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答弁本文情報

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平成十五年四月一日受領
答弁第三七号

  内閣衆質一五六第三七号
  平成十五年四月一日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員江田憲司君提出イラクへの武力行使の正当性等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員江田憲司君提出イラクへの武力行使の正当性等に関する質問に対する答弁書



一について

 国際連合安全保障理事会(以下「安保理」という。)の決議第千四百四十一号(以下「決議一四四一」という。)自体には、国際連合加盟国のイラク共和国(以下「イラク」という。)に対する武力行使を容認している部分はない。

二及び三について

 安保理の決議第六百八十七号(以下「決議六八七」という。)及び決議第六百七十八号(以下「決議六七八」という。)は、決議一四四一において引用されているとおり現在も有効であり、御指摘の今回のケースに決議六八七及び決議六七八の効力が及ぶことは、決議一四四一の文言からも明らかである。アメリカ合衆国(以下「米国」という。)のブッシュ大統領も、本年三月十七日(現地時間)に行った演説の中で、決議一四四一に言及した上で、現在でも有効である決議六七八及び決議六八七の下で、米国とその同盟国は武力を行使しイラクの大量破壊兵器を排除する権限が与えられている旨述べていると承知している。なお、お尋ねのベーカー元米国国務長官の著書の中の記述については、政府として答弁する立場にはない。

四について

 お尋ねのアナン国際連合事務総長の本年三月十七日及び同月二十日(いずれも現地時間)の発言は、今回の武力行使が国際連合憲章又は国際法に違反するものであると指摘したものではないと考えている。

五について

 かねてから申し上げているとおり、安保理の決議の有権的解釈を行うのは、安保理である。

六について

 御指摘の小泉内閣総理大臣の報告(以下「御指摘の報告」という。)において述べられているように、国際社会は、十七本にものぼる安保理の決議を採択し、一致してイラクに対しこれらの決議によって課された義務を履行するように説得に当たってきたが、イラクは、十二年間にもわたってこれらの決議に違反し続け、国際連合の権威を侮辱してきたものであり、また、イラクは、昨年十一月に安保理において全会一致で採択された決議一四四一によって、国際社会から大量破壊兵器を廃棄するための最後の機会を与えられたが、国際社会の真摯な努力にこたえず、自ら平和への道を閉ざしてきた。御指摘の報告にいう「国際社会の大義」とは、このような状況において、国際の平和と安全に与えられている脅威を取り除く必要が生じているということを意味するものである。

七について

 御指摘の報告において述べられているように、イラクは、過去十二年間今日に至るまで、また、決議一四四一を受け入れた昨年十一月以降も、平和的解決のための機会や時間を十分に与えられたにもかかわらず、その機会を一切いかそうともせず、安保理の決議に対する違反を繰り返してきており、また、ブリックス国際連合監視検証査察委員会委員長の累次の報告においてもイラクによる査察への協力が不十分であることが再確認されているところ、問題の解決をいつまでも先送りすることは許されない一方、我が国を含む国際社会による懸命な努力も尽くされ、イラクの対応を根本的に変えるための方策も見通しも全く見いだせない以上、米国等が武力行使に至ったことはやむを得ないことと考える。

八について

 今回の米国等によるイラクに対する武力行使は、関連安保理決議に基づき、その履行を確保するために行われているものであり、御指摘は当たらない。今後とも、安保理が国際社会の平和と安全の維持に主要な役割を果たしていくことに変わりはないと考えている。

九について

 今回の米国等によるイラクに対する武力行使は、国際連合憲章第七章の下で採択された安保理の決議に基づくものであり、御指摘のような「自分勝手な大義を掲げて、民族や宗教等に起因する地域紛争やテロ行為が多発する危険性」が生じるとは考えていない。

十について

 現時点で、我が国へのいわゆるテロ行為等についての具体的な情報は把握されていないが、今後の情勢によっては、国内でテロ行為が発生したり、我が国の国民等がテロ行為の標的となる可能性は否定できないと考える。このため、政府としては、関係府省庁が一体となって対策に万全を期しており、具体的には、出入国管理、関連情報の収集・分析、ハイジャック対策、いわゆるNBCテロ対策、重要施設の警戒警備の強化等の措置を講じているところである。

十一について

 現時点で米国等の武力行使の終了後のイラク国内情勢に関して確たることを申し上げるのは困難であるが、御指摘の報告において述べられているように、政府としては、イラク及びその周辺地域の平和と安定の回復が我が国にとっても重要であるとの認識に立ち、イラクが一日も早く再建され、人々が自由で豊かな社会の中で暮らしていけるよう、今後の事態の推移を見守りつつ、イラクの復旧・復興のためできる限りの措置を検討していく考えである。

十二について

 中東和平問題への取組は、中東地域の安定のため極めて重要であり、パレスチナ暫定自治政府及びアラブ諸国の要望をも踏まえ、米国は、中東和平「ロードマップ」への取組を含む和平前進に向けた取組を継続している。政府としては、公正、永続的かつ包括的な和平の実現に向け、まずイスラエル及びパレスチナ暫定自治政府双方が一日も早く和平に向けた話合いを再開するよう、米国を始めとする国際社会が働き掛けることが重要であると考えており、双方への右のような働き掛け、パレスチナ国家の樹立に向けたパレスチナ暫定自治政府に対する支援、双方の間における信頼醸成に向けた取組等を着実に実施していく方針である。

十三について

 政府としては、今回の武力行使が、一刻も早く、人的・物的被害もできるだけ少なく、しかも、国際社会に対するイラクの脅威を取り除く形で、終結することを望んでおり、事態の進展を注視しつつ適切に対応してまいりたい。



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