答弁本文情報
昭和五十九年八月二十一日受領答弁第四七号
内閣衆質一〇一第四七号
昭和五十九年八月二十一日
衆議院議長 ※(注)永健司 殿
衆議院議員滝沢幸助君提出教科書検定問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員滝沢幸助君提出教科書検定問題に関する質問に対する答弁書
一について
昭和五十七年十一月二十四日の教科用図書検定基準の改正は、同年八月二十六日に発表された「『歴史教科書』についての官房長官談話」の趣旨を受け、教科用図書検定調査審議会の答申に基づき行つたものであり、我が国と近隣のアジア諸国との友好、親善を一層進める上で教科書の記述がより適切なものとなる道を開こうとしたものである。
歴史教科書の検定においては、広く学界に受け入れられている学説に基づき記述されているかどうかについて審査を行つているところであり、南京事件についても同様である。
なお、昭和五十九年七月二十日の衆議院文教委員会における御指摘の答弁において、南京事件の有無についての学説の状況を示す一例として挙げたのは、「日本外交史辞典」(外務省外交史料館日本外交史辞典編纂委員会編集、昭和五十四年三月三十日発行)である。
教科書検定制度は、教科書の著作を民間にゆだねることにより、著作者の創意工夫を期待するとともに、検定を行うことにより、適切な教科書を確保することを趣旨とするものである。したがつて、北方領土等について、教科書にどの程度、どのような表現で記述するかは、教科用図書検定基準に違反しない限り、教科書の著作者の判断にゆだねられているところである。
1 現在使用されている教科書は、教科用図書検定基準に照らし、適切なものであると考えている。
2 教科書制度の整備については、昭和五十八年六月三十日の中央教育審議会の答申の趣旨を尊重して適切に対処してまいりたいと考えている。
3から5まで 教科書の記述に誤記、誤植等がないよう、教科書の検定において努力しているところであるが、検定を経た教科書に誤記、誤植等があることを発見したときには、教科用図書検定規則第十六条の規定により、教科書の発行者は、文部大臣の承認を受け、必要な訂正を行わなければならないこととされている。
初等中等教育における歴史教育は、学習指導要領の定めるところに従つて行うこととしており、歴史教科書の検定は、教科用図書検定基準に基づいて行つているところである。
右答弁する。