◎会議に付した案件
日本国憲法に関する件(日本国憲法の制定経緯)
上記の件について参考人古関彰一君及び村田晃嗣君から意見を聴取した後、両参考人に対し質疑を行った。
(参考人)
獨協大学法学部教授 古関 彰一君
広島大学総合科学部助教授 村田 晃嗣君
(古関彰一参考人に対する質疑者)
(村田晃嗣参考人に対する質疑者)
◎古関彰一参考人の意見陳述の要点
- 押しつけ憲法論の起源
- 押しつけ憲法と解される理由となる事実
- 押しつけ憲法とする考え方の背景
- GHQが憲法制定を急いだ理由
- 押しつけ憲法と単純に解されない理由
- 押しつけ憲法論と戦後観の相関
◎古関彰一参考人に対する質疑者及び主な質疑事項等
自由民主党:中川 昭一君
- ポツダム宣言の解釈に関するバーンズ回答は日本降伏前に出されたものであり、憲法制定との間には時間的にかなりの差があるため、憲法改正の必要性とは関係ないのではないか。
- マッカーサーが天皇制存続を主張したのは、占領政策遂行に当たってのコスト軽減のためと思うが、いかがか。
- GHQ案にあったカーストという言葉は、日本にカースト制度が存在しないために削除されたのではないか。
- GHQ案にあった土地の国有化の条文は、共産主義的な思想と密接に関係するために日本側が削除したのではないか。
- 当時、外国人の人権保護についてGHQ案のように憲法に規定していた国はなかったと思うが、いかがか。
- GHQ案にあった一院制は、日本側との折衝における取引材料とするために盛り込まれたと後にケーディスも発言しているが、いかがか。
- 上記の4点を押しつけとは単純に断定できない事例として取り上げる意味はどこにあるのか。
- 大日本帝国憲法と現行憲法との法的連続性についての見解を伺いたい。
- 内容さえよければ押しつけの憲法でも構わないという意見には賛成できない。
- 占領下の日本はまともな憲法を持てる国家とはいえず、現行憲法は独立国の憲法とはいえないと思うが、いかがか。
民主党:石毛 えい子君
- 松本案における人権保護に関する問題点を指摘していただきたい。
- GHQは一般に解されているよりも広い範囲にわたって日本の世論動向等を理解していたのではないか。
- GHQ内には、女性の人権についての条文を制定する動きもあったということだが、実現しなかった経緯について教えていただきたい。
公明党・改革クラブ:倉田 栄喜君
- 憲法制定後、半世紀が経過した現在、我々は憲法制定過程から何を学ぶべきだと思うか。
- 現行憲法が次第に我が国に定着してきたことの意味をどう見るか。
- 天皇制存続問題が憲法制定過程に与えた影響についての見解を伺いたい。
- 戦争放棄条項と天皇の戦争責任免除及び沖縄の要塞化との関係の有無についての見解を伺いたい。
- 現行憲法には個別的には改正すべき点があるが、現在は改正する必要がないという参考人の意見について説明していただきたい。
自由党:中村 鋭一君
- 占領下での憲法制定に関するGHQの関与は、命令といっていいほど非常に強い強制力を持ったものであったと解する。
- 「人間の作るものに完全なものはないように、制定憲法も不完全になるのは不可避であるから、憲法改正方法を定めておくことが必要となる」という趣旨のトマス・ジェファーソン米国大統領の言葉についての見解を伺いたい。
日本共産党:佐々木 陸海君
- ハーグ陸戦法規の条項に照らし、占領下での憲法制定は正常な状況になく、したがって日本国憲法は無効であるという主張に対する見解を伺いたい。
- 戦争放棄や国民主権等の規定は世界の流れに対応したものであったと解するが、いかがか。
- 第9条についての改憲論はアメリカの意向がその起源だったのではないか。
社会民主党・市民連合:伊藤 茂君
- 憲法問題はイデオロギー論争に陥ることなく、将来のビジョンを描いた上で議論すべきという主張に対する見解を伺いたい。
- 第9条については様々な議論があり、解釈だけではなく現実の外交等も視野に入れねばならないが、第一に必要なのはピース・メイキングではないか。
◎村田晃嗣参考人の意見陳述の要点
- 占領下の憲法改正の有効性(ハーグ陸戦法規に違反するかどうか)
- マッカーサーの極東における戦略観と憲法の戦争放棄条項との関係
- 侵略戦争の定義の不在による憲法9条論議の混迷
- 「文民条項」(第66条第2項)が帝国議会の修正により加えられた背景とその意義
- 「天皇は象徴である」(第1条)という表現の妥当性
- 憲法前文の文章の妥当性
◎村田晃嗣参考人に対する質疑者及び主な質疑事項等
自由民主党:杉浦 正健君
- 憲法論議に際し、いわゆる、改憲、護憲、論憲の3つのカテゴリーに分けることについて参考人はどう考えるか。
- 日本の伝統的価値を憲法に盛り込むべきとの意見について参考人はどう考えるか。
- 権利に伴う責任、自然との共生等といった21世紀に向けた新しい理念を憲法に盛り込むべきとの意見について参考人はどう考えるか。
民主党:藤村 修君
- いわゆる「押しつけ」憲法論に対し、参考人は批判的な立場と考えてよいか。
- マッカーサー3原則にあった自衛戦争の放棄がGHQ案において覆された経緯
- いわゆる芦田修正の際に、芦田氏は自衛戦力保持に道を開く意図はなかったのではないか。
- GHQが憲法制定を急いだ真意
- 憲法論議において専門家ではない者が議論に参加することの意義
公明党・改革クラブ:福島 豊君
- 大日本帝国憲法の改正は、必ずしも国民すべての合意があったとは考えられないが、いかがか。
- 大日本帝国憲法の改正は、天皇制を守るのが本音であり、それ以外の部分は建前にすぎないのではないか。
- 現行憲法がこれまで改正されなかったのはなぜか。
- 憲法を論じることが国民に避けられてきた背景には、戦前の軍国主義へ回帰することに対するおそれが存在すると思うが、いかがか。
自由党:中村 鋭一君
- 参考人が憲法前文について不具合があると感じている点はないか。また、その理由は何か。
- 基本理念に関する部分の改正はともかく、不適切な字句等の修正については早急に行うべきと考えるが、いかがか。
- 憲法論議に際し、どのような国家観が必要と考えるか。
日本共産党:佐々木 陸海君
- マッカーサーが日本に対して、当初、一切の戦力の保持を認めなかったことは、当時のアメリカの対日政策と矛盾しないのか。
- アメリカが日本に再軍備を促した背景は何か。
- 第9条の改正論議は、戦後のアメリカのアジア戦略の転換に端を発していると考えるが、いかがか。
社会民主党・市民連合:伊藤 茂君
- 憲法を論議する際に、いかなる座標軸で議論すべきか。
- 第1条に、国民主権を明確に規定するべきと考えるが、いかがか。