衆議院

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昭和五十年七月十一日受領
答弁第二九号
(質問の 二九)

  内閣衆質七五第二九号
    昭和五十年七月十一日
内閣総理大臣 三木武夫

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員小林進君提出金大中事件及び文世光事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員小林進君提出金大中事件及び文世光事件に関する質問に対する答弁書



一について

 日韓定期閣僚会議は昭和四十二年以来毎年開催してきており、日韓間の相互理解を深める上で相当の役割を果たしてきたと考える。金大中氏事件が発生した昭和四十八年も、同事件の外交的決着をみた直後の十二月に閣僚会議を開いており、昭和四十九年は朴大統領狙撃事件の発生等で日韓双方の都合がつかず開催できなかつたが、次回会議は本年中の双方にとつて都合のよい時期に開催したいと考えている。開催時期は今後両国政府間で詰めていくことになつているが、政府としては折角閣僚会議を開催するからには有意義なものにしたいと考えていることに変わりはない。
 なお、外務大臣が諸外国の政府首脳と意思疎通を図り相互理解を深める目的で外国を訪問することは随時行われているものであり、外務大臣の訪韓もこのような観点から考慮しているものである。

二について

(一) 金大中事件については、被害者及び犯行現場にいた参考人がともに日本にいないという悪条件の下に、警察は、事件発生後、警視庁に特別捜査本部を設置し、現場を中心とした捜査を続けた。この結果、ホテル・グランドパレスのエレベーター内における目撃者をはじめとする数名の証人を発見し、これらの人々の証言及び在本邦大韓民国大使館一等書記官金東雲(当時)の指紋が現場遺留指紋と一致したことから、同人が犯行に加担した容疑が濃厚となつたので、昭和四十八年九月五日、同人の任意出頭を求めたが、これに応じなかつた。また、他の共犯者については特定するに至らず、捜査を続けている。
    犯行に使用された車については、大韓民国在横浜領事館副領事劉永福(当時)所有の「品川五五も二〇七七」である容疑が濃くなつたが、断定するには至つていない。
    金大中氏が連れ込まれたという「アンの家」、連行に使用された船舶等についても捜査を行つたが、発見に至つていない。
    韓国側からは、事件発生以来、外務省を通じ、数次にわたり捜査結果の通報を受けているが、更に昭和四十九年十月二十五日、重ねて金東雲書記官の取調べ内容等韓国側捜査結果の通報を依頼した。しかし、これに対する回答はいまだ得ていない。

(二) 文世光事件について、警察は、本事件の重要性にかんがみ、国内法の範囲内においてできる限りの捜査を推進することを基本方針とし、事件発生後、大阪府警察本部に特別捜査本部を設置して捜査に努めた。
    その結果、文世光が吉井美喜子の協力により、同女の夫名義の旅券を、昭和四十八年十一月及び昭和四十九年七月の二回にわたつて不正に取得し、香港及び韓国に渡航したことが明らかとなつたので、吉井美喜子を昭和四十九年八月十六日、旅券不実記載及び出入国管理令違反の幇助の容疑で逮捕し、大阪地方検察庁に送致した(昭和五十年三月七日、大阪地方裁判所判決(確定)懲役三月、執行猶予一年)。
    また、文世光の自宅、同人が使用していた車両等の捜索により、大阪府南警察署高津派出所において盗難にあつた拳銃のうち一丁(回転式ニューナンブ、三十八口径、No.六九三六五三)、同派出所侵入に使用した工具等が発見され、更に、韓国から文世光が犯行に使用した拳銃で試射した弾丸及び薬きようの送付を受け、大阪府警察本部保管に係る前記盗難拳銃のうちの他の一丁(S.Wチーフス、回転式三十八口径、No.四〇二五〇八)の試射弾丸及び薬きようと対照したところ、せん条こん及び撃針こんが一致したことから、文世光が犯行に使用するため拳銃を窃取したものと判断されるに至つた。これらの捜査結果から、大阪府警察は、昭和四十九年十二月二十五日、文世光を窃盗、殺人予備、旅券不実記載、出入国管理令違反等の容疑で、大阪地方検察庁に送致した(昭和五十年一月二十二日、不起訴処分決定)。
    なお、文世光による陸英修夫人殺害の状況について、大韓民国ソウル刑事地方法院は、その判決(昭和四十九年十月十九日)中において、文世光は大阪府南警察署高津派出所から窃取した拳銃のうちの一丁(S・W)で同夫人を殺害した旨判示しているところである。

 右答弁する。


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