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答弁本文情報

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昭和五十一年十一月五日受領
答弁第一〇号
(質問の 一〇)

  内閣衆質七八第一〇号
    昭和五十一年十一月五日
内閣総理大臣 三木武夫

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員坂井弘一君提出中小企業対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員坂井弘一君提出中小企業対策に関する質問に対する答弁書



一、について

1. 中小企業信用保険公庫に対しては、毎年、出資を行つてきており、昭和五十一年度は二百六十億円の出資を行つているところである。現在の中小企業者の保証需要には、十分対処しうるものと考える。
   保険限度額の引上げについては、必要に応じ行つてきており、昭和五十年十二月に、特別小口保険については百五十万円から二百五十万円に、無担保保険については五百万円から八百万円に、また、普通保険については、昭和四十九年五月に三千五百万円(組合は七千万円)から五千万円(組合は一億円)に、それぞれ、引上げを行つており、現在の限度額で十分対処できるものと考えている。
   信用補完制度は、信用保証協会の保証と中小企業信用保険公庫の保険とにより成り立ち、それぞれがその役割を分担し運用されている。てん補率は、保険料、保険収支等の在り方を総合勘案して決められているものであり、現行のてん補率を引き上げることは考えていない。
   保険料率の引下げについては、中小企業者の負担をできるだけ軽減するため、必要に応じ行つてきており、昭和五十一年度においても引下げを行つたところであり、引下げは考えていない。

2. 小企業経営改善資金融資については、毎年度融資わくの拡大を実施するとともに、融資限度額及び融資期間についても、改善を図つてきたところである。

3. 融資である以上たとえ政府系金融機関であつても、金利を徴求すること及びなんらかの債権保全策を講ずることは必要である。したがつて、たとえ小規模事業者に対する融資であつても、これを無利子、無担保、無保証とすることは、適当でないと考える。

4. 政府系中小企業金融三機関の年末融資については、中小企業の経営状況、金融情勢等の推移を見て、検討してまいりたい。
   融資条件については、五十年度に中小公庫及び国民公庫の貸付限度額の引上げ、五十年十一月に基準金利の引下げを行つたところである。

5. 中小企業高度化事業は、中小企業施策の重点項目の一つであり、今後とも、その充実に努めていく考えである。
   また、地方公共団体の負担率の軽減については、現行高度化事業が国と都道府県の行政が一体となつて実施される施策であることにかんがみ、県負担分を一率に軽減することは困難である。
   なお、高度化資金のうち都道府県の範囲を越えて個々の府県の負担になじみにくいものについては、必要に応じ、国の負担比率を引上げる方向で改善を図つてきたところである。

二、について

1. 中小企業の事業活動の機会の確保は、従来から極めて重要な課題であると考えている。特に、中小企業者と中小企業者以外の者との事業活動の調整については、その円滑化を図るため、昭和五十一年度から中小企業調整官の創設など、行政指導体制の整備・強化に努めているところであるが、先般の国会決議の趣旨を尊重して立法措置の導入の検討に着手することとし、中小企業政策審議会に分野調整小委員会を設けて、現在、審議願つているところである。

2. 親事業者の下請代金支払遅延等を防止するため、親事業者の支払状況等について調査を遂年増加し、厳正な取締りを実施しているところである。
   なお、支払期間の短縮及び下請代金につき賃金相当部分を現金払いとすることの法定化に
   ついては、下請代金の賃金部分を下請事業者ごと個々に判断して取締ることの困難性など種々問題があるので、今後とも現行法の厳正な運用により対処していくこととする。

3. 官公需については、毎年度、「中小企業者に関する国等の契約の方針」を閣議決定し、予算の適正な使用に留意しつつ、中小企業者の受注機会が増大するように努めている。昭和五十一年度は、昭和五十年度の中小企業向け契約の割合三十二・六パーセントを上回る三十四・〇パーセントを目標に努力している。
   なお、五十一年度の方針においては、指名競争における入札準備期間の確保を受注機会の増大のための措置として追加した。
   また、下請企業振興協会のあつせん業務については、協会数の増大、事業規模の拡大等によりその充実に努めてきたところである。

4. 下請企業振興事業については、地域社会の振興とのつながりが大きいことにかんがみ、本事業を実施する下請企業振興協会に対し都道府県と一体となつてその育成等を行つており、これに必要な経費も都道府県と折半して負担している。
   政府としては、下請取引のあつせんに対する要請の増大等に対処し、これまで補助対象範囲の拡大、補助単価の引上げ等に努めてきたところである。

5. 経営改善普及事業については、商工会の組織に関する法律に基づき、都道府県が商工会等に補助する場合、その経費の一部を国が補助することとされており、国と都道府県が一体となつてその推進を図つているものであることにかんがみ、それに要する経費も両者で折半して負担している。
   政府としては、これまで補助対象範囲の拡大、補助単価の引上げ等に努めてきたところである。

6. 過当な歩積・両建預金については、かねてよりその自粛の徹底を図るよう金融機関を指導してきたところであるが、中小企業者を対象としたアンケート調査によると、金融機関側においてなお改善すべき点が認められるので、より効果的な対策を講ずるため、現在検討を進めているところである。

三、について

1. 中小法人に対する軽減税率については、昭和四十九年度の法人税率の引上げに当たり特にこれを据え置くこととされただけでなく、その適用所得限度額も大幅に引き上げられており、更に軽減税率の引下げ及びその適用所得限度額の引上げを行うことは適当でないと考える。
   同族会社の留保金課税については、定額控除の引上げによつて、その負担軽減について十分配意しており、実際に留保金に課税されている同族会社の数は非常に少なくなつている。
   協同組合に対する課税については、適用税率が大幅に軽減されているほか、事業分量配当等の損金算入、留保所得の特別控除等の制度を設け、十分に配意している。

2. みなし法人課税を選択した青色申告者の事業主報酬は、既に法人企業の代表者給与と同様に完全給与制となつている。
   青色申告控除は、青色申告の一層の普及奨励を図る見地から特別措置として設けられているものであり、租税特別措置の整理合理化が要請されている状況の下で、これを更に引き上げることは適当でないと考える。
   白色申告者の事業専従者控除額については、昭和四十九年度、昭和五十年度の両年度にわたり、大幅な引上げが行われたところである。

 右答弁する。




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