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昭和五十八年十一月十五日提出
質問第二四号

 生活保護制度の改善に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十八年十一月十五日

提出者  小沢和秋

          衆議院議長 福田 一 殿




生活保護制度の改善に関する質問主意書


 現行の生活保護制度は、憲法第二十五条で保障された国民の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を具体化した制度の一つである。第二次臨時行政調査会さえ「真の弱者への福祉の水準は堅持」と述べ、生活保護制度の見直しなど要求しなかつたのは当然である。
 しかるに、去る六月、竹下大蔵大臣は日本記者クラブで講演し、生活保護について基準抑制と国庫負担率の切下げ、地方負担増など抜本的な見直しの意向を表明し、とくに福岡県の生活保護受給者は、「もらいグセがついている」(西日本新聞六月十五日付)などと非難したと伝えられている。もし、この発言のとおりであれば、国の財政の一時的状況により、国民に対する最低生活保障の義務さえ政府が放棄する姿勢を示したものとして重視せざるを得ない。
 よつて、以下のとおり質問する。

一 現実の生活保護基準は、今なお劣悪であり、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するものとなつていない。私のところにも、「親戚の冠婚葬祭にも参加できない」、「病気になつてもまず福祉事務所に行き、医療券の発行をうけねばならない」などの悲痛な訴えがしばしば寄せられている。今後も引き続き基準の改善が急務ではないか。
二 従来、生活保護基準は次年度の民間消費支出の伸びの見通しに見合つて改定されてきた。これは、国民の生活水準が向上すれば、基準にも一定の範囲で反映する方式であり、今後もこのような方式を堅持すべきではないか。
三 本来、国民の最低生活を保障することは、政府の責任であり、生活保護費を地方に負担させること自体に問題がある。それをさらに、国庫負担率を切り下げ、地方にその分を押し付けることは、制度の本来の趣旨からみて到底許されない。大蔵大臣は、国家財政の危機を切り抜けるために、それを地方に転嫁しようと考えているかのごとくであるが、それは地方財政もまた急激に悪化している実態を無視した暴論である。
  とくに生活保護者が集中している地方は、その地域の地方公共団体の財政も極めて窮迫しているのが普通であり、負担割合の改悪が強行されるなら保護費の支給不能という事態も予想される。少なくとも現在の国庫負担八割を今後とも堅持すべきではないか。
四 当面、昭和五十九年度予算編成に当たつては、従来どおりの改定方式、国庫負担率によると理解してよいか。
五 不況の長期化、高齢者の増大などにより困窮者が増大しているにもかかわらず、生活保護費の膨張を抑制するため、運用面で不当な事例が各地で起こつている。北九州市八幡東区では、二級障害者が骨髄炎で療養中であるのに就労を強要して自殺未遂を引き起こした。また、現行の生活保護法で、「必要がある時は、要保護者の資産状況、健康状態その他の事項を調査する」ことができるのに、政府が事前に一括して調査の同意書をとるよう指示したが、これは人権侵害の恐れがあると多くの県や市町村さえ認めている。
  このような指示文書を撤回し、生活困窮者に対し、その実情に即した温かい保護行政を行うべきではないか。

 右質問する。





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