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令和二年十一月二十七日提出
質問第四四号

イージス・アショア代替案に関する質問主意書

提出者  前原誠司




イージス・アショア代替案に関する質問主意書


 本年六月、河野防衛大臣(当時)は、迎撃ミサイルのブースターを確実に演習場の中に落下させるよう改修するためには多大なコストと期間を要するとの理由で、イージス・アショア配備の断念を発表した。以後、イージス・アショアの代替案が検討されたところ、多機能イージス艦の建造・運用を代替案として発表しているが、改めて、イージス・アショアのシステム構成、契約状況及び代替案とする多機能イージス艦の考え方等について、以下のとおり質問する。

一 全般について
 1 中止となったイージス・アショア事業は、秋田、山口の基地設置型は中止するが、当初の目的である省人化を達成できる残存性を考慮した陸上移動型については、全く配備の候補としないのか。
 2 イージス・アショア代替案については、当初選択した全システムを代替システムに移行するのか。
二 システム選定について
 1 LRDRの技術を基としたLMSSR(後SPY−7と呼称)と一世代前のイージス武器システムソフトウェア・ベースライン9を選択した理由と根拠を示されたい。
 2 SPY−7はAESA(Active Electronically Scanned Array:アクティブ電子走査式アンテナ)技術で製造されるレーダーであることは政府も認めているところであるが、米国防総省隷下のDSCA(Defense Security Cooperation Agency:防衛安全保障協力庁)は、AESA技術によるBMD(Ballistic Missile Defense:弾道ミサイル防衛)レーダーはFMS(Foreign Military Sales:対外有償軍事援助)のみにより友好国に導入されると規定している。今回DCS(Direct Commercial Sales:企業からの直接購入)により米国企業から導入する経緯と理由を示されたい。
三 代替案としての多機能イージス艦について
 1 防衛省は、代替案として多機能イージス艦を第一候補と考え、調査委託企業の中間報告も考慮して令和三年度予算に関連経費を要求すると言われている。現有「まや」型イージス艦より拡幅し、基準排水量約九千トンとすると聞くが、船体拡幅の理由は何か。また「まや」型イージス艦と同じ船型でも機能を発揮できるのではないか。装備品の性能発揮と船体の拡幅にも関連があるのではないか、ということを確認したい。
 2 使用する武器システムソフトウェア・ベースライン9は、二〇一五年に運用開始したものであり、この多機能イージス艦の想定される就役は二〇二六年第一・四半期ということになると、ソフトウェアは、更新が無ければ、十一年前のものを以後十年以上使用することになる。このような状況を看過するのか。
四 米海軍との運用の共用性について
 米国の正式装備品でないSPY−7を運用する場合、IAMD(Integrated Air and Missile Defense:統合防空ミサイル防衛)を確立するためのCEC(Cooperative Engagement Capability:共同交戦能力)機能の確保、維持整備、技術更新に関し米海軍との運用の共用性維持に問題はないか、技術的根拠を示されたい。
五 予算と維持整備、技術更新等のライフサイクルコストについて
 当初八百億円から始まったイージス・アショア事業は、説明を受ける度に充当予算が膨れ上がった。レーダーだけについても、構想レベルのSPY−7をDCSで導入することによる開発製造試験、加えて米国ミサイル防衛庁から米海軍PMRF(Pacific Missile Range Facility:太平洋ミサイル発射試験場)に専用の試験サイトの設置を要望され、経費が大きく膨れ上がる、という指摘があった。また、DCSであるが故に、技術更新、維持整備は全て日本政府の負担となるとも懸念されている。さらに、大型の多機能イージス艦は、BMDの他に護衛艦としての能力を具備するのであるから、「まや」型イージス艦の船価を押し上げることは必定である。SPY−7を利用した多機能イージス艦の建造経費及びライフサイクルコストは、総額どれほどになるのか。政府は、費用対効果を国民に示すべきであると考えるが、如何か。
六 緊迫する近隣諸国の脅威に備える考え方と具体策について
 代替案としての多機能イージス艦が就役するのは二〇二六年第一・四半期、その後就役訓練等を経て実働任務に就くのは、早くて二〇二六年夏頃になると想定される。緊迫する近隣諸国の脅威に備えるためには、まず、迎撃ミサイルの増備や、現有イージス艦のSPY−1Dレーダーと武器システムソフトウェアの更新により、現有イージス艦の能力を向上させるのが急務ではないか。政府の見解を問う。
七 SPY−7について
 SPY−7は、LRDRの技術を基に提案されたと聞くが、SPY−7アレイとLRDRアレイの違いは何か。また、システム選定時に何故LRDRアレイが選定されなかったのか。さらに、SPY−7のAESA用の窒化ガリウムは提案企業のロッキード・マーチン社で製造するのか、政府は承知しているか。
八 洋上代替多機能イージス艦について
 1 陸上イージス・アショアに適したレーダーと多機能イージス艦のそれとで、特質において相違点があれば説明されたい。
 2 SPY−7は陸上用レーダーであるため、イージス艦に転用するには、要求性能の見直し、イージス艦用への機能の追加変更が必要と思料するが、転用に必要な追加経費及び所要期間を提示されたい。
 3 洋上案の一部として検討されたBMD専用艦の計画はなくなり、従来のイージス艦に機能を加えたとする多機能艦に決定したと理解してよいのか。
 4 緊要に対処すべき北朝鮮の低高度飛翔弾道ミサイルKN23には、予定するSPY−7とSM−3ブロックUAで対処が可能であるのか。

 右質問する。

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