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平成二十年四月四日受領
答弁第二二一号

  内閣衆質一六九第二二一号
  平成二十年四月四日
内閣総理大臣 福田康夫

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員平野博文君提出後期高齢者医療制度の呼称等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員平野博文君提出後期高齢者医療制度の呼称等に関する質問に対する答弁書



一について

 「後期高齢者医療制度」における「後期」という用語の検討の経過のお尋ねについてであるが、健康保険法等の一部を改正する法律(平成十四年法律第百二号)附則第二条第二項において、政府は、新しい高齢者医療制度の創設等についての具体的内容、手順及び年次計画を明らかにした基本方針を策定するものとされ、これに基づき平成十五年三月二十八日に「健康保険法等の一部を改正する法律附則第二条第二項の規定に基づく基本方針について」が閣議決定されたが、この中で、高齢者医療制度は、七十五歳以上の後期高齢者と六十五歳以上七十五歳未満の前期高齢者のそれぞれの特性に応じた新たな制度とすることとし、これを軸として検討を更に深めることとされたものであり、高齢者を前期と後期とに区分して制度設計を行うべきとの基本的な方向性が打ち出されている。
 その後、社会保障審議会医療保険部会における検討、医療制度改革について広く国民的な議論に供するためのたたき台としての「医療制度構造改革試案」の公表等を経て、平成十七年十二月一日に政府・与党医療改革協議会で取りまとめられた「医療制度改革大綱」において、六十五歳から七十四歳の前期高齢者については、退職者が国民健康保険に大量に加入し、保険者間で医療費の負担に不均衡が生じていることから、これを調整する制度を創設し、また、七十五歳以上の後期高齢者については、その心身の特性や生活実態等を踏まえ、独立した医療制度として後期高齢者医療制度を創設し、それぞれ平成二十年度に実施することとされた。
 医療制度改革大綱を踏まえ立案されたものが、平成十八年二月十日に第百六十四回通常国会に提出された「健康保険法等の一部を改正する法律案」であり、同法案において、老人保健法(昭和五十七年法律第八十号)を高齢者の医療の確保に関する法律に改めるとともに、後期高齢者医療制度という章名の下で、この関係規定が設けられ、国会での審議の後、同年六月十四日、同法案が可決・成立したものである。なお、法律案についてはパブリック・コメントの対象とならないため、同法案に係るパブリック・コメントは行っていない。
 また、お尋ねの「前期」及び「後期」という名で年齢区分を設けている他の制度については、国の制度としては承知していない。

二について

 広辞苑によれば、「前期」という用語の意味は、「ある期間を二つまたは三つに分けた場合の、最初の時期」とされ、「後期」という用語の意味は、「ある期間を前・後の二つまたは前・中・後の三つに分けた場合の最後の時期」とされており、それぞれ時系列を表す用語である。また、「前期高齢者」及び「後期高齢者」という用語については、これまでも各種統計、政府の白書、男女共同参画基本計画(平成十二年十二月十二日閣議決定)等において用いられてきたものであり、一についてで述べたとおり、高齢者の医療の確保に関する法律においては、高齢者医療に関する制度のうち、六十五歳以上七十五歳未満の者と七十五歳以上の者についての異なる制度を同じ法案の中で規定し、しかも、保険者間で金銭の納付及び交付が行われたり、保険者から後期高齢者医療制度への金銭の支援が行われたりすることから、それぞれの制度を明確に指し示すことが不可欠であると考えたため、制度設計の経過も踏まえ、「前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整」及び「後期高齢者医療制度」という用語を端的に用いたものであり、御指摘のような印象を与えること等を意図したものではない。
 厚生労働省としては、身近で親しみやすい通称を設けるとともに、関係省庁及び自治体と連携を図りながら、制度の趣旨等についてさらに国民にご理解を深めていただき、ご懸念されるような誤解が生じないよう努めてまいりたい。

三について

 後期高齢者医療制度は、今後、増大することが見込まれる高齢者の医療費について、現役世代と高齢者の負担の公平化及び明確化を図りつつ、国民全体で支える仕組みとするものであり、後期高齢者医療の被保険者として後期高齢者にも一人一人に応分の保険料を負担していただくこととしているが、その保険料の総額については、後期高齢者医療の給付費総額の一割程度としている。さらに、後期高齢者一人当たりの保険料額については、所得等に応じて算定することとしており、低所得世帯に属する方に対しては軽減措置を講じるなど、過大な負担とならないよう配慮している。
 また、保険者によって保険料額の算定方法が異なることや、市区町村によって医療費の水準に高低があることから、七十五歳未満の高齢者が負担する保険料額と後期高齢者医療の保険料額とを単純に比較することは難しいが、仮に、国民健康保険の保険料(税)との比較をした場合、約八割の市町村が採用している方法で算定した国民健康保険の保険料(税)の保険料(税)率の全国平均を用いて算定した保険料(税)額と、各後期高齢者医療広域連合で設定された後期高齢者医療の保険料率の全国平均を用いて算定した保険料額を比較すれば、基礎年金受給者や平均的な厚生年金受給者においては負担減となる傾向にあると考えている。
 御指摘の差別的な取扱いが意味するところは必ずしも明らかではないが、高齢者の医療の確保に関する法律は、その第一条の目的にあるように、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために必要な制度を設けることとしており、もとより、年齢を理由として後期高齢者に不利な取扱いをすることを意図しているわけではない。厚生労働省としては、このような目的を踏まえた後期高齢者医療制度の構築に努めてきているところであり、今後とも制度の適切な運用に努めてまいりたい。



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