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平成九年十月二十四日提出
質問第六号

献血による血漿分画製剤の製造・供給の在り方に関する質問主意書

提出者  山本孝史




献血による血漿分画製剤の製造・供給の在り方に関する質問主意書


 献血を原料とする良質な製剤を必要かつ十分な量だけ製造し、医療機関に適正に供給することを目標として、厚生省薬務局長、日本赤十字社副社長、社団法人血液製剤協会理事長名で取り交わされた、平成二年三月七日付の別紙のような内容の「基本合意事項」が存在する。
 この文書を踏まえて、薬害エイズの原因ともなった血液製剤の輸入依存体質を抜本的に改善し、長年にわたり提言されながら実現できずに大きな課題となっている血液製剤の国内自給達成のため、献血による血漿分画製剤の製造・供給の在り方に関して、以下質問する。

一 合意事項第IIIには、「契約期間は5年とし、重大な支障が生じない限り継続する」とある。
 @ 厚生省は、本合意から七年以上が経過した現在も、三者間においてこの合意は有効であるというが、その理解でよいか。各当事者それぞれの認識を伺う。
 A この合意は「重大な支障が生じない限り継続する」とされており、すなわち、よほどの事情がない限り継続されるほど重い合意であったと考えるが、そのような理解でよいか。各当事者それぞれの認識を伺う。
二 この合意書が取り交わされた際には、第Iの(3)にある財団法人血漿分画製剤管理機構(以下、管理機構)が設立されることが当然の前提となっていた。しかし、そこまで合意していながら、管理機構という名称の法人は現在まで設立されていない。
 @ この合意書の締結当時、管理機構はどのような趣旨で設立されようとしていたのか。発起人は誰か。
   また、設立の時期、基本財産の額とその募集方法、就任予定の役員の氏名、役職名等厚生省はその内容を明らかにせよ。
 A 管理機構の設立の動きや設立のための事前協議はいつからあったのか。その契機は何か。厚生省として設立を働きかけたのか。厚生省の見解を伺う。
 B 管理機構が設立されていないのはなぜか。各当事者それぞれの認識を伺う。
 C 管理機構が設立されない一方で、この合意から約四ヶ月しか経過していない平成二年八月一日に財団法人血液製剤調査機構(以下、調査機構)が設立された。
  (一) 管理機構が調査機構に趣旨を変えて設立されたとの話も耳にするが、管理機構が設立されないまま、調査機構が設立された経緯を、厚生省はどのように認識しているか。
  (二) 調査機構設立の動きや設立のための事前協議はいつからあったのか。その契機は何か。厚生省として設立を働きかけたのか。
  (三) 調査機構設立の事前協議に際して、厚生省は設立の趣意書、基本財産の額とその募集方法、就任予定の役員の氏名、役職名等の書類を入手しているはずである。入手した時期とその内容を明らかにせよ。
三 合意事項第Iの(8)には、「供給専門公益法人の整備の推進状況に応じて、供給を公益法人に担当させることを検討していく」とあるが、厚生省はその整備をどのように行ったのか。具体的に述べよ。更に、供給を公益法人に担当させることについて、合意当時と現在との厚生省の認識を伺う。
四 合意事項第IIには、「日本赤十字社は、原則として全ての血液凝固因子製剤を製造・供給する」とあり、平成三年以降の民間製薬メーカーへの製造依頼は例外的であり、この合意が成立した一年後には日赤が製造・供給を行うという合意があった。しかし、現在でもそのような実態とはなっていない。
 @ この合意内容が現在に至るまで履行されていないのはどういう事情、理由によるものか。単に実現が遅れているという認識か。それともこのような合意は既に空文化している、あるいは実現不可能との認識か。厚生省と日赤の認識を伺う。
 A この合意内容は、日赤の常任理事会または理事会(以下、理事会等)において報告され、理事等がその合意を承認していたのか。仮に報告されていないとすると、このような重大な内容が理事会等に報告されていないのはなぜか。
 B 合意内容を現在まで履行しないという意思は、日赤の理事会等において決定されたものか。仮に決定されていないとすれば、どのような機関で合意の不履行の継続というような重大な決定が行われているのか。
五 合意事項第IIの(2)には、「ブランドの一元化等については別に定める」とあるが、別の定めがあるのか。あればその内容を明らかにせよ。ないのであれば、なぜ本合意に定めておきながら別に定める内容を策定しなかったのか、その理由と経緯を明らかにせよ。
六 合意事項第IIの(2)には、「製造依頼料は管理機構で調整を行う」とある。管理機構が設立されていない現状において、製造依頼料の調整はどこで行っているのか。その過程と理由を明らかにせよ。
七 合意事項第IIの(3)では、「供給一元化の時点で製造事業者等の手元にある製剤は、管理機構で定める条件で日本赤十字社が買い取る」とある。この合意の前提の認識として、供給が一元化されるものとなっているが、供給の一元化が実現されていない理由を厚生省並びに日赤はどのように認識をしているか。また、当時と現在とでは認識は異なるのか。

 右質問する。



(別紙)

基本合意事項(平成2年3月7日)

 国民医療における血漿分画製剤の重要性にかんがみ、献血を原料とする良質な製剤を必要かつ十分な量だけ製造し、医療機関に適正に供給することを目標とし関係者が一致協力してその対策を推進すべく下記のとおり合意する。

第I アルブミン、免疫グロブリン製剤
 上記製剤の製造及び供給を、国内に製造プラントを有する(財)化学及血清療法研究所、(株)ミドリ十字、日本製薬(株)(以下「製造事業者」という)に以下の条件により依頼する。
 ただし国内に製造プラントが新たに出来た場合は参加を妨げない。
 (1) 依頼は、平成元年10月以降に渡す原料からとする。
 (2) 製造・供給に関する原料価格は1万円/Lとする。
     ただし上記製剤の市中価格の変動により、依頼に関する基本的経済条件に変動が生じた場合は、協議のうえ暫定的な改定を行う。
 (3) 製造品目及び量は、厚生省、日本赤十字社、(社)日本血液製剤協会及び製造事業者で協議決定する。
 (財)血漿分画製剤管理機構(仮称。以下「管理機構」という。)設立後は、同財団で協議を行う。
 (4) 献血製品相互の供給に競合が生じないよう協議する。
 (5) 製剤の包装材料には赤十字マークを入れ、献血血液をもとに日本赤十字社から製造・供給依頼された製品である旨表示すること。
 (6) 日本赤十字社及び各製造事業者は新規製剤の開発に努める
 (7) 日本赤十字社及び各製造事業者が製造能力を拡大する場合には、厚生省が必要な調整を行う。
 (8) 新血液事業推進検討委員会第一次報告にいう供給専門公益法人の整備の推進状況に応じて、供給を公益法人に担当させることを検討していく。

第II 血液凝固因子製剤
 日本赤十字社は、原則として全ての血液凝固因子製剤(ここでいう血液凝固因子製剤とは、主として血友病及びフォンヴィルブランド病治療薬として使われる製剤とする。)を製造・供給するが、以下の場合を例外とする。
 (1) 平成2年度末までは血液凝固因子製剤の製造依頼を継続する。
     製造依頼条件は基本的に現行どおりとするが、各製造事業者の製造品目及び量の決定については第Iの(3)を準用する。
 (2) 平成3年度以降、例外的に製造依頼する場合は、その品目・量は管理機構で定める。
     ブランドの一元化等については別に定める。
     製造依頼料は管理機構で調整を行う。
 (3) 供給一元化の時点で製造事業者の手元にある製剤は、管理機構が定める条件で日本赤十字社が買い取る。

第III 契約期間等
 1.契約期間は5年とし、重大な支障がない限り継続する。
 2.日本赤十字社が各製造事業者に平成元年9月までに送付した原料で製造される製品のうち、アルブミン、免疫グロブリン製剤の一定量はあらためて当該製造事業者に供給依頼するが、その条件は、厚生省、日本赤十字社、(社)日本血液製剤協会及び製造事業者で協議する。

 平成2年3月7日
 
 厚生省薬務局長
 日本赤十字社副社長
 (社)日本血液製剤協会理事長
 出典 血液事業関係資料集(平成7年度版・財団法人血液製剤調査機構 刊)


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