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平成二十年四月十七日提出
質問第三〇八号

自衛隊員の自殺防止に向けた防衛省の取り組み並びに組織のあり方に対する同省の認識に関する再質問主意書

提出者  鈴木宗男




自衛隊員の自殺防止に向けた防衛省の取り組み並びに組織のあり方に対する同省の認識に関する再質問主意書


 本年四月十六日付の日経新聞夕刊は、「自衛官の自殺 後絶たず 他省庁公務員の二倍 防衛省、ケアに苦慮」との見出しで、国家公務員の中でも自衛官・防衛省職員の自殺件数が飛び抜けて多いことを取り上げ、防衛省が様々な対応策をとっているのにも関わらず、その傾向に歯止めがかからない旨報じた記事(以下、「日経記事」という。)を掲載している。右と「前回答弁書」(内閣衆質一六九第五九号)を踏まえ、再質問する。

一 「日経記事」によると、本年三月に千葉県の漁船と衝突事件を起こしたイージス艦「あたご」の乗組員が手首を切って病院に運ばれたとのことであるが、右の乗組員は自殺を図ったのか。
二 一の乗組員がなぜその様な行動を取ったのか、防衛省は把握しているか。
三 一の乗組員に対して、現在防衛省はどの様なケアをしているのか説明されたい。
四 当方の自衛官・防衛省職員の自殺問題を取り上げた質問主意書に対するこれまでの答弁書で、防衛省として自殺理由を主に「病苦」、「借財」、「家庭問題」、「職務」、「その他・不明」の五つに分類していると承知する。それらについて以下質問する。
 @ 「借財」について、他の国家公務員と比較してなぜ多くの自衛官・防衛省職員が借財に悩むのか、自衛官・防衛省職員に限り、特別借財に悩む原因があるのか、そしてなぜ自衛官・防衛省職員がそれを苦に自殺を選択するのか等について、防衛省としてその背景等、詳細を把握しているか。
 A 「家庭問題」について、他の国家公務員にはない、自衛官・防衛省職員特有の、しかも自殺に至るまでの家庭の問題とはどの様なものがあるか、防衛省としてその背景等、詳細を把握しているか。
 B 「職務」について、他の国家公務員の職務とは異なり、自衛官・防衛省職員が自殺を選択するに至る職務上の問題とはどの様なものがあるのか、防衛省としてその背景等、詳細を把握しているか。
五 「日経記事」によると、四の「その他・不明」が、自衛官・防衛省職員の自殺理由の中で最も比率が高く、実に六割を占めるとのことであるが、「その他・不明」の中に、いわゆるいじめを苦にした自殺は含まれているか。
六 自衛隊を含めた防衛省におけるいじめの問題について、防衛省としてその事例数、原因、加害者と被害者等、その具体的な内容を把握しているか。
七 昨年十一月二十二日に閣議決定された政府答弁書(内閣衆質一六八第二一二号)で触れられている、二〇〇三年七月十五日に防衛庁長官政務官(平成十九年一月九日からは防衛大臣政務官)を本部長として設置された自殺事故防止対策本部(以下、「自殺防止対策本部」という。)について、「前回答弁書」では、「自殺防止対策本部」設置以来、計十二回の会議を開催してきたとの答弁がなされている。では右の計十二回の会議の中で、防衛省におけるいじめ問題について話し合われた会議はあるか。あるのならば、その会議と話し合われた具体的な内容について全て明らかにされたい。
八 海自横須賀基地に所属していた一等海士が二〇〇四年十月に自殺した事件や、二〇〇七年七月に海上自衛隊護衛艦「きりさめ」に搭乗していた自衛官が自殺した事件等、防衛省において、いじめを苦にした自殺事件が確かに過去に起きている。一方で、昨年十二月二十八日に閣議決定された政府答弁書(内閣衆質一六八第三四三号)では、「防衛省においては、自殺の原因について、『病苦』、『借財』、『家庭問題』、『職務』、『その他・不明』という区分に整理して把握しているところであるが、お尋ねの『いじめ』がいずれの区分に整理されるかについては、一概にお答えすることは困難である。」と、いじめについて防衛省として詳細を把握していないともとれる答弁がなされている。「日経記事」にも、「いじめが(自殺の)引き金になったとは断定できない」との防衛省のコメント(以下、「コメント」という。)が掲載されているが、防衛省として同省におけるいじめ問題について、その詳細を把握していないのか。
九 「コメント」は防衛省の公式な見解か。
十 「日経記事」には、元航空自衛官の須賀雅則氏が「いじめは自衛隊では深刻な問題で、自分の在籍時にも自殺者は出ていた」と指摘する記述があるが、右の須賀氏の指摘に対する防衛省の見解如何。
十一 また須賀氏は「日経記事」の中で、「(いじめによる自殺は)管理責任に直結する。階級社会の自衛隊では上司が処分を嫌い、上層部に報告する際に(原因特定を)うやむやに済ませる傾向があった」と指摘しているが、右の須賀氏の指摘に対する防衛省の見解如何。
十二 十と十一における須賀氏の指摘は真実を反映したものか。防衛省において、上司が自身の管理責任を問われることを嫌がり、いじめによる自殺の原因特定をうやむやにしてしまうということは現実にあるのか。
十三 自衛隊を含む防衛省におけるいじめ問題から防衛省は目を背け、真正面から見つめることを避けているのが現実ではないのか。
十四 自衛隊を含む防衛省におけるいじめ問題について、防衛省は目を背けることなく、真正面から見つめ、「その他・不明」などと曖昧な形で区分するのではなく、徹底的に組織内部で調査等を行い、その真相、実態を明らかにする考えはあるか。
十五 「日経記事」によると、防衛省は自殺防止対策の一環として、カウンセラーによる二十四時間体制の電話相談窓口の番号を自身の携帯電話に登録する様、本年四月から自衛官に周知しているとのことであるが、右は事実か。
十六 十五が事実なら、自衛官の携帯電話に電話相談窓口の番号を登録することにより、どれだけの効果が上がると防衛省は考えているのか明らかにされたい。
十七 十五の電話相談窓口では、どの様なカウンセラー、または組織が対応にあたるのか。
十八 十七のカウンセラー、組織は、どの様にして防衛省の電話相談窓口に選定されたのか明らかにされたい。
十九 十五の対策も、あくまで外面的、表面的な対応であり、単なる弥縫策でしかなく、本質的な自殺防止対策とはなり得ないと考える。防衛省が本気で自衛官・防衛省職員の自殺を食い止め、自衛隊、防衛省が国防の任を担うにふさわしい真の精強組織としてあるべきと考えるのならば、十四で指摘した様に自殺問題等、防衛省の組織病理、問題点にまずはきちんと目を向けることが必要不可欠であると考えるが、石破茂防衛大臣の見解如何。

 右質問する。



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