衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十二年六月十日提出
質問第五六四号

社会保険制度に関する質問主意書

提出者  秋葉賢也




社会保険制度に関する質問主意書


 現下の社会経済情勢に鑑み、社会保険(健康保険、厚生年金保険)制度を適切に運用する必要性はますます高まっている。また、雇用を巡る環境が急速に変化しつつある中で、労働・社会保険・年金などの専門家である社会保険労務士制度の充実が望まれている。そこで、以下の点につき、質問する。

一 司法制度改革の過程で、裁判外紛争解決手続における隣接法律専門職の活用の一環として、社会保険労務士にも、当事者の代理人として和解交渉及び和解契約の締結を行う権利が認められた。
 1 現在の制度では、当該代理権を行使できる「特定社会保険労務士」となるには、六十三.五時間の特別研修を修了した後、厚生労働省が行う紛争解決手続代理業務試験に合格しなくてはならない。現下の労働環境を鑑み、個別労働関係紛争の解決と国民に身近な司法を実現するためにも、「特定社会保険労務士」の人員数を増加させることは一考に値する。そもそも、通常の試験制度を見直すことによって、新たに社会保険労務士になる者すべてに対し、裁判外紛争解決手続における代理権を付与することはできないか。見解と展望をうかがいたい。
 2 業務の範囲としても、個別労働関係紛争を適切に解決するには、和解交渉及び和解契約の締結の代理権だけでは不十分である。個別労働関係紛争における簡易裁判所での訴訟代理権、地方裁判所以上の審級における出廷陳述権、労働審判における代理権にまで、業務の範囲を拡大することは検討されているか。裁判外紛争解決手続における特定社会保険労務士の活動状況を踏まえた上で検討する、とうかがっているが、特定社会保険労務士制度が導入されてから現在までの活動の状況をどのように評価しているのかを明示した上で、業務範囲の拡大についての具体的な見解をお示し頂きたい。
 3 個別労働関係紛争を扱う厚生労働大臣指定の裁判外紛争解決機関での紛争目的総額は六十万円までに制限されており、六十万円を超える事件は、弁護士の共同受任が必要とされている。六十万円で制限をしている根拠と、この限度額撤廃の見込みをうかがいたい。
二 現在、弁護士を除く士業での法人の設立形態としては、二人以上の社員による「共同法人」しか認められていない。共同法人化することで、業務の継続性が図られる、依頼人の利益が保護される、という利点がある。一方で、無限連帯責任制度など負担も重く、平成二十一年十二月末における社会保険労務士法人は三百九十五法人と、法人化が進んでいない様子が見受けられる。法人化することによって事務所資産と個人資産の分離が明確になる、社会的な信用力が向上して資金調達しやすくなる、紛争当事者にとってもアクセスしやすくなる、といった点から法人化を進める必要があると考えるが、阻害要因ともなっている設立要件あるいは無限責任制度を緩和する用意はないか。共同法人と一人法人、あるいは無限責任制度と有限責任制度の比較考量が必要だと考えるが、各々について政府の見解を示した上で、今後の法人制度の在り方に対する認識や、制度改変の見込みをうかがいたい。
三 社会保険の適用において、法人の場合は従業員が常時一人でもいれば、いわば強制適用事業所となり、法律上は加入義務が生じる。しかしながら、加入手続きを行っていない法人が少なからず存在するのが現状である。
 1 本来、加入義務があるにもかかわらず、加入手続きを行っていない法人の数および割合をお示し頂きたい。
 2 加入手続きを行っていない未適用法人に対し、行政はどのような対応をしているのか。
 3 社会保険への加入率を向上させるため、政府はいかなる方法を検討しているか。例えば、社会保険制度を行政機関等の入札条件にする、というような対応は可能か。
四 景気の低迷により業績が悪化したため、社会保険料の事業主負担分を支払うことができず、滞納している企業が増加している。
 1 保険料を滞納している企業に対して、約束手形を振り出させる、銀行口座を差し押さえる、というような大変厳しい保険料の徴収がなされていると認識しているが、こういった企業に対して実際どのような対応をしているのか、お示し頂きたい。
 2 三で指摘した通り、社会保険の加入については義務を免れている企業が多数存在している。その反面、一旦加入すると保険料の徴収が非常に厳しいという実態が浮き彫りになった。このような厳しい対応では、社会保険料を支払うことができず倒産する企業が増加することも懸念されるが、柔軟な対応は検討できないか。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.