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平成十年六月十八日提出
質問第六九号

学童疎開船対馬丸に関する質問主意書

提出者  山本孝史




学童疎開船対馬丸に関する質問主意書


 平成九年十二月三日に学童疎開船「対馬丸」の沈没位置が確認されたことを受けて、平成十年三月七日には、洋上慰霊祭が執り行われた。本件に係わる遺族はじめ、関係者の取り組みに敬意を表するが、他の同様事例に対する政府の対応をみるとき、両者の間には大きな差があると言わざるをえない。ついては、戦傷病者・戦没者に対する援護施策の充実を願う立場から、以下の質問を行う。

一 沈没艦船の位置確認について
 1 政府は、太平洋戦争に係わる沈没艦船は何隻であると把握しているのか。
 2 これまで政府は沈没艦船の位置確認に、どのような姿勢で対応してきたのか。積極的に位置確認を行ってはこなかったと理解してよいか。
 3 今回の対馬丸の位置確認は、沈没艦船の位置確認を行わないとしてきたそれまでの政府の姿勢を変更したものと考えてよいのか。
 4 今回の対馬丸の沈没位置確認作業は、これまでの厚生省の姿勢と比べて、行政のバランスを欠いているのではないか。欠いていないとすれば、その理由を明示せよ。
 5 今回、なぜ対馬丸の位置確認を行うこととなったのか。沈没位置に関するより正確な情報が入手できたからか。あるいは、遺族等の強い要望があったからか。理由を明らかにされたい。
 6 九十四年七月二十三日付、朝日新聞「論壇」によれば、潮岬沖に沈没している空母「信濃」の位置確認を遺族が厚生省等に求めた際も、拒否したとされるが、事実か。事実とすれば、その理由はいかなるものか。
 7 他の沈没艦船の位置確認のために、米国内に所在する関係資料や、当時の関係者への聞き取り調査などを行う考えはないのか。
 8 厚生大臣は、本年三月十三日の衆議院厚生委員会で、「遺骨収集とかあるいは慰霊事業等は、厚生省の仕事でありますし、(中略)そういう点に対する情報収集あるいはこれからの問題点についても、鋭意努力していきたい」と答弁されたが、その後、沈没艦船の位置確認や水没遺骨の収集のために、どのような取り組みをしてきたのか。具体的な取り組みの状況を明らかにされたい。
 9 橋本総理は、本年三月十二日の本会議で、「(対馬丸は)その船体の所在すら確認のできない状況が続きましたことを、遺族の方々のお気持ちも考え、何とか捜せないものかという思いでまいりました」と答弁されている。総理のそのお気持ちは、対馬丸以外の沈没艦船の遺族もお持ちである。しからば、政府は、これらの遺族の気持ちにも応えるよう努力すべきではないか。
 10 今後、より正確な沈没位置に関する情報が入手され、遺族の要望があれば、沈没位置確認作業を行う考えはあるか。
 11 対馬丸と同様に、沈没艦船の調査を行ったことはあるのか。あれば、沈没位置、船名、調査期間、調査主体、ならびに調査実施に至る経緯を明らかにされたい。
 12 沈没地点の特定されている沈没艦船はあるか。あれば、船名と沈没年月日、その位置を明らかにされたい。
 13 先般、米国地理学協会がミッドウェー海戦で沈んだ米国空母ヨークタウンの船体を発見した。その際、日本側空母も捜索したが発見できなかったという報道に接した。なぜ、同協会は、日本側空母も捜索対象としたのか。日本側からの働きかけはあったのか。また、事前に日本側への通告はあったのか。あったとすれば、どのように回答したのか。
二 対馬丸の沈没位置確認作業について
 1 どのような経緯で、海洋科学技術センターが、対馬丸の沈没位置確認作業に携わることとなったのか。依頼主体、依頼のなされ方、センターの組織内における実施決定の手順等を明らかにされたい。
 2 作業に要した経費はいくらか。その経費はいかにして調達したのか。また、国費はどのように係わっているのか。
 3 今後同様の依頼を関係大臣から受けた場合、科学技術庁や海洋科学技術センターは、戦時における沈没艦船の位置確認を行うと理解してよいか。
三 戦時遭難船舶被害者の遺族に対する援護施策について
 1 対馬丸遭難学童の遺族に対して、沖縄開発庁予算から「特別支出金」が支給されている。これまでの支給対象人員数と支給総額はどのようになっているか。
 2 対馬丸遭難学童の遺族に対し「特別支出金」を支給している法的根拠はなにか。
 3 昭和五十一年五月六日の社会労働委員会において、橋本(注)太郎委員(当時)は、本件に関し、鋭い質問をされている。当該質問と本件は係わりがあるのか。あるとすれば、どのように係わっているのか。
 4 本業務は、遺族援護の担当部局である厚生省ではなく、なぜ沖縄開発庁の業務になっているのか。
 5 沖縄開発庁の設置法の中に、本業務は含まれるのか。どのように規定されているのか示されたい。
 6 対馬丸遭難学童に対して叙勲がなされたと聞くが、事実か。事実であれば、いかなる理由によって叙勲がなされたのか。「痛ましい」ということ、遺族に対する特別の配慮を表すことを根拠に、叙勲をするという考えは妥当と考えているのか。
四 太平洋戦争中の学童疎開途上の被害について
 1 学童疎開の途上で米国軍等の攻撃を受け、死亡・負傷した学童・引率教師・付添者はいないのか。政府が把握しているそれぞれの数を示せ。
 2 もし該当者がいるのであれば、それらの者に対する見舞金の支給はなされているのか。支給の有無と、支給されている場合はその法的根拠を、支給されていない場合はその理由を示されたい。
 3 対馬丸遭難学童に対する「特別支出金」は、他の同様の状況にある遺族に対する援護施策と比べて、行政のバランスを欠いているのではないか。欠いていないとすれば、その理由を明らかにされたい。
 4 戦闘参加者という類型に依って、沖縄地上戦の犠牲者に対する援護措置を講じてこられたと理解するが、これらの者と、日本本土で空襲によって犠牲となった者を区別する根拠はなにか。

 右質問する。





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