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答弁本文情報

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昭和五十四年二月二日受領
答弁第二号
(質問の 二)

  内閣衆質八七第二号
    昭和五十四年二月二日
内閣総理大臣 大平正芳

         衆議院議長 保利 茂 殿

衆議院議員渡辺武三君提出会社更生法の運用等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員渡辺武三君提出会社更生法の運用等に関する質問に対する答弁書



一について

 株式会社興人の会社更生手続については、まだ、更生計画案が作成、提出されるに至つていない。
 通商産業大臣が裁判所から更生計画案に対する意見の陳述を求められた場合には、その段階で通商産業大臣において更生計画案を十分検討し、必要とあれば意見を述べることとしたい。

二について

 株式会社興人の会社更生手続における管財人の財産の評定の当否については、裁判所の判断に待つべきものであり、政府としてお答えすべきものではない。
 ただ、一般論として言えば、会社更生手続は、企業を解体処分する手続ではなく、その維持再建を図る手続である以上、企業の個々の財産は、それぞれ他のものと無関係に存在しているのではなく、組織体の一部として存在し、機能しているのであるから、この場合における財産の評定は、企業の存続を前提としたゴーイング・コンサーン・バリュー(企業継続価値)によることが合理的であり、会社の更生における財産の評定について、会社の更生が失敗に帰した場合に初めて顕在化する処分価額を基準にすることは合理的ではないと思われる。
 企業の財産の評定の基準については、従来、種々見解の対立があつたところ、昭和四十二年の会社更生法の改正において、前記のような考慮の下に、第百二十四条の二及び第百七十七条第二項が追加され、財産の評定については、会社の事業を継続するものとしてすべきことが明定されたものである。
 なお、会社の存続を前提とする更生手続が継続されている以上、企業を継続するものとして評定した価額は、通常処分価額よりも高くなるはずであつて、それが逆の場合は、企業の継続価値より企業の解体価値の方が大きく、したがつて、企業の更生が無理な程度に企業の収益力の低いことを示すものにほかならず、むしろ右のような会社更生手続を継続するのが相当でない場合が多いと考える。

三及び五について

 株主は、会社に対する出資者であり、会社の内部にある者であつて、会社の債権者に対してその出資をもつて責任を負うべきものである。このような株主の責任から考えると、会社が債務超過の状態にあり、しかも会社を更生させるため必要がある場合において、百パーセントの減資を定めることは、必ずしも会社更生法第二百二十八条第一項にいう公正、衡平な差等の範囲を逸脱するものではないと考えられる(百パーセントの減資を是認する裁判例もある。)。
 会社が債務超過の状態にあるときにも、株主の権利を百パーセント切り捨てることができず、なお常に株主に何らかの権利を認めるべきものとすることは、現行法制における債権者及び株主の地位から考えて相当ではなく、また、会社の更生を困難にするおそれがあるので、御指摘のような改正を行うことは妥当でないと考える。

四について

 大蔵大臣が所掌する証券行政における投資者保護は、証券取引法に基づくものである。更生計画において百パーセント減資を定めることができるかどうかということは、会社更生法に基づく株主の権利の変更の問題であつて、証券取引法上の投資者保護とは観点を異にする問題である。したがつて、この問題について証券行政の観点から意見を述べる考えはない。

 右答弁する。




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