 今の御説明だと、やはり今後の運用に少し心配がありますね。

 つまり、企業が、国のハローワーク以外の、要するに自治体版、地方版のハローワークにも情報を提供することを是とするか否とするかということを一々マークをするわけですね。それによって、地方版ハローワークが得られる情報が多くなったり減ったりということになるわけでありまして、やはりクオリティーとして、量としても、あるいはトータルで見たときの質として、地方版ハローワークは、今国がやっているハローワークと比べて、十分な情報を提供できるシステムになるのかどうか。

 今の御説明ですと、企業の意思確認をしない限り地方版ハローワークには提供できないということですから、支障が出るケースが出てきませんか。それとも、全て地方に提供するということが原則なんですか。その確認です。

苧谷政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまでも、事業主がどうしてもなるべくハローワークの中でやりたいというようなことでございますとそういう形になる場合もございますけれども、こういう地方版ハローワークの意義というのは、私どもの方も、ハローワークの方から事業主の方にいろいろと御説明をさせていただきますし、御理解を賜った上で、できる限り地方版ハローワークに提供されるように努力をしてまいりたいと思っております。

重徳委員 やるからには全て提供するのが原則だというふうにしていただきたいんですけれども。そうじゃなきゃ、結局、国の裁量次第で、余り地方には情報をやるなよというようなことだってあり得るわけじゃないですか。

 これは法律に書くことじゃないかもしれませんが、政令、省令、その下のレベルかもしれませんけれども、原則、全ての情報は地方と共有するというようなことをきちんと規定するということは可能でしょうか、そうする意向はありますか。

苧谷政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまのところは、求人情報の中の欄で確認するという形になってございますので、それでやらせていただきたいと思いますが、この地方版ハローワークのメリットというのは私どもの方もよく宣伝させていただいて、できる限り提供できるようにしたいというふうに考えてございます。

重徳委員 不十分な答弁だと思います。

 やる前から余り突っ込んでもちょっと想定できないかもしれないので、引き続きこれは議論していきたいと思います。

 では、逆に、今度は求職情報ですね。つまり、仕事を求める人がハローワークに行って、私はこういう者です、こういう経験があります、こんな仕事を求めています。この求職情報についての取り扱いでありますが、これはどういうふうに取り扱われるんですか。

苧谷政府参考人 お答え申し上げます。

 ハローワークの求職情報のオンライン提供につきましては、本年三月二十二日に民間職業紹介事業者や無料職業紹介を行う地方自治体等を対象に提供を開始する予定でございまして、まさに今準備中のところでございます。

 具体的には四つございまして、一、提供に同意する求職者の情報を、氏名、連絡先等の個人情報を除いた上で、厚生労働省の求職情報提供サイトにまず掲載する。

 二つ目、地方版ハローワークが厚生労働省から承認を受けた上で、当該求職情報提供サイトを通じて掲載された求職情報を閲覧する。

 三つ目といたしまして、その連絡をとりたい求職者がいた場合は、このサイトを経由して提供できるサービスの案内等を送信する。

 四つ目として、その案内等を受けた求職者が、地方版ハローワークの利用を希望する場合に求職申し込みを行うという仕組みとなってございまして、まず最初に、求職者の情報を出すかどうか、これは本人の同意を確認するということになってございます。

重徳委員 この求職者の個人情報の取り扱い、もちろん機微に触れる部分もありますけれども、どこまでの範囲を個人情報とするのか。確かに、氏名なんかは別に要らないかもしれないけれども、それ以外の、過去のいろいろな経歴とか、住所だって採用する側にとっては必要な情報だと思います。

 必要な情報が、個人情報だからといって得られないような情報になってしまっては求職情報としても不十分だと思うんですけれども、今、まず一つ目にというふうに次長はおっしゃいましたけれども、氏名その他、どの部分までが個人情報として隠されるのでしょうか。

苧谷政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には、氏名はまず除かせていただきます。それから、連絡先を開示してしまいますとすぐに連絡が行ってしまいますので、それは除くとして、あと、経歴等は、できる限り御本人の希望で、アピールができる部分を書かせていただく方向で検討をしてございます。

 その他、これが本人だとわかってしまうぐらいの場合がある場合とない場合、いろいろございますので、これは本人の希望も含めてちょっと考えざるを得ないところもございますので、今すぐにこうだというのはちょっと申し上げづらいところがございますが、できる限り地方版ハローワークがスムーズにいくような形での内容にしていきたいと考えてございます。

重徳委員 肝心なところが非常に歯切れが悪いんですけれども。

 今、連絡先は連絡が直接行っちゃうから困るとおっしゃいましたが、電話番号はいきなり必要ないかもしれませんけれども、住所はどうなんですか。住所だって、何々市何々町ぐらいまでなら支障ないように思いますし、それがわからないと、人を求めている企業も、どこに住んでいる人なのかによって大分違うと思います。

 このあたり、どうなんでしょうか。

苧谷政府参考人 お答え申し上げます。

 住所につきまして、余り詳しくなりますと、住所による就職差別というものもまたございますので、やや機微なところも出てまいりますので、そこはやや注意していきたいなというふうに考えてございます。

重徳委員 個人情報の取り扱い、軽々に扱ってはならないというのは原則そのとおりだと思うんですが、最初に申し上げましたように、自治体の間の情報ですから。国と自治体との情報共有の話ですから。それ以外のところにさまざまな個人情報が流出するということは想定していないわけですから。最初に言いましたように、自治体が中間搾取を含めていろいろな怪しいことをやるというようなことを念頭に置かれているかのような、今、御答弁だと思うんですよ。そのあたりの取り扱い、これからの運用でいかようにも、国のハローワークが本当に地方版ハローワークが機能するようにサポートしていくのかどうか、いくつもりがあるのかどうかというところも、非常に重要なところだと思います。形ばかりじゃしようがないわけですから。

 その点、今までの議論を踏まえまして、ちょっと大臣にお尋ねしたいわけなんです。

 今回、国から地方にある程度情報を共有、提供できるようにしようというようなところだけは少し進んだ感じもしますが、ずっと二十年来言われています、そもそも自治体の仕事に移管したらいいじゃないか、こういうことには全く応えられたものになっていない。

 それからもう一つは、今もせっかくオンラインで情報共有できるということになっているにもかかわらず、今、ちょっと次長の御答弁の範囲では非常に歯切れが悪いというのか、十分機能するものになるのかどうか不安も残ります。この点について、大臣、今回せっかく法律を出す予定になっているわけでありますので、ぜひ思い切って進めていただきたいと思うんですが、大臣の見解をお尋ねします。

石破国務大臣 私は別に厚労が専門ではありませんが、このお話をずっと聞いてきまして、何が何だかよくわからないねという話でした。

 問題は、労使ともに望んでいないというのがありまして、連合も別にやってほしいわけじゃないし、経営者側もやってほしいわけじゃないしというのがあって、それにまたILOが絡んできて、ますますややこしくなって、結論が出ないままだったと思います。

 ただ、私が申し上げたのは、実際に仕事を求める方、求職者、あるいは人が欲しい求人側、これにとって何が一番いいんでしょうかね、何がユーザーフレンドリーなんでしょうかねと。それが別々の場所に位置をしておって、あるいは、雇用保険の関係もあって、その手続はほかのところへ行ってくださいとか、あるいは、この地域の雇用情勢はよくわかりませんとか、そういうことは非常にまずかろうと思っております。

 地方移管にしたときに、完全な地方移管という形はとっていませんが、今回の地方版のハローワークというものを開きますに当たっては、やはりきちんとした情報が提供されること、それが広域的に提供されること、そこにおいて地方も国もともに責任を持つということが必要だと思っております。

 なかなか完全に満足いただけるようなものにはなっていないかもしれませんが、少なくともユーザーフレンドリーには相当になっただろうというふうに私自身は認識をしておるところでございます。さればこそ、全国知事会からも、地方分権の歩みを大きく進めるものとして評価をするというふうに言ってもいただいているわけで。言っていただければそれでいいかというものでもありませんが。

 やはり大勢の人の努力によってかなり前に行った。実際にこれを動かしてみて、法律も御審議をいただくことになりますが、求人する方、求職する方が、随分変わったねと言っていただくことが大事だと思っております。

重徳委員 大臣はこの法案提出者側のお立場ですから余り、さらにこの法律を踏み込んでもっと進めるんだと言うのは、現時点ではおかしな答弁になっちゃうということなんでしょうけれども。しかしながら、今、運用で、情報の共有のあり方について、ユーザーフレンドリーになり切るかどうか少し不安を残すような御答弁も私はちょっと感じたものですから、このあたりは、本当の意味で、がんがんやりたいという自治体が本当にやりたい放題といいますか、存分にやれるというような環境を整えていっていただきたいと思います。これは強く要望させていただきます。

 そして、残りの時間で、もう一つ法改正予定の国家戦略特別区域法、いわゆる国家戦略特区の法案の中身の一つの項目を取り上げたいと思います。

 資料の二枚目にあります1、医薬品に関するものですけれども、特区内の薬局の薬剤師は、テレビ電話装置等を使用した方法による情報提供及び指導を行うことができることとするというものなんですね。要するに、テレビ電話、遠隔で服薬指導ができるということでございます。

 それで、まずお聞きいたしますのが、遠隔医療は、数年前から制度的には、解釈の見直しといいましょうか、通達が出まして、本来の対面式に代替し得るような医療行為であれば、対面でなくてもいいよというようなことになっておりました。診療を受ければ、当然処方箋を出して薬を受け取るということになるわけなので、遠隔医療をやっている以上は、遠隔服薬指導というものも当然セットで行うべきものであろうというようなことであると思います。これは特区としての申請だということなんですけれども、どんな地域ニーズがあって、そして今回のとろうとしている措置はどういう限定がついたような内容になっているのか、この点、まず、事務方の方から御説明を願います。

森政府参考人 お答えいたします。

 今回いただいております御提案ですが、内閣府からいただいているお話によりますと、兵庫県養父市、三井物産、こういったところから、タブレットを活用した遠隔診療や服薬指導に関する提案がなされたというふうに伺っております。

 それから、御指摘の遠隔服薬指導につきましては、遠隔診療のニーズに対応するために、日本再興戦略二〇一五におきまして、国家戦略特区において実証的に、医療資源が乏しい離島、僻地において遠隔診療が行われた場合に、対面での服薬指導が行えない場合において、テレビ電話を活用した服薬指導を可能とするよう法的措置を講ずるというふうにされたところでございます。

 これを踏まえまして、現在、内閣府とともに法案の検討を進めているところでございます。

重徳委員 ちょっと確認ですが、養父市からの申請であって、この特区は養父市において適用されるということですか。それとも、この法律が通った暁には、どこでできるようになるんですか。

森政府参考人 お答えいたします。

 提案をいただきましたところは養父市でございますけれども、特区における適用ということですので、養父市だけに限定されるわけではないと理解してございます。

重徳委員 そうであれば、今回の中身が認められることになれば、実証的という御説明がありましたけれども、養父市以外にもこの内容の特区を適用したいという自治体があれば、そこが手を挙げて適用されるということになると思います。地方創生という大きなテーマでありますけれども、各論はこういう一つ一つの対応だと思います。

 最後、大臣に、決意も含めてお尋ねしたいんですけれども。

 やはり医療は大事であります。そして遠隔医療が割と、事前にいただいた資料では、五百以上の診療所において遠隔医療をやる体制をとっているということなんですね。地域的にも点在をしていると思います。遠隔医療が実現されれば、当然、遠隔服薬指導といいましたか、今回の措置がとられることが必然だと思うんですけれども。

 過疎地域、僻地、離島というふうにかなり限定されているようでありますし、実証的という限定はついていますけれども、本当にニーズのあるところでは、今本当に画像も非常に鮮明な映像がとれるわけでありますので、こういった技術の進展を踏まえながら、何でもいいから乱暴にやれとは言いませんが、非常に大きなアイテムだと思います。こういったことも、厚労は御専門じゃないかもしれませんけれども、そうおっしゃらずに、非常に重要なパーツだと思いますから、この点、しっかりと進めていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 一応、厚労の理事も昔随分長くやったことがあるんですけれどもね。

 要は、テレメディスンというものがあって、遠隔地医療、あるいは遠隔地服薬指導もそうです、あるいはドローンもそうかもしれません、自動走行もそうかもしれません、そういうような技術の進歩というものによって人は幸せになるはずだ。わけても、過疎地、僻地、離島、そういうところにおいての高齢者の方々の暮らしの利便を向上させるということを喫緊に実現するために、このような特区は意味のあるものだというふうに考えております。

 その地域のみならず、これから普遍的に広がっていくためにどういうような問題を解決するかにつきましても、早急に議論して答えを出したいと思っております。

重徳委員 私も、地方活性化、地方創生、今後も私自身としても力を入れてまいりたいと思っております。これからも力を合わせて頑張っていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、椎木保君。

椎木委員 おおさか維新の会の椎木保です。

 私も、今、国会議員二期目をやらせていただいていますけれども、もともと地方行政で約十八年勤めていたという経験もあるものですから、その経験も少しでも生かしながら、この地方創生の委員会のメンバーの一人として、地方創生が重要課題である、そういう認識のもとで今後皆さんと一緒に力を合わせて頑張っていきたいと思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 初めに、安倍内閣の憲法改正に関する姿勢について質問させていただきます。

 我が党は、国と地方の関係に関する統治機構を変えるべきとの考えでおります。この点について、仮定の質問になって恐縮ですけれども、改憲発議に必要な三分の二の多数を得ることができたら、安倍内閣としてその項目から憲法改正に取り組むお考えがあるのか、石破大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

石破国務大臣 これは、先ほど、参議院でも御党の儀間議員から御質問があって、官房長官が答弁をいたしておったところでございます。

 これはまさしく、仮定のことにはお答えができないのでありまして、どの条項をどのように改正するかにつきましては、国会や国民的な議論と理解の深まりの中で収れんしていくものであるということでございます。

 ですから、どれを国民に向けて発議するかということの議論は、それは国会が一義的に行うものでございます。もちろん、これを国会で議論してくださいという権能が内閣にないわけではございませんが、これは今の状況からいって、国会においてどの条文をということがまず決められ、議論をされるということでありまして、安倍内閣としてとか政府としてとかいうことを申し上げることは余り適切だと考えておりません。

椎木委員 大臣の答弁は、全く、私もそうであろうと思いながら質問させていただいているんですけれども。

 これは実は、三月一日に衆議院予算委員会で、他党の委員の質疑の中で、どの項目から憲法改正を行うべきかについて、改憲発議に必要な三分の二が可能となったものから我々は憲法改正に取り組んでいきたいという総理の発言があったものですから、地方創生と、我が党が推進しようとしている統治機構改革、この辺の我が党の認識と石破大臣の認識が共有できていれば大変ありがたいな、そういう趣旨で今答弁をお願いしたんですけれども、大臣の立場上、今の答弁で全く、いささかも不満はありません。ただ、こちら側の趣旨はそういう趣旨で、若干期待させていただいたということだけは申し上げさせていただきます。ありがとうございます。

 次に、道州制について質問させていただきます。

 大臣所信では、「道州制は、国家の統治機構を集約、強化するとともに、住民に身近な行政は可能な限り地方が担うという、地方経済の活性化や行政の効率化にも資する手段の一つと考えており、国会における御議論も踏まえつつ取り組んでまいります。」こういった発言をされております。

 この真意について、再度ちょっとお聞きしたいと思います。

石破国務大臣 いや、真意も何も、それが私の気持ちなのでありますが。

 これは、中選挙区から小選挙区に移行しますときに、いわゆる政治改革という議論がすごく盛んでした。私もここで何度も質疑をした覚えがあります。そのときに我々の基本認識にあったのは、外交、安全保障、通貨、財政というものに国、中央政府は特化しなければいかぬのではないだろうかと。自由民主党から複数出て、複数出るがゆえに、地域の利益が優先して語られ、国の基本事項が全く選挙の争点にならないのはおかしいのではないかというようなお話が中核でございました。そのときに、さはさりながら、地方分権をきちんとやっていかないとその試みはうまくいかないねということでありました。

 ですから、道州制というお話と地方分権というお話と、交わるようで交わらないようで交わっているという、非常に不思議な表現を使って恐縮でありますが。だから、手法の一つであるというのを申し上げたのはそういうことです。

 我が党の憲法改正草案の中で道州制というのが入っていないのは、あそこに書いてある広域自治体というものでこの道州というものを読むというふうに考えております。現行憲法でも、憲法の改正なくして道州制の導入は可能だというのが我が党の立場でございます。

 道州制というものが手法の一つであると申し上げたのは、地方分権によってもそのことは可能なのかもしれない、道州制のみがその手法ではない、だとしたら、地方分権のメリット、デメリット、道州制のメリット、デメリットというものをやはり国会の場で御議論いただくということがまず肝要なのではないだろうかという趣旨で申し上げたものでございます。

椎木委員 真意という言い方をしたのでちょっと戸惑った部分もあったのかと思いますけれども、まさしく今の大臣の答弁の一言一言をお聞きしたかったという趣旨でございますので、御理解いただければと思います。

 次に、道州制についての政府の認識についてお尋ねしたいんです。

 これも、我が党が、国の機能は基本的に外交、安保、マクロ経済政策に限定して、その機能を強化して、社会保障や教育等の機能は全て地方に任せるべき、そういう考え方でいるんですけれども、道州制についてのメリットとして所信で大臣の方が述べていますけれども、我が党と同じ認識と受けとめてよいのか、これについてお聞きしたいと思います。

石破国務大臣 ほとんど同じだと思っていただいて結構です。これは私個人のお話でありまして、党としてではございません。

 ただ、社会保障でありますとか教育でありますとか、それを道州に委ねた場合に、A州、B州、C州の中で違いが出てくるということは当然予想されることでございます。それが、日本国という国家の中で、そこにおいて違いが生ずるということをどのように評価するべきなのか。それが嫌ならば引っ越せばいいでしょうという話なんですけれども、そんな簡単に人間は引っ越せませんので、そういうお話にもなりません。

 それは、そういうような公約を掲げた道の首長というんでしょうか、州の首長というんですか、それを選んだんだからそれでいいでしょうというお話になるのかどうなのか、そこの議論が私は全然詰まっていないと思っているんです。それを、詰まっていないまま、道州制を採用しなければこの国は滅びるという議論があり、あるいは、道州制を採用したらまた市町村合併の二の舞だという議論があり、全く議論が交差しないままにここまで来ているのは、いずれにしても不幸なことだと思っております。

 認識はほとんど共有するところでございますが、そこの差が生じた場合にそれをどのように評価するかということについては、また機会を見て議論をさせていただきたいと思います。

椎木委員 ありがとうございます。

 道州制というのは、我が党にとっては非常に、一丁目一番地に近い、本当に大きな柱の一つなんです。道州制について、自民党もかつては公約に掲げていたという認識、記憶でいるんですけれども、若干、政権をとってからやや消極的になったのではないかなという気がしてならないんです。

 これまでの総理の答弁でも、自民党内の議論を見守る、そういったスタンスだったと思うんですけれども、大臣所信では、国会における議論も踏まえるという所信でしたけれども、道州制について我が党と協議を今後行っていくとか、我が党に限らず、自民党以外の他党、会派、そういう考えがあるのか、それについてお聞きしたいと思います。

石破国務大臣 我が党において、道州制基本法を出す、出さないという議論が相当ございました。そのとき私は政調会長とか幹事長とかしておりましたが、全国の町村会は絶対反対なのですね。まさしく基礎自治体たる全国町村会あるいは全国町村議長会は絶対反対であるということで。そうすると、そういう中で、この道州制基本法というもの、むしろこれは理念法というよりもプログラム法的な色彩が強かったと思っていますが、それを公約に掲げるということをおととしの総選挙では行わなかったものだと承知をいたしております。

 そうしますと、この道州制の議論というものは、私どもとして、松浪議員が我が党におられたときにこの責任者をしておられて、随分と議論した覚えもあるのですが、やはり御党に限らず多くの党と、道州制、あるいは国が本来なすべきことに特化するための手法とは何なのかと。いや、そうではないという方もおられるかもしれません。国は、外交と安全保障とマクロ経済あるいは通貨政策に特化すべきじゃないかというお考えもあるかもしれません。

 私は、そういう議論が憲法調査会であったり、あるいはここであったり、そういうところでされていいんだと思いますが、例えば今委員とこうやって議論していますけれども、結局、政府としては政府の立場が超えられないというものがございます。

 私はかつて憲法審査会等々でフリーディスカッションというものを体験したこともあるんですが、やはり、それぞれの党がそれぞれの立場で議論を行うということも、やり方としては有用なことであったかもしれないなと、国会議員の一人としてはそのように考えております。

椎木委員 極めて大臣の立場を明確に、立ち位置を示されての答弁ということで、本当にわかりやすく適切な答弁をいただいたなと思います。

 先ほどの、我が党の松浪議員の話がありましたけれども、さっき安倍総理の答弁の引用をさせてもらったのも、実は二〇一四年十月六日の衆議院予算委員会で松浪委員が質問して、総理から答弁してもらった。ですから、本当に、過去の我が党の委員の質問をちょっと引用して、今、石破大臣の御認識を確認させていただいた。これ以上踏み込んだ期待をしつつも、こちらとしては、やはり道州制を進めるには、おおさか維新の会だけじゃなくて自民党にももう少し推進していただいて、それを我が党が一緒になって進めていきたい、そういう希望といいますか、そういうものもあったものですから、お聞きさせていただきました。

 引き続き、共有できるところは共有できるように我が党も努力していきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、地域再生法について質問させていただきます。

 大臣所信では、「地方での安定した良質な雇用の創出を通じて地方への新しい人の流れをつくるため、税制措置により企業の地方拠点強化を支援します。」こう述べられていますけれども、これについても先ほどと同様、大臣のこの所信に対する真意をお聞かせいただければと思います。

石破国務大臣 真意も何も、そのとおり申し上げたところでございます。

 やはり数字を掲げませんと、どうしても目標が茫漠たるものになって、精神論的なものに堕しかねないということでございまして、地方の拠点強化政策としてKPIを設定したということであり、そこへ向けて日々それは改善を図っていかねばならないことだと思っております。

 私どもがよかれと思ってやりました政策も、ユーザーにとってみればそれほどでもないということがございますし、それ以前に、そんな制度は知らなかったというのが結構ございます。ですから、周知徹底に努め、なお改善の余地ありとすれば、そういうことにも努めていかねばならないということであります。

椎木委員 私の聞き方が余り上手じゃないので、大変困らせているとは思うんですけれども。

 私も冒頭お話ししたように、地方行政の経験も多少ありますので、この地方創生も希望して入った委員会で、要するに、石破大臣は本当に適任な大臣だと思います。いや、思います、個人的に。私は地方行政でしたけれども、普通は、所信に対しては、首長は首長のやはり思いがあるんですね。文言だけじゃなくて、文言の裏側の。だから、そういう石破大臣の思いを聞かせていただいた上で、さらに、この委員会で我が党としても頑張っていきたい、ある意味では協力していきたい、そういう趣旨で、ちょっと私の聞き方が上手じゃありませんでしたので、私の狙いとしてはそういう趣旨だったということだけは、御理解いただければと思います。

 次に、成果目標の設定について質問させていただきます。

 企業の地方拠点強化政策の成果目標、KPI、これらは、あと五年で本社機能の移転等の件数を七千五百件ふやし、地方拠点での雇用者数を四万人ふやし、若年正規雇用の割合を他の世代と同じ水準にする、そういったことですけれども、中長期的な県民所得等の上昇とするべきではないかというのが私の考えで、五年後に、移転した後、その後の政策目標や対策についてはどのようにお考えなのか、答弁をお願いします。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 企業の地方拠点強化の取り組みは、まずは、東京一極集中を是正いたしまして、地方での安定した良質な雇用の創出を通じまして、東京から地方への新しい流れを生み出すということを目指しております。

 閣議決定されましたまち・ひと・しごと創生総合戦略におきまして、今後五年間の目標として、ただいま御紹介ございましたとおり、地方拠点強化の件数七千五百件、地方拠点の雇用者数四万人増といったような目標を掲げておりまして、まずはこの達成を目指しております。仕事が人を呼び込み、人が仕事を呼び込む、このような好循環を確立することで地域の経済の付加価値が上昇する、それによって地域のいわば稼ぐ力が拡大するということを目指したものでございます。

 したがいまして、これらの目標が達成されることによりまして、地域の方々の所得等についても上昇を期待するというものでございます。

 また、まち・ひと・しごと創生総合戦略におきましては、企業の地方拠点の強化ということも含めまして、個々の施策のアウトカムの目標年次を二〇二〇年といたしております。したがいまして、二〇二〇年に向けた具体的な数値目標、いわばKPIを設定いたしまして、このKPIが達成されたかどうかということを、効果を絶えず検証するPDCAサイクルを組み込んでおります。

 幾つか先生からの御紹介がございましたKPIにつきましても、この達成に向けまして、関係府省庁と連携いたしながら施策を推進するとともに、その政策効果を不断に検証してまいります。

 二〇二〇年以降の政策目標についてのお尋ねがございました。

 これにつきましては、このPDCAサイクルを回し、KPIの達成状況を検証する中で政策効果を検証し、それを踏まえて検討してまいるということでございます。

椎木委員 ちょっと一点だけ、今の答弁で私が聞き漏らしていたら申しわけないんですけれども、中長期的な県民所得等の上昇とすべきではないかという私の問いに対しての答弁というのは、今の中に入っていましたでしょうか。

中尾政府参考人 先ほどお答えしましたのは、まずは、具体的な企業の拠点強化の件数ですとか、あるいは雇用者数増を達成していくということを私どもはKPIとして掲げておりますけれども、これらのKPIが実現されるということは、地域の所得の水準の向上というような結果をもたらすことを期待をしているという関係でございます。

椎木委員 期待をしているということなので、私も期待したいと思います。もう少し踏み込んでいただきたいんですけれども、まあ、いいでしょう。

 では、次の質問に入らせていただきます。集中地域について質問させていただきます。

 地方拠点強化税制について、昨年の答弁では、大阪は既に人口が集積していることから、税制優遇の対象地域から除外するとのことでありました。

 大阪は、大阪副首都構想を掲げる中で、大阪のような地域こそ支援対象とすべきであると思います。また、税制優遇の対象外となる大都市であっても、支援対象地域以上の人口減少が見込まれている例もあることから、地方拠点強化税制の対象地域の考え方が不合理ではないかという考え方も持たれますけれども、これらについてどう考えているのか、答弁をお願いしたいと思います。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生から御指摘ございましたとおり、昨年の通常国会で成立しました改正地域再生法におきまして、具体的な地域指定というような取り組みがあるわけでございます。企業誘致に計画的、戦略的に取り組んでいる地域に対して、できるだけ広く優遇措置が及ぶように配慮をしたということではございますけれども、東京圏、そして御指摘のございます近畿圏の中心部、それから中部圏中心部のような、既に人口や産業が著しく集中しているという地域につきましては、周辺の地域からそれらの地域への移転が促進されるという問題が生ずるおそれがあるということから、支援対象外ということにいたしました。

 支援対象外ということになったときの一つの考え方といたしましては、これは、人口密度それから事業所密度が他の地域と比べて著しく高いということがこの判断の理由であったということでございます。

 この改正地域再生法におきましては、附則の第三条におきまして、「政府は、この法律の施行後三年以内に、」「新法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とされております。したがいまして、この規定に基づきまして、施行後の状況を見ながら、予断を持つことなく判断をしてまいるということだと考えております。

椎木委員 これは私の考えですけれども、東京都以外は全部支援対象じゃないかなと私は思うんです。これは私の考えというより、客観的に見てそうじゃないかなと思うんだけれども。東京都だけだと思うんです、今、一極集中して、逆に支援が必要ないのは。大阪も大都市ですけれども、先ほども申し上げましたけれども、人口が減っているわけです。そういう意味では支援対象じゃないかなと思うんですけれども、その辺の見解についてはどうでしょう。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申しましたとおり、人口密度、事業所密度ということで判断をいたしましたけれども、今先生の御指摘のようなことも踏まえまして、三年以内に見直すというその規定にのっとって、引き続き予断を持つことなく判断をしてまいるということでございます。

 それから、大阪を初めまして、この制度の支援対象外となっております地域につきましては、当然のことながら、我が国を代表する都市ということで、その国際競争力の強化ということが重要であることは言うまでもございませんでして、国家戦略特区等の指定でございますとか、あるいは地方創生の交付金、さまざまな措置等を御活用いただきながら、引き続きその活性化を図っていくということは当然重要でございます。

椎木委員 では、次に入ります。

 中小企業基盤整備機構の債務保証制度の利用について質問させていただきます。

 企業が地方移転する際に、地域再生法に基づく独立行政法人中小企業基盤整備機構の債務保証制度を利用することについて、昨年の答弁のとおり、政策評価・独立行政法人評価委員会の勧告を踏まえた、適時適切な業務状況の検討を行っているのか、答弁をお願いしたいと思います。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 本社機能等を有する施設の地方移転、あるいは地方における拡充を促進するためには、事業者にとりまして大きな負担となります施設設備に係る費用負担の軽減というのが有効と考えております。したがいまして、このために、昨年の地域再生法の改正におきまして、今御指摘ございましたとおり、独立行政法人中小企業基盤整備機構に新たな施設設備の増設ないし新設ということに関する債務保証業務を追加いたしました。

 この中小機構の債務保証業務につきましては、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会より、平成二十五年十二月に、産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法という別の法律に基づきます、事業再生の円滑化を目的とした債務保証業務に関して、業務ニーズの的確な把握に努めるとともに、今後の業務実績等を踏まえた形で、必要な見直しを行うべきという勧告をいただいております。

 今回、私どもがやらせていただいています、地域再生法に基づきます施設の地方移転等の支援を目的とした債務保証業務につきましても、昨年の国会で、御審議の中で石破大臣からも御答弁をいただきましたけれども、主管省庁である経済産業省等とも連携しながら、適時適切にその業務の状況をしっかりと検討し、その事業も運営してまいりたいと考えております。

椎木委員 ありがとうございます。

 ちょっと、若干突っ込みたい部分も幾つかあったのはあったんですけれども、余りそういうところにエネルギーを使わず、先に先に進んでいきたいと思いますので。私が最後ですので、質問が終われば、少しでも早目にとは思います。

 それで、大臣に最後に、通告はないんですけれども、答えていただけなければそれで構いませんから、もし答えていただければということで。

 私、いろいろ自分の地元以外の地方を回っていまして、私の前の選挙区とか自分の実家とか、茨城とか千葉とか、関東も含めてなんですけれども、要するに、地方の声をなるべく聞く機会をと思っていまして、そういう中で、必ずと言っていいほど言われることが、今まとめてきたのがあるんですけれども、これをちょっと読み上げますので、それについてちょっと大臣の見解を聞かせてもらって終わりたいなと思うんですけれども。

 今、地方創生と言っているが、現地を見ずに、金の無駄遣いをしている。地元の人材なり産業を育てる部分に税金が使われているのか。本当の意味での地方創生にもっと地域とのコンセンサスをとってほしい。一番は人材の育成だと思います。

 要するに、こういう声が比較的多いんですね。これに対してはちょっと私も私なりの考えはあるんですけれども。

 もし今の、大臣の感想的なもので結構なんですけれども、お願いします。

石破国務大臣 一番の課題は、人材の育成です。ですから、その地域で、その地域の役に立つ学問を修めてもらいたいと思います。

 それは、難しい経済学とか難しい文学が悪いとは言いませんが、やはりその地域において役に立つ学問という選択も当然あるべきではないだろうか。そこにおいて学びの場が提供され、学びの質が提供されるということが大事で、もう一つは、お金がないので進学を諦めざるを得ないという人がいるとするならば、地元に残れば奨学金を返さなくていいですよという、何か功利的みたいな響きがあったら申しわけないのですが、やはりそういうものも必要なんだろうというふうに思っております。そこにおいて人が一番大事なのは間違いないところであります。

 もう一つは、CCRCの質問なんかもそうなのですけれども、五十代、六十代で地元へ帰って第二の人生という選択肢が余り今までなかったような気がいたしております。私も五十過ぎましてから急に地元の同級会がふえたような感じがいたしておりまして、それは東京においても鳥取においてもそうなのですが、きのうも同級生から結構長いメールをもらって、同級会やろうやろうみたいな話でしたが、第二の人生は地元でという、そういう流れも加速をしていきたいと思っています。

 やはり最後は人なのでありまして、人の育成あるいは人の流入というものを仕事とともにやっていきたいと思っています。

 ですから、箱物とかハードとか、そういうものに一辺倒の地方創生というのはもはや限界がありますので、どうやって人の面に重点を置いていくかということについて、さらに当委員会の御議論を賜りたいと存じます。

椎木委員 ありがとうございます。

 私も同じような認識ではいまして、必ずこういうお話をされるときには、地方創生といいましても、そう簡単に、魔法遣いのように今までの壁が全てなくなるわけではないです、ただ、それだけ期待は大きいんだなというふうには受けとめています。ただ、一方では、地方も個人も自助努力はしてくれ、その上で地方創生に対する期待を持っていただきたい、これは私も申し上げています。

 だから、そういう意味では、石破大臣も、人材だというのは今答弁いただけましたし、そういう大臣の思いも受けて、私もできるだけ、この委員会も余り与野党の垣根はないと我が党は思っていますね。私も思っています。そういう意味では、本当に一生懸命、ある意味ではお支えしながら、建設的な議論は当然させていただきますけれども、今後とも一緒に頑張っていきたいと思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。

 若干質問時間が余っていますけれども、終わります。

山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十九分散会


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