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平成十八年三月二日提出
質問第一二〇号

普天間飛行場の移設先に関する質問主意書

提出者  江田憲司




普天間飛行場の移設先に関する質問主意書


 在日米軍の再編をめぐり、沖縄・宜野湾市の普天間飛行場の移設先が問題となっている。普天間飛行場の返還は、橋本政権時(九十六年四月)、「米兵の少女暴行事件」に端を発した沖縄の基地負担軽減の一環として、日米トップレベルの合意で約束されていたものである。その政策決定時の当事者の一人として、以下、質問する。

一 なぜ、移設先(政府案)が、当初構想された名護市辺野古の「沖合」ではなく、一部陸地を含む「沿岸」となったのか。
 普天間飛行場に関するSACO最終報告(平成八年十二月二日)では、代替施設として三つの具体案、すなわち@ヘリポートの嘉手納飛行場への集約、Aキャンプ・シュワブにおけるヘリポートの建設、並びにB海上施設の開発及び建設について検討された結果、B「海上施設の建設を追求」することとされた。そして、その理由としては、「海上施設は、他の二案に比べて、米軍の運用能力を維持するとともに、沖縄県民の安全及び生活の質にも配意するとの観点から、最善の選択」だからとされている。
 今回、この考え方をとらず、かつ、あえてこれまでの計画地を変更してまで、キャンプ・シュワブ南部沿岸部の陸地に一部かかる案にしたのか。まさに、ここに、安全・騒音・環境面等における、周辺住民の懸念からくる反対の最大の理由があるのではないか。
二 なぜ、新たに建設される飛行場が、海上浮体方式ではなく埋立方式なのか。同じくSACO最終報告では、「海上施設は、軍事施設として使用する間は固定施設として機能し得る一方、その必要性が失われたときには撤去可能なものである」とされ、今後の国際・軍事情勢如何によっては、沖縄の基地負担軽減に大いに資する可能性も考慮された。そして、それを担保するために、その「海上施設の工法」としては、技術専門家グループの検討の結果、@杭式桟橋方式(浮体工法): 海底に固定した多数の鋼管により上部構造物を支持する方式、A箱(ポンツーン)方式: 鋼製の箱形ユニットからなる上部構造物を防波堤内の静かな海域に設置する方式、B半潜水(セミサブ)方式: 潜没状態にある下部構造物の浮力により上部構造物を波の影響を受けない高さに支持する方式、いずれもが実現可能とされた。
 にもかかわらず、「普天間飛行場代替施設基本計画」(平成十四年七月二十九日・第九回代替施設協議会)では、「埋立工法」で建設することが決定された。埋立は、右記三つの工法と異なり、恒久施設化する可能性が高く、また、藻場やリーフの破壊、海流の変化による生態系への悪影響等環境への負荷が著しく大きいという欠点もある。
 誰が、なぜ、どういう経緯で、SACO最終報告の趣旨を無視してまで、このような決定を下したのか。
三 普天間飛行場の移設先の迷走は、まさに返還合意当時の原点を見失った政府の迷走にある。安全保障上の要請から、沖縄県内移設しかないとすれば、周辺住民の安全面や騒音等の環境面、生態系への負荷等の負担を極力軽減し、日米安保上の要請も満たす、そのベストミックスを追求するしかない。
 こうした観点から、総合的に検討され得られた結論が、当時のSACO最終報告の海上施設案であり、三つの工法であった。特に、杭式桟橋方式(浮体工法)とされるものは、埋立案に比し、@海底にくい打ちをして滑走路を支えるため、リーフや藻場を痛める度合いも少なく、ポンツーン方式のようにコンクリート構造物の防波堤を設ける必要もなく海流の流れを変えることもないので、生態や環境への負荷も比較的少ない、Aくい打ちなので撤去可能性もあり、将来固定化しないことで沖縄県民感情にも沿う等のメリットがあるとされた。
 代替施設を海上沖合に設置することで、ヘリコプターの飛行経路が住宅地にかかることが避けられ、陸地とは「桟橋又はコーズウェイ(連絡路)により接続することが考えられる」。これらはすべてSACO最終報告に盛られている内容である。
 もう一度、この原点に立ち返って、日米両政府が、移設案の再検討をすべきだと考えるが、政府の見解如何。シーファー駐日米大使も二月十三日の那覇市での講演で、「地元からいい案が出れば耳を傾ける。よりよい考え方が出れば、それを採る可能性もある」と述べ、沿岸案の修正もありうるとの考えを表明している。

 右質問する。



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