衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成九年十二月十二日提出
質問第二一号

死刑の執行などに関する質問主意書

提出者  保坂展人




死刑の執行などに関する質問主意書


 死刑をテーマにした米国映画「ラストダンス」や「デッドマン・ウォーキング」が日本でも話題となったほか、日弁連が十一月十九日、内閣総理大臣と法務大臣に死刑の執行停止を求める要望書を提出するなど、死刑のあり方について論議が続いている現状を踏まえ、以下の点を質問する。

一 死刑確定者数と死刑執行者数の公開について
 1 死刑確定者は十二月十二日現在、何人在監しているか。
 2 戦後、今年までの死刑確定者と死刑執行者の年別人数はそれぞれ何人か。
 3 今年の月別死刑執行者数はそれぞれ何人か。うち、医療刑務所ないし拘置所の病舎に在監しているのは何人か。
 4 一九八九年十一月の死刑執行当時までは議員の質問に日別の死刑確定者数や月別の死刑執行者数を回答していたか。
 5 「法務統計月報」から月別の死刑執行者数の項目がなくなったのはいつからか。また、その理由は。
 6 現在、議員の質問に日別の死刑確定者数や月別の死刑執行者数を回答しないとすれば、その理由と法的根拠はどこにあるのか。
二 八九年十二月の国連総会で、日本も含む全会一致で採択された「死刑に直面している者の権利の保護の保障の履行に関する国連決議」と死刑執行にかかる予算について
 1 この決議では国連加盟各国に死刑に関する情報公開を促しているが、日本政府は現状で十分と考えるか。
 2 決議が情報公開を促すのは、各国政府の恣意的な死刑執行の阻止と死刑に関する各国民の議論を高めることなどを意図したものと考えるが、現在日本政府が公開している程度の情報で、司法、立法はもとより、国民から見てもこうした点の検証が可能と考えるか。
 3 死刑執行に要する予算を今年度いくら計上しているか、被執行者一人当たりの予算はいくらか。
 4 執行のための予算は年度当初、どのような手続きを経て算定、計上しているのか。
三 死刑確定者の恩赦出願状況と、八四年五月の国連経済社会理事会で、日本を含む全会一致で採択された「死刑に直面している者の権利の保護の保障に関する決議」について
 1 戦後各年の死刑確定者の恩赦出願件数と認められた件数、却下された件数は。
 2 恩赦出願中に死刑を執行された確定囚はいるか。いるとすれば、何人でそれぞれいつ執行されたのか。
 3 恩赦の審理過程で、被害者の遺族が確定囚に死刑を望まず、減刑を求めた場合、恩赦を認めるかどうかの結論に影響するのか。
 4 八四年の決議では、死刑判決を受けた者に恩赦を求める権利を保障し、恩赦の手続きが行われている間、執行してはならないとされているが、日本の現行法制度とその運用状況はこの決議に照らし、国際的にも通じ得る厳格な保障をしていると考えるか。
四 九三年九月二十一日に最高裁が長谷川敏彦被告に対して言い渡した死刑判決などで、大野正男裁判官が死刑廃止国の増加、死刑確定囚が再審で無罪となったケースが四件も相次いだことなどを挙げ「死刑が残虐な刑罰に当たると評価される余地は著しく増大した。死刑制度廃止に向かう国際的動向と、存続を支持する国民意識が大きな隔たりを持ち続けることは好ましくない」という補足意見を示したことについて
 1 行政府として、この補足意見をどう受け止めたか。
 2 九〇年から今年までに、検察が死刑を求刑した事件の数、各裁判所の判決内容はそれぞれどうなっているか。
 3 大野裁判官の補足意見がその後の検察官の求刑、各裁判所の判決に影響を与えていると考えるか。
 4 九〇年から今年までに、求刑通り死刑を言い渡さなかった判決に対し、検察が控訴、上告した件数はそれぞれどのくらいか。
 5 控訴とは異なり、理由が極めて限定される上告をするのはなぜか。それぞれのケースについて回答を求める。
 6 戦後、検察が死刑を求刑した事件で、被害者の遺族がたとえば宗教上の理由などから、被告に死刑を求めなかったケースはあるか、あるならばその件数及び内容は。
 7 殺人事件などで、被害者の遺族は全員、犯人に死刑を望んでいると考えているか。
 8 被害者に遺族がいれば、その被害感情は裁判で証拠となりうるが、いない場合は立証もできない。すなわち、被告に対する応報感情を法廷に出せる場合と出せない場合があり、これは「法の下の平等」に反するのではないか。
 9 また裁判で被害感情を証言する遺族に、被告側が事実解明のための反対尋問をすることは難しく、当事者主義の訴訟手続き上、不適法な場合も想定されないか。
 10 大野裁判官は補足意見で、死刑適用は限定的に認めながら、一定期間処刑を実験的に停止し、その存続や改善方法を立法府にゆだねたらどうかと提言しているが、具体的な努力を始めているか。
五 日弁連が提出した要望書について
 1 この要望書がどういう手続きを経て提出されたか承知しているか。
 2 日弁連が調査した結果、現行の死刑執行方法や死刑確定者の処遇などは先の二件の国連決議や国際人権規約に違反していると判断したことについて、どう考えるか。
 3 また、国連決議は刑事手続きの全段階で弁護を受ける権利を保障しているのに、日本には逮捕段階の国選弁護人制度などがなく、不十分と指摘している点はどう考えるか。
 4今回の要望は死刑の存廃論議とは別に、人権保障の面から必要な措置を求めたものだが、どう受け止めたか。
六 今年の死刑執行について
 1 今年八月一日、四人に死刑が執行されたと報道された。四人の中には最高裁が判決で死刑相当の基準、要件を示した被告で、在監中の作家活動などから死刑存廃をめぐる論議の象徴的な存在でもあった永山則夫確定囚が含まれていたとされるが、執行が八月一日に決まった経緯について、回答を求める。
 2 国会閉会中で、法務委員会などで議論できない時期に死刑を執行したことに問題があるとは考えないのか。
 3 過去三年間、毎年十二月に死刑が執行されてきたが、今年もあるのか。

 右質問する。





経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.