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昭和五十年七月四日提出
質問第二九号

 金大中事件及び文世光事件に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十年七月四日

提出者  小林 進

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




金大中事件及び文世光事件に関する質問主意書


 昭和四十八年八月八日東京において発生した韓国の元大統領候補金大中氏の拉致事件及び同四十九年八月十五日ソウルにおいて発生した朴大統領狙撃事件等に関連して行われてきた一連の国会審議において、政府は誠意を欠き、一時しのぎの答弁を行い、時間の経過の中で、国会における答弁とは無関係に問題を処理しようとしている。この事実は、国権の最高機関たる国会の権威を傷つけ、主権在民の憲法の大本をも揺るがすものだという強い批判と怒りの声が、広範な国民の間に沸き起こつている。
 私は、国民の代表として、また日韓問題を追求し続けてきた一員として、こうした国民の批判に重大な責任を感じ、私の過去における質問において正確な答弁が得られなかつた問題点について、ここに質問する。

一 三月四日の衆議院予算委員会における私の質問に対し、宮澤外務大臣は、「日韓閣僚会議を開くとすれば、それが日韓国民レベルの友好の契機となるというふん囲気ができなければならないと、韓国の南副総理に言つて賛同を得た」と答弁した。また六月初旬に韓国の金首相と会談した三木首相は、「今後両国で国民相互の信頼関係を築くため、互いに努力しよう。定期閣僚会議再開については、国民レベルでの末長い日韓友好の契機でなければならない。」と述べたと報道されている。
  国民はこれらの発言を、一応道理にかない筋のとおつた見解であると受けとつた。国民相互の信頼関係を築くための前提は、政府の国会答弁で一貫していた「一切の政治的圧力を排して金大中事件の真相を解明する」という方針を貫くことである。すなわち指紋という物的科学的証拠を残した金東雲一等書記官を中心に、劉永福副領事を初めとする事件直後に日本から消えた全容疑者及び犯行に使用したと思われる車両などの捜査を進めて事件の全容を明らかにすること、韓国政府による我が国に対する主権の侵害を立証すること、金大中氏の原状回復を実現してその人権問題も解決すること、等である。
  しかるに、最近「金東雲問題について政治的決着をつけ、日韓定期閣僚会議を開く」という外務省見解が発表され、また宮澤外務大臣の訪韓が伝えられている。
  政府は、従来の国会答弁を反古にし、国民の期待を裏切り、日本国民を日韓ゆ着の泥沼に一層深く引きずり込むつもりなのか。政府の誠意ある解答を得たい。
二 三月四日の予算委員会において私が、「日本の捜査当局は韓国側から、文世光の発射した弾丸が夫人に命中した証拠となる科学的捜査資料を得ているのか」と質問したことに対し、三井脩警察庁警備局長は、「持つております」と確答し、「その内容は、文世光が本件狙撃事件に使用いたしました拳銃の番号、並びに試射弾丸の送付をうけ、鑑定の結果間違いないという結論がでております。」と答弁した。
  この答弁は、国民の代表である私に対して誠実を欠くのみならず不正確であり、日本国民を欺くものと思考する。というのは政府が答えた二つの資料は、日本の警察から盗んだ拳銃であるという証拠でしかなく、文世光が現場で発射し、その弾丸が陸夫人に命中したことを示す証拠品ではないからである。この問題点は、世界中が不可解に感じているところであり、この答弁ではこの疑問を解明する力にはなつていない。韓国の捜査発表においても、文世光の裁判においても、陸夫人の解剖結果、特に命中した弾丸はどの角度から入り、どの拳銃から発射されたのかという点、また貫通した弾丸が発見されたのかどうかについても、何ら明らかにされず、韓国政府に対する疑問には何ら答えていない。
  私は、こうした不誠実な答弁によつて、国権の最高機関の権威が傷つけられることを恐れ、立法府と国民に対する政府の責任を明らかにするために、金大中拉致事件及び文世光事件の捜査経過及び結果を、包み隠さず正確に答弁することを要求する。

 右質問する。





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