衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
昭和五十一年九月二十九日提出
質問第一号

 石油パイプライン事業法の運用の実態に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十一年九月二十九日

提出者  木原 実

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




石油パイプライン事業法の運用の実態に関する質問主意書


 石油パイプライン事業法(以下単に法という)の立法の精神と運用の実態に隔差が生じているように思われるので、以下の質問に答弁を求める次第である。

一 法施行当時(昭和四十七年十二月)、法第三条に定める石油パイプラインマスタープラン(通産公報昭和四十七年十月二十四日号所載)がけん伝され、総合エネルギー調査会報告では、石油流通の革命的手段としてのパイプラインの必要性が熱狂的に強調された。
  我が国の至る所で、石油パイプライン事業がぼつ興する事態を想起させるものであつたが、その後四年を経過した現在、実情はそうなつていないようである。
 1 法第三条に定める石油パイプライン基本計画は告示されているのか。告示されていないとすれば、その理由を承わりたい。
 2 法第五条第一項に定める石油パイプライン事業の許可を正式に受けた事業者は存在するのか。(この質問には、法の附則施行令により、届出等のみで許可を受けたものとみなされることとされた日本国有鉄道と新東京国際空港公団(以下単に空港公団という)は含まれない。)
 3 法施行後四年を経過しても、事業が行われない理由は何か。石油パイプラインの必要性として叫ばれた合理性、安定性、安全性のうち、いずれが不要となつたのか、若しくはいずれが実現の見込みを失つたのかを含めて明らかにされたい。
 4 法制定過程で、我が国への石油供給見通しに関する調査を行つた機関名とその報告書を明らかにされたい。
二 法に基づく事業を行うべく、すでにパイプラインを部分的に布設した空港公団の航空燃料輸送パイプライン(以下本格パイプラインという)に関する事実経過と法の運用について承わりたい。
 1 本格パイプラインの既設部分は、法第五条第一項の事業用施設であるのか、法第二十五条の事業用施設であるのか、法第四十条第二項の事業用施設であるのか、それぞれどの時点で事業用施設となつたか、若しくはなるのかを添えて明らかにされたい。
 2 本格パイプラインの千葉市内における既設部分(以下単に既設部分という)の総延長を明らかにされたい。また既設部分について、現在、占使用許可(港湾法、地方自治法等)を受けている部分の延長を、許可者別にすべて明らかにされたい。
 3 既設部分の総延長が、昭和四十八年九月二十七日現在の数字と異なつているならば、その理由を明らかにし、その変更がいつ行われたか、何ゆえに必要であつたのかを明らかにされたい。
 4 自治大臣は、法第四十一条第四項によつて、工事の計画及び検査並びに保安に関する事項についての主務大臣である。自治大臣は前項の質問にある変更の事実を法に基づき承知しているか、根拠を添えて明らかにされたい。承知していないとすれば、法第二十五条第二項の責務がいかにして果たされるのかを説明されたい。
三 本格パイプラインについて、法第十五条第一項の工事計画の認可(以下単に十五条認可という)がなされていないことに関し、内閣衆質七一第二〇号(昭和四十八年九月二十八日付)において、「技術基準の細目の告示後早急に所定の手続を講ずることとなつている」との答弁を得ているが、技術基準の細目の告示は昭和四十八年九月二十八日に行われている。その後、三年を経過しているが、本格パイプラインは、現在でも十五条認可を受けておらず、空港公団は十五条認可の申請をしていない。
  法第十五条第二項に基づく申請期限は、当初昭和五十年三月末日であり、これは、空港公団の五十年三月二十四日付空公給管第二七号(以下五十年延期理由という)の申請により、昭和五十一年三月に変更が認められ、さらに五十一年三月二十三日付空公給管第二二号(以下五十一年延期理由という)の申請により、昭和五十二年三月末日に変更が認められている。
 1 五十年の延期理由では、空港公団が千葉地方裁判所から「関係住民との協議を重ね、その納得を可及的に得るよう慎重な配慮をすること」が望まれていることが挙げられている。当該仮処分決定は、昭和四十七年七月三十一日であり、その後四年以上経過しているが、この間に空港公団が、関係住民との協議に関して、自らの責任で行つた努力の事実が存在するのか否か、事実経過を明らかにされたい。
 2 五十一年の延期理由では、五十年の延期理由から前項の千葉地裁決定が削除されている。削除した理由を明らかにされたい。
 3 五十年の延期理由、五十一年の延期理由のいずれにおいても、「地区住民は、関係行政庁に対し、道路占用許可の取消しの請求及び陳情等を行つて、」との記載がある。昭和四十九年四月以後、地区住民が道路占用許可の取消しの請求及び陳情を行つた事実が存在するのか。
   そもそも空港公団は、千葉市内の県道及び市道部分において、昭和四十九年四月以後、道路占用許可(更新許可を含む)を一件でも得ているのか、どうかを明らかにされたい。
 4 地区住民は、行政不服審査法に基づいて、千葉市内の本格パイプライン既設部分のうち、海岸地区団地群が集中する千葉県企業庁管理の行政資産に関する行政資産使用許可の取消しの請求を行つている。
   前項の道路占用許可は、この行政資産使用許可の誤りと考えてよいか。
 5 法第十五条第四項は、十五条認可の申請期限を「天災その他やむを得ない理由があるとき」は認めることができるとしているが、虚偽の記載を含むような空港公団の延期申請理由が二度も認められた以上、今後、すべての石油パイプライン事業者に対しての前例となり、事実上十五条認可は使用直前まで不要となる恐れがないのか、立法の精神にかんがみつつ、十五条の運用について釈明を求める次第である。
 6 二の1に関係することであるが、自治大臣は、法第二十五条の主務大臣であり、かつ十五条認可の申請があるまでは、事業用施設の設置場所、構造の細目を公式に知ることがない立場にある。にもかかわらず、本格パイプラインのように、パイプライン設置後、何年間も十五条認可の申請がないという事態が生ずる原因は、法の欠陥にあるのか、法の運用の問題なのか、それ以外の問題なのか、自治大臣の所見を承わりたい。
四 本格パイプラインは、法施行前は消防法の適用であつたとの答弁を、昭和四十九年五月十日付内閣衆質七二第二〇号で得ているが、空港公団は、消防法第十一条第一項の設置許可申請をせずに工事を行つた。同じ答弁書で空港公団が消防法の許可申請をしなかつた理由として、「石油パイプライン事業法の制定により同法の規制を受けることとなり、消防法の適用が除外されることが予定されていた」との答弁を受けた。空港公団が成田市で工事を開始した日付は、昭和四十七年三月十五日であり、石油パイプライン事業法案が第六十八通常国会に上程された日よりも前のことである。国会に上程されない法案の成立を前提として、空港公団が消防法の適用除外を予定したとするならば、国会軽視もはなはだしいと断ぜざるを得ない。監督者としての運輸大臣の所見を承わりたい。
五 千葉市内における本格パイプライン既設部分は、設置場所が石油パイプライン事業の事業用施設の技術上の基準を定める省令(以下技術基準省令という)第二条第一項第八号の規定に該当する部分を含む。事実、空港公団は、海岸法第八条に基づく海岸保全区域施設等新設許可を千葉県知事から得ている。このことは、技術基準省令第二条が、付属する告示を引用しないのであるから、法の施行時(昭和四十七年十二月)において明らかであつた。
 1 技術基準省令第二条第二項の発動の問題以前の事実関係として、同条第一項第八号の規定に該当する本格パイプライン既設部分の総延長を明らかにされたい。
 2 運輸大臣及び自治大臣は技術基準省令第二条第二項にいう「その他特別の理由によりやむを得ない場合」として、空港公団から何らかの申請を受けているか。受けているとするならば、日時、申請方法、内容を明らかにされたい。

 右質問する。





経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.