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令和三年三月十二日提出
質問第七七号

中国によるチベット人への人権侵害に関する質問主意書

提出者  松原 仁




中国によるチベット人への人権侵害に関する質問主意書


 独立国家であったチベットは、一九四九年に口火を切った中国の侵略で、戦闘によって人命損失の危機にさらされ、続いてすぐに、共産主義イデオロギーと文化大革命に代表されるような計画によって、普遍的な自由さえも失ってしまった。現在でも、チベット固有の国民性、文化、宗教の独自性は、中国によって深刻な脅威にさらされ、翻弄され続けている。
 中国の占領と弾圧の政策は、チベットの国家としての独立、文化、宗教性、自然環境の破壊を引き起こし、人々は基本的な人権まで奪われている。再三再四、国際法を犯す中国のこれらの破壊行為は、注目はされているが、未だに改善されることなく繰り返されている。
 自由、民主主義、人権といった基本的価値を共有する世界の多くの国々が、中国によるチベット人への人権侵害を厳しく非難し、チベット人に支援の手を差し伸べている。米国のドナルド・トランプ前大統領は二〇二〇年十二月二十七日、いわゆるチベット人権法案に署名し、同法は成立した。同法は共和、民主両党の議員が超党派で法案を提出し、可決されたもので、中国チベット自治区での人権や新疆の自由を擁護し、中国がチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ十四世の後継者選定に介入した場合、深刻な人権侵害と見なして制裁の対象にすると規定した。亡命チベット政権のロブサン・センゲ主席大臣は法案成立を歓迎し、「この法案はチベット国内のチベット人に希望と正義の強力なメッセージであり、これまでになく、チベット人の宗教的自由、人権、環境権、亡命チベット民主主義の保護のために活動している私たちを勇気づけてくれるものである」と発表した。
 一方、(本年三月三日付けの日経新聞によると)中国はチベットの豊富な資源の開発を加速するため、約五兆円を投じて四川省とチベット自治区を結ぶ川蔵鉄道の主要区間の建設工事に着手し、三狭ダム三基分に相当する水力発電所の開発に乗り出す経済振興策を策定したと報じられている。
 中国メディアによると、チベットは銅、リチウム、クロム、希少金属のベリリウム等、中国有数の鉱山を抱えており、こうした資源を自国で開発するためのインフラ整備が進むとされている。
 こうした中国によるチベット開発の拡張路線に対し、欧米や隣接するインドは、チベット人の人権を顧みないその開発姿勢に懸念を表明している。
 こうしたなか本職は、中国のチベット人に対する人権抑圧について、日本政府による非難が諸外国で報道されていないことに、危惧の念を抱いている。我が国は諸外国から仏教国と見られることが多いが、敬虔な仏教徒が大多数を占めるチベット人の窮状に、道義心の欠如から沈黙していると思われているのではないか。我が国が、自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持する国であることについて、諸外国に疑念を抱かせているのではないか。
 そこで中国によるチベット人への人権侵害について、政府の認識と見解を伺う。

 右質問する。

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