衆議院

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第6号 平成28年4月18日(月曜日)

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平成二十八年四月十八日(月曜日)

    午前八時五十六分開議

 出席委員

   委員長 西川 公也君

   理事 笹川 博義君 理事 菅原 一秀君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 福井  照君

   理事 吉川 貴盛君 理事 柿沢 未途君

   理事 近藤 洋介君 理事 上田  勇君

      青山 周平君    井野 俊郎君

      井上 貴博君    岩田 和親君

      小倉 將信君    勝沼 栄明君

      神山 佐市君    北村 誠吾君

      工藤 彰三君    小島 敏文君

      國場幸之助君    関  芳弘君

      薗浦健太郎君    田中 英之君

      田中 良生君    田畑 裕明君

      寺田  稔君    中川 郁子君

      橋本  岳君    福山  守君

      古川  康君    前川  恵君

      御法川信英君    宮川 典子君

      務台 俊介君    渡辺 孝一君

      緒方林太郎君    大西 健介君

      岸本 周平君    黒岩 宇洋君

      小山 展弘君    篠原  孝君

      玉木雄一郎君    福島 伸享君

      升田世喜男君    村岡 敏英君

      稲津  久君    岡本 三成君

      中川 康洋君    笠井  亮君

      畠山 和也君    下地 幹郎君

      丸山 穂高君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣         岩城 光英君

   文部科学大臣       馳   浩君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   農林水産大臣       森山  裕君

   経済産業大臣       林  幹雄君

   環境大臣         丸川 珠代君

   国務大臣         河野 太郎君

   国務大臣         石原 伸晃君

   外務副大臣        木原 誠二君

   外務副大臣        武藤 容治君

   農林水産副大臣      齋藤  健君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  小野 功雄君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           稲山 博司君

   政府参考人

   (総務省情報公開・個人情報保護審査会事務局長)  山内 達矢君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    林  眞琴君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         佐藤 速水君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            末松 広行君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 柄澤  彰君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            片瀬 裕文君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  森  昌文君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤田 耕三君

   政府参考人

   (気象庁長官)      橋田 俊彦君

   政府参考人

   (気象庁地震火山部長)  上垣内 修君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事長)        上西 郁夫君

   衆議院調査局環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別調査室長      辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     神山 佐市君

  武井 俊輔君     國場幸之助君

  武部  新君     工藤 彰三君

  橋本  岳君     田中 英之君

  原田 義昭君     薗浦健太郎君

  玉木雄一郎君     大西 健介君

  福島 伸享君     小山 展弘君

  丸山 穂高君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     小倉 將信君

  工藤 彰三君     武部  新君

  國場幸之助君     岩田 和親君

  薗浦健太郎君     原田 義昭君

  田中 英之君     田畑 裕明君

  大西 健介君     玉木雄一郎君

  小山 展弘君     福島 伸享君

  下地 幹郎君     丸山 穂高君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     武井 俊輔君

  小倉 將信君     青山 周平君

  田畑 裕明君     橋本  岳君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     小田原 潔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件(条約第八号)

 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第四七号)


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     ――――◇―――――

西川委員長 これより会議を開きます。

 この際、一言申し上げます。

 去る八日の委員会におきまして、円滑なる運営ができなかったことは、委員長として遺憾であります。

 今回の事態を受けとめ、なお一層、委員会質疑の公正円満な運営に努めてまいるとともに、質問に対する答弁が正確でないときは、委員長からしっかりと答弁者に促してまいります。

     ――――◇―――――

西川委員長 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの熊本県熊本地方を震源とする地震による被害でお亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。

 また、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員の御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

西川委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

西川委員長 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び内閣提出、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案件審査のため、本日、参考人として独立行政法人都市再生機構理事長上西郁夫君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣参事官小野功雄君、内閣官房内閣審議官澁谷和久君、総務省大臣官房総括審議官稲山博司君、総務省情報公開・個人情報保護審査会事務局長山内達矢君、法務省刑事局長林眞琴君、農林水産省大臣官房総括審議官佐藤速水君、農林水産省大臣官房総括審議官大澤誠君、農林水産省農村振興局長末松広行君、農林水産省政策統括官柄澤彰君、経済産業省通商政策局長片瀬裕文君、経済産業省製造産業局長糟谷敏秀君、国土交通省道路局長森昌文君、国土交通省鉄道局長藤田耕三君、気象庁長官橋田俊彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。緒方林太郎君。

緒方委員 民進党、緒方林太郎でございます。

 今回の熊本、大分での地震は、九州に住む者としては本当に驚天動地とも言える事態でありました。被災された全ての方にお見舞いを申し上げたいと思います。また、亡くなった方には哀悼の念を申し上げたいというふうに思います。

 我々は、こういうときに、この特別委員会でのTPPの審議をしている状態ではないというふうに思っております。恐らく、NHK中継においても、我々の審議の映像の脇には絶え間なく熊本、大分での災害の情報が流れているんだろうと思います。それが今の現実であります。

 私も、地元が福岡県でありまして、週末地元に戻りましたが、かなり揺れました。被災地から百五十キロ以上離れている地元北九州市でも、まだ雰囲気は落ちつかないというのが正直なところです。週末、何度も私も夜起こされました。

 実は、私の本籍地というのは、現在の熊本市南区、合併前は下益城郡城南町でありまして、今回の被災地のかなり真ん中に近いところであります。自分自身のルーツとも言える場所でありまして、本籍地には現在でも父が住んでおります。

 今回の発災で家屋はかなり傷んでおりまして、次に大きな地震が起こったら持ちこたえられるかどうかがもうわからない状態であるというふうにも言っておりました。現在、父は、そういう家屋の中、トタン屋根の下で、夜は寝袋にくるまって寝ております。家の中は、サッシも玄関も、家が少し傾いているんだろうと思いますが、全く開かない状態ということであります。

 私の本籍地の地域は、電気は復旧したようでありますが、水はまだ戻ってこないため、古い井戸からペットボトルで水をくみ上げて、安全性が確認されない状態であるにもかかわらず、その水で食事や洗顔等々を行っている状態です。そのほかにも、他の親族でも、家に帰ることができないという親族もございます。さらには、これは若干私的なことになりますけれども、先祖の墓も今回の震災で倒れてしまっております。

 しかし、それでももっと苦しんでいる方というのはおられるわけでありまして、我々としても、岡田代表をトップとする対策会議を開催し、熊本県選出の松野頼久議員とも連携をとりながら、最大限の対応をしていく所存であります。近々提言も出しますので、政府の方にはしかと受けとめていただければと思います。

 けさ行われました国会対策委員長会談におきまして、我々は、今TPPの審議を行うべきではなくて、発災後四日目の時点では、総理、さらには河野防災担当大臣を初めとする関係大臣には陣頭指揮をとっていただきたいというふうに本当に心から思っております。四十二名の方が亡くなり、また、二十万人強の避難者の方がおられる中、体制強化を行った上で、万全の体制をつくることが今急務であるというふうに思います。

 仮に国会審議を行うとしても、我々としては、災害対策の予算委員会集中審議をすべきだと主張してまいりました。これが正直な国民の声であろうというふうに私は思います。本来、TPPについては、もっと落ちついた環境でやるべきでありまして、今のようなタイミングでの審議は望ましくないと思います。

 しかし、与党側からは、国会対策委員長会談におきまして、この審議をさせてほしいとの強い要望がありました。国対委員長会談では、TPPの議論を一歩でも先に進めたいという総理の強い御意向があるというふうに話があったそうであります。さらに、金曜の時点でも、安倍総理は委員会でTPPの審議をやりたいと強く主張していたというふうにも聞いております。

 我々としては、きょうは扱うテーマが違うのではないかというふうに思います。しかしながら、国民への責任を果たすために、審議拒否をすることはいたしません。本件の震災の対応については与党も野党もないというふうに思います。この機会にやるべきは災害対策についての議論だと思いますので、きょうは災害対策で質問をさせていただきたいと思います。建設的にやっていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 なお、審議の途中、離席とか、頻繁に、どうしても大事が起こったときというのは、この委員会については中断することも含めて御検討いただければというふうに思います。

 まず、安倍総理大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 なぜこのタイミングでTPPの議論を一歩でも先に進めたいという強い意向を持ってこの委員会を開こうとしておられるのか、国民、特に被災者の方々は疑問に思っているというふうに思います。今、これだけ多くの大臣の方を委員会に出席いただいてこの委員会を開くことの意義について、私にではなくて、被災者、そして国民の皆様方に説明をいただければと思います。安倍総理大臣。

安倍内閣総理大臣 このたびの地震により、現時点で四十二名の方がお亡くなりになり、千名を超える方々が負傷されるなど、極めて甚大な被害が発生しています。亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された方々に対し、心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 発災以来、自衛隊、そして警察、消防、また医療部隊の皆様が昼夜を分かたず救助救命活動に従事をし、本当に懸命な努力をしていただいております。現在もそうであります。しかしながら、いまだに行方不明の方々がいらっしゃいます。さらに救命救助、人命を第一に全力を尽くしていきたい、こう考えております。

 そしてまた、避難所等で大変不安な時を過ごしておられる方々がおられます。水や食料、医療の提供等を初め、生活物資、生活をしていく上での支援をさらにしっかりと続けていきたいと思いますし、また、そのために被災者生活支援チームを結成したところでございます。

 そして、その中で、本日のこの委員会でございますが、委員会につきましては議会にお任せをしているところでございます。

 TPPの協定及び関連法案につきましては、我々も重要と考えております。どのような案件についてどのように議論していくかということについては、まさに国会においてお決めをいただき、そして、私たちはその中で、国会において政府として説明責任を果たしていきたい、こう考えているところでございます。

緒方委員 国対委員長会談で我々が聞いている話とは全く異なります。我々の方から延期、そして、総理、河野大臣を初めとする閣僚の皆様方に現在の状況に専念をしてほしいということをお伝えしたところ、総理の強い意向、このTPPの議論を一歩でも前に進めたいという意向があるということでお話がありました。

 本当に、我々としては、この委員会を、今こういう落ちつかない状況でTPPの審議をすることについては、今でも疑問を持っているということは申し上げさせていただきたいと思います。

 それでは、災害対策の質問に入っていきたいと思います。

 現在、金曜の時点から断続的に地震の状況が続いております。

 気象庁にお伺いをいたしたいと思います。

 現在の地震の状況をどのように判断しておられますでしょうか。終息していると判断しているのか、それとも、今後の連鎖していく可能性について、これらのことについてどう御判断しておられますでしょうか。気象庁。

橋田政府参考人 ただいまお尋ねがありました地震についてお答えいたします。

 四月十四日二十一時二十六分ごろに、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード六・五の地震が発生しました。最大震度七を観測しました。その後、地震活動は徐々に低下しておりましたが、十六日の午前一時二十五分にはマグニチュード七・三の地震が発生し、最大震度六強を観測いたしました。その後、地震の活動域は、熊本地方にとどまらず、その北東方向の阿蘇地方や大分県中部地方に拡大しているという状況でございます。

 これらの地域全体で、十四日の地震以来、本日の朝七時までの震度一以上の地震につきましては五百十一回に上っておりまして、非常に活発な地震活動が続いているという認識を持っております。

 今後の見通しにつきましては、地震活動を予測することは非常に難しいわけでございます。これまで、内陸におきまして同程度の地震が発生した、この地震に関する経験等も踏まえまして、気象庁では、今後少なくとも一週間程度は強い揺れをもたらす地震活動に警戒が必要ということを呼びかけているところでございます。

 以上でございます。

緒方委員 今後少なくとも一週間については要注意だということでありました。

 本当に被災地の皆様方には心身ともに大きな負担がかかっていることだというふうに思います。政府としても一丸となって、本当はこの委員会を開くことなく、一丸となって今対策を講じていただきたいということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。

 発災から四日が過ぎまして、現在まだ激甚災害指定が行われておりません。我々が見る限り、どう考えてもこれは激甚災害として指定をすべき事例ではないかと思いますが、激甚災害指定がおくれている事情はいかなるものでございますでしょうか。河野大臣。

河野国務大臣 激甚災害指定は、復旧に要する費用が一定の標準税収入の割合を超えた場合に指定をされることになりますので、特におくれているとは思っておりません。

 今、関係の自治体には、なるべく早く復旧の見通しの査定を出していただくようにお願いをしているところでございますが、今はまだ、避難所への食料あるいは水の持ち込みその他、自治体もいろいろと手が回らないと思いますので、なるべく早く出していただければと思っておりますが、まずやらなければいけないことを先にやりたいと思います。

緒方委員 県からも要請が来ておりますし、各自治体、今そういうものを算定するだけの人的なゆとりもないわけでありまして、早急にやっていただければというふうに思います。

 この件は、三・一一のときの例を出すことはいたしませんけれども、早急に必要なことだと思いますので、河野大臣、もう一度、早急にやるという強い意思を示していただければと思います。

河野国務大臣 国の各省にも査定をするように命じて、作業は進んでおりますので、できるだけ早くこれはやりたいと思います。

緒方委員 総理、激甚災害指定、すぐにやっていただければと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 激甚災害指定につきましては、先ほど河野大臣から答弁をさせていただきましたが、一定の水準に達するという法律的な要件がございます。その中において、我々はしっかりと作業を進めて、この状況でございますから、激甚災害指定の方向に向けて決定をしていきたい、こう考えておりますが、この決定が例えばきょう、あす、あさってということになったとしても、実際の災害支援にはこれは何のかかわりもないことでございまして、今後のいわば復旧復興に向けてしっかりと我々国が支援をしていくということについては全く変わりがないわけでありまして、その方針は変わっていないということでございます。

 いわば、それが、今申し上げましたように……(発言する者あり)済みません、大切な議論をしているんですから、やじはやめてくださいよ、こういうときは。よろしいですか。

 つまり、激甚災害指定というのは、先ほど河野大臣が申し上げたように、事務的に数字を積み上げていかなければ法律的にできないわけでございます。それを今まさに一生懸命やっているわけであります。

 同時に、今私たちが直ちにやらなければいけないことは、現在の救命救助対応でありますし、困難な中で生活をしておられる避難者の皆さんに対する対応でございます。これを第一にするわけであります。

 その上で、復旧復興に向かっていって、さらに費用がかかっていく中において、国がちゃんと負担をしていく。これは、先ほど申し上げましたように、その方向でいくということは間違いないわけであります。

 今、激甚災害に指定するということを正式に言うことは法律上言えないわけでありますから、こういう形の答弁にしかなりませんが、それについては、私はどうか御安心をしていただきたいということは申し上げておきたいと思います。自治体の皆さんにも御安心をしていただきたいし、また被災者の皆さんにも御安心をしていただきたいと思います。

 しかし、まず第一にやらなければいけないことは、現在行っている救命救助活動であり、そして避難生活を送っておられる方々の生活状況の改善ではないか、このように思っております。

緒方委員 各自治体の首長の皆様方も安心してこれからさまざまな措置を打っていくときに、激甚災害指定というのはとても重要なものでありまして、いち早く安心感を与えていただけるようによろしくお願いを申し上げます。

 今総理の方からもありましたが、救命救助につきましては、現在、消防、警察、自衛隊等の実動部隊にとても頑張っていただいていることは、一国民としても心から誇りに思うところであります。そんな中、やはり気になるのは、人員の逐次投入になるようなおくれをとることがあってはいけないと思います。

 防衛省にお伺いをいたしたいと思います。

 自衛隊にはこれまで時系列的にどのように下令をしているのか、御答弁いただければと思います。防衛省。

若宮副大臣 お答えさせていただきます。

 まず、今回の地震で亡くなられた皆様方の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、被災された皆様方には心よりお見舞いを申し上げたく存じます。

 その上で、今、緒方委員から御質問いただきました。

 発災以降、マスコミのテレビとか新聞でも御存じのとおりだと思いますが、安倍総理の強いリーダーシップのもと、私ども防衛省・自衛隊といたしましても、関係省庁や被災自治体と緊密に連絡をとりながら、総力を挙げて災害の対応に全力を尽くしているところでございます。

 四月の十七日、きのうまででございますが、災統合派遣部隊の人員約二万人への増強を完了いたしたところでございまして、各種の車両、また航空機及び艦艇を最大限運用いたしまして、人命救助活動や被災者への生活支援、これは物資輸送、それから給食、給水、入浴、あるいは医療支援でございますが、当たっているところでございます。

 さらに、生活支援活動に当たるために、地元の第八師団に登録をいたしております即応予備自衛官、これは最大三百名を招集いたしまして、十七日、きのうでございますが、安倍総理からの御承認をいただきました。

 主として被災された方々への生活支援活動を行う部隊でございますけれども、活動に従事していただく予定でございますが、これは地元に非常に精通した方々ということで、委員御自身も熊本のお生まれというふうに今おっしゃっておられましたけれども、やはり地元のことは地元に一番詳しい方のサポートがあることがまさに心強いものかと思っておりますので、こういった決定をさせていただいたような次第でございます。

 また、防衛省・自衛隊の全体の態勢につきましてでございますが、二万六千人まで増強することといたしておりまして、また、在日米軍の輸送機等も活用しながら、可能な限り早急にこれを達成してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 また、人命救助活動につきましては引き続き全力を挙げておりまして、例えばでございますが、昨日十七日には、阿蘇市、南阿蘇村におきまして、倒壊家屋、崖崩れ地域を含みます要救助者捜索を実施いたしまして、南阿蘇村等の倒壊家屋から四名の方の人命の救助を実施することができました。また、あわせて熊本市民病院等への患者輸送も実施をさせていただいたところでございます。

 また、現地からの高いニーズがあります被災者への生活支援でございますが、被災地各地におきまして、毛布や飲料水の物資の輸送、また、天幕の支援、それから、先ほども申し上げましたけれども、やはり食事と水というのはなくてはならないものでございますので、給食、給水。そしてまた、日がたってまいりますと、やはり入浴でございますね、お風呂の準備も防衛省でも準備をいたして対応させていただいております。

 さらに、病気をされる方、あるいはけがをされる方、さまざまなニーズがございますので、医療の体制につきましても支援に全力を挙げているところでございます。

 これも十七日には、特に現地のニーズに対応しまして、熊本県北部に約千名を投入いたしまして、新たな給水支援場所を四カ所設定いたしまして活動しているようなところでございます。

 委員の御実家もというふうにお話ございましたけれども、多数の家屋の倒壊、また、インフラの途絶がかなり厳しい状況というふうにも聞いております。多くの方が避難生活を余儀なくされていることから、引き続き、関係省庁と緊密な連携をとりまして、また、被災自治体との連携をしつつ、必要な物資の輸送、供給、あわせて、被災自治体のニーズ、被災者の方々のニーズに合った効果的な、かつ機動的な、迅速な全省庁挙げての対応、生活支援活動を実施してまいりたい、このように考えているところでございます。

緒方委員 報道では、米軍からの支援を要請するという話もございましたが、まず、自衛隊の態勢をさらに増強した上で、できることを全てやるということがとても重要ではないかというふうに思います。

 今、二万六千人という話がございましたが、今後の事態の推移に応じてさらに増強するという可能性について、いかがでございますでしょうか、防衛省。

若宮副大臣 先ほどもちょっと申し上げたんですが、やはり通常の、本来の国防の任務というのもございます。一カ所から大量にというわけにもどうもまいりませんものですから、もちろん近傍の地域からの多数の支援部隊が投入されているわけでございますけれども、最終的には東北方面あるいは北海道からも部隊が応援隊として参る状態でございますので、少々お時間がかかるのはやむを得ないところでございますが、できるだけ早く、総理の強い指導のもと、できることは全てやる、可能な限り迅速に行うということを念頭に、最善を尽くしてまいりたいと思っております。

緒方委員 東日本大震災の際の教訓といたしまして、消防、警察、自衛隊等の連携がとても重要であるということでございます。災害が広範にわたりまして、情報が細分化され、そして情報が限定的になる中、これらの消防、警察、自衛隊等の連携について、今どのように行われておりますでしょうか。河野大臣。

河野国務大臣 今、阿蘇と宇土に合同調整所を設けまして、三つの機関の調整をやっております。また、南阿蘇その他、捜索活動の場合には、地域割りをして、それぞれの機関に担当してやっていただいているところでございます。

緒方委員 ぜひこの件、よろしくお願いをいたします。

 質問を移したいと思います。

 災害医療につきましては、医療機関が被災をしたということもありまして、災害派遣医療チーム、DMATが派遣されたりもしておりますが、東日本大震災の教訓では、慢性疾患への対応とか、想定よりも長い期間の活動が必要になることが判明をいたしております。また、さまざまな機関の引き継ぎが十分でないというケースもございました。

 これらについて、経験を踏まえたきめ細やかな対策をとっていくべきだと思いますが、これは塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 おっしゃるように、災害医療は大変重要な作業でございますが、今お話がございましたように、災害の際に、もちろん既存の病院が機能していれば、それはそれでいいわけでありますが、今回も、実は十ほどの病院が崩壊の危機にさらされました。昨日までにほとんどの患者の皆様方は他の病院に移送をいたしまして、きょう、まだ一つだけ残っておりますが、大半は移送ができているということでございます。

 今お話ありましたように、緊急的には、まず、こういった既存の医療機関に加えて、DMATを昨日の夜段階で百五十七チーム派遣しておりまして、これは自衛隊機も使って、千歳基地、それから松島基地、仙台ですね、それから入間、埼玉の方からも、一昨日移動してもらいまして、今百五十七チームが展開をし、まだ二百九十四チームが全国で派遣できるようにしております。

 今お話しのように、危機の最初の段階を通り越した際にどういうことが必要になってくるかと申し上げると、DMATは基本的には外科の先生が多いわけでありますけれども、医師会が持っておりますJMAT、それから全日病が持っておりますAMATとか、それから災害支援ナースなども、この二つのチームは内科医が中心でありますけれども、今もう既に活動を始めております。

 もう一つ大事なことは心のケアということで、DPATにつきましても、既に十三隊が活動を始めておりまして、全国で今十二隊が控えていただいているということで、万全を期して医療に当たっていこうというふうに思っております。

緒方委員 現場で頑張っておられる皆様方に、本当に、厚生労働省として、そして政府全体として、力強くサポートをいただけるようお願いを申し上げたいと思います。

 そして、今、医療の話でもう一つございますのは、広域の医療搬送を積極的に行うことで被災地の医療機関の業務軽減を行うべきであると考えます。

 避難所での医療従事者に、これは東日本大震災のときの教訓でありますが、必ずしも広域医療搬送の考え方が徹底されていなかったということがありましたが、広域での医療搬送の可能性について、塩崎厚生労働大臣、いかがお考えでしょうか。

塩崎国務大臣 今お話がございました広域搬送につきましては、広域搬送拠点臨時医療施設というようなものも用意をしておりますが、既に、今申し上げた崩壊寸前というところの患者さんにつきましては、例えば日赤、済生会に重症の方は移っていただいて、その済生会、日赤におられる方で軽症の方は県外に既に移っていただいております。

 それから、先ほどちょっと申し上げられませんでしたが、人工透析。実は、今、断水をしているところが二十万軒以上ございます。ピークは四十万軒いっておりましたが、今は二十万軒ということで、この人工透析につきましても、広域で支援をしていただけるように、今ネットワークを張っているところでございます。

 いずれにせよ、もう既に広域搬送は行っているわけでございますが、なお、今、もう既に現場は野戦病院化しているところもございますし、それから、医療関係者、特に看護師さんたちは大変疲労こんぱいをしているので、全国からの応援というものも、四病協、そしてまた日本看護協会、もちろん日本医師会、そういったところに協力を要請して、広域搬送につきましても万全を期していけるように協力体制を組んでいるところでございます。

緒方委員 よろしくお願いを申し上げます。急ぐケースもあると思いますし、先ほど人工透析の話もございました。時間との勝負のところもありますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、質問を移していきたいと思います。

 現在、道路が寸断をされ、移動がままならない状況であります。九州自動車道は植木のインターから八代のインターまでが通行どめ。九州新幹線もとまっております。こういった道路が寸断されている状態をいかに復旧していくのか、さらには鉄道の復旧、いずれも交通網、そしてライフラインをつなぐために大きな課題であると思いますが、現状の認識、そして今後の見通し、対策について、いかがでございますでしょうか。それぞれ、道路局、鉄道局、答弁いただければと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 本日六時現在の取りまとめでまいりますと、通行どめになっておりますところが、高速道路につきましては、今御指摘のありました九州道を含めまして、盛り土の崩壊が起こっていたり、あるいは高速道路の上にかかっている橋がそのまま落ちてしまう、跨道橋が落橋しているという場所がございまして、三路線百七キロが通行どめになっております。

 一番最大時では五百九十九キロが通行どめになっておりましたので、それからすればかなりの部分が復旧してきたということではございますが、いまだに大規模な災害が起こっているところについては通行どめとさせていただいているというところでございます。

 国道につきましては、テレビ画面でもよく出ておりますが、南阿蘇村の大規模な土砂崩落等を含めまして、九路線十九カ所、県道、市道につきましては、熊本県を中心といたしまして百十四カ所の通行どめがまだ起こっているということでございます。

 復旧状況につきましてですが、高速道路につきまして、それぞれの被災箇所につきまして、余震の続く中、今、実際、余り大きな機械を現場には持ち込むことができません。地震がやってきますとクレーンが倒れたりというようなことも起こりますので、余震が続く中ではございますが、復旧工事を全面的に始めさせていただいているところでございます。

 それ以外の部分につきましても、現在、自治体と連携、役割分担を図りながら、国土交通省の各地方組織より派遣しておりますTEC―FORCEという専門家による調査あるいは工事、そして、各自治体に情報収集あるいは復旧のアドバイスを行いますリエゾンという各メンバーの働き、派遣によりまして、早期復旧に向けまして取り組んでいるところでございます。

 いずれにしましても、こういう広域幹線道路は救急救命あるいは緊急物資の円滑な輸送に極めて重要な役割を果たす施設でございます。一日も早く復旧してまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

藤田政府参考人 鉄道の状況についてお答え申し上げます。

 これも本日六時現在の状況でございますけれども、九州新幹線につきましては、新玉名駅―新八代駅間で、高架橋の亀裂二十五カ所以上、防音壁の落下八十カ所程度が確認されております。それから、熊本駅―新八代駅におきましても施設の損傷が確認されております。さらに、熊本駅の南側で回送列車が脱線をしておりまして、その車両が現地に残っておりますとともに、軌道等の損傷が発生をしております。こうしたことから九州新幹線全線が運休してございます。

 復旧作業は余震の状況を見ながらということになりますけれども、現在、高架構造物あるいは軌道、電気設備等の点検を実施しておりまして、脱線車両の撤去作業は、余震の状況にもよりますけれども、本日着手予定でございます。現段階では、まだ復旧見込みの具体的なめどが立っていないという状況でございます。

 それから、新幹線以外、JRの在来線の豊肥線、鹿児島線、あるいはその他の民営鉄道等の南阿蘇鉄道、熊本電気鉄道、熊本市交通局、こういったところでも軌道の損傷等が生じておりまして、特に豊肥線の立野駅―赤水駅間では、大規模な土砂崩壊によりまして線路の流失が確認されております。こうしたものを含めまして、現在、JR在来線四路線、それからその他の鉄軌道四路線の全部または一部で運休中でございます。

 このうち、鹿児島線の荒尾―熊本間につきましては、点検終了後、早ければ本日午後に復旧する見込みでございます。その他の路線につきましても、状況に応じて被害の確認あるいは復旧作業に取り組んでいるところでございます。

 国交省としましては、二次災害に注意しながら復旧作業が進められるように、必要な協力をしてまいりたいと考えております。

緒方委員 よろしくお願いいたします。

 昨日の西日本新聞では、水、食料が足らないとか紙おむつが足らないと、悲痛な叫びが掲載をされておりました。他の新聞でも多くの悲鳴の声が上がっておりました。私の父も似たような状況にございます。現在、物資が十分に行き渡っていない地域、避難所というのがまだまだございます。

 東日本大震災の際は、自治体機能の低下ということもあり、物資の滞りが生じたということもございました。緊急輸送を円滑に行うこと、さらにはマッチング、例えばアトピーのお子さんへのミルクの供給とかアレルギーのある方への対応とか、そういったこともとても重要になってまいります。

 これらの供給体制について、現在どのようになっておられますでしょうか。河野大臣。

河野国務大臣 当初、自治体から要請のありました十一万食の食料を初め、要請のあったものについては本日中に自治体に行き渡ることになっております。それに加えまして、当面の三日分の水、食料九十万食、これもプッシュで本日から入り始めますので、まず当面、物資は自治体までは行き渡ることになると思います。

 そこから先の避難所とのマッチングについても、今の自治体の能力を超える部分があるかもしれないということで、総理の指示で国の職員を送り出すことになっております。

 また、アレルギーに関して、これはどこにどういうニーズがあるのかという把握が非常に難しいのですが、送り出す態勢をとり始めたところでございます。

緒方委員 この件は、ニーズがどのあたりにあるかということを把握するのが本当に難しいわけでありますが、個々の方々にとっては死活的な問題でありますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 そして、現在、避難所が分散していろいろなところにある、そしてその中にはなかなかアクセスが難しいところというのもありますが、今後、時間がたつにつれ、物資のニーズ等々も変わってくると思います。

 例えばでありますけれども、被災者の集約を図ることによって、その集約した場所で手厚くサービスを提供する、その可能性についていかがお考えでしょうか。河野大臣。

河野国務大臣 まだ余震が続いているものですから、御自宅に戻るのが怖くて避難所へ逃げていらっしゃる方もいらっしゃいます。それから、大雨の予想もありましたので、いろいろな避難勧告が出されて避難所に来ている方もいらっしゃいます。こうした方が家に戻られる。あるいは、今、電気、水道、ガスは少しかかるかもしれませんが、復旧をすれば、家の構造体が安全だと判定をされた方は家に戻っていくことができます。そうなると、避難所ごとにどれだけの避難者がいらっしゃるか、だんだんわかってくると思います。その上で、自治体とさまざまな協議をしてまいりたいというふうに思っております。

緒方委員 その中でも特に重要性が高いのは、やはり燃料とかガソリンといったものがございます。車での移動のみならず、家に戻れない方が、現在、車の中で寝るといったことを余儀なくされているケースも多いです。

 現在の供給体制はどうなっておりますでしょうか、そして、今後の見通しについて、経済産業大臣からお伺いできればと思います。林大臣。

林国務大臣 現在は、災害時石油供給連携計画を発動してございます。と同時に、元売といいますか、言ってみれば、石油に関しましては十分な対応を、量を確保している、十二日分を確保しているわけでございまして、タンクローリー車も増強してございます。

 そういった意味では、熊本県ではガソリンスタンドの約七割に当たります五百七十八カ所が営業中でございますし、大分県でも四百二十二カ所のスタンドが営業しているわけでございまして、それが滞りなく対応するように石油連盟の方に依頼をしているところでございます。

緒方委員 本当に、移動手段であったり暖をとることも含めて、非常に重要な物資でありますので、経済産業大臣、よろしくお願いを申し上げます。

 そして、東日本大震災におきまして、当初想定していたよりも非常に長期にわたって大きな課題になったものとして、水回りの話がございます。

 例えば、避難所で体育館等を使っている場合、トイレの数が少ないため非常に混乱を来したとか、長期の避難所生活によって、仮設トイレをどれぐらい設けるかとか、そういったことが非常に大きな課題になりました。

 これから少し避難所生活が長くなるときに、この水回りの問題が出てくるのではないかと思うわけでありますが、これについていかが対応していかれますでしょうか。河野大臣。

河野国務大臣 内閣府の防災担当部局で、避難所におけるトイレの運営マニュアルというのを出させていただいております。必要なトイレの数がどれぐらいになるものかというのを、避難所に避難されている人の数その他を入れて計算ができるようになっておりますし、また、どういう取り扱いが必要かということをマニュアル化しております。まずそれをお使いいただいて、なるべく排せつがきちんとできるような環境をつくるというのが、脱水症状を防止する、あるいはさまざまな健康管理の上で大切だと思っておりますので、しっかりと対応してまいりたいと思っております。

 また、必要な簡易トイレの発送も始めているところでございます。

緒方委員 本件は、東日本大震災のときでも想像を超えて大きいテーマになったということもありまして、今、マニュアルに沿って対応するということでありましたが、本当によろしくお願いをいたしたいと思います。

 そして、まだ長い先のことを考えることは今難しいわけでありますが、他方、広域連携体制をきちんと機能させて後方支援を整えることというのが長期間の支援を行うためにはとても重要であります。

 広域連携で重要なのは、時間がたつにつれて業務内容が変化していくということがございます。発災当初は、消防、人命救助等が最優先となりますが、その後は、例えば避難所の運営とか被害状況確認とか安否確認、罹災証明の発行といった行政事務が出てまいります。

 このようなケースにつきましては、隣県からの長期の派遣も視野に入れた対応が費用負担の件も含めて重要となってくるわけでありますが、いかがお考えでしょうか。これは総務省ですか、河野大臣ですか。では、河野大臣。

河野国務大臣 そうした対応も総務省ときちんと協議しながらやってまいりたいと思います。

緒方委員 報道によりますと、これは報道ですのでそのまま読み上げさせていただきますと、河野大臣は、発災後、きょうじゅうに青空避難所というのは解消してくれと強く述べたという話がございました。これに対しまして蒲島熊本県知事は、避難所が足りなくて皆さんがあそこに出たわけではない、余震が怖くて部屋の中にいられないから出たんだ、現場の気持ちがわかっていないというふうに述べたということでございます。

 これはいかなる真意で言われた話でございますでしょうか。河野大臣。

河野国務大臣 週末にかなり強い雨が予測されておりましたので、雨の中で外に避難者をそのまま避難させておくわけにはいきませんから、避難所の中に入れてほしいということを要請いたしました。

 これは県知事も恐らく同じお考えで、屋内に避難するようにという呼びかけを知事もやられたと承知しております。

緒方委員 ちょっと報道と違いますが、これは後ほど確認をさせていただければというふうに思います。

 次のテーマは、なかなか気づきにくいところですが、東日本大震災の際、避難所の運営等において、例えば女性、高齢者、障害者への配慮に欠けるところがあったとの総括がなされておりました。例えば、授乳をする、着がえをする、物干しをする、そういった際の配慮といった事例、特にこれは女性ですけれども、あるというふうに思います。その他にも、女性が男性から受け取るのがためらいが出ると思われる支援物資とかもあると思います。

 こういった女性、高齢者、障害者等への配慮というものが避難所の運営にとって非常に重要になってくると思いますが、河野大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 東日本大震災の教訓を踏まえまして、内閣府の防災部局では、避難所の管理運営マニュアルというのを出させていただいております。避難所の管理運営に必要なチェックリストもつけてホームページ上で公開をしておりますので、各自治体におかれてはこれを活用していただくようお願いをしているところでございます。

 また、福祉避難所の管理運営マニュアルも同時に作成をしてホームページ上で公開をしておりますので、要支援の方々のためには、そうした福祉避難所を設置してマニュアルを御利用いただきたい、そういうお願いを自治体にしているところでございます。

緒方委員 なかなかホームページだけで徹底することは難しいと思いますので、さらにもう一押し二押し、この件についてはやっていただければというふうに思います。

 それでは、今までいろいろな話をさせていただきましたが、麻生大臣、よろしゅうございますでしょうか。

 今後、膨大な復興需要が生じてくると思われます。予算面で震災対応が重要となっていくわけでありまして、当面どのような予算対応を行っていかれるのか、例えば予備費を活用されるのかとか、そして中長期的にはどのような震災復興のフレームワークを考えておられるのか、これについて、麻生大臣、答弁いただければと思います。

麻生国務大臣 まず、このたびの地震で亡くなられた方々及び御遺族の皆様方に哀悼の意を表するとともに、被害に遭われました方々に、大変多方面にわたって熊本以外の地域にもおられますけれども、心からお見舞いを申し上げる次第です。

 政府といたしましては、救命救助活動に全力を挙げるとともに、生活必需品などの提供、インフラの復旧、住宅の確保など、被災地のニーズを的確に把握しつつ迅速に対応してまいりたいと思っております。

 当然のこととして現場主義で被災者の支援に取り組むことになるんだと存じますが、必要な支援を実施できますように、財務省としては、関係省庁と連絡を密にいたしまして適切に対応しているところであります。

 昨晩、総理からは、機動的な対応を可能にするため、必要となる予備費の投入についての指示があったところであります。

 食料品、水、当面の避難生活に必要となります物資につきましては、必要な財源というものをしっかり手当てするべく関係省庁の間で精査を行い、速やかに対応してまいりたいと考えております。

安倍内閣総理大臣 ただいま副総理から答弁をさせていただきましたが、電気やガス、水道等のライフラインや道路、橋などのインフラの復旧を急ぐとともに、機動的な対応を進めるため、先ほど申し上げましたように、激甚災害指定につきましては早期に指定していきたいと考えております。

 また、普通交付税の繰り上げ交付、そして必要となる予備費の投入など、政府としてはあらゆる手段を尽くしていく考えでございます。

緒方委員 今回、非常に大きな災害ということもありまして、我々は補正予算の可能性も含めて検討すべきではないかというふうに思いますが、安倍総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 我々は、必要な手段はあらゆる手段を講じていきたい、このように考えております。

緒方委員 あらゆる手段を講じていきたいということで、よろしくお願いを申し上げます。

 今後、米の田植えの時期を迎えることになりますが、非常に難しい状況にあります。また、私の父の家のすぐ近くが養豚場だったことをよく覚えているんですが、畜産業も非常に盛んな地域でございます。

 熊本県はTPPについて試算を出しております。国の試算よりも厳し目に見積もっておりまして、国の方は米の影響額というのはゼロというふうに言っておりますが、熊本県の試算は米の影響は十三・八億円と試算をいたしております。その他の牛肉、豚肉、牛乳・乳製品、かんきつ、鶏肉、鶏卵、水産物等について生産量減を前提とした試算をしています。また、国の試算には入っていない野菜、果物についても試算をして、六・八億円の影響としております。

 私は、今、TPPについて国が出している、米は一粒たりとも減りません、牛肉は一キロたりとも減りませんというその試算と比較したときに、熊本県の蒲島知事が出しておられる試算というのはかなり誠実なものではないかというふうに思います。

 我々としては、素直にこの熊本県が出している試算を受け入れるべきではないかというふうに思いますが、森山大臣、いかがですか。

森山国務大臣 緒方委員にお答えをいたします。

 都道府県が行った試算においては、米につきまして、二十九道県におきましては、政府試算と同様の影響額はゼロという結果になっておりますが、一部の県においては、特定の銘柄の米の価格とSBS輸入米との価格を比較し、その価格差で当該県産の米の価格が下がると仮定をされるなど、影響額を試算しておられる県が七県ありまして、その中に熊本県も入っているということでございます。

 また、これまでSBS方式で輸入された米の価格は、輸入米に比べて圧倒的に多く流通している国産米の価格水準を見据えて形成をされておりますので、主に業務用に用いられる国産米とほぼ同様の水準で流通しているというのは御理解をいただけると思います。

 政府としては、新たにTPP国別枠が設けられた場合でも、その数量規模が数万トンである以上、これまでの状況と基本的には変わらないと米については考えております。

 また、牛肉、豚肉につきましても、今まで申し上げてきたことと同じような考え方でありますが、今回の震災による影響がどうなるのかというのはまた別な次元の話でございますので、ここはしっかりと私どもも見ていきたいと考えております。

緒方委員 いろいろ説明がありましたけれども、全ては現場にあるわけでありまして、現場の声に寄り添った試算を出し、そして、試算が間違っていると、結果として対策が間違ってしまうということがございます。現場に寄り添った試算をしっかりやっていただければというふうに思います。

 それでは、最後に質問させていただきます。

 現在、TPPに対して非常に不安が大きい中、この震災が起こりまして、非常に落ちつかない状況であります。冒頭申し上げましたが、こういう状況で審議を進めたとしても、仮に採決をしたとしても、国民の幅広い理解を得ることはとても難しいと思います。ここは一旦継続審議にした上で、落ちついた段階で審議を行うべきではないかというふうに我々は思っております。冒頭述べたとおりであります。

 今、拙速にこのTPPの審議を進めたからといって、理解が進むということは絶対にあり得ないと思います。石原大臣、いかがお考えでしょうか。

石原国務大臣 冒頭、熊本、大分の地震でお亡くなりになられた方々に心から哀悼の誠をささげさせていただきたいと思いますし、緒方委員のお父様も含めて、避難をされている方々に本当に心からお見舞いを申し上げ、そして一日も早い行方不明者の方の発見というものに政府を挙げて全力で取り組んでいかなければならない、そういう状態にあると認識をさせていただいております。

 そんな中で、委員が御指摘のとおり、このTPPの問題は大変重要な問題でございます。今、委員と農林水産大臣との間で御議論のありました農業の問題について多くの方々が不安をいまだに持っていらっしゃるということを、私も素直に認めさせていただきたいと思います。

 こういう問題についてしっかりとお話をさせていただき、そして、このTPPによって攻めの農業というものがどういう形で開かれるのか、また工業製品等々につきましてもどういうメリットがあるのか、丁寧に説明をさせていただきたいと考えております。

緒方委員 きょうの委員会開会に際して、TPPを一歩でも前に進めたいという認識を表明しておられました安倍総理、いかがでございますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 震災対応につきましては、先ほど申し上げましたように、発災以来、昼夜を分かたず、自衛隊、消防、警察、あるいは医療部隊の皆様が人命救助、救命のために全力を尽くしているわけでございますし、私も官邸におりまして陣頭指揮をとってきたところでございます。その中で体制を組み、そして指示を既に下しているわけでございます。また、きょうも危機管理監に必要な指示は申し渡したところでございます。

 他方、このTPPにつきましては、まさに二十一世紀の我が国の未来に大きな影響を与える、私どもとしては、アジア太平洋地域、世界の四割経済圏が誕生する中においてしっかりとこのチャンスを生かしていかなければならない、そのために必要な協定であり、そして関連法案である、このことをこの法案審議を通じて御説明をしていきたい、そして、これは地方にとっても大きなチャンスになるということもわかりやすく説明をしていきたい、こう考えている次第でございます。

 そして、もちろん、実際に、もし災害対応に急な出来事があって、我々が出席を見合わせなければならない、あるいは離席をしなければいけないということにつきましては、その際は委員長の御理解あるいは理事会の御理解をいただきたい、こう思っているところでございます。

緒方委員 我々としては優先順位が違うのではないかというふうに思います。

 いずれにせよ、震災対応には与党も野党もございません。我々国政に身を置く者として、一丸となって熊本、大分での地震に対して対応を講じ、いち早い復旧復興が実現できることを、頑張っていくことをお誓い申し上げまして、私の質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

西川委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民進党の大西健介でございます。

 私からも、冒頭、このたびの地震でお亡くなりになられた皆様に心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災をされた全ての皆様に心よりのお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 私ども民進党も、地震発生当日の二十二時五十分に対策本部を設置いたしました。そして、岡田代表も、政府の取り組みに全面的に協力をしていきたい、こういう問題には与党も野党もないと申しております。総理には、この地震の対応に全力を注いでいただきたいというふうに思っております。

 総理、週末、私も地元を回っていると、地震への対応を優先してほしいというお声をたくさんいただきました。ですから、きょうも私はこの委員会は取りやめになるんだろうというふうに思っておりました。

 きのうも最大震度四の活発な余震が続いております。また、南阿蘇村では、今も十名の行方不明者の懸命の捜索が続いております。熊本県内だけで約十一万人の方が避難をしており、交通インフラの寸断や断水により、水や日用品など生活必需品を中心に物資不足も深刻化をしております。

 けさの国対委員長会談での私どもの政治休戦の申し入れを拒否して、そこまでしてなぜ今この委員会審議を行わなければいけないんでしょうか。地震の対応に当たる方が優先ではないんでしょうか。総理、これが国民の望んでいることなんでしょうか。改めて、テレビをごらんの被災者を含む国民の皆さんに御説明をいただきたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 委員会を行う、行わないは、これはまさに国会でお決めになるところでございます。

 政府としては、委員会でお決めになったことに対しまして、震災対応との関係において対応できるかどうかという判断でございますが、我々は、発災以来、昼夜を分かたず対応してきたところでございます。自衛隊や警察、消防、医療部隊の皆さんは、夜を徹して救命救助活動にまさに尽力をしていただいてきた、また、今現在も全力を挙げていただいていると思っております。

 また、避難所等における食料やあるいは医療等の提供について、滞っているところもございます。それはまた、昨日さらに指示をし、そして、きょうの朝も、実際に、鳥栖まで運ばれ、そしてその先の熊本の自治体まで運ばれている中にあって、しっかりと避難所までそうしたものが、物資がちゃんと行っているかどうかということについても再度確認をしていくようにという指示を出したところでございます。

 と同時に、被災者生活支援チームを発足いたしました。このチームが既に活動を始めておりまして、このチームから各自治体に派遣をしながら、そしてその自治体と一体となって連携をしながら、まさに自治体の一員としての気持ちを持ちながら対応に当たっていく、そして、しっかりと河野大臣のもとのチームと直結をしながら即時対応していくという体制をとったところでございまして、今回、この審議に当たって、出席することは十分に可能である、このように判断したところでございます。

 もちろん、この後、また余震等において私がさらに指示を出さなければならないという状況になりましたら離席させていただきたい、このように考えているところでございます。

大西(健)委員 今総理からお話もありましたように、いつ余震が起こるかもわからない、そういう状況でございます。

 委員会を開くかどうかは国会の御判断という話でありましたが、繰り返して申し上げますが、我々野党民進党は、基本的には、ぜひ閣僚の皆さん、総理には、そういう状況の中ですから地震の対応に全力を注いでいただきたいということで、きょうの委員会は見合わせるべきと申し上げました。与党からは、きょうの委員会開会は総理の強い意向だ、自民党の中にもきょうは見送った方がいいという話があるけれども、総理がTPPの審議を一歩でも進めたいという、強い総理の意向ということをお聞きしております。

 改めて、ではちょっとお聞きをしたいと思いますが、十五日の夕刻ですけれども、総理は、あす、私自身が被災地を訪問し、現場をみずからの目で確かめ、被災された方々の生活、被災された方々の生の声に接し、今後の対策に十分に生かしていきたいと考えていますと述べられて、十六日に現地熊本に入りたいということを表明されました。しかし、十六日になって急遽、熊本視察を中止されましたけれども、この理由は何でしょうか。

安倍内閣総理大臣 今回の地震につきましては、最初の地震、前震というふうに言われておりますが、前の地震につきましては、事実上、大体の行方不明者等につきましては、二回ローラー作戦をやり、それぞれ、益城町等において、事態を十分に把握してまいりました。その中にあって、地元においても、熊本県側も、私が視察をすることについて受け入れ体制も整えることができるということでございましたので、視察をして、私自身の目で被災状況を確かめながら、あるいはまた、被災地の皆さんの生の声をお伺いし、今後の対策に生かしていきたい、こう考えていたところでございます。

 しかし、その後、本震ということになりました。大きな被害が出る中において、まさに被害があり、本格的な救命救助活動が進行中であり、余震が続く中においては、私が視察することによって、かえって混乱を助長する可能性があるわけでございますし、余計な人員を割かなければならないということにもなるわけでございます。

 同時にまた、熊本県側からも、受け入れ体制は整えることができないということでございました。そういうお話が来る前に既に行かないということは決めていたわけでありますから、そういう判断をした後、その判断を伝えたところ、先方側も、そういう体制をつくることは当分難しい、当分というのは、その日、あるいはまた次の日も雨が降ることが予測されておりますので、そういうことでございました。

大西(健)委員 私も、この段階で現地入りを取りやめた判断というのは正しい判断だったと思います。

 当初は、素早い対応をアピールするというつもりでそういうことをおっしゃったんだと思いますが、現場が混乱している中で、要人の受け入れをする余裕などあるはずがありませんし、現段階ではかえって迷惑になる、総理の御答弁のとおりだというふうに思います。

 しかし、そんなことは十五日の夕刻の段階からわかっていたことで、行くと言っておいて次の日に撤回するなら、最初から行くと言わなければいいんじゃないかというふうに私は思います。

 では、総理、当初、十七日に北海道の補選の応援を予定されていましたけれども、十六日になって十七日の北海道入りはやめています。この理由も御説明いただけますか。

安倍内閣総理大臣 今、大西委員は、そもそも十六日に視察を決めたことを批判しておられました。それを決めて、そして急にそれをやめたという行動について批判をしておられましたが、いわば、十五日の段階においては、その後の本震、マグニチュード七・三の本震の前であります。その前においては、先ほども申し上げましたように、行方不明者等についても事実上かなり把握ができた段階でございます。新たな行方不明者ということについては、その段階ではなかったわけでございます。これは益城町を二回ローラーした結果でございます。

 その中で視察の判断をした。できる限り早く視察をして、そして状況を確かめて、あるいは生の声を聞いて対応していくことは当然だろうと。もちろん、受け入れ側がどうかということは大変大きな問題で、課題であります。ですから、当然、熊本県知事を初め熊本県側にも確認をとったところ、その段階では、視察については受け入れは十分に可能であり、そして総理にもよく自分の目で確かめてみてもらいたいということでございまして、こちらが何か思惑があってそういう判断をしたわけでは全くないわけでございます。

 そこのところを、今こういう場において、我々が恣意的にこうしたものを何か利用しているかのごとくの議論はぜひ慎んでいただきたいと思います。今、ぜひ、被災地のためにみんなが何ができるかということをこの場で議論させていただきたい、このように思います。

大西(健)委員 先ほども言いましたように、現場は混乱しています。総理が動かれるとやはりその対応を求められるので、私は、行かないという判断が正しかったということを申し上げました。

 あわせて、先ほど申し上げましたように、北海道もやめられた、当然のことだというふうに思います。まさに、そんなことをしている場合ではないからだというふうに思います。

 言うまでもなく、TPPの審議は重要でありますけれども、地震への対応、これが最優先ではないでしょうか。やはりTPPの審議をやっている場合では私はないというふうに思います。百歩譲って、もし今テレビ入りで審議をするなら、このTPPの審議ではなくて、先ほど来申し上げていますけれども、熊本を中心とする地震に関する予算委員会の集中審議、ないしは災害特別委員会の審議を行うべきだというふうに思います。

 前回、TPPの委員会で私は、TPPの交渉当事者だった甘利大臣にかかわる疑惑について質問をしましたけれども、その後、東京地検特捜部の強制捜査がありました。また、UR職員が、甘利前大臣と事務所に多額の現金を渡して口ききを依頼した建設会社の総務担当者から飲食等の提供を受けていたということが新たに明らかになりました。

 そういう二つの大きな動きがありましたので、当初はそのことについて質問を用意していましたが、当然きょうは取りやめます。きょうはURの理事長にも来ていただいていますが、きょうは質問をいたしませんので、退席していただいて結構でございます。URも、九州地方にも住宅等あると思いますので、ぜひその被災状況についても御確認をいただきたいというふうに思います。

 そのような中、先週になって、甘利大臣から地元有権者に手紙が送られてきたという情報が複数寄せられております。私、今ここに手紙というのを持っているんです、こういう手紙なんですけれども。

 この手紙ですけれども、便箋の用紙に直筆の手紙を印刷したものだというふうに思われます。一見手書きのように見えるんですけれども、聞くところによれば、三月末にもほぼ同じ文面のワープロ横書きの文書を、郵送や、秘書が持ってきたという話があります。

 この手紙にはこんなことが書かれております。ここで、道半ばで倒れるわけにはいかないのです、皆様には現在いろいろと納得いただけないことがおありだと思います、よく承知しております、そこは何とぞ初当選以来の私の三十三年間の歩みを信じて、引き続きの御支援をいただければと切に願う次第ですと。

 総理、これはダブル選挙をにらんだ事前活動じゃないかというふうに私は思います。週末、地元を回っていると、もはやダブル選挙をやっている場合じゃないんじゃないか、解散・総選挙をやる費用があるんだったら熊本の復旧に充ててほしい、こういう声もたくさんいただいております。

 私も、残りの時間は、総理がどうしてもこの委員会審議をやるということですので、週末地元で耳にしたさまざまな御意見や御要望、あるいは、私の地元も南海トラフの地震が予想される地域ですので、今回の地震を踏まえて政策提言をしたいというふうに思っております。

 まず、先ほどちょっと緒方委員が触れられた全避難者の屋内避難の指示についてでありますけれども、私も今手元に持っている記事によりますと、これは、松本内閣府副大臣が現地熊本で、河野防災担当相にきょうじゅうに青空避難というのは解消してくれと強く言われて参ったと力説したところ、知事は、避難所が足りなくて皆さんがあそこに出たわけではない、余震が怖くて部屋の中にいられないから出たんだ、現場の気持ちがわかっていないと不快感を示したというふうに記されております。先ほどの話とちょっと違うんじゃないかなというふうに思います。

 また、この指示というのは、もともとは十五日の段階で、河野大臣を官邸に呼んで総理からこの屋内避難の指示があったというふうに聞いておりますけれども、この経緯についてもう一度御説明いただけますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほど河野大臣から答弁をさせていただいたとおりでございます。

 夜半から天候が崩れていく可能性がございました。特に、土曜日の夜から天候が崩れ、そして十六日には百ミリ程度の雨も予測され、かつ風も予測をされたわけでありますから、当然これは屋外で、乳児あるいはお年寄りの方々も含め、その方が夜を過ごすことはむしろ大変危険というふうに我々は判断したわけでございまして、これは蒲島知事も全く同じでございまして、知事自体も、先ほど河野大臣から答弁をさせていただきましたが、屋内への避難を呼びかけていたところでございます。

 同時に、我々は、その際、御自宅が傾いておられて屋内に入ることをちゅうちょしておられる方々もおられるでしょうから、そういう方々につきましては、その近傍で体育館、校舎等があるところは移送させていただく、あるいは自衛隊がある程度強靱なテントを用意して、直ちにテントを設営して、その中に入っていただくよう考えていたわけでございます。

 これは当然の対応であろう、このように思うわけでありまして、むしろそういう対応をせずに、百ミリの大雨が降る中、あるいは強風もある中、寒空のもと、駐車場等において夜を過ごす、あるいは昼を過ごすということになってはならないと考えなければならない、これは我々国民の命を守る者の責任ではないか、こう考えるところでございます。

 熊本県とのやりとりについて、私は承知をしておりません。基本的に政府としてそういう指示を出したところでございまして、詳しくは河野大臣から答弁をさせていただきたい、このように思います。

大西(健)委員 雨や風の予報があったということは一定程度理解できるわけですけれども、それは官邸が指示することではなくて、地元、現場で判断することだというふうに思います。

 今総理がまさに言われたように、私はこの毎日新聞の記事を手元に持っていますが、先ほど申し上げましたように、松本内閣府副大臣に対して蒲島知事は、現場の気持ちがわかっていないと不快感を示したということでございますが、河野大臣、改めて、知事はわかってくれているとさっきおっしゃって、知事と考え方は一緒だとおっしゃっていますけれども、知事は不快感を示したということですし、これは現場で判断することで、官邸が指示することではないというふうに思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 河野大臣が答弁する前に、官邸で判断することではないというお話でございましたが、例えば、その際、テントを張る上においては自衛隊に指示を出さなければならないわけでありますし、また、他県との調整もございます。そういう意味におきましては、それを全て熊本県だけに背負わせるわけにはいきません。もちろん、熊本県との調整において松本副大臣を現場に派遣しておりまして、熊本県、まさに現場と調整するために松本副大臣も行っているわけでありますが、全てを丸投げするわけにはいかないわけであります。

 私たちは、まさに国民の命に対して責任を負っておりますし、その際、青空避難を解消していく上においては、テントを張る、あるいは自衛隊の輸送力を使っていく、または近傍から派遣している消防、警察の力を使っていく、あるいはまた近傍の県に避難をするということについては、これはある程度国で調整をしなければならないこともあるんだろうと思います。

 具体的な熊本県とのやりとりにつきましては、担当大臣から答弁させたいと思います。

河野国務大臣 時間雨量五十ミリから六十ミリという大きな雨が降るという予測でございました。これだけの地震の後ですから、当然に土砂崩れ等が起きることも可能性としてはあるわけでございますから、ここはきちんと屋内に避難をしていただく必要がございます。

 余震で大勢の方が外に出られているのも承知はしておりますが、雨の前に突然に大勢の方が避難所に来られても、避難所で収容し切れるかどうかということもわかりませんので、これはなるべく早くまず屋内に入っていただく。そのときに余震があって怖いから外に出るということはあるかもしれませんが、それぞれの避難所できちんと収容できるかどうかということを事前に確認しておかなければ、対応することができません。

 蒲島知事とはその後もテレビ会議等を行いましたが、特にこの件について御発言もございませんし、副大臣からもこうしたことについて私は聞いておりません。

大西(健)委員 けさ、私ちょっとテレビを見ていると、避難所の前から中継をしていて、その方は車の中で夜を過ごしたと。建物の中にいると、何回も何回も余震があるので、天井が落ちてくるんじゃないかと怖くて、だから建物の中ではなくて、あえて車の中で過ごしているということを言っておられました。なるほどなというふうに思ったんですが、今のお話であると、ということは、知事が現場の気持ちをわかっていないと不快感を示したというのは誤報ということでしょうか。

河野国務大臣 それはわかりません。

大西(健)委員 次の質問に行きたいというふうに思います。

 私も、地元を回っていると、自分にも何かできないかという声を多くいただきました。例えば私の地元は三州瓦というブランドで知られている日本最大の瓦産地ですけれども、熊本城の瓦が落ちている様子を見て、力になりたい、こういう声もいただきましたし、一般の方々からも、既に、ボランティアに行きたいという声もいただいています。

 しかし、これも毎日新聞によりますと、全国社会福祉協議会は十六日、現時点でのボランティア活動は自粛するようにホームページで呼びかけたというふうにされています。

 確かに、余震が続いているというようなこともあるというふうに思います。しかし、報道されている現地の様子を見ていますと、ちょっと違和感があるな、むしろ、阪神・淡路とか東日本大震災など過去の大規模災害での経験を有する自己完結型のボランティアであれば、これは必要なところもあるんじゃないかというふうに思います。

 改めて、テレビをごらんの国民の皆様に、ボランティアや支援物資の受け入れについて、現状や今後の方針について御説明を河野大臣からいただければと思います。

河野国務大臣 余震等、相当強いものが繰り返されましたので、安全性の確保ということもあると思います。そこは現地の対応ということなんだろうと思いますので、現地から、ボランティアの受け入れが始められるということになれば、ぜひ大勢の皆様にお願いをしたいと思います。

大西(健)委員 状況は刻一刻変わっていくと思いますので、ぜひ多くの皆さんにしっかりそれが知れ渡るような形で情報を提供していただければなというふうに思います。

 次に、私の地元はトヨタグループの企業が集まっている地域でありますけれども、その一つのアイシン精機の子会社であるアイシン九州というのが熊本にあります。工場も被災をして、ドア部品やエンジン部品などの供給がストップしている。また、トヨタについても、部品の調達ができないということで、九州だけではなくて私の地元愛知県内の工場も既に操業停止という状況になっております。

 そこで、経産大臣にお聞きしたいんですけれども、政府はこうした工業生産への影響をどのように把握されているか。また、熊本の関連会社にいる私の知人によれば、トヨタは非常に迅速な対応で、もう既に応援の手配をしている、ただ、その応援者が宿泊するところがないので非常に困っているというようなお話もいただきました。工業生産への影響が長引けば、日本経済のダメージというのもはかり知れないものがあるというふうに思いますが、こうした今回の地震の工業生産への影響について経産大臣から御答弁いただきたいと思います。

林国務大臣 昨日、今回のトヨタ自動車の生産停止について事務方から報告を受けました。被災した部品メーカーとトヨタ自動車の影響だけでなく、トヨタ自動車の取引先でありますその他の部品メーカーを含めたサプライチェーン全体に影響が及ぶ問題であるというふうに認識をしておるところでございます。

 このため、下請企業などへの影響も含めて、トヨタ自動車などから丁寧に状況を聴取しつつ、今後の対応に万全を期してまいりたいと考えております。

 なお、既に四月十五日には、経産省から日本自動車工業会を通じて、トヨタ自動車を含む自動車メーカー各社に対し、地震による操業停止後の下請企業への対応につき注意喚起を行ったところでございます。

 なお、各工場の稼働状況でありますけれども、日産自動車は四月十八日から操業を再開する、ダイハツは、大分でありますけれども、四月十八日から二十二日まで操業を停止する、ホンダは、熊本製作所でありますが、四月十八日から二十二日まで操業を停止するということでございまして、この操業を停止しているメーカーに対しましては、下請企業などへの影響も含めて丁寧に状況を聴取しつつ、今後の対応に万全を期してまいりたい、このように考えているところでございます。

大西(健)委員 それぞれ企業は迅速に対応はしていただいているというふうに思うんですけれども、それを政府としてどのようにバックアップしていくかというのをしっかりしていただきたい。それから、自動車産業だけじゃなくてほかの工業についてもしっかり把握をしていただきたいというふうに思います。

 次に、今回の地震で、熊本県の西原村にある大切畑ダムから水があふれて、決壊のおそれがあるとして避難指示が出ていると聞いております。

 私の地元も南海トラフの巨大地震が予想される地域ですけれども、例えば明治用水の基幹水利施設の耐震対策が未了になっています。基幹水利施設は、農業用だけではなくて上水道や工業用水との共同施設になっていまして、被災時には、農業被害だけではなくて、約百十八万人の生活用水、約十六兆円の工業生産にも影響が出るおそれがあります。また、用水路は都市部を流下しておりまして、国道一号線やJR東海道線、新幹線あるいは名鉄本線を横断していて、被災時には深刻な浸水被害が発生するおそれがあります。

 農水省におかれても、平成二十六年度から、基幹水利施設の耐震対策を行う国営総合農地防災事業、矢作川総合第二期地区を着実に推進していただいておりますけれども、こうしたことを今回のことを教訓にしっかりやっていただきたいと思っています。

 あわせて、先日、朝日新聞が報じたところによれば、全国の自治体が約三千カ所のため池を緊急調査したところ、約六割のため池で耐震強度が不足していることがわかりました。これは、東日本大震災のときも、ため池が決壊して死者が出たという教訓があります。耐震不足が最も多かったのは私の地元の愛知県で、二百五十二カ所となっております。

 熊本県の大切畑ダムは、ダムと呼ばれていますけれども、農業用のため池でございます。ため池が地震で決壊すると大きな被害が出ます。多額の改修費用が必要ということで遅々として対策が進んでいないということでありますけれども、この対策を今後どう進めていくのか。

 また、先ほど申し上げましたように、緊急調査で、恐らく九州地方でも耐震不足のため池というのはもう農水省として把握をされているんだと思いますが、ほかのため池は大丈夫なのか。この状況についてもあわせて御答弁いただきたいと思います。

森山国務大臣 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、大切畑のため池について、NHKのニュースで決壊をした旨の報道がありましたので、大変一時心配をいたしましたが、職員を派遣いたしましてよく調べさせていただきました結果、問題はないということがはっきりいたしました。また、放流をずっと続けてまいりましたので、今は安心をできる状況にあるというふうに理解をいたしております。今後とも、しっかりと監視を続けていきたいと思います。

 また、先生御指摘のとおり、九州のダムにつきましては、全て点検を終わっておりまして、おかげさまで異常はないということでございます。

 ただ、耐震につきましては、ため池を含めまして、また大蘇ダムを含めまして、今後ともしっかりした対応をさせていただきたいと考えております。

 以上でございます。

大西(健)委員 今、耐震化の話をしましたので、あわせまして耐震化について。

 昨日の毎日新聞には、防災拠点の耐震化のおくれを指摘する記事が出ておりました。先ほども病院の被災という話がありましたけれども、今回の地震では、熊本市の防災拠点施設に指定されている熊本市民病院で天井の一部崩落などがあり、倒壊のおそれがあるとして使用が中止になって、入院者三百人が防災ヘリや救急車で他の病院に搬送されました。それによって、県の基幹災害拠点病院に指定をされている熊本赤十字病院にしわ寄せが行っているということであります。

 消防庁の調査では、全国の防災拠点になっている公的施設のうち、八八・三%が耐震基準を満たしているのに対して、自治体だけをとると七四・八%にとどまっていると。災害が起これば災害対策本部が置かれる自治体の庁舎が、耐震化がおくれているということであります。

 地域によっても非常に格差がありまして、例えば、静岡県では一〇〇%対策がとられているのに対して、最下位の愛媛県では三〇・四%と、非常に大きな開きがあるということであります。

 防災拠点の耐震化のおくれについて、河野大臣の方から御答弁をいただきたいというふうに思います。

河野国務大臣 東北、福島の、あるいは今回の地震でも、拠点となる市役所その他が倒壊のおそれがあるということでは司令塔機能を果たすことができませんので、これは自治体とも相談をしながら、きちんと耐震化ができるように努めてまいりたいと思います。

大西(健)委員 しっかりやっていただきたいと思います。

 ネットやSNSというのが災害時の情報共有とか伝達に有効なのは明らかなんですけれども、ネット上でデマが広がるということも今回起きています。

 例えば、朝日新聞が報じるところによると、熊本の動物園からライオンが逃げ出したというデマを流した人がいると。また、中日新聞の特報のコーナーでは、地震の直後からツイッター等に、朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ、暴動に気をつけてといった、関東大震災時の朝鮮人虐殺を思わせる流言飛語が出回ったことを指摘しています。卑劣で許せない行為であって、一種のヘイトスピーチだというふうに思います。

 現在、与野党双方でヘイトスピーチを規制する法案を参議院に提出していますが、野党案はネット上での差別行為も法案に明記をしているのに対して、与党案ではネットについては触れられていない。安倍総理も、ヘイトスピーチは恥ずかしい行為であって、国会で法案を通すべきだとおっしゃっていますけれども、今回の地震での差別的なネット上の投稿、こういうものは私は許せないことだというふうに思いますので、ぜひしっかり対応すべきだというふうに思います。

 もう時間になりますので、最後に重ねて申し上げますけれども、国民が今望んでいることは、熊本の地震の対応を最優先にしてほしいということだと思います。TPPについては、また改めて、落ちついてしっかりと時間をとって議論しようじゃありませんか。きょう無理してこの審議を進めるのは、とにかくTPPの審議を消化したいということではないかというふうに勘ぐってしまいます。TPP特別委員会の議論は先送りにして、国会も地震対応に全力を挙げるべきであるということを強く申し上げて、次の質問者にバトンタッチをいたしたいと思います。

 ありがとうございます。

    ―――――――――――――

西川委員長 この際、お諮りいたします。

 両案件審査のため、本日、政府参考人として気象庁地震火山部長上垣内修君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西川委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 民進党の岸本周平でございます。

 本日は、大変残念であります。これまで私の同僚委員が申し上げてまいりましたとおり、今、政府には災害対策、震災対策に集中していただきたい時期に、大変重要なTPPの審議を強行しなければならない、大変残念であります。

 私自身、実は阪神・淡路大震災のときに霞が関におりました。官僚をやっておりました。大蔵省主計局におりました。今、大臣はこうやって座っておられます。政府の説明員の方も座っておられますが、霞が関の役所の中では、一人一人の役人、公務員の皆さんが走り回っていますよ。大変な状況になっています。それぞれのつかさつかさで熊本の地震の対応、各省庁の各部課、各部局、それぞれ本当に関連するんです。大変なんです。

 そして、その上で、やはり決裁も求めるんですね。ある程度、こういうときはスピーディーにやりますから、事後決裁でいいということもありますけれども、決めるときは上司に相談するんです。そのときに、ここに上司が座っておられたら、少なくともこの瞬間でも相談できないんですよ。決めなきゃいけないことがどんどんあります。官僚の段階で、これは決裁は後でいい、判断もできる、しかし、これはやはりちょっと決裁を仰がなきゃいかぬ、大臣じゃなくてもいい、副大臣が座っておられる、副大臣に上げないかぬ、それができないんです。本当に残念で仕方がありません。

 そういう意味で、震災対応には本当に与党も野党もありません。ぜひ、私ども何でも協力しますので、こういう大事なときには、政府には地震の対応に集中していただきたいと思います。

 そのことを申し上げた上で、先ほどの同僚委員の質問にもありましたが、NPOの対応について一言申し上げたいと思います。

 東日本の大震災のときの経験、それから阪神・淡路のときも、あれはNPO元年と言われたんですね。阪神・淡路の震災のときに、本当に全国から大勢のボランティアの方が集まって、実はNPO法ができたのも、阪神・淡路大震災のときのボランティアの皆さんの活動がきっかけで、そこから、超党派の議員連盟が中心となって、超党派で、全会一致でNPO法ができました。そして、そのおかげでNPOがしっかりと育って、東日本大震災のときには本当に大活躍をしていただいたわけであります。

 現状、確かに余震が続いておりますので、安全の問題はあると思います。しかし、全くシャットアウトするというのはいかがなものかと思うのであります。

 といいますのは、まさに自衛隊がこういうときに意味があるのは、自己完結型で、自分で宿泊もできる、食料も自分で、全部自賄いできる自己完結型の部隊だから、自衛隊がきちんとそういうところに行ける。

 同じように、実は日本のNPOでも、自己完結型で、数億円の事業規模で国内、海外で活動している立派なNPOがあります。

 ヘリコプターをチャーターしてでもどんどん現地に入れるような、そういう自己完結型のNPOについては、少なくともケース・バイ・ケースで入っていただいて、まあ、かなり動いていますけれども、そういうことでないと、今、被災地でいろいろなものが足りない、今ニュースでもやっていますよね、食料品、水が足りない。届いているものもあるそうです。これはもう政府の御尽力でしょう。物が届いているんだけれども、配る人がいない。まさにNPOのボランティアの人たちがそこで配らなきゃいけない。自己完結型の方々がそこに入っておられればと思うばかりであります。

 東日本大震災のときは、政府には首相補佐官でNPO担当補佐官というのができまして、政府が地方公共団体とNPOの間をうまく取り持ってやりました。それは河野大臣にお願いいたしますので、答弁は結構です、ぜひしっかりやっていただきたいと思います。

 それから、私は和歌山選出の衆議院議員であります。和歌山一区でございます。週末、私も地元に戻りましたけれども、まさに今、この熊本の地震と南海トラフの地震の連動性ということが報道もされ、大きな議論になっておりますので、今、大西委員も言いましたけれども、東南海、南海地震の対象である地域の住民は大変心配をしております。

 これもいろいろな報道が出ておりますけれども、今回の熊本県の地震は、いわゆる断層帯で発生しているということであります。熊本県の布田川断層帯で本震の震源地があったわけでありますけれども、そこから斜めに、北東の方向に物すごく震源地が重なっているということであります。

 これは別府―島原地溝帯と言われるそうでありますが、別府―島原地溝帯のこの線が、当然ですけれども、四国へつながっております。それから、我が紀伊半島にもつながっております。この中央構造線の断層帯というのがあるわけでありますので、素人が考えても、九州・熊本のこの断層帯が流れていく四国、紀伊半島の中央構造線の断層帯に影響はあるんだろうか、ないんだろうか、大変な心配があります。

 しかも、少しさかのぼりますけれども、四月一日、今月一日に、実は紀伊半島沖でマグニチュード六・一の地震が発生しているんです。それから、少し後の四月十日には、兵庫県神戸市の六甲断層で同じく、マグニチュード四・三、三・五程度ですけれども、地震が発生しております。ある意味、学者は、この地震がひょっとしたら熊本に影響しているのではないかというようなことをおっしゃる方もいるわけであります。

 つまり、今回の熊本の地震が南海トラフにどういう影響を与えるんだろうか、あるいは、南海トラフでなくても断層帯にどういう影響を与えるんだろうかということであります。

 これも、学者の先生ですので、両説あるようであります。といいますのは、南海トラフといいますのは、プレートが海に沈み込む形であります。それでエネルギーがたまって地震が発生する。大体百年から二百年周期であります。断層型というのは、直下型というか、断層がずれて、どんと起きるわけでありますから、断層がずれるのとプレートは違うので、距離もあるし、影響ないだろうという学者もいらっしゃいます。

 一方で、いやいや、いろいろな歴史があって、例えば昭和十九年に南海トラフの地震である東南海、これは和歌山も被害を受けました。二十一年の南海地震。これが起きる前に、実は、昭和十八年の鳥取地震、昭和二十年の三河地震というのは断層型だったんですね。一年前に断層型の大きい地震があって、南海トラフの地震が起きている。百年周期、二百年周期ですから、実は歴史的には重なっていることが非常に多いんだということであります。そういうことをおっしゃる学者もおりますので、もう我々は気が気ではありません。

 そういう意味で、きょうは気象庁が来ておりますので、地震の専門家の気象庁長官、これはどう考えたらいいんですか。御説明をお願いします。政府の考え方を述べてください。

橋田政府参考人 お答えいたします。

 先生お尋ねのありました今般の熊本の地震でございますけれども、四月十五日及び十七日に開催されました政府の地震調査委員会の評価によりますと、いずれも、内陸で発生したいわゆる直下型の横ずれ断層型の地震でございます。

 他方で、南海トラフ地震につきましては、同じく政府の地震調査委員会が平成二十五年五月に公表いたしました長期評価によりますと、南海トラフで発生する大地震は、四国や紀伊半島が位置する大陸のプレートと、その下に沈み込むフィリピン海プレートの境界が滑ることにより発生する逆断層型の地震であるとされております。

 これらの地震につきまして、熊本で発生している地震は、プレート境界であります南海トラフから離れた内陸の地震であり、南海トラフの地震はプレート境界の地震であるという違いがあることは先生御指摘のとおりでございます。

 気象庁では、全国の地震活動を二十四時間リアルタイムで監視しておりますが、現在の観測状況から申し上げますと、熊本地方を中心に活発的な地震活動が続いておりますが、今般の熊本の地震以降、南海トラフ地震の想定震源域での地震活動に特段の変化はございません。

 気象庁といたしましては、引き続き、これらの地域の地震を厳重に監視し、関係機関とも連携して、適切な地震、津波の情報発表に努めてまいりたいと考えております。

岸本委員 プレートの問題と断層の問題は違うという、素人の私が言ったのと同じ答弁でありますので、もう少し突っ込んだ御説明をいただきたかったと思いますが、それはそれとして、何にしても、周期的に起きていますので、我々は備えねばならないと思います。

 では、気象庁長官に聞きますが、さっき最初に申し上げましたように、今回の別府―島原地溝帯とつながる紀伊半島や四国の北部を通る中央構造線の断層帯での地震についてはどうですか。

橋田政府参考人 お尋ねのありました中央構造線沿いの地震活動でございますけれども、熊本の地震が発生した以降、特段の変化はございません。

 以上でございます。

岸本委員 特段の変化は今はないけれども、今後どのような影響があるのかどうかについて、専門家としての知見を教えてください。

橋田政府参考人 今般の熊本の地震の南海トラフあるいは中央構造線沿いの地震への影響につきましては、申し上げましたとおり、現在、特段の変化は認められておりません。引き続き、気象庁としては厳重に監視をしてまいりたいというように考えております。

岸本委員 それはぜひ監視してください。国民の皆さんは監視してほしいと思っていますよ。

 監視はいいんですけれども、では、今後、私たちはどういう心構えで、マグニチュード七・一の地震が起きた、その断層帯がつながっている、日本じゅう断層帯はたくさんあるんですけれども、それについて、近い将来、どのように私どもは心構えを持っておけばいいのかということについて、もう少しわかりやすく、国民に易しく説明していただけませんか。

橋田政府参考人 地震活動でございますけれども、現在、日本では、平均いたしますと、マグニチュード七の地震は年に一回程度、マグニチュード六の地震につきましては年に十回程度起こるということが統計的にもわかっております。

 したがいまして、地震というのはいつどこで発生してもおかしくないという心構えで地震の防災対策に取り組むことが必要ではないか、そういう意味での家屋、室内のものの転倒等も含めまして心構えをしていただくことが重要なのではないかというように考えています。

 以上でございます。

岸本委員 それだったら小学校の校長先生も言いますよ、それぐらいのことは。気象庁は地震の専門家の集団じゃないんですか。年に一回マグニチュード七で、年に十回、六が起こりますから、ともかく毎日心配して安全に準備してください。いや、それはみんなそう思っていますよ。我々だってそんなことはわかっていますよ。もう少しわかりやすく説明していただけないか。

 どうなんですか、気象庁長官。専門家でしょう。もうちょっと詳しく説明してください。

橋田政府参考人 地震の発生をいわゆる予測することにつきましては困難でございますので、個々の地震について、いつどこでどのような規模の地震が起こるということは、特に内陸の地震を含めまして地震が発生することは、地震学的にさまざまな説があることは承知しておりますけれども、予測をするというのは困難な状況にございますので、個々の地震について言及するというよりも、今全体として日本列島に地震活動が発生しているということを踏まえて対応をお願いしたいというように考えている次第でございます。

岸本委員 例えば東南海の地震対策で、三十年以内にある一定の、何割の確率で地震が起きるということを政府がおっしゃって、それに基づいて予算もついて、みんなで準備しているわけですよ。だから、一定の年内にある一定の確率でということは政府が言っているわけですから、そういうこともおっしゃらずに、今のお話だと、何か小学校の校長先生が訓示するようなことしかおっしゃれないというのは、それはいかにも長官としては責任逃れではないかと思いますけれども、時間がありませんので、また時間を改めて、災害対策特別委員会で質問をさせていただきたいと思います。

 少しはTPPの審議にも入りたいと思います。

 今、このテレビ中継を見ていらっしゃる方々の中で、きょうは砂糖の話をしたいと思います。砂糖というのは重要五品目に入っている大変大事なものであります。これは大変特殊なものであります。森山大臣は百も承知でありますけれども、北海道のてん菜、そして鹿児島県、沖縄県のサトウキビ、大変な戦略物資であります。

 もちろん、私どもの砂糖の国内自給を高めるために絶対に育成をしていかなければいけない。さらには、北海道、沖縄、鹿児島という地方の、まさに地方創生、地域政策としても、基幹産業でありますから。さらに、サトウキビについては沖縄の離島も一生懸命つくっていただいています。ある意味安全保障上の問題もあるわけでありますから、大変重要な農産物であります。

 しかし一方で、当然、競争力という意味では海外の砂糖にはなかなかかないませんので、どうしているかというと、国内の生産農家を守るために、調整金という形で輸入の砂糖にお金を上乗せして、それを消費者の皆さんに製糖メーカーを通じて転嫁して、そのお金で国内対策をしている。大体、調整金が五百億、一般会計が百億円ぐらいで、ずっと国内の生産農家をみんなで守ってきたんですね。

 特に北海道の場合は、てん菜を加工する一つの流れが地域の中にあるものですから、しかも三輪作、四輪作ですよね、十勝とそれ以外では少し違いますけれども。三輪作、四輪作で、もしてん菜がつくれなくなったら、その三輪作、四輪作はできなくなってしまう。土地が荒れないように、小麦を植えたり、大豆を植えたり、てん菜を植える、その輪作ができなくなってしまう。そういうものですから、ともかく国民みんなで調整金を負担し、そして一般会計も使ってくる。

 しかし一方で、これまでの歴史を振り返りますと、どうしても調整金がうまく機能しない、つまり、たくさんいただけないものですから赤字が発生してくるということで、過去、累積の赤字がございました。一番高いときは七百億円を超える赤字の残高になります。これを、これまでの先輩たち、私たちの先輩たちの知恵で何とか解決してきたわけであります。例えば、砂糖の業界が持っている基金を一回取り崩しまして、砂糖年度の平成十八年度、それから一般会計でも、二十二年度に、一般会計を使って、取り崩して赤字を減らしました。それでも、今なお百八十一億円の累積赤字があります。

 ですから、この仕組みは大事にしなきゃいけないとなると、できる限りこの赤字を減らしていきながら、あくまでも調整金あるいは一般会計で負担しながら砂糖農家を守っていかなければいけない。その仕組みに今回のTPPが一体どういう影響を与えるのかということであります。

 これは大変大きな問題でありますけれども、二つ流れがあります。

 一つは、砂糖そのものから調整金を取っているわけであります。この砂糖の仕組みが少し変わりましたね。これは余り詳しく申し上げても一般国民の方はおわかりにならないので。ですけれども、どういうことかといいますと、特殊な砂糖の輸入を推奨するといいますか、調整金の少ない枠をつくるものですから、今回のTPPで砂糖に対する調整金が変わりまして、約二十億円ぐらい調整金が減るだろうという、これは北海道の農業団体が推計までしております。これは減る方向になる。

 実際、去年一年を見ましても、具体的に言いますと、タイの調整金等が取れるもの、関税が取れるものからオーストラリア産に変わってくるというような結果も少し出ておりますので、影響はあるだろうと思います。

 しかし、問題はそこではありません。最大の問題は、加糖調製品という分類のものであります。

 実は、純粋の砂糖を輸入する、それを、できるだけ関税をかけたり調整金を取って守ってきたのがこれまででありますけれども、加糖調製品といいますのは、例えば、一番わかりやすいのはお菓子のチョコレートですね、これは加糖調製品です。砂糖の入っている調製品、チョコレート。これはお菓子でありますけれども、例えばココアの粉と砂糖をまぜるもの、これは加糖調製品で、調整金はかかっていないんですね、これまで。

 だけれども、皆さん、ココアというのは一割ぐらいしかなくて、九割が砂糖なんです。砂糖九割にココアの粉を一割まぜて、これは加糖調製品ですから、砂糖じゃありませんから調整金は取りませんということですね。

 そうすると、砂糖ですから、この加糖調製品のココアの粉がちょっと入ったココア入り砂糖が入ってくると、砂糖の生産は大変困るわけです。砂糖の需要は減るわけです、その分、当然。国内農家は困るんですね。

 昔から、砂糖農家を初め砂糖業界の方は、この加糖調製品を、調整金を取っていただくなり、何とかふえないようにしていただけないかという要望はありました。これは森山大臣は一番御存じです。森山大臣も御要望されていたと思う。

 何と、ほっておいたものですから、十万トンふえちゃったんです。加糖調製品が四十万トンから五十万トンにふえちゃったんですね。だから、何とか調整金を取れないだろうかということでやってきたんですけれども、これはなかなか難しい。

 今回、TPPを議論する中で、政府としては調整金をお取りになるという、ようやく皆さんの御要望にお応えになるようになったんですけれども、ガットバインドというのがありまして、どうしても、これまで決められている関税ないし関税に類する相殺関税など、調整金も入ります、これを勝手にふやすわけにはいかないということがあるのでありますけれども、石原大臣、ガットバインド、これを何とかしようというふうにお考えにならなかったんですか、日本政府は。

石原国務大臣 加糖調製品については、今、岸本委員が御指摘されたとおりで、ココアパウダーとかチョコレート菓子、こういうものに対して要望がありましたけれども、今回は、粗糖とかあるいは精製糖についてはこれまでの枠組みですけれども、そちらの部分については、入ってくるものに調整金という形で国内産を守る、こういう仕組みをつくらせていただいたわけであります。

 そういうことで、今ガットバインドのお話をされておりましたけれども、そういうこれまでの経緯とこれまでの御要望とそして国際交渉、自由貿易協定という中で今回の結果になっているというふうに御理解をいただきたいと思います。

岸本委員 交渉過程については一切お出しいただけないわけですので、そういう木で鼻をくくった御答弁になると思うんですけれども、実は、交渉過程を教えてほしいというのはこういうところにあるんですよ。

 砂糖農家、てん菜をつくっている農家、サトウキビをつくっている農家からすると、政府は頑張ってくれたんですか、本当にと。せめて、交渉ですから、ガットバインドなんか取っ払って関税も残します、さらに調整金も取りますというような交渉を最初にやってくださったのか。それなら、交渉事ですから、最後、いろいろなことがあっても、まあ御努力は多とするということにもなるかもしれないけれども、今のお答えだと、最初から、ガットバインドをぶっ壊して農家のために一肌脱ごうなんて気持ちはさらさら日本政府になかったということじゃないですか、要するに。

 しかも、今回、関税を下げて特別枠をつくっているんですよ、加糖調製品に。さっき言った加糖のココア、ほとんど砂糖のココアの粉は、五千トンから七万五千トン、初年度五千トン、そして六年目七万五千トンと関税を優遇しているんです。十一年目には半分近くになっちゃうんですね。あるいはその他の加糖調製品についても、かなり数量の多いものについて、特別枠をつくって関税を下げているんです。

 一方で、さっき言ったガットバインドがありますから、あくまでも関税を下げた部分しか調整金が取れない。今までと変わらないんですよ、輸入に対するガードという意味では。これをやってくださっていないんじゃないか。やっていない、今の御答弁でわかりましたよ。全く、日本の砂糖農家のために、TPPにおいて、交渉において、日本政府が最初に高い球を投げていろいろな交渉をするという努力すらしていないことが今明らかになりました。

 そして、農林省の文章でも、二〇一五年十一月、「安価な加糖調製品の流入により、糖価調整制度の安定運営に支障が生ずることも懸念される」、農水省がそう言っているんです。そして、二〇一五年十二月の影響試算でも、「制度対象外の加糖調製品等への関税割当の設定等により、これらの輸入が増加。」明快に「増加」と書いてあるんですね。それで試算しているんですから。

 今、日本政府が交渉の過程を一切国民に知らせずに、まともな交渉をしたのかどうかもわからない、そんな中でこのようなことが起きていて、我々は本当に、サトウキビをつくっている農家、てん菜をつくっている農家の気持ちになったらいたたまれないですよ。本当に日本の農業を守るおつもりがあったのか。これについては本当に残念でなりません。

 森山大臣も鹿児島代表で、本当に私と同じ気持ちだと思うんですけれども、意に反する答弁をこれからなさると思いますけれども、どうぞ御答弁ください。

森山国務大臣 岸本委員にお答えをいたします。

 まず、砂糖政策について大変な御理解をいただいておりますことに深く感謝を申し上げます。

 今回の加糖調製品及び調整金の徴収の考え方でありますけれども、もう委員御承知のとおりでありますが、対象となる加糖調製品は、砂糖との用途の競合の状況に鑑みて、国内産糖の安定的な供給に影響を及ぼすおそれがあるものを基本的に考えております。

 具体的には、政令で定めることとなりますけれども、砂糖の含有率が五〇%以上のココアやあるいは粉乳の調製品等の加糖調製品を調整金の対象とするということを想定しているところでございます。

 これによりまして、大体、協定発効後、初年度で約七十億円、十一年目で百億円程度と試算をしております。

 これで事足りるわけではありませんが、引き続き、産地での収益力の強化とかあるいは製糖工場の再編合理化等もあわせて政策を進めさせていただき、てん菜糖農家やサトウキビの農家の皆さんに不安を与えることのないように努力をしてまいりたいと考えております。

岸本委員 森山大臣らしからぬ大変苦しい御答弁、残念であります。

 それで、最後に、もう時間がありませんので。

 実は、今回の情報公開をなさらない姿勢は、国会決議を無視しているわけです。衆参農水委員会の国会決議を無視しているんですけれども、この加糖調製品についてもやはり無視しているんですよ、政府は。

 平成十二年五月、衆議院農林水産委員会の決議があります。「砂糖の需要拡大を図るため、加糖調製品対策に取り組むこと。」という決議があるんですよ。平成十二年五月、これは砂糖の価格安定等に関する法律等の一部改正法案附帯決議です。今回も法案が出ています。この決議を全くこれまで踏みにじってこられたということであります。今回ガットバインドにチャレンジしなかったのも、この決議違反だと私は考えます。

 最後に、大変こういう厳しい中で、輸入の砂糖がふえるんです。農林省は認めているわけです、加糖調製品がふえますから。にもかかわらず、昨年発表された食料・農業・農村基本計画では、砂糖の生産は十年後に一割以上ふえる、そういう目標を掲げているんです。しかも、これは見直さないとおっしゃっている。これは本当に、余りにもひどいじゃありませんか。砂糖農家をないがしろにすることです。

 こういう審議を、こういう日じゃなくて、ちゃんとした落ちついた日にどんどんやろうじゃありませんか。ぜひそのことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

西川委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 民進党の篠原孝でございます。

 TPPの質問、この委員会、こんなことを言ってはなんですが、全国で私の質問を待っておられる方がたくさんおられたんじゃないかと思います。なぜやらないんだという電話、メールがいっぱい参りました。ですから、私は、地震についてもいろいろお伺いしたいことがあるんですけれども、TPPのことを中心にお伺いさせていただきたいと思います。

 これをちょっとお持ちしました。国民の皆さん、ちょっと見ていただきたいんですけれども、これは膨大なページの条約であり、国内法はこのぐらいのものはあったと思いますけれども、条約は一番だと思います。私、霞が関に三十年、続けて永田町に十三年、四十三年いて、こんなようなものに相当かかわりました。例えば、ウルグアイ・ラウンド、UR。今のURは全然違うものなんですけれども。ちょっと違うんです。ぞっとするんです、あの言葉を聞くと。そういうものがあって、それから海洋法条約というのもありました。だけれども、これだけ膨大なものはないですね。これをちゃんと審議しなければいけないと私は思います。そのためにこれをお持ちいたしました。英文のがこれだけあります。日本文がこれだけ。

 それで、ちょっとお伺いいたしますけれども、担当の大臣の石原さん、英文は当然僕もほとんど読めないです、日本文はどの程度目を通されましたか。協定の方です。

石原国務大臣 一通り目を通させていただきました。

篠原(孝)委員 そうですか。それはすごいと思います。私は、正直に申し上げまして、私も全部読んだと言いたいところなんですが、ほかの、さくらの木何とかという余計な、大事なこともしていますので、忙しくて読めませんで、半分ぐらいは目を通しました。膨大な内容です。

 アメリカのライアン下院議長はどう言っておられるかというと、共和党の下院議長ですけれども、どうするんだ、審議すべきじゃないかというのに対して、いやいや、審議を始めるかどうかとても判断できない、全然読みこなしていない、全部読んでからだと議長が言っております。なかなか見上げた態度だと思います。私は、それだけの内容のものだと思います。ですから、四月中に仕上げるとかいうのは論外だと思います。もっともっと慎重に審議するべきだと思います。

 そこで、一枚目の資料、パネルを見ていただきたいんです。

 今、地震との関係で、そんなに急いで審議する必要があるかどうかということを相当言われていますけれども、国際的に見て、グローバリゼーション、外国と歩調を合わせていきましょうというのがいつも日本の政策決定のときに言われております。

 では、TPPの協定承認と国内担保法の審議が一体どうかというと、これを見てください。日本が独走態勢です、承認もやろうとしているし、国内法も。国内法は、ここをちょっとよく見ていただきたいんですが、協定は承認が要らないところがいっぱいあるんです。それから、見通しを見てください。バツバツバツというのは、一年以内にやる見通しが立たないところ。アメリカとかチリとか、それは三つバツです。夏までに審議入りですよ。審議入りする、長時間審議するんです、それがバツです。国内法に至っては、審議入りの見通しが立っていないところだらけなんです。それだけ皆、慎重に対応しているところなんです。我が国はこんなに拙速で対応していいんでしょうか。

 私は、日本の役人のレベルは相当高いと思います。高いんですけれども、先ほどから問題にされています影響試算、こんなものをちゃんとしなかったら私はだめだと思います。何で日本は急ぐんでしょうか。途中、一番びりから入ったんです、二〇一三年の夏から。ブルネイに私も行きました、閣僚会合に民主党代表で。そこから、ばたばたばたとやって、入ってと、日本だけが急いでいる。

 何でこんなに急ぐ必要があるんでしょうか、石原大臣からお答えいただきたいと思います。

石原国務大臣 篠原委員のお示しいただいた表に、アメリカがバツバツバツと入っておりますけれども、もうこれは委員御存じのことだと思いますが、オバマ政権の通商政策の最重要課題はこのTPPであるということはアメリカも認めておりますし、また、昨年ですか、総理がお出ましになったAPECの首脳会談でも、この問題について各国とも前向きに取り組んでいこうということで合意されているわけでございます。

 各国政府は、この表を見てもおわかりのとおり、マレーシアなんかは、今委員が御指摘されましたとおり、議会の承認は必要としない、あるいはオーストラリア、ニュージーランドも議会の承認は不要で、現在審議中ということでございます。

 では、なぜ日本が急いでいるか。当然、法案を提出させていただきました、それは対策の法案でございます。また、協定の内容もすごく量が多くなるのは、各国ごとのタリフライン等々も示させていただいております。そういう部分も、私どもが一番影響があると思うのは、日本とアメリカ、あるいは日本とオーストラリア、日本とニュージーランドといった農産物のところを重点的に御審議いただくと、多くの方々が持っていらっしゃる不安というものも解消できる。

 そんな中で、これは総理がいつもおっしゃっておりますように、GDPの四割、三千百兆円の経済圏を共通の価値観を持って共通のルールでつくっていくことの意義というものは、この人口減少化社会の日本にとって私は意味のあることだと思います。ですから、御審議をお願いしているということでございます。

篠原(孝)委員 では、審議を急ぐのはいいんですけれども、スタートはいいですけれども、じっくり議論いたしましょう。拙速でやるのは絶対やめてください。そういう内容のものじゃないんです。ですから、しっかり議論していただきたいということ。

 それで、共通のルールとか言っておられますけれども、スティグリッツさんが来られて、官邸ではTPPに触れられなかったようですけれども、消費税についていろいろ意見を言われていたと。御存じだと思いますけれども、スティグリッツさんは、TPP阻止国民会議の代表である宇沢弘文さんのまな弟子なんです。環境とか安全保障とか社会正義、ジャスティス、エンバイロンメント、ピースとスティグリッツ教授は言っていましたけれども、普通の経済学者と違ってこの三つを大事にしていたんだと。彼の教え子ですから、ちゃんと考えておられます。

 スティグリッツ教授は、我々には、私が聞いた話の中では、官邸で会合した次の日ですけれども、TPPは批准するなと。どうしてか。オバマ大統領は、中国に二十一世紀のいろいろなルールを書かせてはならない、我々西側諸国がアメリカ中心に書くんだと。これは大賛成です。しかし、実際どうなっているか。ザ・ルールズ・アー・リトゥン・バイ・US・コーポレーション・フォー・US・コーポレーション、アメリカの企業のためにアメリカの企業人によって書かれた協定であって、アメリカ国民のためにも日本国民のためにもなっていない、だからこれを批准すべきじゃない、よく心得よと言って帰られました。消費増税について御意見を聞かれるんだったら、この意見もぜひきちんと聞いていただきたいと私は思います。

 次に、この図表をちょっと見ていただきたいんです。

 交渉をちゃんとやったと。まあ苦労されたでしょう、一三年から駆け足で。日本が入ったら四、五年かかると言っていたんですけれども、すぐやろう、すぐやろうと、一番やっていたのは日本です。これも矛盾しているんですが。攻めるべきところは攻めたと言うんですけれども、本当に攻めたんでしょうか。

 見てください。アメリカのトラックは三十年目に関税を下げると、三十年後の約束。まあ約束でしょうけれどもね。ですけれども、三十年後、平均寿命でいったら、皆さん、閣僚の中でどなたが生きておられるんでしょうか。余り女性の年を言うのはよくないですけれども、丸川さんがちゃんと生きている、平均寿命でいくと。ほかの皆さんは、みんなおられないんですよ、まあ平均寿命でいったらですけれども。だから、そういう先のもの。

 そして、日本を見てください。日本は牛肉を、三八・五%から一年目に二七・五%に下げている。当然なんです。交渉の成果を示さなくちゃいけない、それでだんだん下げていく。問題の自動車も、十六年目から下げる。これが対等に二国間交渉でやったということなんでしょうか。

 それともう一つ、これはアメリカに言われてじゃないですけれども、アメリカの大型車が売れない、日本の税制に問題があるということで、軽乗用車、長野県の山の中なんて軽自動車しか通りません、それから環境にも優しいというので自動車税を安くしてあるのに、アメリカの大型車を差別しているからとぎゃんぎゃん言われるから、自主的にこうやって上げている。こんな徴税権まで、関税自主権だけじゃなくて、日本の税制までアメリカに気を使ってやっているというのは譲って譲って譲りまくっているような気がするんですけれども、林経産大臣、これでちゃんと交渉したと言えるんでしょうか。自動車業界はこれで満足しているんでしょうか。

林国務大臣 まず、工業製品全体を見てみると、日本はアメリカからの輸入の約一割が有税でありますが、アメリカは日本からの輸入の約六割が有税であることにとどまるわけであります。TPPによって日本の工業製品のアメリカへの輸出の約七割の関税が即時撤廃されまして、最終的に一〇〇%の関税がゼロになるわけであります。

 自動車分野につきましては、まず交渉の前提がありまして、すなわち、乗用車もトラックも、完成車の関税については、アメリカが有税であるのに対して日本は無税になっておりまして、アメリカにとって、関税面では、日本とTPPのような自由貿易協定を結ぶメリットがないという状況にございます。

 また、我が国がTPP交渉に参加する際に日米間で、日本には一定の農産品、アメリカには自動車を含む一定の工業製品といったセンシティビティーが両国に存在するということ、アメリカの乗用車関税につきましては、TPP交渉における最長期間で関税撤廃をすることなどを確認したわけでございます。

 このような制約のもとで交渉いたしまして、乗用車については、関税撤廃の最長期間が三十年であるところから二十五年まで押し戻しました。

 また、何よりも重要なことは、自動車部品について、総額の八割以上が即時撤廃という結果を得ることができたわけでございます。

 我が国の自動車メーカーはアメリカで販売する七割強を現地で生産しておりまして、自動車部品につきましては、二〇一四年で約二・七兆円の輸出がございます。自動車部品メーカーは、地域の中小企業も含めて裾野が大変広くて、波及効果も大きいわけであります。

 一定の交渉の制約のもとでは、最大限の成果が得られたと考えております。現に、産業界からも歓迎の声明が出されておるわけでございます。

 なお、御指摘のアメリカ向けのトラックの関税につきましては、乗用車にも増して自動車部品の関税撤廃が重要な要素になります。

 大型トラックでありますが、アメリカ向け二五%、三十年後撤廃については、荷台のない状態のトラック、いわゆるキャブシャシーとして輸出をいたしまして、現地で荷台をつけて販売するのが大部分でございます。このキャブシャシーについては、大型トラックと異なりまして、四%の関税率となっています。

 また、アメリカで人気のあるいわゆるピックアップトラックについては、日本国内の需要がほとんどありません。北米で生産しておりまして、国内の生産ではありません。(篠原(孝)委員「もういいです、結構です」と呼ぶ)もうちょっとです。

 なお、軽自動車税でありますけれども、昨年四月に実施されました軽自動車税の引き上げについては、平成二十六年度税制改正において、与党税制調査会があくまでも国内における議論の結果として引き上げを決定したものだというふうに承知しているところでございます。

篠原(孝)委員 委員長、お願いいたします。ちょっと問題点の説明を余りしていないので、私の説明を聞いて、答弁はなるべく端的に、今までみんな答弁されていますし、そうしていただけたらと思います。

 私は、ある程度仕方がないと思っているんですよ、自動車を譲るのは。なぜかというと、この数字を見ていただければわかると思います。

 日本の貿易収支。見てください、一番上のところ。二〇一五年、七兆円の黒字です。二〇一〇年、五年前は円高だったんです、だから四兆四千億です。五年間で二兆七千億ふえている。これは、ですから、クリントン候補までも、トランプ氏だけじゃなくて、為替操作だ、これはおかしい、自分が大統領になったらこれを何とかすると言っているぐらいなんです。わかると思います。

 一番下のところを見ていただきたい。自動車部品と自動車です。相当黒字が多いわけですね。だから、これだけアメリカが買っているんですから、これ以上また買えというのは言いにくいですよ。私は、それはある程度仕方がないことだと思います。

 では、真ん中を見てください。農産物。

 イントラ・インダストリー・トレード、産業間貿易論、同じ産業界でチャラにしましょう、イーブンにしましょうという考え方があるんです。日本はずっとアメリカの一番いいお客ですよ。一兆七千億とか一兆八千億で、二兆円近くずっと赤字なんです。そうしたら、日本はこんなに買っているんだからこれ以上買えない、農業のことについては、工業製品と違って、農業なんてばかでかい広い農地と狭い山の中の棚田と同じ競争なんかできっこないんだから、そのぐらいはちゃんと考慮してくれよというのを言っていいはずですし、譲る必要はないんだと思います。

 だけれども、自動車で譲ったその分、センシティブなと林経済産業大臣がさっき言われましたけれども、農産物についてそれほど考慮してもらったんですか。さっき、お示しいただいたと敬語を使っておられました。僕は敬語の使い方が下手なのでよくわからないんですけれども、そんなのじゃなくて、ちゃんと要求してかち取らなくちゃいけないんです。

 農産物についてはそういう交渉をされたんでしょうか。森山農林水産大臣、お答えください。

森山国務大臣 篠原委員にお答えをいたします。

 関税撤廃が原則というTPP交渉の中で、我が国は国会決議を後ろ盾に交渉をしてまいりました。その結果、農林水産品の約二割を関税撤廃の例外とすることができました。特に、重要五品目を中心に、米や麦の国家貿易制度や豚肉の差額関税制度など、基本的な制度を維持するとともに、関税割り当てやセーフガードの創設、長期の関税削減期間を確保できたところであります。

 全体の成果についてはお答えをする立場にはありませんが、農林水産品の市場アクセスについては、交渉結果として最善のものとなったと考えております。

 また、今後のことでありますけれども、政策大綱に基づきまして、意欲ある農林漁業者の不安を払拭し、希望を持って経営に取り組めるようにすることで、重要品目が確実に再生産可能となるよう、引き続き、交渉で獲得した措置とあわせて万全の措置を講じてまいりたいと考えております。

篠原(孝)委員 次に、このポスター。私は過去のことをあげつらうのは余り好きじゃないんですけれども、余りにもひどいのでこれをちょっと使わせていただきます。

 「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」と。これはなかなかいいことを言っているんです。日本の国会議員の中でこれを一番実行しているのは誰でしょうか。一番、二番をつけちゃいけないですけれども、一番の部類に入るのは私じゃないかと思います。全然ぶれていないです。このポスターは近藤筆頭理事の地元で張られたポスターなんです。私の選挙区では全く張られませんでした。なぜでしょうか。私の応援ポスターになってしまうからです。

 こういうポスターというのは、今度、著作権の問題もいろいろあったんですけれども、一般の方はわからないと思いますが、非親告罪化、法定損害賠償制度とか、いろいろあったんですけれども。

 馳大臣、このポスターというのは著作権はどのように扱われるんでしょうか。国民にわかりやすく、簡単にお答えいただきたいと思います。

馳国務大臣 大臣という立場で個別の事案についてお答えする立場にはないと申し上げた上で、一応、著作権法を申し上げますが、第二条第一項第一号にこういうふうに書いてございます。「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」こういうふうに定義をされております。これに該当するものであれば著作物になる、こういうことであります。

篠原(孝)委員 何か刑事局長のような答弁でしたけれども、多分ならないんだろうと私は思います。

 それから、総理にちょっと注意しなければいけないんですけれども、私が出ていたとき、総理が、これは、自分は言ったことはないし、関係ないみたいなことをおっしゃいましたけれども、私は、これは自民党の総裁ですからちゃんと責任を持っていただきたいと思うんです。

 これは、多分、海賊版でもないですし、営業用でもないですし、パロディーとか二次製品ですね。だから、いいポスターなので、この次の総選挙でこのまま自民党のところだけを変えて私は使わせてもらおうと思っているぐらいなんです。本当にいいポスターです。だから、僕は絶対これは貫いていきます。ですから、二年前にお示ししたこのストップTPPネクタイも、このノーTPPバッジも、ずっとやり続けているんです、やはり問題だからと。

 それで、次。では、いつも、国会決議を守ったじゃないか、守らないじゃないかというときに、いや、国会でお決めになる、国会でお決めになると。

 これは、済みませんけれども、私の独断と偏見で、一国会議員ですけれども、私の判定です、守ったかどうか。見ていただきたいんです。三つ星レストランはありますけれども、ちょっとどぎつくするために五つバツでやりました。

 僕は、自民党の選挙公約は、これはこれである程度仕方がなかったし、そんなにだめというわけじゃない、ある程度守ったと思います。しかし、このポスターは、賛成しているわけですから、絶対五つバツですね。だから、うそをついて入るので、二つ合わせて十バツですよ。

 それから、農林水産委員会決議。

 再生産可能とか、除外。時間がなくなったので示しませんけれども、二六%ぐらいしか除外はない。再協議の対象になんか全くなっていない。それどころか、日本だけが七年後に五カ国と再協議しなくちゃならなくなっている。だから、これはバツバツバツです。

 食の安全と、濫訴、ISDは、将来のことですから一つぐらいのバツです。

 次に、日本が危うくなったら、聖域の確保ができなくなったときは脱退も辞さないという、そんなそぶりを見せたことはないんじゃないでしょうか。だから、これも五つバツです。

 七番目。まっくろくろすけだ、ノリ弁当だと言われていますけれども、真っ黒な情報公開。全く秘密ばかりで情報提供していないですね。だから、バツバツバツですよ。

 私は、国会決議に大きく違反していると思います。

 総理、この点についてどのように思っておられますか。まだ自信を持って絶対守ったと言い切れるんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 我々は国会決議を後ろ盾に、厳しい交渉を重ねたところでございます。いわば関税撤廃が原則であったわけでございますが、我々は、農産物においては二割の関税を、今までの例外を確保したところでございます。

 その意味におきましては、他の国々はほぼ一〇〇%になる中、我々は、この国会決議を背景に厳しい交渉をし、そして二割の例外をかち取っているわけでございます。

 こうしたところから、我々は、この国会決議にかなうものである、こう考えております。

 しかし、もちろん、この国会決議につきましては、国会において、かなっているかどうかということについては判断されるものだ、このように考えております。

篠原(孝)委員 では、国会で判断する前に、農民と農協の組合長の世論調査を見てください。悲惨な結果だと思いますよ。

 TPP不安九割、影響試算過小八割、それから、経営に悪影響六割、安倍内閣の農業政策について、評価しない、どちらかといえば評価しない。ずっとやってきて、不安は払拭された一・七%、妥当四・九%、よくなる一・一%、高く評価する〇・六%。これは、政党だったら消えてなくなる政党ですよね、政党の支持率だったら。これだけ農民の不信、不安を買っているんですよ。それで、夏の参議院選挙はどうかというと、ここはなかなか正直なんですね、与野党逆転七・八%、与野党の勢力が拮抗と。

 だけれども、僕は、六のところを見て、日本の農民は優しいな、農家は優しいなとつくづく思うんです。承認すべきではない、私と全く同じ人が四割です。しかし、五割が、十分な国内対策を確保すれば承認はやむを得ない、こういう人たちですよ。こういう人たちを、うそを言ったりだましたりなんかしてごちゃごちゃやっていくのは、僕はよくないと思うんです。こういう人たちの気持ちにやはり寄り添っていただきたいと思います。

 それで、五のところ。今まで、参議院の比例区に野党民進党から一人も出したことがないんですね、農業界から。これはなまくらだと、私は担当していてちょっとよくないなと思っていたんです。今回、ぜひ一人出させていただきたいと思っております。それは、この要望に応えて、与野党が拮抗するというふうにしたいんですね。今、完全に返事はいただいていませんけれども、きょうの国会中継を見ていて、周りの人たちがしようがないかと思って言っていただけることを願って、ここでやらせていただいております。

 次に、時間がなくなっているんですけれども、ばあっと説明させていただきます。大事なことです。

 福井理事は、国民皆保険を守れたということを言っておられました。これは議論している時間がなくなったので、この次にきちんとさせていただきますが、私の説明を聞いていただくということを中心にさせていただきたいと思います。

 医療費、医薬品がどうか。

 国民健康保険、皆保険について言っているところはないんです。しかし、二十五章とか二十六章、規制の整合性とか、それから透明性とか、それから、中医協が保健担当の国の機関というふうにみなされるとか、サイドレターにいろいろ書いてあるんです。

 見てください。一人当たりの医療費、Bのところ。アメリカが一番なんです。1、百二万円。日本は三分の一強。アメリカは、日本がいずれアメリカと同じになると見込んでいるんです。

 ですから、私は、四、五回、前半行きまして、マウイとアトランタは若手に行ってもらいましたけれども、誰も行かないときはずっと行っていました。そのとき、日本からは農業団体ばかり。アメリカからは、西川委員長はよく御存じだと思いますが、医薬品メーカーのロビイストの人たちばかりですよ。これを狙って来ているんです。

 どうしてか。一人当たりの医薬品支出になると、やはりアメリカが一番ですけれども、OECD諸国の中で四番目が日本です。そして、Fです、ここが大事。医療支出に占める医薬品支出は二〇%で、世界一なんです。皆さん、胸に手を当てて考えてください。日本人は薬好きなんです。これに狙いを定めているんです。

 アメリカの産業界、製造業はがたがたです。ですから投資とか金融だけで日本を攻めてくる。しかし、軍事産業と航空機産業よりも将来有望なのは、ここに書きました製薬企業と医療機械メーカーです。何と、上位十社のうち、アメリカが五社も占めているんです。日本はゼロです。武田薬品は十二位です、たかだか。こういうしみったれた業界も珍しいんです。ファイザー社、いろいろ悪いことをしています。アイルランドの会社を乗っ取って、それで税金逃れをしようとして、アメリカの内国歳入庁から怒られて、できなくなりました。

 これはどういう問題かというと、見てください、ハーボニーというのがあります。これは、C型肝炎の方には失礼なんですが、一錠八万円で、今は三カ月になったそうですけれども、完全にC型肝炎ウイルスがこの薬を飲んでいると消えるんだそうです。そして六百八十万円かかる。日本国政府は優しいので、本当は三分の一自己負担なんですが、ここに書きました高額療養費制度で、収入に応じてちょっとでおさまるんです。

 だから、アメリカ政府は何を考えているか。総理がよく言われる世界に冠たる日本の国民皆保険制度を悪用して、そこから利益を得よう。つまり、日本の高い医療費は、一生懸命医療活動をしておられる医師や看護師に行かずに、アメリカの薬品メーカーに行くんです。

 どうしてかというと、パネル、数字だけちょっと説明させていただきたいと思います。答えは後から。

 これを見てください。去年、二〇一五年の売上高ベストテン。ハーボニーが一番です。それはそうですよ。一錠八万円だとこうなりますよ。ところが、日本の厚生労働省も立派ですよ、こういう薬は多くもうけているからというので、横を見てください、拡大再算定というので、これだけ多く、一千億円以上のものは値段を下げるというふうになっているんです。値段を下げているんです、八万円から。いい制度だと思います。

 しかし、きょうは触れませんけれども、またやりますが、ISDSで、こんな制度は何だといって、アメリカはすぐこのギリアド社が訴えてくると思います。そうすると、日本の真面目な厚生労働省の役人も、いや、やっていられないかというふうになって、萎縮効果が出てきてしまうんです。私は、これが大問題だと言っているんですね。

 ほかに、もう一つのパネルをちょっと見せてください、数字ですけれども、せっかく用意したので。これでどういうふうになるか。ちょっと時間が過ぎそうなんですが、済みません。

 これは郵政、小泉政権時代、民営化しろとさんざん言いました。国の信用を盾に金融、保険をやるのはけしからぬと。それで、やりました。そうしたら、今、アフラックはどうしているんでしょうか。二万四千近くある郵便局でアフラックのがん保険が扱われているんです。生保レディーはちょっとしかいなくて済む。途中から方針を変更したんです、日本の制度を利用しようと。

 Aのところは省きます。Bのところを見てください。薬品の名前が知られて大衆化したとき、これはハーボニーです、保険対象医薬にすると。高いときはならないんです。そして、これでもうけようということでやっている。

 だから、中川さんという日本医師会の副会長は、先週、やはり何でもかんでも保険収載、保険の対象にするのは問題だ、医療費がおかしくなってしまう、社会保障制度がおかしくなってしまうと。

 それを、マウイ島でもアトランタでも、行司役に徹するとか。行司役なんていうのは、潘基文国連事務総長やグリアOECD事務総長のやることで、交渉担当者の言うことじゃないんですよ。

 だから、あそこで、バイオ医薬品の保護期間を十二年か五年かで大もめにもめるんです。片方は、特許があると百万円のが、極端な例だと、特許がなくなれば一万円になるんです。データ保護期間がなくなれば一万円になる。九十九万円。オーストラリアもニュージーランドも、揺りかごから墓場までのイギリスの社会保障制度をそのまま導入していますから、ほとんど国が、日本と同じように面倒を見ているんです。

 だから、塩崎厚生労働大臣が甘利担当大臣の尻をたたいて、八年でいいとかじゃなくて、三年、二年、一年にしなくちゃいけないと言わなくちゃいけないと思っているんですけれども、そういう連携はとられたんでしょうか。

 きょうはここで質問をやめにしまして、この続きを後でさせていただきます。

塩崎国務大臣 今、最後に再審査期間のことについてお話がございました。

 つまり、データ保護期間を八年にするという問題について甘利大臣と連絡をとり合ったのかということでありますが、当然のことながら、これは交渉過程の中でかなり激しい議論のあったところでございますので、この点については、当然、私ども厚生労働省と甘利大臣との間でも話し合いをさせていただきました。

 基本的には、TPP協定では、生物製剤、いわゆるバイオ医薬品の承認後、後発医薬品を承認できない期間であるこのデータ保護期間については八年以上とすることとされたわけでありますけれども、我が国では、データ保護期間と同様の効果を持つ再審査期間をそもそも今回の合意と同じように八年ということで設定をしていたわけでございます。そういうことであれば、再審査期間は、承認された新薬が医薬の現場で利用されて、そのデータを集めるための期間でありますから、そのデータ等をもとに当該新薬の有効性、安全性を再度確認していることから、医薬品の安全性を確保する上で必要な期間だと。

 大事なことはイノベーションと国民の負担についてどう考えるのかということで、新薬の開発の促進と後発の医薬品のアクセスとのバランスをどう考えるかということでございますが、今回の場合には、八年ということで、同じ期間を私どもとしては再審査期間という形で持っていたということで、問題はないということで判断をいたしたところでございます。

篠原(孝)委員 済みません、ちょっと時間が超過しているんですが、お許しをいただいて、一言だけ。これはお答えいただかなくて結構です。地震の問題です。

 地震、いろいろ問題ですけれども、私は、原発と地震のことを考えていただきたいと思います。

 川内原発が稼働しています。伊方原発のすぐ近くにあります構造帯が、先ほど岸本議員が言われたように、つながっているんですね。

 皆さん御存じかどうか、アメリカには百基以上の原発があるんですが、ロッキー山脈の西側には四基しかないんです。二カ所、四基。なぜでしょうか。環太平洋造山帯、火山帯、英語でリングオブファイアですね、ここのところは危ういから、そこには原発をつくってはならないと。それが、日本には五十基もある。アメリカには、あの広いところに、ディアブロキャニオンとパロベルデ、カリフォルニアとアリゾナに、二カ所にあるだけなんです。

 私は、安倍総理が、日本国民の生命財産を守る、安保法制が大事だとおっしゃるなら、日本の安全保障は、一番危ういのは原発事故が起こることだ。私は、こういうところには抗し切れないと思う。ですから、私は、なくす以外にないんじゃないか。

 この機会にぜひお考えいただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

西川委員長 次に、升田世喜男君。

升田委員 民進党の升田世喜男であります。どうぞよろしくお願いをいたします。

 私も、まずもって、このたびの熊本、大分の地震におきまして亡くなられた方々あるいは御遺族の方々に心から哀悼の意を表したい、こう思います。また、被災された方々に対しましては、心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 私も、本来であれば、今、TPPの議論をするよりは、この震災にどう対応するか、これに集中する方が政治としての役割は優先順位が高い、こう思います。

 聞くところによると、総理の強い意向でこのようになった、このようにお伺いをしておりますが、もっと、やはり被災地に寄り添うと。

 私は、青森県、東北であります。五年前のあの大震災を忘れることはできません。青森県は幸いにして、宮城、岩手、福島さんと比べれば低かったわけでありますけれども、しかし、八戸初め三沢地区は被災されました。私も、その二日後には八戸の方にお邪魔させていただいて、あの大きな船が港の上にどっかり乗っかっているというのは想像ができませんでした。

 そして、その後、陸前高田の方には、一カ月ぐらい後でしょうか、お邪魔させていただきました。このときはもう背筋が寒くなる思いでした。瓦れきの山、瓦れきの山、どこをどう歩いていいのか。いやあ、この地域はどうやって再生していくのかなと、本当にぞっとした覚えがあります。

 また、福島の住宅の方にも、仮設住宅で暮らしている方にもお邪魔をさせていただいて、お一人お一人にお話を聞かせていただきました。そうしますと、やはりだんだん孤独になっていくというようなお話もありました。それと、政府はせっかく住宅をつくってくれたんだけれども、雨漏りしたりとか、意外と快適じゃないんだよね、こんなぜいたくを言っちゃいけないのかもしれないけれども、そういう気持ちがあるなというのを、今、忘れることはできません。

 そして、このたびの地震というのは、皆さん想定外というのが、前震、本震。あの地震があって、まさかあの後にあれほど大きい地震があるとは予想できなかった。こういうことで、今、避難されている方が二十万人、そして、住宅の損壊は二千四百二棟、あるいは、先ほどお知らせがありましたけれども、一以上の地震の数が五百十一回。これはもう、熊本、大分、いわゆる九州でお住まいの方は、一、二時間先どうなるんだろうか、今はいいけれども、夜中に来たらどうしようかな、あしたはどうなるんだろうか、こんな不安の中で今、日々時間を過ごしているのではないかな、私はこう思います。

 そこで、まず仮設住宅についてお伺いしたいと思います。

 五年前の東日本大震災の教訓を踏まえて、この仮設住宅、先ほど、水漏れあるいはカビなんかが生えたりとか、こういうお話もありました。この対応についてはどのようになっているでしょうか、河野大臣にお伺いします。

河野国務大臣 現在、石井国交大臣のもとで、みなし仮設住宅に使える公営住宅、あるいは、用地を確保した後、短期間に建てられる仮設住宅の戸数がどれぐらいあるか検討していただいているところでございます。

 この仮設住宅は、恒久住宅に入っていただくまでに一時的に避難の方に入っていただくものでございまして、自治体と連携をして、避難する方が生活に支障がないよう、なるべくいい住環境で住んでいただけるよう万全を尽くしてまいります。

升田委員 震災事は、私から言うまでもなく、スピードが命ですね。すぐやるということがいかに大事かということは改めて御指摘をしておきたい、こう思います。

 河野大臣とは、先般、災害特別委員会で私は何点か質問させていただきましたけれども、きょうまた改めて、電気は命なりだ、私はこう思うんですね。ですから、大型の電源車を、例えば九州に一台、二台、あるいは北海道に一台、二台、東北に一台、二台とか、やはりエリアごとに備えておくということが大事だと思うんですね。

 この大型電源車が今どのような状況であるのか、あるいは、今後、これをもっと力を入れて、すぐさま電気を届けるんだ、それは公民館とか体育館とか、そういう大きなレベルの電源になっていかないと私は命を救えないと思うんです。この点については、河野大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 熊本県で、現時点では、約三万三千八百戸が停電をしておりますけれども、それ以外はもう解消したところでございます。今、困難な阿蘇市、高森町、南阿蘇村を中心に、崖崩れや家屋の損壊などで、そういうところはちょっと残っておりますが、あとは大体復旧をしたところでございます。

 電源車でございますが、今、九州電力では二百二十台を確保してございまして、そのうち百三十七台を熊本県に集中配置しておるところでございまして、特に、役場、避難所、病院、福祉施設等に重点的に配置をして、希望があればそこに回すという形で今対応をとっているところでございます。

升田委員 経産大臣がお答えいただきました。

 では、関連して、その二百何台とか物すごい数なんですけれども、この一台一台、私が申し上げたように、体育館一個に電気を与えることができる、これはそのぐらいのレベルの電源車なんですか。

林国務大臣 二百二十台全部ではありませんけれども、体育館全体をカバーできる電源車ももちろんございます。これは九州電力で全部持っているんじゃなくて、各電力会社に協力していただいてそこに集めているというところでございます。

升田委員 私は、これは電力会社が今持っているということで、先般もそういうお話を聞きました。私は、国として、広域自治体の中でもこれを配備する必要性があると思うんです。民間だけではなくて、生命と財産を守るのはやはり政治の役割でありますので、そういうところもこれから考えるべきだな、こう思います。

 次に、医療のことなんですけれども、やはり、被害に遭われた方が、これもスピード感を持って医療をなさる、これは命を救う意味では物すごく大事だと思うんです。

 そこで、特殊救急車、スーパーアンビュランスですか、こういう大きな、まるで病院そのものが車ごと動くというのが東京の消防庁にはあるようでありますけれども、生命と財産を救うためには、ただ単に地方の自治体に一つあればいいというのではなくて、これもエリアごとに私は設置すべきだ、こう思うんですが、これはどちらになるんでしょうか、担当大臣、お答え願いたいと思います、この必要性ですね。

塩崎国務大臣 救急の出動につきましては、当然のことながら、これは消防庁の方が所管をされているので、両省で、総務省と私どもとよく協議をしなければいけないというふうに思います。

 そういう意味で、私どもはそれらについて消防庁の立場を今申し上げる立場にはございませんが、私どもとして、例えば、この間の茨城のとき、基幹的な病院が水没をしてしまったというときにどうしたかといいますと、これはDMAT、日赤を中心とするそういったチームが、実際にテントなどをセットで、かなり大がかりな、普通DMATは五人とか六人でありますけれども、もっと大がかりな、処置室もあるような、そういうものを屋外につくることでいい医療を提供するということをやっております。

 あと、DMATも、当然のことながら機動的に動けるということで、今回も百九十一隊出ていますけれども、それらが必要なところに行って医療を施すということでありますが、ニーズによって、今先生の御提起のようなものが必要になるということもあろうかと思いますので、御意見をまた消防庁ともよく議論してみたいというふうに思います。

升田委員 災害時における医療体制というのは極めて大事だということは再度申し上げたいと思いますが、私が今申し上げさせていただいた、広域に一台、それは民間じゃなくて、政府が地方の自治体と連携してそれを備えるべきだという、この考えについてはどういう見解でございますか。

塩崎国務大臣 それもよく消防庁と役割分担を考えながら、ニーズに合って、先生がおっしゃるように、機動的に対応ができるような仕組みとしてどうあるべきかということを考えていきたいというふうに思います。

升田委員 熊本の赤十字病院では、全長十二メーター、総重量十八・六トンですか、特殊医療救護車両ということで、固定式のスライド式のベッドが四台と、まさに病院そのものなんですね。

 ですから、これほど災害が頻繁に起こる時代になったときには、これまでとは違う発想でより以上対応を強化するということは国としての役割だと思うんです。そういう教訓を私はもっと生かして、各自治体に一つというのはやはり財政がありますから無理でありましょうけれども、せめて北海道に一、二台、あるいは東北にも一、二台、九州にも一、二台。広域のエリアで、万が一あったときには、もちろん今までの対応でも対応しますが、そういう新しい発想のもとで、病院そのものが被災地の方に寄り添っていきますよ、こういう発想でもってより以上の安心を高めていくということは重要だと思うんです。これはしっかり取り組んでいただきたい、こう思います。

 次に、森山大臣に私はお伺いしたいんですが、このたびの熊本、大分の地震で、あそこは農業県、農業エリアでもあります、農地の被害というのは今どんな状況なんでしょうか。

森山国務大臣 升田委員にお答えをいたします。

 農地の被害についてはまだ全ての把握が終わっているわけではありませんが、ちょうど今スイカの出荷時期になっておりますけれども、選果機等が非常に壊れておりまして、そのことが今非常に気になるところであります。また、熊本はトマトの生産が日本一でございますけれども、そこもまた、やはり選果機等の支障がありますので、こういう問題を早急に解決しなければいけないなというふうに考えております。

 また、畜産におきましては、酪農の場合には乳を毎日搾らなきゃならないわけでありますが、そのことは何とか可能でありますけれども、阿蘇の一部において、どうしても廃棄をせざるを得ないという現象が起きておりますけれども、乳牛については搾れておりますので、何とか維持できるのではないかなというふうに考えております。

 また、一部、水利の関係で、配管等が壊れている部分があるということが情報として上がってきておりますので、今、専門官を中心にして、一チーム、そのために派遣をいたしました。現状をしっかり把握しておかなければならないというふうに考えているところでございます。

 また、林業につきましても、熊本、宮崎、佐賀でもちょっと山地の崩壊があるということでございまして、きょうヘリコプターを飛ばしまして、もう少し詳しく調べておきたいと考えております。

 今は救命が一番大事でございますけれども、その次には、やはりどう営農を続けていくかということが大きな課題となりますので、スピーディーにスタートができるように、準備をしっかりやりたいと考えております。

 以上でございます。

升田委員 今回のこの地震で、まず、直接体に被害を受けた方もおります。震災というのはそのことが第一義であります。これは即座にやらにゃいけません。

 しかし一方で、第一次産業というか、農業ですね、農業関係。大地が変わっていくわけでありますので、そこでまた今度は、あしたの暮らしをどうしようかという二次的被害が同時に発生している。

 この二つの目線で、地域の困り事と産業的な困り事を同時に対応していかなきゃいけない、私はこのように思うわけであります。この災害でもって、その対応がおくれて、いわゆる経済対応、産業の支援の対応がおくれて、よもや、みずから命を絶つようなことが断じてあってはならない、私はこう思うんですね。これはみんな連鎖ですから。これは、働いている人も、けがされた人も、みんなつながりがありますので、その点は十二分に踏まえておいてほしい、このように思います。

 東北は、今、観光にも力を入れて、インバウンドが五十万人、ようやく昨年そういう数字になりました。これは東日本大震災が起こる前の数字なんですね。実は、あの大震災があってから、外国人の観光客がぐんと減少し、政府の御支援もあっただろうし、何よりも各自治体の頑張りがあった。しかし、五年かかって、ようやくもとに戻ったということです。

 この五年間、関係している方々は相当苦労したんですね。私も、いろいろな人から、観光業者から、あるいはホテルの経営者から、今の状況が半年続くならばうちはもう倒産だというようなことを聞きました。座して死を待つわけにはいかないので、もう社員全員で営業をかける。そして、地元が地元を救うという意味で、地元のホテル、旅館を使ってもらいたい、居酒屋を使ってもらいたいと、みんなで地域を盛り上げてきました。

 そこで、私が気になるのは、九州というのは、これも有数な観光地であろうと思うんですね、すばらしいところだと思うんです。私も何度も行きたいぐらいのところなんですが、このすばらしい観光地がもとに戻るまで相当力を入れていかなきゃいけない。

 これに対して、経産大臣、今どんな考えで、そして何を先にやろうとしているか。これは国交ですかね、観光ですから。(発言する者あり)国交大臣がいない。なぜ国交に観光があるのかも私は不思議なんですね。本来は、これは経済の問題でありますから経済産業大臣がお答えするのに、なぜ国交省が。これは委員会でも私は申し上げさせていただきましたけれども。

 では、総理、どうぞ。

安倍内閣総理大臣 熊本県を中心に九州エリアの皆さんは、連休を前にしておりますので、多くの観光客が熊本及び九州を訪れることを大変期待しているわけでございます。しかし、現在のところ、新幹線、また在来線が一部運休となっております。また、高速道路も被害を受けております。

 そういう中におきまして、既に復旧に取りかかっておりまして、在来線におきましては、運行が停止をしていたところも運行が再開をしているところもございます。また、高速道路等につきましても、今全力を挙げて復旧に力を入れているところでございます。

 いずれにいたしましても、今、日本への外国人観光客は、八百万人からこの三年間で二千万人を超えるところになりました。ことしは恐らく二千万人を大きく超えていくんだろう、こう予測をしているわけでございますが、我々といたしましても、この震災の影響をできる限り抑えていきたい、このように思いますし、今後、ある程度中期的に、しっかりと、地域の皆さんにとって、海外からの観光客及び観光が復旧復興に大きな役割を果たしていくように努力をしていきたい、このように考えております。

升田委員 私に与えられた時間があと三分あるかないかなんですが、やはりこういう震災のときは、TPPの委員会を開かず、これに集中すべきだなと思います。ただ、せっかくの機会でありますので、私は、残された時間、青森県の農家の方々に寄り添う気持ちの中で、お時間の関係上、一点ぐらいでしょうか、安倍総理にお伺いをしたいと思うんです。

 長い時間をかけて、十月の五日ですか、TPPの大筋合意がなされました。今農家の方々はどんな心境でおられると総理は思っていますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 まだ私が野党時代でありましたが、当時、民主党政権において、当時の菅総理が、TPP交渉参加を検討する、こういうお話をされたわけであります。

 当時は、我々は野党でございましたし、私ももちろん役職についておりませんから、地元に帰ることが多かったわけでございまして、地域の農家の皆さんといろいろな話をさせていただきました。その中において、多くの農家の方々が不安を持っておられましたし、私の地元の農協も反対でございました。ぜひ安倍さんも反対をしてもらいたい、こういう話も伺っております。

 そこで、私も何回かミニ集会等を開きながら議論を行ったわけでございますが、ただ、当初はこのTPPについて随分誤解をしておられた方々もたくさんいらっしゃるわけでございまして、専ら花卉をつくっておられる方々につきましては、TPPの影響はほとんどないわけでございますし、また、野菜物につきましては、実際、ほとんど影響がない。むしろ、中国や韓国からの輸入品に対しての心配はあるようでございましたが、TPP加盟国との関係においてはそれほどさわりがなかったわけでございます。

 ただ、大切なことは、多くの皆さんが、やはり国の基であるこの農業を一生懸命、時には自然と闘いながら支えてきたんだという気持ちで、何とかこのことは政治の場にいる皆さんにもわかってもらいたい、こういう切々とした訴えがございました。確かにそのとおりでありまして、守るべきものはしっかりと守っていかなければならない。

 同時に、平均年齢は六十六歳を超えているわけでありまして、このままでは、残念ながら、大切なこの国の基である農業も守っていくことができなくなるわけでありまして、守るためには、改革、そして新しい地平を開いていく必要がある。このTPPについては大きなチャンスになり得る、このように思っております。

 ただ、もちろん多くの方々がいまだに心配をしておられるんだろうなと思います。そうした御心配に対応するために我々は対策を打ち出したところでございまして、対策の中身、どういう影響があるか、あるいは、それにどういう手を打っていくかということを丁寧にしっかりと説明していきたいと思っております。

 また、このTPPを機会として、若い皆さんが農業に夢や情熱を託せる、そういう分野に変えていく農政新時代をつくっていきたい、このように考えております。

升田委員 時間が来てしまいました。私、答弁を求めるよりも私が述べた方がよかったなと今反省しておるんですが。

 今、総理は、チャンスだとか、前向きなことを言いました。それはそれで否定しません。しかし、農家の方々と会うと、もうそんな状況じゃないですね。ですから、この辺はもう一回時間をとって、相当国内対策に覚悟がないと大変なことになるなということを私は今実感しておりまして、これはまた別なときにしっかりとさせていただきたいと思います。

 きょうは本当に、こういうTPPの云々よりも、生命財産を守る、そういう時間にしたかったな、こう思います。

 以上です。

西川委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十分開議

西川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。黒岩宇洋君。

黒岩委員 民進党・無所属クラブの黒岩宇洋でございます。

 まずは冒頭、このたび痛ましい震災が起きてしまいました。熊本、大分を中心に、九州地方で起きましたこの大地震で亡くなられた皆様、また御遺族の皆様に、心からのお悔やみ、哀悼の思いを申し上げさせていただきます。また、被災されました皆様に、心からのお見舞いを申し上げるところでございます。

 さて、きょうはTPP特別委員会ということですが、午後からこのチャンネルをごらんになった方はおわかりだと思いますが、午後一時からのNHKのニュースでも、この九州地方での大地震、大きく取り上げられていました。非常に不幸な出来事でありますが、被災者の皆様はもちろん、また全国の皆様も、やはりこの震災に対する対応や政府の姿勢に対して大変関心を持っていらっしゃる。そのように、きょうは午前中から、私ども民進党は、この災害対策を中心に議論させていただきました。

 もともとは、やはりこれだけの大震災でありますから、総理を初めとして、政府のきょういらっしゃる重要な閣僚の皆様には、まずは震災対応に専念をしていただきたいというのが私どもの願いでありました。仮に国会を開くのであれば、TPPも大変重要でありますが、しかし、今そこにある国民の生命そして財産の危機に対応していくのが、私は、政治の場での優先順位が高い、やはりこのプライオリティーをしっかり考え、議論をしていくべきだ、そのように思っております。

 そして、けさの与野党国対委員長会談で、私ども民進党からも、今申し上げた旨をお伝えしました。これは、私どもの国対委員長から私どももしかと聞きましたけれども、なぜそのように震災対応に総理を初めとして政府が専念をされないのか、そして、この国会でもTPPの審議をどうして国民の生命や財産よりも急ぐのか、このことについて、安倍総理、自民党総裁からの強い意向もあって、TPPを一歩でも先に進めたいという意向によって、今、震災対応の議論よりもTPPをということで承っております。

 私は、残念ながら、総理として、その意向というのはいかがなものかと思っておりますが、総理、お答えいただけますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 ただいまの黒岩委員の御指摘は、これは全く誤りでございまして、我々の政権が国民の生命財産を守る義務をないがしろにするということはあり得ないことでありまして、その優先順位が下だということは、全くこれはあり得ないわけであります。

 ですから、我々は、木曜日に発災以来、本当に一生懸命、私も陣頭指揮をとってきたつもりでございます。金曜日も土曜日も日曜日もそうでございます。

 その中におきまして、まずは、まだ残念ながら行方不明者の方々がおられます。そこで、自衛隊、警察、消防、あるいは救急部隊の方々が、まさに夜を徹して、昼夜を分かたず、一生懸命、救命活動、救助活動に当たっているわけであります。そこに全力を尽くすように、それに必要な部隊の手当て等はもう既に行っておりまして、彼らには今後とも全力を尽くしてもらいたい、こう考えております。

 また、避難されている方々に対する水や食料の手当て、これは、国としてはしっかりと、民間会社等からも調達をしつつ、あるいはまた、コンビニエンスストアに十分な品ぞろえをするように協力をお願いしながら、昨日中に、コンビニエンスストアにおいては七十万食を用意していただき、それはそれぞれのお店に届いたという報告も受けております。

 それとは別に九十万食用意しておりますが、それがしっかりと、さらには避難所に届いているか。そこは、残念ながら滞っているところもございますので、そこがなぜ滞っているのかということを点検しながら、それぞれの避難所をしっかりと確認しながら、そこへの交通手段と人手を確保すべく、これは自衛隊等にも御協力をいただきながら、民間のトラックだけでは不十分でございますから、そういう指示をもう既にきのうも出してきたわけでございます。また、きょうの朝も確認をいたしました。また、先ほど昼にも少人数で会議を開きまして、指示も出しているわけでございます。

 その中において、他方、重要なこの法案の審議については、審議するかどうかは私が決めることではなくて、委員会において、国会が決めることでございますから、国会が審議をするという御決定をされた以上、政府として義務を果たしていくのは当然であろう。

 しかし、この義務を果たしていく上において著しい支障が出るのであれば、それは我々政府としても応じかねるということは申し上げるわけでございますが、我々がやらなければいけない対応を、政府としての対応を横に置いておいてこの審議を先に進めるということは、毛頭、全く考えていないということは、これははっきりと申し上げておきたいと思いますし、基本的には、やはり、国会は国会として、委員会は委員会として、自主的に判断をしていくというのが三権分立のあり方ではないか、このように思っております。

黒岩委員 総理、午前中から、国会のことは国会のことだというお話ですけれども、これは与野党間という天下の公党で話をして、その中身を私どもも国対委員長から聞く限りは、総理の強い意向でTPP審議の方を先に進めていくんだということで承っておるんですよ。

 そして、総理の思いは今お聞きしました。きょうの議論の中でも、総理御自身でおっしゃっていました。確かに、木曜日に発災し、そして、その後、金曜日の時点では、一旦被害も把握したという認識であった。しかし、実は、木曜日の地震は本震ではなく、その後本震が起きて、状況は変わってきたということを総理はおっしゃっていました。

 また、きょう気象庁に確認しても、この被害の地域は拡大している、地震は活発である、これから一週間程度はさらに強い揺れも警戒しなければならない、こういう状況で、今この質疑をごらんになっている九州地方の被災者の皆さんは、今総理は思いをおっしゃいましたけれども、その思いをどういう思いでお感じになっていると総理はお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これは、発災以来、私ども全力で取り組んでおりまして、それがそうではないということであれば、それはどこが間違っているかということを御指摘いただきたい、こう思う次第でございます。

 同時に、もちろん、救命救急、救助に全力を尽くしていく、あるいは、避難をされて不安な時を過ごしておられる方々に対して、しっかりとその気持ちに寄り添いながら必要なものを届けていく、そのために、被災者生活支援チームをつくって、現地に派遣をしながら、自治体と一体となって、連絡も行いながら、連携しながらしっかりと支えていくチームをつくりました。

 これは、食料や水やトイレ等も含めて、ありとあらゆる生活にかかわる支援をしていきたい、また医療の支援もしていきたい、メンタルケアもしていきたい、こう考えている次第でございますが、そういう指示ももちろん出しております。

 であるならば、国会審議がずっと停滞していていいのかということは、これはまた別の課題でありまして、もし新たな地震が起これば、先ほども申し上げましたように、直ちにこの委員会も中止をしていただきたいと思いますし、また、私が離席をする必要があれば離席をさせていただきたいということはお願いをさせていただきたい、このように思います。また、特に河野防災大臣においては、質問等がなければ、できる限り職務にも当たらせていただきたい、こう考えている次第でございます。

 ただ、同時に、我々は国務大臣として、また私は総理大臣として、法案審議において求められれば答弁に立つという義務を負っているわけでございまして、委員会を開くというのは委員会の御決断だろう、このように思います。

 そして、その中におきまして、我々は、特に支障があれば今私はここに立って答弁をすることは控えさせていただき、きょうではなくてまた別の日にというお願いをさせていただくところでございますが、本日この段階においては、既に私のレベルで指示することは指示をしております。きょう朝も指示をいたしましたし、また昼も指示をしたわけでございますし、また、終わり次第、本部の会議を開くことを予定しているわけでございますが、そうした対応において十分に対応は可能であろう、こう考えている次第でございます。危機管理監のもと、また杉田副長官のもと対応しているわけでございます。

 ですから、私がそれを横に置いておいてどうしても委員会をやりたいなんということは全くないわけでありまして、委員会で法案を審議していくというのは、これはまさに委員会が託された責任だろう。委員会が託された責任を果たしていかれる、その中で、政府の立場にある私たちが求められれば答弁をしていくというのも義務でございますということは申し上げておきたいと思うわけでございます。

 であるならば、我々がさまざまな政務上の、政府としてのさまざまな日程において、こういう日程があるから国会を延期してもらいたいということは、できる限り我々は差し控えさせていただくようにしておりまして、国会の要求には優先的に対応しているつもりでございます。

 今回開くということを御決断されたのは、皆さんの党もそれは理事会で御決断をされているわけでありますから、委員会で決めたことについて、それはあなたの責任だと言うのはおかしいのではないかと思いますし、私どもは誠心誠意お答えをさせていただきたい。同時に、今、災害対応も政府として一丸となって全力を尽くしているところでございます。

黒岩委員 総理、今私が総理に質問したのは、今ここで、国会で審議している、これはやはり災害対応よりも別の事象を優先するということに対して被災者の皆さんがどうお考えになるか。このことについて、残念ながらお答えがいただけなかったと思っております。

 そして、総理が今、国会を停滞させてはいけないと。それは確かに私どももそう思っております。ですから、私どもは、予算委員会でのこの震災に対する集中審議や、また災害特の早急なる開会を求めました。

 そして、きょうはこのTPPに対しては、私どもも審議をすること自体拒否をするつもりはありませんので、ですから、午前中から、今回はこの場を使わせていただきながら、この震災に対する総理としての姿勢や政府としての対策についての議論を、ここから情報を発信することによって、全国の皆さんや、また被災者の皆さんも一定以上の御理解をしてくださっている、そのように私は思っております。これは私どもの主張として、姿勢として、今ここで審議をさせていただいているということを改めて訴えさせていただきます。

 それでは、防災担当の河野大臣にお聞きします。

 私は新潟県の選出の議員ですけれども、この十数年のうちに私ども新潟県も、不幸にも二〇〇四年には中越大震災、六十八名の方が亡くなるという大変大きな被害に襲われました。また、二〇〇七年は中越沖地震、これも十数名の方の貴重な命が奪われる、そういう大きな震災に遭いました。

 そのときには、ライフラインがとまりますね、電気も、水道も、ガスも。こういったときに、私の新潟の自宅もひびが割れて、私も被災した一人でありますけれども、やはり頼りになるのは政府なんですよ。何とか政府に対応してほしい、最優先に対応してほしい。自衛隊のことを総理もおっしゃいましたけれども、自衛隊の皆様の制服姿を見るだけでも安心できる、そんな声が私のもとにも本当によく聞こえてきました。

 その点において、河野大臣、きょう私どもは真摯にこの災害対応について議論をしているというのは、河野大臣からごらんになっても、これは望ましい姿だと思われませんか。

河野国務大臣 発災以来、政府は全力を挙げて救命救急並びに物資の支援に努めてきております。それ以外のさまざまな対応を今順次やっているところでございます。

 国会に報告を求められれば、この場で御報告をしたいと思います。

黒岩委員 私の問いに真正面からお答えいただけていないような気がするんですけれども、ただ、きょう、私ども同僚議員と河野防災担当大臣でいろいろな議論をする中で、今の現状認識や、また政府の対策が少しずつ、被災者の皆様にもさらに認識を深めていただく機会としては望むべき形だったなと私は思っておりますし、河野大臣も決してそのことを今否定はされませんでした。

 次に、森山農水大臣にお聞きしたいと思います。

 TPPといえば、きょうごらんになっている方も、やはり農業、農林水産分野に大変関心の高い方も多いと思います。そして、今回の被災地、熊本や大分、この九州地域も農業地域でございますので、このことに対しても大変被災者の皆様も関心が高い。農林水産業の被害についても、私は大変心配されていると思いますよ。もちろん、私の地元の皆さんでもTPPに関心が高い方もいますけれども、それでも今は、この九州での大震災についてどういう対応をしてくれるのかと。

 そこで、農水大臣、今、それこそきょうの議論にもありましたけれども、地元のスイカの選果機が壊れているとか、地元の麦のカントリーエレベーターも破損しているとか、こういうような状況であるわけですから、農水大臣としても、やはり第一にこの震災対応について議論をしていく、こういったことに対して前向きな姿勢を私はお答えいただきたいと思います。

森山国務大臣 黒岩委員にお答えをいたします。

 御指摘のように、熊本を中心とする九州地域におきましては、第一次産業の非常に盛んなところでございます。今回の震災のことも大変気にしておりまして、農林水産省としては、先ほども御答弁を申し上げましたが、現地に局長も派遣をさせていただきましたし、各部署におります熊本県に出向の経験のある職員も一緒に熊本に派遣をしております。

 今、災害の状況についても把握をしつつありますし、それをどう今後対応していくかということも省内で議論を進めているところであります。

 できるだけ、地震がおさまり、復旧に一日でも早く対応できるようにしなければなりませんし、そのときにスピーディーに対応ができるようにしっかり頑張っていくということが大事なことだと思っております。

 もう一つ、我々に課せられております大事な役割は、食料、水をどう供給していくかという課題がございます。おかげさまで、九十万食準備をするようにという総理の御指示に従いまして努力をしてまいりました、何とかそれはめどがついておりますけれども、どう輸送して被災者の皆さんのところまでお届けするかというところは、熊本県や関係自治体とも連携をさせていただいて、確実にお届けできるようにしたい、そういう対応を今しておりますことを御承知いただきたいと思います。

 以上であります。

黒岩委員 今も農水大臣、私どもがやはり一番優先しなければいけないというこの震災対応に対する真摯な御答弁もいただきましたし、きょう午前中から、この議論の中で、被災者の方たちも、また農業に対する関心の高い方たちも、少しずつ安心が高まってきているのかなと私は思っております。

 そこで、やはりまだまだいろいろな対応はしっかりやっていただかなければいけないということはこれからも続くことになります。

 きょう、激甚災害指定の話が出ました。これは、さまざまな災害が起きたときに、特に自治体から真っ先に、激甚災害に指定してくださいと。なぜならば、農業分野であれ社会インフラであれ、または例えば学校であれ、そういったものの被害について国の補助率がかさ上げされるわけですから、大変これが早く決まると、自治体としても対策、対応に動きやすいということになります。

 そして、きょう、総理の答弁でも、それは速やかにという話ですけれども、速やかに行うためには、実際に激甚災害に指定するかどうか、これは確かに政令で決まります。ただ、ここにいらっしゃる農水大臣や、先ほど申し上げた学校だったら文科大臣、主務官庁の大臣がその区域を告示するという行為がなければ激甚災害に指定されないわけですよ。そうしますと、今言った農地被害だとか学校の被害だとか、こういったものの積算がしっかりされないと、激甚災害に指定するにもできないんですね。

 そこで、農水大臣、とにかく一日も早く、これは常に滞るんですよ。確かに農地というのは、土砂崩れがあったときに、どこまでが被害かというのはなかなか積算するのが難しい面があることは承知していますけれども、だからこそ、本当に一日も早くこの対応に取りかかっていただきたいですし、きょう、こういった審議の場で私どもからも要求させていただくことは重要なことだと思っております。

 ぜひ速やかな対応を、もう進めていっていると思っておりますけれども、進めていただきたい、このことについて御答弁いただけますでしょうか。

森山国務大臣 私も地方議員として、激甚災害の指定を受けて本当に安堵したことを今思い出しておりますが、大変大事な御指摘だと考えております。

 農林水産省といたしましては、農地、農業用施設、林道といった関係施設の被災状況の把握に今努めておりまして、早期に結果が得られるように、関係する自治体とも連携をさせていただきまして、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

安倍内閣総理大臣 指定におきましては、今委員がおっしゃったように、自治体の皆さんは大変心配をしておられると思いますので、今大臣が答弁をさせていただきましたように、早急に事務作業も進めてまいりますが、基本的には、被災者の方々の側に立った気持ちでしっかりと指定はさせていただきたい、このように思っておりますから、どうか御安心をいただきたい、このように思います。

黒岩委員 その総理の決意が現実のものになるように、各省庁、主務官庁の大臣におかれましては、その積算について、本当に今からもう早急に取り組んでいただかなければいけないということを改めて申し上げさせていただきます。

 そして、きょうの議論にもあったんですけれども、国と被災地の、地域との連携という意味で、私どもは三・一一の東日本大震災のときに、その連携を図るために、内閣府の副大臣を、当時はたしか宮城県に常駐してもらって意思疎通を図りました。そして、甚大なる被害のあった福島県、岩手県に、やはりこれは事務方ではなく政務三役がその地域に派遣されて、そして地域の自治体と調整を図る。

 私も実は、当時政務官をしておりましたので、岩手県の政府現地対策室の責任者として何度か現地に行きました。その一つの大きな役割は、きょうも出ていましたが、各省庁からリエゾンと言われる、派遣されている職員がたくさん来ます。これは、国交省であれ農水省であれ経産省であれ文科省であれ、皆が別々の色の災害服を着ているわけですよ。

 ただ、これが縦割りですと、省庁ごとで何をやっているかは、省庁はわかるんだけれども、横でなかなかわからない。であるがゆえに、今言った現地対策室に政務官が行って、そして、その情報を全て内閣府防災担当に、大臣、副大臣に伝えるという、一元化を図るという、私たちは組織的な対応をしたんです。

 今、防災担当の副大臣が行かれているということなんですけれども、河野大臣にお聞きしますけれども、そういった縦割りだけではやはり被災地の皆さんの暮らしを、今、救命救助、これから被災者の生活再建に入っていく、このことに対して、各省庁横断的に、網羅的な対応がとれているのかどうか、これは大変重要なことですので、大臣の今の御認識をお聞かせいただけますでしょうか。

河野国務大臣 最初の地震の直後、内閣府防災部局から四名の先遣隊を現地に、これは自衛隊機で送っていただきました。松本副大臣が翌朝直ちに入りまして、現地対策本部を立ち上げて、そこに内閣府防災部局のほかに各省のリエゾンが今入ってきて、県知事を初め、県と調整をしているところでございます。

 また、自衛隊と警察、消防に関しましては、阿蘇と宇土に合同調整所を設けて三機関の調整を図っております。

 また、官邸では、対策本部のもとに被災者生活支援チームを立ち上げまして、各省庁から代表者に出てきていただいて、それぞれ垣根を越えて切れ目なく支援をする、そうした体制がとれております。

 毎朝、その生活チームから報告を、一元的に取りまとめて対策本部に報告をしていく。また、対策本部で総理からの新たな指示があれば、それをきちんと本部及びチームで受けて動いていくということになっておりますので、垣根のない、また切れ目のない支援を今行っているところでございます。

黒岩委員 そのような状況認識は、これは本当に現実のものとしてお願いしたいと思っています。

 当時、私どもも、朝晩と本当に十数にまたがる省庁の方々と全て情報共有し、それを知事に伝え、そして防災担当大臣に伝えるということを丁寧にやりながら、何といっても、被災者の方々に何が一番今必要なのか、こういったことをしっかりと的確に捉える努力をしてきた。そういったことをぜひ今回の震災に対しても続けていっていただきたいと思います。

 時間の関係上、もう一つ。きょうも話が出ていました。いろいろな不足物資を送っている。きょう河野大臣もプッシュ方式という言葉をおっしゃいましたけれども、これは、自衛隊がとにかくいろいろな支援物資をまずは現地に送る。ただ、きょうも、市町村までは届いていますけれども、各一人一人の被災者であるとか、また避難所のニーズとマッチングできるかどうかについては、明確な御答弁がありませんでした。

 現実に行くと、物は届くんだけれども、本当に必要なものか、そして、それが適切に、その方たちにとって大事なものか、このマッチングなしには、送ったら送りっ放しで終わってしまうということは避けなければならない。このことについてのマッチング、この対応についてはどのように今しっかりと見据えているのか、それを河野大臣、お答えいただけますでしょうか。

河野国務大臣 県からの要請がありました十一万食の食料を初め、現地からの要請があったものについては、ほぼ現地に届いております。

 政府側といたしましては、九十万食の食料を初め、水、トイレ、その他の物資を、今、鳥栖、福岡市、その他、拠点を設けまして、そこから日通及びヤマト運輸などの協力会社の支援をいただいて、現地に届けているところでございます。

 また、自衛隊、米軍にもこの物資の輸送の御協力をいただくことになっておりますので、今までは高速道路を使って、その後三号線で入れておりましたが、航空部隊その他の支援をいただいて、これは直接それぞれの自治体に届けることがもう間もなくできるようになるかと思っております。

 なかなか、自治体の中には、職員の中で被災した方もいらっしゃって、対応に苦慮しているところでございますが、全国知事会、関西広域連合、あるいはその他の都道府県、政令市から、既に五十名を超える職員が現地に入っていただいて、そうした手の足らないところの対応に努めてくださっております。

 また、今後は市町村ごと、一対一の外からの応援といったことが始まってまいりますので、もうしばらく時間はかかるかもしれませんが、既にきめ細かな対応ができるような作業は開始をしております。

黒岩委員 これは、防災担当の内閣府だけでなく、先ほど申し上げた、各所管省庁の政務三役の皆さんも、今はなかなかすぐに入れなくても、ここ永田町や霞が関だけで物を考えていても物事は的確に進みません。やはり被災地という現場をしっかりとごらんいただいて、そして、何が今望まれているかということについて、しっかりとした政府としての対応を再度強く求めさせていただきます。

 きょうは、とてもTPPに対して落ちついて議論ができる状況ではありませんでした。私の地元でも、TPPの議論を楽しみにしてくださっている方もいたかもしれませんが、しかし、冒頭申し上げた、やはり政治の優先順位は、今そこにある生命や財産の危機に対してどのように真摯な対応をしていくのか。このことを私どもも提案をし、今回の私たちの議論の時間は、九州地域での震災対応、対策について、しかと政府の今の状況や今後の対応について議論をさせていただきました。

 今後も、TPPも重要です、TPPの議論もしていきます、しかし、今起こったこの大震災に対して、総理を初めとして政府の真摯な対応を強く強く要請いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

西川委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 熊本県、大分県を中心とした九州地方地震で亡くなられた方々に、心からのお悔やみを申し上げます。また、被災された方々に対して、心からのお見舞いを申し上げたいと思います。

 今なお大規模な地震が続き、被害は広域に及んで、多くの方々が路上や駐車場などでの避難生活を強いられておられます。被害が甚大なもとで、今、政治は、救命、被災者救援にこそ全力を傾けるべきであります。与野党対決となっているTPPの審議は延期すべきだと私たちも民進党とともに強く求めてきたところであります。

 政府は、救命救援に万全の措置、被災者への支援、そして二次災害や被害の拡大防止を最優先の課題として、関係自治体とよく連携して全力を集中することを求めていきたいと思います。

 日本共産党も、即日対策本部を設置して、国会議員が現地に入りまして、地元の党組織、地方議員らと救援活動に全力を挙げているところであります。官邸にも、先週末、緊急の申し入れを行いましたが、今後も解決すべき必要な情報提供も行ってまいります。

 そこで、何点か総理に質問いたします。

 一つは、避難所での最低限の生活を維持するために、水、食料、電源の確保が緊急に求められております。政府は、昨日十七日夕刻、河野防災大臣のもとに被災者生活支援チームを設置して、関係省庁の職員を被災地の市町村に派遣して業務を手伝わせるとしております。

 昨日の非常災害対策本部の会議で、安倍総理は、食料や水の支援も倉庫に届くだけでは役に立たない、被災者一人一人の手元に届かなければ全く意味がない、こう述べられました。私も全く同感であります。被災者支援ではこのことを徹底して貫いていただきたいと思います。

 そこで、具体的に伺います。

 益城町、西原村でも、住宅は軒並み倒壊。南阿蘇村では、交通手段が寸断されて孤立するような被害を受けている。備蓄米や家庭の在庫の米や食料を持ち寄ってつくったおにぎりも足りなくなって、お年寄りや子供たちを優先するということで、みずから我慢されたり、寝るところも足りずに車で寝ているということなど、どこも深刻な実態であります。

 水や食料などの物流が、熊本県庁あるいは熊本市役所には届くけれども、その先、なかなか各地に行かない現状があるということでありますけれども、そういう場合に、例えば、九州各地から直接被災地に、つまり県庁や市役所に一旦持っていくんじゃなくて、直接被災地に届くように広域の対策をとるなど、総理が言われる被災者一人一人の手元に届くように直ちに手を打つべきではないか。

 水と食料については、指定避難所だけじゃなくて、自宅のお庭やガレージにシートを敷いたり簡易テントを張って過ごす住民の方々、路上や駐車場などで車中で寝泊まりされている、そういう避難生活を余儀なくされている方々がたくさんおられます。

 文字どおり、そういう方々も含めて被災者一人一人に届け切ること、まさに総理の言葉どおりに、きょうじゅうにもやる必要があるんじゃないかと思うんですが、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 具体的には河野大臣からお答えをさせていただきましたが、まさに今、笠井委員が言われたように、私も申し上げたことでございますが、いわば集積地まで、あるいは自治体の特定の場所まで行ってそこで滞ってはならないわけでありまして、被災者の方々お一人お一人に届けなければならないと考えております。

 そこで、確かに滞っているところがございます。しかし、まずは集積地、あるいは地方自治体の特定の場所までは相当の量が届いております。これから個々の避難所に全て当たりながら、そこにしっかりときょうじゅうに物資が届くように全力を尽くしていきたいと思います。

 また、南阿蘇は、当初は孤立をしていた場所でございますが、アクセスがなかなか困難な状況にもあるわけでございまして、ここにもきょうじゅうにしっかりと必要な食料、飲料水が届くようにしていきたい、こう考えております。

笠井委員 そのことはしっかりやっていただきたいと思うんですが、今、総理は、南阿蘇村のことをおっしゃいました。あそこでは、避難所とされている福祉センターの電源がなくなったために、テレビによる情報も得られない、冷蔵庫も使えずに、食料を在庫することができないということも訴えられました。

 電源車の配置など一刻も早い電源の確保、そして簡易トイレ、これは本当に大事な問題だと思うんですが、それも大量に確保するということで、これは緊急にやるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 南阿蘇は、確かに熊本側からは道路が寸断されてアクセスができませんが、大分側からはアクセスができるようになっておりますので、米四千五百キロが既に届いております。電源車につきましては、経産大臣のもと、各電力会社から集めて必要なところには動かしていく手配ができております。

 また、阿蘇につきましては、航空部隊等を利用して物資が入ることになっておりますので、きょうじゅうにはそれなりの物資がしっかりと現地に届くことになると思います。

笠井委員 これはしっかりやっていただきたいと思います。

 三つ目の問題ですが、西原村、ここでは約二千五百世帯の六割に及ぶ住宅が全半壊の被害を受けている。益城町でも住宅が壊滅状態の地域があるということで、住民の皆さんは、生活に必要なものをとりに倒壊の危険のある住宅に帰ったりしている。今求められているのは、被害を受けた住宅の危険度の判定だと思うんです。これは大事な問題だと思うんです。被災宅地の危険度判定も含めて早急にやり切る体制をとることは、二次被害による被害の拡大を防ぐためにも、被災者の生活を確保する上でもまさに必要になっていると思います。

 国土交通省は、被災建築物に関する応急危険度判定について、益城町で十五日に二十件、十七日には約六十名の体制で行うとしておりますけれども、益城町以外も含めて、一体いつまでにこれをやり切る計画なのか、その点、答弁をお願いしたいと思います。

河野国務大臣 この応急危険度判定につきましては、最初の地震の発災の直後に新潟県の泉田知事から全国知事会に呼びかけをいただきまして、これが恐らく一番最初に必要になるだろう、それで必要になるのはマンパワーだということで、全国知事会から人を出すということを御連絡いただいております。

 そのほか、建築士協会を初めとする大勢の関係の皆さんのボランティアを今いただいておりまして、四月十七日、益城町では六十名近い人数に出ていただいて対応しているところでございます。

 二度目の地震がありまして、その後の余震が続いているものですから、その作業自体なかなか危険を伴うところもあるものですから、今のところいつまでにやり切るという計画を出せていない状況でございますが、余震が落ちついてまいりましたらば、きちんと計画をお示しできるようにしてまいりたいと思っております。

笠井委員 きちんと計画を出して、速やかにということでやっていただきたいと思います。

 四つ目の問題で、被害の大きさに直面した被災者の方々の中には、住宅を再建できないということで、もうここでは暮らせないという気分が広がりつつあるということも声として伺っております。

 中越地震や東日本大震災では、木造の一戸建ての住宅の活用を積極的に行うことが被災者を励ましてきたということが経験としてあると思います。今回も、仮設住宅のあり方については、プレハブ住宅を一律に押しつけるんじゃなくて、被災者が被災前に住んでいたところに帰れることを展望して進めるということが必要ではないかと思うんです。

 総理、この点でも、かけ声だけではなくて、まさにおっしゃったように、一人一人の被災者の思い、そこに届くことが大事だということも言われたわけですから、やはりそういう思いを反映するということで徹底する、そういう立場で臨むことが必要ではないかと思うんですが、総理の基本姿勢について伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まずは、体育館等避難所で生活しておられる方々がよりよい住環境に移られるように力を入れていきたい。仮設住宅等も含めて、借り上げ等、あるいはまた旅館施設等を活用させていただきながら今の状況を改善していきたい、それに全力を尽くしていきたいと思います。

 そして、その先において、もと住んでおられたところにまた生活を再建していくことができるように、生活再建の支援にも力を入れていきたい。それは、お一人お一人の気持ちに寄り添いながらきめ細かく対応していきたいと考えております。

笠井委員 一人一人の気持ちに寄り添いながらきめ細かく対応するという点でいうと、私、問題提起させていただいたように、これまでの体験からいっても、仮設住宅のあり方、やはり、もといたところに住めるようなことを展望してそういうことのあり方も考えるということが極めて重要になっていると思いますので、その点はしっかりと検討して、具体的にやってもらいたいと思います。

 さて、こういう状況下で、隣接する鹿児島県の九州電力川内原発、これが稼働を続けていることに多くの不安の声が寄せられております。

 震源域が九州横断的に拡大しているということで、この地震が今後どのように広がるかは予測がつかないということであります。現に、きょうの午前の質疑でも、橋田気象庁長官が、地震の予測は難しい、少なくとも一週間程度は強い揺れ、地震活動に警戒が必要だということで、この場でも答弁されたとおりだと思うんです。

 しかも、あそこでいいますと、新幹線、それから高速道路が不通ということで、万が一原発事故が起きた場合に、避難に重大な支障が生まれることは明らかだと思います。

 そこで、日本共産党は、不測の事態に備えて川内原発を直ちに停止することを求めたいと思います。その上で、少なくとも、稼働継続ありきではなくて、稼働継続していいのかどうかという是非についても、政府として、専門家の英知も持ち寄り、結集して真剣な検討を行って国民、住民の不安に応えるべきじゃないかと思うんですが、このことについて、いかがでしょうか。

 私たちとすれば、原発は直ちに停止すべきだということでありますけれども、しかし、少なくとも、稼働継続ありきじゃなくて、継続の是非について、政府として、英知を結集して真剣かつ具体的な検討を行って不安に応えるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 まず、稼働中の川内原発についてでありますけれども、今回の地震による最大の地震加速度が約十二ガルと、原子炉を自動停止させる基準値八十から二百六十ガルよりも十分に低いということから、原子力規制庁は現状において停止する必要があると判断していないわけでございます。

 また、他の停止中の原発も、最大で玄海原発が十七ガル、伊方原発が十ガル、島根原発が二ガルと、基準より十分低くなっているところでもございます。

 原発の状況については、経産省から九州電力に対しまして、正確な情報を迅速に発信するよう指導したところでございますし、官房長官からも原子力規制庁に対して、正確な情報を迅速にしっかり発信するよう指示が行われておりまして、規制庁において対応されているものと承知しているものでございます。

 原発そのものに関しましてでありますけれども、電源に乏しい我が国は、安全性の確保を大前提に、経済性、気候変動の問題に配慮しつつ、エネルギー供給の安定性を確保しなければなりません。その際、徹底した省エネの推進、再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電の高効率化、資源の確保等々に全力で取り組み、原発依存度を可能な限り低減していく。

 その上で、原発の再稼働については、安全神話の信奉が招いた東京電力福島原発事故を片時も忘れず、真摯に反省し、その教訓を踏まえていくべきことは当然のことでございまして、再稼働については、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると判断した原発のみ、その判断を尊重して、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針でございます。

丸川国務大臣 原子力防災の点から申し上げますが、川内原発の避難については、現時点における避難経路の寸断等の事象はございません。

 また、本日朝十時半から原子力規制委員会の臨時会議が開催をされまして、川内、玄海、伊方、島根の各原子力発電所について、規制委員会において、今のところ安全上の問題がないと判断されたと報告を受けております。

 また、地震の広がりに変化があれば、臨時に原子力規制委員会を開催するということも伺っております。

笠井委員 今答弁を伺っていまして、この場でも、私、予算委員会などでも、繰り返しこの原発問題、避難計画のことも含めて質問させていただきましたが、率直に言って、両大臣の御答弁を伺いながら、本当にわかっていないな、福島事故がどうだったのか、まさに安全神話ということを口にされながら、またみずからがそういう形に入っているんじゃないかということを強く感じたところであります。想定外というのは許されないわけであります。

 私が議論しているのは、原発をこれからどうするかということについて議論することは、それはそれで議論はあっていいですよ。だけれども、結局、稼働継続の是非について、今このまま川内原発を動かしていいのか、あるいは伊方も触れられました、そういうことも含めてしっかりと、今の時点でまずとめるべきじゃないか、少なくとも英知を結集すべきじゃないかということを提起しているわけであります。想定外ということは絶対許されないわけですよ。

 しかも、原子力規制委員会の話をされましたが、避難計画というのはこの新基準の中にはありません。繰り返しやりましたよ。規制委員会が基準の中に避難計画を入れているわけじゃないわけですよ。

 だから、規制委員会がいいと言ったって、例えば、今、避難経路と言われた。では、どうやって避難するかとなれば、薩摩川内市でいえば、市長自身が新幹線を活用したいと繰り返し言われているわけです。そういう形でやっていて、今回の地震によって事故になると限らないわけですよ、別の要因で川内原発で過酷事故が起こるかもしれない。そのときにどうやって逃げるかということについては、寸断されたり、新幹線がなかったり、どうするのかという問題があるわけですよ。

 そういうことについてもまともな検討もせずに、英知を結集してとにかくどうしたらいいかよく考えようということもなしに、ただただ継続するということは、私は許されないと思います。

 これ以外にも、まだまだ解決すべき問題、地震に関しては山積であります。政府が行う救援、被災地、被災者支援の活動を促進して、問題点を速やかに解決する取り組みこそ、現下の国会の最大の任務だと思います。

 そういう意味では、TPPを審議している場合じゃない。だから私たちは延期せよと言ったわけですが、それでも政府・与党が審議するというのであれば、審議の前提となる基本問題として、私は、残された時間、TPPに関する情報開示について質問をしたいと思います。

 四月五日の衆議院本会議で、私が、TPP、環太平洋連携協定、これについて十分な情報開示を求めたのに対して、安倍総理大臣は、交渉参加の際の秘密保護に関する書簡による制約はあるというふうに答弁されました。

 この秘密保持に関する書簡による制約というのは何のことですか。

石原国務大臣 具体的な秘密保護に関する書簡についての話でございますので、まず私から簡単に御答弁させていただきたいと思います。

 この書簡の内容については各国とも表に出さないということでございますので、その書簡がどういうものであるかということは御勘弁を願いたいと思いますが、秘密とするべき情報が外部に出ないようにするというものでございます。

笠井委員 石原大臣、この書簡、秘密保持契約というのは、いつ、誰が署名したものですか。

石原国務大臣 正確な年限は今ちょっと手元にないんですけれども、鶴岡首席交渉官が署名をしたものだと承知しております。

笠井委員 いつですか。

澁谷政府参考人 政府代表鶴岡公二が、三年前の七月二十三日、マレーシアのコタキナバルで、我が国が正式に交渉に参加したときに署名をしたものでございます。

笠井委員 鶴岡代表が、日本が交渉に参加した二〇一三年の七月二十三日に署名をしたということであります。

 この秘密保持契約というのはどんな内容か、改めてきちっと答えてください。

石原国務大臣 先ほども御答弁をさせていただきましたとおり、この書簡に記載されている内容については、その内容についても公にしないということで加盟国が合意をしているということでございますので、その内容については、制約があると総理が御答弁をされているとおり、制約があるというふうに御理解をいただきたいと思います。

笠井委員 内容についても明らかにできなくて、制約があると言われても、国会も国民もわからないですよね、何が制約なのか、どんな制約か。

 では、総務省の情報公開・個人情報保護審査会、お越しいただいていると思いますが、伺います。

 平成二十七年、二〇一五年の四月二十八日付の審査会の答申書というのがここにございます。この秘密保持契約について、審査会が、諮問庁、内閣総理大臣に確認した内容について、この中で何と書かれているか、紹介をしていただきたいと思います。

山内政府参考人 委員御指摘の答申書の該当箇所を読み上げさせていただきます。「当審査会事務局職員をして諮問庁に確認させたところ、本件対象文書において合意した内容は、TPP協定交渉に参加した後の各国とのやり取り等の具体的交渉内容を秘密にすることはもちろんのこと、本件対象文書の内容自体も秘密にすることを合意したものであるとのことであった。」

 以上でございます。

笠井委員 今答弁にあったように、諮問庁である内閣総理大臣に確認したところ、二つだと。一つは、合意した内容は、TPP協定交渉に参加した後の各国とのやりとり等の具体的交渉の内容を秘密にすることはもちろん、もう一つは、二つ目に、秘密保持契約の内容自体も秘密にすることを合意したものだというものであります。

 総理、交渉の入り口で、その交渉に入った日に、既に情報を開示しないと約束をしていたということだと思います。しかも、秘密保持契約の内容まで秘密にするというのは、驚くべき秘密主義の二乗、三乗ぐらいになりますね。そういうことじゃありませんか、総理。

安倍内閣総理大臣 TPP交渉につきましては、これはまさに、バイの交渉よりも、十二カ国で交渉を重ねていかなければならないわけであります。十二カ国でマルチの交渉を進めていく上においても、それぞれバイの交渉もするわけでございます。日米もやれば、日豪もやれば、あるいは米国とニュージーランドがそれぞれ交渉しながら、それを積み上げていき、最終的にはマルチでバインドして協定がなされるわけでございますが、途中でそれぞれの交渉が外に出るということは、それぞれの国にとって、いわば国内での議論が沸騰するということとともに、Aという国とBという国がこういう交渉をしていたのかということが、またCという国とBという国との交渉にもはねてくるということになるわけでありまして、そういう、いわばガラス細工のような交渉を進めていく上においては、やはり交渉が妥結するまでにおいて当然秘密は守らなければならないということでございます。

 とともに、どういう交渉をしたかということは、それぞれ、国と国との信頼関係にもかかわってくるわけでございますし、また、それぞれの国が、今後経済連携交渉を行っていく上においての戦略自体を表にさらしていくことにもなるわけでございますから、そうしたことも含めまして秘密にさせていただいているところでございますが、十二カ国それぞれが了解した上においてなされた書簡でございます。

 と同時に、この書簡にサインをしなければ交渉には参加できなかったという厳然たる事実もあるということも御理解をいただきたいと思います。

笠井委員 だから、最初から日本政府としては、秘密で言えないということはわかっていたということであります。

 しかも、今総理は、途中で情報が明らかになるとそれぞれの国内で議論が沸騰すると言われましたけれども、ある意味当然だと思うんですよ。だって、国民生活や経済活動にとってどういう影響があるのか、プラスマイナスがあるのかを含めて、それは議論が沸騰して当たり前で、主人公は国民ですから、それ抜きに問題を進めるということ自体が私は本当に問題だと思います。

 私、外務委員会でも何度も通商協定の問題の審議にかかわってまいりましたが、日本政府が、これまでの貿易交渉、経済交渉、バイの場合、マルチの場合と言われましたけれども、いずれにしても、そういう通商協定をめぐっての交渉の中で、今回のTPP交渉のような秘密保持契約を交わしたという事例がこれまでにありますでしょうか。

木原副大臣 お答え申し上げます。

 我が国の経済連携協定交渉において、TPP交渉参加の際のように、今御議論になったような秘密保持に関する書簡や契約を交わした例はございません。

笠井委員 ないんですよ。これまで、バイ、マルチで交渉があったって、秘密保持契約なんかやったことはないということであります。他の貿易交渉、経済交渉とも異質だということが大きな問題としてあると思います。

 そこで、総理、平成二十五年、二〇一三年三月十五日、その直前に、私は二回、直接、予算委員会でもTPP問題を議論させていただきましたが、その後、三月十五日に、TPP交渉に参加する決断をしたということで、記者会見をされました。そのとき、何と国民に約束をされたか。ここに官邸の会見録がございます。これを見ますと、総理は、TPPにさまざまな懸念を抱く方々がいらっしゃるのは当然だと言われた上で、交渉に参加すれば今よりも大分情報が入手しやすくなると考えています、公開できることは進捗の状況に応じてしっかりと国民の皆様に提供していきたい、こう表明されました。

 参加すれば今よりも大分情報が入手しやすくなると考えている、公開できることは進捗の状況に応じてしっかりと国民の皆様に提供していきたいと言われました。間違いありませんね。

安倍内閣総理大臣 当然、交渉に参加しなければ、中でどういう議論がなされているかは、我々は情報を入手することができません。交渉に参加するということは、交渉が成立をして協定が発効するということとイコールではないわけでありまして、まず交渉に参加をしなければ、TPPでどういう議論がなされているかはわからない。ですから我々は交渉に参加しました。と同時に、交渉に参加した中におきまして、秘密を保持していくという書簡にサインをしているわけでございます。

 しかし、その中において、可能な限り、我々は、交渉の過程においても、澁谷審議官の方からブリーフできることは相当程度ブリーフしているものと承知をしております。

笠井委員 可能な限りといったって、重要な情報は出さないというふうなことを最初から約束しているじゃないですか。TPPの情報開示に制約があるというふうに先日の本会議で言われたどころか、交渉の入り口から秘密保持契約で国民と国会には明らかにしない仕組みを認めていた、それで入って交渉してきたということであります。国民に約束していたことと全く逆、言っていることとやっていることが違うんじゃないかと思います。

 だから、甘利・フロマン会談の記録ということで、こんな墨塗り、黒塗り文書が出てくるんじゃないかと思うんですが、こういうことじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 これまでも、通常、通商交渉にしろ外交交渉にしろ、基本的には、交渉過程においては、相手国との関係があって、それは外交的な機密扱いとなり、機密はそれぞれの国で保持をされるわけでございます。それが全くない交渉というのは基本的にないわけでありまして、そうした交渉について、基本的に文書はそうした外交機密となっている、今までもなっているわけでございます。

 ただ、その中においても、それが、事実として、結果として漏えいしたことも多々あった、それぞれの国からもあったわけであります。そうしたことがあったからこそ、今回、このTPP交渉においては、そうしたことが絶対ないようにしなければ、この十二カ国で初めての試みはなし遂げられないだろう、成就できないだろうという中において、我々が参加する前にこのTPP交渉に既に参加している国々はそういう判断をし、今回は書簡を交わしたわけでございます。

 誤解をされると困るわけでありますが、今までも、交渉過程についてどんどん外へ出していいということではないわけでありまして、日本においては、交渉過程においても基本的に極秘あるいは秘密扱いには当然なっていたわけでございます。特定秘密ではございませんが、外交秘密には当然なっていたのは常識であろうと思いますし、それぞれの国でそうなっているのは事実であろう。

 ただ、今までそうしたことで、それが外に出ていけば、とても志の高いこの協定は成就することは不可能であろうということから、そうした書簡が交わされた、こういうことでございます。

 ちなみに、先ほど挙げられた甘利、フロマンのやりとりにつきましては、それは記録は残っていないというふうに承知をしております。

笠井委員 記録が残っていなくても、どういう中身かといって問い合わせたものに対して出てきたのがこれでしょう。真っ黒じゃないですか、全部。真っ黒じゃないですか。(発言する者あり)いや、この中に入っているんでしょう。そういうことも含めて、わからないじゃないですか。違いますよ。出てきた文書はこれでしょう、要求したのに対して出てきたのは。

 私は別に理事と議論するつもりはないですが、要求に対して出てきたのがこれですよ。そういうことですから、とにかく、これじゃだめだということですよ。誰も納得しませんよ。

 先ほど外務副大臣も言われたけれども、これまで、バイ、マルチの交渉でも秘密保持契約はなかったんですよ。今回でいえば、さっきも話がちゃんと出ました。合意した内容は、協定交渉に参加した後の各国とのやりとり等の交渉の具体的内容を秘密にすることはもちろんのこと、保持契約の内容自体も秘密にする、こんなことになっているわけでありまして、結局、そういう形で、これが幾ら意味があるとかそういう協定なんだと言われたって、その経過も含めて国民は全くわからないじゃないかという問題であって、だったら出したらいいじゃないですかという話なんですよ。

 どう言いわけしても国民を欺いたことになるんじゃないか。違うというんだったら、墨塗り、黒塗りにするんじゃなくて、交渉参加時の国民への約束に従って資料を国会に提出すべきだと思います。ちゃんと出してください。

石原国務大臣 先ほど総理からも御答弁をさせていただきましたとおり、日本国がこの交渉に参加する前提として、この秘密保護に関する書簡に署名をさせていただいた。その書簡に署名をしない限り、TPPには、議論にも参加することができませんし、どのような議論がなされている、どういう自由貿易圏、経済圏をつくるかということがわからない。これを、例外なき関税撤廃ということを前提としないということを総理が御確認いただいて、交渉に参加した。そういうことはぜひ御理解をいただきたいと思います。

笠井委員 国会や国民に秘密にしなければいけないような交渉に参加していいのかということ自体が問われていると思います。

 二〇一三年の四月の国会決議は、TPP交渉で収集した情報は国会に速やかに報告し、国民への十分な情報提供、幅広い国民的議論を行うことを求めております。これにも違反すると申し上げたいと思います。国民と国会に情報開示できないような交渉の結果が国民の利益になるのかというのが大問題であります。

 では、もう一点伺います。

 政府のTPP対策本部の澁谷内閣審議官に確認をしたいと思います。

 当委員会の四月七日の会議録ではこう答弁しております。「秘密保護に関する書簡、ニュージーランドのホームページにひな形が掲載されておりましたが、実際に政府代表鶴岡公二が交換した書簡というものがそのものずばりかどうかということについてはお答えを今までしておりませんが、ほぼそれに沿った内容だということでございます。」こう答弁されましたが、間違いありませんか。

澁谷政府参考人 そのとおりでございます。従来から対外的にそのような答弁をさせていただいております。

笠井委員 従来からと言われましたが、澁谷審議官自身がおっしゃったように、「ずばりかどうかということについてはお答えを今までしておりませんが、ほぼそれに沿った内容だ」と、ニュージーランドのホームページにひな形が載っているものに、ほぼそれに沿ったものを秘密保護に関する書簡として署名をしたということを答弁されたわけであります。

 内閣官房TPP対策本部のホームページにこの秘密保護契約のひな形が掲載されております。三つの確認事項が書かれておりますが、第一項目めには、秘密保持と交渉文書の提供の範囲について何と書かれているでしょうか。

澁谷政府参考人 「次の者に対してのみ提供され得る。」というこの(1)、(2)でございますか。(笠井委員「違う。第一項目ですよ。全ての交渉参加者」と呼ぶ)

 「全ての交渉参加者は、交渉テキスト、各国政府の提案及びそれに伴う説明資料、交渉内容に関連する電子メール、その他の交渉の文脈の中で交換された情報については、各参加国が公開に同意しない限りは、秘密のものとして保持されるという前提で提供されていることに同意する。」これがひな形に書いてある内容でございます。

笠井委員 二項目めには何と書いてありますか。

澁谷政府参考人 あくまでもひな形に書いてあるということでございますが、二項目め、「これらの文書は次の者に対してのみ提供され得る。(1)政府職員、(2)政府外の者であるが、政府の国内協議プロセスに参加し、これらの文書にある情報を検討する又はこれらについて助言を受ける必要がある者。これらの文書の閲覧権限のない者に共有することはできない。」

 以上でございます。

笠井委員 ここに、ひな形の要約ということで、TPP政府対策本部提出の資料があります。

 この一項目め、まさに今あったように、「全ての交渉参加者は、交渉テキスト、各国政府の提案及びそれに伴う説明資料、交渉内容に関連する電子メール、その他の交渉の文脈の中で交換された情報については、各参加国が公開に同意しない限りは、秘密のものとして保持されるという前提で提供されていることに同意する。」

 その上で、「これらの文書は次の者に対してのみ提供され得る。」と。(1)で政府職員。英語の方を見るとガバメントオフィシャルズと書いてありますから、職員というふうに言うかどうかは別だと思うんですが、政府の関係者ですね。それから二番目に、「政府外の者であるが、政府の国内協議プロセスに参加し、これらの文書にある情報を検討する又はこれらについて助言を受ける必要がある者。」ということで、そういう範囲が書かれているわけであります。

 TPPの交渉参加国を見ますと、企業の幹部など民間人も諮問委員会のメンバーを務めております。政府以外の者であっても、政府が行う国内協議に参加し、交渉文書の情報を検討し、知らされる必要のある者も交渉文書の提供を受けることができるというふうにあるわけです。

 ということは、こうした利害関係者には秘密扱い情報を開示してきたんじゃないかと思うんですが、いかがですか。こう書いてあるんですけれども。それに署名したのが政府ですね。

澁谷政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の五月ぐらいに、交渉中のテキストを議員の先生方にお見せするべきではないかといったような議論が国会でもなされまして、そのときも随分論点を整理して御説明をしたつもりでございますが、この書簡の趣旨は、あくまでもそこから先に秘密の情報が漏れないということでございます。

 したがいまして、必要性とは別に、情報を提供する相手方がきちんと守秘、秘密を守るという義務を負っているということが前提であるというふうに私どもは理解しているところでございます。

笠井委員 答えになっていませんね。

 提供した相手がそれ以上ほかに漏らさない、守秘義務があるかどうかという話を今は答えられたんだけれども、そうじゃなくて、それはその後に書いてありますよ。「これらの文書の閲覧権限のない者に共有することはできない。」と書いてあるわけですから、それは別の話で、ここで言っている、文書、情報を提供される対象というのは、「政府職員」、あるいは、それ以外に、「政府外の者であるが、政府の国内協議プロセスに参加し、これらの文書にある情報を検討する又はこれらについて助言を受ける必要がある者。」と書いてあるわけですから、私が聞いているのは、政府以外でも情報を知らされる、知ることができる人がいるんですねと。

 つまり、それはいいですよ。しかし、それは開示できるかどうかは、それ以上は守秘義務がかかりますよは別の問題。政府以外の者、企業関係者などを含めて、そういうことについて開示されるということがあるんですね、あるいは情報提供することができるんですね。この仕組みの問題、契約の中身について聞いているんです。

澁谷政府参考人 我が国の中で政府職員以外にその守秘義務を負っているという者を、現時点では、私どもとしては関係者に見出しておりません。

 もし過去にそういう説明をしたとしたら、私が説明をしたということになると思いますけれども、私どもが、この秘密保持の書簡で漏らしてはいけないという秘密を、先生がおっしゃるようなそういう形で情報提供したということはございません。

笠井委員 私は、秘密保持契約について聞いているんです。

 わざわざ、秘密にしますよということを言った上で、これらの文書、要するに関係する文書について、共有できる対象を限定して二つ書いているわけですよ。政府だけじゃないということも書いて、日本だけじゃないですよ、これは各国、十二カ国がこの保持契約を結んで交渉してやってきたというわけですから。

 つまり、この秘密保持契約そのものについて言うと、政府以外にも知らせていい相手がいるんですね。秘守義務がどうだとか、日本の場合を聞いているんじゃないんです。このことについて聞いているんですよ。契約そのものについて、鶴岡さんが署名したわけだから。

澁谷政府参考人 ひな形に書いてあるのは、全くそのとおり、ひな形に書いてあるとおりでございますが、鶴岡公二が署名した実際の書簡についてどうかということについては、従来と同じでございますが、お答えを差し控えるということでございます。

笠井委員 だめですよ、それは。澁谷さん御本人がそんなごまかしちゃだめですよ。

 先ほど確認しましたよね。四月七日のこの委員会での澁谷審議官の答弁、そのとおりだとあなたは認めたんだから。そこには、「ニュージーランドのホームページにひな形が掲載されておりましたが、実際に政府代表鶴岡公二が交換した書簡というものがそのものずばりかどうかということについてはお答えを今までしておりませんが、」と言った上で、ひな形と「ほぼそれに沿った内容だ」とあなたは言ったでしょう。認めたじゃないですか。

 では、日本の場合、ひな形とどこが違うんですか。言ってくださいよ。言えなかったら議論できないでしょう。

澁谷政府参考人 二〇一一年以来、各国でこの書簡を出せというような議論があった中で、各国で合意されている取り決めといいますか、共通の答弁ラインがございます。

 その一つは、ひな形モデル、モデルレターというものがおおむね基本形である、ほぼそれに沿った内容である、しかしながら、実際に各国が署名した書簡の内容についてはお答えしない、これが各国の共通の答弁ラインでございます。

笠井委員 それ自体が問題ですよね。誰が聞いたって、ひな形といって、ほぼ同じ内容と言いながら、どこが違うかも言わないことをお互いに合意している。

 では、そのことをどこで合意しているんですか。文書があるんですか。交わした合意が、文書があるんですか。

澁谷政府参考人 我が国が参加する前にそのような合意がなされたということを、関係国から私どもは聞いているということでございます。

笠井委員 関係国から聞いているというだけで、では、日本自身は、そういうことで合意したというので、聞いているだけですね。そういう言いぶりにしましょうねという話を聞いているだけですね。

澁谷政府参考人 そのような前提で交渉に参加し、交渉を行ってきたということでございます。

笠井委員 そのような前提というのは何ですか。

 これはちょっとだめですよ。だって、そのような前提、聞いているという前提で交渉をやってきた。そんな交渉をやっているんですか。そういうふうに言うようにしていますと聞いていますという前提で私たちはやっていますと。余りにひどいんじゃないですか。この問題は、時間があればもっといろいろやりたいんですよ。

 それで、地震の問題をまずきちっとやらなきゃいけない、そういう議論の場を本当につくれと言ってきたわけですけれども。しかも、私、きょうは、先ほど木原副大臣に答弁をいただきましたが、外務大臣に求めていたんですよ。だって、TPP協定は、提出者は外務大臣ですよ。趣旨説明したのは外務大臣ですよ。先週段階のところでは、外務大臣は出席大臣で入っていて、私も要求していました。だけれども、どういう理由か知らないけれども、私には全然説明なく、大臣は出られませんと。しかし、本来ならば、提出した責任ある大臣がここにいなきゃだめですよ。こういう問題についてだって、審議官が答えるんじゃなくて、大臣自身が、提出者としてどうなんだという議論をすべきだと思いますよ。

 この問題で日本が交渉に参加するかどうかというときだって、あのときに安倍総理とも議論しました。後から交渉に入る場合には、それまでの交渉で合意したことについては文句を言わないとか、そういう問題があるんじゃないかと言ったら、総理大臣自身が、ぼやっとしている、そういう文書はまだ来ていないという話もあった。

 全てそういう状況でこのTPPの問題が議論されてきて、それで、もう署名した後ですよ。署名した後も、ではどういう形で秘密保持をやってきたのかということについても、また秘密ですと。ひな形と日本が署名したのがどう違うかといったら、ほぼ同じ内容ですと言うのは、その言いぶりも、ほかの交渉国がそういうふうにやってきたということを聞いていますので、私たちもそう言っていますと言う。

 こんな形で、これからの日本の国のあり方とか、いろいろ言われますよ。農業に大きな影響がある。みんな心配していますよ。農業だけじゃない、医療やいろいろな分野で問題があるんじゃないか。

 少なくとも、そういうときに、政府の側とすれば、署名した責任として、署名するなと言いましたよ、参加するなと言ったけれども、やったんだったら、ちゃんと国民に対して納得いく説明をする。少なくとも、いろいろな配慮をしながらも、でも、このことは言いますということがあったっていいじゃないですか。

 でも、秘密にします、何を秘密にするかもそれは秘密です、こればかりでしょう。しかも、政府関係者以外に知らせているんじゃないかといって、このひな形についての、ほぼ同じと審議官が言ったことについて聞いても、まともに答えないんですよ。

 こんな形では、TPPの審議をとにかく一歩でも前へ進めたいと総理は言われたそうだけれども、それできょうもやったそうだけれども、全然審議や議論も深まらないじゃないですか。

 この委員会が始まってからずっと、また、途中で、政府の答弁、それからいろいろな問題がありました。先ほど冒頭には、西川委員長も運営については気をつけるとおっしゃったけれども、いろいろなことがありながらも、結局、議論が進まないのは、これは政府の態度ですよ。こんなことで審議は進められませんよ。

石原国務大臣 秘密保護に関する書簡につきましては、私の方で、このような議論も過去にございましたので、どこと申すことはできませんけれども、関係国に問い合わせをさせていただきました。

 その御答弁は、先ほど澁谷審議官が申したとおり、ひな形を示すということは構わない、しかし、ひな形がどういう内容であるか、具体的なことについてはそのことも含めて答弁をしない、こういうことで各国合意しているということでございましたので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

笠井委員 どこで合意したのか、その問題ですよ。どうですか。(発言する者あり)

西川委員長 お静かにお願いします。

石原国務大臣 先ほど来お話をさせていただいておりますように、日本はおくれて二〇一三年に、総理が関税の原則撤廃ということを前提としないということをオバマ大統領との間でお約束していただきましたので、私どももこのTPP交渉に参加するということを党として是認をし、交渉に入ったわけでございます。

 この交渉に入る前提の中で、この秘密保護に関する書簡というものに署名をしない限り交渉に入ることができないというときに、今委員の御指摘されたようなことが話として結ばれたというふうに御理解をいただきたいと思います。

笠井委員 そうしたら、交渉に入るときに、この保持協定に署名しないと入れないということがわかったら、その時点で国会と国民に対して、こういう交渉ですけれどもよろしいですか、こういう保持契約によってあなた方には情報は言えません、しかし、このひな形でいえば、政府以外にも言える人はいます、これでいいですか、そうやって問いかけてやるならいいですよ。

 だけれども、入るときに総理自身が、入ればいろいろなことがわかるから、できる限り知らせると国民に対して言ったのに対して、全然違うじゃないですか、やってきたことが。

安倍内閣総理大臣 笠井委員が指摘をしておられる点なんですが、二つのことを意図的にちょっと混同しておられるのかなと思うんです。

 まず、私が申し上げているのは、TPPにおいてどういう交渉がなされているのか、そして、いわば最大の問題は、我々の農業分野が守られるのか、あるいは、聖域なき関税撤廃ではないということを確認できるのか、また、今までどういう交渉がそういう問題意識の中から見てなされてきたかという点だろうと思います。

 しかし、そもそも、今ここで笠井委員が議論されているのは交渉スタイルの問題でありまして、交渉を進めていくスタイルにおいては、交渉の仕方としては、しっかりと秘密を守っていく。今までの経済交渉等においても秘密は守られているんですが、今度はちゃんと書簡という形で、日本が入る前は十一カ国で、お互いに秘密保持ということを、書簡で秘密を保持するという義務をそれぞれに課していたということであります。

 そして、あくまでも、今までも外交交渉においては交渉過程は秘密にされていたんですが、この十二カ国が入って、成就しなければいけないものは、この約束をちゃんと義務として課さなければできませんねという中において、それはなされたわけであります。

 他方、その中においても、我々は、説明すべき、あるいは説明することができる点はある、このように考え、その中で我々は誠意を持って説明をさせていただいたところでございます。

 そして、まさにこの委員会で議論することが求められていることは、どのような協定であるかということだろうと思います。まさに我々が別の義務を負っている、つまり、経済交渉の中において、関税を、あるいは非関税障壁等で何か秘密の約束をしているということであればそれは大問題でありますが、そうではなくて、約束されたことは全て協定に盛り込まれているわけでありまして、それは千七百ページにわたるものでありまして、相当膨大なものを私たちは開示させていただいています。

 まさにこの中身についてここで議論されることこそが、TPPについて、国民の皆様、あるいは心配をしておられる農業関係の皆様、あるいは消費者の皆様に対する誠意ある姿勢ではないのかな、このように考えているところでございます。

笠井委員 前提が崩れている話なんですけれども、総理、今、必要なことは説明してきたとおっしゃいましたけれども、説明されてきたんだったら、我々はこんな議論をしないですよ。だって、もっとわかっていれば、もっとその先の議論ができるわけですよ。そういう説明がないからこういう形で議論になって、保持協定の問題が問題になっている。

 それから、結局、秘密の話があるかというと、もうでき上がったものが全てだと言われますけれども、そんなことは信用できないですよ。だって、澁谷審議官がたった今言いましたよ。何でこういうふうになっているということについて、ひな形と実際の日本が署名したものがほぼ同じという答弁ぶりをしたかというと、今まで先立って交渉に参加してやっていたところがそういうふうにしていたと聞いていると言われたわけですよ。聞いているという話でしょう。そういう話があるわけです、このTPP交渉に当たって。

 だったら、あのでき上がった協定の文書以外に、全てだと言われるけれども、何にもないのかというと、実はこれはこういうことがありましたということがあるんじゃないか。まさに今のやりとりを聞いたって、澁谷審議官の答弁ぶりからもはっきりそのことが浮き上がってくると思うんです。

 交渉スタイルの問題というふうに総理は言われましたが、このスタイルの問題が大事で、入り口、前提なんですよ。総理は午前中の質疑でも、TPPは二十一世紀の未来に向かってすばらしいものだというふうに言われたけれども、私たちはそう思っていません。しかし、これがどういうものかということについて議論する上でも、情報が出てこなかったら判断しようがないじゃないか、こういう問題になってくると思います。

 実際にこのひな形に基づいて考えてみますと、アメリカ政府のUSTR、通商代表部によれば、アメリカの諮問委員会制度は、一九七四年に設置されたものでありますけれども、二十八の諮問委員会から成って、約七百人の民間人が諮問委員を務めている。商工会議所や企業幹部などであります。米政府が他国に提示する前に意見を表明する機会が与えられて、一般に公開されない情報へのアクセスが許されて、通商交渉に直接関与するシステムがアメリカにはあるということであります。

 ですから、澁谷審議官が言われたみたいに、実際は日本では政府以外に知らせていませんよと言うけれども、十二カ国参加している中で、アメリカとかそれ以外の国で、政府以外に、多国籍企業の代表とか、あるいは企業の代表とか、そういう人たちに知らせていいという中身になっていますから、そういうことになるんじゃないかという問題があります。

 総理、秘密保持契約のひな形によれば、企業の利害関係者などには情報開示が可能で、ある意味、だだ漏れということであります。極めて重大だと思うんですよ。そうでないとおっしゃるんだったら、ほぼそれに沿った内容だという日本政府が署名した秘密保持契約を出していただきたいと思います。そうしないと議論の前提の前提が始まらない。交渉スタイルと言われるけれども、スタイルといったって、入り口の前提が大事なんですよ。総理、いかがですか。

石原国務大臣 問題が二点ありますので、ちょっと二つお話をさせていただきたいと思うんです。

 御党の立場は、二〇一二年の野田政権時代、志位委員長が一月の本会議で御質問されているときから変わっていらっしゃらないのは理解いたしました。秘密交渉には日本は参加すべきではない、すなわち、TPPには一切タッチするなというのが御党の主張であるということはこれまでの議論で理解させていただきましたが、もう二〇一二年の一月の段階で、ニュージーランドのホームページに、TPP交渉中のテキスト及び交渉の過程で交換されるほかの文書を秘密扱いとする旨の記述が掲載されていることは承知していると、時の野田総理も認識をされていたわけであります。

 我々も、当然、その後、政権交代をして安倍政権ができて、この交渉に参加するということ、すなわち、協定、条約に入る入らないを発議することができるのは政府・与党でございますので、その政府・与党が、今回、協定という形で御審議をいただいている。

 ですから、これに反対という立場はわかりましたが、しかし、ここの部分についてはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 それともう一点、一般論として申し述べさせていただきますと、今の委員のお話の後段の部分でございますけれども、守秘義務がかかっている人が秘密に該当する情報を守秘義務のかかっていない者に対して伝達するということはないんです。それが前提でなければ、秘密なんというものは守られない。こういうふうにぜひ御理解をいただきたいと思います。

笠井委員 大臣、二〇一二年以来、我が党の立場は変わらないという話をしきりに言われたけれども、私たちは反対だからといってこの議論をしているんじゃないんですよ。議論の前提ですよ。賛否は別にして、国民にとっていいのか悪いのか、どういうメリット、デメリットがあるのか、総合的にきちっと審議するのがこのTPP特別委員会の趣旨ですよね。その結果としてどういう結論を出すかということであります。

 そういう議論をしているのであって、私が言っているのは、十二カ国の中には、政府以外にもいろいろな形で、守秘義務があるかどうかは別としても、要するに、政府以外でもこういう形に該当すれば情報を知らされるということがあると言っているわけで、アメリカなんかではそういうシステムがあると言っているわけで、そういう問題を含めて、この問題が実際に日本の国民にとっていいのか悪いのかということが問題になっているという議論をしているんですよ。

 国民と国会には秘密にしながら、参加国の企業など、利害関係者には日本国民が知ることができない交渉過程、それから情報を随時知らせる約束をしていたということ自体が大きな問題だと思います。秘密保持契約まで結んで、国会や国民に情報開示できないような協定というのは審議しようがない、TPP協定は撤回せよということを強く言いたいし、関連法案を含めてきっぱり廃案にすべきだ、このことを強く主張して、きょうの私の質問は終わります。

西川委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 熊本県熊本地方を中心に襲った連続的な地震で多くの被害が出ている状況に胸が痛みます。心からのお見舞いを述べますとともに、哀悼の意を表したいと思います。

 政府を挙げて震災対応に当たるときではないのでしょうか。理事会でも私は発言しましたけれども、TPPのこの特別委員会の場で片手間のように審議する問題ではありません。災害対策特別委員会や予算委員会などを開いて、与野党挙げて被災者の苦難に応えた対策を話し合うべきではないのでしょうか。

 TPPの質問の前に、私からも、震災に対する政府の対応について初めに伺います。

 今もなお余震が続いております。長引く避難生活、不自由な生活、そして先の見えない状況など心身ともに苦しい状況に置かれている中で、被災者に対する医療の提供体制の確保が必要なのは間違いありません。

 例えば、南阿蘇村はもともと医療過疎ともいうべき状況で、落橋した阿蘇大橋の山側にいる方は橋を渡って病院に行っていたというふうに聞きます。今後は迂回して病院に行かなければならなくて、透析を受けるためには当面村外へ移ることも考えなければならないような事態になっています。

 また、慢性疾患を抱えている被災者からは、一週間分の薬がなくなったらどうしたらいいのかと深刻な声も聞かれます。南阿蘇村は、主要な交通路が断たれて、薬剤師などの緊急配置を含めた医療の提供体制が緊急に必要となっています。

 そこで、先ほど笠井議員からも指摘がありましたが、総理は先日の非常災害対策本部会議で次のように述べています。食料や水の支援も倉庫に届くだけでは役に立たない、被災者一人一人の手元に届かなければ全く意味はない。そのとおりだと私も思います。そして、この考えは、水や食料の支援にとどまらないで、医療においても同様ではないのでしょうか。

 そこで、一人一人の被災者に対する医療の提供について政府はどのような対策を講じようとしているか、まず答弁してください。

安倍内閣総理大臣 詳細が必要であれば、厚労大臣から答弁をさせていただきたいと思います。

 医療機関については、十カ所程度の病院で、建物の倒壊リスクやライフライン途絶などにより他病院への入院患者の搬送が必要となりましたが、既に大半の病院で搬送を完了しております。また、災害拠点病院などにおいて被災した患者の受け入れを行っておりますが、全国から災害派遣医療チーム、DMATが続々と派遣され、状況はかなり改善しているという報告を受けております。

 避難者の心のケアにつきましては、保健師等が避難所等を巡回して支援に当たるとともに、専門的な心のケアについて、災害派遣精神医療チーム、DPATの派遣により支援を行っております。

 引き続き、医療機関、自治体と協力をしつつ、被災者の医療の確保に万全を期してまいりたいと思いますし、また、今は病院等とこちらのDMAT、DPAT等についてお話をさせていただきましたが、と同時に、やはり各避難所におかれて不安な生活を強いられている方々に対してきめ細かく対応していきたい、このように思っております。

 慢性疾患の方々にとっては、お薬が切れたら慢性疾患が重篤になるという危険性と直面をされるんだろうと思いますし、精神的に、私も慢性疾患を持っておりますから、常に毎日飲んでいなければいけない、それが切れたらどうしようという不安な気持ちに、あした一日分だけにならなくても不安になるということだろうと思います。そうした対応もしっかりとやっていきたい、このように考えております。

畠山委員 不安が尽きないわけですよね。余震も続いているし、今、交通路についてもさまざまな問題を抱えています。現場では、不眠不休の医療、看護体制で被災者を支えている状況もあります。全国的な支援も呼びかけて、万全の対策を講じるよう求めます。

 そこで、厚生労働大臣に二、三確認したいことがあります。

 被災者の中には、住宅が全壊、崩壊したですとか、避難所に避難し続けて保険証が手元にないという方も少なからずいます。保険証がなくても受診できるようにしているはずですが、被災者や関係自治体へ、テレビを通じてわかりやすく説明してください。

塩崎国務大臣 今御指摘のように、保険証がなくてもこういった事態の際には医療機関に診ていただいて、通常どおりの、保険証を使っての医療と同じようにできるということ、既に通知を私どもは出しているわけでありますが、それが現場にしっかりと伝わること、つまり、医療機関にももちろん伝わり、一方で、一番大事なことは、やはり避難をされている方々がそれを理解していただくことだというふうに思っております。

 既に新聞、テレビ等でも繰り返し報道していただいておりますけれども、これに加えて、私どもとしても、医療機関に毎日二回、集中的に、約六十ぐらいの病院には、今回の被災を受けたところには電話をしております。既にもう、それを周知徹底するようにということを申し上げている。

 とともに、これはやはり河野大臣と連携をして、それぞれ避難所におられる十万人を超える方々に伝わるように、避難所でそれが掲示をされるなりなんなりの形で周知徹底が行われるということが大変大事なことだというふうに思っておりますので、しっかりと河野大臣と連携をしてこれを周知徹底して、保険証がなくても通常どおり医療を受けられるということを徹底してまいりたいというふうに考えております。

畠山委員 今、大臣から二つのことが答弁あったんですけれども、一つ一つ確認したいんですね。

 まず、通知の問題です。

 大事なことは、こういう際に通知を出すに当たって、関係自治体が判断に迷わないで、ちゅうちょなく判断できるようにすることが大事だと思います。

 政府の側からすれば、集団的に検討もしてあれこれと通知を出すんだけれども、受ける自治体の側では、ただでさえ少ない職員で、混乱の中で判断しなければいけないという状況があります。わかりやすく端的にということを通知においても原則にするべきだと思います。

 平たく言えば、財政なども心配しないで、国が後で対応するから救命救援を最優先にやってください、そういうようなことが通知でもきちんとわかっていけば、現場でも心置きなく対応できるのではないのでしょうか。

 そこで、東日本大震災のときの通知や事務連絡を見ると、例えば東日本大震災のときは三月十一日に事務連絡が出ていまして、「氏名、生年月日、被用者保険の被保険者にあっては事業所名、国民健康保険及び後期高齢者医療制度の被保険者にあっては住所を申し立てることにより、受診できる取扱いとする」というのを出されているんですね。その後にもQアンドAを政府が出して、対象地域は限定されているかなどの問いに、特段その対象地域は限定していないなどの回答を出しているわけです。

 しかし、今回は、先ほど大臣が出されたという通知が、平成二十五年、二〇一三年五月二十三日での事務通知を再周知しますとして、その中身を読むと、「被保険者証等を紛失した場合等の取扱いについても、申請に応じ速やかに再交付を行うなど、適切に対応されたい」というふうに書いている調子なんですよ。申請主義でもあるし、中身は、先ほど東日本大震災のときのものを読み上げましたが、詳しくもなっていない。

 先ほど塩崎大臣が答弁されたように、わかりやすい通知を出してもらえませんか。

塩崎国務大臣 今お話がございましたようなものは、日付だけ、かつてのものを引用するという、そのやり方のものは再交付の場合のことを指しておりまして、今回は四月の十五日付で各都道府県に、ですから、熊本を中心として出しているものについては、先ほどお読み上げをいただいたような形のものがそのまま行っております。

 つまり、被用者保険の被保険者にあっては事業所名、国民健康保険、後期高齢者医療制度の云々という、お読み上げをいただきましたが、それを言っていただいておりますので、いずれにしても、こういったことを言っていただければ、申し立てることによって受診できるという取り扱いだというふうになっております。

 そこは、改めて、県やそういった行政だけがわかることではなくて、一番大事なのは、患者の皆さん方、国民の皆様方、被災者の皆様方が理解をしていただいた上で医療機関に行っていただくということが大事で、保険証がないから行けないというふうに思われないで、どうぞ行っていただきたいということを私どもとして周知徹底をしていかなければならないというふうに考えております。

畠山委員 もちろん、被災者本人が理解していただくということは大事なんですけれども、役所に聞いたりするわけですよ。そこで役所が、正確に理解できて、ぱっと言えるという状況においては通知の意味は大事なわけであって、先ほど答弁ありましたが、保険証等がなくてもきちんと受けられるということを改めて周知していただきたいと思うんですね。

 それで、もう一つ、実際の被災者にわかりやすく明確に届かないといけないというふうに思います。

 先ほど大臣が述べられたように、避難所へ掲示をするだとか、あるいは、人通りが多いところで目につく場所に張っておくだとか、あるいは、避難所に来られない方がいますので、広報車で言って回るだとか、例えばですよ、そうやって端的に知らせる活動もやる必要があると思います。避難所などで、先ほど、午前中にも、電源車の配置の話がありましたよね。テレビが足りなかったり、情報が足りないので、そういうテレビやラジオで広報テロップみたいな形で暮らしの情報を流すとか、いろいろやりようはあるわけですよ。

 こういう手だてを、知恵を絞って、政府みずからが、被災者が本当に医療で困らないように、今やるべき瞬間だと思うんです。

 こういうような被災者への周知について、今、私はさまざまな提案もしましたけれども、さらに具体的に検討して、早くやっていただけませんか。

塩崎国務大臣 結論的に申し上げれば、やれることは何でもやっていかないといけないと思っております。

 今、お話が少し出ましたけれども、災害支援のナースのチームが、特に被害がひどかった益城町の八カ所で現地に常駐をしています。それから、今、都道府県から保健師のチームの皆さん方が入ってきて、被災地を回っていただいていますので、そういう形で、避難所にそういうことでまた徹底していただくというようなことを含め、そしてまた、誰でも見られるようなテレビ等々のことについても、河野大臣とよく相談をして、一日も早く、一刻も早くこの情報が伝わるようにしてまいりたいというふうに思います。

畠山委員 情報を出すことは当然大事なことです。繰り返しありましたように、問題は、一人一人に届くかどうかであります。

 どんどん必要な情報を出すべきだと思いますし、被災者が困っていることに対して、迅速にそれを掌握して、それを伝え切るということを改めて求めたいというふうに思います。

 救命救援活動にはあらゆる手だてが必要ですが、同時に、余震が今続発している状況で、先日、雨も降ったために地盤が緩んで、二次災害のおそれにも注意をしなければなりません。それは、民間の方の支援だけではなく、政府自身の対応においても必要なことだと思います。

 まず、政府において、二次災害の危険性を現状はどのように認識しているでしょうか。

河野国務大臣 大変強い地震が繰り返し起きておりますし、雨も降っておりますので、二次災害の危険性は極めて高いと思っております。

 今、気象庁におきましては、震度五以上の地震が起きた熊本県内の場所では、大雨警報の発出基準を通常の七割あるいは八割の基準に下げて、早目早目に警報を出していくということになっております。

 また、自治体におかれては、空振りを恐れず、必要だと思えば、避難勧告、避難指示を前広に出していただきたいというお願いをしております。

 また、国土交通省が現地に専門の調査チームを派遣して、土砂災害の起きそうなところを点検し、情報を発出していただいております。

 自衛隊、警察、消防においては、救命救急、救命救助の活動をする際に、合同調整所において土砂災害の危険性の高いところの情報をきちんと共有しながら作業を進めていただいております。

畠山委員 作業を進める上で二次災害は注意しなければならないんですが、そこで確認したいことがあります。

 支援物資輸送のために、昨日、十七日の朝八時半ぐらいでしょうかの時点で総理が会見したときに、米軍による支援の申し出がございますが、現在のところ、今直ちに米軍の支援が必要であるという状況ではないと述べています。

 その後、昼の記者会見、十一時過ぎだったと思いますが、そのときには、米軍の支援につきましては、米国からの申し出を受けて、並行して調査を行ってきたとして、航空機による輸送支援が実施可能との連絡を受けて、実施したい旨を総理は述べています。

 この米軍の支援を受けるという点で、まず、朝と昼の時点で言っていることが変わったんですけれども、これは何が変わったためなのでしょうか。

安倍内閣総理大臣 昨日も申し上げたところでありますが、今般の地震へのこれまでの初動対応については、自衛隊、警察、消防などにより全力で対応してきたところでありまして、米軍からの支援についても同時に、米側からの申し出を受け、並行して調整を行ってきたわけであります。

 ですから、午前中のお答えにつきましては、一番最初の発災以降、その直前までの間についての初動の段階においては、我々のいわば今申し上げました自衛隊や警察や消防や、あるいは医療部隊等において対応しておりますということを申し上げたわけでありまして、今すぐに直ちに米軍に要請をしなければいけないという状況ではないということは申し上げておきました。

 しかし、当然こうした輸送等の能力は高ければ高いほどいいわけでございまして、米軍からの申し出があり、実際のニーズと合うかどうかということも含めて調整を行ってきたところでございますが、昨日、防衛大臣より、米国から航空機による輸送支援が実施可能であるとの連絡があったとの報告を受けまして、これは大変ありがたい申し出であり、速やかに具体的な輸送ニーズを調整し、整い次第、実施に移すよう指示をしたところでございます。

畠山委員 我が党は救命救援に必要な対策はとるべきだと考えるものですが、懸念されるのは、この物資の輸送にオスプレイを活用すると昨夜中谷防衛大臣が発言した点にあります。

 というのも、昨年五月二十二日の外務委員会で、我が党の穀田恵二議員が、大規模災害が発生した場合の災害救援活動におけるオスプレイの活用について、一昨年十月に和歌山県でオスプレイ二機が参加した防災訓練の際、串本町の望楼の芝では、オスプレイの離陸後、排気熱で芝が焼けて、消防団が消火活動に追われたことを質問しています。

 政府も、その事実を聞いていると答弁をして、防衛省からも、下降気流が出ますので、その直下では非常に強い風が起こるということもありまして、そうした点においては救助の難しさがあったと答弁し、ネパール大地震の救援でオスプレイが民家の屋根を吹き飛ばしたことを承知しているとも答弁しています。

 オスプレイが救援活動において有効に働くものなのかどうか、二次災害の危険性はないのか懸念をするわけです。政府としてどう考えていますか。

安倍内閣総理大臣 ヘリコプターにしろ、オスプレイにしても、下降気流が出るのは事実でございまして、その直下では非常に強い風が起こるということもありまして、そうした特性を把握して使用していくことは当然でありますが、この一点をもってオスプレイが災害救助に向かないとは考えていないわけであります。

 この米軍の輸送機、オスプレイについては、ヘリコプターのような垂直に離着陸できる機能、通常の航空機の長所である速い速度や長い航続距離という両者の利点を持ち合わせた航空機であり、従来米軍が使用していたヘリコプターに比べると、最大速度は約二倍であり、搭載量は約三倍になるわけでありまして、行動半径は約四倍であり、高い能力を生かした支援を期待できると考えています。

 なお、政府としては、オスプレイが災害救助にも有用であることについては、これまで累次にわたり国会でも説明しているところであります。

 また、防衛省が作成したパンフレット、これは民主党政権時代につくったパンフレットでございますが、このパンフレットにおきましても、オスプレイの災害救助における役割について説明をしているところであります。

 オスプレイによる輸送協力については、具体的にこれからさらに検討していきたいと考えております。

畠山委員 いろいろと説明がありましたけれども、先ほど、防災訓練の際に起きた事実ということも政府は認識をしているわけですよね。重要なことは、被災者、被災地の支援を最優先に、これ以上被害を拡大しないことであることを強調しておきたいと思います。

 農業被害についても一言伺います。

 熊本県は生乳生産量で全国三位の県です。しかし、地震による牛舎、畜舎の倒壊で、牛が死んだり、負傷して廃用せざるを得ない牛もあると聞きます。また、強いストレスや飲み水の不足で、生き残った牛も乳が十分に出ない状況もあります。無事だった農家でも、県酪連の牛乳工場の被災や、交通網が遮断されて生乳を出荷できない地域もあると聞いています。

 水を使えないということが酪農家においては非常に大変なことでして、大臣御存じだと思いますが、搾乳においても、パイプですとか機械を洗浄することができなくて、自家発電機で搾乳した後に廃棄しているということも伺いました。

 そこで伺います。急いで現状を把握して、緊急対策はもちろんですけれども、その後の経営再開資金などの具体化も急いで検討して、農家を支え、励ますことを今政府が発することが大事だと思いますが、いかがですか。

森山国務大臣 お答えいたします。

 農林水産省といたしましては、被害の状況の正確な把握を行った上で、早期の復旧と被災農家の経営再開に向けて必要な対応を関係省庁と連携して進めてまいりたいと考えております。

畠山委員 森山大臣、もう少しやはり政府としての決意を示していただきたいんですよ。

 というのは、BSEとか口蹄疫が発生したときも、その後の再建には随分長い時間がかかりましたよね。当たり前の話だけれども、牛は一頭ずつしか出産できませんで、急速にふやすことなどできません。この間、口蹄疫や震災の影響などもあって子牛価格が高騰してきているというようなことが、また同じように起きかねないわけじゃないですか。

 これまでの教訓を生かして迅速な対応を求めたいと思いますが、大臣、もう一言きっちりと、政府としての支援を検討する旨答弁してください。

森山国務大臣 被災農家の皆さんの不安に寄り添って、しっかりとした対応をさせていただき、準備を始めたいと考えております。

畠山委員 準備をするということはよくわかりました。先ほどから述べているように、さまざまな苦労を農家も持って、今、前向きに営農しようという思いでいるわけですよ。きっちり受けとめて、対策をとることを強く求めます。

 冒頭に述べましたが、今、政府を挙げて震災対応に当たるときです。TPP特別委員会の場で片手間のように審議する問題ではないことを重ねて指摘し、残りの時間で、TPPについては、国会決議との整合性について、幾つかのことだけお聞きしたいというふうに思います。

 国会決議の第一項目は、守るべき対象として米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物を重要五品目として、引き続き再生産可能となるよう除外または再協議の対象とすることと定めています。

 まず、農水大臣に確認します。

 この重要五品目は、守るべき対象として、除外または再協議扱いとなったのでしたでしょうか。

森山国務大臣 お答え申し上げます。

 TPP協定では、関税に係る約束について、除外、再協議という区分は用いられておりません。

 ただし、国会決議を後ろ盾にして交渉した結果、協定上認められている別段の定めとして、約二割の農林水産品について関税撤廃の例外措置を確保しているところであります。

 なお、これら例外措置については、相互に約束をした五カ国との間で七年後に再協議することが定められております。

 以上であります。

畠山委員 今、重大な答弁だと思いますよ。

 お手元の資料をまずごらんください。

 一枚目に、政府はこれまでの貿易協定で重要品目は除外または再協議としてきて、この資料にあるように、米はいずれの場合も除外、麦や牛肉、豚肉も除外や再協議として、協議の対象とはしてこなかったはずです。それを踏まえて、国会決議では除外または再協議の対象とするとしたのではなかったのでしょうか。

 それなのに、今大臣が答弁されたように、TPPには除外や再協議の区分がない、前に定義がないという答弁もどこかでしたことがあったかと思いますが、いずれにしても、そのようなことは当初からTPPにはないということではありませんか。これをお聞きしたい。

 それでは、除外や再協議が初めからないとわかって交渉に参加したんですか、それとも途中からわかったのか、どちらでしょう。

石原国務大臣 ぜひこのTPP協定のそもそもを御理解いただきたいんですが、原則撤廃、ゼロなんですね。そんな中で、例外として、私どもは、今委員が御指摘になりました重要五品目を中心に、農産品についておよそ二割の例外をかち取ることができた。他の国々は、大変この部分はパーセンテージが小さいわけでございます。例外としてとったというふうに御理解をいただきたいと思います。

畠山委員 石原大臣、それはごまかしですよ。例外と除外は明確に違うわけです。

 もう一回聞きます。除外や再協議という区分がないという答弁がありましたが、それがわかったのは、では、いつの時点ですか。

石原国務大臣 本当に恐縮なのでございますが、交渉の経過についてはお話しをできないということでお許しをいただきたいと思います。

畠山委員 いや、それはちょっとだめですよ。

 だって、これは時間系列、たしか総理が交渉参加入りをして、後に決議を上げて、そして、この決議を後ろ盾にして交渉してきたという答弁を何度もしてきたじゃないですか。しかし、実際は除外や再協議というものは区分がありませんということであるならば、何を後ろ盾にして審議してきたんですか。ここは大事なところですよ。

 もう一回聞きます。除外または再協議という区分がない、定義がないとわかったのはいつですか。

石原国務大臣 御満足いただける回答にならないかと思うんですけれども、結果を申させていただきますと、全ては交渉議決時に決まった、そして、決まったことが全てであるというふうに御理解をいただきたいと思います。

 そして、日米の共同声明が二月二十二日にあるのでございますけれども、日本が環太平洋パートナーシップ交渉に参加する場合には、全ての物品が交渉の対象とされること、このように、全ての物品が、委員が御指摘のような除外ですか、ということに関係なく、最初はテーブルに上がっているというふうに御理解をいただきたいと思います。

畠山委員 今の答弁、よくわかりません。

 もう一度聞きます。同じことで聞きますので、きちんと答弁してください。

 例外と除外は、まず違います。そして、除外または再協議ということは、政府は、これまでのEPAなどで、きちんと明確に区分してやってきました。国会決議でも、それに基づいて決議が上がり、政府は、後ろ盾にして交渉してきたと正式に何度も答弁してきました。しかし、先ほどは、除外または再協議の区分はないという答弁がありました。

 後ろ盾であると言いながら、実際はそういう結果になった。では一体、どこで区分がないことを政府は認識したんですか。もう一度聞きます。

石原国務大臣 先ほど御答弁をさせていただきましたけれども、日米の共同声明、二〇一三年の二月二十二日でございますが、この中で、日本が環太平洋パートナーシップ交渉に参加する場合には、全ての物品が交渉の対象とされること、これは確認をさせていただいております。

 そして、今、TPP協定に除外という区分はないんじゃないかという御質問だというふうに聞かせていただいたわけでございますけれども、平成二十五年二月の日米首脳による共同声明で、今お話をさせていただいた、全ての物品が交渉の対象とされる、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない、これはすなわち聖域なき関税の撤廃。その上で、全ての物品を交渉のテーブルにのせ、交渉が行われた。政府としては、国会決議を踏まえてぎりぎりの交渉を行ってきた結果が、除外ではなくて例外というふうに御理解をいただきたいと思います。

 一方では、別段の定めにより、関税撤廃の例外を設ける措置を協定上認められた。これによりまして、日本の農産物の五品目は守られたというふうに私どもは理解をさせていただいております。

畠山委員 今、二月二十二日の日米の交渉の話をしましたけれども、このとき決議は上がっていませんよ。おかしいですよ。(石原国務大臣「いやいや、時系列に言っている」と呼ぶ)時系列で言ったら違うじゃありませんか。

 もう一回聞きますよ。除外または再協議、区分がないとわかったのはいつですか。もう一度聞きます。

石原国務大臣 これは、先ほどもお話をさせていただいていますように、交渉がまとまったときに決まったわけでございます。

 そして、先ほど来時系列のお話をされておりますけれども、私が申しておりますのは、二十五年二月の日米首脳会談がそもそものスタートで、そのときには、全ての物品が交渉の対象ということでありますので、重要五品目も入ってしまう。

 岸田大臣が平成二十六年五月二十八日の衆議院の予算委員会で答弁をされておりますけれども、除外、再協議、こうした定義について確立したものはない、これはそれぞれの交渉の中で決まっていくもの、このように政府は考えております。

畠山委員 委員長、ちょっと今、答弁、きちんと私が質問したことに答えていないですよ。

 きちんと整理して、もう一度答弁するように、委員長からも求めてください。

西川委員長 石原大臣に申し上げます。

 質疑者畠山和也君が、答えが、私が求めていない、こういう発言がありましたので、十分対応していただくようにお願いを申し上げます。

石原国務大臣 御満足をいただける回答ではないという前提をつけさせていただいております。

 全ての交渉は、決着時に決まったわけでございます。ですから、例外ということも、全てそのときに決まったと御理解をいただきたいと思います。

 そして、先ほど来、岸田外務大臣の平成二十六年五月二十八日衆議院予算委員会の答弁を私どもは政府の答弁の基本にさせていただいておりますが、除外、再協議、こうした定義について確立したものは承知していない、それぞれの交渉の中で決まっていく、これが今回の交渉結果であると御理解をいただきたいと思います。

畠山委員 私は、除外または再協議という区分がないのはいつわかったのかと聞いたわけです。そういうものを承知していないのは五月の時点で言ったということならば、それは初めから国会決議を守る気などなかったんじゃないですか。

 この問題、また改めて別の機会に問いただしますよ。

 時間もないから進みますが、国会決議のその後、一には、続けて「十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと。」と書かれています。

 これは事務方で結構です。十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃の品目はありましたよね。何でしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 TPPの合意につきましては、農産物でいきますと、五品目の一部、例えばホエー、林産物の一部、合板、それから水産物の一部、アジ、サバなどにつきまして、十年を超える関税撤廃期間というふうになってございます。

 長期の関税撤廃を確保することにより、体質強化等を行うに必要な期間が確保できたと考えております。

畠山委員 聞いていないことは答えないでください。

 除外や再協議の区分もない、十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も、乳製品のホエーが挙げられましたが、幾つもあるじゃありませんか。ソーセージなどの加工品も約三割は関税撤廃ですよ。明らかに決議に反していますよ。

 そこで、総理、総理は、国会決議の趣旨に沿うものと評価していただけると言ってきました。今、この間ずっと議論する中で、国民からの疑問に対しても明確に答えられない状況が続き、実際の品目を見ても、十年を超える段階的な関税撤廃がされていく品目もあります。これでどうして決議の趣旨に沿うものと評価できると総理は言えるのですか。

安倍内閣総理大臣 TPP交渉では、他の交渉参加国から関税を撤廃すべしとの強硬な主張が延々と繰り返される中、全ての物品を交渉のテーブルにのせた上で、国会決議を背景に粘り強く交渉を行い、重要品目について関税撤廃の例外をしっかり確保するとともに、国家貿易制度の堅持やセーフガードの有効な措置を獲得したのは事実であります。

 そもそも、全ての物品についてテーブルの上にはのせなければならない。そこから、それを下へおろしてくる努力をし、そして事実、我々はそれをなし遂げているわけでございます。

 それでもなお残る農業者の方々の不安を受けとめまして、昨年十一月に総合的なTPP関連政策大綱を決定し、昨年度の補正予算を通じて緊急対策を講じたわけであります。重要品目が確実に再生産可能となるよう、交渉で獲得した措置とあわせて、引き続き万全の措置を講じていく考えであります。

 例えば、米については、国家貿易制度を維持し、国家貿易以外での輸入に課される高い枠外税率を維持し、そして、合計で七・八四万トンという日本の米の生産量の一%程度の量の国別枠の設置にとどめたわけであります。さらに、この国別枠の輸入量に相当する国産米を政府が備蓄米として買い入れることとし、輸入量の増加が国産主食用米の生産や価格に与える影響を遮断することといたしました。同じ量を政府米として購入することによって、これは遮断をいたします。どうかその点は政府を信用していただきたい、このように思います。

 そして、交渉結果が国会決議にかなったものかどうかは、これはまさに国会がお決めになることではありますが、政府としては、国会決議にかなうものである、このように確信をいたしております。

畠山委員 政府を信用してくださいと述べられました。

 資料の二枚目をごらんください。パネルにもしてあります。

 しかし、とりわけ農家、農業者は信用していないんじゃないんですか。ごらんください、日本農業新聞、三月三十一日付では、約千人の農業者を中心としたモニター調査を行いました。TPPの合意内容と国内対策を踏まえて、不安が払拭されたかを聞いたものです。全然払拭されていないと答えた方が実に七一・二%、少し払拭されたが、まだ不安という方が一九・九%、合わせたら九〇%を超える圧倒的な方が政府のこの間の答弁を全く信用していないんじゃないか。不安は払拭されていないと答えていますよ。総理が国会決議の趣旨に沿うものだといいながら、現場ではこのような状況にあることを率直に認めるべきです。

 総理からは、国内対策云々かんぬんということは今ありましたけれども、セーフガードとか米の問題は、この後徹底的に審議させていただきます。

 一月の予算委員会で、私はこの場から総理に対して、国内対策をすれば決議を守れたかのように言うのは、対策がなければ決議を守れていないということの告白じゃないかと言いました。

 最後に問います。

 先ほどからあったように、除外または再協議についても区分、定義はなかった、そして十年を超えた段階的な関税撤廃だってあるじゃないか、そしてこのように多くの方が不安を抱えている、対策がなければ決議は守れていない告白じゃないか。総理、こういう、農家、農業者が不安が払拭されていないことに対してどう答えますか。

安倍内閣総理大臣 先ほど、委員の御質問と石原大臣との議論を聞かせていただいたわけでありますが、委員は何か、交渉の中においてあらかじめ除外とか再協議というものがどこかで約束された、それは動かせないものだということについて、ではいつなんだという質問をしておられたんだと思いますが、しかし、それは、石原大臣が答えたように、まさに交渉の中で最終的に決着をするものでありまして、最後の最後まで私たちは交渉し、そして例外をかち取ったんですよ。ほかの国々は、ほぼ一〇〇%、完全になくなったんですね。我々は、約二割、例外をかち取っています。そして、セーフガードもかち取っているんです。

 交渉というのはそういうものでありまして、交渉を続けていって、最後の最後まで、国会決議を背に、強い交渉力を持って私たちは例外措置をかち取ったんだということは御承知をいただきたい。

 さらに、再生産が可能となるように、そして、農業が競争力を持って、しっかりと若い皆さんが頑張って将来に夢を持てるように、我々は対策を行っているところでございます。

畠山委員 先ほどから私が事実で述べているように、国会決議に反していることは明確だと思いますよ。

 先日、北海道当別町に私は行ってきました。泥炭地を大規模に土地改良して有数の米産地となり、それを町民の誇りとしている町の歴史がある中で、ミニマムアクセス米などで輸入が続き、安い米が市場に流れて、米をつくっている多くの農家が苦しんでいる、この価格が続けばもう米はつくれないという悲鳴の声が上がってきました。

 国会決議を守っているのか、こういう農家の声をきちんと政府は受けとめるべきだと思いますし、私たちは、今回の審議でもさらに厳しく問題点を指摘して、批准など認められないことを最後に述べまして、質問を終わります。

西川委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 熊本、大分大震災でお亡くなりになった皆さん、またけがをなされた皆さん、そして今被災に遭われて避難所で頑張られている皆さんに、お悔やみとお見舞いと激励をさせていただきたいというふうに思っております。

 金曜日に、私どもも党として現場に行ってまいりました。現場に行くときには、党の、私たちの考え方として、馬場幹事長からも、役所からの説明は受けない、役所の話は聞かないで、とにかく御迷惑はかけないようにして行かなきゃいけないということを前提としながら、現場まで歩きながら行ってきたわけであります。

 総理、五年前と同じ声が出ているんですよね。水がないとか、それとか食料が足りないとか、食料があっても物資が行き渡っていないとか、トイレがないとか、温かいものがまだないとかというようなことがいっぱい言われています。テレビでも今放映されていますよね。

 これは、そういう災害があったら、必ず初期のときは出るんですよね。初期のときからこれが出ないということは絶対にあり得ないわけです。この声を何日でゼロにするか、これがやはり大きなポイントなんですよね。

 総理のお考えとしては、こういうふうな基本的なこと、人は必ず御飯を食べなきゃいけない、御飯を食べて終わったらトイレにも行かなきゃいけない、このトイレがきちっとしていないと怖くて御飯も食べられないとかいうようなことがいろいろあるわけですけれども、こういう人間としての本当に基本的な基本のところをどうやって早く解消するのかということが一番大事だと思う。

 私も防災担当大臣をしたこともあるので思うんですけれども、やはり優先順位が大事なんですよね。この優先順位というのは、激甚災害の指定じゃないんです。まずは、今悩んでいる方々の、人間として生活しなきゃいけないものをしっかりとやる。災害指定をして、それでやる。そして、あと激甚指定となるわけでありまして、この順番を間違えちゃいけないということをまず申し上げておきたい。

 今言っていることについて、総理のお考えとしては、何日ごろまでにこういう声は払拭したい、こういうふうに思われるかということをちょっとお聞きしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 我々は、まず、救命、救出、救助に全力を投入しました。と同時に、家が倒壊された方々、家に戻れない方々が、まずは避難所で生活をされるわけでありまして、避難所で過ごされるわけでありまして、その方々に水や食料や医療等、生活に必要なものをしっかりと提供していく。その上において、借り上げ、仮設等々を提供しながら、住環境をさらによくしていく必要があります。そしてさらに、その上に復旧復興に進んでいくわけでございます。

 そこで、食料、水が、それぞれの拠点までには十分な量が行っているわけでございますが、ただ、避難所まで届いていないところがございました。きょうじゅうには、食料や水がしっかりと提供されるようにまずしていきたいと思います。

 と同時に、トイレ等の問題がございます。これは、水道が通っていないという問題がございまして、阪神・淡路のときにも東日本大震災のときにも水道が通るのが相当遅くなったのは事実でございまして、厚労大臣を司令塔といたしまして、大きな基幹の水道管も損失をしておりますが、できるだけ早く復旧をしていきたい。

 そのことによって、自宅が倒壊をしていない、自宅が損害を受けていない方のお宅では、まずトイレの問題が解消していくようにしたい。同時に、避難所等において生活をしておられる方々に対して、簡易トイレ等の設置等を早急に進めていきたいと思います。

 いつまでにということについて、具体的には、もしわかっていれば防災担当大臣からお答えさせていただきたいと思います。

下地委員 総理、この問題を早急に解決することに全力を集中していただきたいと思います。

 トイレに関しても、簡易トイレを運ぶのに時間がかかるので、自衛隊と相談して穴を掘る。穴を掘って、テントでしっかりとプライバシーを守れるようにする、こういうような応急措置。阪神大震災のときに行ったときも、やはり、トイレがもう本当に大変な状況だったんです、水が流れないものですから。だから、早急にできることを全部やっていくということをぜひやってもらいたいというふうに思う。

 私の見方では、一週間してそういう声が出ないというのが、政治が災害に対して早急な対応をしたということになると思っていますから、こういう声が出ないように早急にやってもらいたいというのが一点です。

 三・一一のときに、私は国民新党の幹事長をしていて、私たちは民主党と政権を持っていました。それで、菅総理大臣が総理大臣でした。そのときに、私どもの亀井当時の代表が、これは谷垣当時の総裁もいて、公明党の代表もいてというときにこういう話をしたんですね。

 災害がある、災害があるけれども、三日したら災害は政局になるよ。政府は一生懸命やっていると言う。しかし、野党は政府がやっていることに、いや、これが足りない、あれが足りないと言って、ここで政局になってくるんだ。そうしているうちに新聞社が世論調査をとる。この政権は災害に早急に対応したと思いますか、思いませんかという世論調査をとって、そういうふうなことを一つのまた要素にして政局が生まれて、これが生まれることが震災そして災害対策がおくれることになるんだ。政治が安定することが一番大事なんだとそのとき亀井さんが言ったことを僕は今でも思い出します。

 そのときに、救国内閣をつくろうと。内閣をつくろうじゃないですか、谷垣さん、あなたも国土交通大臣に入ってくださいよと言ったら、谷垣当時の総裁が目をきょとんとして、ええっという顔をしていましたけれども、僕はあのとき思ったんですけれども、亀井代表のあの発想はやはりすごいと思いましたよ。

 やはりこういうときには政治が一致団結して、何かを指摘するのではなくて、自分の党の提案は何ができるかということをやっていかないと、これは国民から見てもなかなか理解に苦しむんです。私は、そういう方向性でぜひ政治の安定をつくるべきだというふうに思っているんです。

 それで、総理に三つお聞きしたいんです。

 今、安定をつくるという意味では、一点、消費税は来年上げるのをやめる。これも、今こういうふうな状況の中では、私は、経済界においてもどこにおいても、このことがしっかりと災害に対する対策をしていけるというようなメッセージになるんじゃないかというのが一点ある。

 二つ目は、今、ダブル選挙をやるとかやらないとかという話がありますけれども、そういうことについても、安易に政治の混乱とか戦いみたいなものがあるようなことをしないということが二点目に私は必要ではないかなというふうに思っているんです。

 三点目には、やはり国会の姿勢を見せる。三・一一のときには私たちは歳費の削減をしました。これは五十万近くの歳費の削減をしましたけれども、こういうふうな、国会も削減してこの熊本と大分の災害に予算を回すんだというようなことをやる。

 この三つをやられることが大事じゃないかなというのが私の考えなので、これにお答えいただきたいというのがあります。

 それともう一つ、朝の論議の中でも松本副大臣を行かせたとかと言っていますけれども、僕は、議院内閣制だから、与党の、阪神大震災も経験した、三・一一も経験した、そういう人たちがやはり行って、総理に答えを提案していくというのが一番いいんじゃないかと思うんですよね。やはりもっと党を活用するというようなことが、私は、内閣でだけでやるんじゃなくて、党を活用してやるというのも大事じゃないかなというふうに思うんです。

 やはり経験が必要なんです。阪神も経験してきた、三・一一も経験してきた、そういう両方を見てきた人が行って、総理にタイムリーに答えを出していくというようなことも大事だと思いますけれども、この四つについて総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まず、消費税につきましては、今までも申し上げているように、リーマン・ショック級あるいは大震災級の事態にならない限り消費税は予定どおり引き上げていく、この基本的な考え方に変わりはないわけであります。

 そしてまた、歳費についてお話が、これは議員歳費ということですね。(下地委員「そうです、議員歳費です」と呼ぶ)議員歳費につきましては、これはまさに国会議員のいわば権利にかかわる話でございますから、行政府の長である私はそれについてコメントすることは差し控えさせていただきたい。

 行政府の歳費の削減でございますが、内閣においては、既に大臣は二割、私は三割削減をしておりまして、例えば私の場合、これ以上切っていきますと議員歳費にかかわってまいります。他方、これは公職選挙法とのかかわりもございますので、そこまで今来ているということは御理解をいただきたい、このように思います。

 また、救国内閣についてでございますが、まさにこれは、この災害を乗り切っていく上において、さまざまな場面においてぜひ御協力をいただきたいと考えておりますが、新たにそのために内閣を改造したり、あるいは連立を組み直しているいとまはない、このように考えております。

 また、党については、いわば、さまざまな経験を積んだ方々が現地に行って、そしてそうした観点から情報を上げていただくことは有益だろうと思いますが、今直ちには、余震も続いておりますし、まだ救命活動も続いておりますので、現場側の受け入れ体制ということも勘案しながら御勘案をいただきたい、このようには思いますが、いずれにいたしましても、そうした知見をぜひ我々といたしましても生かさせていただきたいとは考えておるところでございます。

下地委員 僕は、連立を組み直せというよりも、そういうふうな思いでここにいる国会議員全体がこの問題に集中してやっていくというのが大事だということを申し上げたいというふうに思います。

 あと、立法府も、歳費の削減についてはしっかりやるべきだというふうに思います。

 それで、私たちは益城町の病院に行ってきたので、ちょっと厚生労働大臣にお聞きしたいんですけれども、益城町の病院に行くと、認知症の患者を搬送していたんですね。別の県の病院だとか災害になっていない病院に搬送していましたけれども、患者さんの枠というのがありますよね。それが五十人だったら、五十人を超えると、五十一人、五十二人、五十三人になると、枠を超えると診療報酬がカットされるというようなことで、なかなか相手側の病院が受け入れてくれないという悩みを少し聞かせていただきました。

 これは法的なこともあるかもしれませんが、緊急な状況です。しかも、認知症の方々は少しパニック症候群になられているというようなこともあって、こういう患者さんを早急に揺れのないところに搬送することは大事なので、受け入れ先の病院が受け入れやすくするためには、この基準を、厚生労働大臣のときから、こういう緊急時は診療報酬の削減とかそういうことはしないというようなことをはっきりと申し上げることが、受け入れ先を探す、これに大事なことになるんじゃないかという声が聞こえてきたので、そのことを厚生労働大臣にちょっとお答えいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 益城町には精神科の病院が幾つかございまして、おかげさまで、この移送はほぼ完了しているところでございます。

 今お話がございました、転院した場合、受け入れをちゅうちょする病院があるんじゃないかという御指摘を受けたわけでありますけれども、ルールは、通常でも五%増までは許されるわけでありますが、今回のような非常事態の場合にはそれは問わないということで、病床数を超える患者を入院させた場合の減額措置については、災害等やむを得ない事情の場合にはこの減額措置は適用しないということになっています。

 これも、通知として十六日土曜日に、九州厚生局を含めて都道府県それから日本医師会等の関係団体などに対して既に事務連絡を発出しているわけでありますけれども、なお、厚労省の医政局の方から、熊本そして益城町など特に被害の多かったところについて、病院には毎日電話を二回入れています。そのときに、もう既に、重ねてこのことについて、受け入れが五%超えても減額措置はないということを明確に伝えておりまして、しっかりと今後とも保険医療機関に対して周知をしていきたいというふうに思っておるところでございます。

下地委員 大臣なんかが通知する前に私たちは行かせていただいたので、ぜひ通知したことが徹底するように、改めてお願いをさせていただきたいというふうに思っています。

 総理、それとオスプレイですけれども、今回活用しますよね。

安倍内閣総理大臣 オスプレイについては、ヘリコプターのような垂直に離着陸できる機能があり、そして三倍の搭載量がございます。つまり、いわば、なかなか固定翼機では大きな飛行場がなければ行けませんが、あるいはまた陸路では時間がかかるというところに対して、オスプレイは非常に今回のような災害においては活用できると考えておりまして、具体的には、オスプレイによる輸送協力について、本日午後、食料、水等の生活支援物資を南阿蘇村まで輸送し、自衛隊と協力して支援物資を現地の被災者に配布する計画であるとの報告を受けております。

 まだ今の時間では到着はしていないと思いますが、きょうの夕方に、オスプレイで、今申し上げましたように、支援物資を南阿蘇村に運ぶことを予定しているところでございまして、政府としては、平成二十八年熊本地震の対応のために、やれることは全てやるとの考え方のもとに全力を尽くしていきたいと思っております。

下地委員 僕は、オスプレイの活用の判断が少し遅かったんじゃないかと思っているほどなんです。

 なぜかというと、我が国もオスプレイを今度購入することになっています。オスプレイは災害時に相当に効果を出すんですよ。熊本から福岡まで百十六キロぐらいあるんですけれども、オスプレイのあのスピードだと、大体十分から十五分ですよ。今、CH46で大体二トンですね。CH47で十トン。オスプレイは九トン積む。しかし、もうスピードが違うものですから、往復させても相当に数をこなせるというのがオスプレイなんですよ。しかも、三十二名乗れます。

 だから、このオスプレイで十五分から二十分の距離だったら、被災地の中でも、女性の皆さん、子供を抱えている皆さん、そして不自由なお年寄りの皆さんは、できるだけオスプレイで運んで、福岡とか隣県に、安心できるところに連れていかれるというようなことをもっと早く私は決断すべきだったんじゃないかということを申し上げたい。

 しかも、オスプレイだと、おにぎりだと十万個ぐらい積めるんですよね。この前、映像で見て、頑張られて炊き出ししておられますけれども、最後の人がもらうのが大体三時間後ぐらいだとこの前テレビで言っていましたね。十五分ですよ。もう、福岡でコンビニで温かいおにぎりをつくってどおんと持っていっても、これは十五分で済むんですよね。また、うちの国にはCH47が六十機ありますよ、自衛隊は。これは六十人乗れる。このオスプレイとこれとで一日十往復すると、三万人近くの輸送ができるんです。

 だから、災害時の避難所を強化するというこれまでの震災の発想ではなくて、できるだけ、お風呂があって、安心できるところに搬送するというような考え方をやっていく上には、オスプレイが必要だったんじゃないかというのを私は思っているんです。

 しかも、アメリカの病院船という船がありますけれども、これも一千人ぐらいの入院患者を受けるものがあって、手術室も十二ぐらいあるんです。

 こういう意味では、日米同盟、これだけの強化をしている関係ですから、こういうようなときにはいつでも早急にお互いが対処していくということをやるべきだったんじゃないかというふうに思うんですけれども、この判断について、総理は、今オスプレイをやっていますけれども、どうお考えですか。

安倍内閣総理大臣 オスプレイの活用につきましては、米軍から申し出がございまして、この要請については直ちに、我々のニーズ、今言ったオスプレイによる輸送も含めて、米側と調整をしてまいりました。

 ただ、その時点で、オスプレイがその段階で配備されていた場所、それと米軍の運用計画もございますので、この調整にしばらく時間がかかったわけでございますが、このたびこの調整が整い、そして、最も必要としている場所、またあるいはオスプレイを一番活用することに適した場所である南阿蘇にまず一番最初に、ここが今、食料、水が不足をしておりますし、阿蘇大橋が落橋している、大分側からしかアクセスできないという中においては、今回、米軍のオスプレイを活用するという判断をしたところでございます。

下地委員 きょうのこの委員会は、TPPの特別委員会なんですね。災害特じゃないんです。これはもう、災害特を開いて、熊本の震災、大分の震災のことでやるんですけれども、総理、TPPの批准の問題、この国会で通すおつもりはありますか。

安倍内閣総理大臣 どの法案も、政府案として提出をさせていただいた以上、成立を目指していきたい、このように思いますが、しかしそれは、まさに国会がお決めになるところでありまして、十分な審議の後、審議が熟せば、それぞれ衆議院においても、また参議院においても議決をしていただきたい、こう思う次第でございます。

 しかしそれは、急ぐとかそういうことではなくて、しっかりとした審議を通じて、国民の皆様の理解を得つつ、審議が終結することが望ましい、このように考えております。

下地委員 総理は、このTPPで十四兆円の成長、GDPを押し上げるということを言っておりますので、また、こういうふうな交渉をしてきた過程の中で、日本が先に批准していくというのが大事だと思うんですね。

 私の考え方は、この災害は災害としてきちっと対応していくけれども、このTPPの法案は、おおさか維新の会としては、しっかりと今国会で通して、そして、私たちは自由貿易のあり方のメリットを得ていくというようなことをやっていかなければいけないんじゃないか。また、本会議でも私が説明したように、安全保障の観点からしてもこれをしっかりとやることが大事だというふうに思っておりますから、強い意思を持ってこの法案を通していく、ぜひそのことをお願いしたいと思うんです。

 この前、民進党がこの黒塗りの資料を見せて、これを見せて、これがない限り私たちは審議しませんと、二十時間損しましたよ。審議していないわけですよ。途中で、十九年ぶりに、テレビ中継のときに、みずから、自分たちのことだけ考えてテレビ中継をやめて、私たちは質問できませんでしたよ。

 委員長、一%で、一%の視聴率で、リサーチセンターが調べたら百万世帯ですよ。これは、国会中継なんて三%といったら三百万世帯、お二人の方だったら六百万人ですよ。自民党と民進党だけ国民の前でテレビ中継して、残りはやめるんですからね。こういうことを勝手にやっておいて、私は、このTPPの法案を進めないようなことをやるというのはやはりおかしいと思うんです。

 しかも、あなた方民進党、では、民主党政権下の中で、松本外務大臣とか玄葉外務大臣とか枝野経済産業大臣とか野田総理がどういうふうなことを言ってきたかということです。

 野田総理は平成二十四年の一月二十七日、「TPP交渉における文書や情報の取り扱いに関する御質問をいただきました。」「一般に、外交交渉において、交渉相手国が非公開として提供する文書については、当該国の意向を尊重することは当然であると考えます。」そのとおりだよ。

 玄葉外務大臣もそう言っていますよ。さらけ出さないところに交渉術というのが出てくる可能性も多くあるわけでありまして、全ての情報を開示したらそれで交渉がうまくいくか、日本の国益を最大化できるのかといったら、必ずしもそうでない場合が当然交渉に入ったら出てくるだろうというふうに言っていますよ。

 こういうふうなときには相手のことを相当追及して、勝手に審議もストップさせる、それでいて、自分たちが政権のときには自分たちも出せませんと言う、これは誰が考えてもおかしいんじゃないですか。

 私は、地元に行っていろいろな方から聞いたら、これを出さなければ審議ができないと、ではこれが出てきたら今の批准の内容が変わるかといったら、変わらないんですよ。

 こういうふうな利己主義というか何というか、これでもう三回目だ。一回目の、与党でもない野党でもないと言ったら、私たちの質問を切る。二つ目には、柿沢未途さんが、テレビ中継というのは相手のことを考えて時間を守るけれども、七分間もオーバーして、私どもおおさか維新の会の時間がテレビ中継がなくなる。今回もまた同じように、自分たちだけ質問して終わる。

 委員長、委員長にもちょっと文句を言いたいんだけれども、うちの丸山さんはちゃんと委員会に出てきて三十分質問しましたよね。そうしたら、丸山さんは質問したんだけれども、テレビ中継のときはこの三十分は切られているんですよ。あなたのやり方はおかしいんですよ。こういうふうに、自分たちで退席した人はテレビ中継のときにやらすべきじゃないんですよ、もう。一回ペナルティーを与えるべきなんですよ。そういうことをやらないと本当にだめなんです。

 総理、そういうようなことをやっているようではだめなんだ。本当に外交文書を出したいんだったら、私たち沖縄の方が一番興味を持っているのは、鳩山政権のときに、県外、国外と言いましたよ。この県外、国外と言った後に、九月の二十一日に日米外相会談、岡田外務大臣です。それで、九月の二十三日も日米首脳会談をやっている。十一月にはまた、東京で日米の首脳会談をやっている。そして、一〇年になって、一月に日米外相会談をやっている。

 こういう過程の中で、自分たちが県外と言ったことが辺野古に変わった。どういう話し合いをしてきたのか。民主党がどういう話し合いをして、沖縄県民にうそをついたことが外交交渉で変わったのか、総理、出してくださいよ、それを、そんなに言うのなら。

安倍内閣総理大臣 民主党政権下における普天間飛行場の移設問題に関する米国との交渉については、首脳、閣僚レベルのものも含めて、公開されてきていないと承知をしています。

 一般に、外国との外交交渉については、その内容を公にすれば、その国との信頼関係が損なわれるおそれや、我が方の交渉の手のうちを明らかにすることになるおそれがあることから、その内容を公にすることは適切ではないと考えております。

 したがって、現在も、これは我々の政権ではございませんが、当時の民主党政権下で行われた米国との外交交渉の内容についても公にすることは適切ではない、このように考えております。

下地委員 これは初めからわかっているんです。自分たちだって、政権をとって、外務大臣もいて、こういう答弁をしてきた人が、人に対しては、他の政権に、野党になったら出しなさい出しなさいと言っているんですけれども、出さないことをわかりながら言っているのは理由があるわけよ。

 これは、二十四日に北海道の補欠選挙がある、京都の三区の補欠選挙がある。TPPの論議が進んで、支持を受けている共産党は反対、民進党は賛成、そういうふうなことの矛盾が出てくることが嫌だから、国会審議をそういうふうにやっているわけですよ。党内だって割れるかもしれない。

 私たちからすると、これはいいかげんなんですよ、いいかげんなこと。誰が考えても、この文書を出さないだけでとまって、自分たちのことはやらないというような……(発言する者あり)足立さんとちょっと違うのは、論理構成が私は正しいということなんですよ。

 私は、そういうことを考えると、今のこのTPPの交渉をただ単にやらせないため、これをやることで野党統一というものの矛盾が出てくるから、この審議はやりたくない、そういうふうな態度でしかないんです、これは。

 もう少し委員長がしっかりして、こういうことはわかっているんだから、もうとめない、審議はとめない、総理が通したいと言っているんだから。こういうふうに野党の気をとってやるようなことはしない、そういう気持ちを、委員長、ちょっと答弁してくださいよ。

西川委員長 答弁する立場にありませんから、きょうの二法案について政府側に疑義をただしていただきたい。御発言は受けとめました。

下地委員 そういう意味でも、しっかりしてもらいたいということを申し上げておきたいと思います。

 それで、TPPの話ですけれども、総理、政府が試算を二回やっています。

 これを見ていただくとわかりますけれども、左側のところが二十五年の現状です。二十五年の現状は、輸入量が五十・七万トンあります、和牛が二十五万トンあります、ホルスタインが十万トンあります、これがそのときの現状でしたね。

 その横は、平成二十五年は、関税が撤廃になった場合は、二十万トンぐらい輸入量が伸びて、和牛が十万トンぐらい減って、ホルスタインがゼロになって、それで三千六百億円の生産減になりますというふうに試算しているんですよ。

 そして、今回は、二十七年の試算では、この五十・七万トンはそのまま、米国牛はそのままで、そして、あと、和牛が二十五万トンになって、ホルスタインが十万トンになって、生産減少額もこういうふうな試算をして、決して少なくならないんですよ、生産額がそこまで落ちましたよという話なんです。

 しかし、総理、考えてみてください。関税が三八%から八%に下がって、アメリカの輸入牛が伸びないというのはやはりおかしいでしょう、試算。しかし、私たちの和牛も、これは二十五万トンですけれども、総理が今言っているように、これからも外に和牛を出していこうという戦略をやっているわけだから、同じ二十五万トンという計算はおかしいでしょうと言っているんです。

 総理が考えているように、この好循環をつくる、消費者に行けば、安くて、牛丼も二百五十円になるかもしれないというようなものが出てくるだろうというふうになったら、お金が出ない分だけ残る。生産者の方も、外に出すような形になってくると産業が大きくなる、これが好循環の結果なんですよ。

 最後のところを見ていただくと、私が考えたら、和牛が今の二十五万トン、ホルスタインが十万トン、これで計算すると六千八百十九億円、これが農林省の試算です。しかし、和牛は、これだけ海外の人が和牛和牛と言っているので五万トン伸びます、ホルスタインは十万トンから五万トンに下がりますといっても七千百三十六億円。三百十七億円、プラス要因になるんですよ。

 だけれども、総理、総理のところの、今の政府の試算のあり方は、和牛、豚肉、鳥肉、米と、一個一個の試算ができていないんですよね。だから、もう一回試算のやり方をしたら、今、十四兆円だとおっしゃっていますけれども、これだけでも三百億円伸びるんですよ。だから、TPPをやっていくと経済はもっと、もう少し試算のやり方をポジティブに考えて物事をつくっていくというようなことをやれば、私はもっと国民がわかりやすい成長戦略が示せるんじゃないかと思うんですよね。

 今、一個だけ説明しましたけれども、これは一回、全体でこういうふうに成長戦略を見直して数字のチェックをしてみる、そういうことをやってみるべきだと思いますけれども、いかがですか。

森山国務大臣 下地委員にお答えをいたします。

 先生の独自の試算を今お示しいただいたところでございますが、いずれにいたしましても、ホルの雄をどう少なくするかというところが一つの課題だろうと思います。そのために、どう和牛、F1をふやしていくかというところが大事な課題だと思いますが、今その方向に向かって政策を進めていることは間違いがありませんけれども、なかなか短期間にできる話でもありませんので、引き続きその努力をさせていただいて、できるだけ輸出もしっかり伸びていくように、TPPの効果が出るように進めさせていただきたいと考えております。

下地委員 森山大臣、成長戦略と言っている以上は、もう少しポジティブに、生産減少額の計算ばかりせずに、どうやって伸びるのかということを示せないと対策にならないです。そのことをしっかりやってもらいたい。森山先生の発言一つ一つは、天の上から山中先生が見ていますよ。そうやって、もう少し攻撃的に農政をつくるというようなことをもう一回お考えいただきたいというふうに思います。

 総理、何かありますか。

安倍内閣総理大臣 それはまさに下地委員が言われたように攻撃的に考えていく、その際は、牛なら牛ということではなくて、これは和牛あるいはホルスタインの雄をどうしていくかということも含めて、ブレークダウンしたものにおいて実際に、これは試算とは別でありますが、支援をしながら戦略をしっかりと考えていきたいと思います。

 特に、今、農林水産大臣からも答弁をさせていただきましたが、海外では和牛というのが大きなブランドになっております。ただ、和牛といっても、オーストラリア産和牛とか米国産和牛ということになっているんですが、やはり和牛は日本産の和牛がさらに高いブランドとして確立されるように我々は努力もしていきたい、そのことによって輸出量を飛躍的にふやしていきたいな、このように考えているところでございます。

 具体的には、ジャパン・ブランドを明確にするための和牛統一マークの活用、あるいは銘柄牛のブランドを守る地理的表示の登録の促進や戦略的な検疫協議の推進など、輸出阻害要因の解消などの取り組みを着実に推進していく考えであります。

下地委員 もう少し前進した、何か明るくなるような、そういうのをやってくださいよ。生産減少額というのが初めから表に出てくるから国民は何か元気がなくなっちゃうんです、TPPに。もう少しそのことをやっていただきたいというふうに思います。

 最後になりますけれども、総理、総理が仲井真知事とお約束をした、平成二十六年二月十八日から平成三十一年二月十七日までの間に運用停止をするというようなことをお約束して、もう残り三年になりましたね。しかし、なかなか、五年の約束がもう二年過ぎましたけれども、あと三年間。しかし、総理、和解協議を今やっている最中なので、あと一年間ぐらいかかるのではないかと言われていて、これはもう、普天間基地の辺野古移設の完成というのには相当に時間がかかることは現実的になってまいりましたよ。

 総理、今優先順位をどこに考えるべきかといったら、普天間基地の辺野古移設の優先順位ではなくて、普天間の、総理がお約束した閉鎖状態をどうつくるかということを最優先にした物事の考え方をやるというのが大事だと思うんです。

 そして、今この約束を守らなかったら、百歩譲って、総理が普天間基地の辺野古をやりたいと言っても、うそをついた総理大臣ではなかなか普天間基地の辺野古移設はできませんよ。やはりここは、決めた、約束をしたことを守る。閉鎖状態というのはどんなものなのか、それを示す、そしてどういうやり方をするのかということを示す、この二つをやらないと、なかなか、辺野古を進めたいといっても、また違うんじゃないかという話になっちゃう。

 総理、二つ質問させてください。

 一つは、今、二万九千回ぐらい普天間は離発着回数がありますけれども、閉鎖状態というのは、どれぐらいの離発着回数を総理は閉鎖状態と言っているんですか。五千回ですか、それとも一万回以下ですか、どっちを閉鎖状態と言っているのか。ゼロにはなりません、これは閉鎖状態ですからゼロにはなりません。簡単にはできないんです。こういうようなことをちょっとお聞きをしたいということが一点あります。

 それと、もし新しいシナリオをつくるとしたならば、どういう考えを持たれているかということです。

 今私たちが見ている範囲では、ちょっと書かせていただきましたけれども、この前、視察にも党で行ってきましたけれども、政府が何回も交渉した馬毛島、この馬毛島の活用をどうするかというのが僕は大きなポイントになってくるんじゃないかなというふうに思っているんです。

 だから、この基準を見せていただくということと、私たちは、馬毛島を活用して沖縄の負担を減らすということを最優先になさって、それから辺野古の問題をやられるならやられるで、総理のお考えで進められたらいいと思いますけれども、そのことについての考え方。そして、馬毛島は、今見てのとおり、地理的位置からしても、沖縄からしても本土の基地にしても非常に近い位置にもあります。こういうようなことをしっかりと論議する。

 また、宮古の下地島空港というのがありますけれども、これをどう活用するのかということも、暫定でもいいですよ、普天間基地の危険の除去をやるというんだったら、ダイナミックに進めていかなければなかなかできませんよ、これを考えてもらいたい。

 しかも、大事なことは、総理、那覇空港は海抜一メートル、嘉手納飛行場は海抜五メートル、今度、辺野古をつくられても海抜一メートル。普天間基地だけが海抜六十メートルですよ。防災の観点からしても、私は、本当に、普天間をそのまま全部お返しになって、さあ、それでいいですかといったら、沖縄は、今の熊本の状況からすると孤立しますよ。飛行場全部、津波になったら物資を送れませんよ。

 本当に、こういう状況の中から、もう一回、リフレッシュした考え方で、これしかできませんという考え方で物事を考えて、沖縄と向き合うべきじゃないかと思うんですけれども、総理のお考えを聞かせてください。もう時間ですけれども。

安倍内閣総理大臣 大切なことは、沖縄の基地負担の軽減を一つ一つ着実に進めていくことであろうと思います。そして、同時に、普天間基地、学校やあるいは市街地に囲まれている、この危険性の除去をしていく、固定化を断じて許してはならないということだろうと思います。これは、我々政府も沖縄も共通の認識であろうと思いますし、下地委員もそうなんだろうと思います。

 そこで、仲井真前知事からの御要望のあった普天間飛行場の五年以内運用停止については、政府としても、移設されるまでの間の普天間の危険性除去が極めて重要な課題であるという認識を仲井真前知事と共有したところであります。

 このため、仲井真前知事からいただいた埋立承認に基づき辺野古への移設を進める中、米国といった相手のあることではありますが、できることは全て行うという姿勢で取り組んでまいりました。

 具体的には、普天間が有する三つの機能のうち、空中給油機の運用機能については、既に平成二十六年八月、空中給油機十五機全て岩国飛行場へ移駐を実現しました。また、緊急時における航空機の受け入れ機能も、福岡県の築城基地、宮崎県の新田原基地へ移すことを決定しています。さらに、辺野古移設までの間、普天間に残るオスプレイについても、沖縄県外における訓練等を着実に進めているほか、機体の定期整備については、昨年十月、千葉県の自衛隊木更津駐屯地で実施することを決定しております。

 昨年十月、翁長知事が埋立承認を取り消すなど、普天間の移設をめぐる状況は当時と変化しているところではありますが、政府としては、引き続き、辺野古移設についての地元の御協力が得られることを前提に、相手のあることではありますが、できることは全て行うとの方針のもと、取り組んでまいります。

 また、馬毛島についてでございますが、鹿児島県の馬毛島を活用すべきとの御提案でございますが、民主党政権において、普天間飛行場の移設先として、馬毛島よりも沖縄本島に近い鹿児島県の徳之島の可能性が検討された際、海兵隊の陸上部隊から一定の距離以上に離れると運用に支障を来すとされたところでございます。これはもう御承知のとおりでありますが。

 沖縄本島から徳之島までは約二百キロメートルである一方、沖縄本島から馬毛島まではその約三倍に当たる約六百キロメートル離れており、このようなことを踏まえると、一時的なものであっても、馬毛島に普天間飛行場の有するオスプレイなどの運用機能を移転することは困難ではないか、このように考えております。

下地委員 時間ですから終わりますが、総理、私が言っているのは、普天間の代替地みたいに、移設ではありませんからね。馬毛島は訓練だけです。だから、全く問題ないです。訓練して沖縄に帰ればいい、そういうことですから、それをやることで普天間基地の危険の除去ができる、こういう提案ですので、ぜひよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

西川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十一分散会


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