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平成十七年七月十二日提出
質問第九八号

公立小中学校施設の耐震化の促進に関する質問主意書

提出者  赤嶺政賢




公立小中学校施設の耐震化の促進に関する質問主意書


 本年三月の福岡県西方沖地震、昨年の新潟県中越地震では、公立小中学校施設においては、直接的に子どもの生命を脅かすような事態は免れた。しかしながら、学校施設は多大な被害を受けており、今回の福岡県西方沖地震では、福岡県の玄界島における校舎の「倒壊」をはじめ、教室、体育館の内壁のひび、エキスパンションジョイントの破損、ガラスの破損、天井材の落下や備品の転倒など、被災箇所数は三六六箇所に達した。
 現在までに、被災した施設の八割は、通常の教育活動ができる状態に復帰したということであるが、一定の期間、教育活動はもとより、地域住民の避難所としての使用に耐えない被害を多々受けており、それは児童生徒、地域住民に大きな不安を与えたのである。
 福岡県西方沖地震は、例えば東海地震や東南海地震だけでなく、今後も全国どこでも大規模な地震が起こりうる可能性があるということを示している。
 学校施設は、児童生徒が一日の大半を過ごす学習、生活の場であるとともに、地震、豪雨等の災害発生時には、地域住民の応急的な避難場所、地域の防災拠点としての中心的役割を担っている。
 地震発生時において、児童生徒の人命を守るとともに、地震等の災害発生時の児童生徒、地域住民の避難場所として必要となる機能を果たせるように、施設や設備の損傷を最小限にとどめるために、十分な耐震性能をもたせて学校施設を整備することが重要である。
 福岡県西方沖地震の公立小中学校施設の被害状況を踏まえ、学校施設における耐震化の確保は急務と言わなければならない。
 従って、以下の事項について質問する。

一 今回の福岡県西方沖地震、昨年の新潟県中越地震の発生を踏まえて、公立小中学校施設の耐震化の緊急確保について、政府の基本的な考え方と方針を伺いたい。
二 二〇〇五年四月一日現在の公立小中学校施設の耐震改修状況について、文部科学省は調査結果をまとめて公表した。
 全国の公立小中学校施設全一三万棟のうち、約八万四千棟(六三・九%)は、現行の耐震基準が定められた一九八一年以前に建築された施設である。
 この八万四千棟のうち、耐震診断が実施された棟数は、四万七千棟(五六・三%)である。その中で、耐震性がある建物(改修済を含む)は、二万五六二棟(一五・七%)で、残りの約二万六五一九棟(二〇・三%)は、耐震診断によって、耐震性のない建物と確認されながら未改修のままであることが明らかになっている。
 このように、全国的には、依然として耐震化が進んでいないだけでなく、半分の施設に耐震性が確認されていない状況である。これをどのように考えているのか。
三 全国で耐震性が確認されていない建物は、約六万三千棟(四八・二%)にのぼっている。福岡県西方沖地震により被災地となった福岡県の一九八一年以前の建物の耐震診断率は二一%、佐賀県一八%、長崎県一三・五%、熊本県二六・七%、大分県四一・三%、宮崎県四三・一%、鹿児島県一五・五%である。
 また、一九八一年以前の建物の耐震化率については、概ね福岡県は、七%、佐賀県一一%、長崎県六%、熊本県七%、大分県一三%、宮崎県二五%、鹿児島県一二%である。
 九州地方の場合には、全国と比較して、耐震診断、耐震化のいずれも北海道地方、東北地方とともに著しく遅れている。
 この際、各都道府県の公立小中学校施設の耐震改修状況について、一九八一年以前と以後の建物とを区別し、それぞれの耐震診断実施済の棟数と耐震診断実施率、耐震化済(耐震性のある、及びすでに改修・補強済の建物)の棟数と耐震化率を明らかにされたい。
四 一九八一年の新耐震基準以前に建てられた、学校施設に対する耐震診断実施率と耐震化率を都道府県別に見てみると大きな地域間の格差があるが、何故生じていると認識しているのか。このような地域間の格差をなくすために、政府はどのような方針を持ち、対策を講ずるつもりなのか。
五 公立の小中学校施設は七五年代をピークとして整備が行なわれてきた。そのために、老朽化の進行がみられ始める二〇年を経過した校舎が全体の約七二・九%を占めており、なかには四〇年、五〇年を経過した校舎も存在するなど、老朽化が深刻な問題となっている。
 そこで一九七一年以前の校舎、一九七二年から一九八一年の校舎は、各都道府県にどのくらい存在するのか、明らかにされたい。
六 一九七一年以前及び一九七二年から一九八一年の老朽化した校舎、特に倒壊や大破の危険性の高い校舎の耐震診断及び耐震化を優先的に図る必要があると考えるが、政府の具体的な方針を伺いたい。
七 文部科学省が、市町村に対して本年一月に行なった調査によれば、耐震化が進まない理由として、約七割が「耐震補強事業の予算措置が困難」、約六割が「耐震診断経費の予算措置が困難」と財政面での問題を指摘している。
 多数の学校を抱える設置者である市町村が、多大な財政負担が生じることから耐震化を躊躇しているという現状を、どのように解決して耐震診断の実施、耐震化の促進を図るのか。
八 設置者が、学校施設の耐震化を行なう場合の現行の国庫負担・補助制度はどのようになっているのか、あらためてその概要を明らかにされたい。
九 耐震診断については、国の補助制度がないことから、政府は「耐震化優先度調査」を推奨しているが、設置者が実施する耐震診断に対して、国は、少なくとも予算措置による補助を検討すべきと考えるがどうか。
十 国は、設置者が学校施設の耐震化を促進するために、現行の国庫負担・補助制度の見直しを含めた財政措置を講ずべきと考えるが、検討する用意はあるか。
 学校施設の耐震化等は、重要な社会資本の整備であり、この事業に対する国等の財政支出は経済的効果があるものと考えるがどうか。
十一 本年三月、学校施設整備指針策定に関する調査研究協力者会議は、「耐震化の推進など今後の学校施設整備の在り方について」との報告書をまとめた。これまでは建築後三〇年以上を経過した学校施設を改善する場合には、改修よりも、全面建て替え(改築)による整備が多く行なわれてきた。同報告書は、「膨大な学校施設について、限られた予算で、できる限り多くの施設の耐震性をより早急かつ効率的に確保するとともに、老朽施設の質的整備も図っていくためには、基本的に、これまでの全面建て替え(改築)方式から、工事費が安価で工期の短い改修方式による再生整備への転換を図る必要がある」との提言をしている。
 政府としても、「全面建て替え方式」から「改修方式」に方針を転換する考えか、それによって、地震時に子どもたちの生命を守ることができる耐震性を確保できるのか。見解を伺いたい。

 右質問する。



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