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令和元年十二月四日提出
質問第一八五号

規制改革実施計画に基づく診療記録高額手数料のガイドライン見直しに関する質問主意書

提出者  阿部知子




規制改革実施計画に基づく診療記録高額手数料のガイドライン見直しに関する質問主意書


 令和元年六月二十一日に閣議決定された規制改革実施計画「患者本人による診療録などの個人情報の本人開示請求の適切なあり方」では、診療記録等の開示に当たって不当に高額な手数料によりその請求が制限されることがないよう、ガイドライン等の策定・整備について言及している。
 このことに関連して以下質問する。

一 診療記録高額手数料のガイドライン見直しについて
 政府の規制改革実施計画では、「患者本人の診療録等、個人情報の開示請求に当たっては、実費を勘案して合理的であると認められる範囲内で手数料の額を設定することが求められるところ、高額の開示手数料等によりその請求が不当に制限されることにならないよう、ガイドライン等において、医療機関における開示手数料の算定に係る推奨手続きを明らかにする」とされ、実施時期は「令和元年度検討・結論・措置」とあり、本年度中に厚労省として検討結果を公表することとされているが、検討はどこでどのように行われているのか。現段階の進捗状況を示されたい。
二 大学病院・特定機能病院における高額手数料徴収について
 昨年厚生労働省が実施した特定機能病院(八十七施設)を対象とした実態調査結果によれば、多くの医療機関でいまだに高額の開示手数料を徴収しているなど看過できない実態が明らかになった。特に開示手数料については「一診療あたり○○○円」としており、複数の疾患の場合は一万円にも二万円にもなってしまう。厚労省の定義では、「診療録とはエックス線写真、紹介状、退院した患者に係わる入院期間中の診療経過の要約その他の診療の過程で患者の身体状況、病状、治療などについて、作成、記録又は保存された書類、画像などの記録を言う」とされている。
 診療録を診療科ごとに分割してそれぞれ手数料を徴収することは、患者・家族の開示請求権を事実上抑制する恐れがあり、個人情報保護法違反に当たることは明らかである。この調査結果に基づいて患者・家族の負担軽減を図るべきと考えるがどうか。
三 個人情報取扱事業者が傘下施設ごとに複数の開示基本手数料を請求することについて
 1 大阪府のS社は、訪問看護ステーションとケアープランセンターと福祉用具専門の事業所三か所を運営している。カルテなど関連個人情報開示請求で、同社の保有している個人情報管理者は一人であるにもかかわらず、三事業所それぞれの基本手数料七千円の三ヶ所分二万千円を徴収していた。抗議して一事業所につき三千円三か所分九千円となったが、基本手数料の複数回徴収は不適切ではないか。認識を問う。
 2 大阪府のT診療所も保有個人情報管理者は一人だが、他一医療機関を運営している。患者を両方に診察させて開示請求の時、両方の医療機関から手数料を請求徴収していた。同一ビル内の接した医療機関で院長は両方に関係している。この事例についても不適切と考えられるが、認識を問う。
四 従量制で謄写代等を徴収することについて
 ・ある大学病院はコピー枚数が百枚を超えると一枚三十円となる。
 ・ある診療所は百枚を超えると五十枚ごとに千円をコピー代とは別に徴収している。
 ・大学附属の複数の病院で、画像開示手数料を別途徴収している。
 ・ある大学付属医院は診療科ごとに手数料を徴収している。
 現行、個人情報保護法では従量制を採用していない。右記の事例は過大な徴収に当たるのではないか。見解を問う。
五 本人の委任による代理人について
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律と地方自治体の同条例は開示手続きで本人の委任による代理人を認めていない。ところが個人情報保護法では本人の委任による代理人の開示請求を認めている。高齢者や自宅療養の患者が増加する中では行政や自治体なども代理人請求ができる様に患者や家族、遺族の利便性を考えるべきと考えるがどうか。
六 遺族の開示請求権について
 現行法では保護する対象が「生存する個人の情報」となっているため、東京都福生市での透析中止で亡くなった遺族の開示請求について、公立福生病院は開示請求権がないとして不開示とした。審査請求中であると聞くが、遺族に開示すべき権利がある事は先の遺族によるアスベスト労災記録開示訴訟(六月五日大阪地裁判決にて遺族への開示を命じる判決・確定)や、最高裁判例「遺族の請求が自己を本人とする保有個人情報に当たるか否かは、当該情報の内容と当該個人との関係を個別に検討して判断すべきである」(最高裁第一九〇八号平成三十一年三月十八日第一小法廷判決)と判示していることからも司法の判断が活かされる運用にすべきではないか。どうか。
七 患者の個人情報訂正権について
 大阪府堺市のA病院は、本人によるカルテ等診療記録の開示請求を拒否したうえ、本人の成育歴の誤記についての訂正請求に関して、「訂正文を貼り付けて置く」との回答のみで、訂正内容すら本人に事実確認を拒否するなどの不当運用を行っている。堺市の行政指導を期待しても「行政としては限界」との理由により、いまだに不適正運用が改善されないままである。
 患者の個人情報訂正権が侵害されることのないよう、指導の徹底とともに、ガイドラインに明記すべきと考えるがどうか。

 右質問する。

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