衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十九年十一月三十日受領
答弁第二四七号

  内閣衆質一六八第二四七号
  平成十九年十一月三十日
内閣総理大臣 福田康夫

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員保坂展人君提出改正入管法と外国人の「指紋情報強制採取」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員保坂展人君提出改正入管法と外国人の「指紋情報強制採取」に関する質問に対する答弁書



一及び二について

 御指摘の警備課長通知は、本邦に上陸しようとして、入国審査官に対し上陸の申請をしようとする外国人が、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第六条第三項各号に規定する免除事由のいずれにも該当しないにもかかわらず、同項に規定する個人識別情報の提供をせず、かつ、入管法第十条第七項ただし書の規定による特別審理官に対する個人識別情報の提供もしないで、同項本文の規定により退去を命ぜられ、更に、当該退去命令にも従わず、遅滞なく本邦から退去しない場合には、当該外国人に対して退去強制手続を執らざるを得ないことから、この場合における措置について、「個人識別情報提供拒否者に対する措置」として、
 (1) 地方入国管理官署の警備部門は、上陸審査において指紋情報等の提供を拒否して退去命令を受けたが、これに従わない者について、入管法第二十四条第五号の二該当容疑者として審査部門から通報を受けた場合には、速やかに退去強制手続を執るものとする。
 (2) 当該容疑者が退去強制手続における指紋採取及び写真撮影(以下「指紋採取等」という。)に応じない場合について、当該容疑者については、上陸審査及び違反調査における指紋採取等については任意であるのに対し、収容後に行う指紋採取等については入管法第六十一条の七第四項に規定する身体検査の一環であり、被収容者処遇規則第十二条に基づくものであるので、応じない場合には、必要な強制力を行使することができることなど手続の根拠及び趣旨を十分に説明し、指紋採取等に応じるよう説得し、全ての事案について確実に指紋採取等を行うこととする。
  なお、指紋採取等は新たに収容される者を入国者収容所又は収容場に収容するときに速やかに行うものであり、個人識別情報提供拒否者であっても他の一般の事案と同様の場所・タイミングで指紋採取等を行うこととし、その際に応じない者に対しては十分な時間を掛けて説明・説得し、それでも応じない場合には首席入国警備官の指揮の下担当する入国警備官の体制を整えて必要な強制力を行使して指紋採取等するが、被収容者がなお頑強に指紋採取等を拒否し不測の事態が懸念されるときは、速やかに本省警備課に報告するものとする。また、必要なビデオ撮影は時機を失せず行うこととする。
 との留意事項を示したものである。
  同通知の内容は、警備課の所掌事務の範囲内における法令の運用上の細目的事項であることから、警備課長通知としたものであり、また、留意事項を踏まえて遺漏なき対応がとられるために必要な準備期間を考慮し、十一月七日に発出したものである。

三について

 御指摘の通知には、「両手十本」の指紋を強制採取するとは書かれていないが、「指紋採取等は新たに収容される者を入国者収容所又は収容場に収容するときに速やかに行うものであり、個人識別情報提供拒否者であっても他の一般の事案と同様の場所・タイミングで指紋採取等を行うこととし、その際に応じない者に対しては十分な時間を掛けて説明・説得し、それでも応じない場合には首席入国警備官の指揮の下担当する入国警備官の体制を整えて必要な強制力を行使して指紋採取等する」との記載はあるところ、ここでいう「他の一般の事案」における「指紋採取」が十指であることについては、平成十八年三月十七日、衆議院法務委員会において、三浦政府参考人(入国管理局長)が漆原委員の質問に対し、「我々が保有しておりますデータ、過去の前歴のある人のデータが指紋が中心になってございます。」、「入管で持っております指紋、十指ございますので、このデータのうちの人差し指の指紋との照合をするという形を考えております。」と答弁している。
 また、「必要な強制力を行使して」行う「指紋採取」については、同月二十八日、同委員会において、杉浦国務大臣(法務大臣)が平岡委員の質問に対し、「法務省令たる被収容者処遇規則によれば、入国者収容所長及び地方入国管理局長は、新たに収容される者を入国者収容所または収容場に収容するときは、十六歳未満の者を除き、入国警備官に指紋を採取させ、身長及び体重を測定させ、かつ、写真を撮影させなければならないものとされています。同規則十二条であります。これは、入管法第六十一条の七第四項により認められている被収容者の身体検査の一環として、入管法同条第六項の委任により制定された法務省令に基づき、個人識別の趣旨から行うものでございます。」と答弁している。

四について

 本邦に上陸しようとして、入国審査官に対し上陸の申請をしようとする外国人が、入管法第六条第三項各号に規定する免除事由のいずれにも該当しないにもかかわらず、同項に規定する個人識別情報の提供をせず、かつ、入管法第十条第七項ただし書の規定による特別審理官に対する個人識別情報の提供もしないで、同項本文の規定により退去を命ぜられた場合であっても、当該退去命令に従って、遅滞なく本邦から退去すれば、退去強制手続を執られることはなく、したがって、強制力を行使した指紋採取を行われることはないのであるから、国際社会から批判されるべき人道上の問題があるとは考えていない。
 当該退去命令にも従わず、遅滞なく本邦から退去しない場合には、当該外国人は、入管法第二十四条第五号の二に規定する「退去を命ぜられた者で、遅滞なく本邦から退去しないもの」に該当するので、入管法が規定する退去強制手続を執ることとなる。仮に、退去強制手続開始後に、上陸申請時点で義務付けられていた二指の指紋を提供したとしても、そのことにより入管法第六十一条の七第四項及び第六項並びに被収容者処遇規則(昭和五十六年法務省令第五十九号)第十二条に基づき被収容者の身体検査の一環として行う指紋採取を免除すべき法令上の根拠はなく、また、退去強制事由に該当しない者として取り扱うべき法令上の根拠もない。法令に基づいて行われる以上のような退去強制手続に、国際社会から批判されるべき人道上の問題があるとは考えていない。

五について

 本邦に上陸しようとして、入国審査官に対し上陸の申請をしようとする外国人が、入管法第六条第三項各号に規定する免除事由のいずれにも該当しないにもかかわらず、同項に規定する個人識別情報の提供をせず、かつ、入管法第十条第七項ただし書の規定による特別審理官に対する個人識別情報の提供もしないで、同項本文の規定により退去を命ぜられ、更に、当該退去命令にも従わず、遅滞なく本邦から退去しないことから、退去強制手続を執られ、退去強制令書が発付されたときには、入管法第五十九条第一項に基づき、当該外国人が乗ってきた船舶等の長又はその船舶等を運航する運送業者が、当該外国人を速やかに本邦外の地域に送還することとなる。
 なお、退去強制手続を執られる外国人が、当該手続において、本邦への在留を希望して法務大臣に対し異議の申出を行った場合には、個々の事案ごとに、在留を希望する理由、家族状況、生活状況等諸般の事情を総合的に勘案して、在留特別許可の許否を判断することとなる。

六について

 退去強制手続を執られる外国人の指紋は、電子的な読取装置で採取しデータベース化している。この指紋情報については、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)第二条第三項の「保有個人情報」に該当し、同法の定めるところにより利用又は提供が可能な範囲を超えて、利用又は提供されることはない。

七について

 本邦に上陸しようとして、入国審査官に対し上陸の申請をしようとする外国人が、入管法第六条第三項各号に規定する免除事由のいずれにも該当しないにもかかわらず、同項に規定する個人識別情報の提供をせず、かつ、入管法第十条第七項ただし書の規定による特別審理官に対する個人識別情報の提供もしないで、同項本文の規定により退去を命ぜられ、更に、当該退去命令にも従わず、遅滞なく本邦から退去しないことから、当該外国人に対して退去強制手続を執る場合には、当該外国人が、指紋採取等を行おうとする職員に対して、その職務執行の妨害等の行為に及ぶことが予想されることから、このような場合における職員による一連の職務が適正に執行されていたことを記録する方法として、ビデオ撮影を予定している。
 なお、録画したビデオテープ等の記録媒体については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)第二条第二項の「行政文書」に該当するので、同法に基づく開示請求があった場合には、同法に基づき個別にその可否を判断することとなる。

八について

 お尋ねの指紋採取の法的根拠は、四についてでも述べたとおり、入管法第六十一条の七第四項及び第六項並びに被収容者処遇規則第十二条である。なお、これらの規定は、平成十九年十一月二十日の出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律(平成十八年法律第四十三号)の一部の施行の前後を通じて同じである。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.