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昭和四十七年三月十七日提出
質問第五号

 税理士制度に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十七年三月十七日

提出者  横山利秋

          衆議院議長 (注)田 中 殿




税理士制度に関する質問主意書


一 納税申告期を控えて、国民は税金及び税務行政について、改めて広汎な希望や、不満をいだいている。わが国はシャウプ勧告以来、自主申告納税を基本とした租税法定主義による納税制度を採用し今日にいたつているが、経済社会の複雑化とあいまつて、一部不平等、税法の難解、重税、手続の繁雑など、数多くの問題がある。
  このような問題は、根本的な再検討を必要としているが、日常の一つ一つの事案を国と納税者の間に立つて円滑にすすめるための税理士の任務はきわめて大きいものがある。従つて、社会的使命をもつ税理士の近代社会におけるあるべき姿については、各方面で論議をされているのである。
二 税理士の実際活動は、租税に関する職業専門家として納税者の代理人となり納税義務の実現及び権利救済に奉仕することであるのは当然であるが、更に租税の憲法的意義(租税法定主義)をふまえて、租税制度全般にわたつて、国民の権利を擁護すべき立場にあると考える。
  この点について、現行法には「中正の立場」というあいまいな表現があり、更に大蔵省、国税庁の税理士会及び税理士に対する監督権及びその行政指導があいまつて税理士制度をたんに「納税行政の補助機関」としてとらえ、かつ、行政が行なわれているきらいがつよい。
  この際税理士の基本的職責を再検討し、「税理士は租税法による国民の権利を擁護し納税義務の適正な実現を図る」ことを税理士の使命として根本規定として、改正し、これに基づいて、現行税理士制度の細目についても自主的に組織を強化し、自主的に賞罰を行ない、自主的に研究を行ない、社会的地位を向上しうるよう法律改正をすべきではないか。
  政府の基本的方針をききたい。
三 次に、昭和二十六年税理士法が定められていらい、今日税理士の数二万五千名に達するが、税理士になるためには、高度な税理士試験に合格したもの、及び弁護士で日本税理士会連合会に登録したもの又は公認会計士で国税庁長官に通知したものなどであるが、最近の状勢では、学生や会計事務所所員などの税理士試験受験者が三万三千名、他にこれを目ざして勉学に励んでいるもの約二万名はあるといわれている。そしてこの試験の合格率は昭和四十六年度の場合で十三・一パーセント(科目合格率)、最終合格率二・二パーセントのきわめて狭い門となつている。
  他方昭和三十一年の国会で、政府提案による五ヵ年の時限立法が通過したが、これは国税の税務職員で二十年以上、地方税二十五年以上の税務行政事務経験者と旧計理士の救済措置として、特別に税務を免除し、「簿記会計」は商工会議所検定三級試験程度の安易なものによる特別試験制を実施するものであつた。五ヵ年の時限立法にかかわらずその後十五年を経過する今日でもずるずると続いており、この試験をうけて合格した人の九十五パーセントが国税職員で、かつ、合格率が七十六パーセントであり、現在二万名に達している。そのうち約五千二百名が税理士として開業し、残りの大部分は税務職員として在職している。
  この比率をみると、厳正な国家試験が一方で十三パーセント台の合格率、最終二・二パーセント、他方は七十六パーセントという合格率であることは、いかにも不公平な扱いがされていることを痛感せざるを得ない。
四 公務員の経験あるがゆえの受験資格、試験課目の特例を設け、かつ、合格率を優遇することは絶対に過度であつてはならない。
  本来、憲法は「すべて国民は、法の下に平等であつて、……差別されない。」とされているから、かかる特例を設けることは違憲の疑いすらなしとしない。
  本件について、弁護士、公証人、公認会計士、司法書士、弁理士等各種の現行法体系を調査したが、区区にわたり、一貫した基準がないようであり、特に税理士、司法書士の特例措置の現状は、考えさせられるものがある。
  その上、最近在職中の税務官吏が退職後の開業準備や就職準備のため、先輩、同僚、部下とのなれあい的な事務をしたり、顧問先の獲得行為や、天下り的就職などが新聞紙上に報道されているし、特に中小企業からの訴えがつよい。
  本来特例措置は廃止し、一般公正競争試験にすべきではないか。
  それにいたるまでの措置としても、一般試験との合格率の比較結果について改善をすべきではないか。
  政府の本問題についての判断と改善策を問いたい。

 右質問する。





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