平成19年3月22日(木) (第1回公聴会)

日本国憲法の改正手続に関する法律案(保岡興治君外5名提出、第164回国会衆法第30号)
日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案(枝野幸男君外3名提出、第164回国会衆法第31号)

上記両案について、公聴会を開き、公述人から意見を聴取した後、質疑を行った。


○午前

(公述人)

 中央選挙管理会委員長                 浅野大三郎君 

 東京慈恵会医科大学教授               小澤 隆一君 

 法政大学法学部教授                  江橋 崇君 

(質疑者)

 船田  元君(自民)

 古川 元久君(民主)

 赤松 正雄君(公明)

 笠井  亮君(共産)

 辻元 清美君(社民)

 糸川 正晃君(国民)


○午後

(公述人)

 政策研究大学院大学助教授              本田 雅俊君 

 前衆議院議員・JPU総合研究所特別研究員       山花 郁夫君 

 国際経済研究所代表                   高田 健君 

(質疑者)

 愛知 和男君(自民)

 中川 正春君(民主)

 大口 善徳君(公明)

 笠井 亮君(共産)

 辻元 清美君(社民)

 糸川 正晃君(国民)


◎公述人の意見の概要(午前)

浅野大三郎君

1.投票手続等について

  • 96条を具体化する国民投票法の制定に精力的に取り組んでいることに敬意を表したい。
  • 与党案・民主党案ともに概ね選挙の場合と同様の手続であり、選管としては比較的問題なく国民投票を実施できるのではないか。ただし、投票権者の範囲が選挙権者の範囲と異なる場合等には周到な準備をする必要がある。

2.公務員の関与に関して

  • 選挙は、複数の候補者・政党から特定の者・政党を選ぶものであるが、国民投票は、発議された案について承認するか否かの意思を表明するものである。
  • 選挙の場合には、候補者と有権者との結び付きが強く、規制がないと候補者と有権者の行動が社会的に適切と見られる範囲を逸脱し、違法行為が発生しやすいが、国民投票の場合にはそのようなことはない。よって、国民投票運動に関する公務員の活動に対する規制について、公選法における規制とは異なるものとする合理性はある。ただ、国民全体に奉仕するための権限を濫用することは認められず、地位利用は違法であることを明確にしておく必要がある。

3.メディアとの関係

  • 無料新聞広告の制度を設けるか否か、設けた場合にはその仕組みをどうするのかという課題がある。
  • 選挙におけるテレビの影響力は極めて大きく、活字媒体に比べて接触度や有用度も高い。しかし、選挙と国民投票では適した情報媒体が異なり、後者の場合には読み返しができる活字媒体が重要ではないか。
  • 投票期日前の一定期間にテレビの広告を制限することは適切であり、その期間は2週間でよい。

小澤 隆一君

1.憲法改正手続法の位置

  • 憲法附属法である憲法改正手続法は、憲法の基本原理を踏まえ、国民の自由で民主的な意思の反映を最も保障するものとして制定されなければならない。
  • 憲法改正手続法は憲法改正が現実的な日程に上る時までに制定されていれば良いという性格のものであり、慎重な審議が望まれる。

2.日本国憲法改正国民投票の特質

  • 憲法改正案は国会が発議するものであり、国民は改正案を承認するか否かだけを判断する。
  • 憲法改正は、憲法規範を定立する行為であり、憲法改正国民投票は、(a)規範の定立の是非を問うものであって、特定の政党等を選択するものではない、(b)個別の施策を問う住民投票と異なり、一般的抽象的な改憲の是非を問うものである。

3.法律案の検討

(1)最低投票率制度

  • 国会が発議する憲法改正案に対する主権者国民の真正な意思の表明を保障するため、最低投票率制度を設けることが要請される。

(2)公務員等・教育者の地位利用による国民投票運動の禁止

  • 与党案の公務員等・教育者の地位利用による国民投票運動の禁止規定は、憲法改正において党派的判断が優先されることを前提としており、不必要かつ不適切である。また、その萎縮効果にも配慮すべきである。

(3)発議から投票までの期間

  • 憲法改正案は、多様な解釈が想定される場合があり、過去の憲法解釈やその改正が与える影響についての専門家による検討等が必要である。よって、両案に定める60日以上180日以内とする周知期間は短すぎる。

(4)与党案、民主党案に対する評価

  • 与党案は(1)〜(3)、民主党案は(1)及び(3)の点で憲法適合性に問題があり、廃案も含めて根本的かつ慎重な検討が必要である。

4.今後の審議の在り方

  • 修正案がもし提出されたならば、改めて公聴会を開いて審議することが国権の最高機関である国会の責務である。

江橋 崇君

1.憲法改正案に関する国会の審議の在り方

  • 衆参両院の合同審査会において、成案を形成し各院に持ち帰り、同日、同時刻に開会する両院の本会議において審議、議決し、各院で3分の2以上の賛成を得たことを確認して国会として発議する手順が望ましい。
  • 日本国憲法の制定過程において、国会の構成が一院制から二院制に変更されたにもかかわらず、憲法改正には3分の2以上の特別多数の賛成を要する議決要件の部分は変更されなかったため、96条の憲法改正手続が例を見ない非常に厳格な手続となってしまった。合同審査会は、この隘路を打開する優れた知恵である。

2.国民に対する憲法改正の問題提起の方法

  • 改憲作業に入ることの是非と改正の部分及び方向性について、独立した予備的な国民投票で国民の意向を聞くべきである。
  • 与党案及び民主党案が憲法審査会で採択された請願を憲法改正原案に組み込むことができる仕組みを検討していることは適切である。

3.国民投票の在り方

  • 憲法改正の国民投票のほかにも、(a)領土割譲条約の締結、(b)皇位継承法、平和基本法等の立法がある場合の国民投票の制度化について検討が必要である。

4.国民投票における承認の判定、白票の取扱い

  • 投票ごとに改正部分の全体を一括して承認を求めることが原則であるべきであるが、関連項目ごとに複数の議案に分割する場合においても、増補型の改正であれば内容的に関連し合う条文の増補の積重ねになるので、一括投票、個別投票といっても、結局大きな相違はない。
  • 改正案の承認を問うものである以上、憲法上の他の承認ないし批准の議決と同様に、白票を無効票として扱うべきであり、賛否いずれかに上乗せする計算方式は適当ではない。
  • 白票を無効票とする場合に生じる弊害には、最低投票率の導入等で対応すべきである。

5.最後に

  • 日本国憲法をどのように改正すれば、より一層多くの市民の支持を得られる幸せな憲法にすることが可能であるか、そのための常識的な手続と常識的な内容の改正の方法論を十分検討する必要がある。

◎公述人に対する質疑の概要(午前)

船田 元君(自民)

<浅野公述人に対して>

  • 公務員等・教育者の地位利用による国民投票運動について、与党原案では地位利用をしてはいけないことを明確にしようとしたが、その後の議論で、選挙と国民投票では運動の在り方が異なることから、罰則を設けず、懲戒処分により対応する修正を考えている。この点についての所見を伺いたい。
  • 国家公務員法と地方公務員法で、禁止される政治的行為の範囲が異なることから、国民投票運動においては、政治的行為の禁止規定を適用除外する修正を考えているが、いかがか。
  • 新聞の無料広告枠を設けるかどうか検討しているが、読み返すことができる等の活字メディアの特性を考えると、やはり設けた方がよいと考えるか。

<小澤公述人に対して>

  • 憲法改正手続法は憲法改正が具体化するまでに整備されればよいとのことであったが、憲法改正の議論が沸騰すると、一方の立場が有利になるように憲法改正手続の内容が歪められるおそれがあるので、それ以前に手続法を整備すべきではないか。

<江橋公述人に対して>

  • (a)合同審査会を設けていること、(b)請願の採択により国民の声を取り入れる仕組みを設けていること、(c)修正により憲法問題予備的国民投票制度を設けることについて、どのように考えるか。

古川 元久君(民主)

<全公述人に対して>

  • 憲法改正国民投票法は、中立公正なものでなければならないと考える。現在提出されている民主党案は、この要請を満たしていると考えるか。
  • 民主党は、一般的国民投票制度を憲法改正国民投票制度と併せて定めるべきであると考えているが、いかがか。
  • 憲法審査会において、3年間は憲法改正原案を審議せず、調査に専念することを明記することについての所見を伺いたい。

<浅野公述人に対して>

  • 選挙権年齢と投票権年齢が異なる場合には周到な準備が必要であるとのことであったが、現在提案している民主党案の規定のほか、何か定めるべきものがあるか。

赤松 正雄君(公明)

<全公述人に対して>

  • 憲法審査会が設置されて初めて、改正するしないを含めて、憲法をあらゆる角度から検討することができることとなると考えるが、いかがか。

<江橋公述人に対して>

  • 憲法改正予備的国民投票により、憲法改正論議の入口で特定の憲法改正が否定されることが問題であるとの指摘があるが、憲法改正予備的国民投票のあるべき姿について、各国における成功例を含めて伺いたい。
  • 公述人が主張する増補型憲法改正と公明党が主張する加憲の違いについて伺いたい。
  • 付加した条文と現行の条文との整合性を考える上で、現行の条文を残して付加する方式と現行の条文を修正しつつ付加する方式とでは違いがあると考えるが、いかがか。

笠井 亮君(共産)

<発言>

  • 改憲手続法案の慎重審議を求めて1200を超える国民の声がFAX、手紙等によって自分の事務所に寄せられたことを、本委員会の理事、委員に伝えたい。

<小澤公述人に対して>

  • 改憲をめぐる現実の動きとの関わりで、国民投票法の整備をどのように見ているのか。
  • 法案提出者が最低投票率制度に反対する理由として挙げている(a)ボイコット運動を誘発する、(b)案件の中身によっては高投票率を期待できない、(c)96条にない加重要件を求めることは憲法違反であることは、いずれも成り立たないと考えるが、いかがか。

<浅野公述人に対して>

  • 公務員等・教育者の地位利用による国民投票運動の禁止について、法案提出者は罰則をなくすこととしているが、修正によって地位利用の範囲は限定されるのか。

<小澤公述人に対して>

  • 仮に上記のような修正をしたとしても、公務員等・教育者に対して萎縮効果が生じることには何ら変わりがないと考えるが、いかがか。
  • 憲法改正案の発議までは国会が主体的な役割を担い、発議後は国民が主体的な役割を担うことが96条の趣旨であることに照らして、広報協議会の構成や無料広告放送の割当てが政党中心に制度化されていることをどのように捉えているか。

辻元 清美君(社民)

<発言>

  • 海外調査において、憲法改正には議会内コンセンサスと国民的コンセンサスが重要であるとの意見を聴いてきたが、職権による委員会の開催や安倍首相の発言により、議会内コンセンサスが危機に瀕している。

<江橋公述人及び小澤公述人に対して>

  • 憲法改正手続のうち、発議までの手続と発議後の国民投票の手続は性質が違うものであり、本来別の法律で定めるべきものであると考える。この二つの手続が一つの法案で提案されていることについての所見を伺いたい。

<全公述人に対して>

  • 有料広告放送の禁止について、資金量の多寡に影響されることから、憲法改正案発議後全期間にわたって禁止することも考えられるが、いかがか。

<江橋公述人に対して>

  • 公務員等・教育者の地位利用による国民投票運動の禁止について、海外調査では各国ともなぜそのような規制が必要なのかという反応であった。国民投票においては、人を選ぶ選挙とは異なり、平等、自由に国民投票運動が行われるべきであると考えるが、いかがか。

糸川 正晃君(国民)

<小澤公述人及び江橋公述人に対して>

  • 国会の発議から投票までの期間は、どの程度が適切か。
  • 大多数の国民が現行憲法と憲法改正部分を理解するには、どの程度の期間が必要か。

<浅野公述人に対して>

  • 国民投票においては、テレビはもとよりインターネットの影響も大きいと考えるが、インターネットを利用した投票運動を規制すべきか。

<全公述人に対して>

  • テレビにおいて影響力を持つ人の誤発言を防止するためのメディア規制の在り方をどのように考えるか。
  • 与党案・民主党案の違いの一つに国民投票の対象があるが、民主党案のように一般的国民投票を認めることに対する所見を伺いたい。
  • 憲法改正手続法の制定を急ぐべきではないとする声があるが、国会で十分な審議が行われ、国民の理解が十二分に得られていると考えるか。

◎公述人の意見の概要(午後)

本田 雅俊君

1.合意形成に向けた最善の努力とネガティブ・イメージの防止

  • 国民投票法の制定には賛成である。ただ、その制定に当たっては、合意形成を最後まで目指してほしい。多数決によって成立させることになれば、国民の間にネガティブ・イメージが生じ、今後の憲法改正作業に大きな支障をもたらすおそれがある。

2.国会主導の作業の貫徹

  • 両案は、共に議員提案であり、これまでも国会主導で議論を進めてきた。今後も内閣に左右されることなく、毅然として立法府主導で審議を進めるべきである。

3.憲法審査会の位置付けの明確化

  • 常任委員会でも特別委員会でもない常設機関である憲法審査会の設置は、従来の枠組みに収まらない国会法の大改正である。憲法審査会の位置付けを明確にするため、議会制度協議会等で慎重に議論すべきである。

4.合同審査会の位置付けの明確化

  • 合同審査会を設置し、両院に対する勧告権を付与することは、変則的な二院制とも評価しうるものであり、合同審査会が憲法制定会議の役割を果たすのではないかとの意見もある。合同審査会の位置付けを明確にするため、議会制度協議会等で慎重に議論すべきである。

5.審査会における定足数

  • 憲法審査会、合同審査会については、憲法改正作業におけるその重要性にかんがみ、定足数を少なくとも2分の1、できれば3分の2とすべきである。

6.立法期による制限

  • 憲法改正原案の審議について、会期不継続の例外としたことは評価できる。ただし、総選挙や参議院通常選挙が行われれば、継続しないと考えるべきである。

7.その他(対象を国政問題に拡大することについて)

  • 国政重要問題に関する国民投票を認めることは、議会制民主主義の根幹に関わることである。憲法改正国民投票制度から、一般的国民投票制度を切り離して議論すべきである。

山花 郁夫君

1.はじめに

  • 憲法改正手続について国民が正確に理解するのは難しいが、国会が発議し、国民投票で過半数の賛成が必要であるとの認識は必要ではないか。
  • 公聴会の開会日が知事選の公示日と重なったことは、国民の関心の観点からは適切ではない。

2.国政の重要問題に関する一般的国民投票

(1)憲法41条に抵触するという議論について

  • 事実上の拘束力があるから一般的国民投票には反対であるとの議論に対しては、事実上の拘束力と法的拘束力の間には質的な違いを考えるべきである。

(2)代表制民主主義に反するという議論

  • すべての事項を国民投票に付することには消極的であるが、憲法は代表民主制を原則としつつ、直接民主制を補完的に組み合わせていることを重視すべきである。
  • 直接民主的な制度はドイツでは否定されているが、日本では代表民主制を補完するものとして肯定できる。また、有権者は、選挙に際して全政策について白紙委任をしているわけではなく、重要なことは直接決定したいとの考えもある。

(3)「事実上の拘束力」の強さの程度

  • 一般的国民投票を想定した場合、女性天皇問題など国民投票の結果と世論とが乖離を生じることも考えられる。例えば、僅差で賛成が反対を上回ったとしても、本当にその結果を受け入れてよいのか。
  • 一般的国民投票の効果が諮問的だからこそ、結果を受けてどうすべきかを考えることができる。具体的なケースを想定して、事実上の拘束力の程度を議論すべきである。

(4)国政の重要問題とは

  • あらかじめ類型化するのではなく、全会派が一致した案件とするなどの手続的な工夫が必要である。また、投票の結果を尊重するとしても、過半数で済む問題もあれば、7、8割程度の賛成を必要とする問題もある。

(5)一般的国民投票に否定的な見解

  • そもそも一般的国民投票が認められないとの見解があるが、これを認めない規範は存在しないと考えている。次に、それに否定的な見解とは、憲法改正とは区別すべきとの主張である。一般的国民投票と憲法改正国民投票を一緒に議論することがなぜ排除されるのか、疑問である。

高田 健君

1.はじめに

  • 憲法調査会の実質審議をほとんど傍聴してきたが、日本国憲法がどこまで実現されてどこまで実現されなかったかの調査がなされなかったことは残念である。

2.憲法調査特別委員会の運営について

  • 今月15日の公聴会開催の採決は異常であった。憲法の問題でなぜこのように急ぐのか。

3.安倍首相の発言について

  • 安倍首相の「任期中に改憲する」等の発言に対して批判もないまま、憲法改正手続法の審議を始めてよいのか。三権分立の観点から厳しくチェックすべきである。
  • 安倍首相の発言は、法案提出者の「ニュートラルな手続法」という説明と矛盾している。また、今は憲法改正手続法を議論すべき静かな環境ではなくなっている。

4.法律案の問題点

  • 一般的国民投票制度の導入の是非、投票権年齢、過半数の意義といった問題について更に議論すべきである。与党と民主党の調整ができた部分も、その理由を国民に分かりやすく説明するべきである。問題なのは、与党案と民主党案の相違点だけではない。本委員会においては共通点についての議論が不足している。
  • 一括投票の問題も、少なくとも9条と環境権を一括することはないとのことだが、9条の改正といっても自衛軍を認めることとその海外活動等を認めることを一括して問うことが許されるのかといった問題は残っている。
  • スポットCMについては、国民投票運動の期間中は全面禁止すべきであると主張してきたが、各団体の意見の相違がある現段階で、結論を急ぐべきではない。
  • 憲法審査会の設置は、手続法の枠を越えるものであり、国会における憲法尊重擁護義務を軽視する風潮を促進するおそれがある。
  • 国民投票運動期間が60日から180日というのは、あまりに短すぎる。熟慮期間がさらに必要である。

5.おわりに

  • 公聴会の後に採決し、今国会中に法案成立との報道もなされているが、憲法の問題で、なぜそのように審議を急ぐのか。慎重審議を求める。

◎公述人に対する質疑の概要(午後)

愛知 和男君(自民)

<全公述人に対して>

  • 憲法改正国民投票法の整備の必要性についての所見を伺いたい。

<高田公述人に対して>

  • 憲法改正国民投票法の整備が必要となる時期を伺いたい。

<本田公述人及び山花公述人に対して>

  • 国民投票の対象について、一般的国民投票に事実上の拘束力があることは否定できず、議会制民主主義の根幹に関わる問題と考えるが、いかがか。

<山花公述人に対して>

  • 一般的国民投票を憲法改正国民投票と切り離して別の法律において議論するのは、いかがか。

<本田公述人及び山花公述人に対して>

  • 公務員等・教育者の地位利用の禁止について、このような規制がないと公正な国民投票運動ができないことになると考えるが、いかがか。
  • メディア規制について、投票日直前の一定期間はメディアによる影響からの冷却期間とする必要があると考えるが、いかがか。
  • 憲法改正案の発議に当たって両院の合同審査会の活用が望ましいとの江橋公述人の主張に対する所見を伺いたい。

<発言>

  • 憲法改正国民投票法案を与党単独で採決することは考えておらず、なんとか合意点を見出そうと努力してきている。最終的には民主主義であるから多数決で決めることも否定できないが、その際にも、審議を拒否し採決に欠席することがないようにしてほしい。

中川 正春君(民主)

<全公述人に対して>

  • 本委員会は、他の委員会と比べてコンセンサスを目指して運営を行ってきた。しかし、今般、公聴会日程の設定に当たって混乱し、安倍首相の発言で委員会審議の在り方が政治争点化していることについての所見を伺いたい。

<本田公述人及び山花公述人に対して>

  • 民主党案における一般的国民投票制度について、国民投票にかけるか否か、国民投票の結果を取り入れるか否かは、いずれも国会の意思により決定することとなっており、議会制民主主義の原則を侵害するものにはならない。一般的国民投票制度の導入についての所見を伺いたい。

<全公述人に対して>

  • 96条に定める憲法改正においては、発議という形で国会が一応の結論を出すことになっているが、こうした結論を出す前に論点整理のために憲法改正に関する予備的な国民投票を行うべきではないか。

大口 善徳君(公明)

<全公述人に対して>

  • 本来、国民投票法を制定する適切な時期はいつであったか。

<本田公述人及び山花公述人に対して>

  • 国民投票法案に憲法審査会の設置など国会法の改正部分があることについては、議運の了解を得ており、正式な手続に則っている。憲法審査会の権限についてはいろいろな議論があるが、合憲性審査や基本法制調査に関する権限について、どのように考えるか。

<山花公述人に対して>

  • 一般的国民投票は、事実上の拘束力があり、政治的に十分検討すべきものであるが、憲法に関わる事項については、予備的な国民投票を行ってもよいと考えるが、いかがか。
  • 一般的国民投票の結果の受け止め方において、7、8割の賛成が必要な場合とそうでない場合があるとのことであったが、賛成割合に応じて法的な取扱いが相違するのか。

笠井 亮君(共産)

<本田公述人及び山花公述人に対して>

  • 安倍首相の発言により、公正中立な手続法の整備という法律案提出の趣旨が変質してきたと考える。このような法案の扱われ方につき、どのように考えるか。

<高田公述人に対して>

  • 護憲の立場からは反対投票を呼びかける方が合理的なので、ボイコット運動が起きるおそれはないと考えるが、市民運動の立場からいかがか。
  • 市民団体が莫大な費用を要するCMを利用することは現実的ではないのではないか。政党等にのみ無料広告枠を認める制度は、中立公正ではないと考えるが、いかがか。
  • 無料広告枠の配分については、その配分を広報協議会が決定すること、賛否の広告の他に改正案そのものの広報があることから、修正してもなお中立公正ではないと考えるが、いかがか。
  • 9条改憲阻止の運動に携わっている立場から、憲法施行60周年を迎え、どのような思いを抱いているか。

辻元 清美君(社民)

<発言>

  • 各公述人が憲法改正に対する立場を越えて、最近の本委員会の運営に懸念を示されたことを重く受け止める。

<全公述人に対して>

  • 各地で実施されている住民投票に対する評価と問題点について伺いたい。
  • 国民投票の結果や成立した憲法改正が十分な正統性を持つことができるよう、最低投票率制度を導入すべきと考えるが、いかがか。また、導入するとし場合、その投票率はどの程度が適当か。

<高田公述人に対して>

  • 公務員等・教育者の地位利用による国民投票運動の禁止についての所見を伺いたい。

糸川 正晃君(国民)

<本田公述人及び山花公述人に対して>

  • 国会の権威をもって憲法改正案を示すべきとの意見であるが、手続法制定の段階において、国会の権威をどのように示すべきか。

<本田公述人に対して>

  • 憲法審査会の権限が不明確であるとの意見であるが、これを明確にする方法を伺いたい。

<高田公述人に対して>

  • 憲法審査会の権能に疑問があると伺ったが、これを解消する方法を伺いたい。

<全公述人に対して>

  • 国民投票運動の期間が短いとの意見があるが、国会の発議から投票までの期間はどの程度必要か。

<本田公述人及び高田公述人に対して>

  • 合同審査会は事実上一院制的な運営となりうるものであるので、二院制が機能しなくなるのではないか。

<全公述人に対して>

  • 国民投票においてはテレビ等のメディアが有効活用されると思われるが、例えば、テレビのキャスターが賛成又は反対の発言をした場合などをどのように規制すべきか。