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昭和二十四年五月六日提出
質問第一八号

 労調法及び日本セメント株式会社爭議に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和二十四年五月六日

提出者  大矢省三

          衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿




労調法及び日本セメント株式会社爭議に関する質問主意書


質問要旨及び理由
一、労働基準法に規定せられている労働時間、休日、安全衛生の基準を労働者が嚴守することにより、過去における会社の運営(超過労働と危險にさらされつつ作業していた労働者の極端な犠牲によつて運営されて來た会社の運営)が阻害される。
  これが労調法第七條にいう爭議行爲であるや。
二、日本セメント株式会社は、前項に基く生産低下を理由として、北海道上磯郡上磯町上磯工場、東京都西多摩郡大久野村西多摩工場、福岡縣田川郡香春町香春工場においてその間日給及び月給制(出來高拂制でない。)の労働者の賃金を生産低下率だけ不拂いを行つている。
  又労働者の正当な二十四時間ストライキに際し、労働しなかつた一日分の賃金を不拂いにするだけでなく、更に生産低下率を不拂いにする等明かに基準法第二十四條、労組法第十一條、第十二條及び労調法第四十條違反の惡質行爲を平然と敢行しているが、管轄の労働基準監督機関、檢察廳は労働者の切実なる告訴、申請に対してなんら積極的処置を行わないのはいかなる理由であるか。
  又日本セメント株式会社のこの不法行爲を敢行せる事実に対し、緊急処置としていかなる処置をとられるか。
三、日本セメント株式会社は、労働基準法に規定される八時間労働、週休等の最低基準が現在においてすら履行されていない程の過重労働を労働者に行わしているが、この会社が九原則に藉口して更に人員整理を敢行せんとしているが、これは九原則に便乘し労働者に極端な犠牲を強要せんとするものであり、もしかくの如き使用者の時局便乘行爲が許されるならば労働法は空文と化し、労働者は再び過去の奴隷的地位に追い込まれ、侵略戰爭への道を進む恐るべき前兆である。
  これに対し政府はいかなる処置をとるや。
四、日本セメント株式会社の使用者は、自ら労働協約の有効期間中であるにかかわらず破棄して爭議を挑発し、すでに現在約七〇%の生産高を占むる四工場を無期限に閉鎖し、生産は激減している。
  これはセメント生産の國家的重要性から、又現在の社会状勢下にあつては労働者の生存権を破壞し、実質的に爭議権を封殺してしまう強暴な行爲であり、当然労働法の精神又公益上の立場から使用者側の権利の濫用であり、かくの如き資本家側の生存権を破壞し、公益を無視して自ら積極的に敢行する無期限強力工場閉鎖は違法性をもつものであり、これに対する処置如何。
五、日本セメントの労働爭議はすでに二月中旬以來三箇月になんなんとしており、労働省の協約有効の見解が発表され、又各地方裁判所においても協約有効の仮処分決定が出ているようであるが、しかも会社側の協約破棄、團体交渉の否認、工場閉鎖、賃金不拂等極めて惡質な、しかも強暴な積極的攻撃は更に続けられており益々深刻化し、全然解決の曙光が見出せない。
  この爭議は國家的に極めて重要な問題であると思うが、政府はこの問題に対しいかなる見解をもつておるや。

 右質問する。





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