衆議院

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第7号 平成28年4月19日(火曜日)

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平成二十八年四月十九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 西川 公也君

   理事 笹川 博義君 理事 菅原 一秀君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 福井  照君

   理事 吉川 貴盛君 理事 柿沢 未途君

   理事 近藤 洋介君 理事 上田  勇君

      井野 俊郎君    井上 貴博君

      小田原 潔君    勝沼 栄明君

      北村 誠吾君    小島 敏文君

      佐々木 紀君    坂本 哲志君

      関  芳弘君    田中 良生君

      武井 俊輔君    武部  新君

      寺田  稔君    中川 郁子君

      中谷 真一君    野中  厚君

      橋本  岳君    原田 義昭君

      福山  守君    古川  康君

      細田 健一君    堀内 詔子君

      前川  恵君    御法川信英君

      宮川 典子君    務台 俊介君

      渡辺 孝一君    緒方林太郎君

      逢坂 誠二君    岸本 周平君

      黒岩 宇洋君    篠原  孝君

      玉木雄一郎君    福島 伸享君

      升田世喜男君    村岡 敏英君

      稲津  久君    岡本 三成君

      中川 康洋君    笠井  亮君

      畠山 和也君    丸山 穂高君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   農林水産大臣       森山  裕君

   経済産業大臣       林  幹雄君

   国務大臣         石原 伸晃君

   農林水産副大臣      齋藤  健君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    吉井  巧君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         勝田 智明君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  唐澤  剛君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           小風  茂君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  今城 健晴君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君

   衆議院調査局環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別調査室長      辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     中谷 真一君

  武井 俊輔君     堀内 詔子君

  橋本  岳君     野中  厚君

  緒方林太郎君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 真一君     井野 俊郎君

  野中  厚君     橋本  岳君

  堀内 詔子君     細田 健一君

  逢坂 誠二君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  細田 健一君     佐々木 紀君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     武井 俊輔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件(条約第八号)

 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第四七号)


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     ――――◇―――――

西川委員長 これより会議を開きます。

 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び内閣提出、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官澁谷和久君、消費者庁審議官吉井巧君、厚生労働省大臣官房総括審議官勝田智明君、厚生労働省保険局長唐澤剛君、農林水産省消費・安全局長小風茂君、農林水産省生産局長今城健晴君、農林水産省経営局長奥原正明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笹川博義君。

笹川委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の笹川でございます。

 質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。

 冒頭に、改めて熊本、九州地区での地震において亡くなられた皆様方に心から弔意を表し、同時にまた、被災された皆様方にお見舞いを申し上げます。

 また、この時期でのTPPの質疑についてはさまざまな御意見はありますが、こういうときだからこそ、与えられた職務、職責を全うすることが政治家としての一つの道ではないかと自分は考えます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まず、石原担当大臣にお伺いします。

 過日の本会議、委員会質疑においても、食品の安心、安全についての質問がありました。これだけ大きな多国間の経済協定でありますので、国民の間から食品の安心、安全について懸念する声が上がるのは当然のことでありますので、改めて国会での質疑の中で、政府側からわかりやすい明快な答弁が、お答えが必要とされているというふうに思います。

 改めてお伺いをさせていただきますが、我が国の原料原産地表示についての、TPP協定において、現行の表示制度が変更を求められるものではないということでよろしいでしょうか。

石原国務大臣 改めて私からも、熊本、大分の地震におきまして、お亡くなりになられた方々に対してのお悔やみと、そして本当に不自由な御生活をされている避難者の方々にお見舞いを申し上げたいと思っております。

 そんな中で、委員がしっかりと与えられた職責を尽くしていくということには、私も敬意を表させていただきたいと思います。

 そんな中で、原産地表示制度が変更されるのか、されないのか、これは大変御関心の強いところだと思います。委員の御指摘は、我が国が持っております食品の原料の原産地表示、いわゆる食品表示法に基づく原料原産地表示制度、これがTPPによってどうなるのかというような御質問ではないかと聞かせていただきました。

 御指摘のとおり、やはりTPP協定によりまして、万が一にもそれが害されることがあってはならないということはもう当然のことでございますし、TPP協定の第八章におきまして、食品表示のルール等の規格基準については、日本が既に締結をしているWTOの貿易の技術的障害に関する協定、いわゆるTBT協定の考え方が維持されている、そのようにされているところでございます。

 したがいまして、TPP協定によって変更されることはない、このように承知をしております。

笹川委員 続きまして、本来ですと松本副大臣にお伺いするわけでありますが、現在、被災地に行っておられるということでありますので、政府側の答弁は、副大臣はいたし方ないというふうに思います。

 近年、我が国においても、国内外において食品に関するさまざまな事件が起きまして、食の安心、安全に対する関心も高まっております。

 消費者の意識調査では、原料原産地名について、七七%の方が商品選択の際の参考にしている、逆に参考にしない人は七・四%、食品表示の確認、これは九三%ということであります。

 これらの国民の皆さんの声を受けて、政府として、そしてまた農水省、消費者庁共催で、現在、制度に関する検討会を開催しております。

 ここでお伺いしたいのは、消費者庁として、現行の二十二食品群、四品目の表示制度で、国民の皆さんの知る権利、選択をする機会を確保するという観点から、消費者の声に十分に応えられているというふうにお考えでしょうか。御所見をお伺いいたします。

吉井政府参考人 お答えいたします。

 加工食品の原料原産地表示につきましては、総合的なTPP関連政策大綱におきまして、実行可能性を確保しつつ、拡大に向けた検討を行うことが食の安全、安心に関する施策として盛り込まれたところでございます。

 このことを踏まえまして、消費者庁と農林水産省の共催で、本年一月より、加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会を開催いたしまして、今後の対応方策について幅広く検討しているところでございます。

 先生御指摘のとおり、本年三月に消費者庁が実施をいたしました調査におきましても、消費者の原料原産地表示に対する関心は高く、この調査結果も踏まえますと、消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会を確保するためには拡大することが望ましいというふうに考えておりますが、具体的にどこまで広げるのか、どのように広げるのかにつきましては、検討会でしっかりと御議論いただいた上で、事業者の実行可能性を踏まえつつ、具体的な方向性を出してまいりたいというふうに考えております。

笹川委員 わかりました。現行ではやはり不十分だ、消費者の声に応え切れていない、だから拡大の方向なんだという姿勢については評価をさせていただきたいと思います。

 続きまして、森山農林水産大臣にお伺いいたします。

 森山大臣は、常に現場へ足を運びということで、いわゆる生産者の声を大事にする、私の選挙区でもそういう大臣としての政治姿勢が高く評価をされておりまして、私自身も、非常に先輩としての背中、大変敬意を表します。

 改めて、ここで、大臣にも原料原産地表示制度についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 我々自民党では、TPPの大筋合意を受けて、TPP地方キャラバン隊を組織して、各地でさまざまな現場の声に耳を傾けてまいりました。この人数の多寡について御批判はあろうかと思いますが、そこに参加した人というのは、それぞれ周囲の声を受けて、そして、代表してそこに座っておられて、意見を申し述べたわけであります。その中で、大臣も既に御承知と思いますが、異口同音に、この原料原産地表示の拡大を求める声が上がりました。

 生産者の声を大事に、生産者の思いに寄り添う大臣として、この現行表示に対する御所見をぜひお伺いさせていただきたいというふうに思います。

森山国務大臣 笹川委員にお答えをいたします。

 加工食品の原料原産地表示につきましては、平成十三年以降、順次義務づけの対象が拡大をされてきたところであります。現在、二十二食品群及び四品目について義務づけられております。

 消費者の自主的かつ合理的な選択に資してきたというふうに理解をしているところでございます。

笹川委員 もう一度、改めてお伺いしますが、消費者庁とすると、現行の表示制度について、消費者の声には応え切れていない、だから拡大の方向を示しておられますが、生産者側からも、これだけ多くの原料原産地表示の拡大を求めている声がありますよね。それについて、大臣としての御所見をお伺いします。

森山国務大臣 まず、自民党の農林水産業骨太方針策定PTが、原料原産地表示について真摯な御議論をいただいていることに敬意を表したいと思います。

 その上で、同PTが三月三十一日に、全ての加工食品について実行可能な方法で原料原産地表示をすると取りまとめられたというふうに承知をしております。

 現在、農林水産省及び消費者庁においては、政策大綱において、実行可能性を担保しつつ拡大に向けた検討を行うとされたことを踏まえまして、加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会を設置し、関係業界や消費者等の幅広い御意見をお聞きしているところであります。

 政府としては、自民党での御議論をしっかりと受けとめ、加工食品の原料原産地表示の拡大に向けた具体的な方策について、本年秋を目途に中間的な取りまとめを行えるように、検討を進めてまいりたいと考えております。

笹川委員 ぜひ、生産者の声そして消費者の声、このことについて真摯に受けとめていただいて、制度拡大に向けて御努力をお願いしたいと思います。

 これからも、総理も含めて新農政時代ということを我々は申していますが、しかし、私は消費者が農業、農政の最大の支援者だというふうに思っております。そういうこともあって、我々は、消費者の権利である知る権利、選択する権利、このことをしっかりと守っていくんだという姿勢の中で、今回のPTにおける取りまとめをさせていただきました。全ての加工食品について、実行可能な方法で原料原産地を表示するということであります。ぜひ、国民の日々の選択が日本の食と農を支える、この基本路線をしっかりと堅持していただきまして、表示拡大の結果を出していただきますように、改めてお願いいたします。

 ここで石原担当大臣にお伺いしたいのは、TPP協定において、いわゆる原料原産地の表示については問題ない、しかし、今後、この表示が対象拡大、いわゆる制度改正を実施したときに何らかの問題が発生するのか、ぜひお伺いをさせていただきたいと思います。

石原国務大臣 ただいまの笹川委員と農林水産大臣、または消費者庁の方との議論を聞かせていただいて、委員の立つ位置は、消費者また生産者に対して食の安全、安心をやはりしっかりと確保していかなければならないし、消費者のニーズに応える拡大、この拡大していくことがTPP協定に何ら抵触をするのかしないのか、またTPPの協定自体から阻害要因が惹起されるのかされないのか、こういう御視点での御質問と聞かせていただいたわけでございます。

 先ほども述べさせていただきましたとおり、TPP協定では、食品表示のルールなどの規格基準について、もう日本が既に締結をしておりますWTOの貿易の技術的障害に関する協定の考え方が維持されているわけでございます。これまでも、WTO・TBT協定に沿った所定の手続を踏まえて、今拡大の方向で自民党の方も提言をいただいたわけですけれども、原料原産地表示制度の改正が行われてきたということは事実だと思っております。

 TPP協定がこれらWTO・TBT協定を維持しており、そうしたこれまでの状況が変わることはないので、委員の御懸念にはしっかりと応えられているというふうに認識をさせていただいているところでございます。

笹川委員 それでは、石原大臣には最後の質問ということになります。

 現在、韓国と台湾についてもTPPに参加をしたいという意思を表明しておりますが、そこでお伺いしたいことは、この両国は、福島、茨城、栃木、群馬、千葉、五県の生産品について、科学的根拠に基づかない不当な輸入制限を実施しております。被災地を含めて、速やかな解除を求めておりますが、このような不当な輸入制限の規定について、仮にこの二カ国がTPP参加という、交渉が始まったときには、我が国として、是正、解除、そのときにまだ不当な輸入規制措置をとっているという前提でありますが、このことをしっかり求めていかなきゃなりませんが、この不当な措置がこの二カ国がTPPに参加する上において大きな障壁だと私は思っています。

 その辺についての御所見をお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 今、笹川委員は、先生御出身の群馬の生産品につきましても、台湾、韓国が輸入を制限しているということに対して不当だというようなお話でございますけれども、ちょうど、これは今、御存じのとおり、WTOにおきまして紛争手続中のものでございますので、一般論として御答弁させていただくことを御容赦いただきたいと思うんです。

 WTOのSPS協定では、衛生植物検疫措置について、科学的な根拠に基づいていること、ここのところが委員の一番ひっかかるところで、科学的根拠に基づいていないんじゃないかという思いから先ほどのようなお言葉が出てきたんだと思うんですけれども、あるいは、恣意的または不当な差別をしてはならないとされております。

 こうした考え方は、TPP協定のもとでも何ら変わるものではないというふうに理解をしているところでございます。したがいまして、TPP協定のもとでも、SPS協定と同様に、農産品輸出の際の障壁改善を求めることができると認識をしております。

 さらに、TPP協定七章十七条におきまして、WTO・SPS協定には規定がない、専門家が関与する協議を求めることができるといった規定も設けられている。ですから、WTOのSPSよりもさらに進んで、仮の話で、一般論で本当に恐縮なんですけれども、二つの国と地域が参加を望んできますと、これまで以上に、委員の御懸念に対して、この御懸念を払拭するようなツールがそろっている、こういうふうに御理解をいただければと思っております。

笹川委員 ありがとうございました。ぜひ問題意識を持っていただきまして、今後の展開をしていただければと思います。

 それでは、森山農林水産大臣に最後の質問ということになります。

 今回、TPP、農業においても、総理もきのうもおっしゃっていましたが、成長産業なんだ、大きなチャンスなんだということだというふうに思っております。ただ、現場においては、成長の可能性というものを感じられる人と不安に思う人と非常に分かれるわけですよね。どちらにしても、今回、市場が連結をされて、我々から考えれば、国内市場から、今度、多国間の大きな市場がもう目の前にある。

 しかし、日本の農業の場合には、そういう意味において、国内の市場、産地間競争も激しいし、いろいろな意味で国内市場だけを目がけて頑張ってきた歴史でありますから、急に世界でと言われてもなかなか感じがつかめない。ですから、政府が言っている、大きな旗を振っておりますが、やはりそれを具体的に感じられるように施策を講じることが必要だと思うんです。

 私は、実は製造業の出身者であります。技術屋がこれはいいんだというふうに開発しても、それが売れるわけではない。やはり消費者、お客様のニーズというのが大事なんですね。ですから、車でもそうなんですよ。技術屋がこれはいいんだと出しても、必ず売れるとは限らない。それと同じように、日本の農産品が品質もよく優秀であることはもう間違いありません。しかし、それが全ての国に受け入れられるかというと、これはまた別個の話なんですね。

 というのは、日本の農産品は、日本の食文化、食生活の変化、そういうものをいろいろ積み重ねて改良してきた。我々は、外国に打って出るのならば、やはり、相手国の食文化や食生活、こういうものをしっかりと把握して、そして日本の農産品を合わせていくという努力も実は必要なんじゃないか。

 そういう意味において、私はもう少し踏み込んだ輸出戦略というものを立てていくということになるならば、あくまでも、これは地域や一農家の人に任せる話じゃなくて、国を挙げて取り組む、そのことによって、具体的に世界に打って出る、こういうことが、信念として、確信を持って農家の人たちは物づくりに励むことができるんじゃないかというふうに思いますが、その辺のところの大臣の御所見をお聞かせください。

森山国務大臣 お答え申し上げます。

 今委員の御指摘のように、成長する海外の市場を取り込むためには、やはり海外の嗜好、ニーズに合った食品や生産物を輸出していくということが大事なことだろうと思います。もう一つ大事なことは、日本の農産物、食品が世界で最も安心、安全なものであるという評価をされているということを農林水産業の現場の皆さんがぜひ矜持としていただきたいなというふうに私は思っております。

 今回、TPPにおきまして、関税の撤廃を獲得できましたし、通関の手続の迅速化なども、今後農林水産物を輸出していく上では非常にメリットになる話ではないかなというふうに考えております。

 また、政府におきましては、輸出力強化ワーキンググループを設置いたしまして、さらなる輸出促進に向けた議論が行われているところでありまして、この議論を踏まえつつ、あらゆる政策を総動員していくということが大事なことではないかなというふうに思っております。

 また、委員のお地元の群馬県においては、和牛について、輸出先国の求める衛生管理体制をしっかりと確立してこられましたし、また、現地での食生活に適応した食べ方を紹介するセミナーなども開催をしておられるようでございますが、結果として、アメリカとか香港への輸出が拡大をしているということでございますので、こういうことも一つの参考にしながら頑張っていくということが大事なことだと思いますし、やはり輸出というものを農林水産物、食品の一つの大事な柱に仕立てていくということが大事であろうというふうに考えております。

 以上でございます。

笹川委員 大臣のその決意がそれぞれの農家の人により伝わるように、もっと積極的な政策の展開を心からお願いして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

西川委員長 次に、岡本三成君。

岡本(三)委員 おはようございます。公明党の岡本三成です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 冒頭、熊本を中心といたしました地震でお亡くなりになりました皆様に心からお悔やみを申し上げます。被災された方にもお見舞いを申し上げます。

 私、生まれ故郷は佐賀県でございまして、親戚の多くは佐賀に住んでおります。佐賀の方も多く避難されておりますけれども、熊本にもたくさん友人がおります。今、政府が全力で、人命救助を中心といたしまして、支援物資の配送等に取り組んでいただいておりますけれども、今後の復興を考えたときに、九州は輸出に最も積極的な農産県であることも確かでありますので、今回のTPPのこの議論、十分に審議を尽くしてまいりたいと思います。

 まず初めに、私、今回のTPPは、本当に、今後の日本の農業戦略を考える上で、攻めの農業へと転換する絶好のチャンスだというふうに考えています。

 攻めの農業というのは、ただ単に農業を成長産業へと導くだけではなくて、その結果、農家の方の所得が上昇していくような産業へと支援していかなければいけないというふうに思います。もちろん、重要五品目を中心に守らなければいけない分野も多くあるわけですけれども、しかし、多くの農産物に関しましては、農業の未来は明るいし、また明るくするような政策を実現することこそ政治の責任だと思っています。

 極端な言い方をすると、私は、今までの農業政策の延長線上には日本の農業の未来はないというふうに思っています。

 例えば、ガット・ウルグアイ・ラウンドは一九九四年に合意いたしましたけれども、その後、二十年間、今までの政府の農業政策で何が起こったかということを確認させていただきたいと思うんですね。

 この二十年間で、政府は、農業分野に補正を含めて七十二兆円投入いたしました。その結果起こったことは、農業の総産出額、売り上げは、十一・三兆円から八・四兆円、二六%落ちています。農業生産者の所得は、五・一兆円から二・八兆円、四四%ダウンです。基本的な収入を農業に依存していらっしゃる基幹的農業従事者の方々の人数は、二百六十三万人から百六十八万人、マイナス三六%。ふえたのは、唯一、農業従事者における六十五歳以上の方の割合。これは、一九九四年は三人に一人が六十五歳以上、今は三人に二人が六十五歳以上です。当然、耕作面積も一一%減っています。

 今後、日本の人口が大きく減っていくことが予想される中で、このままだと、変わらなければ、全体としては日本の農業には未来がないと懸念していらっしゃる方は多いと思うんです。

 ですから、今回の本当の目的というのは、単に目先のTPPの対策というようなことではなくて、環境の変化に伴って、持続可能な強い農業を育てる政策をどう実現していくかということだと思います。

 そこで、初めに農林水産大臣にお伺いしたいんですけれども、国際競争力のある、勝てる農業へ転換することが今回の主眼だと思いますけれども、いかがでしょうか。

森山国務大臣 岡本委員にお答えいたします。

 生産者の高齢化や耕作放棄地の増大等、課題が山積している中で、農林水産業の活性化は待ったなしの課題であると認識をしております。政権交代以降、産業政策と地域政策を車の両輪として、農協改革や農地中間管理機構の創設などの農政改革を実施させていただき、攻めの農林水産業への施策を推進してきたところであります。

 今般、TPP大筋合意を受けまして、生産現場に残る懸念を払拭させていただき、新たな国際環境のもとでも次世代を担う生産者が夢と希望を持って経営発展に取り組めるように、これまで進めてまいりました農政改革に加え、昨年取りまとめました総合的なTPP関連政策大綱に基づき、体質強化対策や経営安定対策の充実など、万全な対策を講ずることとしております。

 このような施策を講じていくことで、生産者の方々に、安心、安全で高品質な、世界にも通用する農林水産物を生産しているという自信を持っていただき、新たな国際環境のもとでも夢と希望を持って経営発展に取り組んでもらえるようになるんだというふうに考えております。

 このような考え方で、農林水産省としては、農政新時代を切り開いてまいりたいと考えております。

岡本(三)委員 そこで、その攻めの農業を支援するために、日本の政府として十分な体制ができているかどうかということを検証させていただきたいと思います。

 まず、農産物、いろいろなカテゴリーがあるので、幾つかに分けさせていただきたいんですね。

 まずは、既に品質的に国際競争力が十分にあるような農産品、例えばフルーツ、最高級和牛、ブランド野菜、つまり、販路さえ開拓できればもう既に国際市場の中で売れるようなものに対して、どういうふうな支援の体制ができるかということをお伺いしたいと思います。

 私、いろいろな国で働いたことがありますけれども、例えば日本のメロンなんて、世界の最高級レストランのデザートにリスティングすれば、物すごく高い価格で売れるような気がするんですね。

 それで、TPP参加国を中心といたしました世界各国の消費者ニーズを踏まえて、そのマーケティング戦略をしっかりと、農家の方を支援できるような体制がとれているかどうかということを確認したいんです。

 例えば、GI、それぞれをブランド化し、販売先を確保し、マーケティングチャネルも提供し、ビジネスモデルをしっかりと農家の方と一緒に考えて、最終的には、よいものを安くではなくて、よいものを適切な価格で、できればより高く売っていけるような支援ができるかということが大事なんだと思うんです。

 今回のTPPでは、例えば、工業製品をつくっていらっしゃるような中小企業や中堅企業の方々に対する海外への販路拡大のための支援というのは、物すごくよくできていると思うんですね。今回の政府の命名では、この総合支援体制を新輸出大国コンソーシアムと名づけていらっしゃって、例えば、ジェトロを中心として、商工会議所や地域金融機関が一体となって、中小企業の工業製品を海外に売っていくようなマーケティング戦略がとられています。

 私は、農産品、農産物に関しても、これ以上の体制を持って、具体的に海外に販売支援をしていくような体制をとるべきだと考えているんですけれども、やはり、今までの経験の違いといいますか、中小企業に対する政策は本当に綿密にできていますけれども、農家の方に対するこのようなマーケティング戦略にはまだ不十分なところがあるのではないかと思っているんです。

 その点、どのように二人三脚で農業を世界に売っていくか、ぜひ御答弁をお願いいたします。

齋藤副大臣 問題意識は、岡本委員と全く共有をさせていただいております。

 幸いなことに、日本の農産物は諸外国から高品質なものとして評価をされるものがたくさんあると思いますが、ただ、品質さえよければ売れるということにはなりませんので、委員おっしゃるように、ニーズを踏まえた戦略的なマーケティングが非常に重要だと思っております。

 御案内の新輸出大国コンソーシアム、これは先般立ち上がって、私も第一回目に参加をさせていただきましたけれども、中小企業のみならず、食品工業、あるいは農産物もこのコンソーシアムの中に乗って、シームレスな輸出促進をしていくということになっておりますので、農林水産省としてもぜひこれを活用していきたいと思っておりますし、今、石原大臣を座長といたしまして、輸出力強化ワーキンググループというのを政府全体として取り上げて、促進を図っていこうということであります。

 その中でも、いかにして売っていくかということを、ヒアリングを重ね、議論を重ねてきておりますので、そういう成果も生かしながら、農林水産省として万全を期していきたいと思っております。

岡本(三)委員 副大臣、これはぜひお願いしたいことがあるんです。

 要は、すばらしいクオリティーのものを既に生産していらっしゃる方で、いろいろと海外に販売をしていきたいというふうな問題意識がある方は、多分、向こうから御相談にいらっしゃいます。しかしながら、実は世界で十分勝てるものをつくっているのに、目の前の仕事で大変でいらっしゃるので、世界に売っていこうというふうな発想をお持ちでない方もたくさんいらっしゃるんです。もったいないと思うんです。

 ですから、相談に来れば相談に乗ってあげるみたいなことじゃなくて、こちらから出向いていって、これはチャンスですよ、ここにこんな高値で売れる可能性が高いですよというふうな、こちらから営業に行くような政府の支援体制をぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、今はまだ世界で勝てるような品質の農産物にはなっていないけれども、今後そのような状況に達する可能性がある農業生産物をつくっていらっしゃる方に、その品質を向上したり生産性を向上したりするような支援をどのようにしていくかということについてお伺いさせていただきたいというふうに思います。

 私は、農業の生産性を含めまして、日本全体、生産性が低いと言われるんですけれども、一番初めにやるべきことは、成功している人のまねをすることなんだと思うんですね。そのまねをした上で、ある程度のレベルまで行った後に、差別化をして、さらに自国がつくっているその製品に関してのクオリティーを上げていくということが非常に重要だと思います。

 そこで、世界を見渡してみますと、日本と環境が比較的似たところで農業大国と言われているのはオランダなんですね。その証拠に、安倍総理も平成二十六年にオランダの農場を視察していらっしゃいます。

 実は、オランダは小さい国なんです。国土面積でいうと日本の九分の一にもかかわらず、農産物の輸出は、アメリカに次ぎまして世界第二位であります。圧倒的に海外で農産物を高く売る国なんですね。オランダの人口は日本の八分の一、耕作面積は日本の約四割。そんなところで、日本が輸出の国際ランキング五十五位にもかかわらず、オランダは第二位です。

 オランダと日本の何が違うかというのを調べてみたんです。大きく分けて二つあります。ちなみに、オランダが輸出をしてもうけているもの、確かに輸出に適さないものもありますけれども、オランダが輸出を多くしているものは、花卉、ジャガイモ、トマト、キュウリ、キノコ、チーズなど。

 オランダの最大の強さの秘密は、産官学で協同いたしまして、フードバレーというコンセプトのコンソーシアムをつくっています。これは、アメリカのシリコンバレーに匹敵するような、農業生産におけるフードのバレーをつくっていこうという感覚なんですけれども、この中で彼らが重視していることが二つあります。

 一つは人材育成です。人材育成は、実は農業従事者の人材育成ではありません、その農業従事者のマーケティング戦略、経営戦略を考えるコンサルタントの人材育成なんですね。これが一つです。

 ちなみに、この人材育成のために、オランダには、国営で出発をいたしましたワーヘニンゲン大学というのがあります。この大学は、当時農林水産大臣だった林大臣が平成二十五年に視察に行かれています。一八七六年にできました非常に歴史の長い大学なんですが、この大学で教えているのは、農業技術だけではなくて農業経営です。どうやって高く売っていくかということを教えているんですね。そして、その卒業生の多くは、卒業後には農家の生産者にはなりません。国や自治体の経営コンサルタントとして、農業技術の高い方とともに二人三脚で、どうやってその農家の方がつくられたものを高く売っていくかということを考えていく仕事をやっていらっしゃいます。

 私は、こういうことが日本にも必要だと思うんですね。農家の方のつくっていらっしゃるクオリティーは、多分、世界水準で見ても、世界最高水準のものをもう既に日本はつくっています。要は、どのように経営のベースに乗せて、販路を開拓して、高く売れるような仕組みをつくり上げていくかということが重要です。

 物のクオリティーを上げるのは、なかなか上がりません。どんなに時間をかけても、スペックというのはそう上がらないんですね。ただ、経営戦略というのは、知恵を持った方が横にパートナーとしてつけば、比較的短期間で実現できるようなものであります。

 日本の中にこういう研究機関や学校みたいなことがあればそれが一番いいわけですけれども、もしないのであれば、例えば海外の最高峰の大学、アメリカの州立大学は、例えばイリノイ大学、カリフォルニア大学、ミシガン大学、最高水準の農業の大学院を持っています。国費で農協の職員、自治体の職員を送り込んで、勉強してきてもらったらいいと思うんですね。

 加えてもう一つ、オランダで圧倒的に日本と違うのは、農業がIT化されています。農業とITというのは物すごく相性がいいんですね。

 例えば、オランダのハウスの九割以上はコンピューター制御です。多分、日本ではほんの数%だと思います。コンピューター制御されていますから、温度や湿度や気候等で、ビッグデータで管理されていますから、その食品に対してリアルタイムで手が加えられて、製品のクオリティーも上がります、栄養も上がります、そして安定的な生産につながって、農家の方の所得も上がっていきます。

 この二つの点、人材育成、そしてIT化を進める、政府としてどのように取り組もうとしていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

奥原政府参考人 私の方から、まず、農業の人材力、経営力の話についてお答えさせていただきます。

 今先生からも御指摘ございましたように、オランダでは、ワーゲニンゲン大学が中心となりまして、ファイナンスですとかマーケティング等の農業のマネジメントを学ぶ、そういうコースを設置して、農業経営者教育に取り組んでいるというところでございます。

 我が国におきましても、農業を国際競争力を備えた成長産業としていくためには、生産技術だけではなくて、マーケティングも含めた経営ノウハウを備えた人材の育成が極めて重要であるというふうに考えております。

 この観点で、都道府県に置かれております農業大学校、この中のカリキュラムでも経営力の面を強化しておりますし、それから農業界、産業界、学界が連携をして次世代の農業経営者の育成に取り組む、こういったものについても支援をしております。それから、トッププロを目指す経営者を育成するためのオンラインのアグリビジネススクール、こういったものへの支援もやっているところでございます。

 今後とも、経営力それから技術力を含めて、農業を発展させるために必要な人材力の強化については充実強化を図っていきたいと考えております。

今城政府参考人 IT化についてのお尋ねでございます。

 我が国の農業の競争力を高めていくためには、おっしゃるとおり、高品質なものを安定的に生産する、そういうような収益性の高い農業経営の実現ということが重要でございます。

 私ども、園芸先進国でございますオランダを参考にしまして、日本型施設園芸のモデルとして、ITによる温度、湿度あるいはCO2の高度環境制御ということ、あるいは、木質エネルギー、地域資源エネルギーを活用する、そういったようなことを総合的にやります次世代施設園芸拠点の整備というものを進めておるところでございます。

 このようなことを中心に、平成二十八年度予算におきまして強い農業づくり交付金、あるいは二十七年度補正予算で措置されました産地パワーアップ事業、こういうものでIT導入による施設園芸の生産性向上への取り組みを支援させていただいております。

 そういうことを通じまして、農業の競争力強化を図ってまいりたいというふうに考えております。

岡本(三)委員 ありがとうございます。

 人材育成に関しては、世界で勝とうと言っているわけですから、世界の一流の大学にぜひ国費でコンサルタントになる人を送っていただきたいと思います。

 今御答弁いただきました、日本の地域における植物工場につきましても、実は、私の地元、埼玉県の久喜市でも農水省の支援でこれをやっていただいておりまして、トマトの植物工場をつくっていただいています。

 植物工場というと、日も当たらないし土もないので、何か貧弱と誤解されている方がいますけれども、実は、物すごく管理されていますので高品質、そして農薬も使いません。加えまして、生産性が物すごく高いので、同じ面積で収穫量が三倍になっておりまして、埼玉の農業の未来を担う礎になるのではないかというふうに期待されています。

 大臣、最後に一言。攻めの農業が基本的な考え方ですから、これは大チャンスだと思うんです。ぜひ、もうかるから農業をやるというふうな若者をふやすためにも、大臣の決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

森山国務大臣 攻めの農業に転じていくことは大変大事なことでありますし、若い人たちが意欲を持ってやっていくということが大事なことでして、全国いろいろなところでいろいろな試みが行われております。モデルになるようなこともたくさんありますので、そういうこともしっかりと横展開をさせていただいて、産業政策としての農業と地域政策としての農林水産業のあり方、車の両輪として、引き続き努力をしてまいりたいと考えております。

岡本(三)委員 ありがとうございました。

 終わります。

西川委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 民進党の玉木雄一郎です。

 まず冒頭、先般の熊本を中心とする地震の災害、亡くなられた方にお悔やみと、そして、今なお多くの方が被災されて苦しんでおられます、心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 それと、先般、南阿蘇で、山荘で亡くなられた方が発見をされましたけれども、私の地元の東かがわ市の四十二歳の大変若い方であります。他人事ではないということで、改めて心が痛みます。

 そういう中でこうしたTPPの審議を進めていかざるを得ないことは、私は若干残念であります。なぜ残念かというと、きょうもこうして質問しますけれども、どうしても被災の話をせざるを得ないし、一方で、TPPの委員会ですからTPPの議論もしなければいけない。どちらも何か中途半端になるし、私の心の中も整理し切れないままここに立っている。多くの人がそうだと思います。

 与党の中にも、幹部の皆さんの中にも、少し一旦落ちついて議論する環境を整えたらどうかということをおっしゃっている方がいるやに聞きましたけれども、総理のどうしても強い意向で、成立を図りたいということで、この委員会が開かれると聞いております。もう少し落ちついた環境でぜひ議論をしていきたい、改めてこのことを冒頭申し上げたいと思います。

 まず二点、災害に関して伺います。

 私は、これは平成二十三年度の三次補正の際に、東日本大震災のときに、福島県中通りで藤沼池、藤沼湖が決壊をいたしまして、八名の方が亡くなりました。農業用ため池、ため池、全国にあります。津波のことが非常に水の問題としては心配されますけれども、内陸に住んでいる人が水の被害を受ける最大の脅威は、近くにあるため池の決壊であります。我が香川県にもため池はたくさんありますが、香川県だけではなくて、例えば、広島県、岡山県、愛知県、ため池が多数あるところは全国にいっぱいあります。

 まず冒頭、農水大臣に伺います。

 耐震不足と既に認定をし、農林水産省としても、その数や内容を把握していると思います。今、全国で耐震不足とされているため池はどれだけあるのか、うち、もしわかれば、熊本県、大分県でそれぞれ幾つあるのか、教えてください。

森山国務大臣 玉木委員にお答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、東日本大震災のため池の決壊を契機といたしまして、各都道府県によりまして耐震性調査が行われてきたところでありますが、二十六年度までに全国で三千九十五カ所であります。そのうち、千七百八十七カ所で耐震性が不足しているという結果でありました。

 そのうち、九州でございますが、九州七県は三百七十五カ所ございまして、耐震性が不足している箇所が百四十一カ所。熊本県は七十一カ所のうちの十四カ所、大分県においては二十三カ所のうちの三カ所が耐震性が不足しているという結果でございました。

 以上でございます。

玉木委員 大臣、ありがとうございます。

 全国で千七百八十七、そして、熊本県で十四カ所、大分県で三カ所ということであります。これは、例えばマンションで考えていただくとわかるんですけれども、住んでいても耐震不足ですよということが既にわかっているわけです。もちろん、予算制約とかいろいろなことがあって、すぐに全部対応できないのもわかります。

 ただ、今おっしゃっていただいた熊本県の十四カ所、大分県の三カ所については、緊急点検と、できるだけ住民に対する警告、あるいは、場合によっては必要な緊急整備、こういったことをぜひ進めていただきたいなと思っております。

 これは提案なんですけれども、私も、二十三年度の三次補正のときに、財政当局、主計局にも、そして農林水産省振興局にもお願いして、対応できる予算をつくろうということでやったんですが、かなり苦労した経験があります。予算がなかなか難しいのと、ため池に限定して使うというやり方が必ずしも難しいという中で、一つ提案は、多面的機能支払いがあります。あの中の共同事業というものを特に重視して、つまり、農家だけではなくて、非農家も含めて一緒になって整備をしていこうと。

 例えば、ため池は、香川県なんかは個人ため池が多いんですね。個人の所有物ですから、国のお金なり公的なお金を入れて個人の資産の増強をなかなかしにくい、こういう法的な制約もあります。なので、あの例の、非農家も含めて一緒になって多面的機能を維持していこうという多面的機能支払いのうち、共同事業、非農家も含めて一緒になってやっていく、これを拡充するなり要件緩和をして、なかなか手のつかない、全国千七百カ所以上ある、耐震不足と認定されているため池の整備については、ぜひこういったやり方も工夫をしていただきたいと思いますので、これはお願いと、大臣のリーダーシップを期待したいと思っております。

 次に、もう一つ、これはこのTPPの関連法案にかかわることで、これも提言申し上げたいんですが、一生懸命、法案成立に向けて総理も頑張るということなんですが、私は、客観的に見て、日程的に相当きついと思います。六月一日、会期延長の話もちらほら出ていますけれども、難しいと思います。

 大事な話なので、慎重審議をやるべきだと思います。これは委員長がおっしゃっておられるとおりなんですが、やるべきだし、やりたいと思います。その意味では、継続審議も含めて、いろいろなパターンを考えたらいいと私は思うんですが、政府が説明されるように、大事な法案が入っていることも事実であります。

 私は、今回、九州地方が被害を受けたということもあって、特に牛、豚のマルキンですね。これは、一般の方はマルキンと言ってもわからないんですけれども、これは何でマルキンかというと、もともと緊急対策だったんです。暫定的に緊急にやるというのが最初だったんですが、もう恒常的になっていて、ある意味、非常に恒久的な、いわば所得補償政策として非常に機能しています。これを、予算措置でやってきたものを今度法制化しようということで、私も内容は大賛成であります。

 養豚振興法のときもそうですし、私も質問に立ちましたけれども、あのときも、例えば豚も牛並みに国の拠出割合を上げろとか、補填率を上げましょうとか、いろいろな提言を我々もさせていただきました。ですから、これは賛成なのです。

 ただ、このままいくと、農家が求めているこの法案も、一緒になって成立がおくれたり、もっと問題なのは、施行期日をTPPの発効日以降にしているんですよ。これは、アメリカの今の状況を見ると、どんなに早くても二年ぐらいかかりますよ。そうすると、すぐに農家に対して手当てするべきものが早くて二年先というのは、私は対策として不十分だと思いますから、この部分だけ切り離すなり、これは法的なやり方がいろいろあると思いますが、この国会で成立させましょうよ。最大限協力します。

 ですから、中身については、考えは同じですから、ほぼ同じもので、施行期日だけ公布即施行にした対案を我々出しますから、これは政府・与党としても協力していただいて、農家のためにこの部分だけは今国会で成立させたいと思いますが、これは政府としても、大臣としてもいかがでしょうか。御協力いただけませんか。

森山国務大臣 お答え申し上げます。

 牛・豚マルキンにつきましては、政策大綱に基づきまして、補填割合を引き上げるなどの充実を図ることとしており、早期の実施を求める現場の声があることは私も承知をしております。

 他方、牛・豚マルキンの法制化は、TPP協定による関税削減等の影響に対応するものである以上、実際にその影響があらわれる協定発効日から実施することが適当であるというふうに考えております。このため、政策大綱において、TPP協定発効に合わせて実施することとしているところであります。

 こうしたことから、牛・豚マルキンの法制化は、他の法律案、協定案とともに、総合的、一体的に御審議、御判断をいただくことが適当であるというふうに考えております。

玉木委員 森山大臣は、私はよく御尊敬申し上げる大臣なので、いろいろ畜産対策も一緒にやってきた、そういう思いがあります。

 政府としては今の答弁なのかもしれませんけれども、よくわかっておられる方はわかっているのであえて申し上げますが、中身は、これは別にTPP対策でも何でもありません。今やっていることを法制化するだけですから、急いで法的根拠をきちんとつくってさしあげるということは、TPPの発効のいかんにかかわらず、やればいいと思います。

 補填割合を上げるとかさらに強化するというのは全部省令事項に落ちていますから、もしやるのであれば、TPP発効を見て、省令の中身を変えることは発効に応じていろいろやったらいいと思います。ただ、大きなフレームワーク、枠組みは今の段階で入れてあげて、本当にこれから予算措置が続くのか、例えば、関税が削減になると関税収入が減る、マークアップも減る、そういう中で法的な基盤がないと、果たしてこの制度は続くのかと心配される方も多いので、ぜひこれは、きょうはそういう答えをいただきましたけれども、与党側としても御検討いただきたいなと思います。

 先ほど来、輸出をふやそうという話があります。私も否定はしませんし、輸出はこれから日本の農業が開いていくフロンティアの一つであることは否定しませんけれども、過度な期待と過度な依存を慎むべきだということを私は従来言ってまいりました。

 なぜかというと、例えば、今六千億を超えて、目標を一年前倒しで達成しよう、一兆円に、農林水産物の輸出をしようと言っていますが、あの一兆円を目指している農林水産物の中で、土からとれるものとあえて言いましょう、木からとれるものでもいいです、米にしても、かんきつにしても、野菜、ニンジンにしても、こういったいわゆる我々がイメージする農産物は、金額ベースで一割強です、実は。うち、TPP関係十一カ国に対しては三・五%、米に至っては一%であります。五割弱が水産物です。そのほかは缶詰でありますし、四割ぐらいが加工品であります。

 例えば、清涼飲料水というのがその中に入ってまいりますけれども、例えばミカンを搾ったジュースを輸出していれば、それで国内農家ももうかるかもしれませんが、清涼飲料水というカテゴリーの中の一位はどこの何だと思いますか、皆さん。これはUAE、アラブ首長国連邦向けの、名前を出しますが、オロナミンCです。加えて、インドネシア向けのポカリスエットであるとか、グリコさんのポッキーであるとか、そういったものも、実はあの農林水産物と言われるカテゴリーの中には入っているんですね。

 ですから、それはそれで私は結構です。ただ、我々が目指そうとしている、いわゆる農産物の輸出がどうなっているかという数字もこれからあわせて表示するようにすれば、どれだけ目指していこうというリアルな目標になると思うので、余り過度に輸出に頼るというよりも、もっと具体的な、現実的な議論をきちんとしていくことが大事だと思います。

 何を申し上げたいかというと、もちろん輸出をふやすことも大事なんですが、やはり生産が安定して、営農継続ができる環境をきちんと整えてさしあげることが大事。その意味では、さっき言ったマルキンは典型的な所得補償政策です。

 我々の政権のときに米の所得補償政策をやったら、えらいばらまきだ、ばらまきだと言われていましたけれども、旧品目横断にしてもマルキンにしても、これは典型的な所得補償政策です。販売価格と生産費の恒常的なギャップについて、それも八割か九割かは別として埋めていくというような政策は、極めてノーマルな、オーソドックスな、特に自由貿易体制との共存を図る上では、この所得補償による農林水産政策というのは基本中の基本だと思うんですね。

 ですから、そういういわゆる岩盤と言われるものをどうきちんと入れていけるのか、こういった議論をあわせて私はやっていくべきだと思いますので、このことをあえて申し上げたいと思います。

 それで、TPPの中身に入りたいと思いますが、きのうも少し議論があったので、まず、国会決議との関係を伺いたいと思います。

 重要五項目、五品目と言ったり五項目と言ったりしますけれども、この五項目ですけれども、いわゆる関税項目、タリフラインに落としていくと、これは五百八十六。最近は、ちょっとその算定表が変わったので、五百九十四あると言われていますが。

 石原大臣に伺います。

 この、どちらでもいいです、五百八十六ベースでもいいし、五百九十四ベースでもいいんですが、このうち、国会決議が求める除外または再協議になっているタリフラインの数は幾らですか。(発言する者あり)

西川委員長 答弁者、挙手を願います。(玉木委員「委員長、ちょっととめてください。これは基本ですから」と呼ぶ)石原TPP担当大臣。

石原国務大臣 ちょっと質問がわからなかったんですが、除外、再協議というような表現はないということは、もう昨日の委員会で明らかになっております。

 そのうち、関税を残すラインは、現在、四百五十九でございます。

玉木委員 もう一度伺います。

 タリフライン、大臣、今の四百五十九、四五九というのは、済みません、ちょっと基本的なことですけれども、それは五百八十六をベースにしているのか五百九十四をベースにしているのか、ちょっと議論を整理したいので、どっちのベースでお答えになった数字か教えてください。

森山国務大臣 少し御理解をいただきたいと思いますけれども、一遍公表をいたしましたが、後で少しタリフラインの読み方を変えさせていただきましたので、今確定をしているわけではありませんが、おおよそと思っていただければいいと思いますけれども、五百九十四ラインのうちに、米は、撤廃されるライン数が十五ラインあるのではないかと思っています。小麦・大麦については二十ラインぐらいではないかと思っています。牛肉は三十九ラインぐらい、豚肉は三十三ラインぐらい、乳製品は三十一ぐらいではないかなと。砂糖・でん粉については三十二ラインぐらいでございますので、百七十ラインが撤廃をされるということでございます。

 これは今までも御説明を申し上げてまいりましたけれども、輸入実績が少ないもの、例えばカッサバ芋とか非処理のヨーグルトとか、次が、国産農産品との代替性が低いもの、例えば牛タンとか、そういう分け方をしております。

 今申し上げた数字は、今精査をさせておりますので、できるだけ急いで公表させていただきたいと思っています。

玉木委員 ちょっと別の驚きがあったんですけれども、タリフライン、五百九十四にしましょう、五百九十四のタリフラインの中で削減するのは百七十ぐらいということだったんですけれども、まだ精査中というのは私はよくわからないんですけれどもね。削減するのかしないのか、まだ確定していないということはちょっと。

 私が聞きたいのはそうじゃなくて、では、五百九十四でいきましょう。重要五項目のタリフライン五百九十四のうち、国会決議が求めていた除外または再協議をきちんとかち取ったものは五百九十四のうち幾つですか。お答えください。

石原国務大臣 くどいようですけれども、除外とか再協議ということの確定的な言葉が交渉の中にはありません。そんな中での御答弁になることはお許しいただきたいと思うんですけれども、先ほど私が御答弁させていただいたのは、総ライン数、例えば農林水産物でいいますと、二千五百九十四のうち四百五十九、そして委員が御質問になられております重要五品目については、五百九十四のうち四百二十四、その差を先ほど百七十という形で農林水産大臣がお答えをさせていただいたところでございます。

玉木委員 除外または再協議の定義がないので答えられないということなんですが、ちょっと国会決議との整合性を我々はきちんと判断する責任があるので、あるならある、ないならないということを答えていただきたいんです。

 では、その定義がないということであれば、ちょっと定性的に聞きます。従前どおり、つまり、削減も撤廃も何もしていない、従前どおりと定義できるようなものは五百九十四のうち幾つありますか。

石原国務大臣 ちょっと従前という意味がわからないんですけれども、先ほど来お話をさせていただいているように、四百二十四のタリフラインを残したというふうに御理解をいただきたいと思います。

西川委員長 石原TPP担当大臣に申し上げます。

 質問に沿って、お答えをもう一度お願いいたします。

 森山農林水産大臣。

森山国務大臣 玉木委員にお答えいたしますが、先ほど私、言い違っているかもしれませんが、先ほど申し上げたのは撤廃ライン数でございますので、それが百七十でございますから、四百二十四というのは例外であるというふうに御理解をいただければと思います。

玉木委員 私は、もう少し明確に言います。四百二十四が関税を残すラインとお答えをいただきました。

 では、もっと明確に聞きます。

 関税を残すラインとされた四百二十四のうち、これまでと全く何も変えていない従前どおりのものは四百二十四のうち幾つありますか。

森山国務大臣 大変大事な課題でございますので、御通告をいただいていないものですから、整理がついておりませんので、少しお時間をいただいて、お答えさせていただきたいと思います。

玉木委員 全部通告しています。

 なぜ私があえて従前どおりという言葉を使ったかというと、タリフラインの中の結果に従前どおりという言葉を使っているのがあるから、あえて私は、余り私自身は使わない言葉ですけれども、これまでと同じという意味の従前どおりという言葉を使ったんです。

 つまり、今、五項目が決議に違反しているかどうかというのは、タリフラインのこの五百九十四がどのような扱いになったのかをまず検証しないと、やりようがないわけですね。

 除外または再協議という定義がどうだとか、それは今回TPPには使った、使わない、きのうから議論があります。ですから、その言葉はあえて私はきょう使いませんでした。そうではなくて、これまでと変わらぬ関税のありようがそのまま維持されるものは五百九十四のうちどれだけあるんですかと。

 関税を残すラインは四百二十四で、撤廃が百七十ということをお答えいただいたので、では、残すラインのうち、つまり、無傷のものは四百二十四のうち幾つラインはありますか。

西川委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

西川委員長 速記を起こしてください。

 森山農林水産大臣。

森山国務大臣 農林水産物全体といたしましては関税を残すライン数が四百五十九でございますが、重要五品目ではなくて、全体では四百五十九でございます。そのうち関税割り当てを設定して税率を維持したものが百六十六でございます。そして、同一ラインのうち一部について税率を維持したものが十八でございます。それと、税率は維持したものが百五十九、税率を削減したものが百十六でございます。

 重要五品目につきましては今申し上げたとおりでございまして、重要五品目については四百二十四である、そのとおりでございます。

玉木委員 石原大臣に伺います、これは全体の話なので。

 四百二十四は重要五項目のうち関税ラインを残すということになりました。今、森山大臣からあったように、関税を残すといってもいろいろなパターンがあります、強弱が。すごく残しているものから、形上残しているものからあるんですが、私の質問は、これは別に、客観的事実が知りたいので教えてもらいたいんですが、関税を残すラインとされた四二四のうち、全く無傷のもの、従前どおりとされるものは、四百二十四ラインのうち幾つありますか。

石原国務大臣 今非常に質問がよくわかったんですけれども、先ほど私がお話をさせていただいた四百五十九を、二〇〇七年ベースで、最初の四四三というラインを出させていただきました。

 そして、四五九のベースでいきますと、大体カテゴリーが四つあると思います。農産物全般での数字しか今持ち合わせていないもので……(玉木委員「五項目だけ」と呼ぶ)重要五項目は、私は資料を持っていないんです。申しわけない。

 ちょっと整理させて言わせてください。

 今委員の御指摘は、関税割り当てを新たに設定し税率が維持されたもの、一部について税率が維持されたもの、これは要するに、委員の御指摘のとおり、一部削減ということになると思います。税率が維持されたもの、これが、委員の御質問の、要するに、そのまま維持できたという話になるんだと思います。税率を削減していきますけれども残ったもの、こういうような分類の整理になっております。

 それにつきましては、農林水産省の方から御答弁をさせていただきたいと思います。

玉木委員 ちょっとわかったようなわからないような感じなんですが、四つのカテゴリーが関税を残すラインにはあると。その四つのカテゴリーの中に、全く無傷というカテゴリーはどこかに入るんですか入らないんですか。五つ目のカテゴリーとして、全く長期にわたっても関税も下げないし、全く何もしない、無傷だというのは、私はほかの農産物は聞いていないので、国会決議との関係で、あえてちょっと五項目に絞ってお答えいただけますか。

 もう一回聞きます。

 関税を残すラインとされた重要五品目のうちの四百二十四のうち、全く削減も撤廃も行わない、我々はそれを除外だと思っていますが、あえて除外という言葉を使わないで申し上げると、従前どおり、無傷のものは四二四のうち幾つありますか。

西川委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

西川委員長 速記を起こしてください。

 森山大臣に申し上げます。

 基本的なことを玉木雄一郎議員は質問しておりますので、明快な答えをお願い申し上げます。森山農林水産大臣。

森山国務大臣 玉木委員、申しわけありません。

 今、数字が出てまいりましたので申し上げます。

 四百二十四のラインのうち、関税割り当てを設定し、税率を維持したのが百六十二ラインございます。そして、同一ラインのうち、一部について税率を維持したものは十八でございます。税率を維持したものは百四十六でございます。税率を削減したものが九十八でございます。これを足しますと四百二十四ラインということになります。

 そのあとの差につきましては、水産物とかほかの林産物とかがありますので、全体の四百五十九ということになっております。

玉木委員 先ほどいただいた答えと余り変わらないんですが、私が聞きたいのは、例えば、関税割り当てをして、枠外は維持したけれども、同じもので枠内は無税にしたりとか、そういうのもありますよね。ですから、ある同じ品目で全く無傷になっているようなものは、では、それはどれだけありますか。

森山国務大臣 今答弁を申し上げましたとおり、関税割り当てを設定して税率を維持したというカテゴリーと、同一ラインのうち一部について税率を維持したもの、税率を維持したもの、税率を削減したものという四つで分けておりますので、あと、今委員がお尋ねになりたいことを、全てのラインについてどういうことを尋ねられたいのか、御質問いただくと大変ありがたいと思います。

玉木委員 四つのカテゴリーを今説明いただきましたけれども、今聞いた話だと、いわゆる全く無傷のものはそこにないと思います。全くないということでよろしいんですか。

 つまり、一つ例を何か挙げますと、同じ品目でありましても、例えば乳製品の調製品、乳成分が全重量の三〇%以上、乳脂肪分が三〇%超というものがあって、これは二つのラインに表上は分かれているんですが、枠外だと確かに従前のままというのがありますが、同じものが関割りの中だと七五%削減されるということになっているので、そういう意味では、今私が申し上げた全重量の三〇%以上、乳脂肪分が三〇%超というものは、これは形式上は従前のままというのがありますけれども、結局、枠内は随分関税を下げたり、あるいは撤廃したりするものがあるわけであります。

 私は、純粋に聞きたいのは、この五百九十四ある重要五品目の中で、いわば完全に守られたと言えるようなものがどれだけあるのか、あるいは全くないのか、まずこのことを確認させていただいて次に進みたいので、それを、カテゴリーが四つあるとか三つあるとかではなくて、本当だったら、何でこれを議論しているかというと、もう一回申し上げますと、五九四全部守ってほしかったんですよ。あるいは、あの決議を決めたときは、五九四全部無傷、これが我々の求めるところでした。

 でも、よく総理も石原大臣もおっしゃるのは、結果が全て、結果を見てくださいと言うんです。結果が、この五九四が全部無傷だったら、もう経過なんか問いませんよ、結果を見れば明らかだから。でも、結果を見たら、客観的には明らかに決議に反している。

 ただ、結論だけ見て反しているじゃないかと責めるのもなんだから、少し中身をよく見たいと思って、この五九四のうち、どういう濃淡があるのか。そんな中でも頑張って、いわゆる無傷のものは少ないけれども、このうち一割ぐらい無傷をかち取って、それ以外は、何とかちょっと段階的に削減していって、多少残します、でも、百七十は五項目であっても撤廃せざるを得ませんでした、いろいろな濃淡があるはずなんです。その中の一番優等生、無傷がこの五九四の中でどれぐらいの品目があるのかな。これは単に知りたいので聞いているので、それをちょっと明確にお答えいただけますか。(発言する者あり)

西川委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

西川委員長 速記を起こしてください。

 森山農林水産大臣。

森山国務大臣 玉木委員の言われる手つかずという意味が必ずしもよく理解ができないところでありますが、部分だけを見るのではなくて、やはり米でしたら米全体で見ていただきたいと思います。

 枠外税率については、ほぼ維持されていると理解をしております。

玉木委員 いや、それなら、例えば米も枠外関税はばっちり残っているじゃないですか。その中で七万トンだ、八万トンだと議論して、こうやってみんな心配しているし、もめているわけです。枠外税率が維持されたから、残った、無傷だなんて定義されたら、この議論はできないんです。それは森山大臣もよくわかっておられると思うのです。

 ちょっともう一度伺いたいんですけれども、委員長はわかっておられると思うんですが、私は五九四が全部守れていないことをいたずらに批判する気はありません。さっき言った輸入量がないものもあるやに一部御説明もいただいたので、そこは冷静に分析をしていきたいと思うんですが、その中で、改めて伺います。

 重要五品目五九四のタリフラインのうち、いわゆる無傷、その品目に着目したときに、関税の撤廃も、削減も、税率の低下も何もしていない、従前どおりの無傷のものは幾つありますか。

森山国務大臣 お答え申し上げます。

 実態に影響のない対応をしてきていることは間違いがありません。(発言する者あり)

西川委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

西川委員長 速記を起こしてください。

 森山農林水産大臣。

森山国務大臣 委員長にお願いでございますが、大変大事な課題であると認識をしておりますし、また、国民の皆さんに誤解があってはいけませんので。

 今、四つのカテゴリーの数字については申し上げました。この中で枠外税率の問題とか、全体的にどういう影響があるのかないのかということ等について少し整理をさせていただく時間をお願いできればと考えております。できるだけ急いで整理をさせていただきますので、よろしくお取り計らいをお願い申し上げます。

西川委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

西川委員長 速記を起こしてください。

 玉木雄一郎君。

玉木委員 先ほど委員長からおっしゃっていただいたように、私は極めて基本的なことを伺っています。

 重要五項目が、国会決議の除外または再協議、これに反しているか、しっかり対象となったのかどうかということの基本的な議論をまずやろうと思っていますので、改めて、五九四タリフラインでいうと、このうち無傷で守られたものが一体どれだけあるのか。

 これはもう基本の基本だと思いますので、ぜひ、国民の皆様にもわかりやすい議論を心がけていきたいと思いますので、政府におかれては、早急にこれを整理していただいて、わかりやすい形で御説明いただくことを改めて求めたいと思います。

西川委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十二分開議

西川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。玉木雄一郎君。

玉木委員 それでは、引き続いて質問をさせていただきたいと思います。

 改めてお伺いいたします。

 いわゆる重要五項目、タリフラインに直しますと五百九十四、これが最新の数字だと思いますが、そのうち、関税の削減もしていない、関税の撤廃ももちろんしていない、いわゆる無傷と言われているようなものは幾つあるのか、この点について改めてお答えください。

森山国務大臣 委員長初め皆様方には、答弁精査のために大変御迷惑をおかけいたしました。御配慮いただきましたことに厚く御礼申し上げます。

 御質問にお答えいたします。

 関税撤廃が原則というTPP交渉の中で、我が国は国会決議を後ろ盾に交渉をいたしました。その結果、農林水産品約二割を関税撤廃の例外とできましたし、特に重要五品目を中心に米や麦の国家貿易制度や豚肉の差額関税制度などの基本的な制度を維持するとともに、関税割り当てやセーフガードの創設、長期の関税削減期間を確保できたところであります。

 関税に変更を加えたものについても一つ一つ影響を精査して交渉しており、全体としての影響が出ないように措置できたのではないかと考えています。

 例えば、米の調製品について言えば、ビーフンについて、十一年目に関税撤廃をいたしますが、国産米を原料として国内で製造している製品はもともと限定的であることから、輸入が増加しても国産品への影響が見込まれないと整理をさせていただいております。

 先ほど精査中とお答えを申し上げましたことについて少し御説明をさせていただきたいと思いますが、我が国の譲許表では、WTOの水準に沿うもの、すなわちTPPでは変更を加えなかったものを単純に数え上げれば、重要五品目五百九十四ラインのうち百五十五ラインでありました。

 このように、先ほど申し上げましたように、一品目一品目慎重に取り扱ってきたことは評価をしていただけるのではないかと考えておりますが、強いて単純に枠内税率も枠外税率も変更を加えていないものがあったかなかったかと問われれば、それはないというふうに考えております。

玉木委員 重要な答弁、重大な答弁をいただいたと思います。

 午前中からこれを端的にお答えをいただければと思っていたんですが、もう一回整理しますね。

 重要五品目、国会決議で、本来であれば除外または再協議にするということでありました。それが、除外または再協議になっているものが、五項目のタリフライン、全部でいうと五百九十四のうち、幾らが除外、再協議の対象になっていますかとまず聞いたら、石原大臣から、TPPにおいては除外や再協議というカテゴリーがそもそもないので、判断あるいは答弁できないという話でありました。

 なので、それもちょっとどうかなと。それであれば除外または再協議はゼロと答えるのが普通かなと思うんですが、定義できないということなので、あえて少し日本語を訳しまして、従前どおり、つまり、協定の発効前と後とで全く関税等が変わらないものは幾らあるのかというふうに聞いたら、答えがすぐに返ってこないで、とまって、そしてこうして再開をしたということであります。

 改めてそのことをお伺いしたら、今まず前段、森山大臣がお答えになったのは、重要五項目のタリフライン五百九十四のうち、単純に維持されているものを足し上げると百五十五でありました。

 ただ、追加で大臣から御説明があったように、実はこれは米が典型でありますけれども、米も確かに枠外の関税は今までと何も変わりません。ただ、枠内については、これはTRQとよく言われる関税割り当てということで、枠内は関税がかなり下がったり、あるいは無税になったり、一定の数量まではほぼ関税がかからない形で国内市場にアクセスできるということ。これが、枠の外と中のものが仮に同じ品目であっても、番号は別物をつけているので、こっちの枠外だけとってみれば完全に守られたふうに見えるんだけれども、米、精米ということでいえば、違う番号のついた一部のものが明らかに穴があいているということですので、後半、正直にお答えいただいたのは、そういうある種タリフラインとしては形式上守られていたとしても、ある種、これはどう言うのが適当なんでしょう、品目でいえば守られているものは一つもない、無傷のものは一つもないというのがお答えでありました。

 ということは、重要五項目、これをしっかり守ろうという形で交渉されてきたんだと思いますけれども、結果として、私は二つのことが今回明らかになったと思います。

 一つは、やはり重要五項目、タリフラインでいうと五百九十四ありますけれども、いわば聖域のうち、重要五項目を聖域と呼ぶのであれば、聖域のうち、無傷で守られたものはゼロということであります。

 もう一つは、この間のやりとりで、随分時間がかかりました。五百九十四のうち完全に守り切れたものはどれだけあったのか。重要五項目を守ろう守ろう守ろうといって、もし交渉してきたのであれば、それが仮に一桁だろうが少ない数だろうが、ここだけは何とか死守しましたというのは常に頭に入っていて、いつでも答えられるものだと私は思っていました。

 しかし、それを精査しないと、そもそも数字が出てこないということは、重要五項目を守る熱意や誠意がそもそも乏しかったんではないかと疑わざるを得ないということであります。

 大変ある意味残念でありまして、形式的に言えば、今の答弁を総合すると、やはり国会決議は守られていないと結論づけざるを得ないと思っています。

 もう時間がないので次の福島議員に譲りますけれども、石原大臣に最後お伺いしたいんですが、午前中のやりとりの中で、百七十については、この重要五項目の中で、これはもう関税撤廃にむしろなってしまったと。本当に守られるものがまずなかったということに加えて、重要五項目のうちでも関税撤廃せざるを得なかったものが百七十あるということでありました。

 これは、重要五項目にもかかわらずなぜ撤廃したのか、そして撤廃した理由を教えてください。

石原国務大臣 先ほど私が申しましたのは、重要五品目の数字を持ち合わせておりませんので、それ以外の全体の数字の中でその数字をお示しさせていただいたということでございますので、若干数字の行き違いがあったのではないかと思います。(発言する者あり)

 先ほどお話をさせていただきましたのは、先ほども御答弁をさせていただきましたとおり、重要五品目の数字がございませんで、関税撤廃の例外とされた四百五十九ラインの内訳が四つのカテゴリーに分類されていて、その一部が、例えば税率が維持されたものが百五十九、およそ百六十であるというような話をさせていただいたということでございます。(発言する者あり)

西川委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

西川委員長 速記を起こしてください。

 石原TPP担当大臣。

石原国務大臣 先ほども御答弁させていただいたと思うんですけれども、影響が極めて少ないであろう、そういうものが撤廃ということになったと承知をしております。

玉木委員 改めて質問します。

 完全撤廃になったものが百七十であるということは、ちょっとこれも事実確認として教えていただきたいのと、重要五項目にもかかわらず撤廃に至った経緯、理由を教えてもらいたいんですね。

 なぜ石原大臣に聞いているかというと、これは厳しいけれども譲って、でも、そのかわりほかの、自動車でこれをとったんだ、これは農林大臣じゃなくて、全体を見たTPP担当大臣しか多分お答えいただけないので、あえてお伺いしているのは、重要五項目、本来なら全部守ってほしかったこの五百九十四のタリフラインのうち、百七十は撤廃です。全く残していない、関税が残らない、それが百七十あるんですけれども、それを、重要五項目にもかかわらず削減してしまったわけを教えてください。

石原国務大臣 先ほどの午前中、私が持っている資料の中に、重要五品目のいわゆる五百九十四ライン、そのうち関税を残すものが四百二十四という数字を持ち合わせておらなかったことは申しわけないと思っています。今その数字を確認しておりますので、それの差がいわゆる委員のおっしゃる百七十であって、私は、その全体の農林水産物の方の差を言っておりましたので、数字に開きがあるということはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 そして、委員の御質問でございますけれども、先ほども影響が少ないという形で御答弁をさせていただきましたけれども、輸入実績の小さいもの、これもたしか農林水産大臣が御答弁されたと思いますけれども、ヨーグルトとかそういうものとか、あるいは、これも農林大臣がもう既に御答弁をさせていただいておりますけれども、代替性が低い、こういうものを、先ほどの引き算でございますけれども、五百九十四から四百二十四を引いた百七十ラインを撤廃することとした基本的な考え方であると承知をしているところでございます。

玉木委員 では、ちょっとこれは最後、農林大臣に聞きます。

 百七十のタリフラインは撤廃しました。このうち、輸入実績がゼロのものは幾らありますか。

森山国務大臣 玉木委員も御理解をいただけると思いますが、百七十ラインにつきましては、先ほども申し上げましたように、輸入実績が小さいもの、もう一つは、国産の農産品との代替性が低いもの、牛タンとかそういうものがあると思いますが、あと、関税撤廃がかえって生産者のメリットになる、例えば種豚なんかの場合はそういうことが言えるんだろうと思いますけれども、そういうものが実は百七十ラインということでございまして、百七十ラインのうちに輸入が少ないものというのは大体百ライン前後ではないかというふうに思っております。

 重なる部分があるものですから、なかなかそこを特定して数字を申し上げることが無理ですけれども、一定の基準を設けて仕分けをしろとおっしゃれば、百七十ラインについては、今申し上げたカテゴリーの中でどれぐらいのラインだというのは申し上げることができると思いますが、重なる部分がございますので、そこはぜひ御理解いただきたいと思います。

玉木委員 ちょっと、これでもうそろそろやめますけれども、重要五項目というのは、国会決議を守れば、本来全部守らなきゃいけないんです。にもかかわらず撤廃したら、なぜ撤廃したかは、より高い説明責任がこの百七十ラインには求められるんです。

 今、石原大臣もあったし、森山大臣からもあったように、私も多分そうかなと思っていて、輸入実績がないもの、これも二つの理由でないんでしょうけれども、そもそもニーズがないからないのと、余りにも関税が高くて、ブロック、壁が高過ぎて入ってこなかったという両方があるので、国内への影響は慎重に見定めなければいけません。

 ただ、輸入がないかあるいは少ないということで説明いただいたので、その少ないというのは、非常に、人によって何をもって少ないかというのはいろいろあるので、ないものを少なくとも百七十ラインで幾らあるんですかというのは、きのうの夜から聞いています。

 そもそも、こんな分析もせずに百七十ラインを撤廃してしまったんですか。驚きですよ。答えられますか。

森山国務大臣 全く輸入がないものは、二〇一〇年によりますと五十六ラインです。

 ですから、どこまでを低いものとするかという基準の問題もありますので、そういうものを含めて百七十ラインと申し上げているところでございます。全くないものは、二〇一〇年では五十六ラインでございます。

玉木委員 それも驚きなんですけれども、百七十のほとんどが輸入実績がないから撤廃したのかと思いきや、百七十のうち全く輸入実績がないのは、実は半分以下の五十六なんですね。

 少ないものというのも、今大臣自身がおっしゃったように、これはいろいろ定義があるので、一回これを整理して出していただけませんか。先ほどあったような、百五十五ですか、単純計算したら従前どおりという百五十五の内訳、そして四分類があるという話もありました。

 一回、守るべき対象であったタリフライン、重要五項目の五百九十四について、しっかりとした整理をして出していただきたいと思いますし、そのうち撤廃した百七十については、詳細に、一ラインごと、どういう理由でそれを撤廃したのか、輸入実績がゼロなのか、少ないのか、少ないのは何を意味するのか、代替性がどうなのか。今一般論で説明していただいたものをきちんと整理して出していただくこと、このことを、委員長、強くお願いしたいと思います。

西川委員長 ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議いたします。

玉木委員 それでは、重要五項目、これが、実は無傷のものがゼロだったということが明らかになりましたので、それを踏まえて、また同僚議員がこれからの議論を深めていくこと、そしてまた、私もこの点をさらに追及していくことを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

西川委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 民進党の福島伸享でございます。

 まず、全ての質問に先立ちまして、熊本、大分等で亡くなりました方々に哀悼の念をささげますとともに、現在も避難所や車の中で被災をされております皆様方にお見舞いを申し上げたいと思っております。

 きのうも国会審議が、総理入りで異様な雰囲気の中でなされました。その審議のなされている中、現場では懸命に、生き埋めになった皆様方の捜索が続けられ、一人の御遺体がきのう審議の終わりごろに発見されたというニュースが流れました。きょうもこの瞬間も捜索が続いていて、きょうになって二人の方がまた発見され、一人の方の死亡が確認をされております。

 私は、政治の役割というのは、まず今の国民の命を守ることだと思うんです。そうした意味では、TPPの審議のあの異様な中で亡くなられた方がいらっしゃったということは、悔しくてなりません。

 きのう総理は、この委員会の答弁で、この委員会につきましてはこれは議会にお任せしているところでございますと、まるで他人事のような、そうした答弁をされました。

 我々は、恐らく与党の先生方もそうだと思いますけれども、この状況は、まず総理も含めて震災対応に当たっていただきたいという強い思いでまとまっていたと思います。ましてや、今の玉木議員の質疑のやりとりのように、まともに質問に答えられない、基本的な数字すら準備していないという状況の中で、私は、このTPPの審議を続けざるを得ないということを非常に残念なことだというふうに思っております。

 もう一度、この委員会のあり方、国会のあり方につきましては、委員長、理事各位の皆様方で、しっかりと話していただきたいと思っております。

 その上で、ちょっと通告はないんですけれども、震災対応で一点だけ御質問させていただきたいと思っております。

 私自身、三・一一、東日本大震災のときに地元の水戸で被災をいたしました。津波の被害は確かに東北三県が大きかったんですけれども、地震の被害は一番茨城県が大きかったんです。地元で、目の前で、私が見ている前で、建物が倒壊していくことも見ました。地震のときも大変で、その夜も家で、子供や妻とともに車の中で一夜を過ごしました。

 しかし、一番大変なのは三日目とか四日目ぐらいでありまして、食料がない、移動したくてもガソリンがない。食べ物がなくなってくると、みんな心がすさんできて、人間というのは目が野生の目になって非常にぎすぎすしてきます。ガソリンがないと、ガソリンの列に並んでいる車に割り込んだ車に蹴りを入れてストリートファイトをしている、そうした人も、いろいろいらっしゃいました。今まさに熊本はそういうような状況なんじゃないかなというふうに察しております。

 昨日、林経産大臣は、ガソリンの供給体制と見通しについて、災害時石油供給連携計画を発動してございます、と同時に、石油に関しましては十分な対応を、量を確保している、十二日分を確保しているわけでございまして、タンクローリー車も増強してございます、滞りなく対応するよう石油連盟の方に依頼をしていると答弁しております。

 確かに、備蓄の量は十二日で、十分あるんだと思います。問題は、被災地の方は、いつガソリンが切れるかという不安から、今持っている車の全部を満タンにしたいという、買い占めに走ることによって、本当は足りるにもかかわらず、行列に並んでしまうということと、あと、場所によって偏在がある。道が通っているところは確かにタンクローリーが着くかもしれないけれども、そうでないところは偏在しているということであります。

 経産大臣、きちんと現地のガソリンの供給が行き渡って、ルートが確保されていて、そしてタンクローリーがあるということを、御自分で、石油連盟に任せることなく、御確認されていますでしょうか。御答弁ください。

林国務大臣 私は、直接、石油連盟に確認したわけではございません。役所を通じて確認させてございます。

 熊本市などで発生したガソリンの品薄問題はほぼ解消しております。というのは、タンクローリーを追加しておりますし、ガソリンスタンドの営業再開で、相当展開をしてございますのと、阿蘇地方に配備している電源車用の軽油についても、三カ所の拠点ガソリンスタンドからピストン輸送する体制を確立してございまして、若干、ガソリンスタンドにおいては並ばざるを得ないという事情もありますけれども、ガソリンそのものに対してはほぼ解消しているというふうに聞いております。

福島委員 この瞬間はどうか存じ上げませんけれども、けさの段階ではまだ並んでいるという話でありました。これは十分に量が足りているわけでありますから、パニック的な行動がおさまれば私は安定すると思うんですね。そういう意味でも、ぜひとも、経済産業大臣みずから、省を挙げて、量は十分足りている、必ずローリーはガソリンスタンドには届くわけですから、心配せずにいてくださいということを強くアピールすることを私はお願い申し上げたいと思います。

 さて、それで、本題に参りたいと思っております。私も、同僚の玉木議員に続きまして、国会決議との整合性についてお伺いをしたいと思っております。

 きょうは、ある意味重大な、歴史的な答弁があったというふうに認識しております。

 今まで自民党は、聖域なき関税撤廃を前提とする交渉参加には反対と言ってきた。私は、聖域というのはまさにサンクチュアリーですから、手をつけない、何人たりとも侵すべからずというのが聖域だと思うんですね。今まで、タリフラインの幾つかは何か残したように説明をされておりましたけれども、全滅じゃないですか。ゼロとおっしゃいましたよね。タリフラインの中で何も手をつけられていないものはゼロということを農林水産大臣はおっしゃいました。聖域は結局なかったわけですね。

 国会決議をもう一度振り返ってみますと、お手元に資料がございますけれども、これは衆議院の決議でございます。「米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。」これはいろいろ修飾語は掲げておりますけれども、国会決議が求めているのはシンプルでありまして、「除外又は再協議の対象とすること。」であります。

 昨日、畠山議員とのやりとりで、森山農水大臣は、TPP協定では、関税に係る約束について、除外、再協議という区分は用いられておりませんと御答弁されました。

 石原国務大臣、きょうはお誕生日ということで、おめでとうございます。済みません、お誕生日にこのような審議につき合わせて恐縮でございますけれども。全ては交渉議決時に決まった、そして、決まったことが全てであるということ。

 こうしたことを総合しますと、今までの答弁を総合しますと、交渉結果を見れば、除外、再協議という区分はTPP協定上はない、我が国において、タリフラインで、重要五品目で全く何も変わっていないタリフラインは一つもない、そういうことで、石原大臣、よろしいですね。

石原国務大臣 ぜひ御理解をいただきたいと思うんですけれども、TPP交渉は全ての品目をテーブルの上にのせる、そして交渉によってどういう結果が得られたかということについてお話をさせていただきますと、玉木議員のとき以来、また、今福島委員も御議論をされている重要五品目等々につきまして、関税撤廃の例外という形で確保させていただいた。

 もちろん、先ほど農林大臣が答弁したとおりでございますけれども、国家貿易制度あるいはセーフガード、こういうような他の国が認められていないものを認めさせ、そして、その結果が私どもは評価に値すると、これも総理から御答弁させていただいておりますけれども、そういう評価を私どもはさせていただいているということでございます。

福島委員 国会決議と自民党の公約との整合性を問うているので、正確におっしゃっていただきたいんですよ。ぜひ正確に、逃げないで答弁していただきたいんです。例外などという言葉は、この国会決議にも、自民党の公約にもありません。あるのは、聖域とか、除外または再協議なんですよ。

 もう一度、私は申し上げます。

 交渉結果を見てくれというふうによく政府がおっしゃいますから、交渉結果を見る限り、入り口で全てをテーブルにのせるとか、そういうのはどっちでもいいですよ、交渉結果を見る限り、TPP協定には除外とか再協議という区分はない。しかも、我が国のタリフライン、重要五品目の中で、交渉前から何も変わっていないものはないということで、これまでそう答弁してきたんです。よろしいですね。イエスかノーでぜひお答えください。

石原国務大臣 これもお話をさせていただいておりますが、除外、再協議ということは交渉の結果によって出てくる。例外という言葉は私どもが使わせていただいている言葉でございますけれども、例外としてかち得たということで御評価をいただきたいと思っております。

福島委員 再び同じことをお聞きします。

 もう私は時間が大分ないので、イエスかノーかでお答えいただきたいんですよ。除外、再協議という区分はTPP協定の中にはありませんね。イエスかノーかでお答えください。

石原国務大臣 これは御答弁させていただいておりますとおり、除外、再協議というものはなくて、交渉の結果出てくる、定型的な言葉というものはこれまでの交渉等々ではないということは、このTPPの議論の中でお話をさせていただいているとおりでございます。

福島委員 ありがとうございます。除外、再協議というものはこの交渉の結果なかったと。

 私は、政府の答弁を聞いていて非常にひっかかることがあるのは、国会決議を後ろ盾にと言うんですよ。私は、国会決議というのは後ろ盾にするものではないと思いますよ。条約というのは、憲法の規定に基づいて、批准に当たって国会が承認をするんですよ。その国会の承認をする、ある一つの大きな重大な基準が国会決議であって、これは与党の議員も野党の議員も賛成してつくられた決議でありますから、この決議に違反するとなれば、当然、国権の最高機関たる国会はこの条約の批准を承認できないんです。

 ですから、私は、あるいはこの国会決議を見た多くの国民の皆様方は、当然政府は、例外を求めるんじゃなくて、除外、再協議を求めて交渉するということを行っていることを信じているし、我々国会の人間だってそうだと思いますよ。

 これは、テキストは最初見なかったですけれども、最初にコタキナバルでテキストを見たときに、市場アクセス分野に除外、再協議という項目、これは、ほかのFTA、EPAを見ると、日・ASEANとか日豪とか、必ず除外という項目があるんですよ。米韓FTAというTPPの手本になっていると言われる協定でも米は明確に例外というふうになっているんです、譲許表上。ちゃんとそういう項目があるんです。ですから、条約交渉をする人が見れば、ああ、この今の条約交渉の譲許表の案の中に除外、再協議はないなとわかると思うんですけれども、そのときに、除外、再協議という国会決議があるからそれを求めますという交渉はしたのでしょうか。お答えください。

石原国務大臣 先ほどもお話をさせていただいたんですけれども、除外、再協議というものの定義というものは、定型的にはございません。

 そして、この除外、再協議といった内容については、先ほど来お話をさせていただいているように、それぞれの交渉の中で決まった。今回の交渉の中では、TPP協定においてでございますけれども、別段の定めにより、関税撤廃の例外を設ける措置が協定上認められた。その中に、これまで御議論いただいているタリフラインの中で、特に重要五品目を中心に、多くのタリフラインの堅持というものをかち得ることができた。これが全てでございます。

福島委員 恐らく、除外、再協議の定義がないというのは、これまでも答弁されていますから、お役所のレクチャーどおり答えていらっしゃるんだと思いますけれども、定義の問題を問うているんじゃないんです。

 これまでの日本が結んできたFTA、EPA、あるいは他国が結んできているFTA、EPAのように、関税の譲許表の中に除外という項目を求めることを交渉したのですか、していないのですか。

 例外を求める交渉をしたのであって、関税譲許表の中に除外あるいは再協議、つまり、今回は交渉は結論を出すのはやめましょうとか、あるいは、そもそも関税撤廃の、あるいは削減の対象にするのはやめましょうということを守る交渉をしなかったんですね。

 さっき、タリフラインでいじったのがゼロだということと一緒のことなんですよ。それは結果としてゼロになったのか、そもそもそれを求めなかったのか、どちらなんですか。これは交渉過程だから答えられないと言わせませんよ、国会決議との関係なんですから。石原大臣、お答えください。

石原国務大臣 これも何度も答弁させていただいているんですけれども、今度のTPP交渉は、日本国は九カ国に比べておくれて参加をいたしました。そのとき、全ての物品が対象とされるということも承知をしておりました。そして、最初に先行してTPPを議論していた国々は関税全て撤廃、そういう中でこの議論に入っていった。

 そんな中で、委員は、再協議あるいは除外、国会決議と同じ文言がないことがけしからぬという御指摘だと思いますけれども、私どもは、別段の定めにより、関税撤廃の例外を設ける措置というものをこの協定の中でかち得ることができたと思っているところでございます。

福島委員 つまり、除外または再協議ということがないことが初めからわかっていたから、例外を求めるということにしたということですね。そういうことでよろしいですね。

石原国務大臣 本当に同じ御答弁になって恐縮なんでございますけれども、全ての物品が対象でありますから、そもそもこのTPP協定には、除外あるいは再協議、委員が他のEPAと同等のものがあるのかないのかというお話でございますけれども、全ての品目が対象である、全てのものが関税撤廃である、こういうスタートラインに立って私どもは議論に参加をさせていただいて、例外を得ることができた、農産品についてはおよそ二割について関税の例外をとることができたというふうに理解をしているところでございます。

福島委員 だから、そういうことですよ、肯定している。

 ただ、国民が求めたのは、全ての品目をテーブルに入れるというのは、これはみんなわかっていることなんです。ただ、皆さん方は、交渉があるから聖域をとってくると言ったわけじゃないですか。聖域とは何ぞやというのは、関税をいじらない、タリフラインをいじらないということですよ。しかも、重要五品目。本来であれば、重要五品目の全てのタリフラインは除外または再協議にするというのが国会決議に書いてあることですよ。ただ、そこはいろいろな交渉ののり代もあるだろうから、幾つかのものは聖域として除外とか再協議にしなきゃならないんです。

 なぜそのことを申し上げるかというと、TPP協定の中には、七年後の再協議というところがありますよね。それは、関税撤廃に向かって、特に農産物の輸出国の五カ国と、日本は名指しで、交渉しなければならないとなっているんです。

 そして、その交渉しなきゃならないというのは、タリフラインの中に残っているものです。関税撤廃はそもそも載りません。セーフガードをつけたり国家貿易を残したようなものは別表にずらっと載っている。それは全て、すべからく交渉の対象としなければならないとなっているんです。

 その対象にしないのが除外ということですよ。除外になれば、その対象にならないんですよ。それを求めるのが国会決議じゃないですか。七年後、再協議の対象に全てなるということは、永遠に、これは関税撤廃や削減に向けて、重要五品目だろうが何だろうが、全ての品目がなるということなんです。だから、例外じゃだめなんですよ。除外にしなければならないんですよ。そういう交渉はやったんですか、やらないんですか。そもそも持ち出さなかったんですか。

 全てのテーブルを交渉の対象にするのはいいですよ。テーブルにのせた上で、例外を求めるんじゃなくて、除外を求める交渉をしたのかどうか。イエスかノーかでお答えください。

石原国務大臣 同じ答弁になって恐縮なんですけれども、除外、再協議という定型的な定義はございません。交渉の結果の中で……(福島委員「ありますよ」と呼ぶ)今回のTPP協定の中ではございません。ですから、その結果が全てであるというふうに御答弁をさせていただいているわけでございます。

福島委員 何度も同じことで恐縮なんですけれども、これまでの政府が結んだ自由貿易協定を見てくださいよ。除外という項目に米とかが入っていますよ、必ず。その交渉をしなかったんですねということです。定義の問題じゃありません。

 やったかやらなかったか。どっちなんですか。お答えください。

石原国務大臣 交渉の結果、今例外としてこれを認めるということをとったわけでございますので、その経緯については、申しわけございませんが、御答弁は差し控えさせていただきます。

福島委員 結局答えられないということなんですよ。

 ヒントの一部はここにあります。「TPPの真実」。これは衆議院議員の西川公也さんという方が書いたとされておりますが、委員長と同姓同名なんですが、まだ確認されていないので、どなたが書いたのかはよくわかりません。

 このゲラによると、交渉参加わずか二カ月後の二〇一三年の十月六日のバリの会合で、農産品の重要五品目の一部を関税維持の対象から抜けるか抜けないかを検討していかなければならないと記者団に話して、これは大きく日本でも報道されました。結局、それは聖域というものをずらしてやっているんじゃないかと。甘利大臣は、その日、党で議論を進めてもらえるのはありがたいといって西川当時のTPP対策委員長の言葉を歓迎し、菅官房長官も、七日午前の記者会見で、いよいよ関税にかかわる交渉が本格化する、検証しなければならないと言明したというふうにしております。それが全部ここに書いてあります。そこには、聖域見直しという章が書いてあるんです。

 これは事実ですか。どうですか、石原大臣。

石原国務大臣 この話も大分、先週ですか、先々週ですか、させていただいたんですが、それが、皆様方は委員長の書かれたもののゲラと称しておりますけれども、私どもはそれを確認することができませんし、仮にそれがもし委員長のゲラなるものであったら、著作権は委員長に所属しますので、その内容について、私はコメントする立場にはございません。

福島委員 そういう問題じゃないです。著作権の問題じゃないです。でも、委員長の書いたものではないと、お認めにならないんだから、日本の著作権は親告罪でありますから、委員長がお認めになっていないものに対して、誰かが、書かれたことを認めない人が訴えたって著作権の侵害にはなりません。

 その上で、これは全部この本にも書いてありますよ、でも、全部報道されている話なんですよ、今の話は。西川当時の自民党のTPP対策委員長の、重要五品目を抜けるか抜けないかを検討していかなければならないとか、甘利大臣の、党で議論を進めてもらえるのはありがたいと、これは記者のぶら下がりに答えているもので、我々も資料をいただいています。菅さんのも記者会見の答弁。

 余りにも不誠実じゃないですか。全部表になったものを何で言えないんですか。こう言っていますよね。どうなんですか。

石原国務大臣 申しわけございませんが、そのゲラと称するものに記載されていることについて、私はコメントをする立場にはございません。

福島委員 だめですよ。ゲラのことを言っているんじゃないですよ、私は。ゲラのことを言っているんじゃない。ゲラにも書いてあることだけれども、記者会見で言っていることについての事実を問うているんですよ。どうですか。

石原国務大臣 そういう御質問でしたら、いついつの記者会見の内容を確認しろと御通知をいただきましたら、確認をして、それが事実であるかどうか御答弁させていただきたいと思います。

福島委員 余りにも隠し過ぎているんじゃないですか。重要な、それぞれ、甘利前大臣あるいは菅官房長官の政府としての記者会見での発言ですよ。それを、確認しなければと。別に私語を言っているわけじゃないんですよ。記者会見の話を言っているわけですよ。

 これは、もう既に、十月二十二日の予算委員会で甘利大臣はこう答弁しているんですよ。党の方で、五品目の中身、あるいは五品目等と言われているその外側の部分の中の精査の作業をされていることはもちろんよく承知をいたしておりますし、党から要請があれば、資料要求等があれば協力していきたいと。

 この党の方というのは西川委員長のことなんじゃないですか。国会答弁でもされているんですよ。何でそれすら答えられないんですか。党から言われて、重要五品目の中のタリフラインを見直しながらということは、もう既にこのバリの会合でやっていたんですよね。どうですか。

石原国務大臣 質問通告をいただきまして、いつの誰の発言ということを確認しろと言われましたら、確認をして御答弁させていただきますが、委員が本のゲラなるものをかざされて話されておりますので、私はコメントを差し控えさせていただきます。

福島委員 ゲラの話じゃないですよ。交渉の中身にかかわることですよ。

 では、ゲラは忘れてください。このゲラは出しませんよ。今言ったのは、衆議院の予算委員会の話なんです。

 では、予算委員会で甘利大臣がこう答弁していますよというのを認めないんですか。甘利大臣のこの発言を石原大臣は認めないんですね。

石原国務大臣 ですから、いつ、誰々の発言を確認しろと事前に御通告をいただきましたら、議事録等々で確認をして、それにのっとってお話をさせていただきたいと言っているところでございます。

福島委員 余りにも無責任な答弁だと思いますよ。

 これは、でも実際、バリの会合でもう認めているわけじゃないですか。聖域なき関税撤廃に賛成というのをもう認めているわけですよ。なぜ、それすら答えられないんですか。

 もう既に、そのときに、除外とか再協議というのは求めないで、石原大臣のおっしゃる、例外でいこう、除外、再協議というのは求めないでいこう、そうしたことをもう決めていたんじゃないですか、政府は。

 ちなみに、では、仮定の話でもいいんですけれども、こうした会話がいろいろこの本の中にありますけれども、こうしたやりとりを西川当時のTPP対策委員長に出すということは、先日来議論になっている、十二カ国と結んだ保秘義務規定に合致しますか、違反しますか、どちらですか、石原大臣。

石原国務大臣 秘密保護に関する書簡につきましては、その内容について明らかにしないということも実は協定を結んだ国の間で決まっておる、これも御答弁させていただいておりますが、これはお話をさせていただくことができないということも、制約があるということも、ぜひ御理解をいただいた上で御議論をしていただければと思います。

福島委員 いや、政府じゃなくて、党のTPP対策委員会の委員長に交渉のやりとりを出すということは、十二カ国で結んだ保秘契約に違反しますか、違反しませんか、どちらですか。

石原国務大臣 一般論としてしかお答えすることはできないんですけれども、仮に、外交交渉に従事している人間、これは守秘義務がかかります。守秘義務のかかる人間が、国会議員といえども秘密を漏らすということはありません。

福島委員 もう一度、後半がよくわからなかったです。国会議員でも出し得るんですね、それは。今の答弁だと、国会議員であっても、情報を出し得ると考えてよろしいですね。

石原国務大臣 一般論としてお話をさせていただいているんですけれども、仮にですけれども、福島委員の、外交交渉でこういうことがあったのかないのか、そういう問い合わせに対して、答えられるところまでを各役所はお答えになる。しかし、秘密に関する部分については、福島委員といえども、守秘義務がある政府側の職員は福島議員には秘密は話さない、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。

福島委員 ということですね。ですから、もし、党の要人で、TPP対策委員長であったとしても、その方には言うことができないわけですよね。

 本を見ると、日本政府交渉団は、協議の直前直後には、TPP対策委員長だった私に交渉経過について逐次報告してきました、報告は基本的には口頭ベースでした、交渉経過について、私は詳しくは知らないという立場を守り続けてきたのです、TPP交渉には保秘義務があり、情報は極めて限られていました、自分だけが知っていると言えば、党内からねたまれて、立ち行かなくなりますと。つまり、自分だけ知っていたわけですよ、この著者の方は。

 うそはつけず、大抵のということなんです。(発言する者あり)これは、書いたとされるものです。笑っておられますけれども。いや、これは委員長の方と同一かはわかりません。衆議院議員西川公也と書いているだけなんです。

 私は何が言いたいのか。

 結局、これまでの答弁を見てわかるのは、多くの国民は、特に農業者の皆様方は、聖域なき関税撤廃を前提とする限りTPP交渉参加に反対、当然聖域を守るために交渉していると思っただろうと。我々国会議員は、除外または再協議を獲得するといって、除外または再協議を求めて交渉しているのだろうと思っておりましたが、結局、何の交渉もしていないんですよ。それを言えないから、この国会で答弁できないんじゃないですか、全然。例外とか何か別の言葉を持ち出して、除外、再協議を求めたり聖域を確保するという交渉過程に一切、それを答えることができないからこそ、真っ黒、黒塗りの資料しか出てこないのではないですか。

 しかも、この国会決議にはもう一つ別の文言があります。それは、六項に「聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとする」。脱退の検討は行ったんですか。私は行っていないと思っておりますよ。

 この本によりますと、西川委員長や政府の関係者は、夜な夜なマスコミと飲み明かして不利な報道を抑えて、心配する農業団体には都合のいい情報だけを小分けにして出して、ガス抜きをしているんですよ。結局、みんながぐるになって、約束を守ったことを、知らないでいようねとやっているのにすぎないじゃないですか。

 私は、だからこそ、しっかりと情報を出していただきたい。タリフラインの話だって、結局、議論して、同僚の玉木議員が追及をしたら、聖域はゼロだったということが明らかになったわけではないですか。きょうの私の基本的な質疑でも、報道ベースで出ていることすら、通告がないとかと言って答弁できない。

 私は、まずこれは大前提だと思います。我々国会が決議したことでありますから、決議違反の協定は批准、承認をすることはできないんですよ。それは与党も野党も一緒であります。ですから、もう一度、しっかりとこの交渉の経過を明らかにし、特にこの国会決議が守られているか、守られていないかということについての交渉経過を明確にすることを求めまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございます。

西川委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民進党の逢坂誠二でございます。

 きょうは、残された時間、質疑をしたいと思いますが、まず冒頭に、九州の地震で亡くなられた方に、私からも心からの哀悼の誠をささげたいと思います。また、きょう、今この時点でも避難されている方が多数おられます。心からお見舞いを申し上げると同時に、一日も早く復旧復興がなされるように私も力を尽くしてまいりたい、そのように思っております。

 その上で、私も自治体の首長でありましたので、ああいう状況になると、自治体の首長というのは、二十四時間対応、日ごろから基本的に二十四時間対応なのでありますけれども、まず二十四時間対応ということが求められる。そして、ありとあらゆるものが自治体の首長のもとへ、いろいろな判断、責任が来るということなんだろうと思っております。その意味で、私、今ここに立って質疑をしているのがかつての自分の立場から思うと少しどうかなという気もしながらも、与えられた役目でありますので、質疑をさせていただきたい、そのように思います。

 そこで、通告はしていないんですけれども、塩崎厚生労働大臣に、今回のような大規模災害が起こると、食料とか水とか燃料は非常に大事なもので、どうやって供給するか、切らさないようにするかということも大事なんですが、もう一つ、三日、四日、時間がたってくると、はたと気がつくものが出てくる。それは何か。慢性疾患の方が継続して服用されている医薬品、これの入手ができないということが結構多くの場面で出てくる。これは東日本大震災のときもそうでありました。これについて、塩崎大臣、どのように今対応されようとしているのか、何かお考えがあれば聞かせていただきたい。

 と同時に、これからの季節、だんだん気温が高くなってくるということで、感染症の発生も非常に懸念されるところであります。東日本大震災は三月でありましたけれども、今回は四月ということで、月が一月ずれている。これへの対応についても何か御見解があれば、通告はございませんけれども、今の時点で何かあればお話しいただければと思います。

塩崎国務大臣 先生御指摘のように、東日本大震災で幾つかやはり手痛い教訓を受けたというふうに思っております。

 特に今、慢性病のお話がございましたが、大体、急性期、救急医療のステージは今過ぎつつあって、逆に今度は、JMATのような内科医の先生方中心のチームをふやして回っていただいております。

 同時に、保健師さんのチームを、場所によっては常駐あるいは巡回という形で回っていただき、薬剤師会の先生方にも、もう私は初日から薬剤師会の会長にお願いをして、避難所などを回っていただくようにお願いをしております。

 あのときに、改めて、お薬手帳というものがいかに大事かと。つまり、持っていないと何をいつも飲んでいるのかほとんどの人がわからないということで、今の避難所など、あるいは自然発生的にできた施設などに集まっている方々に対しては、今申し上げたような保健師さんを通じて相談に乗るということもやっておりまして、これからますますその重要性は増してくるというふうに思っているところでございます。

 感染症のお話もございました。実際、やはりノロウイルスとか、そういう懸念が起きつつあります。それについても、消毒薬を今急遽、改めて配布し直すというようなこともやっているわけでございます。

 今お話がありましたように、東日本大震災のときと時期は少し違いますけれども、水がない、トイレが流れない、そういう中で、やはり感染症も起きやすいところでございますので、あらゆる手を尽くして、医師会にも協力を当然のことながらお願いしながら、今万全の体制を組んでいるというところでございます。

逢坂委員 病気やけがの場合は外からある程度見えるといいましょうか、血が出ているとか足が痛いとか顔色が悪いとかということがわかるんですけれども、慢性疾患の薬の場合は、自己判断で、薬がないから仕方がないわといってみずから意思を表明しないというケースがあって、それでどんどん病状が悪化するというようなこともありますので、お薬の流通については、声があるところだけに応えるのではなくて、声なき声といいましょうか、積極的に出向いていって、困っている方はおりませんかというような対応をすることによって重篤な状況に陥るのを避けるというようなことも大事だと思いますので、ぜひ万全の体制を組んでいただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 それから、今、こういう状況の中ではありますけれども、北海道と京都で衆議院の補欠選挙が行われております。これは民主主義の根幹でありますので、選挙というのはさまざまな状況の中でも最大限実施をするんだということだというふうに私も理解をします。

 あの三・一一のときも、統一自治体選挙の年でありましたので、選挙をどうするかということで随分議論をして、ごくごく限られた範囲だけは選挙の先送りといったような対応をとらせていただきましたが、今回は、震災が始まる前から選挙がスタートしているということもあって、特に私、地元が北海道でありますから、北海道五区でも熱い戦いが行われております。

 そこの中で、森山大臣、これも通告にないんですが、私、地域を歩いていて本当に多くの方から言われるのは、農業はどうなるんだということなんですね。

 それは、農協改革というものがありました。ありましたというか、これから進んでいく。でも、私は、あれは農協改革ではなくて、JAの解体につながっていくその一歩のような気がしてしようがない。

 それから、農業委員会の権能も下げるということをやる。公選制から指名制にするというようなこと。そんなことを含めて、今度は、農地、これを民間企業も保有できやすくする方向に今までよりはなっていくというようなこと。これについて農家の皆さんは物すごく心配されておられるわけですね。

 そして、加えてTPPということで、私、先ほどの議論を聞いていて、本当にびっくりしました。みんな、聖域は守られているんだ、重要五項目五百九十四品目、タリフライン、これは幾ばくかのものは守られているんだと思ったところが、無傷のものは何もないということが先ほど玉木委員の質疑で明らかになったわけです。これまた、私は、農家の皆さんにとってみると大変心痛いことだというふうに思います。

 そして、加えて、今般、三月三十一日でしたでしょうか、規制改革会議から、もう森山大臣御案内だと思いますけれども、生乳の扱いについて、これまでは指定の取扱業者がやっていたものを、基本的には自由化の方向にしていこうじゃないかという大きな方針が打ち出されている。これを聞いた途端に酪農家の皆さんは跳び上がる思いだ、私はそう思うんですね。

 こんな状況の中では安定して営農がやれない、一体どうなっているんだ、今の与党あるいは政府は本当に農業者のことを考えているのか、そういう声が非常にこの選挙戦を通じても私のもとへ届けられるわけです。こんな状況に対して、森山大臣も農業を守りたい、愛するという人の一人だと思いますけれども、どう感想をお持ちになられるでしょうか。

森山国務大臣 お答えいたします。

 農家の皆さんの気持ちの中に不安な気持ちがおありになることは、私も現場を歩きながらよくわかっております。一つは米政策がどうなっていくんだろうか、あるいは、中山間地、条件不利地域の農業がどうなっていくんだろうか、TPPの関係はどうなるんだろうか、農協改革あるいは農業委員会制度の改正ということがどういう影響を与えるんだろうか等々、御心配がおありになるんだろうと思います。

 我々としては、政策目的というものをしっかり現場に御説明申し上げるということが大事なことでございますので、TPPの政策大綱の説明あるいは補正予算の説明等についても努力をしてまいりました。

 また、農協改革については、一口で言いますと、農家の所得をどう向上させるかというところに焦点を当ててこの改革というものは行われてきたというふうに考えております。そういうことをよく御説明申し上げておかなければなりません。

 また、先生が最後に御指摘になりました酪農の問題でございますが、特にこの酪農の問題につきましては、北海道と本州とは少し違いますので、北海道の皆さんの御心配というのは私は痛いほどわかります。

 ただ、どうしても我々は制度の果たしている役割というのは守っていかなきゃならないと思っておりますのは、生乳は非常に腐敗が早いものでございますから、毎日搾らなきゃいけないという条件とスピーディーに処理をしなきゃいけないという条件が、もういかんともしがたい条件であります。

 また、その中で、できたらみんな飲用乳として売りたいんですけれども、そこだけではあふれてしまいますので、加工乳にとお願いをして、補給金制度というもので幾らか補填をしているわけでありますが、みんなが売りたいのはやはり飲用乳として売りたいわけであります。

 北海道の場合は、全体の二割ぐらいが飲用乳だと思います、八割が加工乳だと思います。私の鹿児島が所属をいたします九州の指定団体では、加工乳が大体一割ぐらいでございます、飲用乳が九割でございます。それぐらい条件が違うわけでございますので、北海道の皆さんの御心配というのはよくわかるということを申し上げたところであります。

 私は、やはり今の指定団体制度が果たしている役割というのは何としても維持しないと日本の酪農は守れないというふうに思っておりますし、また、EUでも同じようなことが起きて大変なことになっておりますから、こういうこともしっかり検証させていただいて、制度が持っている大事な役割というのは守り抜いてまいりたいというふうに考えております。

逢坂委員 森山大臣から、北海道の酪農の状況は痛いほどよくわかるという話でありましたけれども、そして、規制改革会議が今回三月三十一日に出されたものについても、指定団体制度は何としても守らなきゃいけないんだということでありますけれども、仮に指定団体制度を守ったにしても、ほかの人も取り扱えるというふうにどんどん枠を拡大していくと、有利な人はそっちへ流れていくということになって、結果として指定団体制度が骨抜きになっていくということがありますから、単に指定団体制度を守るということだけではこれはうまくいかないんだというふうに思います。

 きょうはこの問題はこれ以上やりませんけれども、北海道の皆さんは、相当に、心配をしているというよりも、怒り心頭に発する、そういう思いの人もいる、そういう状況だということはぜひ御認識をいただきたいというふうに思います。

 さて、そこでなんですが、きょう残された時間が少なくなってしまいましたけれども、TPPと医療分野、診療報酬、医薬品などについてちょっと話をさせていただきたいんです。

 TPPの発効によって日本の診療報酬ですとか薬価、医療分野についての影響というのは、まず、TPP全体を担当いたします石原大臣、多分影響はないんだとこれまでも答弁されていると思いますけれども、改めてお伺いします。

石原国務大臣 厚労大臣もいらっしゃいますので、TPP協定の中でのざっくりとした話をさせていただきたいと思います。

 協定の中でございますけれども、今委員が御指摘されたような民間の医療保険の拡大、あるいは混合診療の解禁といった公的医療保険制度のあり方そのものについて、もっと民間の色彩を濃くしろとか、アメリカにやらせろとか、そういったような内容は含まれておりません。

 また、我が国の医療保険を含む社会事業サービス全般でございますけれども、その制度について、投資や国境を越えるサービスといった分野で、将来にわたりまして我々は国民皆保険を維持する、あるいは薬価制度を維持するといったような留保をさせていただいております。

 いずれにいたしましても、今後とも、日本が誇れる国民皆保険制度を堅持、そして委員が御懸念をされているようなことのないように、安心、安全な医療が損なわれることがないように取り組んでいくことが肝要だと私も考えております。

逢坂委員 この点については、塩崎大臣も同じ認識ということでよろしいんでしょうか。うなずいておられるので、同じ認識ということで理解をさせていただきます。

 そこで、もっと突っ込んで石原大臣にお伺いしたいんですけれども、なぜ今回のTPPで、例えば診療報酬、薬価、医療分野に影響がないというふうに考えられるのか、その根拠をもう少し明らかにしていただけますか。

石原国務大臣 先ほども、この社会事業サービスに関係する制度が投資や国境を越えるサービス貿易といった分野で留保要件をつけているというお話をさせていただきましたけれども、協定に適合しない措置を将来採用しても実は協定違反とならない分野を明記する附属書2というところにおいて、詳しくお話をさせていただきますと、我が国は、社会保険、社会福祉、保健などの社会事業サービスを包括的に留保しますよということを明記させていただいておりまして、この附属書2は拘束力を持っていると認識をしておりますので、このような答弁になっていると御理解をいただきたいと思います。

逢坂委員 今お話しになったところは、投資の第九章ですね。社会事業サービス、保健、社会保障、社会保険等については、内国民待遇など、ほかにも幾つかありますけれども、これらの義務に関し留保を行っているということなんだろうというふうに思うんです。でも、内国民待遇とか最恵国待遇とか、この点に関して留保を行っているということなのではないんでしょうか。包括的に留保を行っているということで、全くこの分野については口を出せないという意味なんでしょうか。私の理解では、内国民待遇とか最恵国待遇などの義務に関し留保を行っているというふうに読めるんですが、そうではないんでしょうか。

石原国務大臣 逢坂委員の御指摘は一番肝心なところでございますので、また繰り返しになってしまいますが、明確にさせていただきたいと思うのでございますけれども、社会保険と社会福祉と保健などの社会事業サービスについて、我が国は、将来留保ですか、将来にわたってこれは留保しますよ、仮にその話になったとしても、私どもはこの留保要件をつけておりますし、また、このTPP交渉というものはマルチの交渉でございますので、一つをバイでいじり出しますと影響するところが大きい、ということは、そういうことをやらないというメカニズムが働くものだと御理解をいただければと思います。

逢坂委員 答弁が全く理解できないのでありますけれども、本来であれば答弁がよくわかりませんよと言いたいところなんですが、時間もありませんので、次に、別の角度からお話をさせていただきます。

 C型肝炎の治療薬でハーボニー配合錠というのが、特効薬として、非常にいい薬が出た。これは実は、薬価が一錠八万円なんですね。昨年、薬価承認されまして、八万円だったということであります。

 これをつくっているのはアメリカの会社というふうに認識をしておりますけれども、ところが、この薬について、最近、今度は日本のルールで、日本のルールというのは、最初承認された薬がどんどん多くの人に使われるようになっていくと、市場が拡大したということで、市場拡大再算定ということをやるんですね。この結果、この一錠八万円余りのハーボニー錠が、今三割ぐらい下がった。これは非常にいいことなんですよ、国民にしてみれば。一錠八万円もしたものが、保険適用になった上に、さらに三〇%も下がるわけですから、これは非常にありがたいことなんですね。

 きょうは時間がないのでこれ以上突っ込んでできないんですけれども、ただ、これは、製薬メーカーにしてみると価格が下がるということで、打撃を与えるということにもある一面からなりかねないわけですね。これはTPPを関係なしにでもいいんですけれども、私が製薬メーカーの立場だったら、いやいや、日本にそういうルールがあったにしても、それはおかしいんじゃないかという気がするわけですけれども、こういうときであっても、これは日本に対して何らの物も言えないということになるんでしょうか。これは厚生労働大臣でも構いません。

唐澤政府参考人 簡潔にお答えさせていただきます。

 先生御指摘のハーボニーは、確かに昨年、八万円ということで収載いたしましたが、当時の企業の予想販売額を大きく超えて販売されておりますので、投資収益というようなものがもうかなり回収されただろうということで、三割下げるという特例を設けたわけでございます。

 最初の収載のときもそうですが、この特例で下げるときにも、企業の意見をちゃんと聞いて、そして意見表明の機会を設けて、中医協で議論をして実施をしておりますので、私どもの手続としては問題ないと考えております。

逢坂委員 たまたまハーボニーはそういうことであった。企業に意見を聞いて、企業もそれで納得をしたからいいと。

 それでは、唐澤局長にもう一回聞きますけれども、企業がノーと言ったら八万円は下げられないということでいいんでしょうか。

唐澤政府参考人 これは、特例再算定、それから収載のときもそうでございますが、当局と意見が異なることはございます。私どもは、もちろん、国民皆保険の財政ということ、患者さんの負担ということも考えますが、企業の方は企業の方で収益を考えなければいけませんので、ここはお互いに意見をぶつけ合って、そして合意点を見つけるということで努力をしてまいります。

 仮に先生お話しのように全く意見が異なってしまったら、例えば、最初の収載のときには収載を一旦取り下げるという可能性がございますけれども、ただ、私の記憶ではほとんどそのようなことはないというふうに承知をしております。

逢坂委員 今、唐澤局長が言うように、最初の収載のときは、意見が異なって価格が折り合わなければ、それは収載を取りやめるということはあると思うんですよ。

 ところが、一回収載されて、八万円という価格がついて、今度は市場拡大の再算定をするというときに、それは意見がたまたま今回のハーボニーは折り合ったからいい、折り合わないで、それでは価格を下げられないということになると、国民目線で見ると、それは国民にとってみれば、高い薬を使わされているのではないかということになりはしないのか、そういう不都合が出るのではないか。その点はいかがですか。

唐澤政府参考人 これは、私ども、ぎりぎりまで折衝をして合意するようにしてまいりますけれども、一旦収載した薬につきましては、安定供給の義務というものが最初からかかっておりますので、ぎりぎりまで折衝いたしますが、最終的には、中医協で決定をして、厚生労働省として実施をするということでございます。

逢坂委員 そこで、改めて、両大臣、どちらがお答えになってもいいんですけれども、今のようなやりとり、これは多分、薬価を決めるプロセスの中ではあり得るんですね。そして、当初の段階であれば、薬価を決めるときに、いや、折り合いがつかないんだったら最初から保険収載しなければいいということで、保険対象から外すという選択肢はあるわけです。ところが、一回載せて価格がついて、そして患者さんに保険の範囲で使ってもらっている。本来であれば、その価格が下げられるという再算定ができる。でも、メーカーとのやりとりの中でなかなか折り合いがつかないというようなことは当然あり得る、そういうときに海外からそれはおかしいだろうと言われるということは当然あり得ると考えてよろしいですよね。

 だから、このTPPの中でも、当然、医薬についてもそういう点で影響が出るというふうに考えてよろしいでしょうか。

塩崎国務大臣 医療関係者から、このTPPの議論に入る前に、交渉に入る前に大分反対論がございましたが、今のような御懸念がやはりそのもとにあったんだろうと思います。

 先ほど石原大臣からも答弁いたしましたとおりですが、いわゆる附属書2というものの中で社会保障の分野については留保しているわけでありますけれども、これはあくまでも、健康などの公共の福祉に係る正当な目的のために合理的な規制を行うことは妨げられていないということですから、合理的な範囲内で日本の医療制度を守るということに関して今回の再算定の問題も入ってくると我々は思っているわけですから、その中でやるということでありさえすれば、それは海外から言われる筋合いはない、ISDSの対象になるようなことではないというふうに思っておりますので、絶えず我々は、やはり合理的な判断を下す中で社会保障の政策をつくっていくということを心がけていくことが大事なんだろうというふうに思います。

逢坂委員 これでやめますけれども、合理的な理由があればそれはという説明でしたけれども、合理的な理由というのはお互いの国の条件によって私は変わると思うんですよ。日本は、国民皆保険制度を前提としながら合理的な理由を言うし、国民皆保険制度のない国は、それを前提としながら合理的な理由というのを主張してくると思うんですね。

 そういう意味では当然利害がぶつかり合うというふうに思いますので、きょうはもう時間が終わりましたのでこれでやめさせていただきますけれども、この医薬の分野は、私は非常に大きな問題をはらんでいると思いますので、もし機会がありましたら、引き続きまたやらせていただきます。

 ありがとうございます。

西川委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 昨日も述べましたが、熊本県を中心とした九州地方での地震にて多くの被害が出ております。改めて、私からも、心からのお見舞いと、また、亡くなられた方や御家族に対してお悔やみを申し上げたいと思います。

 きょうの委員会では、先ほどからありましたように、重要な答弁がありました。重要五項目のタリフラインで、いわゆる無傷と言えるものはないということでした。

 きのう、私はこの場で、国会決議との整合性について、これまで、米など重要五品目が除外または再協議の対象となり、決議にも書いているにもかかわらず、TPPにはその区分さえなく、政府は最初から守る気があって交渉したのか疑問だとただしました。それで、きのうは、どういう交渉をしたのか、初めからわかっていたことなのか途中からわかったことなのかは具体的な答弁はありませんでしたが、しかし、政府が結果を見てくれと言ってきたその結果を見ても、きょうの委員会では、重要五品目で無傷なものはなかったということでした。この点は、私からも改めて確認をしておきたいと思います。

 それで、きょうは、国会決議との関係で、繰り返し石原大臣も例外をかち取ったという答弁をされていた、例外の問題について少しただしたいと思います。

 まず、事実の確認をしたいと思いますが、その例外の中身というのは、先ほどからありますが、協定文書の書かれているところは、第二章四条二項、別段の定めがある場合を除くというところでよろしいですね。

石原国務大臣 委員の御指摘のとおりだと思います。

畠山委員 それで、その例外を確保したということでありますが、協定文書の農業分野にかかわる規定には、その例外さえも見直す仕掛けが幾つもあるのではないかということを、私、きょうは聞きたい。

 お手元の資料とともに、本当はきのう使うつもりでいたパネルで、せっかくつくったものですから、きょうはこちらにも持ってきましたが、こちらの資料をごらんになってください。

 例えば、第二章十八条には、物品の貿易に関する小委員会が設置されると書かれています。その任務は、締約国間の物品の貿易を促進することで、しかも、括弧書きでわざわざ、関税の撤廃時期の繰り上げというものが入っています。

 二つ目に、農業貿易に関する小委員会も、第二十五条によって設置をされます。その任務も、農産品の貿易の促進ということが明確に書かれています。

 この二つとも、効力発生の後最初の五年間、少なくとも年一回会合するということもきちんと書かれています。

 そして三つ目に、第二章附属書二―Dにある、いわゆる七年後の再協議規定です。これは、日本と、オーストラリア、カナダ、チリ、ニュージーランド、そして米国の要請に応じて行うものと規定がされています。

 確認しますが、これら三つの、委員会や再協議規定において、先ほど大臣も認められた別段の定め、いわゆる例外は、協議の対象となりますね。

石原国務大臣 委員の御指摘のとおりだと思います。

畠山委員 協議の対象であるということを確認します。

 それで、その例外がきちんと例外として確保されていくのかということが次に問われなければなりません。この仕組みそのものを、きちんと中身を見なければいけないと思っています。

 政府は、この間の答弁で、このような見直しや再協議の規定というものはどの条約にもある一般的なものと答弁をしてきました。しかし、例えば二つ目にある農業貿易に関する小委員会というのは、これまで日本が結んだFTAやEPAにはありません。TPPしかないはずです。

 通告していませんが、その点、一回確認します。事務方でも結構ですが、ほかにはありませんよね。

澁谷政府参考人 TPPは、物品貿易の章に、農業貿易というサブセクションがございますので、小委員会を設けることといたしましたが、他のEPAにおいては、物品貿易に関する小委員会が同じ内容を扱う、そういう理解をしております。

畠山委員 ないんです。

 七年後の再協議についても、日本以外に五カ国の名前が出てきますが、日本以外の国同士、例えばオーストラリアと米国とか、ニュージーランドと米国などの再協議がされるということは、私、英文の条文を見ましたけれども、ありません。つまり、五カ国と日本だけとの再協議規定ということになります。

 つまり、二番目の小委員会についても、あるいは三番目の七年後の再協議についても、一般的と政府は言うけれども、そう言えるのか。関税の撤廃時期を早めることが、あるいは農業の物品貿易を促進することが書かれているこれらの小委員会が定められ、つまり、さらなる関税撤廃を求めるためのこれらの規定ではないのか、一般的なものと違うんじゃないかというふうに私は思うのです。それが違うと言うんだったら、これらは何のための委員会や再協議規定なのかということを問いたい。

 一体これらは何のためのものですか。

石原国務大臣 畠山委員から三点の御指摘がございましたので、三点ごとにお話をさせていただければと思います。

 まず一点目、物品の貿易に関する小委員会。これは、物品貿易の章のところで規定されている事項について検討することを目的として設立されております。大体、過去のEPAにおきましてはこういうものが設けられているということは政府委員から御答弁をさせていただきました。

 二番目、農業貿易に関する小委員会。これは、第二章二十五条で規定されております、農業に関する規定の実施及び運用について監視したり協力を促進したりすることを目的としてつくられております。

 先ほどもう既に御答弁をさせていただいておりますように、関税撤廃の例外となる措置について、両小委員会における検討の対象となり得ます。これはもう既に御答弁をさせていただいたわけでございます。

 しかし、これらの小委員会の意思の決定は、議題設定も含めて、いずれの国からも反対がないことが条件になっております。我が国の意向に反する決定がなされることは結果としてない、しかし議論をすることはあるというふうに解しております。

 そして三番目、七年後の再協議。附属書二―D、日本国の関税率表、委員が御指摘されたところでございますが、これも委員の御指摘のとおり、日本と豪州、日本とカナダ、日本とチリ、日本とニュージーランド、日本と米国の五カ国、協定発効から七年がたった後に相手国からの要請に基づいて協議を行うことに合意した国、今の五カ国でございます、との間で再協議の規定を相互に設けさせていただいております。

 その再協議に当たっては、これもまた先ほどの二つの小委員会と同じでございますけれども、関税撤廃の例外となる措置についても対象となり得ると認識をしております。

 しかし、TPPの交渉は、これまでもお話をさせていただいておりますとおり、関税だけではなくて多くの分野について、この五カ国につきましても同時並行で交渉を行いまして、全体の分野で各国が合意できるぎりぎりのところで合意に至ったものでございます。

 したがいまして、三番目に御指摘をされております再協議にしても、そのバランスが崩れるような形で合意を得るということはありませんし、また、日本国も国益を害するものについては合意する考えは全く持っておりません。

畠山委員 私が一般的な聞き方をしたのでそうなったので、少しわかりやすく言えば、つまり、七年目の再協議規定に限って言えば、相手の国からは、日本が例外としたものをテーブルとするということが要求されるのは間違いないのではないかということを問いたいわけです。この点、どうですか。

石原国務大臣 委員の御指摘のとおりだと思いますが、裏から読みますと、七年間はこの話はないというふうに御理解をいただきたいと思います。

畠山委員 そこで、七年までの間にこの小委員会が、先ほども述べたように、年一回の会合を行っていくということですから、これは、先ほど大臣から答弁があったように、ここも協議の対象にもなり得るわけです。ただ、そこで政府は国益に反する合意はしないなどということを、この間、いわば言葉の担保として言ってきました。

 しかし、結局、では何でそういう規定をここに置いたのかということの根本的な疑問が私は残るんですよ。ほかの国、十一カ国全部に幅を広げれば、農産物の関税撤廃率は九八・五%となります。日本風に言えば、守っているものはほとんどないということとなります。

 そして、これは私は、前の農林水産委員会のときだったか、同じく、七年目の再協議規定がなぜ置かれたのかという問いをしたことに対して、高鳥副大臣から、相互主義に基づくものであるのだという御答弁がありました。

 攻めと守りをお互いに再協議するということであるならば、例えば豪州を例にとったときに、農産物も、あるいは全品目に広げても、豪州については関税撤廃はほぼ一〇〇%なんですね。であれば、日本からは何を要求するのか。結局、豪州から要求されるというだけの規定になるわけですよ。

 そこで、日本から要求する品目がないのに、では何でこれが置かれたのかということになるわけです。

 このような規定が置かれた理由というのは、石原大臣が繰り返し何度も言ってきたように、TPPは、そもそも原則は関税の撤廃です。そして、きのう来議論になっているように、除外や再協議の区分がないので、例外というものを政府がかち取ろうとした。そのセットで、そのかわり、こういうふうに協議の規定をつくりましょうということが考えられるんですが、違うんですか。

 ここの協議の規定が置かれた交渉過程、それはなぜですか。

石原国務大臣 ここも大変苦しい答弁なんですが、セットで結果として出てきたということは、私も委員の御指摘のとおりだと思います。

 しかし、先ほども政府委員の方から御答弁させていただきましたとおり、大体のEPA交渉には物品貿易に関する小委員会というものがあります。もちろん物品の中に農産物も入りますから、そこで議論をされる。しかし、今回は、こういう形に、セットで出てきているというふうに御理解をいただきたいと思います。(発言する者あり)

畠山委員 委員長、済みません、一回、定足数を確認していただけますか。

西川委員長 大丈夫だな。

畠山委員 大丈夫ですか。

 今、石原大臣から、結局、原則関税撤廃ということと、したがって例外はかち取られたが、一緒に、再協議についてはセットであるということも委員の考えるとおりだということが言われました。私は、これは大事な答弁ではないかというふうに思います。

 つまり、七年目の再協議というのは、裏を返せば、原則関税撤廃、だからこれを置かざるを得なかった、だから協議の対象として全品目入ることになっている、そういう理解でいいんですね。

石原国務大臣 私は、セットという意味は、結果としてこれがセットになっているという意味でございまして、というのは、どこどこでどういう交渉、相手国がどういうことを言ったからこの何々ができたということについては、経緯でございますので、この場でお話をすることができない、制約があるということはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 例えば、一番上でございますか、御指摘をされております物品貿易小委員会、これは他のEPAにもあるということは先ほども政府委員から御答弁をさせていただきましたけれども、締約国間の物品の貿易を促進すること、貿易促進のためにこの小委員会というものが設けられている。

 その中で特にどんなことを議論するかと申しますと、非関税措置の適用に関する障壁について対処し、適当な場合には、これらの事項を検討のために委員会に付託することができると。どちらかと申しますと、非関税措置の適用に関する障壁についての対処ということがこの委員会の主なる任務となっております。

 また、二番目の農業貿易に関する小委員会についてでございますけれども、この規定は、締約国間の農産品の貿易及び適当な場合にはその他の事項を促進すること、そして、この規定の実施、運用、規定する食料の輸出の制限の通報を含むについて監視し、及び協力を促進することと。スムーズにいっているかいっていないかということを監視するということが重立ったる任務である。

 そういう形でこの二つの小委員会ができていると御理解をいただきたいと思います。

畠山委員 これは、きちんと仕組みの問題で改めて議論したいと思うんですよ。

 小委員会は、もちろん、この章だけでなく、さまざまなところに置かれています。この小委員会、どういう人が委員となるかということもまた問題です。そして、これを全体としてつかさどるTPP委員会がまたあります。

 これらの仕組みによって、先ほどから言っているように、ほかの国々は原則もう関税が撤廃されている状況のもとで、日本に要求されることは、例外として政府が言ってきたことを対象として協議されるということは想像にかたくありません。

 ですから、この点、改めてまた議論したいと思いますけれども、その点で、政府が例外と呼ぶものも守られ続ける保証があるのかという疑問を強く述べておきたいと思います。

 時間がきょうは少ないですので、政府の影響試算と米について、一言、二言だけお聞きしておきたいと思います。

 TPP発効後に、米については初年度に、米国に五万実トン、豪州に〇・六万実トンの輸入枠を設けています。徐々にふえて、十三年目以降は、今でさえミニマムアクセス米として七十七万トンを輸入しているわけですが、それに加えて、米国から七万実トン、豪州から〇・八四万実トンを輸入ということになります。そして、政府は、その分の国産米を備蓄米として買い入れるから、価格への影響も生産額の減少もない、ゼロだという試算をしています。

 これに対しては、本当に影響がゼロだと言い切れるのかという強い心配の声が上がっています。これは、政府の試算を農家だけでなく自治体もまた信用していない状況があるんですね。大臣御存じだと思いますが、さまざまな県が試算を行っています。

 今回輸入するものについてはSBS枠として、これは主に中食、外食など業務用に使われているお米ということは、前回どこかの答弁で大臣も答弁されていました。

 その業務用米の生産が多い青森県の試算では、米生産額は二十三億円減ると試算しています。福井県でも、同じく、業務用米の価格低下に引っ張られて、米生産額が十五億二千万円減ると試算しています。熊本県でも、同様に、十三億六千万円の米生産額減少です。この三県だけでも五十一億八千万円も減少すると試算しているんですね。これは、政府試算の生産額の減少ゼロとは大きな違いです。

 県の試算が間違っているというんだったら間違っているとはっきり言わなければいけないし、ゼロだというのであるならばその根拠を明確に説明しないと、これはいつまでも心配は解けません。

 一体、この違いは何から生まれるんでしょうか。

森山国務大臣 畠山委員にお答えをいたします。

 冒頭の御発言で誤解があるといけませんので少し御説明申し上げておきますが、私が玉木委員に御答弁をいたしましたのは、我が国の譲許表では、WTOの水準に従うもの、すなわちTPPでは変更を加えなかったものを単純に数え上げれば、重要五品目五百九十四ラインのうち百五十五ラインであるということでございますので、そこは先ほど答弁を申し上げたとおりでございますが、御理解をいただいておきたいと思います。

 まず、三十六の道県が行った試算においては、米につきましては、大半の道県で、二十九の道県でございますが、政府の試算と同様の影響額はゼロという結果になっておりますけれども、一部の県においては、特定の銘柄の米の価格とSBS輸入米との価格を比較し、その価格差分、当該県産の米の価格が下がるという仮定によって影響額を試算しておられると思われる県が七県ございます。今先生が御指摘になった県でございます。

 これまでSBSで輸入される米の価格は、輸入米に比べて圧倒的に多く流通しております国産米、約八百万トンでございますけれども、この価格水準を見据えて形成をされ、主に業務用に用いられる国産米とほぼ同等の水準で流通をしております。今までのSBSの結果がということでございます。

 政府としては、新たに国別枠が設けられた場合でも、その数量規模が数万トンと、これまでの状況と基本的に変わらないと考えておりまして、この前提で影響試算を行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、政府としては、政策大綱に基づきまして、国別枠の輸入量に相当する国産米を備蓄米として買い入れ、国別枠の輸入量の増加が国産の主食用米の需給及び価格に与える影響を遮断することによって、確実に再生産が可能となるようにするということを大綱で決めさせていただいております。

 合意内容、国の試算の考え方、対策の内容やその効果についても、今後とも、各地域に対しまして丁寧に説明をいたしまして、農業者の皆さんの不安と懸念の解消に努めてまいりたいと考えております。

畠山委員 先ほどの玉木委員の発言のことについて言われましたが、議事録できちんと精査したいと思いますけれども、先ほど来の答弁で確認されたことを私も改めて確認したいというふうに思います。

 それで、今答弁ありましたけれども、私が県名を挙げた三つの県ともに、政府の対策を前提とした試算を行っているわけです。一体何が違うのかということは、現場ではかなり、わからない、不安だということがどんどん出てきているわけですよ。そうでなくても米の価格が、さまざまな要因はあったかもしれませんが、ミニマムアクセス米など輸入がどんどん広がり、それにあおられる形で価格が下がってきたということを体験的に多くの農家が知っている中で、政府の試算がどうして信用できるかということになるのは、私は当然の思いだと思うんですね。

 それで、日本農業新聞のモニター調査でも、政府の試算は影響を少なく見過ぎていると答えた方が七六・七%もいる。全然納得していないんですよ。

 私は、もう一回きちんと試算をやり直す必要があると。この米の問題についても、これだけさまざまな県が、対策を、同じことをやると言っているのに違うんだから、きちんとやり直すべきだと思います。

 最後、答弁してください。

森山国務大臣 例えば、先生、青森の場合でございますが、先ほど委員御指摘のとおり、米への影響額というのは二十三億円というふうになっておりますけれども、考え方として、青森県の「まっしぐら」とか「つがるロマン」という価格がSBSの輸入米の価格まで低下するという仮定が置いてございます。低下する価格にそれぞれの銘柄の県産量を乗じての計算になっております。

 青森県産の個別銘柄の価格、青森県の「まっしぐら」とか「つがるロマン」というのは、相対取引の価格ということを考えますと、そういうことにはならないのではないか、そう考えておりまして、それぞれの県の試算と我々の考え方についても精査をいたしておりますので、よく御説明を続けてまいりたいと考えております。

畠山委員 時間ですので、終わります。

西川委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 おおさか維新の会の丸山穂高でございます。

 あと十五分間、時間をいただいておりますが、おつき合いいただければと思います。

 先ほど来、議論を聞いていまして、質疑が途中とまったりしているところですが、ちょっと民進党さんなり質問されている方のところにも我々は問題があると思っているんですけれども、一方で、きょうの答弁を見ていますと、ちょっと農水省側にも問題があるんじゃないかなというのは、率直に一委員として感じました。

 特に、通告されている部分に対して、交渉過程ではない客観的な、対象品目のうち、枠外、枠内関係なく変更のないものはどれぐらいの数ですかと。客観的な数字です、しかもそれは交渉過程ではありません、結果ですので、そういったものは、もし通告があったとしたら、あったと委員はおっしゃっているので、あったとしたら、それはきちんと出していただかないと、我々委員としては困りますので、よろしくお願いしたいと思います。

 一方で、通告のない御質疑をされているときもありましたし、もっと言えば、それに対して、きっちりこの休憩の時間内に、大臣の御答弁でゼロだという御答弁がありましたが、しかし、それを品目で見ればであって、それをもって聖域がないと、言ったのはできていないじゃないかというふうな追及は、ある意味、私はそれはレッテル張りだというふうに思っていまして、本筋と違うところで鬼の首をとったように、どちらかというと、いちびった感じでやられているというのは問題があると思います。

 政府のお答えで明確なんですよ。セーフガードとか関税の特別枠で例外を設けるんだ、設けたところで聖域を守った、そして、交渉の過程は出せないんだということもきちんと述べられています。そのセーフガードも特別枠も割合としてはほかの国よりも多いんだと明確に御答弁、それをもって聖域を守れているというふうにお話をされています。

 あと、ゲラの話ももう明確に答えられていまして、何度も何度も質問がありましたけれども、しかし、出所不明なので、出どころが不明なものを答えることができないというのは、もちろん政府としては正確な答弁だと思います。そういった意味で、非常に、質問としてもっと前に進めるべきところがあるんじゃないかなと思います。

 きょう新たに出てきたものは、農水委員会の決議でございます。これは、我々おおさか維新の会は、明確に、あの当時は日本維新の会でしたが、これに対して反対をしました。なぜかというと、交渉に当たって政府に条件をつけるべきではないということで、我々はこれに反対したんです。実は、日本維新の会と一緒にみんなの党さんもこれに対して、日本維新の会の言うことはそのとおりだと、記録が残っていますけれども、それで、その農水委員会の決議に対して我々は反対したわけですよ。

 そのみんなの党の、幹事長をされたのが、柿沢委員なんですけれども、非常に元同僚議員に申し上げにくいんですけれども、維新の党の方もいらっしゃる中で、言っていることとやっていることが違うというのは、国民に対して御説明をきちんとしていただく、何をもって変わったのかというのは御説明する責任がそれこそあると思いますし、きちんとやはりその辺は議論をしていきたいと思います。

 そういった意味で、我々が求めているのは、交渉過程とか、国会決議に反しているんじゃないか、おかしいじゃないかというところではなくて、むしろ中身の議論で、国民が求めている、どういう結果になるのかというところを明らかにしてほしいというのを前回の質疑で話をさせてもらいました。

 前回、一千七百ページにも及ぶ、大臣が膝で抱えていらっしゃったものをオープンにしていただきました。我々、これはまだ不十分だと思いますが、しかし、一歩、国民に見せていただいたと思うんです。

 まず、この開示について、大臣はどういう御見解を持っていらっしゃるか、そして、その後どういう声が寄せられているか、大臣、率直にお答えいただけますか。

石原国務大臣 四月八日の金曜日だったと思いますけれども、丸山委員とのやりとりを踏まえまして、先週の十一日の月曜日にあの資料を、個々には上げていたんですが、委員からの御指摘を受けまして、トータルなものとして整理をし直してホームページに再掲載をさせていただきました。

 その結果でございますけれども、十二日の火曜日には、前日に比べまして六千件アクセスがふえて、一万五千件になりました。翌十三日には一万九千件と、やはり委員の御指摘のとおり、まとまってある程度整理をしたものにしますと、アクセスの数がふえまして、関心が示されていると思っております。

 そして、委員との御討論の中で、もう少しわかりやすくしなさいよと。私も御質問をいただいて資料の中から回答を出すのに若干時間がかかってしまったように、やはり、わかっていると思う人間が調べても、どこに載っているかというのは、なかなか資料が膨大なだけに出てまいりません。

 やはり、これからも、テーマごとに分類したり、わかりやすくもう少し細分化するなどの工夫をして、せっかくこれだけ御関心が高まっておりますので、使いやすいものにしてまいりたい、こんなふうに考えております。

丸山委員 前回の要望で重ねてお願いしたのが、もっと詳細版も欲しいというのが正直なところで、先ほどの玉木委員からの要求の資料というのも我々は気になるところです。つまり、交渉過程でなくて結果として各品目がどういう変化があったのかというのを、それぞれ品目ごとにオープンにしてほしいというのは要望として当然あるものだろうというふうに思います。

 そういった細かい部分と、もう一つ、今大臣のお答えの、専門家向けではなくて国民の皆さん向けにわかりやすいものもつくってほしいという、この二つの要望を前回させていただきました。今、つくられるというお話がありましたけれども、大体いつごろまでにこれはオープンにしていただけるものでしょうか。

石原国務大臣 こちらとしては、例えばタリフラインのところを、先ほども議論になっておりますけれども、どれだけのものを守ってどれだけのものが撤廃になったのか、こういうものも整理をして、数字にはなっていないんですね、記号で例えば維持したもの、じゃないものみたいになっておりますので、これがもう少しわかりやすくなるように指示をさせていただきまして、なるべく早い段階で多くの方々が一目見てわかるようなものに仕上げていきたい、もうしばらくお時間を頂戴できればと思っております。

丸山委員 できれば国会審議中に出していただきたいと思うんですが、それは可能な状況にあるのかどうかというのはお答えできますか。

澁谷政府参考人 御趣旨を踏まえて、できるだけ速やかに対応させていただきたいと思っております。

丸山委員 急ピッチでやっていただけるということですので、できれば、この審議中にないとその部分がわかりにくいと思いますので、よろしくお願いしますし、特に、具体的に客観的な数字でという、記号ではなくという御答弁は大事だと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 オープンにしていただけるところはどんどんオープンにしていただかなきゃいけないんですけれども、一方で、我々が議論すべきだと思うのは、交渉過程どうこうというよりは、これによって、TPPによってどんな影響があるか。特に農業分野。

 農水大臣、まず、きょうは時間が短うございますので伺いたいんですけれども、農業分野は非常に攻めなければいけない、もはや、このTPPの環境だけじゃなくて、現状の環境でも、守りだけでは不十分で攻めていかなきゃいけないというのが農水省としてのスタンスだと思います。今、大臣、大きくうなずいていただいていますけれども、そうした中で、規制改革が必要不可欠で、それを進めていきたいというのが政府としての立場だと思います。

 そうした中で、いわゆる農業生産法人の出資規制、そして売上高規制、これが非常に壁になっていて、農業分野の企業の進出だとかイノベーション促進の阻害になっているんじゃないか。今回、この四月に法改正で少し改善されました。しかし、その出資額、五〇%以上は企業が農業生産法人に対して出資できない規制がいまだにある。つまり、過半数は持てないわけで、企業としては非常にここに壁を感じる状況でございます。

 まず、この点を聞きたいんですけれども、今、与党の中でも、これをやるべきじゃないかという議論、特に改革を進められている小泉進次郎さんなんかは、部会長をやられていると聞きましたけれども、そういったところからそういう声が上がっていると聞いています。

 まず、これの規制がどうしてあるのか。大臣として、これを五〇%以上に上げられるというのは考えられないんでしょうか。

森山国務大臣 丸山委員にお答えいたします。

 法人による農地所有につきましては、法人が農業から撤退をしたり、産業廃棄物置き場になるのではないかという農業、農村の懸念があることから、当該法人が農業に継続的に真剣に取り組んでいくことを担保するために、事業要件や議決要件等を設けているところでございます。

 例えば、産業廃棄物の不法投棄は、もう御承知のとおりだと思いますが、大変大規模な不法投棄が行われて問題となりました青森県と岩手県境にまたがる事例を初め、全国各地で見られているところでございます。

 事業要件は、法人の売上高の過半が農業及び畜産物の加工、販売等の関連事業であることでありまして、当該法人が農業を主に行う法人であることを担保するために設けられております。

 また、議決要件は、農業者以外の議決権比率が二分の一未満であることと設けられているところでありますが、農業者の意向によって法人の経営方針の決定が行われることを担保するためにとられていると考えております。

 なお、この議決権要件につきましては、昨年の農地法改正で、六次産業化等の経営発展の障害を取り除く等の観点から、農業者以外の議決権比率を四分の一以下から二分の一未満にまで拡大をしたところであり、この四月から施行されているところでございます。

 以上でございます。

丸山委員 今、生産法人の出資規制と売上高規制と重ねて、リースは認められている、農地所有についても認めてほしいという声がある、議論が進んでいるということでございます。

 例えば特区で、兵庫県の養父市の方でこれをまず進められるという話ですけれども、現場の皆さんの声を聞いてみますと、リースの方が逆に採算が合うんじゃないかという声もあったり、つまり、所有が採算が合わない可能性もあるという声もあって、一方で、貸し手の都合で農地の返却を求められたら、特にハウスなんかをつくったら、それは投資として見合わない、経営基盤が一気に崩れる可能性があるからやってほしいという議論もあるんです。

 この土地所有の話も非常に大事な議論なんですが、しかし、出資規制の部分を五〇%以上にさせてほしいというのは、これは政治によって壁ができてしまっていて、参入障壁になっているわけですよ。これが一番、一丁目一番地でやるべきところだと我々維新の会は思っていますし、何より、政府の規制改革会議でこういう議論が出たと報道でも出ているんですけれども、これはなぜできないんでしょうか。もう一回、国民の皆さんに、なぜできないのか、わかりやすくお答えいただけますか。

森山国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたけれども、やはり農業者の意向に沿って法人の経営方針が決定をされるということを担保するためであります。

丸山委員 つまり、農家の方の意向を、半分以上をとることで担保するんだという農水大臣の今の意見なんですけれども、一方で、現場の声としてあるのは、農家の方にも過大な負担を押しつけていることになると。つまり、半分以上出資するのが農家の方なわけですよ、現行法では。一方で、企業としては大規模投資をしたいときもある。そのときに、要は、それだけのお金を入れる中で、半分以上が農家の方じゃなければならないとなると、それに対して、非常に農家の方に重荷になる場合もあるんじゃないでしょうか。

 そういった意味で、それは生産者の方、法人に、選択制に要はすればいい話で、政府がわざわざ壁で切って、だめだという部分ではない。むしろ、政府はあらゆる可能性を広げて、農業に可能性をつくっていくのが本来の形だと思うんです。

 そういった意味で、今の大臣の御答弁は不十分だと思うんですけれども、どうしてできないんですか。

森山国務大臣 それは、丸山委員お尋ねですけれども、農業者の意向によって法人の経営方針が決定をされるということは担保しておかなければいけないと考えております。

丸山委員 もう一歩踏み込んで聞きたいんです。

 では、どうして農業者の意向が組み込まれなきゃいけないのか。つまり、企業側もある意味、生産するのであれば生産の主体であるというふうに思います。そして、半分以上じゃなくても、意見として入る余地は十分にある。それはその現場現場の状況によって変わるものだと思うんですけれども、それをわざわざ政府が規制する意味、つまり、農家の声は五〇%以上じゃなくても入ると思うんですけれども、その辺はどうなんですか。

森山国務大臣 農業を行うわけでございますから、農業者の意向というもので法人の経営方針が決定をされるというのは当然のことだと思います。それを担保するためにとられている措置でございます。

丸山委員 時間がないので終わりますけれども、続きは次の委員会でさせていただきます。よろしくお願いします。

西川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十七分散会


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