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答弁本文情報

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平成二十三年二月四日受領
答弁第二二号

  内閣衆質一七七第二二号
  平成二十三年二月四日
内閣総理大臣 菅 直人

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員馳浩君提出自殺対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員馳浩君提出自殺対策に関する質問に対する答弁書



一について

 警察庁の統計によれば、平成二十二年中における自殺者の総数(暫定値)は三万千六百五十五人であるが、原因、動機等については集計中である。

二について

 「年内に集中的に実施する自殺対策の取組について」(平成二十二年九月七日自殺総合対策会議自殺対策タスクフォース決定)においては、「平成二十二年の年間自殺者数については、十三年ぶりに三万人を下回ることを目指」すこととされている。平成二十二年中における自殺者の総数は、一についてで述べたとおり、九年ぶりに三万二千人を下回ったところであるが、三万人を超えたことについては、政府として極めて深刻に受け止めている。
 自殺は多様かつ複合的な原因及び背景を有するものであり、お尋ねの「取組みが足りなかった部分」についてお答えすることは困難であるが、今後とも、自殺対策基本法(平成十八年法律第八十五号)、「自殺総合対策大綱」(平成十九年六月八日閣議決定)等に基づき、自殺対策の総合的な推進に全力で取り組んでまいりたい。

三について

 自殺は多様かつ複合的な原因及び背景を有するものであることから、自殺対策の推進に係る啓発活動の効果について具体的にお答えすることは困難であるが、平成二十二年三月及び九月に啓発活動を始めとする取組を重点的に実施したところ、警察庁の統計によれば、翌月に当たる同年四月及び十月の月間自殺者数は、前年同月に比べ大きく減少していること等から、一定の効果があるものと考えている。自殺対策の推進のため、今後とも効果的な啓発活動の実施に努めてまいりたい。

四から六までについて

 自殺は、社会的な要因も含む複数の要因が複雑に関係して引き起こされるものであるが、一般的に、経済・雇用情勢の悪化は、自殺者数の増加に影響を及ぼす要因の一つであると認識しており、御指摘のような社会的な要因が関係している自殺を予防するためには、雇用情勢などの経済情勢の改善や社会的な要因の背景にある制度・慣行そのものの見直しが重要であると認識している。

七について

 マスメディアによる自殺報道については、事実関係に併せて自殺の危険を示すサインやその対応方法等の情報を提供することにより、自殺予防を含めた自殺対策の推進に効果が期待される一方で、自殺手段の詳細な報道や短期集中的な報道は、他の自殺を誘発する危険性もあるため、政府としては、いわゆる国民の知る権利や報道の自由も勘案しつつ、適切な報道が行われることを期待しているところである。

八について

 警察庁の統計によれば、平成二十一年中における自殺者のうち「うつ病」が自殺の原因・動機として推定できるものは、約二十一パーセントとなっている。

九について

 産後鬱病については、出産に伴う身体の変化、育児の精神的負担等の原因があるものと承知しており、保健所等において妊産婦等からの相談に対応しているほか、都道府県及び政令指定都市において、内科医、産婦人科医等に対し、鬱病の症状を有する者への適切な対応を図るための研修会を開催しているところである。また、市町村においては、新生児訪問、乳児健康診査等の機会に鬱病の症状を有する母親の把握に努め、適切な支援を行っているものと承知している。

十について

 産後鬱病と児童虐待等との関係については、必ずしも詳細には明らかになっていないものと認識しているが、社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会においては、虐待による死亡が生じ得るリスク要因の一つとして、保護者等が強い抑鬱状態であることが指摘されており、平成二十二年七月に同専門委員会が取りまとめた「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第六次報告)」では、平成二十年四月から平成二十一年三月までの児童虐待による死亡事例百五例のうち、養育者の心理的・精神的問題として産後鬱病が見られたものは三例であったとしている。

十一について

 自殺の背景には鬱病への罹患がある場合も多いと考えられることから、政府としても、鬱病患者に適切な医療等を提供することは重要であると認識しており、自殺対策基本法、「自殺総合対策大綱」等に基づき、平成二十二年九月に自殺総合対策会議に設置した自殺対策タスクフォースを中心に、鬱病対策も含めた必要な緊急対策の機動的な実施等を行っているところである。
 厚生労働省においては、鬱病患者が最初に受診することが多いかかりつけ医への研修を実施する都道府県及び政令指定都市に対し補助を行っているほか、鬱病に有効であるとされる認知行動療法について、平成二十二年度診療報酬改定で新たに診療報酬上の評価を創設するとともに、同年度より独立行政法人国立精神・神経医療研究センターにおいて認知行動療法に係る研修を開始している。さらに、平成二十二年度第一次補正予算により、かかりつけ医と精神科医の連携体制を構築する事業や精神医療関係者に対する鬱病に関する研修を実施する都道府県に対し、地域自殺対策緊急強化基金の積増しのための交付金を交付することとしている。
 また、職場におけるメンタルヘルス対策については、「今後の職場における安全衛生対策について」(平成二十二年十二月二十二日労働政策審議会建議)を踏まえ、今後、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)の改正を含め、その強化について検討することとしている。



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