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平成十八年六月二日提出
質問第二九八号

沖縄県における公立小中学校の教室への空調施設整備及び維持管理に関する質問主意書

提出者  赤嶺政賢




沖縄県における公立小中学校の教室への空調施設整備及び維持管理に関する質問主意書


 沖縄県は、亜熱帯海洋性気候のために四月下旬から十月上旬には、高温多湿の気象状況が続き、特に夏場には学校の教室内の温度は、三〇度を超えて三四度から三五度になることが常態化している。このような環境の中で、暑さのために集中力を欠き精神的なストレスを生じるなど、生徒の健康を害し学習意欲を著しく減退させる大きな要因となっている。
 那覇市においては、こうした状態を解消するために公立小中学校普通教室への空調設備の整備促進に努めているものの、現行の空調施設整備の国の補助率が二分の一であることに加えて、空調施設整備後の維持管理費については、国の財政支援措置がなく市町村の負担となっているために、厳しい財政を一層圧迫するとの事情から、空調施設整備補助制度が十分活用されずに、整備が進まず、生徒は酷暑という悪条件の下で我慢を強いられているのが現状である。
 このような教育環境を一刻も早く解決するために、国は必要な財政支援を講ずるとともに地方自治体と協力して施設整備等の促進を図るべきである。
 従って、以下の事項について質問したい。

一 空調施設が整備されていない公立小中学校の教室の環境について
 (1) 最初に、クーラーの未設置の大名小学校の児童と、クーラーが一部の教室に設置された、仲井真小学校と識名小学校の生徒の声を紹介したい。
  〇 クーラー未設置の大名小学校の生徒は、「ここで、この表をご覧ください。これは七月十五日、私たち六年一組の教室内での気温変化の記録です。皆さんには、とても信じられないと思いますが、登校したばかりの朝の八時三十分で、すでに気温三五度となっています。この日の最高気温は、授業が全部終わったあとの午後四時三十分の三六度となっています。教室の全部のガラス窓は開け、あるいは取り外し、高窓も全部開けた状態での記録です。扇風機の風は、最大にしても、ただ暑い風ばかりで、ちっとも涼しくありません。しかも、この記録は、その日だけでなく、一学期の六月から七月にかけてずっと続いていました。給食が終わって、五校時前の長い休みには、特に男子ですが、暑さに負けず元気に外に飛び出していきます。そのため、五校時の授業は、とても汗をかいて、教室に戻ってきます。扇風機の風は、やっぱり暑い風で、全然涼しくありません。みんなぐったりしていて、先生の声も頭に入ってきません。ここまで暑くなると、勉強だけでなく、健康にもとても悪い気がします。そこで、私は、声を大にして訴えたいと思います。私たちの、この小学校にクーラーを設置してください」と、必死で訴えている。
  〇 クーラーが一部の教室ではあるが設置された仲井真小学校のアンケート調査は、六年生六十一名を対象としたものである。
  1 「クーラーを設置して、勉強がしやすくなった」かとの問いに、@「とてもそう思う」が四十一名、A「そう思う」十九人、B「あまり変わらない」が一人、C「まったく変わらない」が〇人となっている。
  2 「クーラーを設置して、学力が向上した。」と思うかとの問いに、@「とてもそう思う」が十二人、A「そう思う」が三十五人、B「あまり変わらない」が十三人、C「まったく変わらない」が一人となっている。
  3 「クーラーを設置して、学校の生活が楽しくなった。」と思うかとの問いには、@「とてもそう思う」が三十七人、A「そう思う」が十八人、B「あまり変わらない」が五人、C「まったく変わらない」が一人となっている。そして、「勉強に集中できるようになった」「暑くて気分が悪くなって、勉強をやるきがしなかったけど、クーラーでよく楽しく勉強できた」と感想を述べている。
  〇 クーラーを設置した識名小学校の生徒は、「今まで暑くて勉強に集中できなかったけど、クーラーが入ってちょうどいい温度で勉強に集中できて、いろいろな問題が解けるようになった」と言っている。また、ある生徒は「クーラーがついて、勉強にも力が入り過ごしやすく集中力があがった。五年生だけでなく全学年につけて下さい」と感想を述べている。
  以上は、空調施設が整備されていない学校の生徒の声と、一部の教室が整備された学校の生徒の声であるが、これらの声について政府はどのように受けとめるのか、また、生徒がこのような状態におかれている現状についての認識を問う。
 (2) 夏場の教室の気温は、日常的に三〇度を超えて、三五度、三六度になることは珍しくない。このような高温状態の中で学習する生徒の教育、健康に及ぼす影響についてどのように考えているのか、認識を問う。
 (3) 文部科学省の学校保健法に基づく、「学校環境衛生の基準」によれば、教室の温度は「冬期では一〇度以上、夏期では三〇度以下であることが望ましい。また、最も望ましい温度は、冬期では一八〜二〇度、夏期では二五〜二八度である」となっている。同基準を設定した政府の考え方を聞きたい。
 (4) この基準に照らして、沖縄県における空調施設の整備されていない小中学校の学校環境衛生は、適合していないだけでなく「劣悪」な状態と考えるが、政府の見解を問う。
 (5) 沖縄県における小中学校の普通教室の空調施設の設置状況とこの基準を満たしている学校が、学校全体のうちどのくらいあるのか市町村別に明らかにされたい。
二 国の財政支援措置について
 (1) 沖縄県における公立小中学校普通教室への空調施設設備を促進するために、国は「沖縄県公立学校施設整備費負担要綱」(以下「負担要綱」という。)に基づく空調施設整備費の補助率(「大規模改造」)は二分の一とされているものの、前文で指摘した理由により整備が進んでいない状況にある。国は、負担要綱の補助率の嵩上げとともに、特に、施設整備費の維持費に関し、地方交付税等による財政支援措置について検討すべきと考えるが、政府の所見を伺いたい。
 (2) 地方交付税の補正には、寒冷補正という制度があり、小中学校の普通教室の暖房施設の維持費については交付税措置がなされていると聞いている。この制度についての考え方、目的等その概要を明らかにされたい。
 (3) 地方交付税には、寒冷補正があるが、「亜熱帯補正」が何故ないのかということについて、
  @ それは、地方交付税が開始された一九五四年当時には、気温を調整する装置というのは暖房設備しかなく、クーラーという概念そのものがなかったと思われる。クーラーの普及は一九六五年で三・三%でしかなく、九〇年後半から八〇%台になったのであり、標準的な設備としての概念の確立は近年と見ることができるのではないかと考えるがどうか。
  A また、一九五四年に地方交付税法が施行されたときには、法律上、亜熱帯地域という概念が存在しなかった。なぜなら、沖縄と奄美は、一九五一年のサンフランシスコ講和条約によって、日本から切り離され、その後も米軍の占領下にあり、日本の法令が適用されず、地方交付税法の対象とはなりえなかった。すなわち日本には寒冷地はあっても亜熱帯地域はなかったのである。かかる経緯から「亜熱帯補正」という概念は生じ得ず、沖縄復帰の際にも検討されないまま、今日に至っているのではないかと考えるがどうか。
  B 沖縄県は亜熱帯海洋性気候という条件下にあるにもかかわらず、クーラーという概念が生じ、その設備が標準的に整備され始めたのが近年という状況である。沖縄が本土から切り離されていた歴史的経緯等を十分に考慮し、今なお猛暑の中で勉強せざるを得ない生徒の教育環境を改善するためにも、沖縄県における小中学校の空調施設整備後の維持費について、寒冷補正と同様の「亜熱帯補正」などの交付税措置を検討すべきと考えるがどうか。政府の所見を伺いたい。
 (4) 沖縄県における小中学校施設整備の促進を図るためには、国の財政支援措置を必要としており、そのためにも、沖縄県、那覇市等から実情を聴取するなどの調査を検討すべきと考えるがどうか。政府の所見を伺いたい。

 右質問する。



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