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昭和四十七年七月十日提出
質問第一号

 台湾の帰属および台湾条項の消滅等に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十七年七月十日

提出者  春日一幸

          衆議院議長 (注)田 中 殿




台湾の帰属および台湾条項の消滅等に関する質問主意書


 日中問題の核心は台湾問題であることにかんがみ、一九六九年日米共同声明にある台湾条項が ―― 今後も存続するのか、もしくは消滅したのであるか、――この点に関し、前国会において政府の見解を質したところであるが、当時の政府の答弁はきわめて不満足であり、とうてい納得できないと考えるので、改めて次の諸点に関する政府としての統一見解を明確に示されるよう要求する。

一 台湾の帰属については、カイロ宣言で中国に返還することが明示され、ポツダム宣言でこのことが確認され、かつ、わが国は降伏文書でこのポツダム宣言を受諾した歴史的経緯にかんがみるときは、サン・フランシスコ平和条約にあるわが国の台湾放棄は、中国に向かつてなされたと解するのが自然であり、政府としても、この点を率直に認め、日本の自主的な立場から「台湾が中国の領土である」ことを発言するに躊躇すべきではないと考えるがどうか。
二 政府は、「中華人民共和国政府が中国を代表する正統政府であるとの認識に立つて日中国交正常化のための政府間交渉に臨む考えである」ことを明らかにしているが、このことは、もちろん中華人民共和国政府を中国を代表する“唯一の”正統政府と認める趣意を示されたものと解するがどうか。
三 政府は、台湾問題については、両当事者間の平和的な話し合いによる解決を希望し、かつ、このような話し合いによる解決の結果を尊重する考えであることを明らかにしているが、このことは、台湾問題は中国の内政問題として両当事者間の話し合いによつて解決すべきであることを基本的に認めたものと解して差し支えないか。
四 政府は、一九六九年日米共同声明にある台湾条項の基礎にあつた台湾地域の情勢に対する認識について、この地域をめぐつて武力紛争が発生する可能性はほとんどなくなつたと考えられるから、その「認識は変わつたものと考える」としているが、このことは、上記台湾条項が事実上消滅したことを意味するものと考えるがどうか。
五 ニクソン米大統領の頭越し訪中の結果発表された本年二月の米中共同コミュニケで、米国は、「平和五原則にのつとり国家関係を進めるべきであることを認めるとともに、台湾問題が中国人自身により平和的に解決されることがその利益に合うことを再確認し、このような見通しを念頭に置いて、米国は米軍全兵力および全軍事施設の台湾からの撤退を最終的な目標とすることを確認し、その間、米国は台湾地域の緊張が緩和するに従つて、自国軍兵力ならびに軍事施設を台湾から漸進的に削減する」ことの意向を表明している。このことは、日米安保条約の基礎にあつた台湾地域の情勢に対する認識が変わつたことを意味するものであり、かたがた台湾は中国の領土としていまや共産圏地域に含まれることになつたと考えられる以上、同条約のいわゆる極東条項は、台湾に対しては、建前としてはもはや機能することの意義を失つたと考えるべきであると思うがどうか。
六 これを要するに、国際政治の潮の流れは刻々と変わり、冷戦構造から平和構造へ移りつつある。わが国としては、この潮の流れを達観し、自主的な立場に立つて、すみやかに日中国交正常化を実現するよう、政府はこれを積極的に推進すべきであると考えるがどうか。

 右質問する。





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