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平成十一年五月二十七日提出
質問第三二号

北陸新幹線若狭ルート堅持に関する質問主意書

提出者  辻 一彦




北陸新幹線若狭ルート堅持に関する質問主意書


 今日、整備新幹線の見直し論議が与党中心に進められているが、この中で特に北陸新幹線が集中的に取り上げられ「若狭ルートの切り捨て」との方向が出ている。北陸新幹線は全国新幹線鉄道整備法により昭和四十八年十一月十三日、北陸新幹線整備計画・若狭ルートが政府決定された。以来福井県、特に若狭の住民は、この三十年近く「いつか新幹線が通る」という悲願で生きてきた。そのために原発銀座を許容するという苦渋の選択を受け入れてきたのである。
 若狭回り新幹線の実現は日本海国土軸の構想、日本海沿いの高速交通網の軸として二十一世紀のかなめとして欠かせない。東海道新幹線の代替、第二動脈としても必要である。さらに、日本海・北陸地区などと大阪との経済的・人的結びつきは大きい。また、大阪までのルート周辺への恩恵は計り知れないものがある。大阪への距離は、米原回りと若狭回りはほぼ同じである。単に東京へ行くのに便利というのは未来を無視した考え方である。
 これらを考えても一方的な財源節約優先の判断は許せない。均衡ある国土の発展・第二動脈の確保などを考えるならば若狭ルートこそ、国家百年の大計、未来の選択である。
 この時に政府決定の若狭ルートを切り捨て米原ルートに転換を図る動きは、福井県民・若狭住民の長年の夢を踏みにじるものであり、断じて認めることの出来ないものである。今や福井県・県南地区・若狭地方では自治体・商工・経済団体を先頭に住民の怒りが渦巻いている現状である。
 以上の基本的態度に立って政府に対し、以下四点を質問する。

一 北陸新幹線は東海道新幹線に東海地震等の万一の災害があった時、日本の最大都市東京と大阪を直結する最重要代替路線である。東京 ― 大阪並びにその近辺は日本最大の人口集中地域であり経済の中枢地域である。これだけの経済力をもつ我が国がこの二大地点を結ぶのに一本の新幹線鉄道しか持たないとは考えられないことであり、国土の維持経営から考えても代替路線は不可欠である。仮に数千億円の経費がこのためかかったとしても代替路線はぜひ確立をすべきである。
  政府は万一に備えた代替路線第二動脈の必要性、重要性をどのように認識しているか、明らかにされたい。
二 若狭地方は世界最大.日本一の原子力発電基地である。この日本一の原子力発電地域を国土の均衡ある発展から取り残すことのないようにするのは政治の責任である。平成十一年現在で、十五基千二百万キロワット、その移出電力は関西経済圏の約半分、大阪、京都の全電力量をまかなっている。これだけの原子力発電基地の立地と維持には地元自治体・住民の並々ならぬ理解と苦労があるといわねばならない。これだけエネルギー電力供給に貢献している自治体・住民に対し、地域振興の最たるもので、しかも既に政府決定されている若狭ルートを切り捨て、国土の均衡ある発展から取り残されることを政府は認めるのかどうか。
三 日本経済の将来の発展方向は環日本海経済圏にあることは明らかである。現在日本経済は沈滞しているが、これだけの教育を受けた働き手があり、技術・資本・人口をもつ我が国はいずれ経済再生発展の日が来ることは疑いない。その時、欧州、北米経済圏に匹敵するものが環日本海経済圏であり、その発展のためには、関西経済圏と日本海経済圏が直結されるべきであり、まさにこれこそが北陸新幹線若狭ルートである。
  北陸新幹線の大動脈は横に曲げるのでなく、関西・大阪 ― 日本海・敦賀は若狭ルートを経て直結されるべきである。環日本海経済圏の発展方向と日本海国土軸の在り方から若狭ルートをどのように考えているのか。
四 用地取得の難易、工事費から財源節約のため米原ルートをとると果たして言い得るのか。政府は昭和四十七〜四十八年若狭ルートが決定された理由として、当時敦賀〜米原ルート、敦賀〜大阪直結若狭ルートがあったが、用地取得、工事費、工期から若狭ルートと決定されたと国会で答弁している。これは米原ルートは、東海道新幹線が過密で北陸からの乗り入れが出来ず、このため米原 ― 大阪間にもう一本の複線が必要であり、これは実現無理と見て若狭ルートを採択したものと推察されるが、この東海道新幹線の過密状況は、今日も何ら変わらず、むしろ増えていると思える。敦賀 ― 米原 ― 大阪につなぐ途がなぜ財源として節減できるのかを試算して若狭ルートと比較して明らかにされたい。
  最後に世界最大の原子力エネルギー基地・福井県、若狭の自治体と住民の三十年の悲願を政府は汲み取るべきことを今一度強く主張する。

 右質問する。





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