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平成二十年六月十七日提出
質問第五四六号

一九九六年五月のビザなし交流で起きたとされる暴行事件に対する外務省の説明並びにそれを否定する証言に対する同省の対応等に関する質問主意書

提出者  鈴木宗男




一九九六年五月のビザなし交流で起きたとされる暴行事件に対する外務省の説明並びにそれを否定する証言に対する同省の対応等に関する質問主意書


 一九九六年五月二十五日から二十七日までの日程で国後島を訪問したビザなし交流(以下、「ビザなし交流」という。)による北方四島訪問団(以下、「訪問団」という。)に同行した、現在外務省国際情報統括官第四担当の任に就いている加賀美正人氏が、同じく顧問として「ビザなし交流」に参加した当方より暴行(以下、「暴行」という。)を受けたとされている件につき、「政府答弁書」(内閣衆質一六九第四七六号)を踏まえ、以下質問する。

一 「ビザなし交流」五周年を記念した桜の植樹(以下、「植樹」という。)と、その「植樹」のために苗木を事前に持ち込むこと(以下、「苗木の持込」という。)について、外務省は事前に承知しておらず、また北海道庁からも事前の協議はなされなかったとしている。確かに、「訪問団」の日程表には「植樹」、「苗木の持込」という文言が明記されていないが、「記念樹の贈呈」という文言が明記されており、右文言から、何らかの樹木を北方領土に居住するロシア人等に渡すことを意味し、またそれを贈呈するために、その樹木を北方領土外から持ち込むことが当然想定されるのではないかとこれまでの質問主意書で累次に渡り問うているが、「政府答弁書」でも何ら右の問いに明確に答える答弁がなされていない。外務省として、それくらいの推測すらできず、頭を働かすことができなかったのか。
二 当方が入手した、後に加賀美氏が外務省に提出した「暴行」の詳細等について書かれた報告書(以下、「報告書」という。)の写しによると、「植樹」及び「苗木の持込」等をめぐる、当方と加賀美氏のやり取りが詳細に書かれている。その「報告書」の写しの七頁には、「暴行」について「(リ)これに対し加賀美補佐が拒否し、『書け』『書かない』の言い合いとなった結果、激昂した鈴木議員は『何をいうか』と言いつつ、加賀美補佐の足を蹴り、また顔面を殴った(鈴木議員は飲酒していた)。」と、生々しい「暴行」の様子が書かれているのにもかかわらず、本年四月十一日の政府答弁書(内閣衆質一六九第二五六号)において、「暴行」とは具体的にどの様なものであったかという質問に対して「『報告書』からは明らかではない」旨の答弁がなされているのはなぜか。これまで累次に渡り右の質問をしているが、「政府答弁書」でも何ら明確な答弁がなされていない。右は、本年四月時点での外務省の対応を問うているものであり、「政府答弁書」にある様に「既に十年以上の年月が経過している」ものではない。「報告書」を見れば明らかにわかる質問に、なぜ「『報告書』からは明らかではない」と、極めて不誠実な答弁をしたのか、その理由を明らかにされたい。
三 先の質問主意書で、当方は断じて加賀美氏に対して「暴行」を働いておらず、外務省は当方がウソを言っていると認識しているかと問うたが、何ら明確な答弁がなされていない。外務省が右の質問に答えない理由を明らかにされたい。
四 外務省は「暴行」について、当方がウソを言っていると認識しているか。否、然りのどちらかによる、明確な答弁を求める。
五 「報告書」には「暴行」について「(リ)これに対し加賀美補佐が拒否し、『書け』『書かない』の言い合いとなった結果、激昂した鈴木議員は『何をいうか』と言いつつ、加賀美補佐の足を蹴り、また顔面を殴った(鈴木議員は飲酒していた)。」とあるが、「暴行」があったとされる場に、当方と加賀美氏はテーブルを挟んで座ったまま相対しており、仮に「暴行」が事実だとしても、当方が加賀美氏の足を蹴ることは物理的に不可能であると考えるが、右について「報告書」にはどの様な記述がなされているか。
六 これまでの質問主意書で重ねて述べている様に、当方は「暴行」が本当にあったのかどうか、「訪問団」団長である辻中義一羅臼町長、野村義次北海道議会議員、中津俊行根室支庁長、大濱芳嗣総務庁北方対策本部参事官補佐(いずれも当時)の四名に対し、弁護士を通じて二〇〇二年三月十三日、十四日の二日間にわたり聞き取り調査を行っている。右四名の聞き取り調査に対する回答の内容を、聞き取り調査を記録した文書(以下、「文書」という。)にある通りに先の質問主意書に掲載した上で、外務省は四名の回答内容に目を通したかと問うたが、「政府答弁書」において何の回答もなされていない。外務省が右の質問に答えない理由を明らかにされたい。
七 「文書」の中には、以下順に大濱芳嗣総務庁北方対策本部参事官補佐、辻中義一羅臼町長、野村義次北海道議会議員、中津俊行根室支庁長による以下の回答がある。
 〇大濱芳嗣総務庁北方対策本部参事官補佐
 「テーブル叩いて激昂されてたところはもちろん同じ部屋におりましたから、それはもうそこの場で感じ取っておりますけれども、先生がその立ち上がって加賀美氏を殴ったとか、足蹴にしたという場面、シーンというのは、私は見ておりませんから知らないっていうことですね。事実としては。」
 〇辻中義一羅臼町長
 「激昂されておりまして、机たたいたり、なんかしておられまして、私らはそういう事で、自分らの落度ですから、これは仕方のないことだと思っておりまして、ただね、私らいる時には、殴るとか、蹴るとかっていうのは無かったというふうに思ってます。そういう記憶が全く無いんですよ。そういう場面に会ったっていうのは。」
 〇野村義次北海道議会議員
 「だから私はあの今日の夕刊を見ましてね、こっちの夕刊にもそれ出てるんですよ、だから何を馬鹿なことを言っているんだと、鈴木先生にも言ったのは、行って話しするかっての、私が、そんなことはあり得ないことだから。それやったことはね、それは手打ちであったり、色んなことがありますよ。だからといって、政治家が一介の職員を殴ったり蹴ったりなんて、常識の問題ですよそんなことは。だから外務省そのものがおかしいよ、僕らに言わせると。」
 「だから、極端な言い方をするとね、テーブルを叩いて、手をあげてますからね。座って、テーブル叩くわけですから、その時に、あの、外務省もそうそばにいますから、それにふれたかふれないかという問題はあるのかもしれませんね。そんなことは殴ったとか何だとか言う問題とは全然違いますよ。」
 〇中津俊行根室支庁長
 「そのときですね、私、ずっとですね。最初の段階は、最初はいなかったと思うんです。私ね。それで途中も何度かですね、中座というかしてますんでですね、全部がですね、この場にいたわけじゃないんですけど。いわゆる暴行ということについてはあまり記憶がないんですけども。」
 「私がいた時間帯、まあどのぐらいいたかちょっと記憶にないんですけども、少なくとも一緒に全部、外務省の人といたわけじゃないんですけど、私がいた時間の中ではですね、今、言ってる蹴るとか何かというものは私は無かったと思います。」
 「ただ、先生もですね。激昂されてですね。テーブル叩いたりなんかしてですね。手を置いたりなんかされてね。あのテーブルを叩いておりました、そういうことはありましたけどもね。でもその我々の一般的に言う暴行というようなね、そういう行為はなかったという、私の知る限りではなかったと思います。」
 右の大濱氏、辻中氏、野村氏、中津氏の回答は、「暴行」についての「報告書」の記述の内容と食い違うが、外務省は右四氏の回答はウソを言っているものと認識しているか。然りか否のどちらかによる、明確な答弁を求める。
八 これまでの答弁書により、「暴行」の後、加賀美氏が医師の診察を受けて書かれ、後に外務省に提出された診断書(以下、「診断書」という。)のうち、加賀美氏が診察を受けた病院並びに医師名が書かれた部分が黒塗りにされていることが明らかにされているが、「診断書」は加賀美氏から提出された当初から当該部分が黒塗りされていたのか。そうであるのなら、「診断書」の当該部分が黒塗りされたのはなぜか。「政府答弁書」では何ら明確な答弁がなされていないところ、再度質問する。
九 外務省が始めから病院名と医師名が明らかにされていない状態の「診断書」を受け取ったのなら、それは「暴行」を証明するものとして信頼に足るものか。「政府答弁書」では何ら明確な答弁がなされていないところ、再度質問する。
十 そもそも「診断書」にある全治約一週間のけがとは、自分で転んだ程度の極めて軽微なものであり、仮に「報告書」にある通り、当方が加賀美補佐の足を蹴り、また顔面を殴ったのならば、もっと全治に時間を要する診断結果が出るものと考えるが、外務省の見解如何。「政府答弁書」では何ら明確な答弁がなされていないところ、再度質問する。
十一 「暴行」について、外務省は当方に事情を聞いたことはあるか。「政府答弁書」では何ら明確な答弁がなされていないところ、再度質問する。
十二 十一で、聞いたことがないのなら、その理由を明らかにされたい。「暴行」の一方の当事者のみの話をもって「暴行」があったとする外務省の判断には全く信ぴょう性がないと考えるが、なぜ外務省は当方に事情を聞かなかったのか。「政府答弁書」では何ら明確な答弁がなされていないところ、再度質問する。
十三 なぜ加賀美氏並びに外務省は、「暴行」について当方を刑事告訴しなかったのか。「政府答弁書」では何ら明確な答弁がなされていないところ、再度その理由を問う。
十四 「政府答弁書」で外務省は「報告書には、御指摘の議員の御指摘の者への対応が、『足を蹴り、また顔面を殴った』と具体的に記載されており、十分な客観性を有していると考える。」としているが、「文書」の様に、「報告書」の内容を否定するものが存在することも事実である。また、外務省が「暴行」があった証拠の一つとしている「診断書」は、診察をした医師の名前と病院名が黒塗りにされており、なぜそれが黒塗りにされているかも外務省自身定かでなく、「診断書」が十分な客観性を有しているとは言い難い。また、四、七、八、九、十、十一、十二、十三の質問に対しても、外務省はこれまで何の答弁もしていない。「暴行」をめぐる外務省の当時の対応について、外務省は既に十年以上の年月が経過していることをもって答弁できないとしているが、そうであるならば、「報告書」のみをもって「暴行」はあったと断定するのは、外務省として公平、公正さを欠いた判断と言わざるを得ないのではないか。「報告書」「診断書」の他に「暴行」を証拠づけるものはなく、また他の「暴行」を否定する資料に対して外務省が明確に反論できないのであるならば、外務省が「暴行」は事実であるとするのはあまりに拙速であったと考えるが、外務省の見解如何。

 右質問する。



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