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答弁本文情報

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昭和三十五年十月二十二日受領
答弁第一号
(質問の 一)

  内閣衆質三六第一号
    昭和三十五年十月二十二日
内閣総理大臣 池田勇人

         衆議院議長 (注)(注)一(注) 殿

衆議院議員竹谷源太(注)君提出小笠原島民に対する補償金に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員竹谷源太(注)君提出小笠原島民に対する補償金に関する質問に対する答弁書



一、二、三について

 政府は、かねて小笠原諸島旧住民の帰島と、旧住民が帰島を許されないことによつて被つている損害の補償とにつき、米政府と折衝してきたのであるが、現在の情勢では帰島は著しく困難であるとの米側の態度にかんがみ、関係者の意向をも徴した結果、損害補償問題の早期解決をはかることとし、再三折衝したところ、昭和三十三年末、米国側から六百万ドルを支払うことにつき日米両政府間の原則的了解が成立した。よつてこれに基づき、米側において昭和三十四年の第八十六議会第一会期に前記六百万ドルの支払権限を求める法案が提出され、同法案は同年八月二十四日上院を、翌三十五年五月二十三日下院を通過したが、更に同法案に基づく支出法案が本年八月二十四日に上下両院で可決されたので、漸くここに実施の段階にいたつた次第である。

   政府は、これまでの米側との本件折衝においては、
 (イ) 補償問題と旧住民による帰島要望とは別個の問題である。
 (ロ) 支払によつて財産権が米側に移転するものではない。
 (ハ) 一括払による六百万ドルの配分は日本政府に一任される。
 との考え方を基礎として話合いを進めてきており、米側もこれに異存を示していない。なお本件に関する日米間の交換公文の内容については、目下具体的折衝の段階にあり、関係者の希望意見も十分考慮しつつ、早急に妥結をはかることに努めている次第である。

四について

 政府は、昭和二十九年、小笠原諸島旧住民の全世帯に対し、一、七百万円を見舞金として支給したほか、将来米側から補償等の措置があつた場合の返還を条件として二回にわたり計一億四千万円を支給した。米側との六百万ドル支払いに関する折衝はいわゆる生活権の補償として要求されたものではないが、この配分に当たつては土地所有者以外の旧住民の利益をも考慮さるべきものと考えている。

五について

 小笠原諸島の施政権返還については、政府は、機会あるごとに、直接米政府首脳に対し、あるいは外交経路を通じ、米当局に国民の熱烈な返還要望を伝え、米側の配慮を求めており、これに対して米側は同諸島に対する日本の潜在主権を確認し、更に、米国がこれら地域を保持するのは極東において現在のような緊張した事態が継続している間に限られるとの態度を示している。
 次に小笠原への帰島問題については、政府は、施政権返還の根本問題とは切り離し、旧住民の熱望の早期実現を促進するとの方針をもつて、平和条約発効前はもちろん、事後も引き続き米側に対し折衝してきた。昭和三十年十二月には、小笠原帰郷連盟の提出にかかる帰郷要請者名簿と、帰島実施計画を添えて、米国政府に対し帰島を許可するよう交渉した。さらに昭和三十二年六月岸前総理、同年九月(注)山前外相の訪米の際は、両大臣よりそれぞれ米首脳部に対し特に強く帰島実現について要望したが、その結果、旧住民の帰島は現状においては著しく困難であるとし、ただし同住民に対する損害補償に関するそれまでの日本政府の要請については検討の用意ある旨の米側の方針が明らかとなつた。
 よつて政府は、旧住民の意向をも徴し慎重に検討した上、帰島要望とは切り離し、損害補償問題の早期解決をはかることに決し、米国政府と折衝を行なつた結果、昭和三十三年末六百万ドル支払いの基本的了解に達した次第である。
 今回の六百万ドルの支払とは別個に政府としては引き続き外交経路を通じ旧住民の帰島実現と、小笠原の施政権返還とのための努力をしており、今後ともこの努力を辛抱強く続けて行く決意である。

六について

 米側支払金の配分については、関係各省庁の職員をもつて構成する配分に関する協議会のごときものを設け、旧住民側の意見をも十分聴取して慎重審議の上、公正な配分を行ないたい考えである。

 右答弁する。




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