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平成七年十二月四日提出
質問第一八号

最高検察庁の綱紀粛正に関する再質問主意書

提出者  山口敏夫




最高検察庁の綱紀粛正に関する再質問主意書


 最高検察庁の綱紀粛正に関し、以下の質問をする。
 「検察庁法第十四条」(法務大臣の指揮監督)及び「第七条」(検事総長・次長検事)また、国家公務員法「第八条」「第三十九条」「第九十九条」「第百一条」等にもとづき、以下の点につき、『質問主意書』を提出いたしますので、明確な回答をお願いいたします。

 〔質問事項〕
 平成七年十一月十四日、最高検察庁からの当方に対する答弁書には、意図的な疑惑隠しが何点かあると判断しますので、再度質問します。
一 宗像(注)夫氏(前東京地検特捜部長)は平成六年の十月二日、埼玉県「川越カントリークラブ」におけるプレー代金及びその後の福臨門酒家での飲食代金を「会費として相当額を払った」というが、その事実はない。
 (イ)宗像前特捜部長宛の川越カントリークラブの領収証を見ると、支払うべき明細として三万三千百三十円という数字がきちんと明記されているにもかかわらず、領収額の欄は「*****円也」と空欄になっている一方、S氏領収証欄の明細は一万百二十三円であるにもかかわらず、領収証額は「九万七千七百七円」であった。パチンコ機器卸会社経営のH氏宛の領収証は、支払うべき明細が四万九千二百五十円であるにもかかわらず、領収額には「十一万五千六百六十五円」とあり、宗像前特捜部長のプレー代金はS氏の領収額に載せられている。
 (ロ)福臨門酒家における代金は、食事代五十六万四千三百四十四円とお土産代九万六千四百八円、合わせて六十六万七百五十二円だが、この全額分の領収証はA氏の経営していた「東京コスモシステム」宛に出されている。
 (ハ)ベトナム旅行の費用については、宗像前特捜部長が費用を支払ったとすればいくら支払ったのか。法務省大臣官房秘書課長は、宗像前特捜部長は旅行費用について「オプションも含めて四十万円強をS氏に払った」と証言しているとのことだが、同ツアーは航空運賃だけで一人四十一万円かかっている。これは同ツアーの航空チケットを手配したエムオーエアシステム株式会社の手配書及び別の参加者のS氏国際特許事務所からの領収書等で明らかである。これにはホテル費用や観光・飲食諸経費は一切含まれていない。
 (ニ)シンガポールでの高級クラブ及びその他の食事費用については、同行したA氏がその場で現金で払ったが、宗像前特捜部長は一度たりとも支払ったことはないと証言している。
 宗像前特捜部長はこれらの費用をどうしたのか。
 以上の点からしても法務省・最高検の回答は事実に反している。法務省及び最高検察庁が検察官幹部の綱紀粛正に関し、事実関係の究明に真摯な姿勢が見られないのは国民に対する重大な背信行為ではないのか。ここに再調査を要請するとともに、法の権威たる法務省・最高検の回答に一点でも真実でない部分があった場合、(注)永検事総長以下の厳しい監督責任を追求する。また、前回の答弁書を見る限り、最高検は綱紀粛正に関し何ら真剣さは見られず、自己組織の防衛と権威の維持、保身のみに終始し、国民に対する義務と責任を放棄している。当方は不信の念を禁じえず、ここに他の検察幹部の綱紀の粛正に関しても以下質問する。
二 山口悠介氏(現札幌高検検事長)は、平成元年十二月十日、同氏所属の検察庁の忘年会が箱根湯本「Y」にて開かれた際、女性I・Yさんと出会い、その晩から深い恋愛関係となり、交際が始まったとのことである。検事といえども人間、個人的な男女の出会いや交際をとやかく指摘する立場にはないが、このI・Yさんは平成七年三月、横浜地方検察庁において、覚醒剤取締法違反で逮捕、起訴されている。
  I・Yさんは覚醒剤の常用者であり、山口悠介氏はこのことを承知の上での交際を続けていたとのことであり、検事の立場を利用して地方検察庁に対し、この麻薬事件で手心を加えるべく働きかけたことはなかったか。
三 山口悠介氏はこのI・Yさんなる覚醒剤常用者の女性と事件後の平成七年五月以降、新宿歌舞伎町のホテル「Y」にて何度も密会している。I・Yさんが覚醒剤取締法で逮捕、起訴された後もこうした交際を続けていることは、公務員として、また検察幹部としての倫理に反する行為であり、高検検事長として正しい行動といえるのか。事実関係の報告とその見解を承りたい。
四 飛田清弘氏(現福岡高検検事長・前東京地検検事正)に近いご親族であるハワイ在住の女性H・Sさんは、日系マフィアの首領T・Hの情婦であり、ロッキード事件に関与した故・K・O氏のハワイにおける私設工ージェントであったといわれている。東京に滞在中は飛田清弘前東京地検検事正の麹町の「検察官官舎」を定泊先にしていた。
  女性H・Sさんは飛田清弘氏との親族関係、人間関係を巧みに利用して、「土地」や「マンション」等の不動産物件で、詐欺横領罪等の犯罪行為に携わり、絶えず裁判沙汰を起こしていた。「検察官官舎」が詐欺、横領のための舞台として使われ、大勢の被害者から飛田氏の「検察官官舎」に詐欺事件の連絡や問い合わせが殺到したが、飛田氏自身もこれらの処理について親族として関与したといわれているが事実か。
五 女性H・Sさんは、前科のある大物総会屋A氏とも深い関係にあり、当時二人が同棲生活していた渋谷区松濤町にある三菱パークハウスに飛田清弘氏も訪問し、そこで大物総会屋A氏と会ったことがあるか。また、家族的な交流がなされていたのか。検察庁幹部と前科のある大物総会屋A氏との親しい交際は、“黒い交遊疑惑”ではないのか。検察庁として国民の信頼を損ねるものであり、事実関係についての究明を願いたい。
六 神垣清水氏(東京地検刑事部筆頭副部長)は、(注)永検事総長の岡山大学の後輩であるとの関係をもとに、大蔵省の元主計局次長らと同時期において、二信用組合で問題になった民間人K氏らの飲食接待や売春接待に至るまでの饗応を頻繁に受け、遊興を重ねていた。二信用組合の関係者との親しい交際は問題ではないのか。また、検事としても倫理を越えている行動と考えるが、最高検としては本人に対し、どのような調査がなされたのか。対応されたのか。回答願いたい。
七 池田茂穂氏(現東京地検公判部長)は業界紙の経営者だったK・T氏とともに、銀座オーシャンホテル一階のクラブ「P」及び三階の和食レストラン「S」を根拠地として連日のように通い、さまざまな業界及び業者と遊興を重ね、饗応ともいわれる特別な接待を受けていた。また、金銭の授受関係もあったと証言されている。こうした疑惑の渦中にある検察幹部が、公判部長という要職にあっても検察庁は公平、公正な裁判を行うことができるのか。最高検察庁としては綱紀粛正の立場からどう対応されるのか、事実関係とともに回答願いたい。
八 佐野眞一氏(大阪法務局局長)は、法務省営繕課に在職中、法務省が発注する建設工事等で、出入り建設業者から多額の謝礼金を受け取った。
  また、佐野眞一氏は、国税法違反で摘発された業者A氏から依頼を受け、そのもみ消しのために担当検事F氏に対して働きかけをしたと証言されている。法の正義を司る検察官が、悪質な脱税行為に加担し、国民から与えられた権力を乱用することは許されざる行為である。善良な納税者に対し深く謝罪するとともに、最高検察庁は綱紀粛正の立場から早急に調査されるべきと考える。この件の事実関係についても回答を願いたい。
九 (注)永祐介氏(最高検検事総長)及び土肥孝治氏(東京高検検事長)は、大阪に本社があるE社(H.T銀行系のノンバンクから三千億円の資金を引出し九三年十二月、和議とはいえ事実上倒産)の社長N・S氏との深い交遊があったと証言されている。E社は戦後九番目の大型倒産と話題になり、負債総額二千五百億円、うち数百億円が使途不明金といわれ、背任、横領の疑惑が指摘されているにもかかわらず、放置されている件につき大阪地検や国税当局が解明に乗り出さないのは、最高検がこの捜査に圧力をかけているからだといわれている。最高検最高幹部である(注)永現検事総長や土肥東京高検検事長の両名が、大阪高検の検事長・次席検事として在阪していた平成四年から五年にかけて数回にわたって、京都の料亭「K」においてN・S氏の酒席の接待を受け、また、ゴルフ場でも接待を受けた。N・Sとの交際の事実関係はいかなるものであったのか。また、捜査に圧力をかけたことはなかったか、回答願いたい。
十 (注)永祐介氏(最高検検事総長)は、平成七年十一月六日の山口敏夫代議士の議員質問書に関し、「議員質問書の再提出については私としては最大限の努力はしているのだから、山口議員も自重してもらいたい」と山口代議士側と何度かの接触があったか。(注)永検事総長は、これらのやりとりが事実として存在したのを認められるか、ご見解を承りたい。
  国家公務員は国民の奉仕者たる立場において、国の法律を運用する大きな権限が付与されている。にもかかわらず、こうした一連の行為は、検察官の職責上からくる正義の味方意識が独善の世界にはまり込み、国民の公僕として責任を放棄し、自分たちは特別の人という特権意識が検察官僚の体質となり、驕りとなってあらわれているのではないか。
  人権の擁護を怠り、職務上知りえた情報を安易にマスコミにリークし、事件の世論づくりに利用する検察庁の体質、手法は、『法治主義の原則』を踏みにじる違法行為ではないのか。自分たちは何をやっても許されるという独善からくる重大な過失を真剣に反省すべきである。検察庁は国家権力の中でも「捜査権」と「公訴権」と二つの強大な権力を持つ法の番人であり、真の公正、公平な社会実現を目指す使命と責任がある。しかるに、自浄能力のない司法権力の腐敗構造は国民の名において究明、解明されなければならない。
  列記してきた各質問事項が事実であった場合、綱紀の紊乱は目に余るものがある。当事者の責任はもちろんのこと、「法務大臣」及び「検事総長」には、当然、監督責任が存在すると考えるが、いかなる所見をお持ちか、お聞かせ願いたい。
  「調査結果及び調査報告に基づき当該公務員に対してどのような処置をとられるものであるか、再発防止のためにどのような対策を講じられるのか」につき、至急、且つ具体的に回答されることを求める。
  尚、国家公務員法「第百条」等を含め、破綻した「K」信用組合の幹部ら民間人と検察庁幹部との不明朗な交遊疑惑、検察最高幹部のゴルフ場会員権購入疑惑問題等、さまざまな検察疑惑に関し、関係者の証言と資料をもとに、『質問主意書』を再提出することを、通告しておきます。

 右質問する。





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