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答弁本文情報

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昭和四十三年二月九日受領
答弁第三号
(質問の 三)

  内閣衆質五八第三号
    昭和四十三年二月九日
内閣総理大臣 佐藤榮作

         衆議院議長 石井光次郎 殿

衆議院議員鈴木一君提出特殊教育に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員鈴木一君提出特殊教育に関する質問に対する答弁書



 特殊教育の振興については、かねてから養護学校や特殊学級の増設と施設・設備の整備、職業教育の充実、教職員の養成と確保などを重点として、種々の施策を講じている。
 他面、近年医学、心理学の進歩等により障害児の実態が次第により明らかになりつつあり、その実態に即応するようなきめのこまかい特殊教育が行なわれることが必要となるに至つている。
 このため、昭和四十二年度に心身障害児の実態について、全国的調査を行なうとともに、学識経験者等の協力のもとに特殊教育の基本的なあり方および特殊教育に関する研究体制整備について、総合的な研究調査を進めている。
 特殊教育の振興を図つていく上には、多くの困難な問題があるが、今後、いつそうの努力をいたしてまいりたい。

一 養護学校の増設については、昭和三十一年に制定された公立養護学校整備特別措置法に基づいて、義務教育諸学校と同様に、教職員の給与費、教材費、建築費の国庫負担を行なうとともに、昭和三十五年度から、とくに設備費の補助を行ない、設置促進を図つてきた。さらに、昭和三十七年度からは、全都道府県に、肢体不自由、精神薄弱および病弱・虚弱の三種の養護学校について、それぞれ都道府県立学校一校以上を設置する方針のもとに、毎年度十六校の増設計画をたて、その設置の促進を行なつてきている。
  この間、各都道府県においては、高等学校急増対策に重点がおかれていたこと、また、この教育に対する関係者の理解がかならずしもじゆうぶんでなかつたことなどにより、養護学校の設置推進が遅滞し、このため、養護学校における就学義務および設置義務に関する施行期日を定める政令を公布する段階に至つていない。

二 特殊学級については、昭和三十二年度から、設備費を補助し、その設置を促進しており、昭和三十九年度からは、すべての市町村に、人口規模に応じた一定数の特殊学級を計画的に設置することとして、毎年度千学級の増設計画を進めてきた。昭和四十二年度からは、毎年度の増設計画を千二百学級に増加して、その設置を推進することとしている。
  また、市町村が、この増設計画による学級数をこえて特殊学級を設置する場合にあつても、教職員給与費、教材費、建築費について国庫補助を行ない、設置を奨励している。

三 盲学校および聾学校の教員については、盲学校教員養成課程および聾学校教員養成課程を設置して、必要な数の教員の養成を行なつている。
  養護学校の教員の養成については、養護学校教員養成課程を、養護学校の増設計画にあわせて、国立大学の全教員養成学部に設置する計画を進め、現在、すでに三十五大学に設置している。昭和四十三年度においては、さらに五大学に設置することとしており、この養護学校教員養成課程の増設により、養護学校等において必要とされる数の教員の確保を図ることとしている。
  一方、盲学校、聾学校および養護学校の現職教員のうち、特殊教育教員の免許状を所有していない者に対しては、毎年全国的に現職教育を実施して、その資質の向上を図るとともに、免許状の取得を奨励している。
  また、教員の優遇措置としては、八パーセントの俸給の調整額を支給するほか、盲学校、聾学校および養護学校の小学部および中学部の教員に対して、高等学校教員と同じ俸給表を適用している。

四 心身に障害をもつ幼児の早期教育のうち、聴覚障害児については、言語形成期である満三歳頃からの早期の言語指導がぜひ必要であるため、昭和三十七年度から施設・設備の補助を行ない、小学部を置いている全国の聾学校に計画的に幼稚部を設置し、三歳児からの教育の実施を積極的に進めることとしている。現在、聾学校幼稚部は、小学部を置く聾学校九十六校中七十六校に設置されている。
  その他の心身障害児の早期教育については、現在、国立大学の附属学校等において、実験的に行なわれているが、さらに、効果的な教育や訓練の内容・方法についての研究を行ない、その実施について検討を進めることとしている。

五 心身障害児に対する職業教育については、その重要性にかんがみ、従来からその充実を図つており、とくに、昭和三十六年度からは、五年間にわたり、新しい職業分野を積極的に開拓するため、新職業教育開拓事業として、盲学校、聾学校および養護学校の高等部に施設・設備等の補助を行なつてきた。その成果に基づき、学習指導要領の改訂を行ない、盲学校および聾学校の高等部の職業学科の充実を図り、昭和四十一年度からこれに伴つて必要となる施設・設備の補助を計画的に行なつている。さらに、昭和四十二年度には、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の改正において、高等部の職業学科についても、教員および実習助手の定数増を図ることとした。
  また、盲学校、聾学校および養護学校の中学部ならびに、中学校特殊学級における職業教育についても、計画的に設備充実のための補助を行なつている。
  以上のように職業教育について充実を図つてきたが、今後、なおいつそう努力してまいりたい。

六(A) 言語障害教育については、昭和三十八年度から実験学校を設けて研究を進めているが、治療との関連もあり、さらに研究を進めて、その成果を得つつ普及を図りたい。なお、現在、言語障害特殊学級は七十学級の設置をみている。
     また、この教育を担当する教員の養成および研修のために、内地留学生制度の実施、言語障害教育担当教員講習会の開催を行なつており、昭和四十三年度には、東京学芸大学に言語障害児教育教員養成課程を新設することとしている。

 (B) 情緒障害児の対策については、昭和三十六年度に情緒障害児短期治療施設を児童福祉施設の一種として設置し、治療を行なうとともに、これにあわせて、教員を派遣して教育を行なつている。
     情緒障害児の教育については、昭和四十二年度から、実験学校を設けて情緒障害児の教育の内容・方法についての研究を行なつているが、今後は、その成果をみつつ、治療との関連のもとにその実施について検討したい。
     なお、言語障害児および情緒障害児の調査については、昭和四十二年度の全国的調査に含めて行ない、その実態を把握することとした。

 右答弁する。




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