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平成十五年二月十七日提出
質問第二一号

芸能関係者の労働者性判断基準についての政府解釈に関する質問主意書

提出者  大出 彰




芸能関係者の労働者性判断基準についての政府解釈に関する質問主意書


 昨年十二月二十日に受領した、芸能関係者の労働者性に関する質問に対する答弁書によると、政府は芸能関係者が労働基準法第九条に規定する労働者であるか否かを判断するに当たっては、平成八年に発表された労働基準法研究会労働契約等法制部会労働者性検討専門部会の報告「建設業手間請け従事者及び芸能関係者に関する労働基準法の『労働者』の判断基準について」(以下部会報告)に示された労働者判断基準を参考としているということである。
 以下、部会報告の内容に関する政府の解釈について質問する。

一 部会報告の中の、「U 判断基準−1 使用従属性に関する判断基準−(1)指揮監督下の労働−ハ 拘束性の有無」には、「勤務場所がスタジオ、ロケーション現場に指定されていることは、業務の性格上当然であるので、このことは直ちに指揮監督関係を肯定する要素とはならない。」とある。
 (1) ここにおける「業務の性格」とはどのようなものだと解釈しているのか。
 (2) 「業務の性格上当然であること」と「指揮監督関係を肯定する要素とはならないこと」との因果関係をどのように解釈しているのか。
 (3) 「勤務場所がスタジオ、ロケーション現場に指定されていること」が、多くの芸能関係業務において一般的であることは容易に想像しうる。大半の芸能関係者にとってそのような労働市場しか存在しないのであるならば、この判断基準は指揮監督関係を肯定する要素を限定的にしすぎる感が否めないと考えるが、これについて政府はどう考えるか。
二 「U 判断基準−1 使用従属性に関する判断基準−(1)指揮監督下の労働−ロ 業務遂行上の指揮監督の有無−(イ)業務の内容及び遂行方法に対する指揮命令の有無」には「俳優やスタッフなど、芸術的・創造的な業務に従事する者については、業務の性質上、その遂行方法についてある程度本人の裁量に委ねざるを得ないことから、必ずしも演技・作業の細部に至るまでの指示を行わず、大まかな指示にとどまる場合があるが、このことは直ちに指揮監督関係を否定する要素となるものではない。」とあり、芸能関係者の職業上の特殊性からくる芸術的裁量性を認めている。
 しかし一方で、「V 事例−(事例4)撮影技師B−3 『労働者性』の判断−(1)使用従属性について」においては、「業務の遂行方法について一方的な指示を受けることはなく、本人の裁量の余地が大きいこと」からこの事例では使用従属性はないものとされ、それが労働者性を弱める要素として扱われている。
 部会報告中の上記二つの部分の整合性につき政府の解釈を示されたい。
三 「T はじめに」には「俳優がいわゆるプロダクション等に所属し、それとの間に労働契約関係があると考えられる場合、あるいは、スタッフが、製作会社から業務を請け負う会社に雇用されていると考えられる場合も存するが、そのようなケースはこの判断基準では念頭に置いていない。」とあり、この部会報告がフリーの芸能関係者のみを対象とした限定的なものであることが分かる。
 政府としては今後、その他の芸能関係者も含めた統一的な労働者性判断基準をつくる用意はあるか。あるならば、その具体的日程等の詳細を、ないならば、その理由を説明されたい。

 右質問する。



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