衆議院

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第4号 平成28年4月8日(金曜日)

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平成二十八年四月八日(金曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 西川 公也君

   理事 笹川 博義君 理事 菅原 一秀君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 福井  照君

   理事 吉川 貴盛君 理事 柿沢 未途君

   理事 近藤 洋介君 理事 上田  勇君

      青山 周平君    赤枝 恒雄君

      井野 俊郎君    井上 貴博君

      小田原 潔君    勝沼 栄明君

      北村 誠吾君    小島 敏文君

      坂本 哲志君    関  芳弘君

      田中 良生君    武井 俊輔君

      武部  新君    寺田  稔君

      中川 郁子君    長坂 康正君

      橋本  岳君    原田 義昭君

      比嘉奈津美君    古川  康君

      細田 健一君    堀内 詔子君

      前川  恵君    御法川信英君

      宮川 典子君    宮路 拓馬君

      務台 俊介君    村井 英樹君

      渡辺 孝一君    緒方林太郎君

      岸本 周平君    黒岩 宇洋君

      篠原  孝君    玉木雄一郎君

      福島 伸享君    升田世喜男君

      村岡 敏英君    稲津  久君

      岡本 三成君    角田 秀穂君

      中川 康洋君    真山 祐一君

      笠井  亮君    畠山 和也君

      丸山 穂高君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣         岩城 光英君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       馳   浩君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   農林水産大臣       森山  裕君

   経済産業大臣       林  幹雄君

   環境大臣         丸川 珠代君

   国務大臣         河野 太郎君

   国務大臣         石原 伸晃君

   内閣府副大臣       松本 文明君

   外務副大臣        木原 誠二君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         佐藤 速水君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  今城 健晴君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君

   衆議院調査局環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別調査室長      辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月八日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     井上 貴博君

  勝沼 栄明君     赤枝 恒雄君

  小島 敏文君     宮路 拓馬君

  福山  守君     村井 英樹君

  務台 俊介君     長坂 康正君

  稲津  久君     真山 祐一君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     勝沼 栄明君

  井上 貴博君     堀内 詔子君

  長坂 康正君     務台 俊介君

  宮路 拓馬君     青山 周平君

  村井 英樹君     細田 健一君

  真山 祐一君     角田 秀穂君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     小島 敏文君

  細田 健一君     比嘉奈津美君

  堀内 詔子君     越智 隆雄君

  角田 秀穂君     稲津  久君

同日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     井上 貴博君

  比嘉奈津美君     福山  守君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件(条約第八号)

 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第四七号)


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     ――――◇―――――

西川委員長 これより会議を開きます。

 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び内閣提出、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案件審査のため、本日、参考人として英国駐箚特命全権大使鶴岡公二君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官澁谷和久君、財務省大臣官房参事官岸本浩君、農林水産省大臣官房総括審議官佐藤速水君、農林水産省大臣官房総括審議官大澤誠君、農林水産省生産局長今城健晴君、農林水産省経営局長奥原正明君、農林水産省政策統括官柄澤彰君、経済産業省通商政策局長片瀬裕文君、経済産業省製造産業局長糟谷敏秀君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。緒方林太郎君。

緒方委員 民進党の緒方林太郎でございます。

 きょう、一時間質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 昨日以来、このノリ弁のような文書が非常に問題になっておりますが、我々に見せているのはこの資料であります。

 それに対しまして、きのうも質疑に上りましたが、西川委員長の「TPPの真実」という本についてですが、我々は、けさ、びっくりいたしまして、西川委員長が書かれたとされているこの本がアマゾンのサイトから消えているんですね。消えた真実じゃないですか。

 西川委員長、消すための何か指示を出されましたでしょうか。

西川委員長 委員長は答弁する立場ではありません。政府提出の協定、関連法案の質疑においては、政府に対して質疑をただしていただくものと考えております。委員長としてはお答えする立場にない、こういうことを申し上げておきます。

緒方委員 我々の中で予約した人間がいたんですよね。予約した人間がいて、さあ、ここからどうなるんだろうなというふうに思うわけですが、本当にこれは消えた真実になってしまうんです。

 委員長、この件は非常に、我々は、また隠蔽かと。政府から出てくるものがこれ。そして、委員長が真実を後世のために明らかにすると言っておられて、我々も何を言ってくれるんだろうかと期待をしておりましたが、それもインターネットのウエブサイトからきれいさっぱり消え去って、予約した人はどうなったんだろうかというふうに思うわけでありますが、これはどこかから指示があったんじゃないかなというふうに思うわけです。

 安倍総理大臣にお伺いいたします。

 内閣総理大臣官邸からこれを消せという指示を出されましたでしょうか、安倍総理大臣。

安倍内閣総理大臣 昨日もお話をさせていただきましたが、そもそも私はそういう事実について全く認識をしていないわけでありまして、ここでの議論を拝聴させていただいたのみでございます。

緒方委員 誰かの指示があって、これを消したんだろうなというふうに思うわけでして、五月六日がもともと想定をされていた発行日であったわけですが、またどんどんどんどんと情報が出てこなくなる。その隠蔽体質の一環ではないかということを述べさせていただきたいと思います。

 この「TPPの真実」と言われる本のゲラとされるものでありますが、ちょっと、一つすごく気になることがありまして、私は外務省出身ですので、人物評価を堂々と書いているということが非常に気になります。一般的に、外交において、相手のパーソナルなことをいろいろと書き連ねるというのは望ましくないですね。

 フロマン通商代表のことについて、交渉官の報告では何でも反対するという頑固者というふうに書いてある。会談中は眼鏡をせわしなく外したりつけたりするというようなことも書いている。

 森山大臣については、TPP参加の即時撤回を求める会代表を務めておられる際に、代表を引き受けたものの、反対する気は余りなかったのではないかというようなことが書いてあったり、専門はもともと農林関係ではないというふうに書かれております。

 昨日質問に立った宮腰議員については、農林族間の調整に余り関心がなかったと。

 さらには、内閣府の澁谷審議官については、しっかり説明しているようで、聞き手は結果として意味がわからないまま会話が終わります。彼以上に話の意味を見えなくする立派な答弁者を私は知りません。ここまで書かれております。

 こういう論評というのは、外交上、一般的に嫌われます。場合によっては、職務における信頼を損なわしめる、私はそう思います。

 一般論としてお伺いをいたします。

 外交上、会った人間の人物評をぺらぺらと外に話すのは信義則違反であり、政治家としての常識に欠けるというふうに思いますが、安倍総理大臣、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 今、緒方委員は、西川委員長が出版した本というふうに言われたわけでありますが、まだ出版した本というものについては私は全く承知をしていないわけでございますし、本を出版したということを前提にした一般論といえども、答弁は控えさせていただきたいと思います。

緒方委員 では、本の話はあえて切り離して、一般論として、外交上、会った人間の人物評をぺらぺらと外に話す、パーソナルな論評をぺらぺらと話すということについて、安倍総理はいかが思われますか。

岸田国務大臣 一般論として申し上げるならば、私の経験を振り返ります中で、外交交渉上において、相手のパーソナルな点について何か公の場で申し上げることはないのではないか。通常、そういったことは行わないのではないかと考えます。

緒方委員 そういうことなんです。通常ないんです。行わないんです。

 そういったことを、今回、何らかの指示によって消えた真実になってしまったわけですが、そこにおいてそういうことを書くというのは、本当に政治家としての常識を疑わしめるものであると強く言わせていただきたいというふうに思います。

 そして、この情報公開のことに関してですが、きのうから非常に議論になっているものとして、秘密を守るための書簡、秘密書簡と言われているものがあります。あれはひな形しか出てきていません。しかし、政府の説明では、おおむねこのラインに沿って、大体こういうものに鶴岡交渉官がサインをしたと言っておられます。

 まず最初にお伺いしたいと思います。

 あの秘密書簡は誰を拘束するんでしょうか。国家公務員だけですか、それとも国会議員も含まれますか、石原大臣。

石原国務大臣 昨日も御答弁させていただいたんですけれども、先ほどの人物評の話もそうですし、建設的な議論を外交交渉で行っていく上で、お互いの内容は開示しないというのが前提であるということは、もう委員は外交のベテランでございますので、御認識をされているんだと思います。

 その前提というものを覆すことは、それによりまして信頼関係を大きく損なうだけではなくて、これからの外交交渉というものにも悪影響を及ぼす。この話は、昨日、外務大臣の方から詳しく御説明があったと思います。

 そういう基本認識のもとに、私どもはTPP交渉にわたっての、今、委員が御指摘になりました秘密保護に関する書簡については開示をさせていただけない、こういうふうに認識をしているわけでございます。

 そして、委員は、おおむねそのようである、それをどなたが言ったか私は存じませんけれども、そのもの自体に対して開示をしませんし、公にはできない、これはもう外交のベテランである緒方委員にとりましては御理解の範疇ではないかと思っております。

緒方委員 このニュージーランドのホームページに出ていたもの、おおむねこのラインに沿ってというのは、役所から説明があった話であります。別に、我々が何かでっち上げているわけでも何でもございません。

 私の質問に石原大臣は全く答えていないんです。この秘密書簡の対象、誰がこの秘密を守ることを、この書簡によって定められる秘密を守る義務は誰にかかりますかということを聞いているんです。もう一度。

石原国務大臣 これも昨日お話をさせていただきましたけれども、その秘密書簡なるものに関与をする公務員の方々には当然守秘義務がかかってまいると思います。

緒方委員 公務員全員ということだというふうに理解をしましたが、国会議員にもかかりますか、大臣。

石原国務大臣 どの程度外交交渉に関与をしたかによって、国会議員の場合は影響が出てくるのではないかと思います。

緒方委員 影響が出てくるのではないかと思いますということでしたが、そんな文面になっていますか。

 もう一度お伺いをいたします。

 国会議員はこの秘密書簡の義務の対象でしょうか、石原大臣。

石原国務大臣 何度も御答弁させていただいておりますように、その秘密書簡に署名をしたのは、二〇一三年に鶴岡首席交渉官でございます。その鶴岡首席交渉官には守秘義務が当然かかりますので、国会議員に対してその内容を話すことはできない、こういうふうに御理解いただきたいと思います。

緒方委員 つまり、今の説明だと、国家公務員に義務がかかっていて、そして、その秘密を国会議員に漏らすことは一切あり得ないから、だから、国会議員に義務をかける必要がそもそもない、そういうことではないんですか。政府の公務員には義務がかかっている。だから漏らすことはない。漏らすことはない以上知り得ない。知り得ない以上そもそも外に漏れることもない、そういうことですか、石原大臣。

石原国務大臣 緒方委員の御質問が、書簡に関して守秘義務がかかる者は誰なのかという御質問でございましたので、その署名をした人間を含め、公務員が守秘義務にかかってくるわけでございますので、今委員が御指摘されたようなロジックというものはあるのだと思っております。

緒方委員 つまり、国会議員が、国会議員である外部の人間がこの秘密協定で禁じられているものを見ることは、交渉の経緯とか、いろいろなものが書いてあります、提案とか、そういったものを見るということは、一切あり得ないということでよろしいですね、石原大臣。

石原国務大臣 委員のイメージされている国会議員、衆参国会議員がいるわけですけれども、どういう方を念頭に、また、政府の中にも衆議院議員の身分の中で入っている人間がおりますので、そこのところが私はちょっとわからないもので、こういう御答弁しかできないということはぜひ御理解いただきたいと思います。

緒方委員 では、政府に全く入っていない、閣僚でもなければ副大臣でもない、政務官でもない、そもそもアクセス権限を持っていない国会議員は、絶対にこの秘密書簡におけるところのいろいろな外に漏らしてはいけないという文書を見ること、そしてその情報を知るということはないということでよろしいですね、石原大臣。

石原国務大臣 緒方委員のように、外務省にいらっしゃって特別な関係があるようなことがあって、そういうことがないかといえば、ないんだと思いますけれども、そういう方でも私はないんだと思います。

緒方委員 国会議員がそういうことを知ることはあり得ないということなんですが、この西川委員長が書かれたとされるその本の中には、どう読んでも交渉の内情を詳しく説明している、当時から詳しく知っていて説明しているとしか思えないような記述が多いんですね。

 例えば、ニュージーランドは日本に対して、生乳換算で年間九万トン以上の輸入枠をふやせの一点張りでした。日本はアメリカに対して、アメリカの日本車輸入の関税撤廃二十五年を短縮することをかち取ってきてほしい。これが実現すれば日本もニュージーランドの乳製品の輸入拡大を考えると伝えていました。

 明らかに、交渉の経緯を当時から知っていて、そして、その情報に基づいて動いていたことを示唆するものであります。

 石原大臣にお伺いをいたします。

 本当に、国会議員がこういった情報も知り得ない状況にあったと確約できますか、石原大臣。

石原国務大臣 委員の前提が、委員が御示しになっている白い印刷物の束を指して、そこの内容についてコメントをというのであれば、その物が何であるのかということを私は認識しておりませんので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

緒方委員 これは本の番号から何から全部一致をしていて、そして、きのう国会で取り上げた瞬間に、予約から何から全部できないように消されてしまうというもの、これは、逆に真実だということを示唆しているんだと思います。真実で、これが外に出てしまうと審議に大きく差し支えるから、だから消したということなんだろうと思います。

 そう考えるときに、ここに書いてあること、ニュージーランドと日本のやりとり、そしてアメリカとのやりとり、こういったものが外に出ていたということはゆゆしき事態ですね。仮にこれが外に漏れていたということであれば、これは秘密書簡に違反するというふうに理解してよろしいですね、石原大臣。

石原国務大臣 先ほども御答弁させていただきましたけれども、残念ながら、それが何なるものか、また何であるかも私は存じませんので、これ以上のコメントをすることは控えさせていただきたいと思います。

緒方委員 明らかに裏で何かやっていることを示唆するような対応だと思いますが、しかしながら、出版しようとしていたとされるこの本の一番最後に何と書いてあるかというと、出版に当たって協力してくれた内閣官房、農林水産省等の皆様への感謝の念が述べられています。

 ゲラをチェックしたりとか、情報を漏らしたりとか、そういったことをした職員は内閣官房そして農林水産省に絶対にいないというふうに言い切ることができますか、石原大臣、森山大臣。

石原国務大臣 ちょっと宣伝になってしまうかもしれませんが、私は今COP21、そしてこれからの地球温暖化に関して本を書かせていただいております。そのとき、情報提供として、環境大臣もおいでですけれども、残念ながら私はパリに行くことができませんでしたので、その情報を、国会議員として、どういう会議であったか、また何が論点であったか、こういうお話を伺わせていただいております。

 それが委員が御指摘になっているようなものと同じだとするならば、情報提供というものは国会議員に対して各役所が行っているのではないかと思います。

緒方委員 済みません。後ほどもう一回聞きます。

 秘密書簡の義務に反するような情報を漏らした公務員とか、仮にこの書籍が事実だとしたときに、そういったものの作成に協力をした、そういった職員は一切いない、内閣官房そして農林水産省にそういった職員は一切いないということを確約できますね、石原大臣、森山大臣。

石原国務大臣 ちょっと質問の趣旨がわからないのは、今委員が御提示をいただいているコピーが何であるかということは、私は残念ながら承知しておりません。そして、その内容も承知しておりません。

 そして、一般論として言えば、先ほどお話をさせていただいたように、今回のTPP協定において、たしかマレーシアだったと思いますけれども、そこで秘密を守るための書簡に署名をしたのは鶴岡さんでありますし、鶴岡さんには当然守秘義務がかかる。また、それによりまして、それ以後の協定の内容、また経緯等々について公にするということは四年間差し控えるというのがこのルールの中に示されていると理解をしております。

森山国務大臣 緒方委員にお答えを申し上げます。

 まず、一般論として申し上げますが、国会議員の皆さんから政府に対して資料要求とか事実関係の確認があれば、適切に対応していることは御理解をいただけると思います。

 今回の件につきまして、具体的に執筆に協力をした職員は確認をされなかったと承知をしております。

緒方委員 森山大臣の方が正確にお答えをされておられます。

 我々の方からも、これを聞いて、これが何だかわからないということでありますが、内閣官房TPP政府対策本部からは、西川委員長が出版を検討しているということについては、そういう報道があるということについては承知している、ゲラのチェックという形で具体的に協力した職員は確認されなかったと言っているんです。

 石原大臣、全然、後ろの澁谷審議官からのブリーフが行き届いていないですね。

 もう一度お伺いをいたします。

 そういったゲラのチェックとかに協力した職員は絶対にいなかった。そして、もっと言うと、秘密書簡に違反するような情報の伝達の仕方をした職員は内閣官房には一切いない。いたときには大臣が責任をとるというところまで確約できますね、石原大臣。

石原国務大臣 本当に申しわけないんですけれども、そのコピーが何であるかが実証されていない以上、そのことに関して私がコメントを差し控えさせていただいているということは、ぜひ御理解をいただきたいと思います。(緒方委員「そんなこと聞いていない。もう一回」と呼ぶ)

西川委員長 緒方林太郎君、質疑を続けてください。(発言する者あり)質疑を続けてください。

緒方委員 これは、内閣官房TPP政府対策本部、四月一日付で、公式の文書として我々のところに紙で出してきているんです。西川委員長が出版を検討しているという報道については承知している。しかしながら、ゲラのチェックという形で具体的に執筆に協力した職員は確認されなかった。いなかったではないですね、確認されなかったという表現です。だから聞いているんです。

 ゲラのチェックに協力した職員とか、もっと言うと、秘密書簡の義務にかかるような情報の漏えいをした職員は内閣官房には絶対いない。仮にそういう職員の存在が判明したときには、大臣が責任をとるというところまで確約できますねと聞いているんです、石原大臣。

石原国務大臣 何度も話をして恐縮なんですが、そのものが何であるかが私は確認できません。確認できない以上は、そのものについてコメントをすることができないということはぜひ御理解をいただきたいと思います。

西川委員長 緒方林太郎君。

 わかるように質問してください。(発言する者あり)緒方林太郎君、質問を続けてください。(発言する者あり)緒方林太郎君、質疑を続けてください。

 そして、石原TPP担当大臣からは、答えをもう一度お願いします。

緒方委員 公平公正に議事運営をすると言われたじゃないですか。

西川委員長 そのとおり。

緒方委員 自分自身の本に関するからといって、そんなひきょうなことをするんですか、委員長。委員長、おかしいですよ。自分自身の話だからといって、こんな不公平な議事運営はないですよ。おかしいじゃないですか。

 私はゲラの内容など一つも聞いていないです。内閣官房TPP政府対策本部から、そういった本を出版するということについては、そういう報道があるということについては承知している。そして、そのゲラのチェックに、具体的に執筆に協力した職員は確認されなかった。それは、大臣がつかさどる内閣官房TPP政府対策本部、その名前で返ってきている。だから聞いているんです。だから聞いているんです。

 ゲラのチェックという形で具体的に執筆に協力した職員が絶対にいなかった。そして、交渉過程においても、秘密書簡の義務に違反するような職員は絶対にいなかった。もし仮に、この後そういった職員が出てくるのであれば、大臣が国務大臣として責任をとるというところまで確約できますねと聞いているんです。

 大臣、この四月一日、内閣官房TPP政府対策本部が出した紙というのは、これはうそだったということなのかということを聞いているんです。石原大臣。

石原国務大臣 委員がその白いコピーを中心に御議論をされておりますので、私はそれを存じないと。

 そして、内閣府として……(発言する者あり)

西川委員長 緒方林太郎君、質疑を続行してください。

 そして、石原TPP担当大臣には、緒方委員が求めていることについてお答えをお願いいたします。

石原国務大臣 委員長に申し上げますけれども、私は答弁をしようとしておりました。それに対しまして、やじで答弁が封じられました。これの事実は、やはり、国民の皆さん方の前に本当のことをお話しする上で非常に重要なことだと思います。

 全く仮定のものを出して、それの中にあることがどうなのかということに対してどうかということの議論の上に積み立った議論に対しては、コメントできないというのが私の立場でございます。(発言する者あり)

西川委員長 緒方林太郎君に申し上げます。

 石原大臣は何度かお答えしておりますが、まだ御理解がいただけないようでありますれば、もう一度、望む答えが戻ってくるように御質問をお願いいたします。(発言する者あり)

緒方委員 何か今、何の書類だと聞いた人がいましたね。役所から来た紙ですよ。役所から正式に返ってきた紙ですよ。何をばかなことを言っているんですか。

 平成二十八年四月一日、内閣官房TPP政府対策本部から、西川委員長が出版するとされる書籍、TPPの真実への政府の関与についてという題で正式に返ってきているんです。

 そして、全部読みましょう。

 西川委員長が出版を検討しているとの報道は承知している。一般論として、国会議員から政府に対して資料要求、事実関係の確認があれば、適切に対応している。特定の議員に対して具体的にどのような資料提供等をしているかについてはお答えすることは差し控える。なお、ゲラのチェックという形で具体的に執筆に協力した職員は確認されなかった。

 我々は、この資料を出すときに、内閣官房の方々に、大臣まで決裁をとってやってくれ、そこまで言っているんです。この資料です。

 別にこれはゲラがどうだとか、そんなことを私は一つも聞いていないです。ただ、ゲラのチェックという形で具体的に執筆に協力した職員は確認されなかったと言っているんです。

 では、大臣にお伺いしましょう。

 この書類、四月一日、内閣官房TPP政府対策本部のこの書類、大臣、決裁されましたか。

石原国務大臣 急に白い紙をさっきから出されて、それが何なのかを確認することは、私はできておりません。

緒方委員 これはひどいですよ。我々が事前の勉強会でいろいろな資料を出してくれと。いろいろな資料を出しますと安倍総理大臣も言っていましたよ、要望には応えていろいろな資料を出してきましたと。その資料の一つですよ。その資料の存在すら否定して、わからないから答えようがないと。

 我々に出した資料は何だったんですか。我々に出した資料は、では、大臣も承知していないような、うそっぱちの資料ですか。

 大臣、お伺いいたします。

 この資料は、大臣、存じ上げませんか。我々は、大臣に決裁をとってくださいということまで言った上で資料を出してもらっているんです。大臣、いかがですか。

石原国務大臣 私の手元にあるものの中に、理事会でお示しされたこの委員会に提出するというもの、その中に紙がない以上は、そのものが何かということを正式に確認することはできませんので、お見せいただけませんか、それを。

緒方委員 澁谷審議官、この資料を提出されていますよね。大臣にきちっと渡して、ちゃんと説明してくださいよ。

 何でこんなことでもう三十三分も時間が過ぎているんですか。何度も何度も同じことを聞いていて、全然ポイントがずれた答弁ばかりをして時間をどんどん浪費する。本当にこれは審議妨害ですよ。

 大臣にもう一度お伺いします。

 これは内閣官房TPP政府対策本部が正式に我々に出してきた資料なんですね。その中に、ゲラのチェックという形で具体的に執筆に協力した職員は確認されなかったと言っているんです。

 ゲラの執筆に協力した職員は絶対にいない。そして、秘密書簡の義務に反するような情報を国会議員に漏えいしたような、そんな職員は絶対にいない。いるのであれば、大臣として責任をとるというところまで確約してくださいとさっきから何度も同じことを言っているんです。大臣。

石原国務大臣 ちょっとアンフェアだと思うんですね。というのは、何であるかがわからないもの、それが……(発言する者あり)

西川委員長 それでは、静かに聞いていただく、こういうお約束で、もう一度答えてもらいます。

石原国務大臣 私は、この厚い白いコピーが何であるかを確認する立場にありませんし、それに書いてあることが、政府が関与をしたかしないのかということもわかりません。

 私がわかっていることは、西川委員長が本を出されるということを承知しているかといえば、内閣府としては承知している。そして、委員が言うように、その中で、先ほど私は環境省への資料の要求の話をしましたけれども、そういうことがあることは通常ある。しかし、そういう中で、内閣府の人間がそういうことをやったということは確認できない。これと、この白い資料の話とは全く別の話ですから、私はそういうふうにお答えをさせていただいて、そういうふうに話をさせていただこうという前段のところで、聞いてない、聞いてないと言うから、話ができなくなっただけでございます。

緒方委員 私はゲラの話はもうしてない。ゲラの中身の話なんか一個もしてないです。

 この四月一日の資料を政府として出されて、その中に、ゲラのチェックという形で関与した職員は確認されなかったというふうに言っているんですね。だから、絶対にいなかったということを内閣官房をつかさどる大臣として確約してください。

 そして、もっと言うと、交渉中についても、秘密協定の義務に反するような情報漏えいをした職員は一切いなかった。いたのであれば、内閣官房のTPP政府対策本部を所掌する大臣として責任をとるというところまで、明確ですよ、この質問は。なぜこの質問に答えられないんですか。

 大臣、一発で明確にお答えください、石原大臣。

石原国務大臣 ゲラのチェックと、委員が示されたものがゲラかどうかであるということは、私は確認できません。(発言する者あり)

西川委員長 緒方林太郎君、石原TPP担当大臣が答弁しやすく、もう少し質問をわかりやすくやってください。

緒方委員 西川委員長、全くと言っていいほど公平性に欠ける議事運営ですよ。自分のことに関する話になると、委員長のその席から隠蔽に加担しているわけですよ。ひどいですよ、委員長。

 では、石原大臣にお伺いをいたします。

 四月一日に、大臣が長を務める内閣官房TPP政府対策本部からこういう紙が出てきた。澁谷審議官が後ろで持っておられますよ。澁谷審議官が政府全体の統一見解として出している、そういうペーパーの存在を否定されますか、石原大臣。

石原国務大臣 私は先ほどから全く否定もしておりませんし、ゲラをチェックしたのかと、そのゲラが確認できない以上は、そのゲラに対してコメントができないということを言っているのであって、そこのところはぜひ御理解をいただきたいと思います。(発言する者あり)

西川委員長 緒方林太郎君。(発言する者あり)

 緒方林太郎君に申し上げます。

 与党からの申し入れがありました。野党からは、時計をとめろ、こういう話がありますが、与党からの提案で、緒方林太郎君にもう一度質問をいただいて、石原TPP担当大臣に明快な答弁をお願いする。こういうことで、質問願います。

 緒方林太郎君。(発言する者あり)緒方林太郎君。(発言する者、退場する者あり)

 石原TPP担当大臣。

石原国務大臣 何度もお話をさせていただいておるのでございますが、西川さんが本を出されるという報道を前提に、内閣官房が調査をしたわけであります。今お示しされているもの、あの白いものがそのゲラであるかどうかが確認されない以上は、あの内容について内閣官房の人間が調査をしたかしないかというコメントはできないわけであります。

 内閣官房にゲラを協力した職員がいないのかという問い合わせは、あくまで報道ベースに乗って、その報道に対して、職員がいなかったということを今示されているペーパーの方は示している。

 私は、ですから、誠実に答えさせていただいているところでございます。

西川委員長 民進党・無所属クラブ所属委員が退席されました。

 御出席を要請いたしますので、しばらくお待ち願います。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

西川委員長 速記を起こしてください。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時三十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時二十七分開議

西川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 やむを得ず議事を進めます。

 質疑を続行いたします。丸山穂高君。

丸山委員 おおさか維新の会の丸山穂高でございます。

 国民の皆さんが今このTPPの議論に望んでいらっしゃるのは、あんな、あんな民進党の姿じゃないはずです。しっかりとTPPの議論をしていく、中身の議論をしてほしいと国民の皆さんが望んでいるにもかかわらず、民進党は、黒塗りの真っ黒でどうだ、委員長の本がどうだと。そんな中身じゃなくて、しっかりと中身の議論をしてほしいと国民の皆さんが思っているんですよ。

 その中で、自分たちの理由だけでこうやって審議拒否している、非常にこれはゆゆしき問題だと思います。

 そして、我々おおさか維新の会は、しっかりと審議していく、是々非々ではあります、しかし審議を拒否しない、議論していくという当たり前の、政治家として、国会議員として当たり前の姿をしっかり国民の皆さんに示していきたいと思います。

 そういった意味で、今回の審議拒否、非常にゆゆしき事態だと思います。

 この国会の不正常な状況を、審議の質疑を総理として受けられてきて、どのようにお感じになっているのか。まず率直に、総理、この国会の不正常な状況を、民進党の動きも含めて、お答えいただけますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今回の委員会で私ども政府に求められていることについては、TPPによって国民にどういう影響が出るのか、この委員会において皆様の質問に答える中において真摯な御説明をし、そして我々はそういう影響に対してどのような対応をしていくのか、しっかりと説明をしていく責任がある、このように思っております。

 我々は、この質疑を通じて国民の皆様に対する説明責任を果たしていきたい、こう思っている次第でございます。

丸山委員 私は、非常に恥ずかしく、国会議員の一人として恥ずかしく思います。一番若い男性の議員の一人なんですが、年配の先生方もいらっしゃる、大政治家もいらっしゃるような議員の方々が欠席されている。

 しかも、今回ずっと私はこの審議を聞いていました。その中で、例えば、甘利大臣と先方の米国のフロマン氏との会談の議事録を公表しろと民進党は迫っています。でも、民主党政権のときに、原発事故の原子力災害対策本部の議事録をつくらずに、公表もせず、自分たちがやったときのことは公表もせず、今、出せと言っている。あの尖閣諸島の中国漁船の衝突事故、覚えていらっしゃる方も多いと思います。そうした中で、資料も公開しなかったんですよ。しかも、あのとき、いろいろな配慮から、外交上も含めていろいろな配慮から公開するには否定的だった。それが、今、こんな状況です。

 甘利大臣に秘書の監督責任があると辞任を迫りながら、御自身の政調会長は、会見で、秘書の問題の可能性が高いと言っている。

 おかしな話なんですよ。自分たちのものは、今までのは棚に上げて、そして野党に下ったときだけ批判をする。それは国民の皆さんは見ていらっしゃると思います。

 しかし、逆に、これは今与党になられている自民党さんにも申し上げなければいけません。これは民進党もさんざん言っています。「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。 自民党」、そういうポスターを日本じゅうに張られている。そうした中で、今はTPPを推進されている。さらに、高鳥副大臣、TPPは平成の売国だ、そこまでおっしゃっているのに、今その推進の役職についていらっしゃる。

 でも、どちらにしろ、共通して言えるのは、野党のときは結局みんな相手側の足を引っ張りたいから反対で、そして与党になられたら現実路線で賛成されているんじゃないかと国民の方々は思われると思います。

 おおさか維新の会は野党です。野党ですが、しかし、現実的に考えて、このTPPは必要だと考えます。それは、与党になったときであっても通用する、そんな政策を前に打ち出していくべきだとおおさか維新の会は考えているからでございます。

 今回、民進党のように全部反対ではありません。しかしながら、政府のここはおかしいんじゃないか、もっとこうしてほしいというところは、我々は提案をしますし、改善を求めていきたいと思います。

 その一つが情報公開の部分です。

 これは何も、今、民進党さんが、あの黒塗りの部分、交渉の過程を出してくれという形で迫っている、また、西川委員長の御著書、これはゲラですかと、そういうのをやっている、そういう情報公開を求めるものではありません。

 これは一応確認なんですが、総理、外交の交渉過程を基本的にもしこの国会でオープンにしてしまったら、それは外国との信頼関係が損なわれてしまう、それはひいては国益が損なわれるという御答弁をされていますけれども、そのとおりですよね。

安倍内閣総理大臣 今までの外交交渉の過程については、これは相手国との関係もございます、そしてまた、交渉の過程の中において我々の戦術、交渉戦術も含まれておりますから、それを直ちに公表するということは、まさに相手国との関係を損ね、そしてまた我々の交渉戦術を明らかにし、それは国益を損なう、このように考えております。

 もちろん、そうした記録が、いわば外交文書等々として、国が備えているいわばメモあるいは記録等として一定の基準を満たし、それが公開するものとして一定の年数を経て公開されるということは当然あるわけでございますが、まだ、まさに各国がこれから批准をしようというときには、これはまさにこの協定が各国で批准され発効することに大きなマイナスになるし、また、今、日・EUのEPAも行っている中にあって、我々の手のうちをさらすことになっていくということになりますので、これは国益に合わない、このように考えております。

丸山委員 今総理が述べられたことが国際的にも常識であって、外交上の過程をつまびらかにするというのは明らかに国益を損なう可能性があるというのは、民進党さんも与党のときは同じような対応をされている、しかしそこを聞くという、それは私はおかしいと思います。

 だから、そこではなくて、本当に国民の皆さんが知りたいと思っているのは、交渉の過程ではなくて、このTPPが承認されたら我々の生活はどうなるんですか、どういう影響があるんですか、政府は推進するんだったらどういうメリットがあるんですか、その情報をもっと出してほしい、審議してほしいと思っていらっしゃる。だからこそ、その部分の審議をこれからしていきたいというふうに考えています。

 それで、総理、要望があります。

 というのは、フリップを持ってきたんですが、セルフで立てましたが、今申し上げた、TPP交渉によって、これが承認されたことによってどれだけ日本の国益になるのかというのを、この委員会でほとんど議論されていませんが、しかし、幾つか言われています。そして、今まで政府の方で出された資料を私も読ませていただきました。経済効果がどうこうというのも出されているんですけれども、その中で、大きく言うと、GDPが上がります、十三・六兆円上がります、そして雇用が七十九・五万人ふえますよというのは政府として出されているところです。

 でも、これは、国民の皆さんのお声を聞いていると、ここの資料にもかなり複雑な専門用語等も並べて書かれているんですけれども、複雑でわかりにくいんだと。わかりやすさにも欠けるし、もっと身近な、例えば自分のお給料がどれだけふえるのか、物価がどうなるのか、例えば何かの輸入品は価格が上がるけれども何かは下がるかもしれない、何かの分野は厳しくなるかもしれない、どういう分野で雇用が生まれていくのかとか、そんなもっと身近な情報をオープンにしてくださいというお声を数多く聞くんです。

 しかしながら、日本のこの分析を読み込んでみても、いわゆるマクロの分析で、今申し上げたミクロの、皆さんに身近なミクロの分析はなくて、残念ながらわかりにくくて、そして他国に比べても全然詳細じゃないと思います。

 他国でどういうTPPのを出されているかなというのを調べてきました。

 アメリカなんかは、国民目線でどういう影響があるのかというのをすごくわかりやすく説明されています。しかも、これがホームページでもアメリカは公開されているんですけれども、非常に細かく、わかりやすく、例えば、輸出関連の賃金は輸出以外の賃金より二割高いんですよ、TPPでお給料がアップしますよというアピールを国民向けにわかりやすく広報しています。例えば、貿易が十億ドルふえれば、それによって五千八百人も雇用がふえていく。本当に細かく数字化していく。さらには、カリフォルニアの地図がありますけれども、各地域ごとにどうかという分析までされています。

 一方で、オーストラリアはどうかといいますと、日本が今こういう状況なので、それを踏まえた上で、今後の動きについても分析すると、こうなりそうですと。例えば牛肉や米とか穀類、乳製品、そういう分野で日本への輸出の変化などに細かく言及しているような発表をされている。

 一方で、日本は、総理はGDPと雇用を強くおっしゃいますけれども、国民の声を聞くと、むしろもうちょっと細かいところまで、それはミクロの、国民にわかりやすい表現でそのメリットとか影響を明らかにしていただかないと実感が湧かないんだよねというお声が非常に多いと思うんです。

 この点について、まずどうお考えなのか。できればこういった他国の例を参考にしていただきながらも、しかし日本の独自性も出さないといけません。学者の方ならわかるんです、どういう分析かみたいな。そんな分析ではなくて、国民の皆さんがメリット、影響をわかりやすい、そんな広報を、今はされていませんけれども、しっかりとしていただきたいんですけれども、そのあたり、どのようにお考えになりますでしょうか。

石原国務大臣 総理の御感想はこの後いただくとして、実態についてどうなっているか、若干お時間をいただいて説明をさせていただきたいと思います。

 委員の御指摘はもうまさに、昨年の十二月の経済分析というものは、マクロの定量的な分析でございまして、これが成長にどういうふうなメカニズムを示すかと。ですから、委員が御指摘されたような個々のそういうものが欠落しているということは十分あるんだと思います、一面として。

 ですから、委員のお話を聞かせていただきますと、やはり国民生活というのは非常に多様であると。でありますから、マクロ経済分析のような単一的なものではなくて、その変化を評価する機械的なものではないはずだ、そういうものもあわせてしっかりと国民に示していくべきだというふうにお話を聞かせていただきました。

 ここに、千五百ページにわたります、今回お示しをさせていただいているTPPの資料があるんですけれども、そんな中の一部に、中小企業がTPPによってどういうふうに、参画するとどういうことになるのかといったような事例をもって説明しておりますけれども、まだまだ委員の御指摘のとおり不十分なところがございますので、公開させていただいておりますこの千五百ページの資料をもっとわかりやすく、ホームページ等々で、国民の皆様方に御理解をいただくように努めさせていただきたいと思っております。

安倍内閣総理大臣 ただいま石原大臣からも答弁をさせていただきましたが、この資料とは別に、私ども政府としても、地方経済産業局や農政局、あるいは税関、ジェトロ等に相談窓口を設置して、それにかかわる方々の相談に個々に応じていくこと、また、TPPをめぐる懸念や不安に関するQアンドAや、想定される具体的なメリット例、TPP協定の活用促進に関する資料をホームページに掲載するなどの対応を行っております。

 今、丸山委員が御指摘された点等についても、今後対応について検討していきたい、より丁寧な、身近な例、あるいは国民の皆様の気持ちに沿いながら説明に心がけていきたい、このように考えております。

丸山委員 まさに今石原大臣が膝元に抱えていらっしゃるこの千五百ページを、では国民の皆さんがごらんになるかといったら、やはりごらんになれないわけですよ。我々でも読み切るのは大変なわけで、そうした中で、やはりわかりやすく要約してまとめていくことがまず大事だと思います。そんな千五百ページのどこに中小企業の例がと言われても、どこやねんと皆さんは思わはると思いますし、そしてなおかつ、私も読ませていただいたんですけれども、中小企業の例も、急に飛ぶ感じがしているんですね。

 ほかの国の例を見ますと、しっかり分析を、その地域ごと、国ごとにわかりやすく順に並べた上で、詳細版がある。そしてなおかつ、国民の皆さん向けにわかりやすいサマリーが、具体的な例が挙げられてある。

 これが実は今、日本にはなくて他の国にはある広報のやり方だと思いますので、これはしっかり、今、やっていただける、前向きに検討するというお話がありましたので、遅きに失している感も私はあると思うんですけれども、しかし、やる、変えていくというのは大事だと思いますので、ぜひこれをやっていただきたいと思うんです。

 今回の分析、非常にいろいろな数字を並べて専門的にされているんですけれども、私は、この出し方も非常に誤解を招くんじゃないかなというふうに思います。それは順番の問題なんですけれども、今回政府が出された分析と対策は、発表順が逆なんじゃないかなと思うんです。

 それはどういうことかといいますと、十月五日、TPPが大筋合意されました。そして、それを踏まえて、十一月二十五日にこの対策と言える大綱を出されているんですね。そして、その後の、クリスマスイブですかね、十二月二十四日にその影響の分析を出されているんです。

 通常の順番を考えれば、これが決まりましたというのが出ましたら、その分析をして、この部分がまずいかもしれない、この部分が影響があるかもしれない、それを踏まえた上でこういう対策をやりますよというのを出されるのが順番であって、このやり方だと、TPPを結びました、さらにこんな対策をします、そうすると、それによって悪いところは消えてしまって、マイナスの影響は消えてしまって、結局、その対策をした部分まで入る。しかも、聞きますと、これはまだ通っていない法案の内容まで含まれて、それがなされた場合これだけの状況になりますよという分析なんですよ。

 それは順番が逆で、TPPを現状でもし結んだら、こんな影響があります、それはメリットが多いでしょう、しかしデメリットもあるかもしれません、それを踏まえた上で対策はこうしますと言ってくださらないと、マイナス面をごまかしているかのような受け取り方をされると思うんですね。このあたりをどのようにお考えになりますか。

森山国務大臣 丸山委員にお答えをいたします。

 今回の国内対策の検討に当たりましては、政策大綱の策定に先立ちまして、昨年の十一月四日、TPP合意の農林水産物への影響につきまして、国内価格や国際価格、輸入量などの客観的なデータをもとにして、品目ごとの影響を定性的に精査、分析をまずいたしました。各国の対日関税に関する交渉結果を整理、分析、公表させていただいたところであります。

 その上で、十一月二十五日に策定をいたしました政策大綱においては、説明会をやってまいりましたので、そこで寄せられた現場の声に耳を傾けつつ、こうした影響を緩和し、あるいは輸出拡大の好機と捉え、農林水産業の体質強化のための対策を講ずることとしたところであります。

 このように、政策大綱は、品目ごとの影響分析に基づき策定されたものであります。

 一方、農林水産物への影響試算は、現実に起こり得る影響を試算するものでありますから、TPP大筋合意の内容とそれへの政策の内容が明らかになって初めて行うことができるものであり、十二月二十四日に公表をさせていただいたということでございまして、我々としては順序が逆だというふうには思っておりません。

 なお、国内対策の策定に当たりましては、例えば対策に係る費用については、それぞれの対策の対象面積、地区の数、あるいは単価等の積算根拠を積み上げて検討することが重要であると考えております。このため、必ずしも、生産額減少見込みといった定量的な分析がなければ必要な国内対策が検討できないというものではないという考え方に基づいております。

 例えば、豚肉にいたしましても、交渉の経過がこうだったということをお示しして、結果分析をしっかりと示して、こういうことが考えられるのではないかということを精査いたしましたので、それぞれの養豚業者の方々は、このデータを見ていただければ、ああなるほど、そうなるのかなということはよくわかっていただけるという仕組みにはなっておりますので、御理解をいただきたいと思います。

丸山委員 今回、農水省が「農政新時代」という資料をまとめられて、ここに対策もいろいろ盛り込まれているんですけれども、しかし、追加で、今、自民党さんの方で、与党の方で、農林部会で小泉進次郎さんが部会長で、秋以降という形で新たな政策を盛り込んでいくというのも実はそこに入っていて、役所の説明では、まだ決まっていないんです、まだ決まっていない秋以降に盛り込むものもこの対策に入っていて、それができたらという結果も踏まえてこの影響の分析を出されている。

 今、大臣は逆じゃないとおっしゃいましたけれども、普通に聞いたら、逆ですね。そういうふうに思われてしまっても、私は仕方ないというふうに思うんです。

 では、逆にお伺いしたいんですけれども、私、アベノミクスは瀬戸際、大事なタイミングに今来ていると思います。

 先日、財務金融委員会で、日銀総裁と日銀短観の議論をさせていただきました。三月の日銀短観、非常に落ちていまして、景気が悪くなっていく局面にあるんじゃないかと言われ始めている。

 その状況で、実は先日、その議論の中で、スティグリッツ教授だとか、分析会合で、総理はいろいろな学者の方に御助言いただいていると思います。その中で、それらの学者の皆さん、金融政策はもうかなりやり切っている、そして財政政策をしっかりやってくれというお話が出ている。これは、いわゆるアベノミクス、もともとの三本の矢でいうと一つ目と二つ目だと思います。

 私、本当にこの国に今足りていない、そしてアベノミクスがなぜ今行き詰まりかけているのか、この三本目の矢の部分、ここが打ち出せていないじゃないかというのが我々おおさか維新の会の考え方ですし、これをしっかりやっていただきたいんですよ。

 この農業の分野も、まさしくTPPの分野も、その改革こそが実は大事で、その改革がなし遂げられたら、こういう分析になって、影響が出ますよという分析を既にされている。しかし、それは秋以降に決定が先送りされている。うがった見方かもしれませんが、参院選の後にそれを出すという形になっています。

 例えば、与党内でもいろいろな意見が出ていると聞いています。小泉進次郎部会長が、農林中金は要らないんじゃないかという抜本改革の話をされていますね。また、今議論に上がっていると言われています生乳の指定団体制度の見直し。今、生乳を売るときに、指定団体でしかまとめて売れないようになっている。また、株式会社の農地所有。今、一部、リースでは認めていらっしゃいますけれども、しかし、それをしっかり解禁していくことで農業の大規模化を図っていく。そうした部分の議論もされているという話ですが、しかし、これも秋以降に先送りじゃないかという話があるんです。

 どうして、アベノミクスの三本目の矢で、しかも安倍内閣が始まってもう三年半以上がたっている中で、こういった改革を前に進められないんでしょうか。そして、これらが前に進まなければ、今政府が望んでいるTPPの効果、影響分析の効果というのは得られないというのが政府の見解でありますし、しっかりやっていただかなきゃいけないんですよ。

 どうしてやれると言えないんですか。アベノミクスが始まってもう三年半以上たっているんですよ。大臣、いかがでしょうか。

森山国務大臣 検討中の十二項目につきましては、秋以降ということではありません。秋を目途にきちっとした結論を出させていただきたいと思っておりますし、そこの目標に向かって小泉部会長を初め皆さんが御努力をいただいている、与党の皆さんが御努力をいただいていることは御承知をいただきたいと考えております。

 農林中金の件でありますが、先生御承知のとおり、農林中金は、農協等の全国組織の金融機関であり、単位農協や都道府県の信連との役割分担のもとに金融業務を行っているわけであります。

 農林中金の農業融資が少ない背景には、こうした農協あるいは信連、農林中金の役割分担がありますので、農業向け融資が、農協が主体となって行われてきたということが考えられると思います。また、農林中金は、農協等の余裕金を効率的に運用し、その収益を農協等に還元するという機能を有していることも考慮する必要があると思います。

 このような中で、農協改革に関する平成二十六年六月の与党取りまとめでは、農林中金は、豊富な資金を農業、食品産業の発展に資するように全農等とも連携して積極的に活用することとされてきておりまして、今、これを受けて、農林中金は、他の民間企業と連携をした輸出促進や担い手への経営サポートなどに取り組んでいただいていると承知をしております。

 政府といたしましては、農林中金が目的を十分に果たし、農林中金が農業の成長産業化を支援する役割をしっかり果たしていただけるように指導してまいりたいと、農林中金の問題については考えております。

 それから、今、規制改革会議の農業ワーキング・グループにおきまして、指定団体とそれ以外の取引を生産者が選択できるように、補給金を含めたイコールフッティングを前提とした競争条件を整備するため、現行の指定団体制度を廃止するという意見が取りまとめられたことは承知をしております。

 ただ、指定団体制度がなぜできてきたのかという時代背景を考えますときに、やはり、生乳というのは非常に特殊なものでありますし、まず、毎日毎日生産をして搾らなければなりませんし、それを衛生的にどう短期間に処理するかというところも大事なことでございます。

 できるだけ酪農家は飲用乳として売りたいんですけれども、そこだけではなかなか消費ができない、時期的なものもありますので。その余るものを乳製品の加工用に回してバランスをとるということを仕組みとして行われているわけであります。

 ただ、酪農家は、できたら飲用乳として売りたい、できたら加工用には向けたくない、金額が違いますので。しかし、それではなかなか全量を処理するということができませんので、この制度があり、補給金の制度があるわけです。

 この制度の難しいところは、どの酪農家も補給金はもらいたくないわけです、できるだけ飲用で売りたいわけです。ここが非常に仕組みの難しいところですので、ここはしっかり、指定団体制度が果たしている役割をしっかり考えながら、いかに競争力が出るかという視点も考えて、制度を検討してまいりたいというふうに考えております。

丸山委員 大臣、最初は下をごらんになって原稿を読んでいらっしゃったんですけれども、途中から御自身の思いを込められてお話しされました。本当は、このTPPの議論で、原稿を読んでいただくんじゃなくて、各大臣がその思いを、実際に作業をされている、農作業をされている方々に、酪農されている方々に訴えるようにやはり議論していくのが本来の場であります。

 もっと議論をしたいんですけれども、どこかの党がいなくなった関係でうちの党の時間が短くなっちゃいまして、引き続き、まだまだ時間があるのでやっていきたいんですけれども、最後、これだけは聞いておきたいのは、著作権の非親告罪化の話だけ聞いておきたいと思います。

 私も、漫画とかアニメとかが大好きで、コミケとかに行って同人誌を見たりします。

 そうした中で、そうした同人誌の文化というものがなくなってしまうんじゃないかと今危惧されている。このTPPで著作権が非親告罪化されてしまったら、そういった同人誌、ある作品をそのままコピーするんじゃなくて加工して、同じ題材ですけれども中身を変えてつくった同人誌が訴えられてしまうんじゃないか、そういう危惧をする声があります。

 これは、今回の交渉で、違うんだというふうに政府はしっかり言っていけると思うんですけれども、今この場で、総理から、違うんだ、それはなぜ違うのかということを最後にお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 大変重要な点について御指摘をいただいたと思います。

 TPP協定の締結に伴い、著作権等侵害罪の一部については、権利者の告訴なしに起訴できる、非親告罪とすることとしています。

 その範囲については、協定締結に伴う著作権法の改正案において、パロディーなどの二次創作活動が萎縮しないよう、対価を得たり権利者の利益を害することを目的とすること、原作のまま譲渡等を行うこと、権利者の利益が不当に害されることの全ての要件を満たした場合に限り、非親告罪とすることとしています。

 御指摘のように、コミックマーケットにおける同人誌等の二次創作活動は、一般的には、原作のまま著作物等を用いるものではないこと、そして、市場において原作と競合せず、権利者の利益を不当に害するものではないことから、非親告罪とはならないと考えております。

丸山委員 時間が来ましたので終わりますが、我々この委員会の委員の使命は、しっかりと議論する、そのことに尽きると思いますので、これからもしっかりやっていくことを国民の皆さんにお約束して、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

西川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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