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答弁本文情報

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平成十九年十二月二十八日受領
答弁第三三八号

  内閣衆質一六八第三三八号
  平成十九年十二月二十八日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 町村信孝

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員赤嶺政賢君提出脳脊髄液減少症の研究及び治療の推進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員赤嶺政賢君提出脳脊髄液減少症の研究及び治療の推進に関する質問に対する答弁書



一の1について

 厚生労働省としては、現時点ではいわゆる「脳脊髄液減少症」の診断・治療法はいまだ確立されているとは承知しておらず、御指摘のブラッドパッチ治療法等これに係る医療技術を公的医療保険の適用対象とすることは困難であるが、平成十九年度から厚生労働科学研究費補助金により診断・治療法の確立等に関する研究が進められていることから、こうした研究の成果により、まずは診断・治療法が確立されることを期待している。

一の2について

 文部科学省としては、いわゆる「脳脊髄液減少症」については、診断・治療法の確立等に関する研究が進められている段階であるが、事故後の後遺症として通常の学校生活を送ることに支障が生じているにもかかわらず、周囲の十分な理解を得られない事例があったとの指摘を受け、「学校におけるスポーツ外傷等の後遺症への適切な対応について」(平成十九年五月三十一日付け文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課事務連絡)を発出し、各学校において、必要に応じ、養護教諭を含む教職員が適切に連携しつつ、個々の児童生徒等の心身の状態に応じ、学習面を含め学校生活の様々な面で適切に配慮するよう求めているところである。
 また、いわゆる「脳脊髄液減少症」の診断・治療法はいまだ確立されておらず、現時点では、お尋ねの実態を把握することは困難であると考える。

二の1について

 お尋ねの「脳脊髄液減少症に関する研究」とは、平成十九年度から厚生労働科学研究費補助金により行われている「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究」(以下「確立研究」という。)のことを指すものと思われるが、確立研究は、いわゆる「脳脊髄液減少症」の病態には不明な点が多いことから、嘉山孝正山形大学教授を主任研究者として、複数の医療機関等における共同研究により、その病態解明と診断基準の確立を進め、治療法の確立を目指すものである。

二の2について

 確立研究の研究計画においては、研究者が所属する医療機関の症例検討及び医学文献データベースによる文献検索を行うこと、一定の症状のある患者に検査を実施し、結果を解析して診断基準を作成すること、治療方法とその効果及び合併症に関する調査を実施し治療法を検討すること、並びにいわゆる「脳脊髄液減少症」の原因疾患の検討を行うこととされている。

二の3について

 確立研究の実施主体は厚生労働省ではなく主任研究者であり、厚生労働省としては、現時点では、主任研究者から確立研究の進捗状況に関する報告を受けていないことから、お答えすることは困難である。

二の4について

 お尋ねのこころの健康科学研究事業は、厚生労働科学研究費補助金事業の一つであり、最先端の神経科学、分子生物学等の技術を用いた精神・神経疾患の病因及び病態の解明、これらの知見に基づいた治療方法の開発等の推進を目的として、研究者等に対し、その研究に要する経費について補助金を交付する事業である。

三の1について

 厚生労働省としては、御指摘の「Medical ASAHI 2007 May」を読んだ限りにおいては、御指摘の意見の根拠となる研究の方法等の詳細が不明であることから、当該意見について所見を述べることは困難である。

三の2について

 厚生労働省としては、いわゆる「脳脊髄液減少症」の診断・治療法はいまだ確立されておらず、御指摘のガイドラインはその診断・治療法に関する様々な見解の一つにすぎないものであると認識しているところ、御指摘のガイドラインを公的医療保険の適用に係る議論の参考とすることは困難である。

三の3から5までについて

 新たな医療技術については、日本医学会分科会に属する学会等から保険適用についての御提案を受け、中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織の下に設けられた医療技術評価分科会において検討を行った後に、又は、先進医療として承認され、先進医療専門家会議において検討を行った後に、同協議会において当該医療技術の安全性、有効性等について、科学的な根拠に基づく評価を行い、その保険適用の可否について検討を行うこととなる。
 いわゆる「脳脊髄液減少症」に係る医療技術についても、確立研究との関係のいかんにかかわらず、このような手続により、適切に評価及び検討を行うものである。

四について

 自動車損害賠償責任保険においては、いわゆる「脳脊髄液減少症」としての診断を受けているか否かにかかわらず、身体に残存する神経症状について、交通事故と相当因果関係が認められる場合は、保険金の支払が行われているところである。今後、いわゆる「脳脊髄液減少症」に関して、専門家の間で研究が進み、医学的見地から共通認識が醸成されるとともに、病態・原因疾患の解明や診断・治療法の確立がなされることは、これによって、交通事故と被害者の症状との相当因果関係が的確に評価されることとなるなど自動車損害賠償責任保険の保険金の円滑な支払に資する観点から望ましいと考えており、今後の研究の進展に期待してまいりたい。

五について

 文部科学省としては、一の2についてで述べたとおり、御指摘の事務連絡を発出し、また、同事務連絡の発出後も、都道府県及び政令指定都市の教育委員会の学校安全担当者が参加する会議等において、各学校に対しその趣旨の周知を図るよう要請しているところであり、引き続き、会議等の場を通じて、その周知を図ってまいりたい。

六の1について

 厚生労働省としては、保健所等において、これまでも一般的な健康相談に応じるとともに、その実施について周知を図ってきたものと承知しているが、今後、いわゆる「脳脊髄液減少症」の診断・治療法が確立するなど知見の集積が進めば、当該健康相談の一環として患者からの相談に応じることが可能となると考えている。

六の2について

 厚生労働省としては、いわゆる「脳脊髄液減少症」の診断・治療法はいまだ確立されておらず、診断・治療法の確立等に関する研究が進められているところであると認識しており、現時点においては、お尋ねの実態調査を行うことは困難である。



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