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答弁本文情報

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平成四年十二月一日受領
答弁第三号

  内閣衆質一二五第三号
    平成四年十二月一日
内閣総理大臣 宮澤喜一

         衆議院議長 櫻内義雄 殿

衆議院議員松浦利尚君提出渡邉廣康・東京佐川急便元社長から金丸信前衆議院議員への五億円献金に係る政治資金規正法違反事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員松浦利尚君提出渡邉廣康・東京佐川急便元社長から金丸信前衆議院議員への五億円献金に係る政治資金規正法違反事件に関する質問に対する答弁書



一及び二について

 金丸信前衆議院議員(以下「金丸前議員」という。)に対する政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)違反事件(以下「本件」という。)については、検察当局において、東京佐川急便株式会社元代表取締役渡邉廣康(以下「渡邉元社長」という。)らに対する一連の特別背任事件の捜査の過程で、渡邉元社長から金丸前議員に対し五億円の献金がなされた事実を把握し、その真相を解明するため、金丸前議員の秘書ら関係者多数の取調べを行うなど、必要な捜査を進めるとともに、金丸前議員に対して出頭の上取調べに応ずるよう求めたところ、金丸前議員から、同法第二十二条の二第三項に違反して寄附を受けたことを認める上申書が提出され、それまでに収集した証拠と併せると、違反の事実を認定するに十分であると思料されたことから、略式手続によることについて異議のない旨の書面を徴した上、罰則(同法第二十六条第二号)の法定刑の枠内で、平成四年九月二十八日、東京簡易裁判所に公訴を提起し略式命令を請求したものである。
 また、検察当局においては、本件の処理を行った平成四年九月二十八日の段階において、本件五億円の収支に関して、それまでに収集された証拠関係を踏まえ必要な検討を行ったが、起訴した事件以外に金丸前議員の余罪として訴追すべき犯罪の嫌疑が認められるものは確認できなかったものである。
 以上の経緯から明らかなとおり、検察当局は、右上申書の提出を受け、それまでに収集した証拠と併せると、本件について違反の事実を認定するに十分と思料された上、本件以外に金丸前議員の余罪として訴追すべき犯罪の嫌疑が認められるものが確認できなかったことをも考慮し、刑罰法令を適正かつ迅速に適用実現するという観点から、右上申書が提出された後においては、金丸前議員に対して出頭の上取調べに応ずるよう求めることをしないで、直ちに本件について公訴を提起し略式命令を請求したものである。
 なお、検察当局においては、本件の処理後、金丸前議員及び本件五億円の分配を受けたと取りざたされている約六十名に対する政治資金規正法違反及び所得税法(昭和四十年法律第三十三号)違反の告発を受けて、これまでの捜査結果を踏まえつつ、引き続き捜査を行っているところであり、必要に応じて国税当局とも連絡を取るなどして、適切な処理がなされるものと考えている。

三について

 検察当局は、金丸前議員の弁護人から、金丸前議員の自宅が日夜報道陣に取り囲まれていることなどにかんがみ書面による略式手続の説明告知をされたい旨の上申を受けたため、検察官において、略式手続の説明及び通常の手続に従って審判を受けることができる旨を記載した「略式手続の告知」と題する書面を作成し、弁護人を介してこれを金丸前議員に示したところ、金丸前議員が、右書面によって検察官から略式手続の説明を受け、通常の手続に従って審判を受けることができることを告げられた旨の上申書を作成し、弁護人を介して、略式手続によることについて異議がない旨の書面と共に右上申書を検察官に提出したことから、検察官においては、電話により、金丸前議員に対し、検察官に提出した右各書面をその真意により作成したことを確認し、さらに念のため、右「略式手続の告知」と題する書面の内容を読み上げた上、金丸前議員から略式手続によることについて異議がない旨を再度確認したものであり、これら一連の手続をもって刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第四百六十一条の二に定める略式手続の説明告知及び略式手続によることについて異議がない旨の確認をしたものとして、前記のとおり公訴を提起し略式命令を請求し、東京簡易裁判所においてもこの取扱いを適法と認めて略式命令をしたものと承知している。

四について

 本件の訴訟記録については、平成四年十月十四日、略式命令が確定した後、東京地方検察庁の保管検察官によって保管記録として保管されているところ、保管検察官は、御指摘の閲覧請求に対し、検察当局が本件と関連する政治資金規正法違反事件及び所得税法違反事件の告発を受けて捜査中であるとして、本件の保管記録の全部を閲覧させることは関連事件の捜査に影響があり、刑事確定訴訟記録法(昭和六十二年法律第六十四号)第四条第一項ただし書が引用する刑事訴訟法第五十三条第一項ただし書所定の「検察庁の事務に支障のあるとき」に該当するとの理由により閲覧を拒否したものである。

五について

 刑事訴訟法第五十三条第一項の訴訟記録は、被告事件の終局裁判の裁判書並びにその判断の基礎及び手続を明らかにする書類を編てつしたものであるが、議院又は委員会から国政調査権に基づき被告事件終結後の訴訟記録それ自体の提出要求があった場合においてこれに応ずることは、特定の被告事件の審理及び裁判を国政調査の対象とする事態を生じさせる結果となり、司法権の独立を侵害するおそれがあるので、訴訟記録それ自体を提出することは差し控えるべきものと考える。
 なお、被告事件終結後における訴訟記録の閲覧について定めた刑事訴訟法第五十三条第一項は、裁判の公開の原則に沿って被告事件の裁判の公正を事後的に担保しようとする趣旨の規定であって、国政調査権に基づく訴訟記録の提出要求に関して規定したものではない。





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