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昭和五十年八月一日受領
答弁第二八号
(質問の 二八)

  内閣衆質七五第二八号
    昭和五十年八月一日
内閣総理大臣 三木武夫

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員金瀬俊雄君提出新東京国際空港公団の業務に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員金瀬俊雄君提出新東京国際空港公団の業務に関する質問に対する答弁書



一について

 新東京国際空港公団(以下「公団」という。)は、新東京国際空港公団法(以下「公団法」という。)第一条の目的達成のため、新東京国際空港(以下「新空港」という。)の建設に努力している。

二について

 公団法第十条第四項の監事による業務の監査は、公団の業務全般について行われるものである。

三について

 農地法第五条の手続が遅れたまま公団が成田市においてパイプラインの工事に着手(昭和四十八年十月一日測量作業開始)し、成田市農業委員会が同年同月二十四日に行つた現地視察により手続未済が判明した事例等があつたことは、誠に遺憾であり、公団が再びこのような事態を起こすことのないよう厳に指導、監督していく所存である。
 公団が農地法第五条の手続が遅れたままパイプラインの工事に着手した件については、公団は、成田市農業委員会において厳しい批判を受け、成田市農業委員会及び千葉県に対し、陳謝の意を表したこと、運輸大臣及び千葉県知事が本件につき公団総裁に対し厳重な注意を行つたこと並びに千葉県知事は事後的にパイプライン用地について農地法第五条の許可をしたことでもあり、告発は行われず、また、右の事情により、刑事事件として処理されなかつたものである。

四について

(1)から(7)まで 基本計画においては、おおむね四千メートルの長さの滑走路及びこれに対応する諸施設については、おおむね昭和四十五年度末までに完成することを予定しつつ工事を行い、全工事の完成は、昭和四十八年度末を目途とする旨定めており、これは、おおむねそれぞれの期限までに施設を完成させることを目標に工事を進めるべき旨の指示であつて、公団は、この指示に従つて工事を完了させるべく最大限の努力をしてきたものである。新空港の工事は、空港建設の反対運動等により完了するに至つていないが、右の事情から、基本計画を変更する必要はないと考えている。したがつて、その変更についての大蔵大臣との協議も行われていない。

(8)から(10)まで 新空港に係る用地買収については、千葉県の協力が得られていたこと等にかんがみ短時日のうちに関係住民の協力が得られるものと判断したのであつて、基本計画を策定した時点におけるこの判断は、妥当であつたと考えている。

(11) 「その他必要な事業」の内容のすべてを列挙することは不可能であるが、例えば、航空旅客取扱施設の建設もこれに含まれている。
    基本計画は、機能施設及び利便施設について定めているものではなく、基本計画で定める施設の工事を航空旅客取扱施設等の建設と併せて行うよう指示しているにすぎない。

五について

(1) 国際民間航空機構においては、「運用時間」を「operational hours」と表現している。「運行時間」に直接対応する表現はないが、「local flying restrictions」の中に運行時間の制限に関する事項が含まれている。

(2)から(4)まで、(13)及び(14) 新空港は、運行時間をも含め、公団法第二条の要件を備えたものとすることとしている。

(5) ダラス・フォートワース空港及びシャルル・ドゴール空港の運用時間及び運行時間は、いずれも二十四時間である。また、新モントリオール空港は、現在供用されていない。

(6)から(12)まで 運行時間は、新東京国際空港公団法施行令(以下「令」という。)第三条第六号にいう「その他必要な基本的事項」に当たるとは考えていない。したがつて、御指摘の協議に当たつて、説明は行われていない。しかし、このように基本計画で定められていない事項についても、国際空港として適切なものとしなければならないことは、当然である。

(15)から(18)まで 「空港敷地」とは、滑走路その他の空港諸施設を設置するため合理的に必要とされる範囲の土地をいい、基本計画においては、そこに掲げる三本の滑走路を設けることを前提に、その他の空港諸施設を設置する用地を含めて空港敷地として約千六十ヘクタールの面積が必要とされたものである。

(19) ニューヨーク・ラガーディア空港及びワシントン・ナショナル空港と東京国際空港とは空港の諸条件が異なるので、両者の発着回数に差が生じているものと考えられる。なお、一般に、空港の発着処理能力は、空港敷地の面積のみによつて決定されるものではない。

六について

(1)及び(2) 新空港及び航空保安施設の設置及び管理並びに機能施設及び利便施設の建設及び管理は、現行法令の定めるところに従つて行われるべきものである。

(3)及び(4) 利便施設の建設については、令第四条の機能施設の設置基準のような基準を定める必要はないと考えられたので、政令の定めを設けていない。

(5)及び(8) 公団は、利便施設として開港時に必要な事務所、店舗、事務所又は店舗に類する施設、送迎施設及び見学施設の建設を完了しており、例えば店舗における飲食物の販売等を株式会社不二家ほかに、物品の販売等を株式会社服部時計店ほかに行わせることを予定している。

(6)及び(7) 機能施設の運営に係る事業で公団以外の者に行わせることを予定しているものを例示すれば、航空貨物取扱施設における航空貨物取扱業務等があり、これらの業務は、航空会社等に行わせる方が公団自ら行うよりも適切であると考えられる。

七について

(1)、(2)及び(4) 工事実施計画における工事の完成の予定期日とは、当該日までに工事が完成すると合理的に予定される日をいい、工事実施計画が認可されたときは、公団は、当該日までに完成することを予定しつつ工事を実施することとなる。
    なお、昭和四十七年六月二十七日付けの工事実施計画の変更認可は、当時において既に従前の認可に係る工事実施計画における工事の完成の予定期日が経過していたため、取りあえず工事の完成の予定期日を延伸したものである。

(3) 御指摘の供用開始の予定期日とは、航空法第五十五条の三第二項において準用する同法第四十条の規定により、工事実施計画の認可の時点において供用開始が可能であると合理的に予定される日を告示し、及び掲示するものである。なお、新空港は、告示し、及び掲示した供用開始の予定期日を経過しているので、その建設に最大限の努力をし、可能な限り早期に開港することとしている。

(5)(イ) 鉄塔を建設して開港を阻止しようとする運動の存在が用地買収の遅延の原因の一つである。

(ロ)及び(ハ) 御指摘の反対運動に対しては、当該土地所有者等に対し、新空港の意義、早期開港の必要性を十分説明し、理解を得るよう努力している。

(ニ) 一部の者の反対を除き、国民的合意は得られていると考えている。

(6)から(10)まで 公団が設置するVOR、DME及びILSに係る工事実施計画の認可申請については、航空法施行規則第九十九条第一号及び第二号の基準に適合するかどうかを審査するほか、国際民間航空条約第十附属書に準拠して、具体的に工事実施計画の妥当性を判断してこれを認可したものである。航空法第三十九条第一項第一号の基準として運輸省令に具体的な施設ごとにどの程度詳細に定めを設けるかは、運輸大臣の合理的な判断に委ねられているのであり、VOR、DME及びILSに関して運輸省令に具体的な基準が設けられていないからといつて、運輸大臣の認可処分が違法又は無効となることはない。運輸大臣の認可処分は、航空法第一条の目的にもそうものであつて、運輸大臣は、法律に従つて誠実に処分を行つている。

(11)及び(12) 将来、滑走路Bが供用された時、ILS受信装置を持たない航空機の進入着陸の必要のある場合は主として同滑走路によることを予定し、また、この場合における進入は可能な限り北側方向からとするように滑走路方向指示燈及び進入路指示燈を同滑走路の北側に設置することとしているものである。
    工事実施計画においては、滑走路Bの南側には滑走路方向指示燈及び進入路指示燈を設置しないこととしているので、南側から着陸する航空機は、これらの燈火を使用しないで着陸することとなる。

(13)及び(14) 東京国際空港には、現在、ILS受信装置を持たない国際線の航空機の発着はなく、将来も同様であると考える。

八について

(1)から(3)まで 業務方法書とは、公団の業務に関する基本的な規則であり、公団は、その業務の遂行に当たつては、これを遵守すべきものである。公団法第二十四条は、業務方法書のこのような機能にかんがみ、設けられた規定であると考えられる。

(4) 業務方法書については、その認可申請を速やかに行うよう公団を指導してきたところであるが、公団の認可申請が遅れたことは、誠に遺憾である。
    運輸省としては、裁判所に対して公団法第四十二条第一号に該当する行為があつた旨を通知する等の措置は、とつていない。

(5)(イ) 御指摘の協議は、公団の業務方法書として昭和四十六年十二月一日に認可した内容のものを定めることについて、同年十一月十一日になされている。

(ロ)及び(ハ) 公団の業務方法書の変更認可申請は、昭和四十九年六月二十一日になされ、同年七月二十五日に認可されている。その内容は、公団の規程で廃止すべきものがあつたことに関連し、当該規程を引用する部分を改正したものであり、この認可についての協議は、同年同月十七日になされている。

九について

 公団に対しては、公団法第三十六条第二項に基づく命令を発し、又は同法第三十七条第一項に基づく報告をさせたことはなく、また、同項に基づく立入検査を行つたことはないが、必要な点については、随時指導、監督を行うとともに、その任意の報告を受けてきたところである。

十について

(1) 御指摘の申請における「緊急不可欠」とは、我が国の航空事情にかんがみ、一日も早く新空港を開港する必要性があることを意味するものである。
    新空港の開港の遅れにより、東京地区における国際線及び国内線の増便等が行えない状況にある。

(2) 御指摘の緊急裁決の申立て当時においても、(1)に述べたように新空港の開港が緊急不可欠の状況にあり、昭和四十七年初頭の供用開始を目標として、明渡裁決の遅延により事業の施行に支障を生ずるおそれがあると考えられた土地につき緊急裁決の申立てを行つたものである。
    なお、明渡裁決が遅延した場合には、新空港の建設の一部に一層の遅延を生じたであろうと考えられる。

十一について

(1) 御指摘の工区における昭和五十年六月末現在の用地の取得状況は、次のとおりである。

昭和五十年六月末現在の用地の取得状況


(2)から(4)まで 水道道路工区に埋設されている導管については、昭和四十八年八月に千葉市長から公団総裁あて道路の原状回復についての通知があつたが、これに対し、公団総裁から千葉市長あて原状回復を猶予してほしい旨の回答を行つている。

十二について

 法令を遵守しつつ一日も早く新空港を開港すべく鋭意努力しているところである。

 右答弁する。




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