衆議院

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第10号 平成28年4月20日(水曜日)

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平成二十八年四月二十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山本 幸三君

   理事 後藤 茂之君 理事 佐藤ゆかり君

   理事 新藤 義孝君 理事 寺田  稔君

   理事 山口 俊一君 理事 篠原  豪君

   理事 宮崎 岳志君 理事 桝屋 敬悟君

      井林 辰憲君    伊藤 達也君

      池田 道孝君    江藤  拓君

      大野敬太郎君    勝俣 孝明君

      菅家 一郎君    小泉進次郎君

      菅原 一秀君    鈴木 馨祐君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      谷川 とむ君    中谷 真一君

      野中  厚君    鳩山 邦夫君

      平井たくや君    福田 達夫君

      牧島かれん君    八木 哲也君

      山田 賢司君    青柳陽一郎君

      井坂 信彦君    吉良 州司君

      佐々木隆博君    高井 崇志君

      武正 公一君    寺田  学君

      福田 昭夫君    角田 秀穂君

      中野 洋昌君    樋口 尚也君

      田村 貴昭君    宮本 岳志君

      伊東 信久君    椎木  保君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)          石破  茂君

   内閣府副大臣       福岡 資麿君

   内閣府大臣政務官     牧島かれん君

   厚生労働大臣政務官    太田 房江君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房参事官) 中村裕一郎君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         池田 憲治君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        中島  誠君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 亀水  晋君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森  和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉本 明子君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            生田 正之君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 青木 由行君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十日

 辞任         補欠選任

  勝俣 孝明君     井林 辰憲君

  中谷 真一君     田畑 裕明君

  宮川 典子君     八木 哲也君

  緒方林太郎君     井坂 信彦君

  柿沢 未途君     武正 公一君

  樋口 尚也君     中野 洋昌君

  椎木  保君     伊東 信久君

同日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     勝俣 孝明君

  田畑 裕明君     中谷 真一君

  八木 哲也君     宮川 典子君

  井坂 信彦君     緒方林太郎君

  武正 公一君     高井 崇志君

  中野 洋昌君     樋口 尚也君

  伊東 信久君     椎木  保君

同日

 辞任         補欠選任

  高井 崇志君     柿沢 未途君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五二号)


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房参事官中村裕一郎君、内閣府地方分権改革推進室次長池田憲治君、内閣府子ども・子育て本部審議官中島誠君、総務省大臣官房審議官亀水晋君、厚生労働省大臣官房審議官樽見英樹君、厚生労働省大臣官房審議官森和彦君、厚生労働省大臣官房審議官吉本明子君、厚生労働省職業安定局長生田正之君、国土交通省道路局次長青木由行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武正公一君。

武正委員 民進党、武正公一でございます。

 法案につきまして質疑を行わせていただきます。

 また、理事を初め委員各位の御了解を得て質疑に立たせていただくことに感謝申し上げたいと思います。

 特に本法案の中の地方版ハローワークについて質疑を行いたいと思います。

 既に求職情報の地方自治体、民間企業への提供、あるいはハローワーク特区、こういったものが実践をされておりますが、それぞれの成果と現状あるいは今後について、厚生労働省に伺いたいと思います。

太田大臣政務官 お答え申し上げます。

 ハローワーク特区についての御質問でよろしいでしょうか。

 ハローワークの求職情報につきましては、三月二十二日よりオンラインで始めておりますけれども、四月一日現在で利用団体数三百七十二団体、そのうち地方自治体が百八、民間職業紹介事業者等が二百六十四、こういうふうになっております。

 なお、ハローワークの求職情報につきましては、今までも地方自治体の要望に応じて紙ベースで提供をし、地方自治体と連携した就職支援等に活用されてきているところでありまして、これについても引き続き積極的に取り組んでいくことにしております。

武正委員 今お話がありました。

 今お手元の方に資料を配らせていただきました。出先機関改革に関する提言ということで、旧民主党地域主権調査会として二〇一〇年の十二月二日にまとめたものでございます。

 この中でハローワークについても、三ページでございますが、「ハローワークの業務を利用者の視点から見直し、ハローワークが行う無料職業紹介、雇用保険の給付と地方が行う職業能力開発、公営住宅や福祉に関する相談業務等を一体的に行うことができるようにすべきである。」というような形で提言を行いました。

 そして、これをもとに、同年の十二月二十八日、旧民主党政権時でしたが、閣議決定で、アクション・プラン、出先機関の原則廃止に向けての中で、国が行う無料職業紹介などと自治体が行う業務を一体的に実施といたしまして、そして、ちょうど細川律夫元厚生労働大臣のときに自治体への特に求職情報の提供を始めております。

 これは、さかのぼること二〇〇六年四月六日、行政改革特別委員会で、当時の川崎二郎厚生労働大臣に対しまして、私の方から、求職情報を地方自治体に提供することによって、特に雇用政策あるいは企業の誘致、こういったものに取り組む首長さんたちが、地域で地域の方々がどういう職につきたいと思っておられるのか、その情報を得られるようにしてほしいという質問を行いまして、そのときに、検討するというか、勉強しようという答弁がありました。

 ただ、なかなか政権交代までそれが実現せずに、先ほど言ったような形でスタートをし、そして、今御紹介がありましたハローワーク特区、これについては六ページに記載がありますように、埼玉県と、それから佐賀県で平成二十四年十月からハローワーク特区が開始をされました。そして、それぞれ成果を上げてもう既に三年半という中で、今般、地方版ハローワークということが法案として提出をされております。

 これについては、特に石破大臣がリーダーシップをとって今回この法案に載ったということが既に指摘をされておりまして、昨年の地方分権等に対する改革会議でしょうかね、あちらの方での、そういった前に進めようじゃないかという発言がきっかけということでございます。

 もちろん、二〇一〇年十二月二日の提言、そして同二十八日の閣議決定でも、この中でいえば四ページに、「最後に」というところに書いてありますが、「ハローワークの見直しについては、公労使で構成される労働政策審議会における審議を最大限尊重すべきである。また、出先機関改革を進めるにあたっては、「国と地方の協議の場」等を通じて、地方と協議した上で決定すべきである。」というような形で、特に四つほど、連合などからも懸念が示されておりますように、地方版ハローワークを進めるに当たっては、当初から、こうした労使との協議、あるいはそうした労働側の参加、こういったものが求められて、この間、先ほどの二〇一〇年から今般に至るまでの規制緩和がされてきたというのは御承知だというふうに思います。

 そこで、地方版ハローワークについて連合が示してきた懸念について、石破大臣に、この点がどう今回の地方版ハローワークでクリアされたのか、半歩前に進めようということを決断された大臣に伺いたいと思います。

 まずは、第一点。広域的な職業紹介を行う全国ネットワーク機能の維持ができなくなるのではないのかという懸念。そして、雇用情勢の急変に即応できる機動的な政策対応ができなくなるのではないのか。失業等給付の濫給、本来不要な給付防止と雇用保険制度の健全性保持には国が失業認定と職業紹介を一体的に行うことが必要ではないか。そして最後が、これはILO第八十八号条約については、職業安定組織は国の指揮監督下にある職業安定機関の全国的体系で構成される、これに違反するのではないのか。これは、先ほどの二〇一〇年の提言を私がまとめたときからもずっと指摘をいただいている懸念でございます。

 これが今回の地方版ハローワークでどうクリアされているのか。特にまた、二月でしょうか、労働政策審議会でもこの指摘がされておりますので、こういったことが引き続きどう担保されたのか、大臣に御所見を伺いたいと思います。

石破国務大臣 このハローワークはずっと議論をされてきたことで、その都度その都度、連合からは懸念が示されているぞ、経営者の側も特にこんなことは望んでいないぞというお話があり、また、そのILOの話が必ず出てきて、膠着状態とは言いませんが、議論がずっと続いていた。しかし、実際に利用者の方々、それは職を求める方もそうですし、人が欲しい側もそうですが、そういう方々が不便を感じているとすれば、どこかで決着をつけねばならないと思ってまいりました。したがって、委員から御紹介いただいたような発言をして、多くの方に御尽力いただき、今日に至っておるものでございます。

 委員がおっしゃいますように、連合さんから、全国ネットワークの維持、それから即応性、濫給の阻止、ILO条約等々の御懸念が出ているわけであります。

 累次答弁申し上げておりますように、国として、憲法に保障された労働者の権利というものをきちんと守る、これは国の責任でございますので、セーフティーネットとしての役割はいささかも変わるものではないということは答弁申し上げておるとおりでございます。

 したがいまして、利用者の方に、労働者の方に不便が行くような、そういう権利が侵害されるようなことはしないということのもとに、厚労省ともお話をし、御指摘のように、二月二十三日、労働政策審議会職業安定分科会でございますが、そのような懸念が連合さんから、労働側から提示をされた。厚労省からは、いずれも懸念は当たらないものであるというふうにお答えをいたしておるところでございます。

 詳しくはまた厚労省の方から答弁をするというふうに思いますが、このような懸念に対して、そういうことが実際に当たらないというふうに私どもは運用していかねばならないと思っております。実際にそういうことが仮にありとせば、それは早急にというか、その場でといいますか、是正をされねばならないものであって、これから連合さんあるいは民進党さんにおかれましても、そういうことがないかどうか、私どもも注視してまいりますが、仮にもそのような御懸念に当たるようなことがあれば、御指摘をいただき、即刻それは改善をしなければならないものだと思っておるところでございます。

武正委員 そうした懸念を払拭するためにも、先ほども触れましたような労働側との会議、先ほどの労働政策審議会、あるいはまた国と地方の協議の場、こういったもので、先ほどのような懸念がクリアされている、担保されているということを絶えず御確認いただくように、厚生労働省も、また政府にあってもお願いをしたいというふうに思っております。

 この一体的、国の、全国ネットワーク機能の維持ができなくなるのではないのかという懸念の一つに、労働関係統計の全国的統一性が堅持されるのかどうかといったことがあろうかと思うんですね。

 経済の指標として非常に頻繁に用いられる失業率だったり有効求人倍率だったり、こういったものが、ハローワークでの求人、求職から、地方自治体、私がやはり一番心配しているのは、先ほど触れましたように、二〇〇六年から求めてきたのは、国から自治体への、二年前の二〇〇四年に、職業安定法でしょうか、この改正で、既に求人情報は提供されるようになっております。ただ、求職情報、つまり、それこそ、鳥取県のAさんがどういう仕事につきたいかという情報が自治体に提供されていなかった。鳥取県のA企業がどういう人を求めるかという情報は二〇〇四年から提供されていたんですが、それを求めたわけなんです。

 それは実現する一方、先ほど政務官から御紹介あったように、今回、求職情報の提供を求めた企業そして地方自治体、三百七十二のうち百八が地方自治体、残り二百六十四は企業なんですね。ですから、企業の側が求職情報を得ることによっての求人、求職、こちらというのは余り、今まで我々が政府に、あるいは政府にあって進めてこなかった点なんですね。

 これは、安倍政権になって、求職情報を特に求人求職事業者に与えることによってミスマッチの解消ということなんですが、ともすると、求人求職ビジネスのいたずらな拡大、あるいはまた、そこからのさまざまな問題点、こういったものが波及しないかという懸念があるんですね。そういった懸念を持ちながらも、あわせて、先ほど言ったような統計の全国的統一性、まずこれが堅持されるのかどうか、これについて、法案提出の大臣にお答えをいただきたいと思います。

石破国務大臣 これはおとといの質疑でもございましたが、職業紹介というものがそういうビジネスの温床にならないように気をつけていかねばならない。そもそも始まりからしてそういうような懸念があるのを、いかにして国が責任を持つか。今回は、地方版ハローワークということで、地方にもその役割を担っていただくわけで、そこにおいてきちんとした数字というものが維持をされる、これは今回の改正によってもいささかも変わるものであってはならないというふうに考えておるところでございます。

 委員御指摘の労働関係統計の全国的統一性でございますが、これを所管する厚労省において適切に対応しなければならないものでございます。

 有効求人倍率につきましては、分母が国のハローワークにおける月間有効求職者数、分子は国のハローワークにおける月間有効求人数ということになっておるわけでございまして、国のハローワーク以外の無料職業紹介事業の求人数、求職者数、これは対象としてはおりません。したがいまして、地方版ハローワークを創設いたしましても定義が変わるということにはなりません。これはよく御承知のとおりでございます。

 有効求人倍率のみならずほかにもいろいろな指標がございますので、それが実情をきちんと反映したようなものになるべく、厚労省においてさらに力を尽くしていくものだというふうに承知をいたしておるところでございます。

武正委員 多分、影響を受けてくるのはマッチング、就職率の方でしょうかね、就職がうまくまとまった率というものかと思いますので。こういったものがやはり統計として全国的な統一性、そしてまた実態の把握、こういったことに努められるようにお願いをしたいというふうに思っております。

 懸念というのは、やはり自治体というよりも、先ほど触れました二百六十四の企業から、例えば、これは個人情報が漏れないような仕組みを今回とっているというのは承知をしておりますが、やはりそうした個人情報の漏えいなどが起きないかといったことも懸念をされるわけです。ちょうど同時期に、今、行政機関の個人情報保護法の改正も審議中でありますので、これとの関係もまた出てくるかと思っております。

 そこで、特に大臣に、またちょっと細かいことになりますが、あと一点お聞きをしたいのは、やはり若者の雇用促進、これにつきましては、勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案ということで、いわゆる若者雇用促進法、これが既に成立をしております。平成二十七年、昨年三月国会提出でございますが、その第十一条で、いわゆるブラック企業対策ということで、労働法令に違反し、処分などがされた場合、当該事業者からの新規求人は不受理とすることができるとされている。いわゆるブラック企業対策として盛り込まれております。この点、今回、特定地方公共団体が無料職業紹介を行う場合にはこの規定は対象にならないのかどうか。

 これから例えば埼玉県版ハローワークというような形で、あるいは鳥取県版ハローワーク、大阪府版ハローワークというような形で標榜するのであれば、準じた扱いがなされるべきではないかと考えますが、御所見を伺いたいと思います。

石破国務大臣 青少年の雇用の促進等に関する法律、これは昨年の九月に改正し、本年の三月に施行になっておるものでございます。ここにおいて、第十一条は「公共職業安定所は、」という書き方をいたしておりますので、地方版のハローワークというのはこの対象にならない、条文のつくり方からしてそういうことになっておるわけでございます。しかしながら、国のハローワークは地方版のハローワークに協力をしなければならないということも義務づけられているものでございますので、いわゆるブラック企業からの求人は取り扱わないことが協力することによって可能になると考えております。

 これは、場合によってはまた厚労省にお尋ねをいただきたいわけでございますが、厚労省といたしまして、地方版のハローワークが施行されますときに通知を発出するというふうに聞き及んでおるところでございます。そういう形で通知を発することによりまして、ここにおきましては、国のハローワークが紹介しない求人は地方側にオンライン提供されない、地方版ハローワークにおいて受け付けた求人を国がハローワークに提供した場合、国が不受理または紹介保留としたものかどうかを通知し、地方版ハローワークも当該求人を扱わない判断をすることができるというような通知を発せられるというふうに承知をいたしておるところでございます。

 したがいまして、ブラック企業からの求人を取り扱わないということにつきましては、これは国としても責任を持って対応していくということでございます。

武正委員 厚生労働省さん、今の点をお答えできますか、そういう通知が出されるということであれば。

 例えば、資料の五ページにありますように、ことし三月十七日には、先ほど政務官が触れられたように、これから求人求職情報がオンライン化するけれども、これまで地方自治体に提供してきた紙ベースでのこうした求職情報は積極的に提供するというような通知が出されておりますので、今大臣が触れられたような通知を出される御予定があるのか、伺いたいと思います。

太田大臣政務官 御指摘のような点が起こらないように、しっかりと、今大臣がお答えいただいたような通知は出してまいりたいと思っております。

 また、地方版のハローワークと国のハローワークとがしっかりと連携をして、このブラック企業の問題等に適正に対処していけるよう、研修の実施等もやる予定にしておりますから、御指摘のようなことが起こらないよう、厚生労働省としても全力を期してまいりたいと思っております。

武正委員 ちょっと質問通告にないんですが、大臣、ぜひこの七ページを見ていただきたいんですね。これは、求職申込書の写し、現物大、A4のものでございます。

 先ほど触れたように、求職情報、つまり、埼玉県のAさんがどんな企業を望んでいますかという情報を、これまではハローワーク限りであったものを、自治体あるいは民間人材ビジネスに提供していいかどうか、その記入欄がこの一番上の四角で囲ったところに、このちっちゃい字で、これは現物大です、この一、二、三、四のうちどれか書けというこういう紙があるわけですね。

 これで一番上を見ますと、「地方自治体、民間人材ビジネス共に可」、それから二番目「地方自治体のみ可」、三番「民間人材ビジネスのみ可」、一番下四番は「地方自治体、民間人材ビジネス共に不可」、コピーですから若干見づらいかもしれませんが、これを書けと現場で言っていて、これで可としているところに、今回の法案の枠組みで、それぞれ対象団体である自治体や企業が求職者に連絡をとる、そして申し込みたいよという連絡が直接自治体や企業に来るというスキームなんですね。

 でも、これはなかなか、本当にわかるのかなといったところもありまして、これは厚労省マターなんですが、ちょっと担当大臣の率直な御所見、御感想も伺いたいと思います。

石破国務大臣 済みません、担当ではございませんので、そのことをお断りした上で申し上げますが、読みにくいですよね。

 やはりこれは電算処理をする都合上、こういうようなレイアウトになるんだと思いますけれども、それは個人情報に関することであり、また、個人の権利に関することでございますので、書式を変えるというのは難しいのかもしれませんが、実際に職を求める方の立場に立つ、役所の処理の問題ではなくて、ユーザーフレンドリーというのはそういうことなので、そこは厚労省において工夫をしていただけたらありがたいなというふうに、これは感想でございます。

 また、書式を変えるというと莫大な予算がかかるわけであって、実際に窓口で対応する人が、この項目はこういうことですよということを丁寧に説明するということによって、労働者の権利というものが侵害されないように、それは厚労省として万全を期していかれることだというふうに承知をいたしております。

武正委員 厚労省さん、事前にレクで伺って、ちょっと数は漠然とした数しかお答えいただいていなかったんですが、もし差し支えなければ、既に三月二十二日から始まって、一、二、三、四、その割合の数が現時点で、直近でわかればお答えいただけますか。

 つまり、求職者が、自治体や民間人材ビジネスに個人情報を伏せながらも提供していいよと言っている方、地方自治体のみだったらいいよと言っている方、民間人材ビジネスだったらいいよと言っている方、そして最後は、どっちもだめだよ、ハローワークだけでいいよと言っている方、現時点で、一カ月を経過して、直近の数字でいいですから御紹介いただけますでしょうか。

太田大臣政務官 三月二十二日から開始しましたこの情報提供サービスでございますけれども、新規の求職者数が平成二十八年三月分で四十四万五千三百六十二人となっております。

 このうち、今御指摘のございました一番目、自治体、民間人材ビジネスともに可としておられる方が五千七百六十三人、自治体のみ可としておられる方が三百九十六人、そして民間人材ビジネスのみ可としておられる方が二百六十四人、こういうことでございまして、三月分だけではございますけれども、これが実態でございます。

武正委員 どちらもだめという方はわかりますか。

太田大臣政務官 失礼しました。

 四十三万八千九百三十九人となっておりまして、九八・六%を占めております。

武正委員 それは、ここに何も書かない方はどちらも不可というふうに整理をしているんでしょうか。書かない方もいるということなんでしょうが、いかがでしょうか。

太田大臣政務官 おっしゃいましたように、何も書かない方は提供不可というところに分類いたしております。

武正委員 ちなみに、何も書かなかった方の割合が、あるいは数がわかればお知らせをいただきたい。

太田大臣政務官 先ほど申し上げました四十三万人余りのところに含まれておりまして、内訳はわかりません。

武正委員 ぜひその数をお知らせいただきたいとお願いをしたいというふうに思います。

 というのは、このちっちゃい字で一、二、三、四どれか書けといって、やはりなかなかわからないだろうし、ハローワークから地方自治体や民間人材ビジネスに情報提供と言われても、先ほど大臣が触れられたように、この法改正の趣旨とか、この十年間、国あるいは国会として取り組んできたそういう規制緩和の流れというものを現場で職を求める方々が理解するためには工夫が必要だと思うんですが、わからないんですかね。わからないならわからないと。空白の方の割合は。

太田大臣政務官 ちょっと訂正させていただけますでしょうか。

 先ほどの四十三万八千九百三十九人というのは提供不可というふうに答えた方でございまして、書かなかった方というのは別枠だそうでございます。調べまして、また別途、御報告させていただきたいと思います。

武正委員 なかなか提供不可という方が多いということなのかもしれませんが、それは趣旨を御理解いただけていない可能性、あるいはまた、この法律もまだ正式に改正されて位置づけられていないということもあるのかもしれませんし、また、空欄の可能性も高いというのを私聞いていますので、ちょっと正確な数字をまた教えていただきたいとお願い申し上げたいと思います。

 加えて、八ページをごらんいただきますと、これは厚労省さんにいただいた紙で、今回、「国と地方の連携に係る取組」ということで、法改正のポイントを挙げておられます。これまで法律上明記されていなかったものが法律上明記をされるというようなことなど、あるいはハローワーク特区についても、首長から労働局長への要請を法定化など、法律にしっかり明記をされるということでございます。

 例えば、四番の求人情報のオンライン提供。でも、これを読みますと、求人、求職のミスマッチを解消するために求人情報を地方公共団体等にオンラインで提供ということですが、これは求人求職情報のオンライン提供だというふうに思いますが、そうではないでしょうか。

太田大臣政務官 職業安定法上、法定化されたものの中に求人情報のオンライン提供というものが含まれておりまして、ハローワークが保有する求人情報を地方公共団体等にオンラインで提供しております。

武正委員 これは二〇〇六年からずっと同じやりとりがあるんですが、求人情報というのは企業が求める情報、求職情報というのはお住まいの皆さんが求める情報、どういう企業に勤めたいかという求職情報なんですね。ですから、これは求人求職情報のオンライン提供が正確なのではないかということを御指摘したんですが、いかがでしょうか。

太田大臣政務官 申しわけございません。求人の方は今御指摘のように二十六年度から、そして、求職の方はことしの三月から開始をいたしております。

武正委員 そうすると、求人求職情報のオンライン提供がこれで三月からされたということで理解をいたしました。

 それでは、あと、時間が五分ほどありますので、ちょっと細部にわたって厚生労働省に伺いたいと思います。

 特定地方公共団体から民間企業、職業紹介事業者に無料職業紹介事業を委託した場合は、現行と同様、事業開始、廃止の届け出その他各種規制が残ることとなります。これらの規制は重要であると考えますが、改めて、これらの規制の意味、経過を伺いたいと思います。

太田大臣政務官 国の職業安定機関以外の者が職業紹介を行う場合には、いろいろな懸念が、中間搾取、強制労働、人身売買等の弊害が伴うというおそれがあるために、職業紹介に関する業務は、国が職業安定機関を通じて無料で行うことを原則として、一定の規制のもとで、職業安定機関以外の者にもこれを行うことが認められているということでございます。

 これを前提にして、今回の法改正は、地方公共団体が民間とは明確に異なる公的な立場で無料職業紹介を実施できるように届け出要件及び各種規制等を緩和いたしたものでございますが、地方公共団体の創意工夫に基づく自由な無料職業紹介の実施が可能となるようにこのような措置をいたしました。

 これは、地方公共団体が公的な機関であるということに着目をしてこのような措置をとったものでございますし、また、従前には改善命令、事業停止の件数等皆無でございますから、この辺は大丈夫であろうというふうに私どもは判断して措置をいたしたものでございます。

 一方、今御指摘のございました、地方公共団体が民間職業紹介事業者に委託をして無料職業紹介を実施するという場合には、地方版ハローワークとは認められませんので、地方公共団体から委託を受けて職業紹介事業を行う民間事業者に対しては、従前と同様の規制監督を行っていく。

 今委員御指摘のように、これは重要であるという規制は従前のまま残してしっかりと監督をしていく、こういうことでございますので、御理解賜りたいと思います。

武正委員 続いて、特定地方公共団体がみずから無料職業紹介事業を行う際、業務上不可欠と考えられる職業紹介責任者や、帳簿、事業報告書などの責任や関与はどのように担保されますか。

太田大臣政務官 職業紹介責任者の選任義務あるいは帳簿の備えつけ義務については廃止をすることといたしておりますけれども、これは、地方公共団体では、担当局部長が組織的に任命されておりまして、責任者を選任しなくても、これまでもそうですけれども、責任の所在が明確であるということに基づくものでございます。

 また、地方公共団体が職業紹介事業を実施する際には、求人求職情報の管理は当然に公的機関として行われるわけですから、こうしたことを踏まえて、法規制までは要しないと判断いたしました。

 また、事業の状況によっては、地方自治法に基づく資料の提出の要求により求めることができますので、これらも活用して、しっかりと職務を果たしてまいりたいと私どもは考えております。

武正委員 続いて、民間の職業紹介事業者から特定地方公共団体または地方公共団体に対して名義貸しを持ちかけ、万一名義貸しのような状態に至った場合、当該の民間企業及び特定地方公共団体にはどのような処分がなされるのか、その実効性はどのように担保されるのか、伺いたいと思います。

太田大臣政務官 特定地方公共団体が改正後の職業安定法で禁じられております名義貸しを行っていることを把握いたした場合には、厚生労働省は、地方自治法に基づく是正の要求を行うことになります。是正の要求を受けた特定地方公共団体は、違反の是正または改善のための必要な措置を講じなければならないということになっております。

 なお、民間の職業紹介事業者に対しては、職業安定法に基づきまして、第四十八条の二でございますけれども、必要な指導を行い、その業務の適正な運営を確保いたしてまいります。

武正委員 最後に、特定地方公共団体がみずから収集し求職者に紹介した求人情報が実際の労働条件とは異なるものであった場合、職業紹介事業者に対して科せられる罰則は特定地方公共団体に対しても科せられるのか。特定地方公共団体に対して、虚偽ではない求人情報を収集する努力をどのように担保するのか、伺いたいと思います。

太田大臣政務官 職業安定法第六十五条の第八号におきましては、虚偽の広告をなし、または虚偽の条件を呈示して、職業紹介、労働者の募集もしくは労働者の供給を行った者またはこれらに従事した者は六月以下の懲役または三十万円以下の罰金に処することとされております。この罰則の規定は、改正後の地方版ハローワークが虚偽の広告をなした場合等においても同様に適用がなされます。

 そして、ハローワークにおける求人受理時のノウハウ等は、研修等を通じまして地方版ハローワークに提供してまいりますので、国と地方公共団体が連携をして対応していくことで、地方版ハローワークにおいても適正な求人の取り扱いが可能となるように努めてまいります。

武正委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、せっかくの法改正でありますが、四十四万人のうち四十三万人がノーという答えはやはり何とか改善をしていただけるように、大臣また厚労省、政府挙げて取り組みをお願いし、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 民進党の青柳陽一郎でございます。

 本日は三十分の質問の時間をいただきました。ありがとうございます。

 まず初めに、ちょっと質問通告していないというか、できなかったんですけれども、熊本地震について、大臣に一つお伺いしたいと思います。

 石破大臣は昨日の記者会見で、今回の政府の災害対応について、東日本大震災の教訓をフルに生かした形で対応しているという発言をされておりますけれども、熊本県の蒲島知事の方は、激甚災害の指定が遅いのではないかという旨の発言をされております。

 御案内のとおり、東日本大震災時はその翌日に激甚災害指定をしているということでございますが、大臣にお考えをお伺いしたいのは、この激甚災害指定を早期にすべきではないかということについてどのようにお考えになられているかということと、また、大臣みずからが発言された、東日本大震災の教訓が今回の災害対応に生かされているというのは、どのような点を指して述べられているのかについて御教示いただきたいと思います。

石破国務大臣 これを激甚災に指定するという政府の方針は既に報道でもなされておるところでございます。これが激甚でなくて何が激甚だというお話でありますので、これはいろいろな被害状況の把握等々正確を期さねばならないという事務的な問題はございますが、政府として一刻も早く激甚災に指定をするという方向だというふうに承知をいたしておるところでございます。正確にはまた担当の方にお尋ねをいただきたいと思っております。

 三・一一の教訓というのは実は山ほどありまして、これはもうどっちが与党とか野党とかは関係ないお話でありまして、私は当時政調会長でございましたが、谷垣総裁のもとで、政府に対して、できる協力は何でもしますということを申し上げた記憶がございます。ですので、私も何度も官邸に参りましたし、極めて異例のことでございますが、当時の政府でそういう担当に当たっておられた方々が自民党本部にも何度もおいでになりまして、私どもと意見交換をしたことがございます。

 教訓が生きたというのは、例えて言えば、どこに誰が避難をしているのかよくわからないということが三・一一の場合にはございました。今回、メジャーなといいますか、大規模な避難所だけではなくて、小さな避難所におられる方々の把握というものを適切に、迅速に行うよう努めていると承知をいたしております。

 また、自衛隊の派遣につきましても、特に、熊本県は陸上自衛隊の総監部もございます。また、いろいろな交通インフラが発達しているということもございまして、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の初動は極めて迅速であったと認識をいたしております。

 三・一一のときに、輸送力の問題、ガソリンをどう運ぶかですね。それは混載が可能かどうかとか、いろいろな特例の措置を講じたところでございますが、今回も現場においてそういうような燃料の不足というものは余り起こっていない。実は熊本の知事さんの選挙のお手伝いにも行ったのですが、そのときに、今の蒲島知事、当時も現職でございましたが、熊本をいろいろな災害対応の拠点としたいということを公約の中でおっしゃっておられました。非常に不幸なことで、残念なことではあるのですけれども、そういうような熊本県の営々たる努力と、そしてまた国あるいは関係機関との連携というものが生きたというふうに思っております。

 もちろん、世の中に完璧ということはないのであって、なおなお現場で困窮しておられる方々のニーズというものを的確に把握して、例えば先般の宮崎議員の御提案にもございましたが、では、段ボールベッドみたいなものをどうやったら早急に提供できるか等々につきましても政府として対応いたしておるところでございます。

 また、エコノミークラス症候群で落命された方もおられて、そういうようなことも三・一一の教訓としてはあったのでございますが、今後そのようなことがないように。もちろん、復旧も大事です。そしてまた、復興ももちろん大事です。しかし、今この瞬間に困っておられる方々にどう対応するのかということは、さらに三・一一の教訓も踏まえて、政府として、野党の御協力、御教示もいただきながら対応してまいる所存でございます。

青柳委員 ありがとうございます。非常にわかりやすく御答弁いただきました。

 私も、今回の政府の対応については適切かつ迅速であったと思いますし、非常に細やかに対応をされているんだろうと思います。ただ、まだ現場では余震も続いておりますので、引き続き対応をしっかりお願いしたいと思います。

 それでは、地方創生特の質問に移ってまいりたいと思いますけれども、私は今回新たに委員になりましたので、せっかくの機会なので、まずは大臣の基本的なお考えから伺ってまいりたいと思います。

 地方分権改革に対する大臣のお考えで私が初めにお伺いしたいのは、道州制に対するお考えを伺いたいと思います。

 ここ最近に限って言えば、道州制に対する議論が一時期に比べるとちょっと低調なのではないかと思っております。その一つの理由が、市町村合併を推進していくフェーズというのがもう一区切りついてしまったからではないかなと思っておりますけれども、道州制に移行していくというのは市町村合併とはちょっと別というか、市町村合併の延長が道州制ではないと思っておりますが、まず、大臣の道州制に対するお考えについてお伺いしたいことが一点と、それともう一点は、自民党でもこれまで道州制は非常に活発に議論されていたんだと思います。そして、道州制推進基本法というものも準備できているんだという話も仄聞しておりますけれども、この自民党の道州制推進基本法についての大臣のお考えについてもあわせて伺いたいと思います。

石破国務大臣 道州制をとるかどうかは別として、やはり中央政府というものは、外交、安全保障、そして通貨、財政、それから経済政策の基本に集中すべきであり、そのほかのことは、道州制という手法によるか分権という手法によるかは別として、可能な限り地方に委ねるというのは実は終戦後間もなくできた地方自治法にそう書いてあるわけであって、それは国家としてそうあるべきだというのは別にきのうきょう始まったお話でも何でもなくて、そういう形になっていたんだと思います、地方自治法にそう書いてありますので。

 ところが、中央集権のモデルをとることによって急速な経済発展を遂げたものでございますから、そういう分権みたいなお話は、私が知る限りにおいて、こういう話が盛んになってきたというのは細川さんの「鄙の論理」という本が出てきてからのような気がします。そのときには、バス停一つを動かすのにも当時の運輸大臣の許可が要りますよみたいな話で、えっ、そうなのというような話で、あれが細川政権というものができる一つの力になったんだなというふうに、私は当時、当選二回でしたけれども、「鄙の論理」という本を読んだ記憶がございます。

 また、そこから何となく低調になってきて、むしろ地方分権の方がふさわしいのではないか。そして、委員も御経験されたことかと思いますけれども、全国町村長大会というのが毎年十一月にございますね。全国町村議長会大会というのもございます。あそこにおいては、道州制絶対反対と垂れ幕がかかりまして、それもよく理解をしておりますとか言って各党代表もまた挨拶をするというようなことになっております。

 だけれども、基礎自治体というものの役割が変化をするのかというと、それは平成の大合併とは違うのだと私は思っておりまして、首長さん方は、実際に現場で住民に対して直接のいろいろな責任を負っておられる方々は、どうしても平成の大合併のトラウマみたいなものがあって、道州制というのは、結局、今度は県の合併ということになるのではないか、町村が非常に呻吟したことが今度は県版で起こるのではないかという立場の御懸念かなというふうに思っております。

 そこは、私は価値観を持って申し上げるわけではありませんが、藤原町村会長を初めとする町村会の方々と率直にそういう議論をしていかないと、ほらほら、町村会で決議したでしょう、まさかあれに反対するわけじゃないでしょうねみたいなことになってしまう。町村長の方々あるいは町村議会の方々は、本当に何を御懸念になっておるのかと、私ども承知をしているつもりですが、余り突っ込んでお話をしたことがございません。

 では、分権でできるのか道州制が必要なのかというお話は、これは感情を交えずに、平成の大合併のいろいろな教訓も糧としながらやっていきたいと思っておるところでございます。

 あわせて、自民党としても、委員御指摘の道州制基本法案というものがございます。これは、直近の動きで申し上げれば、昨年の七月三十日に、自民党の道州制推進本部というのがございます、原田義昭代議士が本部長でございますが、ここにおいて、今後の議論の進め方というのが了承されております。

 ここにおいては、自民党の推進本部としては、基本法の旗を掲げつつという書き出しなんですね、旗を掲げつつ、引き続き、国民、地方自治体その他の関係者への基本法案の趣旨の説明に努め、時宜を見て、法案の国会提出を目指すとともに、これまで議論を重ねてきた先行モデルの道州制特区推進法についても同様に議論を進めていく、こういう書き方がされているわけです。

 このベースになります基本法案というのは、平成二十六年四月二日に、推進本部で示された資料でございますが、私は当時幹事長でしたが、ここで問題となったのは、理念とか基本的な方向もさることながら、内閣府に道州制国民会議を設置する、国会議員、地方公共団体の議会議員、長、有識者のうちから三十人以内で構成をする、内閣総理大臣の諮問に応じて道州制に関する重要事項を調査審議し、三年以内に答申するということが書かれているわけです。

 では、これはプログラム規定としてその後どうなっていくのというような議論が自民党内にはあったと記憶をいたしております。これが単なる答申をするところまでですよという話なのか、そこから先どうなるのかということが、党内でもいろいろな話がありまして、さればこそ、今後の議論の進め方の中で、引き続き、国民、地方自治体その他の関係者への趣旨の説明に努めという構成に我が党としてはなっておると承知をいたしておるところでございます。

 もう一つ。私、論点として私どもが詰めていかねばならないと思っているのは、外交、安全保障、財政、通貨、教育の基本等々に限定をするということになりますと、防衛省と外務省と財務省の通貨当局、あるいはそういうような国全体にかかわりますことは霞が関に残るんでしょうけれども、では、国土交通省は一体どうなるんですか、農林水産省はどうなるんですかというお話になって、そうすると、設置法をどのように書きかえるのかという具体論に移っていかないと、賛成だの反対だのするにも、基本的な議論が脆弱なままではお話が進まないだろうと思います。

 あわせて、ということになれば、衆議院、参議院はどういう役割を果たすんですかと。外交、安全保障、通貨、財政、経済政策の基本等々を中央政府はやるということになると、では国会はどうなるのということになって、そういう議論は実は余り行われたという記憶がない。そうなると、では都道府県議会はどうなるの、政令市はどうなるのというお話に当然連鎖、波及していくわけで、私、担当大臣として思いますのは、まさしく国民の代表者たる国会の場においてそういう議論がなされるべきではないだろうか。

 地方自治法に書いてあるように、地方でできることは地方でやってね、そっちの方が住民により身近でしょうというのは、もう全員共通した考えだと思うんです。その手法として道州制があり、分権がありなので、やはり国会の場でそういう議論が、政府は早く法案を出せよということではなくて、ここは委員長なり理事の皆様方の御判断ですけれども、そういうフリーディスカッションみたいなものがなされていかないと、どういう姿になるのかわからない。どういう姿になるかわからなければ、基礎自治体の長としては、それは当然反対ということになるのではないだろうか。

 だから、基礎自治体が反対しているからだめですではなくて、国会として果たすべきこと、果たしていくこともまた必要なのかなと、これは国会議員の一人として思っておるところでございます。

 いずれにいたしましても、委員長初め皆様方、いろいろな御議論をお願いしたいと考えております。

 長くなりまして失礼いたしました。

青柳委員 ありがとうございます。

 可能な限り分権していく、分権には賛成だと。それから、自治体と話し合わなきゃいけないということだと思いますが、最後に大臣がおっしゃった、そういう議論の場をしっかりつくっていくというのが議員としての役割だということでございましたので、この考えには全く賛成ですから、ぜひ大臣のリーダーシップでそういう会議体なり会議の場をつくって、前向きな議論をぜひしていただきたいというふうに思っているところです。

 その中で、もう一点お伺いしたいと思いますが、先日の代表質問でも申し上げたんですけれども、道州制でもそうですし、今大臣がお話しになられた分権についてもそうですが、その肝となるのは、やはり権限、財源、人間、いわゆる三ゲンの地方への移譲、移管だと思います。このいわゆる権限、財源、人間をどのように移譲していくかについて、大臣の大きなお考えを、これもまずは伺っておきたいと思います。

石破国務大臣 三月三十日に合意をされました民進党の基本的政策合意という文書を私も拝読したところでございます。そこにおいて、「「権限・財源・人間」の東京一極集中を脱して、地域の創意工夫による自立を可能とする地域主権社会を実現する。」と。

 別に言葉の遊びをするつもりはないんですが、私は、地域主権という言葉は本当にあるのかなということを、私どもは野党でしたが、それを当時政調会長兼国家戦略担当大臣であった玄葉さんと何度か議論をさせていただいたことがあります。

 私は、主権というのはやはり、英訳はどっちも違うんですけれども、国民主権と国家主権のこの二つだと思っております。私どもとしては、この地域主権という言葉、目指さんとするところなんかは余り変わっていないんですが、ここに主権という言葉を持ってくるのには私は今でも少しひっかかりを持っておるところなのですけれども、それはさておきまして、権限、人間、財源、これを移譲しないまま、地方分権だと幾ら言っても仕方がない。

 財源についてはどうしても偏在がございますので、偏在是正のシステムをどうつくるかということだと思っております。これは、地方交付税の持っている財源調整機能と財源保障機能を堅持しつつ、さらに別の役割を持った交付税的なものが必要なのかなと個人的には考えておるところでございます。

 権限移譲については、これは移していくのですけれども、ただ、なじまないものというのもございまして、例えて言えば、地方にも公用旅券の発行権限をよこせと言われちゃいますと、いやいや旅券法にはそう書いていないのでということになるわけですね。そこのところにおいてなじむもの、なじまないものがあって、権限を移した方が住民が幸せになるものと、権限を移すとかえって混乱が生ずるものとございますので、それは常に見直していきながら、ユーザーフレンドリーでやっていきたいと思っております。

 人間につきましては、これは少し論点がずれるのかもしれませんが、昨年からやっております地方公共団体、人口五万人以下の自治体に国家公務員を派遣する、国家公務員のみならず、民間の方々あるいは学者の方々にも行っていただいているという制度が、もちろん、いろいろな御批判は真摯に承らなければなりませんが、私は、相当の成果を上げていると実は思っているのですね。

 やはり人間というものを移していくことによって自治体の機能が向上し住民の利便性が増すということを私どもはもっと考えていかなければならないのではないかと思っておるところでございます。やはり現場の自治体の方々がどういう問題に逢着をし、どういう苦労をしているかということを知らないままに霞が関が行政をやりますと、非常におかしなことが起こってまいります。

 今の制度の中でも、人を地方に派遣するということには大きな意義がありまして、この制度はさらに活用していきたいし、自治体の側も、本当はこういうところに手を挙げてもらいたいんだよねというのが、見ているとあるんです。

 でも、そういうところは手を挙げてこないところもありまして、これはなぜなのかというと、お金がないと。ですけれども、国のお金で公務員を地方自治体に派遣することになると、それは何であそこには派遣してここには派遣しないのということが起こって、これは公平という観点からまずかろうと思っております。

 お金がないとか議会の同意が得られないとか、いろいろなことがありますが、人間を移していくということにおいて、これは自治体の側からの御要望というのも、私どもは、もっとさらに積極的に上がるように、また活用できるように努めてまいりたいと考えております。

青柳委員 ありがとうございます。

 今詳しく権限の話と人間の話をいただきましたけれども、そこで一つ、財源の移譲について伺いたいと思いますけれども、民主党政権で実現した一つのことに、地域自主戦略交付金という、いわゆる一括交付金制度、これを民主党政権時代につくった。二十三年、四年と実施してきたわけでございますが、これがまた自民党政権に政権交代した後に、この一括交付金制度というのが廃止されたということでございます。

 これは権限の移譲にもかかわる問題だと思うんですけれども、この一括交付金制度が廃止されて、もとの交付金制度、補助金制度に戻ったということの理由について伺いたいと思います。

石破国務大臣 済みません。従来の答弁と重複して恐縮ですが、対象事業が従来の補助金事業に限定されている、それは事実でございました。事業規模の年度間に変動があり、そして地域間に偏在するということになると、対象が一般市町村ではなかったものですよね。これは一般市町村が対象であれば随分と話は変わっていたと思うんですが、これが道府県に限られておったということは極めて大きな問題だったと思っております。

 手続の煩雑さというのは、それはまた改良の余地が随分あったんだろうと思いますが、私はこれは何度も答弁しているんですけれども、この一括交付金の思想そのものを私は全く否定いたしておりません。そういうものであるべきだと思っております。

 ただ、従来の補助事業に限定をされ、なおかつ、市町村に適用されないということになれば、それは理想と現実の間に乖離があったのではないかということで、思想を否定したわけではございません。それを自治体にとって使いやすいように組みかえたというふうに考えておるところでありまして、移行先の各省庁におきまして、事業別に細分化されていた整備計画をより大きな政策目的別にまとめるとか、先ほど申し上げました事務手続を簡素化するとか、運用改善を行ったものでございます。

 ですから、これは議会の御議論にもよるのでございますが、一括交付金というものを運用改善したという言い方をしても、私は余り間違いではないだろうと思っております。ですから、無謬なものなんて世の中にないので、こっちが全部正しくてこっちが全部間違っておるというようなことを申し上げるつもりはございません。

 いずれにしても、地方自治体が使い勝手のよいものというものをこれから先も志向していかねばならないと考えておるところであります。

青柳委員 ありがとうございます。

 それでは、今の補助金制度の方が大分使い勝手がよくなっているという御認識だということですね。ありがとうございます。

 それでは、幾つか質問を用意してきたんですけれども、時間の関係もありまして、せっかくなので、ここで、残された時間で、地方公営企業法について少し伺ってまいりたいと思います。

 地方公営企業法というのがあります。この法律で規定されている企業というのはどういう企業のことを指していて、さらに、経営の基本原則というものはどのように規定されているのかについて、まず事務方から御説明いただきたいと思います。

亀水政府参考人 お答えいたします。

 地方公営企業法第三条におきまして、経営の基本原則として、「常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない。」というふうに規定をしております。

青柳委員 ありがとうございます。

 つまり、本来の目的というのは、公共の福祉の増進にあるということでよろしいですね。

 利益と公共の福祉と、どちらが優先されるんでしょうか。そして、そこで言う公共の福祉というものは具体的にどういうものを指すんでしょうか。

亀水政府参考人 お答えいたします。

 地方公営企業が、経済性を発揮して、能率的、合理的な業務運営を行い、最小の経費で最良のサービスを提供することが住民の福祉の向上に資するものと考えております。

青柳委員 地方公営企業法で規定されている企業で、特に独占率が高い事業、これはどういうもので、その料金についてはまた別の法律かもしれませんが、独占率が高い業態とその料金算定方法について説明いただけますか。

亀水政府参考人 お答え申し上げます。

 独占率につきましては、水道が九九%、下水道が九〇%程度でございます。

 料金につきましては、地方公営企業法第二十一条におきまして、「料金は、公正妥当なものでなければならず、かつ、能率的な経営の下における適正な原価を基礎とし、地方公営企業の健全な運営を確保することができるものでなければならない。」と規定しております。

青柳委員 水道事業が一番独占率が高い。水道事業に限って言えば、シェアは九九%以上ですね。しかも、水道事業というのは公営企業ですから、公取の独占禁止法の適用の除外ですよね、当然。それで、料金についてはいわゆる総括原価方式ですよ。経費プラス利益が乗っかっているのが水道料金になっている。九九%独占事業で、料金は総括原価方式。これで、公共の福祉を増進しなければならないということが地方公営企業法で規定されているわけですね。これは間違いないと思います。

 今の一般の企業は厳しい競争条件が当然あるわけです。厳しい競争条件の中で何とか利益を出していく。そして、利益を出していく中でも、最近は、CSR、地域貢献、社会貢献というのをやらないと、もう企業としては存在し得ないわけです。

 独占禁止法の規定もなく、総括原価方式である水道局は、私は、地域貢献、社会貢献、これを当然やらなければならないというふうに思っておりますけれども、その見解でよろしいでしょうか。

亀水政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの繰り返しになって恐縮でございますけれども、地方公営企業が、経済性を発揮して、能率的、合理的な業務運営を行い、最小の経費で最良のサービスを提供することが住民の福祉の向上に資するものというふうに考えているところでございます。

青柳委員 全く私の質問に答えてくれないんですけれども、厳しい環境の中でも、競争条件のある企業でも、CSR、社会貢献、地域貢献というのはやっています。ですから、九九%独占である水道局は、しかも料金は総括原価方式ですよ、全く赤字になる心配がない、こういう状況の中で、より一層地域貢献すべきだと思いますけれども、その辺の見解を教えてください。

亀水政府参考人 たびたび恐縮でございますけれども、地方公営企業が、経済性を発揮して、能率的、合理的な業務運営を行い、最小の経費で最良のサービスを提供するということが住民の福祉の向上に資するということだと考えております。

青柳委員 それでは、例えば地域の住民の方が、ぜひ水道局が持っている土地を地域に開放してくださいということに対して、全く耳をかさないということがあるのであれば、これは地方公営企業法が規定している公共の福祉の増進に反するのではないかと思います。

 これが許されるのであれば、こういう地方の声、地域の声を全く聞かないで、水道局がその事業を運営しているのであれば、これは地方公営企業法の公共の福祉の増進に反するのではないかと思いますし、これが反しないのであれば、これは、独占を認めておきながら全く地域貢献しないというのは法の不備だと思いますが、どちらだと思いますか。

 反するのであれば指導すべきだと思います。反しないのであれば法の不備だと思います。どちらでしょうか。

亀水政府参考人 一般的に申しまして、地方公営企業がその企業性を発揮して遊休資産の有効活用を行うということ自体は、地方公営企業法に違反するものではございません。

 一方、具体的に、資産をどのように管理するかにつきましては、各地方公営企業の経営状況や地域の実情等を十分勘案の上、各公営企業において適切に判断されるべきものと考えております。

 また、地方公営企業は、独立採算の原則のもとで、人口減少による料金収入の減少や老朽資産の大量更新など、厳しい経営環境の中で経営を行っており、一律に、地方公営企業に対して、地域貢献、あるいは社会貢献ということを義務づけることにつきましては、慎重な検討が必要だと考えております。

青柳委員 今、九九%独占で、総括原価方式でやっていて、経営環境が厳しいなんていうのが通用したら、民間企業の人はやっていられないと思いますよ。私は、この問題は引き続き取り上げていきたいと思います。

 きょうは、ちょっと時間が来ましたので、これで終えます。どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 おはようございます。民進党の篠原豪でございます。

 連日の、熊本を中心とした九州で続く震災による被害拡大が大変心配されているわけですけれども、改めまして、お亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意をささげるとともに、被害に遭われて今大変な状況におられる皆様に心からお見舞いを申し上げるとともに、復興に尽力をされている皆様方におかれましては、くれぐれも安全に留意していただいて御活動されることをお願いいたします。

 さて、地方分権改革については、平成二十六年に提案募集方式が導入されて二年がたちました。個別の地方自治体からの提案を踏まえた地方分権の取り組みとして、この提案募集方式自体については一定の評価をしています。

 一方で、地方分権改革の手法としてやってきてみて、提案募集方式だけに頼っていいのかという疑問は持っております。

 事務、権限の移譲や義務づけ、枠づけの見直しを一つ一つ着実に進めていくことも重要だと思うんですけれども、国の出先機関のブロック単位での移譲の取り組みなど、事務、権限と財源と人員がセットで移譲されるような大きな改革が進まなければ、地方分権推進委員会が究極の目標としていた分権型社会の創造は困難だというふうに私も考えるからです。言いかえれば、そのような大きな改革こそが本来地方分権の目指すべき姿であり、これが提案募集方式だけで進むのではないというのは、大臣も恐らく同じ考えをお持ちだというふうに思っております。

 そこで、提案募集方式による個別の案件の取り組みのほかに、まず国として地方分権改革において取り組むべき課題としてどのようなものがあると考えていらっしゃるのか、また、あるのであれば、それをどのような手法で実現していくべきとお考えかを石破大臣にお伺いいたします。

石破国務大臣 分権の意義については、もうずっと申し上げておるところですので、繰り返すことはいたしません。

 もう少し手が挙がらないとまずいねと思っておりまして、提案募集方式をとっておって手が挙がらないんだから、提案が上がらないんだから要望はないんでしょうと言っちゃったら、それで終わりになるんです。

 地方分権も、自治体によってニーズはあるはずであるが、どうやって提案していいのかわからないとか、そういうのがたくさん実はあるんじゃないだろうか、それは、手を挙げない方が悪いというよりも、こっちの説明の仕方が悪いんじゃないんだろうかというふうに私は思っているのです。

 ですから、分権というものをそれぞれの市町村の担当の職員の方になるほどそうなんだというふうに思っていただいて、首長の方々に、町長、これを提案してみましょうよ、市長、これを提案してみましょうよというようなマインドが醸成されるように努めていかないと、これはなかなか前進しないのではないだろうかというふうに思っておるわけでございます。

 例えば、農地転用でありますとか、ハローワークでありますとか、議会の御協力もいただいて進んでいるものはあるんですけれども、ほかに何かあるんじゃないんですかという気はするんですが、それは、中央から権限を移譲するということを言うよりは、地方の側から実際に住民の方々の利便性の向上のために御提案をいただく、その手法というのが私は問題なんだろうなというふうに思っております。

 提案募集方式にかえて、あるいは並行して国の方からこれはどうですかということを申し上げると、それは自治体によって温度差がございますので私は手法として余り望ましくないのではないかと思っておりますが、また、いやいや、そういうのも望ましいのだぞ、懸念はこうやって払拭するのだぞというような御提案があれば、それは真摯に承りたいと考えております。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 提案の数については、実際に細かくどういうふうになっているのかというのは後ほどまたしっかりとお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 大切なことだと思うんですけれども、地方分権改革の総括と展望というものを地方分権改革有識者会議が取りまとめていまして、これを見ますと、先ほども少しありましたけれども、これまでの地方分権改革については、やはり住民自治の拡充と財政的な自主自立の分野については踏み込み不足が否めないというふうに総括がされています。これが我が国にとっては最後の大きな提言の総括だというふうに思うわけでございます。

 私も、この分権型社会の創造には住民の自治拡充そして財政的な自主自立が不可欠であるというふうに考えています。これまでの取り組みにおいて何が原因で何の分野が踏み込み不足だったのかということについては、いろいろと取り組んでいくということを考えていらっしゃると思います。先ほどもありましたけれども、財政的な自主自立については、国の財源を地方に移すということであります。

 そうなると、先ほどおっしゃっていたように偏在が起きてしまう。いわゆる偏在是正論が出てきてしまって、これを均衡化するために交付税制度があるというふうになっていて、そうなると今度は総務省などがグリップしている交付税、地方交付税に偏っていくとなれば、また自主自立が保てない。難しいです。なかなかアウフヘーベンしないというか、出口が、なかなか出てこないということになるんだと思います。

 しかし、見方を変えれば、この部分がネックで進まないとするならば、総務省だけでなくて分権の観点で石破大臣が、この委員会は地方をつくる、地方の側から考えるという大臣でございますので、やっていくということが、先頭に立ってやっていかれるということも、これは一つ覚悟として大事になってくるんじゃないかということを期待しています。

 そこで、財政的な自主自立については財務省がグリップしている。そして、総務省や財務省だけでなくて、今やっていることに加えてやはり分権の観点で、三つ目のところなんですが、分権の観点で石破大臣こそが先頭に立っていくという覚悟はお示ししていただく必要があるんじゃないかというふうに思っています。でないと、いつまでたってもなかなか先に進まないんじゃないかというふうに思っていますので、その点についてどういうふうに考えていらっしゃるか、お伺いいたします。

石破国務大臣 これはいろいろな御意見があって、二十六年六月二十四日の地方分権改革有識者会議において、委員が御指摘のように、「改革の対象分野という視点からみると、これらの基盤となる制度の構築に重点的に取り組んだ結果、地方公共団体の法的な自主自立性の拡大はある程度進展した。一方で、住民自治の拡充、財政的な自主自立性等の分野においては踏み込み不足の感は否めなかった。」こういうような指摘があるわけです。

 私が思っているのは、地方自治において財政民主主義というのが本当に機能していますかということなんですね。

 結局、財源を渡す、権限を渡す、それはすばらしいことなのです。

 私がこの問題に関心を持ったのは、たしか自治大学校の校長か何かをお務めになった鹿児島さんという方が昔そういう本を書かれていて、私は当選一回のときに読んだのかしら、その中ですごく記憶に残っているのは、地方自治体で財政民主主義というのが機能していますかと。つまり、収入がこれだけで、その中でどのようにしてそれを活用していくのかというお話よりも、いかにして補助率の高い事業を確保するか、あるいは地財措置の厚いものをどうやって確保するかという議論になって、それがそれぞれの自治体の財政悪化を招いているのではないかというような指摘を、三十年近く前に私は読んだような記憶があるのです。

 それぞれ総務省設置法があって財務省設置法があって、それは総務省官僚も財務官僚たちも好き勝手やっているわけではなくて、それぞれの設置法に基づいてやっているわけですから、設置法をどう見直すのかというお話は、設置法を見直すというのは実は大変なことでして、財務金融委員会なり総務委員会なりで議論が行われることであって、お前のリーダーシップが足りないのだとお叱りを受ければそれまでのことなんですが、そこはそれぞれ根拠法というのがございますので、私もまた麻生大臣やあるいは高市大臣とそういう議論をしてまいりたいと思っていますが、基本は財政民主主義が地方において機能しているか。

 ですから、今度の新型交付金等々においてPDCAというのをかなり申し上げているのは、そういう意図があって申し上げております。そこの住民たちが、一体それぞれの自治体において収入はどうなっておって支出はどうなっておってということに、タックスペイヤーとして地域の主権者としての認識を持っていただかないと、いかに権限を移譲しようが、いかに財源を移譲しようが、かえっておかしなことになりかねないと思っておりまして、そこが実は地方分権の議論の本質だというふうに私自身は認識をしておるところでございます。

 余りちゃんとしたお答えにならなくて恐縮ですが、そのように思っております。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 地域再生計画をつくってやる。前回の法案の質疑のときに幾つかお話しさせていただいたんですけれども、結局お金を、いつまでに計画をつくれば一千万円いただける、それをコンサルタントの方々に、東京のコンサルタントに四十何自治体も任せてやっていたみたいな話があって、それは本当にそうなのかなと思っていて、ここを変えていかなければいけないと思います。

 私も地方自治体の議員をやらせていただいておりましたので、結局は国の方ばかりを見て、真面目に考えている方々もいるんでしょうけれども、大きなそれこそインフラ整備にかかわるものとかは、今回これだけのお金をいかにとってくるか。それを、裏負担というのがどんどん出てくるものでありますから、結局は、とってくれば裏負担であるものが、県費が幾ら、市費が幾ら、国費が幾らという割合でどんどんどんどんと借金が積み重なっていく。

 でも、一方で、やはり今そのお金をもらえるのであればやってしまおうみたいなことがずっとジレンマとしてあって、では本来、最終的にどうしますかといったときに、財政民主主義を考えたときに、事業シミュレーションもきちっと行っていないで箱物はつくる、あるいは長期的な財政シミュレーションそのものをなかなかつくらない、これは国もそうなんですが、そういった見込みがない中で、ちょっと変数を変えて、これはきっとペイしますよみたいな話が次から次に出てきて、これが根拠ですみたいな話になってくる。

 ここは本当に、我が国としても、地方としても、限られた税収の中でこれからそれこそ地域の自主性、自立性を高めるためにやっていかなければいけないということでありますので、これは何らかの形で一つ大きなものを立ててやっていかないとやはりなかなか変わらないんだろうというふうに思っています。

 その点も含めまして、私は石破大臣には大変期待をさせていただいておりますので、ぜひそのリーダーシップを、改革の先頭に立って、この国のためにやっていただきたいというふうに思っています。よろしくお願いします。

 きょうは、提案募集方式についての法案質疑でありますので、具体的な部分を伺いたいと思います。

 この提案募集方式については、これまでの国が主導する短期集中型の改革スタイルから地方の発意に根差した息の長い取り組みを行う改革スタイルへ転換するための方策として導入されて、二年がたちました。

 そして、最初の二十六年における地方からの提案件数が九百五十三件でしたが、平成二十七年においては三百三十四件と大きく減少しています。

 これも資料をつけさせていただいておりまして、資料の一枚目と二枚目のところなんですが、資料の一枚目の左上のところに九百五十三件と書いてありまして、それがおととしのもので、その右下のところに六十七件、これは後でお話しするんですけれども、市区町村のもの。二枚目が三百三十四件となっているところでございます。

 一昨日の委員会において、この理由について、牧島政務官からだったと思いますけれども、この理由が、一つ目には、そもそも二年目で、おととし実現されたものが提案されていないので減っている、もう一つには、事前相談を受けたので減りました、もう一つが、共同提案に力を入れましたという趣旨の答弁があったかと思います。

 確かに、平成二十七年の提案募集方式においては、提案主体による事前相談を必須としたため、類似の提案については共同提案化されたと聞いています。内閣府地方分権改革推進室において実現度を高めるために努力した結果であり、提案総数の減少の一つの要因にそのようなことがあったんだというふうに思います。

 しかし、そのような事情を考慮した上でも、地方からの提案そのものが大きく減少した感は否めません。ここが実際には重要だと思っています。

 そして、このままの傾向が続けば、地方の発意に根差した、おっしゃられるように、手を挙げていただくことが大事なんだ、やらなければいけないんだ、それをどういうふうにやっていくのか。これは地方の自主性に任せなければいけない、国がこうやってやっていくということを指示することもできない。しかし、これが続けば、このままの状態だと早々に小規模な取り組みになっていってしまうのではないかということを危惧しています。地方の発意に根差した取り組みであるはずなのに、あと何年かして本当に小粒なものになってしまう。

 これは極めて重要な我が国にとっての地方創生の目玉というふうに思いますので、ここはお伺いしなきゃいけないと思うんですが、平成二十七年において地方からの提案総数が減少した要因の説明が先ほど申し上げたようにありましたけれども、仮にまとめたとしても、おととしより減っている、このことについてどう分析されているのかを参考人に伺います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘がございましたように、共同提案を推奨しまして、その結果、集計上数字が減ったというような要素がまず一つございます。

 それと、今の御質問の中にもございましたけれども、二十六年の取り組みで既に実現したものがかなりあったということで、潜在的にある現場での課題が解決されたということ、そしてまた、事前相談の積極的な活用によって精査を行い、正式提案の数が絞り込まれたというようなこともあろうかと思います。

 また、比較においては、やはり提案団体の数というものも、特に市町村におきまして、昨年との比較で六十七から三十九になっているというようなこともその要素にあるというふうに考えております。

篠原(豪)委員 となりますと、そもそも地方から提案する意欲そのものが減っていって、制度の活用度が落ちていって、おっしゃる説明は表向きはわかるんですよ。しかし、実際の今の数を見ていますと、今の理由を聞いている限りはどんどんふえていくようには思えず、そうなると減っていって、制度の活用度が落ちていって、これにより分権が余り進まなくなってしまうのではないかということを危惧していますので、大臣、何か一言あればいただきたいと思います。

石破国務大臣 とにかく、こんなに使い道がありますよというのを周知徹底するしかないねと思っておって、政府広報でこれは結構おもしろいねと私が思っていますのはインターネットテレビ。これはクリックすればいつでも見られるものでございますが、今月の七日から配信をしております。地方発アイデア続々、住民に身近な行政へ、地方分権改革。続々出ればいいんですけれども、タイトルはそういうことになっていまして、出演は、地方分権改革有識者会議の座長をしていただいています東大名誉教授の神野先生に出ていただき、徳光さんあるいは木佐彩子さんという非常に知名度のあるキャスターの方々に出ていただいています。

 内容は何をやっているのかというと、長崎市の道路整備、これは義務づけ、枠づけの見直しでございます。あるいは、相模原市において、パスポートの手続、すなわち事務処理特例制度を活用した権限移譲ですが、ほら、こんなに便利になりましたよという実例を、これはいつでもどこでも見られるものでございます。提案募集方式のポイントとか、それからあとはその事例集、研修等の紹介を、できれば大勢の人に見ていただきたい。

 きょう、事務方から聞きますと、アクセス件数は一万五千百四十四件、週間ランキングは第四位であります、五つ星評価をやりますと五つ星が一番多かったですと。何だかどこかで聞いたような話ですが、別にそれでどうだと自慢するつもりもないんですけれども、とにかく見てみようかな、やってみようかなということをビジュアルにお示ししなければ意味がありません。

 そして、これは徹底してやる。また、ここで、委員会で御紹介させていただきましたが、できれば委員各位も、ちょっとこのインターネットテレビを見てみようかな、おもしろければ、選挙区にお帰りになって、自治体の方々にちょっと一緒に見てみようよということによって、また変わっていく。

 やはり、言い方がちょっと適当ではないかもしれませんが、やってみたらおもしろいよねという、おもしろい感は大切なんだと思っています。そして、そうやって出た提案に対して我々も、できません、なぜならばというような商売じゃありませんので、一緒になってこれを実現しようよというマインドを持つこと。

 私はこのままほっておくとどんどん件数も少なくなり小粒になるということをすごく懸念いたしておりまして、そういうようなやり方によってマインドの醸成というものを図り、人々がそうだそうだと、あるいは地方議会の方々が、委員も地方議員でいらっしゃいましたが、では、市長、こんなのをやってみないかということを議会において提案いただくというのも私は大事なことだと思っております。

 いずれにいたしましても、そういうような努力を私どもがしていかなければならないという強い認識を持っております。

篠原(豪)委員 ソフト面でいかに使いやすいものを、またわかりやすい形でやっていくというのは大事だと思うんですが、ちょっと具体的に、そうはいっても、では今何が起きているかというところを示させていただきたいと思っております。

 平成二十六年の提案募集は、資料の一枚目の下のところに六十七という数字が市区町村でありまして、低調でしたということになっているんですけれども、平成二十七年は三十九団体ということでございました。これは半減している。市区町村数の全体というのは千七百四十一ありますから、数とすれば極めて低調であるというふうになってしまう。要は二・二%しか使っていないわけです。これが地方分権の目玉であるということであるので、何とかしなければいけないんだろうというふうに思います。

 市区町村からの提案が低調である要因については、小規模の地方自治体などで、人員面や財政面の観点から、先ほどおっしゃっていましたが、提案はしてみたいんだ、してみたいんだけれども、現実的に新たな事務権限を受け入れることが困難であったり、そもそも資料を作成する余裕がなかったりと、本来は提案したい内容があるにもかかわらず断念しているケースが特に小規模の町村においてあるのではないかというふうに私も推測します。

 そこで、提案の細かいペーパーをこちらの方で調べてみました。その結果、実際見てみますと、町村からの提案が少ないんですね。大体、実現したものもほとんど県と市からの提案になっているようで、提案団体の三十九のうち町村が幾つあったのかということが気になります。

 あわせて、提案のあった市区町村の人口規模別の分布などの分析も行えば、なぜそういうふうになっているのかということがよりわかるんだと思いますので、その辺の状況について、お答えいただける範囲でお答えいただきたいと思います。

池田政府参考人 提案団体、三十九ございまして、そのうち町村は五つでございました。町が五つ、村からはございませんでした。

 また、市町村の分布についてですけれども、政令指定都市が九市、中核市それから特例市が十二市。人口で申しまして、人口五万人から二十万人の市が九市、それから五万人未満の、これは市と町がございますが、九つでございました。

篠原(豪)委員 そういたしますと、町村が日本全体に九百二十八ある中で五つということでございますので、これは計算をしますと〇・五%いかないということです。そうなると、何で提案する数が少ないのかという理由を知るためにやはり市区町村から、政府の側としてもその理由を、電話をして、例えば、何でこれは使いにくいんですか、手が挙がらないんですかと生のお声を聞くことが大事だと思うんです。そうじゃないと、ずっと離れたままになりますから。そういう段階に入るんだと思います、二年が過ぎて。

 この現状を踏まえて、生の声をまず聞くことの努力を今しているのかどうか、あるいはこれからしていくのかどうか。そして、この現状を踏まえて、特に町村みたいなちっちゃいところからの提案を活発化させるためには、どのような課題があって、それにどういうふうに対応されていくのかということ。できる範囲で、大きな話はわかるんですけれども、やはり現実はこういうふうになっていますので、お答えいただければと思います。よろしくお願いします。

池田政府参考人 私どもも、今委員から御指摘のありましたような、そうした課題というものは大きな課題であるというふうに考えております。ですので、ことし、提案募集を全国の市町村に御理解してもらうために市町村説明会というのを行っているんですが、それも単に一方的な説明をするということではなくて、その際に市町村の担当者の方々と説明に出向いた者が忌憚のない意見交換を行いまして、なぜ提案が結びつかないのかといったことを伺うようにしております。

 そうした中で、市町村から出ております提案しづらい要因といたしましては、先ほど大臣からも申し上げましたが、一つは、提案募集方式に関する情報、例えば気軽に事前相談ができるんだとか、ほかの自治体と一緒に知恵を出し合うことができるんだとか、そういう仕組みがまだ十分に伝わっていないということがございます。もう一つは、市町村の分権担当の窓口から実際に事務事業を担当している現場の職員にこの方式についての情報が十分に伝わっていないということがございます。また、提案をすること自体が労力がかかるのではないかというように思われているという声を聞いているところでございます。

 そうした中で、私どもといたしまして、先ほど来大臣が御説明申し上げているような、いろいろな形で分権の意義ですとかをわかりやすく一般の方あるいは市町村の職員にわかってもらう、そういう努力をしていかなければいけないと思っていまして、いろいろな仕組みを今活用しているところでございます。

石破国務大臣 今次長からお答えを申し上げたとおりなのですが、例えば、今、地方創生人材ということで、これは私は特に留意したつもりなんですが、人口五万人以下、今まで国の公務員なんかが行ったこともないようなところに重点的に出しております。彼らのミッションとして、あなた方が行ったところで何か提案ができませんかということはちょっとやってみようかなというふうに思っております。

 先ほど、長崎、相模原。長崎は道路の特例でございますし、相模原はパスポートを、公用旅券じゃありませんが、出せるようになりました。これによって、例えば長崎の場合には整備する費用が三割減りました、四千七百万が三千三百万になりました、よかったですねということで、やはりそれをやることが住民の利便性やあるいは負担の軽減に資するのだということを、私どもももっと積極的にやっていきたいというふうに思っております。

 この一年間努力をいたしまして、数字がきちんと上がるようにしていかなければならない。ほっておいて数字が下がって困った困ったというようなことは、国の行政としてはあってはならないと考えております。

山本委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山本委員長 では、速記を始めてください。

 篠原君。

篠原(豪)委員 次に、ちょっと論点を変えて、手挙げ方式について伺いたいと思います。

 手挙げ方式は、本当にスピード感を持って、個々の地方自治体の発意に応じて、直結する問題もいろいろあるんだろうということで、提案することを目的にしているものだったと認識しています。

 おととしは、資料の三枚目につけさせていただいていますけれども、手挙げ方式が九件でございました。制度がスタートして間もないので、実績を積み上げて定着させていくといったことを御答弁いただいたという記憶があります。

 そこで、提案募集において、手挙げ方式で対応するとしたものは去年は何件あったのかをお伺いします。

池田政府参考人 平成二十七年の提案募集におきましては、手挙げ方式で対応するとされたものはございませんでした。

篠原(豪)委員 今ありましたように、手挙げ方式も目玉なんですが、二十七年度の手挙げ方式はゼロ件なんです。一件もないんですね。こうなると、これは本当に大丈夫なのかなということを思います。

 手挙げ方式のデメリット、メリット、本当に、昨年の委員会で私もお伺いしまして、結局ゼロになってしまうということは、何かこれは問題があるんじゃないかというふうに思います。

 そこで、手挙げ方式は問題があるんじゃないかということについて、今ゼロ件ということについて、大臣、どういうふうに御認識をなさっているのか。問題があるのであれば、どのような問題があるのかということについてお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 始まったばかりでありますので、今次長からお答えしましたように、手挙げ方式で実現したものはなかったということでございます。

 デメリットとして私どもが申し上げておるのは、手挙げ方式により移譲を受けた団体とそれ以外の団体とで、担当する機関が異なることにより事業者が申請を行う場合は注意が必要ということで、それは事業者が注意すればいいだけの話でございます。

 何で個々の地方公共団体の発意に応じ選択的に権限移譲する手挙げ方式というものが活用されないのか、ここはもう一度よく分析をしなければいけないと思っております。

 移譲する事務の性質というものに応じて手挙げ方式もありますよということを選択肢として示しつつ、手挙げ方式が何でゼロだったのか、これがスタートしたばかりで周知されていませんということだけで片づけられないので、何でこういうことになっているのかということは、先ほど委員のお話にもありましたように、何でこれを使いませんかと。そもそも知りませんなのか、使いにくいですなのか、そこをよく正確に把握して、改善する余地があればそれをちゅうちょなく行いたいと思います。

篠原(豪)委員 地方分権改革に関する提案募集方式の中で、この手挙げ方式の導入は柱の一つでありまして、目玉ですよ。目玉だったはずのものであり、初年度は九件、二年目に入ってみてゼロ件ということになっていますので、これはやはりしっかりと情報を伝えるのであれば伝えなければいけないというふうな段階に来ていると思うんです。

 ちょっとこの資料を見ていただきたいんですけれども、二十六年度の提案募集方式における地方からの提案状況、一枚目。これは、権限移譲、地方に対する規制緩和、権限移譲または規制緩和に関連する見直しというものを事細かく、どういう分野において、どの省庁が担当し、そして提案主体がどういうところであったかということを公表したものであります。

 一枚おめくりいただきますと、去年これがどうなったかといえば、公表の仕方のあり方について私は疑問に思うんですけれども、三百三十四件、どんとなっておりまして、細かいところが全部消えているということであります。こうでありますと、どんどん周知を徹底していくというふうになっている中で、どのようなものがどうあるのかということの公表の仕方そのものがこうやって減っていく。

 三枚目、おめくりください。

 三枚目を見ていただきますと、地方からの提案に関する対応方針別の分類状況。三枚目はおととしのものです。提案の趣旨を踏まえ対応したものが何件あったか。その右側に、手挙げ方式により実現したものが九件であるということが書いてあります。そしてその右側に、現行規定で対応可能が百三件というふうになっています。

 では、一枚おめくりいただいたときに、去年どうなったかということになると、これは見ていただければ、非常に簡素化していまして、これでは、地方の皆さんに対していろいろと情報を伝えていって、いろいろなこういう形が創造できるんだよ、それはこれを見ていただければ、こうするときにこの情報を出しているんだよというふうには、大臣、これは逆行しているじゃないかと思うんですよ。

 手挙げ方式で実現したものが何件あったかなかったというのは、この提案募集のあり方を検討する上で大変重要な情報であります。私は自分で調べて、うちの方で調べたから気づいて、あれっ、何でなくなっているんだ、去年のはみたいな話できょうの質問をさせていただいているんですけれども、こんなことは別に隠すものではなくて、しっかりと、なかったらないで公表するべきものであります。

 一枚目の方と二枚目の方を見比べていただいても、どういうところに何を移譲するのかの提案がどのぐらいあって、また時間があればいずれさせていただきたいと思いますけれども、おととしの問題として引き続き検討になったものというのがかなりあったはずであります。その状況がどうなっているのか。そして、二十七年の状態を見ても、恐らく同じような整理がされているんだと思います。ただ、きょうは時間がないのでその話はいたしません。

 しかし、少なくともこういう状態が今ある中で、本当に、手を挙げたくてもなかなか挙げづらい、なるべく五万人以下の方々のところに国のお役人さんに行っていただいて、国というのは遠いものじゃないし、どんどん積極的にいろいろなことを含めて地方創生をやっていきましょうと言っている中で、これは私はやはり逆行していると思いますし、実は去年、この公表の仕方においては大臣にお願いをしまして、もっとわかりやすくやりましょうといって、大臣にイエスとおっしゃっていただいたんです。いただいて、なるのかと思えば、逆にこんなふうになってしまった。

 このことについて最後に大臣にお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

石破国務大臣 わかりやすくしたらこうなっちゃったという話で、わかりやすいけれども実態と乖離したら意味がないわけで、やはりこんなものは大本営発表はだめで、実績が上がらなかったものはやはりきちんとお示しをする。そうするとわかりにくくなりますが、それをわかりやすく実績を示すのが政府の仕事で、ここはさらに工夫の余地があります。済みません。

 もう少し実態をきちんと出して、なおかつわかりやすく、相反するような要求ですが、それを実現するのが私どもの仕事でありますので、足らざるところは改めてまいります。

篠原(豪)委員 わかりやすくというのは、説明を自分たちがわかりやすく隠すためにやるものじゃなくて、これはちゃんと、やりたいと言っている地方の側の立場に立ってわかりやすく細かくやっていただきたいということでございますので、そこのところは誤解なきよう、ことしはよろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 ハローワーク特区について質問をいたします。

 ハローワーク特区については、これまで、埼玉県それから佐賀県において試行的に取り組まれてまいりました。

 私は、先日、佐賀県のハローワーク特区、ジョブカフェSAGA、ヤングハローワークSAGAの取り組みについて、佐賀県そして労働局に伺ってお話を聞いてまいりました。

 佐賀県のハローワーク特区事業は、県知事と厚生労働大臣の特区協定のもとで、若年者就労支援、障害者就労支援、福祉から就労への支援を行ってまいりました。そうした実績が若者や障害者の就労に結びついていくことは非常に重要なことだというふうに思っております。

 ところで、この佐賀のハローワーク特区なんですけれども、スタートした翌年の二〇一三年三月二十六日付で、古川知事から労働局に対して協定書に基づく指示が発出されました。それは、「ヤングハローワークSAGAにおいては、利用者に対し、カウンセリングから職業紹介までの切れ目のない支援サービスを一元的に提供するための体制整備を行っていただきたい。」とするものでありました。すなわち、県が担っていたカウンセリング業務をハローワーク、国の方に移して、サービスを一元化するという知事からの指示でありました。

 当時の佐賀新聞、二〇一三年十月二十九日付でも、県の職員が四人減り、国の職員が四人増となる逆転現象というふうにも報じられたところであります。

 厚生労働省にお伺いします。この県の指示がなぜ出されたというふうに理解されておられるでしょうか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、平成二十五年三月に行われました佐賀県知事から佐賀労働局長に対する指示に基づきまして、同じ年の四月一日から、ハローワーク特区におきます佐賀県の若者カウンセリング業務とハローワークの若年者への職業紹介をハローワークに一元化いたしております。

 このような指示の理由につきましては、佐賀県知事名の指示書に書いてございまして、カウンセリングから職業紹介までの切れ目のない支援サービスを一元的に提供するための体制整備を行うためと承知しております。

 この指示の結果といたしまして、若年求職者の方が国と県それぞれの窓口で利用者登録をする手間がなくなったり、あるいは同一の職員が一貫してサービスを提供できたりということで利便性を向上するなど、若者へのサービスの向上につながったというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 要するに、カウンセリングから職業紹介まで一体としてサービスを提供する上で、佐賀県の方には少し無理があったというところだというふうにも伺ってまいりました。

 佐賀県と国が一体となった特区事業であるのですけれども、県側の事業は実際は民間の人材ビジネス事業者が実施しています。一方、ハローワークは日本全体の雇用対策を行い、そしてブラック企業対策など労働監督業務も担っています。職員間の情報共有の仕方という事業だけでなく、全国的な視野、労働者保護の観点から求職者に役立つ情報が提供できる、ここがハローワークの強みであるというふうに私は認識しています。

 今の佐賀県の指示についてもそうしたことが背景にあるのではないかなというふうに思ったんですけれども、石破大臣にお伺いします。ハローワークのそもそもの役割について、大臣はどのように認識されておられるでしょうか。

石破国務大臣 それは、憲法に定められた労働者の勤労権というものがきちんと実現をするというのがハローワークの役割であって、国としてそれに責任を持つ、それがハローワークの基本的な考え方だと私は考えております。

田村(貴)委員 国として責任を持つという答弁がございました。

 そうした中で、地方版のハローワークというのは一体どういうふうな姿になっていくのかということについてお伺いしていきたいと思います。

 職業紹介事業の地方移管というのは、地方分権改革の焦点となってきた課題であります。しかし、昨年末、全国知事会は、地方移管そのものについては行わないというふうにしました。そこで、今回の改正による地方版ハローワークの創設で一体何がもたらされるのか。

 質問の一つは、名義貸しの禁止についてであります。改正法第二十九条の三は、「特定地方公共団体は、自己の名義をもつて、他人に無料の職業紹介事業を行わせてはならない。」としています。名義貸しの禁止というのは具体的にどういうことなんでしょうか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 職業安定法で禁じられております名義貸しにつきましては、今委員御指摘のように、職業安定法の二十九条の三で規定されることになってございますけれども、地方公共団体が、職業安定法上、無料の職業紹介事業を行うことが認められた主体としての自己の名義をもって、他者に業務を行わせることをいうという意味でございます。

田村(貴)委員 地方自治体や労使の意見もこの中で反映させていくというふうにも伺っているんですけれども、その際、労働者保護の徹底、これは当然求められます。それから、働く人たちがピンはねを受けたり、あるいは雇用のミスマッチ、そうした情報が押しつけられたり、また法令違反の職業紹介など、働く人たち、求職者に対して被害が及ばないということが何よりも優先される、ここが大事だというふうに思います。

 その名義貸しの禁止を具体的に検討していく上で、厚生労働省としてどうした責任がこれから求められていくのか。名義貸しの禁止についての厚生労働省の責任性についてお伺いしたいと思います。

生田政府参考人 お答えいたします。

 名義貸しの禁止につきましては、新しく誕生する地方版ハローワークにつきましても適用があるということでございます。

 今回の改正で地方公共団体に名義貸しを禁止する理由でございますけれども、これにつきましては、地方公共団体が無料職業紹介事業を実施する規制につきまして、今回、届け出制をやめるというふうなこともございまして、規制が一部廃止されるということでございます。

 このために、地方公共団体が無料職業紹介事業の主体として名義を他の団体等に貸すことを認めますと、他の団体等が地方公共団体の名義のもとに事業規制がかからずに職業紹介事業を実施できることになってしまうということになってしまいます。

 今回の地方版ハローワークの考え方は、あくまで地方公共団体が公的位置づけに基づいて中間搾取等の職業紹介に伴う弊害がないと見込まれることが前提でございますので、労働者の保護を図るためには、そういった名義を他の団体等に貸すということは許されないというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 中間搾取などあってはならないわけなんですけれども、民間委託についてはどうなんでしょうか。これは認められるんでしょうか。また、指定管理者制度の導入についてはどう捉えておられるんでしょうか。また、厚生労働省は丸投げはしないというふうにレクチャーのときにもお伺いしたんですけれども、このことを踏まえてどう整理したらいいんでしょうか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 まず、民間委託の関係ですけれども、地方公共団体が職業安定法上の許可を受けた民間職業紹介事業者に委託して無料職業紹介サービスを実施すること自体は可能ということだと考えております。

 ただ、この場合につきましては、委託を受けた職業紹介事業者の方が職業紹介事業の実施主体としてきちんとその許可を受けられているということが前提なんですけれども、あくまで民間職業紹介事業者の方が職業紹介事業の実施主体ですので、改正案の職業安定法四条七項の規定に基づきまして、今回の法律に基づきます地方版ハローワークという扱いにはならないということでございます。あくまで従前と同様に、民間の職業紹介事業者の方に対する規制が適用されるということになります。

 続きまして、指定管理者制度の関係でございます。

 これにつきましては地方自治法に根拠がございますけれども、地方公共団体が指定する法人その他の団体が公の施設を管理するという仕組みでございます。その施設内で職業紹介事業が実施されている場合につきましては、その施設の管理を指定管理者に委託すること自体は否定されない、要するに、指定管理者がその施設の中で職業紹介事業をやるということ自体は禁止されないというふうに考えてございます。

 ただ、指定管理者の方が職業紹介事業をやる以上、職業紹介事業をやる根拠が必要ですので、許可等を受けておられるということが必要でございますし、あとは、地方公共団体が指定管理者の方にお願いされているということになりますので、そうしますと、先ほど民間委託で申しましたように、民間職業紹介事業者に関する規制がそのまま適用になるということでございます。ですから、職業安定法に基づく民間事業者に対する規制が適用になる形になります。

 丸投げということで今委員から御指摘がございましたけれども、今回あくまで職業紹介事業に関するルールとして地方版ハローワークというのが誕生して、今、職業紹介事業についての委託なりあるいは指定管理者制度、指定管理者が行う場合のことを御答弁いたしましたが、職業紹介をやる場合については、例えばカウンセリングだとかセミナーだとかさまざまな付随的な業務があるわけですけれども、そういったようなものにつきましては特に規制はないということでございますので、そういったようなものを民間の企業の方がやられるということについては構わないということになると思っております。

 いずれにしましても、職業紹介事業を委託する場合につきましては、あくまで民間の職業紹介事業に対するルールが適用になるということでございます。

田村(貴)委員 この特区事業をもし民間事業者が行うことになったら、それは民間の人材ビジネス会社に委託するということになるので、これを認めるのであるならば、やはり自治体を介した単なる人材ビジネスへの委託になりかねないという懸念を私は持っています。

 また、指定管理についても、これは地方版ハローワークですから、国の指導監督は及ばないんじゃないですかね。そうした懸念もつきまとう。これは重要な点だというふうに思っています。

 地方自治体の委託を受けて民間事業者が無料紹介事業を実施する場合に、民間事業者に対する国の指導それから監督権限にはどのようなものがありますか。指導や業務改善命令、事業の取り消しなどの件数はどのようになっているか、説明をいただきたいと思います。

生田政府参考人 お答えいたします。

 職業安定法上、有料職業紹介事業者に対しましていろいろな指導監督がございますけれども、法律の四十八条の二で指導助言、四十八条の三で改善命令、三十二条の九第二項で事業停止命令、三十二条の九第一項で許可の取り消し、それから五十条で報告徴収、立入検査などの指導監督権限が書かれてございます。(田村(貴)委員「件数は」と呼ぶ)件数、済みません。大変失礼をいたしました。

 件数につきましては、二十六年度の数字でございますけれども、職業紹介事業者に対する文書指導の実施件数でございます。これにつきましては違反条項数の積み上げで計算しておりますけれども、有料職業紹介事業者に関します文書指導につきましては千八百七十三件、それから無料職業紹介事業者に対するものが四百七十八件でございます。

田村(貴)委員 次に、全国のハローワークについて伺いたいと思います。

 お配りしている資料の表は、厚生労働省の公共職業安定所職員数等の推移であります。一九六七年度に一万四千六百六人いた正職員が、二〇一五年には一万九百十七人と大幅に減少しています。ハローワークの人員については、求職者数がふえているにもかかわらず正職員が減らされて、その補充に非正規が充てられてきていることが読み取れます。いわば補充型の非正規雇用労働現場となっているのがハローワークであります。

 佐賀県のハローワーク特区の現場でも、国のハローワークの部分、ここは国の嘱託職員と非正規職員であります。正職員の配置は一名でありました。しかも、いつもおられるというわけではありません。ハローワークの職員が雇いどめに遭って、次の日に自分の仕事を求めてハローワークにやってくる。これは笑い話ではないんですよ。実際に各地のハローワークで起こっています。報道もされています。やはり、職業安定のとりでの場所としての範を示すべきではないかなというふうに思うわけです。

 正規雇用をふやしていくというのは、安倍政権の目標の一つでもあります。安心して失業者が求職活動の相談ができるハローワークの体制の抜本的な強化が今求められると思います。そのためにも、ハローワークに従事する職員の人が安心して、そして意欲を持って働くことができる、そういう人的な体制をつくることが求められると思います。

 私はそう考えますけれども、石破大臣の所見をお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 若い方に限りませんが、安定した雇用環境のもとで、生活していくに十分足る、できれば余裕を持った収入が得られ、そしてまた生きがいを持って働くことができる、きれいごとを言うようですけれども、やはりそういうものを実現していくということが必要で、また地方創生の立場から申し上げれば、地方においてそういう職場を確保しなければ東京の一極集中はとまらないという認識を持っております。

 これはいかなる党の立場であれ、そういうような地方創生、東京の一極集中の是正、そしてそれぞれの人々の自己実現の完成というか成就というか、それを目指してやっていくことは当然のことであって、ハローワークが今回それにおいてより有効に機能するようによく配慮していかねばなりません。

 委員がおっしゃるようなことが笑い話ではなくて現実に起きているとすれば、それはちっとも範を示したことになりませんので、よく実態を把握して、現場からそういうことがないように、こんなことは笑い話では済みませんので、私どもは、よく厚生労働省と連携をしながら、今度の改正がもしできますれば、さらにそれに努めていかねばならないと考えております。

田村(貴)委員 しっかりそういう点で取り組んでいただきたいと思います。

 次に、熊本県の震災被害と被災者の支援について質問をいたしたいと思います。

 地域の振興、それから地方再生、いろいろなまちづくりの取り組み、地方創生の取り組み、全てがこの大地震によって今寸断されてしまいました。

 緊急を要する課題があります。

 私は昨日総務委員会でも質問したんですけれども、熊本市で避難所となっている体育館が閉鎖されている事態が生じています。理由は耐震上の問題であります。現地からの連絡を受けて、十八日の夜に私は内閣府の非常災害対策本部事務局に一報を入れて、昨日も質問をしたところなんですけれども、そもそも内閣府はこの事態を掌握できているんですか。現状認識を疑わざるを得ないようなところもちょっとあったんですけれども、確認できていますか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの事態につきましては、昨日も熊本県の方に確認をいたしました。具体的には、熊本県の災害救助法の担当ですとかあるいは災害対策本部。それから、熊本県の災害対策本部におきましては、御指摘の市でありますところの熊本市の災害対策本部にも確認した上でこちらに回答をいただいたということなんですけれども、お尋ねのような事態につきましては熊本県において把握しておらないという回答を得ました。

 さらに、昨日夜に本日の御質問の通告をいただきました後、改めて熊本県の災害対策本部には確認をいたしております。その際、当初はむしろ漏れがないようにという観点から熊本市内という以上の特定をせずに尋ねたのでございますけれども、より具体的に北区や東区などの学校というように特定して確認をとったんですけれども、やはり同じように、そのような情報を確認していないという回答を得たところでございまして、関係自治体に問い合わせたところでありますが、お尋ねのような事態、要するに被災者の方々の行き場がなくなるといったような事態については確認をできなかったところです。

田村(貴)委員 これは重大であります。

 大臣も内閣府のことなので聞いていただきたいんですけれども、これはもう報道されています。県立大学が避難所閉鎖ですよね。それで、五百人が避難している県立大学の体育館、大学の事情によって閉鎖する、夫と避難する近くに住む主婦は、地震で自宅の中はめちゃくちゃ、行き場所がないのにどうしたらいいのか、別の主婦は、周辺の避難所は満員で入れないと聞いた、どこに行けばいいのか情報が欲しいですとなっています。

 それから、私もそういうふうなことを言われるので確認したんですけれども、熊本市北区の市立北部東小学校では、十六日の本震で、二日後に本震があって壁が落下して、十七日のお昼までに出ていってほしいとの指示が出て閉鎖になっています。それから、一部の学校では、体育館から被災者を追い出すわけにもいかないので、急遽教室を被災者に提供してやっているところも現にあります。そのほかの学校においても、体育館は危ないからここは避難所として使えないというふうになっているわけなんです。

 これは事実なんですよ。事実としてあるのに、県の災害対策本部、誰が誰にどう聞いたのかわからないんだけれども、そのような事実はあっていないという認識自体が私は本当に不思議でならないんですよ。現認されましたか。避難所を追い出されているんですよ。そういうことでいいんでしょうか。もっと、調べてくるとか言えないんですかね。

 石破大臣、防災担当ではないと思うんですけれども、松本副大臣が現地に入っておられます。ちょっと内閣の方から連絡を入れていただいて、指定避難所が本震によって壁が崩れた、いろいろな理由によって出ていかなくてはいけない。ほかの避難所を案内するところもあるんです。しかし、この報道にもあるように、行き場所を失っている、また路上での車内泊をしなければいけない人がふえているという状況について、これは一刻も猶予できない状況であります。直ちにそれにかわる避難所を国の責任において、民間でもいいです、どこの研究機関でもいいです、屋根つきのところを急いで探さなければいけない、こういうふうに思うんですけれども、大臣、ちょっと動いていただけるでしょうか。

石破国務大臣 これは担当だとか担当じゃないとかいうお話ではございませんので、河野大臣あるいは現地の松本副大臣に早速連絡をとって対応しなければならないものだと思っております。

 委員御指摘のように、出ていけだけではしようもないので、では一体どこへ行きますか、そんなものは自分で見つけてくださいという話にはなりませんもので、それは結局、県立の大学の体育館が崩れちゃったらみんな圧死しちゃうわけですから、よかれと思ってもちろんやっている。意地悪をしているわけではありません。

 どこに行けばいいのかということは、おっしゃるように教室でもいいでしょう。あるいは賃貸住宅ですね、空き家あるいは空き部屋。そういうものの提供は、三・一一のときも、翌日からそういう賃貸の関係の方々が積極的に動いてそれを提供しておるところです。今回もそれが随分と活用されておりますが、そういうもの。

 あるいは、それも地震で危ないとするならば、ほかに何の手があるのか。これは政府もいろいろなものを持っておりますので、前も議論があったことですが、病院船的な機能を持った輸送艦というものが使えるのか使えないのか、そこはまた防衛省で御検討いただいていることだと思います。

 政府として、そういう方々の不安を除去し、エコノミークラス症候群の発症が一人もないように、これは早速に対応させていただきたいと思います。

田村(貴)委員 ぜひそうしていただきたいというふうに思います。

 二百五十六カ所の避難所に、熊本市ですね、六万七千二百一人の方が避難されています。これは、一カ所平均ですと約三百人になるわけです。

 それで、私も、先週金曜日、土曜日、被災地に入って、避難所も回ってお見舞いもし、そして御要望も聞いてきたわけなんですけれども、想像以上の被災者であふれかえっています。そして、夜になるとまた数がふえる。きょうも報道されていますけれども、せめて足を伸ばして寝たいというのが現地の状況なんですよ。

 その上で、出ていかなくてはいけない人がいる。もちろん危ないところにいてはいけない、それはわかるんです。だけれども、閉所するならば、別の避難所をつくり誘導するのが行政として当たり前のやり方じゃないですか。しっかりしていただきたいと思います。

 時間も来ましたので、エコノミークラス症候群、大臣からもありました。エコノミークラス症候群にかかって搬送されている方がふえています。そして、車中泊をしている被災者が一人お亡くなりになったというような報道もあっています。

 被災地で長く車中泊を続けていくと、どういう病気が生じて、そして悪化していくのか、厚生労働省にお伺いしたいと思います。

樽見政府参考人 エコノミークラス症候群、大変残念ながら、今先生御指摘のような事態になっております。亡くなられた方に心からお悔やみ申し上げるとともに、患っておられる方の一刻も早い回復を祈っている次第でございます。

 いわゆるエコノミークラス症候群と申しますのは、車などの狭い座席に座って長時間足を動かさないような場合に、血液の流れが悪くなって、血液の塊、いわゆる血栓が生ずる、それが足などの血管に詰まると深部静脈血栓症、これがまた肺の血管に詰まりますと肺塞栓症というふうに申しますけれども、そういったようなことをいう言葉でございます。

 足の血管に血栓を生じますと、足が腫れる、むくむ、あるいは痛みが出現するといった症状が出現するということがございまして、また、血栓が肺の血管に詰まりますと、息切れや胸の痛み、一時的に気を失う、場合によってはお亡くなりになるというようなケースがあるということでございます。

 飛行機などでずっと座っているということで生じるということでエコノミークラス症候群という言葉が出たわけでございますけれども、発生の仕組みについては、それと震災の場合と基本的には同じでございます。

田村(貴)委員 熊本市の民間病院、民医連の医療チームが、十九日の夜に、エコノミークラス症候群予防のためのチラシを持って車中泊の被災者を巡回しました。少しお話を聞いたんですけれども、夜泣きを気遣って小さい子供連れの世帯が車中泊をしている。お年寄りを抱えた世帯が八割にも上っていた、中には百歳の方も車中泊をしていた。驚く状況であります。

 このような状況の中でエコノミークラス症候群を発生させないためには、安心してくつろげる、そして寝泊まりできる環境が何よりも必要であるというふうに思います。これが長引けば長引くほど、病気は深刻になってまいります。

 実際どうすればいいというふうにお考えでしょうか、医療的には。

樽見政府参考人 これは、まさに先生がおっしゃいますように、できるだけ足を伸ばせる環境ということでございますが、その前に、今先生御指摘のようなチラシをということがございました。

 私どもの方でも、実は地震の直後からエコノミークラス症候群ということに対する情報を発信すると同時に、地元の各マスコミなどでも報道していただいているというところだったわけでございますけれども、起きてしまったということでございます。

 エコノミークラス症候群予防のためには、まず歩くなど足を動かすという運動を行うこと、それから適度な水分をとることが必要でございます。したがいまして、車内などで長時間同じ姿勢でいる、しかも水分をとらないということになりますと危ない、そういうことを少しでも避けていただくということが重要なわけでございます。

 車の中にいらっしゃるということでありますので、例えば、報道などがされていてもテレビを見ていないかもしれないということで、私どもも昨日から、チラシをつくりまして、「エコノミークラス症候群の予防のために」ということで、チラシを関係自治体に送付したというところでございます。

 あわせて、私どもがアレンジしまして、避難所を保健師のチームが回ってございます。その保健師から車にいらっしゃる方に直接お渡しをする。避難所で配るというだけではなくて、車の方にお配りをする。それから、同じように配ることについて、実は、自衛隊、それから警察、消防という方々にも御協力をいただいてそういうものを配付するということをやっているところでございます。

 それから、まさに車中泊をしている人を減らすということが大事でございますので、避難所を少しでもあけて、車内から避難所の方に行っていただく。そういうためにも、例えば高齢者、障害者の方について、もう少し安全なところを見つけて移っていただくといったようなことも大事であろうということで、そういうことを県庁にも働きかけているところでございます。

田村(貴)委員 つまり、避難所がないんですよ。避難所が決定的に欠けている、少ない、そして狭い。だから、ふやす必要があるんですよ。中村参事官、よろしくお願いします。そこが一番の大事なところですよ、今。

 そして、通告しておったんですけれども、国土交通省、ごめんなさい、時間がなくなりました。被災地に行かなければならない緊急車両が緊急物資を届けるために、渋滞解消それから迂回路の案内とか、そうした措置を直ちにとっていただきたいと思うんですけれども、一言、やっていただくと御答弁いただけますか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、九州自動車道の一部区間が通行どめになりましたものですから、その出入り口ですとか並行する国道で渋滞が発生しているということであります。

 このために、例えば料金所に人員を増強するとか、現地の方で渋滞対策の協議会をつくりまして、そこで、今お話がございましたように、混んでいるインターがあるものですから、もっと手前でおりていただくというようなことを誘導申し上げたり、あるいは、おりたところで、混んでいる並行する三号線以外の迂回路、こちらの方に誘導するような対応というのを今しております。

 それから、昨日から、通行どめになってございます植木から益城熊本インターの間で、その途中の熊本インターのところの応急復旧作業が完了いたしましたものですから、被災地への物資輸送車両等を通行可能とする、こういった対策を講じているところでございますので、引き続き関係方面と協力して対応してまいります。

田村(貴)委員 終わります。よろしくお願いします。

山本委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 地方分権一括法案について質問いたします。

 私は、先日の一般質問で、地方分権推進委員会での議論を経ての二〇〇〇年の地方分権一括法成立と、その後の三位一体改革を初めとする政府の地方分権改革なるものの問題点を明らかにいたしました。しかし、そのようなやり方は第四次一括法をもってついに行き詰まり、第五次一括法以降は地方自治体や地方団体等からの提案募集方式というやり方で進められてまいりました。本法案は、これまでの自民党流地方分権政策の総括も反省もないまま、昨年の第五次一括法に引き続き、提案募集方式によって、真の地方分権とはほど遠い、あなた方の地方分権なるものを進めようとするものであります。

 まず聞きますけれども、平成二十七年の市町村の提案団体数はどれだけございましたか。

    〔委員長退席、佐藤(ゆ)委員長代理着席〕

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十七年の提案募集におきます市町村の提案団体数は、三十九市町村でございます。

宮本(岳)委員 全国千七百十八市町村のわずか二・二七%であります。

 大臣自身、三月十五日の閣議後記者会見で、平成二十七年は市町村の提案団体数が低調であったことが課題として挙げられます、提案団体数が三十九でございましたと率直に語っておられます。会見では記者からも、二十七年度が低調だったのはそもそも地方からのニーズが出がらしているのではないかと、この提案募集方式自体のあり方に対する疑問が出されました。

 この会見の翌日、三月十六日には、地方分権改革有識者会議・提案募集検討専門部会合同会議で、低調だった二十七年の総括とことしの提案募集の進め方を議論したということでありますけれども、どのような総括になりましたか。

池田政府参考人 有識者会議、それから部会の合同会議におきまして平成二十七年の提案募集の取り組みの総括を行ったわけでございますけれども、その際には、まず成果が上がった主な要因といたしましては、提案のための準備、検討の充実を行ったことがまず第一に挙げられます。

 具体的には、提案募集時期の前倒しを行ったこと、事前相談を必ず行っていただくようにお願いしたこと、そして、地方分権改革有識者会議の専門部会で調査審議を行う事柄のメルクマールの整理をしたということがございました。

 また、第二の要因といたしましては、地方側の実現に向けた努力があったということが挙げられます。

 具体的には、単なる趣旨賛同ではなくて、個々の支障事例や地域の実情を積み重ねた共同提案をしていただいた。また、ハローワークについては、ハローワーク特区ですとか一体的実施を検証の上提案していただくなど、自治体みずからが検証を行って提案をしていただいたということがございました。

 また、専門部会でも、時間をかけた議論を行って、制度改正につながらなくても実際の支障に即した解決方法を探りました。

 また、二十八年に向けた課題でございますけれども、今御指摘がございましたような市町村の提案団体数が少ないということが挙げられまして、二十八年の進め方につきましても、二十七年の進め方を基本的に踏襲するんですが、提案団体には引き続き事前相談を行っていただくことを依頼する、それから市町村からの提案の掘り起こしを行う、その際、近隣自治体との連携を促進していくなどを行うこととしているところでございます。

宮本(岳)委員 提案募集方式が低調なのは、ただ単なる説明不足というようなものではありません。

 地方分権改革有識者会議が二〇一四年六月二十四日に公表した「個性を活かし自立した地方をつくる 地方分権改革の総括と展望」、ここでは、これまでの国主導による集中的な取り組みから地方の発意に根差した息の長い取り組みへと述べて、地方からの提案募集方式を採用いたしました。しかし、その総括と展望が掲げる財政的な自主自立性の確立などというようなものは、何の保証もないんですね。

 前回の一般質疑で指摘したように、地方分権改革などといっても、括弧つきの権限や仕事はふえるばかりで、お金はさっぱり地方に来ない。それどころか、この前の大臣の御答弁のように、地方は極めて財政難だ、しかし一方、国も恐ろしい財政難であるなどと言って、この先まだ削られかねないというのであれば、地方が意欲的に、もっと仕事をくれ、もっと権限をくれという話にはなりようがないと私は思います。大臣、そうじゃありませんか。

石破国務大臣 それは私は否定しません。そういうことはあります。

 ただ、先ほども申し上げましたが、財源をお渡ししたときにきちんと財政民主主義が機能しなければならないのであって、そこにおいて、何が一番ふさわしい事業なんだろうか。

 これは、コンパクトシティーって何だろうかということを考えたときに、伸び切ったというんですかね、そんな市街地をコンパクトにしていくということを考えたときに、今までとは発想が逆になるわけでございます。そういうところのいろいろな道路でありますとか、下水道でありますとか、そういうものの維持は非常に厳しいのだということになりますと、どうやってそこの町を設計していくか、そこにおいてどのような事業が必要であり、どのような財源がふさわしいのかというお話もあわせてしていただかなければなりません。

 それから、私どもは、もちろん、権限も財源も行かなければ分権だけされても困るという総論はそのとおりだと思っております。

 これから先、自治体の経営というものがいかにあるべきか、コンパクトシティーでありますとか、あるいは小さな拠点でありますとか、そういうことをそれぞれの自治体において徹底的に御議論いただき、どのような権限が必要であり、それにはどのようなお金がかかるのであり、それをどのようにして工面するかというお話もあわせて御提案をいただきたいと思っております。

 地方も厳しいが国はもっと厳しいというのは数字にあらわれているとおりでございますが、国も地方も、どっちが持つんだみたいな話ではなくて、お互いに何ができるんだいというお話は、さらに地方六団体の方々ともいたしてまいります。

宮本(岳)委員 地方のこういう財政的な困窮を放置して提案募集方式をやれば、結局、ますます苦しくなる地方財政の歳出カットのために、守るべき基準を緩めてくれ、重荷になるようなナショナルミニマムを手放させてくれ、こういう提案が来るに決まっているわけですね。

 二〇一一年に成立した第一次一括法、さらには第二次一括法や第三次一括法にも、附則に、「国の行政機関の長が定める基準の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」という規定があります。

 なぜこういう規定が置かれているんですか。

池田政府参考人 メルクマールといたしまして、従うべき基準、あるいは参酌基準、そしてまた標準と、国が示す基準について幾つかの分類があるわけでございますけれども、従うべき基準につきましては、やはり、実際の事務の執行の中で、従うべき基準というのはできるだけ少なくすべきだというのが地方分権の基本的な考え方でございまして、できるだけ地方団体の裁量というものを重んずるということから、それを適宜見直すということを附則においても書いているものでございます。

    〔佐藤(ゆ)委員長代理退席、委員長着席〕

宮本(岳)委員 二〇一三年六月六日、衆議院総務委員会で我が党の塩川鉄也衆議院議員が、第三次一括法案の質疑で当時の新藤義孝総務大臣に質問いたしました。

 国が定める従うべき基準というものは、国民の生命あるいは健康に直結をするという意味での基準である、それは国民のナショナルミニマムに深くかかわる基準であって、義務づけ、枠づけの見直しなどといってこれを後退させるような見直しは間違っていると指摘をいたしました。

 このときの新藤総務大臣の答弁は、国民がひとしく健康な生活を送る、そしてまた国は国民の命を守る、これは基本、そういうミニマムを実現するための制度というものがあって、それを保障するのは国が行う、これは見直しを行うに当たっても極めて慎重に行わなければいけないし、かつ、従うべき基準を限定しているというのは、そこに精神があるというものでありました。

 このやりとり、間違いないですね。

池田政府参考人 新藤大臣がそのように答弁されております。

宮本(岳)委員 このとき、塩川議員は、こういう従うべき基準というのは、国が地方を縛るということではないのだ、憲法の規定に基づいて国民が国を縛り、自治体や行政を縛る基準なのだと指摘をいたしました。全くそのとおりだと思うんですね。なぜなら、それらは国民や子供たちの命にもかかわる基準だからであります。

 そこで、内閣府に確認しますけれども、この第一次一括法から第三次一括法まで附則に置かれた見直し条項は今も生きていますね。

池田政府参考人 はい、そのとおりでございます。

宮本(岳)委員 厚生労働省、この附則で言う国の行政機関の長が定める基準、従うべき基準には、保育所の人員配置基準や面積基準も含まれますね。

吉本政府参考人 児童福祉施設の設備、運営に関しましては、児童福祉法四十五条の一項によりまして、条例で基準を定めなければならないと規定しているところでございまして、条例を定めるに当たりましては、児童福祉施設に配置する従業員、その員数、それから居室、病室の床面積等については厚生労働省令で定める基準に従い定め、その他の事項については参酌すると。

 したがいまして、ただいまの保育所の人員配置基準、面積基準は、従うべき基準に分類されるところでございます。

宮本(岳)委員 私は、二〇一二年五月二十八日、衆議院社会保障と税一体改革特別委員会で、当時の小宮山洋子厚生労働大臣と、子ども・子育て新システムについて、とりわけ保育所の面積基準の緩和と子供の死亡事故を取り上げて論戦をいたしました。それは、子ども・子育て新システムでは、地域型保育事業については面積基準を、従うべき基準ではなく参酌すべき基準として条例で定めるとしたからであります。

 そのような緩和を行ったのは、内閣府、事実ですね。

中島政府参考人 そうでございます。

宮本(岳)委員 私は、このとき、第一次一括法により改正された児童福祉法の特例措置を使い、待機児童対策のための保育所面積基準の弾力化を行った大阪市の事例を取り上げました。

 資料一を見ていただきたい。第十四回地方分権改革有識者会議での配付資料であります。

 背景・目的にはこうあります。「大阪市では、保育所の認可基準のうち、乳児室の面積を従前から一人当たり五平米以上として運用していた。しかし、保育所待機児童は二百人以上存在しており、その認可基準を割り込むことのみをもって保育所への入所を断るのではなく、児童の安全性や受入体制を考慮して市長が適当と認める場合に、弾力的に運用し、ひとりでも多くの待機児童が保育所に入所できる措置を取ることを方針とした。」

 そして、下線部、匍匐室のゼロ歳児の基準を見ていただきたい。それまで大阪市では、国基準三・三平米を上回る、子供一人当たり五平米という基準を定めてまいりました。それを一気に、待機児童が多いと認めた地域の保育所の場合は国基準の半分、一・六五平米まで引き下げ、子供を保育所に詰め込むことにしてしまったわけです。

 内閣府、これは当初、平成二十六年度までの特例措置ということでありましたね。

吉本政府参考人 二十六年度までの措置ということでございました。

宮本(岳)委員 当初は二〇一四年度までの特例措置ということでありました。しかし、その後、五年間延長されて、二〇一九年度までとなっております。

 このペーパーには、児童の安全性や受け入れ体制を考慮してとなっております。しかし、実際に大阪市で起こったことは何だったか。この間、大阪市では、認可外保育所での乳児の死亡事故が頻発をしております。

 私は、四年前の社会保障と税一体改革特の質疑でも、二〇〇九年十一月に大阪市の認可外保育施設で生後四カ月の棚橋幸誠君がうつ伏せ状態で発見され、亡くなった事故を取り上げました。御両親は認可保育所への入所を希望していたが、かなわず、この認可外施設に入所して一週間後の事故でありました。この日、施設では、保育士資格のない職員二人が乳幼児十八人を見ており、一人が給食の準備に入り、一人は他児の世話に追われるなどしていたことから、この子がいつうつ伏せになったのかもわからないという状況でありました。

 大臣、これは政治家として率直に大臣にお伺いするんですけれども、義務づけ、枠づけの見直しなどといって、その結果が子供が死ぬような基準の緩和になってはならない、これは当然だと思うんですが、いかがですか。

石破国務大臣 当然のことでございます。

 ですから、どのようなものであっても従うべき基準なるものを参酌すべき基準に見直すということは、全然適当ではないものでございます。

 ですから、それは何でも大事なんですけれども、子供たちの命や健康にかかわるというものを何でもかんでも見直すということは決して適当なことではないと私自身、認識をいたしておるところであります。

宮本(岳)委員 この事故は、その後、御両親が損害賠償請求を提起されまして、昨年十一月、大阪高裁は、幸誠君は寝返りをしてうつ伏せになったことで鼻や口が塞がり窒息死に至ったと推認できるとして、保育園の運営会社に五千万円余りの賠償を命じました。勝利判決を受けて幸誠君のお父さんは、うれしい気持ちと悔しい気持ちがまじっていると語り、お母さんは、幸ちゃんにはもう二度と会えない、心の底からうれしいとは言えないが、保育がよくなる第一歩になればいいと語られました。

 ところが、配付資料二を見ていただきたい。ことし四月四日、同じく大阪市淀川区東三国の認可外保育施設たんぽぽの国で発生した一歳の男の子の死亡事故の報告書であります。

 この認可外施設は、ベルサンテスタッフという人材派遣会社が設置した企業内保育施設です。大阪市の報告によると、この日、一歳四人、二歳五人を含む十一人の子供を二人のスタッフで見ていたが、保育士は一名だけでありました。

 厚生労働省、二〇〇九年十一月の幸誠君の教訓は全く生かされていないということではありませんか。

吉本政府参考人 これまでも、保育施設におきます死亡事故はあってはならないことだというふうに考えておりまして、そうした事故があった場合には、都道府県を通じて、私ども、きちんと把握をいたしまして、その原因の分析、再発防止に努めてきているところでございます。

 またさらに、今般、昨年度から新制度がスタートいたしましたので、内閣府の方で取りまとめて、教育、保育施設等における事故防止、事故発生時の対応のためのガイドラインを定めるなどいたしております。こうしたことによりまして再発防止を徹底してまいりたいというふうに考えております。

宮本(岳)委員 詳細報告というのをいつも求めているんですね。私が二〇一二年五月に質問したとき、私は、厚生労働省に提出された幸誠君の事故の詳細報告書を委員会に配付いたしました。そこには、きっちり十分置きに幸誠君の様子を見ていた、こういうことになっておりました。しかし、昨年五月二十一日、大阪高裁に証人として出廷した施設で唯一の有資格者であった元保育士は、午睡チェックもベッドルームをのぞくだけ、赤ちゃんは薄暗いベッドルームで一日の大半を過ごしていたという衝撃的な証言を行ったわけです。

 待機児解消の名のもとに、これまでも子供の詰め込みが進められてまいりました。また、保育所に落ちた保護者の切実な怒りの声に恐れをなした政府は、認可保育所の増設ではなく、認可外を初め一層の子供の詰め込みで急場をしのごうとしております。その一方でふえ続けているのが幸誠君のような痛ましい子供の死亡事故であります。

 内閣府、去る四月十八日に発表した、平成二十七年の教育、保育施設等における事故報告集計で、子供の死亡事故は全国で何件報告されておりますか。また、認可保育所、認可外保育施設、それぞれ何件報告されておりますか。

中島政府参考人 御答弁申し上げます。

 平成二十七年中に御報告をいただいた、大変残念なことでございますけれども、教育、保育施設等での死亡事故については十四件ということになってございます。そして、その死亡事故の中で認可保育所につきましては二件、そして認可外保育所については、地方単独保育施設も含めまして十件ということになってございます。

宮本(岳)委員 昨年十四名の子供がとうとい命を落としました。

 配付資料三を見ていただきたい。

 二〇〇四年以来、毎年二桁の子供たちが命を落とし続けております。しかも、圧倒的に認可外保育施設で死亡事故が発生しております。

 配付資料四のグラフを見ていただきたい。内閣府の事故報告集計をもとに、子供百万人当たりの死亡事故の発生率を比べたものであります。

 認可保育所で死亡事故二件といっても、二〇一五年四月一日時点で、認可保育所には二百十五万九千三百五十七人の子供が預けられております。認可外保育施設は二十七万五千三百二十二人です。それを子供百万人当たりの死亡事故件数に換算すると、認可保育所は〇・九二六件、一件を割っております。一方、認可外保育施設では、実に三十六・三二件、四十倍も差があるわけですね。

 大臣、これはもう一目瞭然ですよ。子供の命は何よりも第一という観点からは余りにも違いが明白だということではないでしょうか。

石破国務大臣 この数字は、明らかに委員の御指摘のとおりのことを示しているということであります。

 ですから、今後、従うべき基準を見直すわけでございますが、この見直しに当たりましては、勧告の趣旨というものをよく踏まえながら、実態を把握しながらやっていかねばならない。こういうことが起こらないように、先ほどの御両親のお話にもありましたが、もう亡くなった子は帰ってきませんので、そういうことがないようにしていかねばならぬ。それは担当官庁において勧告の趣旨を踏まえながら行われるべきものであって、何でもかんでも見直せばいいということではないということは認識をしておるところであります。

宮本(岳)委員 では、認定こども園というものはこれまで以上に安全な場所と言えるかということであります。

 子ども・子育て新システムはまさに昨年度から始まりました。始まった初年度から、残念ながら死亡事故はゼロではありませんでした。幼保連携型認定こども園で一件、小規模保育事業でも一件、子供の死亡事故が報告されております。

 内閣府に聞きますけれども、平成二十七年の幼保連携型認定こども園の在籍園児数は何人ですか。

中島政府参考人 ちょっとお時間をいただいて、御通告がなかったものですから……(宮本(岳)委員「いや、資料請求したよ」と呼ぶ)そうでございますか。済みません。申しわけございません。

 幼保連携型認定こども園の数につきましては、千九百三十一でございます。それから、利用状況でございますけれども、約二十八万人のお子さんが利用していただいているということでございます。申しわけございません。

宮本(岳)委員 二十七万九千四百七人ですよ。

 これを同じく子供百万人当たりの死亡事故件数に換算すると、三・五八人となります。先ほど配付したグラフを見てもらえば、認可外保育施設のようなことはないですけれども、認可保育所の四倍となっています。

 四月一日の衆議院内閣委員会で我が党の池内さおり議員は、加藤勝信一億総活躍担当大臣に、最低基準を上回っているところは、最低基準があるからといってその水準まで引き下げてはならないという児童福祉法第四十五条に基づく児童福祉施設の設備及び運営に関する基準も示して、詰め込みをあおる政府の緊急対策を批判し、認可保育所の増設を要求いたしました。

 加藤大臣の答弁は、根本的な対応はやはり必要な保育所をしっかりと整備していくと言いながら、今多くの待機児童を抱えているところでは、緊急的にどう対応していくか各市町村に判断していただく、こういうものでありました。

 しかし、待機児が多い地域の特例措置だ、緊急措置だといって始まった大阪市の面積基準の緩和は、期限の二〇一四年度が来ても、二〇一九年度まで既に五年間も延長されました。二〇〇九年には幸誠君が幼い命を落とし、ことしまた、何の改善もなく一歳の子供が命を落としても、見直そうともしておりません。それどころか、四月十八日に厚生労働省が開いた待機児童対策会議に参加した吉村洋文大阪市長は、二〇一九年以降も面積基準の緩和を継続するように求めたと報じられております。

 厚生労働省、これは事実ですね。

吉本政府参考人 当日の意見交換の中でそのような御要望があったことは事実でございます。

宮本(岳)委員 義務づけ、枠づけの見直しなどといって何でも地方に任せることが決してよいわけではありません。

 私は、きょう、累次の地方分権一括法であなた方が進めてきたことは子供たちの命まで脅かす結果になってきたことを明らかにいたしました。待機児解消などといって、これ以上子供を詰め込むようなことはきっぱりやめて、ちゃんと認可保育所をふやすことであります。待機児解消を口実に子供の命と安全、発達を保障するための保育所の面積基準を緩和したり、地方任せにするのは大きな間違いだと指摘しなければなりません。この際、地方分権一括法の附則に置かれた見直し条項はきっぱり削除することを求めて、私の質問を終わります。

山本委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 おおさか維新の会の伊東信久です。よろしくお願いいたします。

 本日は、持ち時間二十分の中なので、国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案の中でも、私自身、医師でもありますので、医療分野について、フォーカスを絞って質問させていただきます。

 さて、まず、医療イノベーションの推進などの分野から、独立行政法人医薬品医療機器総合機構関西支部の役割についてお伺いいたします。

 最初は確認からなんですけれども、四月十四日の石破大臣の衆議院本会議におきましての御答弁の中で、速記録を読ませていただきますと、国家戦略特区の関西圏の特区におきまして、保険外併用診療や特区薬事戦略相談といった規制改革メニューの活用により、先進医療の提供や改革的医療機器の開発が迅速に行われておりますと。ここからなんですけれども、その際ですが、総合特区制度に基づく財政支援により創設されたPMDA、医薬品医療機器総合機構の関西支部が審査を行うなどの役割を果たしており、両制度が連携して活用されておるところでありますと御答弁いただいたんですけれども、PMDAの関西支部でも審査業務を行う、こういった御答弁なのでしょうか。まずは確認から。

石破国務大臣 これは四月十四日、福田昭夫議員の御質問に対する答弁でございます。

 これは委員の方がよく御案内かと思いますが、医薬品医療機器総合機構、PMDAがやりますことは、医薬品や医療機器などの品質、有効性、安全性につきまして、治験前から承認までを一貫した体制で指導、審査する機関というふうに位置づけられております。

 関西支部は、薬事戦略相談と、医薬品などが適切な品質で製造される体制であるかを確認するGMP、すなわち医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理に関する基準のGMPでございますが、実地調査を行っているというわけでございます。

 このような業務内容でございますので、PMDAの関西支部が医薬品などの審査の一環としての役割を果たしているというような意味でこれを答弁申し上げたものでございます。

伊東(信)委員 PMDAの関西支部で最終的な審査、許認可をというのが関西、大阪での本当に希望でもありますので、誤解のないようにお願いしたいというのがまずは一つなんですね。

 PMDAの関西支部でその審査を行うことが現在できない理由というのは現在あるのでしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 平成二十五年十月に大阪に開設しましたPMDAの関西支部につきましては、現在、シーズの実用化に向けた開発戦略等に関する事前の相談及び医薬品等の製造管理や品質管理について確認するGMPの実地調査の機能を持ってございます。

 このGMP実地調査は審査の一環をなすものでございまして、医薬品等の製造所に直接出向いて実施するものでございますので、製造所が比較的多い、そういった地域に拠点を置いて実施をするということに合理性がありますということで、必要な人員を配置してございます。審査機能の一部についてはこのような格好で関西支部に持たせているというところでございます。

 一方、このGMPの実地調査以外の有効性、安全性、品質に関する評価、これは、多様な分野の専門的な知識を有する職員でチームを編成しまして多面的な観点から効率的に迅速に処理する、こういう必要がございますので、東京の事務所において今、集中的に実施しているという状況でございます。

 このような結果として、欧米の規制当局と比肩し得る審査の速度や実績というものを発揮するまでになってございます。

 このような状況でございますので、これ以上の審査機能を関西支部に付与するという状況にはないというふうに今考えているということでございます。

伊東(信)委員 地方創生ということを考えるに当たって、もしくは医療イノベーションの分野の推進という意味では、やはりPMDA関西支部へそういった最終的な評価機能、審査機能を移行する形というのが望ましいのではないかとも思われるんですけれども、現在どれぐらいの人数配分でそういったことが不可能なのか、もう少し具体的に教えていただけますでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 PMDAの全体の人員につきましては今、八百名を超える人員になってございまして、そして、関西支部におきましては今、十三、四名、そのくらいの人員を配置しているという状況でございます。

伊東(信)委員 そのことによって開発費用の適正化、つまり大幅な削減が起こりまして、開発期間も三、四年短縮するということなんですけれども、現在の法案におきましてこの議論はされていない、もう最後は確認だけにしておきますけれども、せっかく特区ができるんですけれども、されていないという解釈でよろしいですか。

森政府参考人 お答えいたします。

 現在の法案の検討の中では、審査の機能を関西支部に付与するという議論は行われておりませんが、相談の機能について関西で行うということについて検討されているという状況でございます。

伊東(信)委員 それでは、その特区の中での方法論についてお尋ねいたします。

 いただいた資料の中に、どこがどこに薬事戦略相談をするのかというところがきっちりと書いている部分と書いていない部分があったんですけれども、どこがどこに、決まっている内容を詳しく教えてください。

森政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の、特区薬事戦略相談でございますが、これは国家戦略特別区域内の臨床研究中核病院、ここを対象といたしまして、必要に応じましてPMDAの職員を出張させまして、そこで開発されている医療機器の実物を見たり、実際に操作をしたり、作動するのを拝見させていただきまして理解を深めまして、その上で、臨床試験など承認申請に必要な試験の実施に関する効果的な、効率的な助言を行うことによりまして革新的な医療機器の効率的な開発計画の立案とその円滑な実施を支援させていただくというものでございます。

 現在、国家戦略特区に所在する臨床研究中核病院は七施設ございまして、これまでに、大阪大学医学部附属病院それから東北大学の病院からこの相談を活用したいという意向を伺っておるところでございます。

伊東(信)委員 内容はわかっています。きのう質疑は通告させていただいているので。

 それでは、ここでわざわざ出張ということを法律で決める必要があるのか。それであれば今までの枠の中で、わざわざ薬事戦略相談を出張でなくてもできるのではないかという疑問が現場から出ているんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 PMDAの職員を臨床研究中核病院の現場に出張させるという意味につきましては、現在、革新的な医療機器がその場で開発されているという状況においては、やはりその製品自体を直接確認させていただくということが非常に理解を深めることに資するというふうに考えてございまして、そうしたケースにおいて職員を出張させるということが有益ではないかというふうに考えている次第でございます。

伊東(信)委員 それでは、例えば関西圏の国家戦略特区だけではなく、特区ではなくて、この方法を各特区外にも広げるという議論は今なされているかどうか、その経過を教えてください。

森政府参考人 お答えいたします。

 特区以外でもそのような相談をしてはどうかという御意見というのは、私どもは伺っております。

 これにつきましては、昨年十一月に実施要綱を公表したところでございまして、これから実績を積み重ねまして、効果的な相談や助言ができているのか確かめるという段階でございます。

 以上でございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 この分野は最後にしますけれども、この特区内の臨床研究中核病院が主体的に開発する医療上特に必要性の高い医薬品の本制度の活用を求める提案が出された場合、どのような対応をお考えなのか、最後にお尋ねします。

森政府参考人 医薬品について御提案があったという場合のことでございますでしょうか。

 こうした場合につきましては、先ほども御説明申し上げましたが、医療機器のような実物を実際に拝見することに非常に価値があるという場合をまずは想定させていただいておりまして、医薬品の場合におきましては、現地に赴くということの利点が医療機器の場合に比べてそれほど高くないのではないかというふうに考えてございまして、現在のところ、医薬品についての御提案について想定はしていないという状況でございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 しつこいようですけれども、きのう、きちっと関係省庁を呼びまして通告をいたしておりますので。

 次に、テレビ電話による薬剤師の服薬指導についてお伺いいたします。

 テレビ電話による医師による遠隔診療については離島や僻地のみで認められると理解しておりますけれども、今回は、国家戦略特区全域でこの遠隔診療としての薬剤師の服薬指導ができるようになるのでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 現在検討しております内容でございますが、薬剤師による服薬指導は、医薬品医療機器法において対面で行うという原則とされておりますが、今回の法律案は、平成二十七年六月に閣議決定されました「日本再興戦略」改訂二〇一五、これに基づきまして、対面での服薬指導の義務の特例ということで、遠隔診療のニーズに対応するために、国家戦略特区内で医療機関や薬局といった医療資源の乏しい離島、僻地という範囲で実証的に実施をしようというふうにしているものでございます。

伊東(信)委員 その中で、テレビ電話などを活用してとありますけれども、具体的にどういう機械になるのでしょうか。性能基準があって、そのスペックを満たせば家庭にあるパソコンやタブレットなどの端末で可能になることを想定しているのか、教えてください。

森政府参考人 お答えいたします。

 「日本再興戦略」改訂二〇一五に基づき特例措置で定めておりますそのテレビ電話につきましては、テレビ電話装置その他の装置として、送受信される映像及び音声が、遠隔服薬指導を適切に行うために必要なものとして厚生労働省令で定める基準に適合するというふうに規定してございます。

 この遠隔服薬指導におきましては、対面での服薬指導にはなかなか及ばない点もあるかと思いますが、薬剤を使用する方の状態をリアルタイムで十分に把握して、相手の理解を確認しながら、柔軟かつ適切な情報提供や指導を双方向で行うに足りるだけの十分な情報量をもって通信ができる映像及び音声というもので行われるようになる必要があると考えてございます。

 また、これらの映像及び音声のやりとりが確実に特定の区域に居住する患者様本人との間でなされるということを担保する必要もあると考えております。

 このために、テレビ電話の装置その他の装置につきましては、映像の解像度や動画伝送速度が遠隔服薬指導を適切に行うために必要なものであること、映像及び音声の通信状況を薬局側で把握して記録できるようにすること、それから、特定区域に居住する患者との間で遠隔服薬指導が実施されていることを確認できること、こうした要件が満たされるように厚生労働省令で定めることを予定してございます。

伊東(信)委員 最後に、遠隔診療について、医師法第二十条の無診察治療などの禁止規定があり、初診は必ず対面しないといけないことになっておりますけれども、服薬指導に関しては、初めてであってもテレビ電話による対応ができるのか否か、重症や疾患によって対応のレベルを設けてもよろしいかと思うんですけれども、お答えください。

森政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、テレビ電話による遠隔服薬指導について御説明をしましたとおりでございますが、この遠隔服薬指導につきましては、薬剤師と患者様の双方で柔軟かつ臨機応変なやりとりが行われまして、お使いになっている患者さんの状態を慎重に確認するということと、それから、適切な指導と、指導の内容が確実に理解されているということを確認するということが重要だと考えてございまして、仮に初回であったとしてもそのようなことが満たされるのであれば、初回であるかどうかにはかかわらず薬剤師が適切に実施するようになるものと考えてございます。

伊東(信)委員 では、時間ですので終わります。

山本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。田村貴昭君。

田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、地方分権改革第六次一括法案への反対討論を行います。

 本法案は、第五次一括法に引き続き、地方自治体からの提案募集方式に基づいて事務、権限の移譲と義務づけ、枠づけの見直しを一括して行うものです。

 まず、地方版ハローワークの創設についてです。

 今回の改正は、埼玉県と佐賀県がハローワーク特区で実施してきた事業を全ての地方自治体でできるようにするものです。しかし、地方自治体には十分な体制やノウハウがありません。民間の人材ビジネス事業への委託を可能とするなら、自治体を介した単なる人材ビジネスへの委託になりかねません。国が行うべきは、求職者が安心して相談できるハローワークの体制強化です。国の職業安定行政の体制を弱め、民間人材ビジネスへの依存、非正規職員の拡大につながる地方版ハローワークには反対です。

 次に、学校教育法の改正案です。

 地方公共団体があらゆる種類の学校をみずから設置することは既にできることです。問題は、公立大学法人が設置する附属学校の所管が教育委員会ではなく首長部局となることです。実験的な取り組みや特定の目的を持つ学校が首長の意向だけで設置できることになります。また、長期借入金等を可能とすることは、大学運営に必要な資金を確保する地方自治体の財政責任を曖昧にするものです。

 工場立地法に基づく緑地面積の規制は、工場立地に際して一定の緑地を確保させ、企業に対して周辺の生活環境との調和を果たさせることを義務づけるものです。この間、地域準則の制定権が移譲された自治体の多くが、規制強化の方向ではなく規制緩和による企業立地誘致策として活用されています。緑地規制緩和をてこにした企業誘致競争に町村を巻き込むことにつながりかねません。

 また、公共の大規模建築物の定期点検の対象を民間の基準に合わせる建築基準法の改正や、保安林の解除に関する森林法の改正は、国民生活の安全に大きな影響を及ぼすおそれがあります。

 最後に、義務教育諸学校の医療費援助事務におけるマイナンバーの利用範囲の拡大は、国民の理解を得ながら所要の措置を講ずるとしたマイナンバー法の附則や国会答弁にも反するものであり、反対です。

 その他、事務手続の軽減につながるなど必要な改正も含まれていますが、以上の理由から、本法案には反対するものであります。

 以上です。

山本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山本委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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