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答弁本文情報

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平成十九年十月十九日受領
答弁第九九号

  内閣衆質一六八第九九号
  平成十九年十月十九日
内閣総理大臣 福田康夫

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員山井和則君提出外国人介護士受入れ及び介護福祉士制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山井和則君提出外国人介護士受入れ及び介護福祉士制度に関する質問に対する答弁書



一について

 先の答弁書(平成十九年十月二日内閣衆質一六八第四四号。以下「前回答弁書」という。)四についてでお答えした「円滑かつ適正な受入れ」とは、経済連携協定に基づく外国人介護福祉士候補者の受入れの要件や趣旨に沿った形であって、かつ、外国人介護福祉士候補者の募集及び選考、雇用契約の締結、受入れ施設における就労及び研修などの一連の過程において支障を生じさせないような受入れを指すものである。

二について

 厚生労働省としては、少なくとも年に一回、外国人介護福祉士候補者の受入れ施設に対する巡回指導を受入れ調整機関となる予定の社団法人国際厚生事業団(以下「事業団」という。)に委託して実施することとしているが、巡回指導に従事する者を何人とするかについては、現時点では未定である。

三について

 昨年署名した経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定においては、フィリピン人介護福祉士候補者に対する入国及び一時的な滞在の許可の要件として、一定の条件を満たす介護施設においてその者の研修が行われるものであること等が規定されている。
 厚生労働省としては、当該一定の条件として、当該フィリピン人介護福祉士候補者を除く介護職員の数が、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)等に基づく職員等の配置の基準を満たすことを定めることとしており、その要件の遵守状況について、年に一回、当該介護施設の設置者に対し、事業団を通じて介護職員の配置状況の報告を求めることにより確認することとしている。

四について

 フィリピン人介護福祉士候補者の受入れ人数の上限については、フィリピン人介護福祉士候補者の円滑かつ適正な受入れを行うことができるかどうか、我が国の労働市場に悪影響を及ぼさないかどうかといった点等を考慮して設定したものである。

五の@について

 お尋ねの「我が国の労働市場」とは、直接的には、入所及び通所施設で就労する介護職員に係る労働市場を指すものであり、当該介護職員の数は平成十七年十月現在で約七十七万人である。

五のAについて

 御指摘の「悪影響」とは、外国人介護福祉士候補者の我が国への受入れによる日本人介護職員の雇用機会の減少等を指すものである。

五のB及びCについて

 今後、仮に外国人介護福祉士候補者の受入れを含む経済連携協定をフィリピン及びインドネシア以外の国と締結する場合には、同協定に基づく受入れが開始されるまでの過程において、当該受入れが我が国の労働市場に悪影響を及ぼすものかどうかについて、政府として判断していくものである。

五のDについて

 経済連携協定に基づき受け入れた外国人介護福祉士候補者のうちどの程度の者が我が国の介護福祉士資格を取得して我が国で就労を継続するかといった点の予測が困難であり、また、時々の我が国の労働市場の状況にもよるため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

六について

 経済連携協定に基づく外国人介護福祉士候補者の受入れの趣旨や仕組みについては、適正な受入れを行う観点から、十分に周知する必要があるが、三についてで述べたとおり、外国人介護福祉士候補者については外国人介護福祉士候補者の受入れ施設の介護職員の数に算定できないこととすることから、当該受入れ施設のサービスとそれ以外の介護施設のサービスとの間に差異は生じないと考えられ、御指摘のような周知を行う必要は必ずしもないものと考える。

七の@について

 御指摘の「途中段階の資格」という表現は、准介護福祉士は拡充された教育課程を修了して資格を得ているが、最終的には介護福祉士を目指していくものであるという趣旨で用いたものであり、厚生労働省が所管する他の国家資格制度においては、このような意味での「途中段階の資格」は存在しない。

七のAについて

 准介護福祉士については、現行より拡充された教育課程を修了していることが資格取得の要件となるものであること、また、御指摘の規定を置くことにより、准介護福祉士が介護福祉士の資格を取得するため介護等に関する知識及び技能の向上に努めることが期待されることから、御指摘の答弁を行ったものである。

八の@について

 御指摘のような「指摘」については、平成十八年一月三十一日及び同年三月十六日に開催された厚生労働省の「介護福祉士のあり方及びその養成プロセスの見直し等に関する検討会」において、同検討会の委員が行っている。

八のAについて

 現在、介護福祉士の養成施設においては、介護保険法に基づく居宅サービス計画及び施設サービス計画に関する援助技術、介護技術に関するコミュニケーションの技法等について教育を行うこととされているが、三年以上の介護等の実務経験を経て介護福祉士試験に合格した者には、こうした介護に関する理論的・体系的な教育課程を履修することが義務付けられていないところである。厚生労働省としては、八の@についてで述べた委員の指摘は、このようなことを踏まえてのものであったと理解している。
 また、もう一つの養成課程である介護福祉士の養成を行う高等学校及び中等教育学校を通じた養成課程においても、介護に関する理論的・体系的な教育課程の一環として社会福祉制度や社会福祉援助技術等の教育を行っているが、介護福祉士の資質の向上を図っていくため、改正後の資格取得方法について、養成施設における教育課程と同等の水準となるよう現行の教育課程の内容を拡充することとしている。

八のBについて

 介護福祉士の養成課程においては、介護保険制度等に関する知識、利用者の権利擁護に関する知識、認知症等の多様な利用者に対する介護の提供において必要となる医学的な知識など、実務経験だけでは修得が困難な知識及び技能について、理論的・体系的に学習することとしており、そのために最低限必要な期間として、六か月としたものである。

九について

 現在、高等学校及び中等教育学校においては、介護福祉士の資格を取得するための通信制の課程が認められているが、認知症の者に対する介護の需要の増加など、近年の介護サービスに対する国民のニーズの多様化・高度化に対応し、介護福祉士の資質の向上を図っていくためには、介護福祉士試験の受験者が履修すべき教育課程の内容を拡充・平準化するとともに、介護実習について十分な教育時間数と実効性のある教育体制を確保する必要があるとの観点から、改正後の介護福祉士の資格の取得方法においては通信制の課程を認めない方向で検討を行っているところである。

十について

 厚生労働省としては、平成十九年四月二十六日の参議院厚生労働委員会における「実務経験ルートに新たに課される六月以上の養成課程について、働きながら学ぶ者の負担軽減に配慮し、通信課程を認める」こととの附帯決議も踏まえ、当該養成課程について通信制の課程により修了することも認める方向で検討を行っているところである。なお、養成施設については、現在でも、通信制の課程を認めていないところである。



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