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平成三十年十二月四日提出
質問第一〇三号

無痛分娩事故の陣痛促進剤の関与に関する再質問主意書

提出者  阿部知子




無痛分娩事故の陣痛促進剤の関与に関する再質問主意書


 我が国の無痛分娩のほとんどは、子宮収縮剤(陣痛促進剤)が使用される計画分娩であるが、無痛分娩事故多発を受けて発足した「無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築についての研究」(研究代表者:海野信也教授)及び提言には陣痛促進剤に関する内容が全く盛り込まれていない。これは非常に不可解な研究と言わざるを得ない。
 当該研究班について平成三十年四月十一日第六十一回社会保障審議会医療部会に提出された資料によれば、「現状の実態把握と分析を行い安心・安全な管理体制を構築することが緊急に必要である」という認識の下、基本方針として、「特に検討のプロセスの公開・透明化に配慮して研究を進める」、「日本社会に生じている無痛分娩の安全性に関する懸念を、診療内容の透明化、公開、共有を通じて払拭していくための方策を立案、共有する」とされている。
 このことに関連して以下質問する。

一 当該研究には無痛分娩時の陣痛促進剤に関する内容が全く盛り込まれておらず、研究・調査の目的である「診療内容の透明化、現状の実態把握と分析を行い安心・安全な管理体制を構築すること」が達成されているとはいいがたい。当該研究はなぜ陣痛促進剤の使用実態を対象としていないのか。
二 当該研究班で対象とされた十四例の死亡事例は、二〇一〇年から二〇一六年までの間に、日本産婦人科医会に会員から報告され、「妊産婦死亡症例検討評価委員会」で分析された妊産婦死亡数とされている。この報告様式がわかる報告書(元票)を直ちに公開すべきと考えるが政府の見解を示されたい。
三 無痛分娩死亡事例十四例中十三例について陣痛促進剤を使用していたとされる。ではこの十三例について、陣痛促進剤の使用について事前に文書で同意を得ているのは何例か。
四 十三例の無痛分娩管理の経時記録について、血圧等のバイタルサイン、胎児心拍、子宮収縮の値・状況と観察方法を直ちに公開すべきと考えるが政府の見解を明らかにされたい。
五 十三例の陣痛促進剤の薬剤名、開始時投与量、維持量、最大投与量、増量間隔等について直ちに公開すべきと考えるが政府の見解を明らかにされたい。
六 十三例の分娩経過中の分娩監視装置の連続使用状況、監視の有無について、合理的根拠を示して明らかにされたい。ちなみに「産婦人科診療ガイドライン 産科編二〇一七」に「分娩監視装置を連続装着して、胎児心拍数陣痛図として記録する」との記載があるが、産科医療補償制度の「再発防止に関する報告書」においてもガイドライン違反は多々報告されていることは周知の事実である。
七 無痛分娩を行った妊産婦死亡事例十四例中、死亡原因が麻酔:一例、羊水塞栓症:十例、子宮破裂:一例、産道裂傷:一例、感染症:一例であり、麻酔以外の十三例は「無痛分娩を行っていなくても起こりうる」とされている。
 ではこれらがどういうプロセスで発生し、なぜ死亡を回避できなかったのかについて検証はされたのか。していないとしたらなぜか。
八 報告書の様式は原因分析に資するため、薬剤や医療機器の使用状況を詳細に記入させるものでなければならない。現在の報告様式はその要件を満たしているか、報告書の元票の記載項目を示して明らかにされたい。
九 現在の医薬品安全性情報報告書や医療機器安全性情報報告書の様式について、上記の理由から全面改訂が必要と考えるがどうか。
十 当該研究班の調査・研究の根拠となっている日本産婦人科医会「分娩に関する調査」の回答施設数及び回収率は、分娩取扱い施設二千三百九十一施設(病院千四十四施設、診療所千三百四十七施設)のうち、千四百二十三施設(回収率五十九.五%、病院五百九十施設、診療所八百三十三施設)であり、全ての分娩施設の管理状況、診療実態を把握できているわけではない。愛媛県・丹産婦人科のように、未回答施設に重大事故事例が存在する可能性が否定できないことについて、見解を示されたい。
十一 この十四例の死亡事例は全例、医療法に基づく医療事故調査制度の対象となるべき事例であるが、この制度に基づく院内調査を経て医療事故調査・支援センターに報告されたのか。また、その後の経緯は承知しているか。明らかにされたい。
十二 この十四例の死亡事例は全例、医療法施行規則に基づく「医療事故情報収集等事業」に報告されたのか。また、その結果どのように「分析その他事故等事案に関する科学的な調査研究が実施され」たのか、明らかにされたい。
十三 分娩は自由診療であるため施設基準がなく、診療内容や管理体制なども可視化されにくい。しかしそれは、女性と子どもの命に直結し死亡事例も発生している診療行為に何ら規制がなく、質の管理向上や標準化を図る仕組みがないことを意味する。
 厚労省としてすべての分娩事故の死亡事例、事故事例の全容を詳細に把握すべきである。そのためにも分娩に特化した事故事例報告制度などの安全管理対策を強化し、可視化による原因分析と再発防止の仕組みを構築すべきと考えるがどうか。見解を示されたい。

 右質問する。



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