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昭和四十八年十二月一日提出
質問第一号

 本山製作所の不当労働行為に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十八年十二月一日

提出者  日野吉夫

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




本山製作所の不当労働行為に関する質問主意書


 宮城県の金属機械産業の中で重要な位置を占め、自動調節弁等バルブ工業の中で一定の役割をもつている仙台市の本山製作所は、去る昭和四十七年五月二十日「特別防衛保障株式会社」のガードマンを導入し十数名の負傷者を発生させて以来、今日までおよそ延べ七百五十名にのぼる重軽傷者を発生させている。この中には現地視察中の社会党県会議員に対する全治二か月の暴行も含まれている。
 本山製作所はこうした暴力ガードマン、会社職制らの暴力行為、差別行為、組合員切崩しなどの不当労働行為、賃金不払などをはじめとする違法行為を続け、労働組合(全国金属労組本山製作所支部)の壊滅と労働者の基本的権利の侵害はく奪を進めている。重大なことはこれら暴力を中心とした不当労働行為、不法行為が司法機関、行政機関等の決定、命令、行政指導を全く無視、拒否して行われていることである。すなわち、昨年五月二十九日前記暴力ガードマンが導入された直後に仙台地方裁判所は、会社職制ならびにガードマン等による「組合活動の妨害排除」の仮処分決定を下したにもかかわらず、今日まで暴力で組合活動を封殺し、組合員の中に多数の負傷者を発生させている。
 宮城県地方労働委員会が昨年六月、七月、八月と三度にわたり行つた「ガードマン退去」勧告を公然と拒否し、更に、この特別防衛保障株式会社などを取締り目標として制定された「警備業法」の施行(十一月一日)の直前、十月二十三日に前記ガードマンを本山製作所の社員にデッチあげ「警備課」を設置し、一層公然たる暴力行為を拡大するという脱法、違法行為を行つている。既にふれた社会党県会議員に対する集団暴行(昨年十二月十二日)のあと、世論の批難に対し本山製作所は違法な先制的・攻撃的ロックアウトを行い、今年七月二十六日以降は前記組合員を金網とさくで特別に囲つた強制収容所とも申すべきところで暴力ガードマンの監視の下で就労させようとしている。
 今年四月十六日付で宮城県地方労働委員会は、ガードマンの存在自体が不当労働行為だとして撤去命令を下したが会社はこれも拒否、更に中央労働委員会の初審命令履行勧告をも無視して今日に至つている。本山製作所のこれら不当労働行為、不法行為は重大な社会問題となつており緊急にその対策と実効が図られなければならない。これら不当労働行為と団結権、争議権の侵害、経営者の社会的責任の放棄、反社会的行為に対して厳しく糾弾と是正が行われる必要がある。
 以上のごとく今や全国金属労組本山製作所支部に対する会社の暴力管理を中心とする不法行為は大きな社会的問題となつており、全国の労働者が早急なる解決を求めている現状である。本山製作所に対する怒りと抗議の声は日々拡大し、全国労働者の声となつているのが現状であるから、早急な解決を求めるため次の事項について政府の見解を伺いたい。

一 本山製作所のガードマンの「社員化」とその後引続き行つている各社間のガードマンの移動等に関し、職業安定法第四十四条違反であるとして、今年三月特別防衛保障株式会社、同役員宅、本山製作所の各家宅捜査を行い、三月六日衆議院予算委員会第一分科会等で斎藤一郎警察庁刑事局保安部長は「できるだけ最短の時間でやりたい。」と決意を表明し、田中法務大臣も「最善を尽し善処する。」と約束したが、その後具体的な報告がないので、どのような捜査が進められているのか明らかにされたい。
二 地方労働委員会の命令は、労働組合法第二十七条第五項により、使用者が中央労働委員会に再審査申立を行つてもその効力が停止しないことを明記しているが、本山製作所が行つている現実に照らして地方労働委員会命令の効力はあるのか否か。
三 全国金属労組本山製作所支部の組合員等は、今年三月違法ロックアウト中の賃金支払、ガードマン等の暴行に関し職制に対して抗議を行つたり、負傷の治療にいつたことに対して不当に賃金をカットされたこと等について、労働基準法第百四条第二項に基づき申告を行つた。これらは明白に同法第二十四条違反だからである。
  仙台労働基準監督署は三月二十三日文書により、ロックアウトが違法か否かの判断はできないが違法判定がでれば請求権が発生する。また、三月二十七日の調査でガードマンの存在の不当性が明らかになれば前記賃金カットは違法であり、請求権が発生すると答弁している。四月十六日付宮城県地方労働委員会のガードマン撤去命令、十月十三日仙台地方裁判所の違法ロックアウト期間中の賃金支払の仮処分決定などで明確になつている。しかし、同会社は前述のごとく「金網、別棟就労」でこたえている。このことは同法第百四条に基づき申立てたこと、それを理由に別棟金網内就労を会社が組合に通告したことは、労働者の差別であり、同法第百四条第二項、同法第三条に明白に違反している。この点に関し政府の見解を伺いたい。
四 本山製作所は、仙台地方裁判所、宮城県地方労働委員会、仙台労働基準監督署等から数多くの違法行為が指摘されている。今年九月十八日の衆議院社会労働委員会において加藤労働大臣は、労働基準法違反、不当労働行為等を行つた者に対して、公共事業の発注禁止、指名取消、金融、税制等の問題で速やかに対処する旨答弁しているが、政府として、これらを含め本争議を解決するのか否か明らかにされたい。
五 本山製作所問題について、これまで衆議院、参議院の各予算委員会、法務委員会、社会労働委員会、地方行政委員会等において再三、再四、本山製作所の不当性を追求され、労働省は具体的な対策を行うと答弁を繰返し行つているが、いかなる対策をするのか明らかにされたい。
六 警察当局が労働争議に介入しないのは原則である。しかるに、本争議に警察が介入し、会社構内に入り、違法ロックアウトに対し就労要求行動を行つている組合員に威圧を加え、実力で妨害したことは十月十三日の仙台地方裁判所決定をまつまでもなく明白なる過剰警備であり、労使争議に対する介入、しかも企業側にたつた介入と判断できるが、政府の明確なる見解を求めたい。

 右質問する。





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