答弁本文情報
昭和二十八年十一月五日受領答弁第二号
(質問の 二)
内閣衆質第二号
昭和二十八年十一月五日
内閣総理大臣 吉田 茂
衆議院議長 堤 康次※(注) 殿
衆議院議員八木一※(注)君提出非公務傷病死者等に対する処遇是正に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員八木一※(注)君提出非公務傷病死者等に対する処遇是正に関する質問に対する答弁書
一 恩給法において「公務傷病」というのは、公務のため傷いを受け又は疾病にかかつた場合のその傷病をいうのであつて、ある特定の場合にその傷病が公務傷病であると認められるがためには、公務に従事したことと傷病の発生との間に相当因果関係の存在することが必要であると考えられる。
軍隊勤務中に発病した結核、胃潰瘍、脳溢血等を公務による疾病とみなすか否かについても、また上述したところにより決定すべきものと考えられるので、軍隊勤務中に発病したこれらの疾病をすべて恩給法上の公務による疾病と認めることは困難な場合も少なくないと思われる。しかし、これらの疾病にかかつた者及びこれらの疾病で死亡した者の遺族に対し、何らかの援護的措置を講ずるか否かについては慎重に検討中である。
二 軍役中、爆風水その他の衝撃を受け、その後、内部疾患が発生し、その疾患によつて死亡した場合においては、公務の執行とその衝撃を受けたことと発生した疾患との間に一連の相当因果関係があると認められるときは、その死亡を公務による死亡として取り扱つているが、このような因果関係が認められない場合には、これを公務傷病による死亡として取り扱うことは困難であると考える。
三 終戦の詔勅が発布された後、軍隊勤務中、自決した者についてその死亡をもつて、公務による傷いを受け、又は疾病にかかり、これがため死亡したものと認めるかどうかについては、それぞれの具体的案件についてとくと検討すべきものと思われるが、一律にこれを公務死亡とみなして取り扱う措置を講ずることは困難であると考える。
右答弁する。