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平成二十年六月十八日提出
質問第五八六号

国連広報センターにおける不正会計処理問題等に関する質問主意書

提出者  保坂展人




国連広報センターにおける不正会計処理問題等に関する質問主意書


 国連に拠出されている日本の拠出金は、国民の税金である。それが、どのように使われているのかについて、日本政府は国民に説明する責任がある。
 日本の拠出金について、第一に、国連のルールに則り使用されてきたかどうか、また、使用されているかどうかを明確にし、第二に、国連のルールに則り使用されているとしても、そのルールによる結果が国民常識とかけ離れている場合には、そのルールと結果の是正がなされなければ、国連への拠出に国民の理解を得ることはできない。
 国連広報センター東京事務所(以下「UNIC東京」という。)における不正経理問題について、日本政府の明確な見解を求める。以下先の答弁書(内閣衆質一六九第四一〇号及び第四七〇号)を踏まえ、質問する。

一 外務省参与のUNIC東京における国連財政手続規則違反行為への関わりについて
 1 答弁書では、「国連の内部監査によれば、平成十二年頃から、国連財政手続規則において禁止されている前払が行われており、そのため契約の履行時期が実際よりも早い時期であったとUNIC東京は国連に対し報告していた」と回答し、かつ「平成十一年度以前にUNIC東京において国連財政手続規則違反が行われたとは承知していない」と回答し、さらに、「国連の内部監査によれば、平成十二年頃から、国連財政手続規則に違反した前払が行われていたとのことであり、具体的にだれが所長の時に始まったのか時期を明確にしていない」と回答しているが、「同規則違反の理由については、UNIC東京職員が年末に予算を使い切る必要があると理解していたからであろうと指摘されている」との回答からすれば、国連財政手続規則違反が始まったのは、平成十二年末であり、高島肇久外務省参与がUNIC東京の所長であった時期(平成十二年八月から平成十四年八月まで)ではないのか。高島肇久外務省参与ではないとすれば、テルマ・オコン・ソロルサノ氏が所長であった時期か。先の質問主意書では、「誰が所長のときに国連財政手続規則違反行為は始まったか」であり、「国連の内部監査にどう書かれているのか」を聞いているものではないにもかかわらず、答えをはぐらかしているのは如何なる理由か。
 2 答弁書では、「同規則違反の理由については、UNIC東京職員が年末に予算を使い切る必要があると理解していたからであろうと指摘されている」と答弁しているが、高島肇久氏がUNIC東京所長に就任する以前には、予算の繰り越し手続が行われていた事実を、日本政府は承知しているか。
 3 国連財政手続規則違反の「前払い」が、高島肇久氏がUNIC東京の所長時代に行われ始めたとすれば「前払い」が行われた取引も高島肇久氏が所長の時に行われたことになるが、その取引は具体的にどのような内容で、その決定手続、その仕事が行われた日時と場所、請求書の送付がなされた日、支払い明細(バウチャー)の決定がなされた日、及び実際に支払いがなされた日について、具体的に示されたい。
 4 答弁書では、「国連大学の施設内に事務所を設置している他の国連機関に対して政府が施設費を拠出している例はない」とし、UNIC東京についてのみ施設費を拠出している理由を「国連広報センターの統合・合理化が議論される中、国連が当該機関の所在地国政府に施設費を支援するよう強く求めたことから」としているが、施設を提供している上に施設費まで拠出することは「二重払い」ではないのか。また、日本のように土地・建物を供与している上に施設費を拠出している国連広報センターの事務所は、他の国・地域に例があるか。さらに、国連大学学長特別顧問を兼務している外務省参与である高島肇久氏は、施設費の拠出を行うようになった経緯にどのような関与をしたのか、あるいはまったく関与していなかったのか、明らかにされたい。
 5 答弁書によれば、国連と日本国政府との間の協定に基づき「締結された国際連合大学本部施設の無償使用に関する国際連合大学と文部省との間の取決で本部施設の第三者使用について国連大学の活動に関し必要な援助又は協力を行うことを目的とする団体に使用させる場合に認めており、財団法人国連大学協力会は、これに該当する」としているが、国連大学の中に事務所を設けていない、国連大学の活動に関し必要な援助又は協力を行うことを目的とする団体は、他に存在するか。また、高島肇久所長の時代に、「グローバルコンパクト」の事務所がUNIC東京に置かれていた事実はあるか。事実があるとすれば、それは「取決」の対象として無償で事務所を置くことができる団体に該当するか。さらに、日本においては、この間、政府機関と財団法人との「けじめ」を明確にする方向での改革が進んでおり、公的機関の管理する施設の中に関係する財団法人の事務所を置くことは癒着との批判を免れず、文部省と国連大学との間の「取決」は見直すべきではないか。
 6 答弁書では、「所長が会計責任者である」と回答し、会計担当者については「担当者については、氏名が公表されていないことからお答えを差し控えたい」と回答しているが、高島肇久所長の時代には、預金の引き出し権限は、会計担当者がUNIC東京の代表者となっていたのではないか。仮にそうであるとすれば、会計責任者は「氏名が公表されていない」またそのような代表者として重要な役割を果たしていた者の氏名は、UNIC東京に対して氏名の公表を求めるべきであると考えるが、日本政府にその用意はあるか。ないとすれば、日本政府の拠出金の預金口座の代表者の氏名を知らなくてもいいとする理由を明らかにされたい。
 7 答弁書では、「国連の内部監査によれば、平成十七年に三件の前払が行われ、その合計額は約三百十三万円である」とあるのみで、「平成十二年度以降に、どのような項目の会計違反があったのか」の質問について答えることなく、「国連事務局は、(中略)個人が不正に金を着服した等の疑惑はない旨の説明を行った。当該説明の内容は、国連による内部監査の結果と齟齬があるとは承知していない」、「個人が不正に金を着服した等の疑惑はないとの見解は国連事務局の見解である」旨、「平成十六年以前の国連財政手続規則違反の有無については、現在国連事務局に照会中である」などと回答しているが、「日本政府は個人が不正に金を着服した等の疑惑はないと考えているのか」という質問に明確に回答願いたい。また、日本政府が税金の使われ方について他人事と考えている姿勢は許すことができないところであり、現在、国連財政手続規則違反が行われ始めた以降の所長が外務省参与になっているのであるから、日本政府は、まずは、高島肇久外務省参与に対して、厳正な事情聴取をすべきではないか。また、その結果を公表すべきではないか。
二 外務省職員のUNIC東京の五〇〇万円の定期預金への関わりについて
 1 UNIC東京の五〇〇万円の定期預金について、毎日新聞において「国連広報センターは『九三年から記帳があり、毎年予算で残った金額がたまったものだと聞いている。問題を指摘されたことはない』と説明している」と報道しているが、答弁書の「同規則違反の理由については、UNIC東京職員が年末に予算を使い切る必要があると理解していたからであろうと指摘されている」との回答に照らして考えると、仮に、この金員が「毎年予算で残った金額」を定期預金として積み立てておいたものであるとしても、日本政府は、そのような処置が、適正なもので、問題を指摘されるべきことでもないと考えているか。また、これは、国連及び日本政府に報告されていた金員か。報告されていたとすれば、毎年度予算を拠出している日本政府としては、それをどのように処理して毎年度の拠出額を決めていたのか。報告されていないとすれば、これは公金として記載されていない「裏金」の可能性も認められるのではないか。日本政府の見解を問う。
 2 日本政府は、この定期預金は、もともと外貨定期預金として平成五年二月二日から平成十一年六月二十四日まで存在していたものが、証書に切り替えられ、その後、銀行側からの問い合わせにより、証書が紛失していたことが明らかになり、平成十七年八月九日に、当時の野村彰男所長と経理担当者の連署で証書の紛失届が銀行に届け出されたという事実を知っていたか。また、日本政府の拠出金によって事業を行っているUNIC東京が、このような金員の操作を行い、あまつさえ、これを紛失するなど言語道断であり、当時所長であった野村彰男所長はその責任を免れないが、日本政府は、日本政府から拠出された拠出金がどのように使われ、いくらぐらい余り、それが定期預金に積み立てられ、また、いついくら使われたのかの、定期預金の金額の動きを把握しているか。
 3 外務省は、裏金の疑いのある定期預金の金員がどのようにして形成されたかを調査することなく、これを「余剰金」として扱い、「国連所蔵の美術品巡回展」に使い切ってしまおうとすることを、国連本部に打診したことはないか。打診したことがあるとすれば、それは、どの部署の誰か。また、外務省から打診したことはないとすれば、それは、国連本部の誰からの打診か。また、外務省として定期預金の五〇〇万円を「剰余金」として使い切ろうとした意図と、そのような判断を行った責任者は誰か。また、その責任者と高島肇久外務省参与とはどのような関係か。
三 国連広報局長の記者会見での配布文書の内容について
 1 答弁書では、「平成二十年三月に外務省において御指摘の監査報告書を入手しているが、国連の内部文書であるので、公表の可否については現在国連側に照会中である」と回答しているが、赤阪清隆国連広報局長が平成二十年五月二十五日にニューヨークでの記者ブリーフィングで報告書の内容を一方的に公表していることに鑑みれば、「監査報告書」を公表すべきではないか。
 2 赤阪清隆国連広報局長は、国連広報局幹部による幸田シャーミン氏へのハラスメントの訴えに対して、二〇〇八年六月十三日、テレビで放映されたニュースの中で「国連広報局による幸田さんへのハラスメントは全くありません」と断言するなど審理中の案件に対して予断を持った見解を示しているとともに、UNIC東京の不正経理問題には一切触れていないことから、配布文書及び記者会見でUNIC東京の不正経理問題の幕切れを図ろうとしているとも考えられる。不正経理問題とハラスメント問題の解明のためには、赤阪清隆広報局長の記者会見のような広報局の「パネル調査報告書」のつまみ食い的な内容の発表ではアンフェアであるばかりでなく、全容が明らかにならないため、パネル調査報告書の全文を公表するよう、国連本部に求めるべきではないか。また、そのパネル調査報告書について、日本政府は、いつ、どのような手続きで、最終的な報告書が作成されたか、事実関係を承知しているか。また、日本政府は、パネル調査報告書を入手しているのかについても明らかにされたい。
四 UNIC東京の職員給与等について
 1 答弁書では、UNIC東京の職員給与は「国連の職員規程及び職員規則に定められた手続に従って、給与が決定されていると承知している」と回答しているが、政府が承知している「国連の職員規程及び職員規則に定められた手続」について、具体的に説明されたい。
 2 答弁書では、UNIC東京の自動車運転手の年間給与額が約一千万円にも上る事実について、「政府としては、個々の職員の給与の額について具体的に承知していない」と回答しているが、日本政府は、日本を含む各国からの拠出金から賄われているUNIC東京の職員の給与水準について国民への説明責任は存在しないと考えているのか。
 3 答弁書では、UNIC東京以外の日本に事務所を有する国連機関について、「各国連機関は、国連の監査制度に基づいた監査を受けており、UNIC東京以外の国連機関について何らかの会計上の問題が報告されているとは承知していない」と回答しているが、日本に事務所を有する国連機関をすべて列挙されたい。また、これらの国連機関が、国連の監査制度に基づいた監査を、いつ、どのように受けているのか、事実に基づいて回答されたい。さらに、UNIC東京の不正経理問題は、取引企業の倒産をきっかけとした幸田シャーミン所長の監査請求によって明らかになったことからしても、UNIC東京以外の国連事務所について、不正がないかどうか、定期的な監査とは別に、総点検の実施を国連に求めるべきであると考えるが、日本政府の見解はどうか。
 4 日本政府は、過去に数百億円に上る国連本部に対する拠出金をUNIC東京の口座に振り込んだ上で国連本部に移すことによって多額の手数料を銀行に与え、その見返りとして、UNIC東京の業務に関する銀行口座の金員の出し入れによる手数料を無料にする旨の合意があったことを知っているか。また、国連本部への多額の拠出金をUNIC東京の銀行口座に振り込むことをやめる際に銀行口座の手数料が約二万ドル(二百万円)程度に上ることが問題となったことを知っているか。さらに、UNIC東京の広報活動費については、日本政府から拠出されるものが十万ドルから二十万ドル(一千万円から二千万円)程度にもかかわらず、手数料が約二万ドル(二百万円)にも上る理由について、説明がつかないことに対しどう考えるか。
五 UNIC東京問題の国連事務総長による厳正対処について
 日本国においては、政府の各官庁、都道府県、市町村においても、公務員の綱紀粛正が叫ばれている現在、UNIC東京における国民常識とかけ離れた一〇〇〇万にも上る高額年収の自動車運転手の存在、裏金疑惑のある金員の存在、長期にわたる会計担当者の固定化による不正経理の存在などは、看過し難い事態であり、UNIC東京の不正経理問題をうやむやにしては、国連に対する日本国民の信頼は回復されない。日本政府は、G8サミットで来日するバン・キムン事務総長に対して、UNIC東京の不正経理問題の徹底解明を申し入れるべきではないか。

 右質問する。



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