第6号 平成11年3月31日(水曜日)

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平成十一年三月三十一日(水曜日)
    午前十時三十二分開議
  出席委員
   委員長 杉浦 正健君
   理事 橘 康太郎君 理事 八代 英太君
   理事 山本 幸三君 理事 山本 有二君
   理事 坂上 富男君 理事 日野 市朗君
   理事 上田  勇君 理事 達増 拓也君
      奥野 誠亮君    加藤 卓二君
      河村 建夫君    小杉  隆君
      左藤  恵君    笹川  堯君
      菅  義偉君    竹本 直一君
      西田  司君    宮本 一三君
      保岡 興治君    渡辺 具能君
      渡辺 喜美君    枝野 幸男君
      佐々木秀典君    福岡 宗也君
      漆原 良夫君    西川 知雄君
      安倍 基雄君    木島日出夫君
      保坂 展人君
 出席国務大臣
        法務大臣    陣内 孝雄君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 鈴木 宗男君
        法務大臣官房長 但木 敬一君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長
        兼内閣審議官  房村 精一君
        法務省民事局長 細川  清君
        法務省刑事局長 松尾 邦弘君
        法務省人権擁護
        局長      山 匡輝君
        文部省高等教育
        局長      佐々木正峰君
        文部省学術国際
        局長      工藤 智規君
        特許庁長官   伊佐山建志君
 委員外の出席者
        最高裁判所事務
        総局総務局長  浜野  惺君
        最高裁判所事務
        総局人事局長  金築 誠志君
        最高裁判所事務
        総局民事局長
        兼最高裁判所事
        務総局行政局長 千葉 勝美君
        最高裁判所事務
        総局刑事局長  白木  勇君
        法務委員会専門
        員       海老原良宗君
委員の異動
三月三十一日       
 辞任         補欠選任
  加藤 紘一君     宮本 一三君
  渡辺 喜美君     竹本 直一君
  漆原 良夫君     西川 知雄君
同日       
 辞任         補欠選任
  竹本 直一君     渡辺 具能君
  宮本 一三君     加藤 紘一君
  西川 知雄君     漆原 良夫君
同日       
 辞任         補欠選任
  渡辺 具能君     渡辺 喜美君
三月三十一日
 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律案(森山眞弓君外三名提出、第百四十二回国会衆法第二六号)
は委員会の許可を得て撤回された。
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 司法制度改革審議会設置法案(内閣提出第二五号)
 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律案(森山眞弓君外三名提出、第百四十二回国会衆法第二六号)の撤回許可に関する件

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    午前十時三十二分開議
     ――――◇―――――
杉浦委員長 これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所浜野総務局長、金築人事局長、千葉民事局長兼行政局長、白木刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
杉浦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
杉浦委員長 内閣提出、司法制度改革審議会設置法案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福岡宗也君。
福岡委員 民主党の福岡宗也でございます。
 司法制度改革審議会の設置法案に関しまして、御質問を申し上げたいと存じます。
 本法案は、司法制度の改革と基盤整備に必要な基本的な施策を調査審議するために審議会を設けるとして提案をされているわけでございます。
 私自身も、現在の司法というのが残念ながらその使命を十分に果たしてはいないと思わざるを得ません。そういう意味におきまして、早急に司法を国民のためになるように抜本的に改革をなす必要がある、かように考えているわけでございます。その意味で、この法案の提出については、基本的立場では賛成という形になろうかというふうに思っております。
 それから、昨日いろいろと御意見も賜りました参考人の皆様方の御意見を拝聴いたしましても、いずれも、その立場には相違はございますけれども、司法の改革が我が国にとって緊急の課題であるということをそれぞれ御指摘いただいたというふうに思っております。
 しかしながら、その改革の方向ということになりますと、司法の役割、使命をどのように考えるのかということ、それから、そこの重要性の認識の仕方、これによってかなりその方向が異なっているということも同時に明らかになったように思うわけであります。
 両極の意見を考えてみますと、現在の司法の現状から見て、国際的でグローバルな経済、さらには規制緩和と自己責任の社会を構築するために対応できる司法づくり、公正な経済取引の活性化というものを目指すことが緊急だという御意見もありましたし、司法の人権保障であるとか行政チェックの機能、いわゆる国民の人権保障、公正な行政行使、こういったような形の社会の構築のための司法の役割というものを重視して、緊急な課題はそれを改めるべきだ、こういうような御意見もある。また、その中間的な御意見もあったように思うわけでございます。
 しかしながら、また同時に、いずれの立場の御意見も、現在の司法のうち、現在のキャリアシステム、いわゆる官僚機構的なシステムというものがすべてのガンであると。これを廃止して改める、特に、豊富な知識、経験等を有する人材を登用できるようなシステム、そして、最高裁を頂点とするようなピラミッド型の官僚機構というものを改めて、法曹一元的な司法を構築するという点と、さらに、国民のニーズにこたえるために、司法の容量、人的、物的な施設を十分に拡充強化して、その解決に遺憾なきを期するべきだ、こういう点についてはすべて一致しておるというふうに思われるわけであります。
 そう考えますと、この司法改革のあり方というものは、若干の意見の相違はありましても、共通するところの認識をまず課題として取り上げて司法改革を行っていくことによって、共通の目的に到達できるんではないかと思うのであります。
 しかも、これが実現できれば、紛争解決能力とか、それから事後救済的な司法の役割は当然果たすことができます。また、民主化によって、刑事司法による人権擁護活動の形骸化の問題、長期勾留等を不当にする代用監獄の制度も含めた、不当ないわゆる人権侵害という問題についての国際的な批判の解消にもつながってまいりましょうし、適法な行政というものを維持するためのチェック機能も充実強化するというような形になってくるんではないだろうかなと思うわけであります。
 そういう意味では、ぜひともかような視点から早急な司法改革を推進していただきたいというふうに思うわけであります。
 ただ、そういうような視点から考えてみた場合に、今回の審議会の目的であるとか組織というものについて、このままでいいのかということについては多々問題がある。また、参考人の先生方も御指摘をされていたところであります。したがいまして、私としましては、きょうは、その点の問題について三、四点、法務大臣にお尋ねをいたしたいというふうに思っているわけでございます。
 そこで、法的なそういう問題についての第一番は、審議会の目的、いわゆる職務の内容についてであります。
 本法案の第二条によりますと、その職務について、「二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかに」するということと、それからさらに「司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議する。」と定めています。この定めというのは、目的として書いてありますけれども、実際にはこれは司法改革をやりなさいというふうに書いてあるに等しいのであって、内容的にはほとんど何もないというわけであります。
 殊に、前半の、「我が国社会において司法が果たすべき役割を明らか」というのですけれども、これは、憲法上も講学上も司法の役割というのはもうほとんど十分に論議をし尽くされておるところだろうと思いますけれども、そういったものまで含んでおる。後段の点については、いわゆる基本的な施策を全部やれということだけでありますから、全く抽象的でありますし、無限定であります。何でもありの何でもなしと言えるような書き方であるというふうに思うわけであります。
 昨日の参考人の先生方のお話にもありましたように、司法の問題の改革、こいつをどうしていくのかということについては既にほぼいろいろな議論が出尽くしておりますし、先ほど私申し上げましたように、二点についてはもう完全に、どういう立場であろうが、はっきりとした視点というものが構築されておるというふうに考えるわけであります。
 したがいまして、このように全く白紙状態で委任するのではなくて、むしろ、当面緊急かつ必ずやらなければならないという課題については、具体的に特定をし、はっきりと目的を示して、方向も示して、司法改革をするという委員会に義務を与えるといいますか、そういう形にするのがよいわけであります。
 そうでないとすると、過去の例にもありますように、行政、さらには立法の都合のいいと言ってはあれですけれども、そういう、便宜に値するような改革は推進されるけれども、若干でも困難な問題があればこれが先送りにされるという危険がある、かように考えるわけであります。
 このように、白紙状態を撤回して、具体的なものをするということが緊急課題でありますし、しかも、それを当国会における法案審議の中でもある程度論議をして固めていって、その上で審議会をつくる、かような形がふさわしいというふうに考えますけれども、この点についての大臣の御所見をまずお伺いをいたしたいと思います。よろしくお願いします。
陣内国務大臣 お答え申し上げます。
 司法制度改革審議会における司法制度の改革と基盤の整備に関する具体的な検討課題につきましては、本司法制度改革審議会におきまして、今御指摘ございましたけれども、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにしていただく中で明確にしていただくことが適当である、このように考えております。
 しかしながら、司法制度改革における具体的な問題といたしましては、例えば、法曹の質と量の強化、裁判の適正迅速化、国民の司法参加のあり方など、幾つかの事項が各界からの提言の中で取り上げられているものと承知しております。
 したがって、司法制度改革審議会におきましては、これらの各種の提言も参考にしていただきながら、重要と考えられる審査事項を具体的にお決めいただいた上で必要な調査審議を行っていただけるものと考えております。
福岡委員 どうもありがとうございました。
 今、審議会の中で役割等も踏まえて具体的にお決めを願いたいという御答弁をいただいたわけであります。それはそれで、ある程度の弾力的なことは必要でありますけれども、審議会に白紙状態でお任せをするのではなくて、国会審議の中においてその内容等についても十分に御審議をして、その上で法案の中に盛り込んでいただくという方向を御検討をいただきたいということを要望しておきます。
 特に、参考人にせっかく来ていただきまして御論議いたしましたのは、司法改革の方向を探るためであったわけです。しかも貴重な御意見があるわけですから、そこを法案の中にどういう形で盛り込むかということは、いろいろな書き方がありますけれども、盛り込んでいただいて、緊急になさねばならぬこと、特にこれは二年間しか期間がございませんので、確実に完成させるということを明確にしていただくということを要望しておきます。
 そこで、今、司法の役割というものについても検討してもらうのだという御答弁がございましたけれども、それはそれで役割を検討してもらうということが悪いとは申しませんけれども、しかしながら、もう既に役割については講学上はっきりしておりますし、それから、先ほど申し上げました参考人の御意見の中にもたびたび出てきたわけでございます。
 そこで、提案者であります法務大臣として、司法の役割を明らかにするとか司法の役割はより重要になるというような見解を提案理由で述べられているので、それなりの司法の役割というものは当然あるかというふうに思うわけであります。その司法の役割というものをどういうように御理解されておるのか、所信を承りたいと存じます。
陣内国務大臣 今日の我が国社会におきましては、市民生活の側面におきましても、また企業活動の側面におきましても、司法によって解決すべき事件が増加し、またその内容も複雑高度化しておるというふうに認識しております。さらに、二十一世紀の我が国社会におきましては、社会の複雑多様化が進み、国際化が進んでまいりますし、社会が事前規制型から事後監視型に移行していく。こういうことに伴いまして、社会の諸活動が公正かつ透明なルールに基づいて、また自己責任の原則に基づいて行われるということになりますと、それに対応して、国民一人一人の権利が十分に守られていく必要性というのはますます高まっていくと思うわけでございます。
 司法は、法的紛争を適正迅速に解決して国民の権利の実現を図るということ、それから、国民の基本的人権を擁護して、さらには、刑罰法令を適正に適用していく、そして安全な国民生活を維持する、国民生活にとって極めて重要な役割をこういう面で担っていくというふうに考えております。
 このような社会のさまざまな変化に伴いまして、司法の役割はより一層重要になるということで、これに十分な対応が必要であると考えておるわけでございます。
福岡委員 本法案の第一条によりますと、内閣に本審議会を置くと定めております。そして第二条におきましては、審議した結果に基づいて内閣に意見を述べることと規定をしておるわけであります。これは、内閣に司法制度改革をなす権限がある、これを当然の前提として、諮問事項について審議会が調査審議をした上で回答し、内閣はこれに従って法律案の作成、提案をするということが前提になっているわけであります。
 しかしながら、三権分立のもとにおきまして、行政権の執行の主体であります内閣が、一方の司法の行使に携わる裁判所それから検察官、弁護士の組織構成や運営、ルール等を抜本的に改革をするというような大改革をする権限が、司法権の独立ということ、かような見地から考えてみて本当に妥当なものであるかどうかということはかなり疑問があるところであります。
 民主国家におきましては、いずれの国も司法の独立が強く求められております。それは、司法の使命とするところは、いろいろありますけれども、最も重要な点は、国家の権力、例えば刑罰権行使であるとか行政の執行等についての国民の権利というものを擁護し守る、もって法のもとの公正さを図るというところにあるわけであります。そういう意味からすれば、同じような国家目的は持っておりますけれども、司法と行政というものはある部分において利益相反し、対峙するというような関係にあるわけでございます。どうしても合目的的な、国民全体のことを考えるということになると、個の権利の切り捨て等にもつながってくるという場面があります。これを司法はチェックをしていく。
 特に、今いろいろ論議されておりますけれども、国会などにおいても、多数の意見がすべて国民の意見ということで行政、立法は推進をする必要がありますけれども、司法の面においては、昨日の参考人の戒能先生がおっしゃったように、やはり少数意見の尊重、いわゆる複線で考えなきゃならないんだ、こういう御意見があるわけでございます。かような見地から見ると、やはりどうしても、行政のもとにこのようなシステムを置くということ自体がかなり問題であるというふうに考えざるを得ないのであります。この点について法務大臣はどのようにお考えなのか、所見をお伺いいたしたいわけであります。
    〔委員長退席、山本(幸)委員長代理着席〕
陣内国務大臣 司法制度改革審議会は、「司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議する。」こういうことを所掌事務としておるわけでございまして、このような本審議会を内閣に置き、その調査審議の結果を踏まえて司法機能の充実強化のための施策を講ずることは、司法権の独立を侵すものではなく、むしろ内閣の責任である、このように考えております。
 政府といたしましては、常に御指摘のような司法の独立を侵さないように、尊重していくようにしてきたところでありますが、いやしくも行政による司法への干渉ととられることがないように、十分な配慮をしてまいりたいと考えております。
福岡委員 ありがとうございました。
 今御答弁をいただきましたが、法務大臣に御質問したいのは、最後に、具体的な配慮というものをいろいろされるというような御趣旨でございまして、結構なことだと思います。それについて何か、具体的な配慮についてまずお聞かせをいただきたいというふうに思うことが一つであります。
 それからもう一つ、本審議会を内閣のもとに置くことが憲法違反ではないかという意見があるということでございます。その論拠とするところは、司法改革、いわゆる司法の改善を含めて、こういったことは、内閣には職務範囲としての規定が憲法上は何もないんだというところが第一点であります。
 それから次に、内閣には法律案の提出権があるということについての規定も、憲法上は定めていないということであります。ただ、総理大臣の権限の中に、その他の議案の提出権というものがある。その議案の中に法律案が当然含まれるんだという見解はあります。確かに、よく検討してまいりますと、予算案については七十三条の第五号に明確に規定があります。けれども、法律案というのはわざとその規定の中から外されてしまっているということであります。
 そういうようなことと、憲法四十一条でしたか、国会が唯一の立法機関と定めていることとの関係、それから先ほど申し上げました司法権の独立という問題、こういうものを総合的に考えた場合に、やはり司法改革についての法案、審議、それからさらには提案権というものはないのだ、こういうような御主張のようであります。私自身も、憲法違反とまではどうかなということで疑問がございますけれども、やはり相当な疑念が生ずるというところではないかと思うのであります。
 特に、法案提案権の問題につきましては、仮に内閣に法律案の提案権があるとしましても、やはりこれは無制限にあるのではなくて、それはあくまでも行政の執行上必要な、いわゆる行政執行に関すること、行政の構築に関する問題に限定して法案提出権があるということと考えるべきであって、無制限に、これと対立する関係にある司法の内容、ルールまで含めて提案権があるというのは非常に考えにくいのではないかな、かように思うわけであります。この点についての法務大臣の御見解をお伺いいたします。
房村政府委員 まず第一に、司法の独立に対する配慮という点でございますが、委員御指摘のように、三権分立のもとで、具体的な司法権の行使に当たりましては行政府等との利害の対立が生ずる場合もあるということから司法の独立を憲法が定めており、また、行政といたしましても常に司法の独立を尊重してきたところであります。
 今回の司法制度改革審議会で審議をしていただく事項につきまして、第二条で、「司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策」ということを調査審議の対象と定めましたのも、具体的な司法権の行使のあり方、あるいは具体的な司法行政権の行使、こういったようなものがこの調査審議の対象となる場合には司法権の独立に干渉するようなことになりかねないということもありまして、この法案では、基本的施策について調査審議をするのだということを定めているわけでございます。
 また、この審議会の運営に当たりましても、そういった司法権の独立に干渉するような疑いを招くようなことのないように十分配慮して審議が進められていくものと思っておりますし、内閣といたしましても、そういうことになるよう努力をしてまいりたいと考えております。
 それから次に、内閣の法案提出権の関係でございますが、これは一般に、議案の中に法律案が含まれるという理解のもとに内閣法も制定されており、現実に内閣として各種の法令案を作成して国会に提出し、御審議を願っているところでございます。そういう意味で、この司法制度改革審議会設置法につきましても内閣として提出をし、御審議をお願いしているところでございます。
 次に、このような司法制度について内閣が施策を講ずるということが内閣の権限の範囲に入るかどうかという点でございますが、あるいは、それが司法権の独立を害するのではないかという点でございますが、基本的に、司法権の独立というのは、司法に与えられた権限の行使に関して行政あるいは立法の他の二府がこれに干渉することがあってはならないという事柄でございます。
 国家の制度として司法制度がどうあるべきかということは、これは内閣の責務として、やはり配慮をしていくべきものというぐあいに従来から理解されているところでありまして、そういう観点のもとに、政府といたしましても、司法制度のあり方に関する各種法令を整備するという努力を続けてきたところであります。
 例えば、裁判所の基本を定めております裁判所法にいたしましても、その裁判所に属する裁判官あるいは裁判所職員の定員を定める裁判所職員定員法につきましても、内閣として、司法を充実強化するという観点から施策を講じ、それを法令案として国会に提出して御審議を願ってきたところであります。
 そういった司法制度充実のための施策の一環として、内閣として、国民的な見地でこの審議会で御審議を願って、それに従って司法の充実に努めてまいりたい、こういう趣旨でございますので、御理解を願いたいと思っております。
    〔山本(幸)委員長代理退席、委員長着席〕
福岡委員 結局、議案の提出権を定める中に当然に法律案がある、こういう御見解を基礎に置いておられるようでありますけれども、そのこと自体が、実を言いますと、具体的な内閣の権限を明定しておる中に、予算案という、いわゆる財政計画をはっきりと示す、行政の分野に当たるところの予算案の作成というものと明確に区別をしておるということであります。こういうような点から考えまして、やはりこれに法律案を盛り込むということは、少なくとも一般的な法律案というものを盛り込むということは、解釈上は非常に無理があるのではないかなというふうに私は思っているわけであります。
 特に、最高裁におきましては、司法の関係の最高責任者といたしまして、規則の制定権はありますけれども、具体的な法律案の策定権というのは認めておりません。もしそのような理屈が成り立つとすれば、行政権が行政執行のためにすべての法律案まで提出できるという見解を持つとすれば、最高裁にも当然、立法そのものではない、提案権ぐらいはあってもいいというような主張が出てくる。そういうことによってバランスがとれるというふうに解さざるを得ないわけであります。ところが、実際には、最高裁に規則制定権はあるけれども、法律案については提出権も否定されているというのが大体の通説的見解であろうかというふうに思っております。
 だとすると、内閣についても、行政権行使に関するもの以外のものについては提案権自体もないと考える方が、三権分立ということの趣旨から見て妥当なものだろうと思いますし、そうすることによって何の支障も実際はないだろうというふうに思っております。
 そういう意味から、先ほどからも侵害しないように慎重に取り扱うという御趣旨がありますので、あえてこれに固執はしませんけれども、やはり慎重の上にも慎重を、歯どめをかけるという形を、構成をしていただきたい。それは使命の点から見て、行政サイドでやれば、それはいい悪いではなくて、行政機関の執行者であっても、行政の便宜や全体の推進ということのためには、どうしてもそういうことを中心に考えるという、また必要性もあるということの使命上からも言えることであります。
 そういう意味では、今回の審議会の設置の目的の中にも、先ほど申し上げましたような、極めて限定的な手段をとることによって、これを侵さないということを歯どめとしていただきたいというふうに思うのであります。
 それから、次の質問でありますけれども、審議会の委員の選任の問題、これは先ほどからもお話がありましたような、国民的な議論を深めるという見地からも極めて重要であります。しかしながら、この法律案を見ますと、規定自体は、「学識経験のある者のうちから、両議院の同意を得て、内閣が任命する。」こういう規定が置かれているだけでございまして、どのような方面、立場の人たちを選任するのか、いわゆる職種によって分けるとか、いろいろな考え方のことをどういうぐあいに区分けして選ぶのかという問題については、法案では必ずしも明らかにはなっておりません。過去の例を見てみますと、やはり法案の中においてある程度枠組みというようなものが定められて、その中でそれに適合する人というような選任の方法をとっておる法案も多々あるようであります。
 したがいまして、今回の場合は非常に意見の分かれる、それから、どういうところを重点にすべきかという点についても見解の分かれるという難しい司法改革であるだけに、この点についても十分国会で審議をして、ある程度の方向づけをしていただきたい。いわゆる選任の基準、さらに、選任をするときに、内閣がまず選んで国会にかけるわけで、原案づくりをするわけですけれども、その過程の、いわゆるいろいろな団体の推薦を受けるかとか資格をある程度指定するとか、手続的な点についてもどうされるのかということを明確にしていただきたいと思いますが、この点の所信をお伺いいたします。
房村政府委員 審議会の委員の選任の件でございますが、これは司法制度改革審議会が、二十一世紀の我が国社会における司法が果たすべき役割を明らかにする、そのための改革と基盤の整備に関して必要な基本的施策について調査審議するという極めて重要な任務を負っているということから、このような国民的見地から、司法全般にわたって審議をしていただける的確な人を選んでいきたいというぐあいに考えております。
 具体的に資格等を法律で一切定めていない点でございますが、これは、司法というのはほとんどすべての国民に影響を与える非常に大きな役割を果たしているわけでございますので、これについて検討するときにはそういう広い立場から検討していただけるということと、委員の構成につきましても、でき得る限り広く国民各層の意見が反映できるような構成というものを考える必要があろうかということで、法律で個々の構成を定めるということをいたしませんで、調査審議にふさわしい有識者を選べるというようなことで、特段の資格等を定めていないということになります。
 また、そういう国民的見地で検討していただけるだけの方を委員に任命するという点につきましては、内閣としてでき得る限り的確な人を選ぶということを考えておりますが、同時に、その任命に当たりまして、国民を代表する両議院の同意を得るという手続を経ることによりまして、その適正な構成を確保するということを考えておりますので、そういうことで御理解いただきたいと考えております。
福岡委員 どうもありがとうございました。
 国民の代表の人を幅広く選ぶという見地から慎重にしたいということでありますので、それはそれでいいと思いますけれども。
 ただ、実際には、国会の同意を得るということですけれども、最終的な同意を得るという手続自体はなされておりますが、その実際の原案づくりの段階において、どうも、十分に国会と相談をして、意思の疎通を図りながら原案をつくり、国会に提出するという、基準づくりといいますか、そういったものが従来は余り十分ではなかったというふうに思うわけであります。
 したがいまして、まず、今回の法案の中にある程度の方向づけをしていただくということと、さらに具体的な選任に当たっての手続についても、事前に国会に報告するなりなんなりして、十分に相談をして原案を策定し、国会の審議にかけるというくらいの慎重な配慮は、やはり事柄の性質上、お願いをしたいというふうに思います。
 それから次に、事務局の設置が事務処理のための機関として義務づけられておるわけでありますけれども、従来の諮問機関、調査機関の事務局というのは、実際には、いわゆる事務的だという、本当の意味の雑用的なものやら段取りなんかの、審議内容に入らないような事務処理というものに必ずしも限定をされていないように思うわけです。
 実際において、どういうようなことを具体的に審議をするのかということの検討を初めとして、原案づくり、さらには最終的な論点の整理、そして試案づくりというものについても実質的に関与して、行政の執行なり立法の手続なんかをする場合に、実際にそれをリードしておるのは事務局ではないかと言われる。そういう意味では、審議会は事務局行政みたいなものであって、隠れみのにしておるだけなのだ、こういうような批判もあるわけであります。
 今回の規定を見てまいりますと、第七条に、審議会の事務処理という形の規定をしているわけであります。従来どおりと余り変わらない表現になっておるわけでありますけれども、これは解釈によって、結構幅広い解釈になるわけであります。したがって、先ほど批判を受けるような、実際に審議会の任務としてなすべき、改革の方向であるとか原案づくりとか、そういう審議の中身にかかわる問題をたたき台とか素案というような形で提出する権限を明確に除去するという配慮をしなければならない、かように考えているわけであります。
 そうでないとすると、先ほど申しましたいわゆる行政権の司法干渉ということ、司法の独立という問題にまでこれは影響を与える、こういうふうに考えるわけでありますけれども、この点の配慮について法務大臣また事務局はどう考えられるのか、御答弁をいただきたいというふうに思います。
陣内国務大臣 事務局は、司法制度改革審議会の審議のための資料の調査、収集、整理それから分析及び審議結果の整理等の職務を行う、そういう役割を担うことになる。その構成としては、事務局長一名のほか、参事官等所要の職員を置くことを予定しておるわけでございます。
 今御指摘のございました事務局のあるべき姿ということについてでございますが、事務局は、このような審議会において委員による十分な審議が行われるようにその補佐的な役割を果たすべきものである、こういうふうに考えておりまして、それにふさわしい知識等を有している者を充てることが必要であると思います。
 もとより、これまた御指摘ございました、事務局が審議会の審査、審議を方向づけたり誘導するようなことがあってはならないと考えております。
福岡委員 どうもありがとうございました。
 結局、先ほど申し上げました従来の審議会の弊害というのを引きずっている形じゃ非常に困るというふうに思うわけであります。私どもも、この法案の中に何らかの形で事務局の権限の規定をもう少し明記するという提案なども今検討しておりますけれども、ぜひともさような方向で、事務局が発足すれば、事務局に頼んでおけば準備から何から全部やってくれるし、大体の構想も方向づけもわかるというような形で任せがちになるということが実際であります。そういうことのないような歯どめをどうするか、一遍真剣にお考えをいただきたいというふうに思います。
 それから次に、問題になりますのは、何といいましても、司法改革の行方というもの、どういう方向で審議されておるかということは、国民の人権にかかわる重要な問題であるだけに、国民の最大の関心事であると言わなければならぬというふうに思います。したがいまして、その審議内容は常時全面的に公開をされて、国民的論議にさらさなければならないんだ、かように考えるわけでございます。そのためには、常に議事録を詳細に整備をしておく、そしてその議事録は常時公開をするということが必要だろうと思います。
 今日、情報公開制度というものが、国民の権利を守り、行政監視をするために非常に必要なんだということが強く叫ばれておりまして、これは与野党を問わず合意のもとに進行し、相当な部分が改善をされつつあるわけであります。今回はそういった流れを受けて、内閣のもとに審議会が置かれるということになるわけでございますので、公開については格段の配慮をなされる必要があるんだ、かように考えるわけであります。その意味で、どのような公開を考えておられるのか、法務大臣の所信を承りたいと思います。
房村政府委員 審議会等の公開の関係につきましては、中央省庁等改革基本法におきましても、「会議又は議事録は、公開することを原則とし、運営の透明性を確保すること。」というように定められておりまして、政府の基本的方針といたしまして、審議会については、でき得る限り公開をして、透明性を確保するということとしております。
 したがいまして、この司法制度改革審議会は内閣に設置されるものではございますが、当然そういう政府の方針を受けまして、審議会において、この趣旨を踏まえて、当然、先生のおっしゃったような議事録の公開、その他適切な方法での透明性の確保をしていくということになろうかと思っております。
福岡委員 全面的に公開をしてくださるという話なんで、力強いというふうに思っております。
 それからもう一点、それに関連をいたしまして、今野党の方で、いわゆる国会の審議にこれも上げる必要があるんだということもありまして、審議会において司法改革について審議をする過程、問題点等について定期的に国会に報告をするということで、これもまた積極的に明らかにするという方策を講じればどうだろうというような御意見がありますけれども、この点については御検討されておるかどうかお伺いしたい。
陣内国務大臣 司法制度改革に当たって、政治主導や行政主導にならないような配慮が必要だという観点からの御指摘でございますが、この司法制度改革審議会というのは、先ほど来申し上げておりますように、国民各層の有識者委員の方々に、国民的視点に立って、二十一世紀の我が国社会における司法が果たすべき役割を明らかにする、司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について御審議いただくことになっておりますので、内閣としては、審議会の調査審議が中立公正に行われるように配慮していかなければならない、このように受けとめております。
    〔委員長退席、山本(幸)委員長代理着席〕
福岡委員 どうも、今大臣の御答弁は、私の質問と違った、次に予定しておる質問のようであります。
 今私がお聞きしましたのはそういう点ではございませんで、具体的に、国会に対して審議内容について定期的に御報告をしていただくということはどうだろうかというような質問でございました。事務局の方でちょっと答弁してください。
房村政府委員 ただいま大臣から答弁いたしましたように、調査審議が中立公正に行われるようにという配慮は内閣として十分していくということになろうかと思っておりますが、また同時に、どういう調査審議がなされているかということに国会の側で関心を持たれるのも当然と思われますので、適宜な方法で、要所要所において、現在どういう審議がなされているというようなことは報告をしていくことを考えていきたいと考えております。
福岡委員 そこで、今も触れられました政治主導というような問題の点ですけれども、私どもがそれをちょっと心配いたしておりますのは、前法務大臣の中村法相は、司法制度の改革というのは行政主導または政治主導でこれを推進するんだということをたびたび記者会見等においておっしゃっておられましたし、それからまた、自民党の司法制度特別調査会におきましてこのような意見を言われているわけですね。国民主権に基づいた国民の代表である立法府である国会が、司法改革については重要な役割を果たすべきなんだということで、行政主導というよりも、この場合には政治主導という形を強調されておるように思うわけでございます。
 先ほどからるる言っておりますように、司法制度というものはどうしても国民の権利擁護ということを中心に考える必要があるものでございますので、政治主導であるとかそれから行政主導ということでは、それは本当の意味の国民本位の司法構築というものにはならない、かように考えるので、これについての基本的な考え方、そうではないんだということをお聞きをしたかったわけでありますけれども、まあ先ほどの御答弁の中で、中立公正にやるということについての配慮は十分するとおっしゃっているんで、そのようにお伺いをいたしておきたいというふうに思います。
 それからもう一件、それに関連をいたしますけれども、司法制度の改革につきましては、昭和四十五年の五月に、参議院の法務委員会の附帯決議におきまして、「今後、司法制度の改革にあたつては、法曹三者の意見を一致させて実施するように努めなければならない。」とされているわけであります。そして、その後、衆議院でも同趣旨の附帯決議がなされまして、この決議を受けて、もう昭和五十年からは、司法制度の改革については、法曹三者の協議を十分経て意見を交換し、なるべく一致させるようにして法案づくりがなされておるという慣行がもう確立しております。これはつい最近の法律案まですべてそういう形でなされておるわけでございます。
 このことは、唯一の立法機関である国会において司法の問題を論議するについても、司法権独立という見地から、やはりこれに携わる法曹三者の意見を最大限に尊重し遺憾なきを期するという趣旨であったというふうに思うのであります。
 それにもかかわらず、今回のところ、先ほどの政治主導というような発言もあったということですし、さらには行政府の内部にまた新たにこういうような審議会をつくる、しかもその中に国民の代表である立法府の主導というような形では、ややこれは、明確とまでは言いませんけれども、方向をつけられておるような気がいたします。
 そこで、この点について、従来のこのような国会の方針というものを基本的に変更していくんだというような御趣旨があるのかどうか、これを法務大臣にお伺いをしたいわけであります。
陣内国務大臣 司法制度の改正に当たりましては、法曹三者の意見を一致させるよう努めなければならない、今御指摘の附帯決議があることは十分承知しておりまして、司法制度の実際の担い手であって、その実情も熟知している司法三者において十分な協議を行うことが制度の改正とその円滑な運用にも資することとなる、このように考えております。
 ところで、司法制度の改革は国民的課題である、これは先ほどからお話ししているとおりでございますが、国民的見地に立って検討をしていかなければならないのでございますので、司法制度改革審議会は、このような見地から、司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議することを目的として設置しておるわけでございます。
 法務省といたしましては、このような審議会から示されてくる意見につきましては、これを踏まえまして、法曹三者が互いに協力し、円滑に実現することができるよう努めてまいりたい、このように考えております。
福岡委員 今の大臣の御答弁をお伺いいたしまして、いわゆる審議会においてこれは国民的立場に立って十分審議をしていくという、その方向づけとかまとめだとかいうようなことについて、従来どおり、附帯決議にあるように、法曹三者にそれについて再度意見を求めるというような形、または協力を求めるというような形もあわせてしていくという御趣旨だというふうに御理解いたしますので、ぜひともさような形で、その審議の過程過程において、審議会の方向、審議内容を踏まえて、十分な御協議を賜ることをまた要望いたしておきたいというふうに思います。
 それから次に、もう一つ気になりますのは、目的の問題については私は明定すべきだというふうに言いましたよね、審議会の目的は。それは実際明定されておりませんけれども、それだけに、この司法改革論議というものが出てきた経過を見ると、やはり司法改革審議会の方向というのは、経済界もしくは自民党の特別調査委員会の各意見書、報告書というものの方向に向かって審議をするということにされておるのではないだろうかなという懸念があるということでございます。
 司法改革の論議の経緯といたしましては、御承知のように、平成九年と十年に相次いで経済団体が意見を述べておられまして、それに追っかけるようにして、十年に自民党も、先ほど申し上げました報告書、指針をまとめられたのであります。
 これに対しては、賛成もたくさんございますけれども、また同時にさまざまな角度からの批判もなされているわけであります。この批判はどういうことかといいますと、結局、経済団体からの提案によりますと、司法の人権を守るという使命とは本質的に対立する関係にある弱肉強食の市場原理に基づく自由競争、さらに効率的サービスというものを実現するということのみが強調されておる。したがって、実際に司法の民主化、人権保障機能の強化の視点が欠落をしておるのだということであります。
 さらに、自民党の提言につきましては、この自民党の報告書の冒頭のところに、改革の視点としまして、「司法は、安全な国民生活の確保と公正で円滑な経済活動という国家の基礎を支え、活力ある社会を維持するための基盤」であるのだという認識を示されておりまして、改革の方向としましては、規制緩和と自己責任の原則に基づく事後監視・救済型の社会をつくるのに必要な司法にすべきだ、こういうような提言で一応まとめられておる。
 かような点からして、批判をする人たちは、治安・秩序維持最優先で、企業の経済活動の便宜ということを図るためのものであって、いわゆる人権保障機能であるとか、司法民主化ということがなおざりにされておる、こういうような批判があるわけであります。
 したがって、審議会の審議といたしましては、かような批判もあることを踏まえて、十分にバランスのとれた改革を図っていく必要があろうかというふうに考えるわけでありますけれども、この点について大臣の御所見を承りたいと存じます。
    〔山本(幸)委員長代理退席、委員長着席〕
陣内国務大臣 規制緩和等が進んでまいりまして、社会が事前規制型から事後チェック型に移行にすることに伴いまして、いろいろな国民生活等への影響が出てくるということでございまして、司法の役割はそういうものに備えて一層重要になってくる、このように考えておるわけでございます。規制緩和の進行する社会において、社会的弱者の権利、利益を擁護救済するということが司法の重要な役割である、このように認識しております。
 したがいまして、司法制度の改革に当たりましては、これらの観点を踏まえまして、国民に身近な司法を構築していくことが大変重要である、このように思うわけでございます。
福岡委員 どうもありがとうございました。
 今御説明のあった中には、自己責任の社会の中において、弱者救済についての問題も十分に配慮していくというお話がございました。その辺のところのバランスのとれた司法改革ということをぜひともお願いをしたいわけでありますけれども、もう一点つけ加えておけば、刑事司法についての形骸化の問題、これは非常に問題になっております。
 参考人の中にも、被疑者の国選弁護の制度の問題とか、捜査のあり方等について厳しい批判をされておる先生方がたくさんお見えになりましたけれども、しかも、それは国際的な我が国の司法のあり方そのものについての批判をこうむっておる問題であるだけに、これも今回の司法改革には絶対に欠かしてはならぬ視点であろうということで、ぜひともそれも盛り込んでいただくことをお願いをしたいわけであります。
 それから次に、せっかく審議会を設置したということの場合に、答申をした内容を尊重する義務というのが内閣にあるのではないのかなということであります。従来、行政のもとに設けられた各種審議会というものは、先ほども言いましたように、隠れみのにされておるという批判をされた理由の一つに、実際に答申をされた内容について、すべてこれが実現をされていないということであります。答申の中身の中で与党のいろいろな意見が出てくるとか、それから、やはり利害も絡む問題があるからそれが十分に解決ができないというようなことの場合には、これを棚上げして先送りにしてしまっておる。
 ということは、どういうことかというと、審議会で審議をした中の答申について、自分の都合のいいことだけをつまみ食いをして、多少でも不都合があるとか論議を醸しそうなものはすべて先送りしてしまう。これでは、本当の意味の司法改革というものはできないわけであります。
 したがいまして、今回の審議会というものは、そういったことのないように、上がってきた答申については十分尊重して、一〇〇%とは言いませんけれども、ほとんど趣旨の点については一〇〇%、多少制度的に整合性とかいうような問題を外すということはあっても、それ以外はすべて実現をするというぐらいの答申尊重ということを明確にどこかに規定を置いていただきたいということであります。
 特に、最近の例を見ましても、いわゆる民法の改正の問題で、法制審議会において数年にわたって論議をされて、答申が出されて、二年以上も放置されたままになっている。その放置する理由は、国民の合意がまだ十分に形成をされていない。これは、何回も何回も実際に国民からの回答を得て、毎回その支持率が上がっておるという状況であるわけで、見方によっては今過半数を超えているわけでありますけれども、それを見送っておって、いまだに提出されていなくて野党案で審議されているというようなこと。それから、情報公開の問題についても、現在では審議されておりますけれども、提案までに非常に時間がかかったというようなこともあります。
 そういう意味からして、このようなことが司法改革に絶対あってはならぬというふうに思っておるわけであります。
 しかも、参考人の意見にもありましたように、重要な問題、二、三点は完全に一致しているんです。だから、その問題については少なくとも必ず実施する、こういう答申尊重義務、これをぜひとも本法案の中に盛り込んでいただくということについては、大臣はどのように考えられますか。御意見をお伺いしたいと思います。
陣内国務大臣 内閣としては、司法制度の改革に取り組むため、内閣の補助機関としてこの司法制度改革審議会を設置し、調査、審議をしていただくのでございますから、本審議会における調査、審議の結果、内閣に対して意見が述べられた場合には、この意見をできる限り尊重すべきであるということは言うまでもないところでございます。
 このような観点から、この法案につきましては、審議会の意見についての内閣の尊重義務を特に規定していないということでございます。
福岡委員 では、時間がまいりましたので、質問は終わらせていただきます。
 最後に、要望といたしまして、いろいろきょうは、るる御指摘を申し上げた問題点、いずれも私の視点は、国民のためのよりよい司法制度に改革するためということなんで、行政のエゴであるとか行政の立場からという、立場の相違からくる干渉になるようなところを排除して、本当に国民の人権確保、そして日本の経済の活性化ももちろん、国際的な批判も浴びないような法制というものを早急に確立するということでございますので、そのために、従来の審議会とは違った、特にそういう配慮というものを法案の中に盛り込むことのできるものは盛り込み、実際の運営としては、その方向でもってスムーズな、成果の上がるような運営をしていただきたいということを強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
杉浦委員長 次に、漆原良夫君。
漆原委員 公明党・改革クラブの漆原でございます。
 司法制度の改革の必要性と方向性については、経済団体とか日弁連とか、いろいろな意見が出されております。私は、いろいろな意見を読ませていただきまして、経済団体の自己責任、それから自由競争という考え、経済的必要性の観点にやや重点が置かれ過ぎておって、人権の擁護という視点が欠落しているのではないかなという実感を持っております。また逆に、弁護士会の方は、社会的弱者の権利の擁護という点に非常に重きを置いた文面になっておりまして、これもこちらの方にいささか重点が置かれ過ぎているのではないかな、こんな感想を持っております。
 私は、日本の司法改革の方向性としては、日本が国際社会と共存して、国際社会での信頼を得ながら発展する、そのために透明なルールと自己責任の原則という、これはグローバルスタンダードに立脚するという、そういう視点と、もう一つは、自由競争の行き過ぎから生じる社会的弱者の権利の擁護という、この二つの観点がやはり必要なのではないかな、こういうふうに思うんですが、大臣のお考えはいかがでございましょうか。
陣内国務大臣 御指摘のとおり、透明なルールと自己責任の理念に立脚した活力ある社会、それと同時に、すべての人々の人権、利益が最大限に尊重されるべきだ、そういう安心して暮らせる社会を実現していくべきだ、このように考えております。
漆原委員 私は、そのような観点に立ちまして、四項目について大臣のお考えを聞きたいと思っております。一つは、法曹の質と量の強化、二番目は、司法が国民にとって利用しやすいものになっているかどうか、三番目に、市民の権利擁護、四番目に、国民の司法参加、この四点について聞きたいと思っておったんですが、時間がないので、三番、四番目からお聞きしたいと思います。
 まず、市民の権利擁護という観点からお尋ねしたいんですが、特に法律扶助についてお尋ねします。
 前法務大臣は、法律扶助については、「法律扶助制度は、国民の裁判を受ける権利を実質的に保障するための重要な制度であり、」「今後ともその充実発展に努めてまいりたい」、こういうふうに述べておられましたが、陣内法務大臣の所信からはこの法律扶助についての部分が欠落しております。この法律扶助について、大臣はどのようにお考えなのか、基本的なお考えを賜りたいと思います。
陣内国務大臣 私も前大臣の考えをそのまま引き継いでいきたい、このように思っております。
 申し上げるまでもございませんが、法律扶助制度というのは、憲法三十二条に定める裁判を受ける権利を実質的に保障するという理念のもとに充実がこれまで図られてきた重要な制度である、このように承知しております。そして、この制度の一層の充実強化を図っていくことは、司法を国民に身近なものにするという意味で、我が国の司法制度にとって喫緊の重要課題である、このように認識しております。
漆原委員 ありがとうございました。
 十年の三月に法律扶助研究会の報告書が法務省に提出されたというふうに聞いておりますが、その概要を説明していただきたいと思います。
横山政府委員 委員御指摘のとおり、法律扶助制度研究会におきまして、法律扶助制度のあり方等について調査研究して、平成十年三月にその最終報告がとりまとめられたところでございます。
 その報告書では、法律扶助制度が憲法三十二条の裁判を受ける権利を実質的に保障する重要な制度であること、今後の法律扶助制度のあり方として、運営主体としては指定法人がふさわしいこと、その事業内容として、裁判援助に加えて、示談交渉等の裁判前援助及び法律相談の充実を図ること、その法律相談に関し登録弁護士制度を導入して、各弁護士の事務所において法律相談を行うとともに、申し込み窓口の拡充を図ること等の提言がされているところでございます。
漆原委員 その中に、刑事被疑者弁護、それから少年事件の付添人についても公的援助の対象とすべきではないかと私は思っているんですが、その点触れられていたのかどうか。また、触れられていない場合には、そういう被疑者弁護、それから少年事件についても公的扶助の対象とすべきではないか、こう考えますが、いかがでしょうか。
横山政府委員 まず、先ほど言いました報告書において、刑事被疑者弁護に対する公的資金の援助といいますか、その点につきましては、報告書では触れられておりません。
松尾政府委員 先生お尋ねの刑事の分野の扶助の問題でございますが、被疑者段階の弁護に国庫金を支弁するかどうかという問題でございます。
 法務省としても、いろいろな角度から研究を続けてきているところでありますけれども、これにつきましては、一番目に、捜査手続への影響といいますか、具体的に申し上げますと、被疑者が仮に逮捕された場合を想定しますと、それから弁護人を国選でつけるという制度が仮にでき上がる、そうなりますと、弁護人が直接被疑者に面接するまでの間の取り調べの可否とか、その間の取り調べをした場合の証拠能力の問題等、さまざまな形で被疑者段階の捜査手続に影響するという問題がございます。
 あるいは適正な被疑者弁護活動のあり方をもう少し論究、研究する必要がある。あるいは国の財政負担との関係、あるいは国民の理解、さらにはこういった被疑者段階での国選弁護ということになりますと、全国的に弁護士の偏在の問題など、どういうふうに解決していくのかというような問題、さまざまな角度から検討が必要とされると考えております。
 また、お尋ねの中にあります少年保護事件における付添人に対する国庫金の支弁に関しましても、少年審判における国選付添人制度のあり方、あるいは付添人制度全体の中での検討が必要とされるものであります。
 なお、今国会に提出した少年法等の一部を改正する法律案におきましては、少年審判に検察官が関与する場合で、少年に弁護士である付添人がいないときは、家庭裁判所は弁護士である国選付添人を付するという内容になっております。
漆原委員 被疑者弁護については、現在法律扶助協会で当番弁護士制度ということで、今大変好評のうちに実現されておるわけなんですが、やはりこの被疑者、逮捕されている人、どうしても自白が誘導される危険性がありますね。自白によって、結局、最終的には裁判も誤ってしまう、こういう危険性も非常にあるということで、どうか人権擁護という観点からは、被疑者弁護という観点をぜひとも実現していただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
 次に、現在できている、報告書の上がっている民事関係だけでもこの法律扶助を早く実現してもらいたいな、こう思っております。多分、今度の審議会でもこの法律扶助は大きな問題にされると思うんですが、それと一体となってやりますと二年後以降になってしまうものですから、民事関係の法律扶助制度だけでも早く実現してもらいたい、こういう気持ちを持っておりますが、いかがでしょうか。
陣内国務大臣 法律扶助制度が重要なことについては先ほど申し上げたとおりでございます。
 そこで、法務省では、法律扶助制度研究会が十年三月に報告書として取りまとめておりますので、その研究成果などを踏まえながら、民事に関する法律扶助制度について、できる限り早期に法制度化することを含めて検討しているという状況にございます。
漆原委員 では、民事に関する法律扶助は、刑事とは別問題として、できる限り早期に提出されるというふうにお聞きしておきたいと思います。
 これも今後の問題かと思いますが、大幅な予算、これを獲得していただくことが法律扶助にとっては大変重要なことだと思うんですが、不況の中でございますけれども、思い切った予算を獲得していただくよう法務大臣に強く要望しておきますが、法務大臣の決意をひとつ述べていただきたいと思います。
陣内国務大臣 これも法律扶助制度研究会でまとめておるところでございますけれども、法制度化を含めまして、関係機関とも協議、検討しながら、その一層の充実発展に努めてまいりたいと考えております。
漆原委員 次に、国民の司法参加という観点に移りたいと思うんですが、司法制度改革の重要な論点の一つであろうか、私はこう思っております。司法が国民に理解をされて支持されるためには、国民とかけ離れた存在であってはならない。そのためには、官による司法から民による司法への発想の転換が必要ではないのかな、そういう意味で国民の司法参加は非常に大きな施策であろうか、こういうふうに思っております。
 かつて我が国も陪審制をとっておりました。また参審という制度もございます。この陪審制あるいは参審制について大臣はどのようなお考えをお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
陣内国務大臣 今御指摘のように、国民の司法参加の見地から見て、陪審制、参審制度というのは大変意義あることだ、このように認識しております。
 ただ、我が国の司法の基本にかかわる問題でございますので、広く国民の意見を踏まえて、そのような制度による裁判に対する国民の信頼の確保とか、陪審員としての責務を負うことについての国民の理解など、種々の観点から慎重に議論され、検討されなければならない問題だと思っております。
漆原委員 わかりました。
 法曹一元についてお尋ねしたいと思いますが、昭和三十九年の八月に発表された臨司意見書というのがございます。ここでは、詳細な検討の結果、次のように結論づけています。この調査会では、法曹一元制度の概念について、これを「裁判官は弁護士となる資格を有する者で裁判官としての職務以外の法律に関する職務に従事したもののうちから任命することを原則とする制度」というふうに定義しておりますが、この概念は、裁判官の任用についてのいわゆるキャリアシステム、すなわち、当初から裁判官として採用されて、その経歴自体の中において裁判官としての養成訓練がされることを排除している点、俗に子飼いの裁判官の存在を認めないという点で非常に影響することが大きいものだと思っております。
 臨司意見書では、この法曹一元の制度について次のように結論をしております。
  法曹一元の制度は、これが円滑に実現されるならば、わが国においても一つの望ましい制度である。
  しかし、この制度が実現されるための基盤となる諸条件は、いまだ整備されていない。
  したがって、現段階においては、法曹一元の制度の長所を念頭に置きながら現行制度の改善を図るとともに、右の基盤の培養についても十分の考慮を払うべきである。
というふうに結論をしておりますが、法務大臣にお尋ねいたします。
 この臨司意見書では、法曹一元制度の「基盤の培養についても十分の考慮を払うべきである。」そういうふうに指摘しておりますが、そもそも政府はこの臨司意見書で言う法曹一元の制度を望ましい制度と考えているのかどうか、この臨司意見書と同じ結論をお持ちなのかどうか、お答えいただきたいと思います。
陣内国務大臣 三十七年から三十九年にかけての臨時司法制度調査会で、今委員から御指摘のような報告がなされたということは承知しております。一つの望ましい制度であろうかと思いますが、その実現の基盤となる諸条件がいまだもって整備されているというふうには言いがたいのじゃないかな、私はそのように受けとめておりまして、現在、法務省としては、法曹一元の制度の導入を直接の目的とする施策を講ずることは考えておらないところでございます。
 しかしながら、司法制度の改革についての各界の提言の中にもこの制度について言及するものが少なくなく、これからの司法のあるべき姿についての一つの考え方として重要な検討課題である、このように認識しております。
漆原委員 それでは、三十九年以来、基盤の培養のために、政府としては今日までどのような施策を講じてこられたのか、その辺をお尋ねしたいと思います。
房村政府委員 臨時司法制度調査会の報告書では、法曹一元の制度が実現されるための前提条件といたしまして、法曹人口の飛躍的増加、あるいは弁護士の地域的分布の平均化とか、裁判官の職務内容についての改革、あるいはその待遇の改善など十二項目にわたって諸条件を掲げているところでございます。
 政府として、その基盤の培養としてどのような施策を従来講じてきたかというところでございますが、裁判官、検察官の待遇改善、あるいは法曹になる者の統一試験、統一修習、これを堅持するというようなこと、それから法曹の人口に関しましては、かつて司法試験合格者が三百人程度でございましたものを五百人に、五百人から七百人、さらに昨年の司法試験法及び裁判所法の一部改正に伴いまして、昨年度は八百人、十一年には一千人ということで、着実に法曹人口の増加を図ってきたところでございます。
 また、弁護士の方から裁判官への任官、これを進めるという観点から、最高裁判所におかれてでございますが、昭和六十三年に判事採用選考要領というようなものを定めまして、これを推進してきております。平成三年には、さらに積極的に推進するために、この要領を改定して柔軟に採用できるようにしたというぐあいに伺っております。
 そういった形で種々の努力をしているところでございます。
漆原委員 弁護士から裁判官になる道が開かれた、こういうことでございますが、余り例が多くない現実ですね。ある意味では、もう年で弁護士をやっていけない人がなってみたり、余り本来望まれた姿でないような姿も見受けられるわけなんです。
 そもそも、弁護士から判事になる人が少ないという、これはどんな理由だというふうにお考えでしょうか。
房村政府委員 法務省として直接事情は余りよくわからない面もございますが、弁護士から裁判官への任官という数で申しますと、平成四年から平成十年までに、判事二十九名、判事補五名、合計三十四名が任官したというぐあいに伺っているところでございます。
 この数は、裁判官、二千人近い数でございますので、それに比較しますと確かに少のうございますが、その理由といたしましては、ただいま委員から御指摘のありましたように、弁護士としてそれなりの実務経験を経ますと、やはり依頼者との関係、あるいは抱えている事件の関係、あるいは生活基盤、そういったものがいろいろできますので、そういうものを一切無視してといいますか、全く違う環境の裁判官になるということについてはなかなか難しい問題もあろうかと思います。そういったことが一番大きな原因ではないかと考えております。
漆原委員 弁護士は長年かかって顧客を確保しているわけですが、その職務を例えば病気で半年離れてしまいますと、顧客がみんな散ってしまうということで、病気が治っても新しくまた顧客を開拓しなきゃならぬという事態になるわけですね。そういう意味で、裁判官になった場合には、一年、二年、三年となりますと、退官してから一から弁護士やり直しという事態になります。
 そういう意味では、私は、弁護士事務所が法人化されていないことも大きな理由じゃないのかな。今、個人事務所中心でやらざるを得ないわけですが、弁護士事務所を法人化されて、法人としての事務所で事件を受けて処理していく形態ができれば、弁護士から裁判官になったり、弁護士から国会議員になったり、あるいは弁護士から企業に行ったり、いろいろなところの交流ができて、終わってからも事務所に帰ってきてその事務所の仕事をするという、そんな形態ができれば弁護士から任官する人もふえるんじゃないのかなということも常々考えたりしています。その辺もどうか視点に入れていただいて、今後、検討していただきたいなというふうに考えております。
 日弁連の方から、このたび、研修弁護士制度というのを提案されております。これは、司法修習終了後、すべての修習終了者が研修弁護士の資格において一定期間、弁護士実務を経験することを、弁護士登録、裁判官、検察官への任官の要件とするという制度でございます。
 この案は、その後マスコミにおいても非常に注目されまして、日経新聞、朝日の社説でも紹介されております。日経では、「豊かな市民感覚を持った法律家を育てるには、直に依頼者と接し、その悩みを聞き解決策を探る経験が不可欠である」、こんなふうな指摘があります。また、朝日新聞では、「法曹に携わる者が、市民感覚からずれて独善的になるのも大いに困る。司法には透明で公正な紛争解決のほか、人権を守り、行政をチェックする役割もある。 そうした責務にこたえられる法曹を養成するには、机上の知識や法律技術だけでなくて、生身の人間のさまざまな苦労や思いをはだで知る機会が不可欠だろう。」というふうに社説に書いてございます。
 私は、法曹一元の制度実現に向けての一里塚としてこの弁護士研修制度を評価すべきだと思っておりますが、法務大臣は、この弁護士研修制度に対してどのようなお考えをお持ちでしょうか。
陣内国務大臣 司法を国民に利用しやすくする、役立つようにする、あるいは信頼されるようにするということの上から、市民感覚を持った法曹が大事だということは、御指摘のとおりだと思います。
 ただ、日弁連で提案しておられる研修弁護士制度については、修習制度の基本的な理念にかかわる問題点があると考えます。まだ議論も十分に尽くされていないということでもございますので、将来の法曹養成制度のあり方の一つの提案として受けとめておきたいと考えております。
漆原委員 法務省としては、抜本的に物事を変えていくということはなかなかやりにくいと思いますが、こういう意見が今回の審議会の中で委員の皆さんから出てきて、国民が望んでいるんだというふうな方向で出てきた場合には、どうぞ積極的に対応していただきたいなということを思っております。
 時間がなくなってまいりましたが、私は、司法制度改革の必要性そのものについては十分わかりますし、認めるところでございますが、審議会を内閣に置くという今回の法案でございますが、若干の懸念を持っております。
 国民各層の代表者で構成される審議会で司法改革を議論し、内閣に意見を述べる、こういう構成になっておるわけでございますけれども、これは私は三つの段階で既に内閣のフィルターがかかっているというふうに考えております。どういうことかというと、まず任命の段階で、内閣が任命しますから内閣のフィルターがかかっているんじゃないか。それから、審議会の審議の仕方をどうするのか。先ほど来質問のあった事務局、こういうあたりで内閣のフィルターがかかっているんじゃないか。それからもう一つは、意見を聞いて法制化する場合に、ここでも内閣の意思が働くんじゃないか。
 この三つの観点で私は内閣のフィルターがかかっているというふうに思うわけで、具体的な心配事としては、法曹人口の増加などという、ある意味では解決しやすいというか表面的な事項だけが法案化されてきて、法曹一元だとか陪参審とか違憲審査権の強化とかいう、ある意味では司法の根幹にかかわるような問題、こういう問題が先送りされてしまうのじゃないかなという心配を持っております。
 そういう意味で、審議会が、国民の声がそのまま審議会の声として内閣に具申されるような、そういう制度的な保障というか担保というか、そういうものはこの法案の中にあるのかなという心配を持っておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
房村政府委員 まず第一に、御理解願いたいと思っておりますのは、内閣がこの司法制度改革審議会を設置するという法案を提出しておりますのは、司法制度を国民に利用しやすく、国民の身近な立場で考える、そういう司法制度を実現したい、こういうことを考えて、審議会で十分議論していただきたいということを考えてのことでございます。
 そういうことから、この審議会で取り上げる事項につきましても、二十一世紀における司法のあり方という、司法全体のあり方をトータルに考えていただきたい。個別に特に取り扱いやすい問題だけを取り上げるというようなことではなくて、司法全体のあり方を考えていただきたいんだ、こういうことで、所掌事務についてもあのような規定にしたつもりでございます。
 また、委員の件につきましても、先ほども申し上げましたが、国民的見地で、しかも、国民各層を代表するような方々に委員になっていただくというつもりで有識者のみと規定したわけでございますが、同時に、いわば内閣が一方的に、勝手に選ぶのではないか、そういう誤解を避けるためにも、両議院の同意を得て、国民を代表する立場にある方々の同意を得た委員になっていただくということにしたわけでございます。
 次に、委員会における審議につきましても、そのような見識のある委員の方々に、自由な立場で司法の実情を十分見詰めていただいて、その中で、現在の司法の抱える問題、また、それをどういう立場でどういうぐあいに解決していくのかということを自由に御審議願いたい、こういうことを考えております。
 そういうことから、先ほど大臣も説明されましたけれども、事務局の役目も、委員による調査審議をあくまで補助するんだ、こういう観点で事務局も設置するということになるわけでございます。また、内閣の補助機関として法律でわざわざ設置をしていただいた審議会でございますので、その審議会の御意見を内閣が尊重していくのは当然のことというぐあいに考えております。
 以上でございます。
漆原委員 その点に関して、日経の社説にこんな記事があるのですが、「審議会の運営に事務局の関与は排除すべきである。審議会による政策決定が問題なのは、事務局が議論のレールを敷きその上を走らせようとするからだ。審議会が行政の隠れみのであってはならない。早くも法務省が検討項目をまとめ、審議会の議論を自分に有利に運ぼうという動きを見せているのは極めて遺憾だ。」こういうふうな社説があるのですが、いかがですか。こういう検討項目をまとめたというふうなことがあるのかないのか。
房村政府委員 そこの社説で取り上げられております法務省が取りまとめた審議項目というのは、本年の一月四日付の新聞で報道されたものと理解しております。これは法務省において、いろいろな各界の提言もございますので、そういったものを参考としつつ、この審議会でどのような項目が取り上げられるであろうかという、いわば一種の想定として内部的に取りまとめたものでありまして、委員会にこれをお示しして、委員会の審議をこういうことでお願いしたい、こういうつもりでつくった資料ではございませんので、一種の想定というぐあいに御理解いただければと思っております。
漆原委員 まさにそのとおりやっていただきたいと思います。
 内閣は一切この審議会に対して口出しをしたり方向づけを行ったりしてはならない、こう思います。
 それから、この審議を必ず公開をしてもらいたい。公開はどんなふうにされるのか、具体的なお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
房村政府委員 政府の基本方針として、審議会につきましては、会議または議事録を公開するということが定められておりますので、この司法制度改革審議会におきましても、当然、委員の方々は、その政府の基本方針を踏まえて、適切な形で公開をしていただけるというぐあいに考えております。
 具体的な公開のあり方については、なるべく国民の方々にその審議の内容を知っていただける適切な方法を講ずることになろうかと思いますし、事務局としてもそういう方向で努力をしたいと考えております。
漆原委員 以上で終わります。
 ぜひ、公開していただいて、本当に審議会が自由に討論できるような場を設定してもらいたいとお願いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
杉浦委員長 次に、西川知雄君。
西川(知)委員 西川でございます。
 きょうは、少し具体的に、三つのことをお尋ねしたいと思います。
 一つは、これは私、去年も法務委員会に出席させていただきまして、十年の五月六日に、いろいろな、例えば総合的な法律経済関係の事務所、これが果たして法律上可能かどうか等、五つか六つぐらいの質問をしました。法務省の方として、これは検討をするというようなことが答弁でございましたので、一年たった後、どういうふうに検討されたのか、これをまずお尋ねします。
 二番目の問題は、私も訴追委員会に出させていただいておるわけでございますが、裁判官を弾劾裁判所で罷免の裁判をするというその前提として、訴追委員会で訴追をするわけでございます。ただ、これは罷免かどうかということで、クロかシロどっちかでしかございませんので、この中間に当たるような、例えば裁判官の非常に職務上不適切な行為があった場合でも、懲戒の対象になる例は余りない、これは何とかしないといけないなということで、その点についてお尋ねをします。
 三つ目は、今、金融関係の法案でサービサー法というのができまして、債権の回収ということで、一定の会社が要件を備えますと、弁護士を一人取締役として置くわけですけれども、そこで債権の回収を迅速化せしめるというのですが、これはちょっと弁護士会の許可との関係でうまくいっていないというのが現状でございますので、この三つを主に取り上げて議論をしたいと思います。
 そこで、一番目の話の前に、ちょっと二番目が割合重要なので、お話を聞きたいと思います。
 裁判官の訴追委員会というのは、御存じのように、裁判官弾劾法というところに基づいて行われまして、その第二条に「弾劾による罷免の事由」というのが書いてございます。これは、先ほど申しましたように、罷免ということでございますから、やめるか続けるか、どっちかしかございません。しかしながら、委員会の内容は全部公開することはできませんが、例えば、訴訟指揮で何回も何回も繰り返して、弁護士を、あなたは三百代言だ、一体何を見てそういう答弁をしているんだとか、そういうことを繰り返し繰り返し言っておられる例がございます。訴追委員会の事務局としても、そういうことをさらに調査するということで調査をされているわけでございますが、それも事情を聴取しているという程度に今のところなっております。
 そうすると、そういうことがたまたま裁判所に知られた場合というのは、裁判官分限法というので、裁判官の懲戒というのが第二条に書かれております。しかしながら、第六条で、事件の開始というのは、裁判所の申し立てにより、これを開始するわけでございますから、裁判所がこれを知らなければ申し立ては開始されなくて、そういう人がずっとそのまま何の反省もなく、裁判官として、日本の司法の公正さ中立性を保つという立場でありながら、その職務を継続している。これは、裁判官のいろいろな行為を国会がチェックしようということで弾劾裁判制度はできたわけですけれども、よっぽどのことをしない限り何にもない。
 平成八年の三月に、事務局から裁判官訴追委員会の先例集が出ておりますが、それを見ますと、罷免の訴追をした事例というのはたった六件で、昭和二十三年から、五十六年が最後でございますが、これが六件。罷免の訴追を猶予したものもたった七件ということで、これは本当に機能しているのかな、こういうことでございます。
 そこで、このような状態を何とかしないと、やはり司法の制度を国民に信頼していただくためにも、何かの制度を変えないといけないんじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。
 そこでまず、裁判官の職務上の行為とか品位とかそういうものを監督するというような立場から、最高裁の方にも来ていただいていると思うんですが、具体的にどういうようなことをやっておられて、また、例えば訴追委員会の方で、全員が、これは余りにもひどいケースだということで、最高裁判所の方に、こういう事例がありますよと言ったときに、調査を開始するとか、具体的にこういう問題を解決するような措置を考えていらっしゃるのかどうか、まずそれをお尋ねしたいと思います。
    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕
金築最高裁判所長官代理者 お答えを申し上げます。
 裁判官について、その地位を辱めるような行為が、これはあってはならないわけでございまして、こういう点は裁判官各自も自重自戒しておりますし、私どもとしても十分意を用いているつもりでございますが、そういうことが不幸にして起こりました場合には、もちろん一番厳しい処分は委員御指摘の弾劾、その次には分限裁判、それから、下級裁判所事務処理規則の二十一条に、所長等が裁判官に注意をするということもございますし、裁判所法上の監督権の発動で注意をするということもございます。そのほかにもちろん、事実上のこととしては、いろいろ研修その他、あるいは日ごろの職務の過程で注意をするというようなこともございます。
 そこで、本題といいますか主としてお尋ねの、通知を訴追委員会の方でされるというふうなことでございますが、訴追委員会から裁判所に対して通知をするというのはどういう仕組みのものかというところが必ずしも十分私どもの方で理解しておらないわけでございますが、仮に、裁判所に懲戒のための分限裁判の申し立てをすべきだという、こういう義務づけを伴うものを想定するといたしますと、その辺は、憲法の三権分立の観点とか裁判官独立の観点などから、これについては十分慎重な検討を要する必要があるように思われるわけでございます。
 仮に今、憲法上の建前などに反しないような形で、そういう問題がないような形で訴追委員会から裁判所に情報を提供するというような運用が考えられるといたしますならば、そういう情報をいただいた裁判所としては、これを端緒に、端緒はいろいろなものがあり得るわけでございますので、これを端緒として適切に対処していく、そういうことになろうかと考えております。
    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕
西川(知)委員 今の御答弁は、事実上、例えばそういう通知が訴追委員会でできるようになって、そういう通知があったときは、実際的にはそれを端緒として、果たしてちゃんとした行為が裁判官の方でなされていたかどうかを調査していくつもりである、こういうふうに理解をいたしましたが、それでよろしいですか。
金築最高裁判所長官代理者 事実を明らかにして、もし事実があればそれに応じた措置をとるという趣旨でございます。
西川(知)委員 そこで法務大臣、訴追委員会で弾劾の訴追をしようというのは三分の二以上の多数がないといけないわけです。例えば、訴追まではいかないけれども、三分の二以上の委員なり全員が、この裁判官はもうひどい、罷免をするほどではないけれども、やはりそういう事例が訴追委員会で上がっているんだから、これは何とかしておかないといけない、こういうふうにみんなが解釈した場合に、これは訴追委員会の中の問題で、その中でまた討議することになるんですが、そこから通知が行った場合、そういう場合には必ず裁判所は懲戒の申し立てをしなければならないとか、また、訴追委員会の方から懲戒の申し立て権がある、こういうようなことももう一歩進んで考えられるわけですが、これは法律の改正、分限法の改正ということになります。まず政治家として、法務大臣として、そういうような事例があった場合は、やはり何かのチェック機能が必要であって、そのための法律改正が必要であるというふうに私は思うんですが、大臣はどんな御意見ですか。
陣内国務大臣 裁判官の非違行為につきましては、現在も弾劾裁判所及び裁判所において適正に対処、対応していただいているというふうに承知しております。
 そこで、議員の御指摘になった件でございますけれども、訴追委員会に申し立て権を認め、何らかの拘束力のある制度を設けることについての件でございますけれども、これはやはり三権分立及び司法権の独立の観点から慎重に検討すべきものではなかろうか、このように考えております。
西川(知)委員 慎重に検討することは当たり前の話で、ですから、慎重に検討していただきたいんですが、いかがですか。
陣内国務大臣 今のような考えに基づいておりますので、今後見守ってまいりたい、このように思っております。
西川(知)委員 また後で、去年の質問でどういうふうにことし回答が出ているか、ちょっとチェックしますけれども、見守るだけではだめで、そういうふうな行為が国会の訴追委員会のところで、全員が、これはもう正しくない、こういう行動は慎まなければならないというふうに、みんなの意見がそうであるときに、たまたまそういう懲戒等の申し立ての制度がないということでそういう裁判官が野放しになっておること、これについてはどういうふうに大臣はお考えですか。
陣内国務大臣 先ほど最高裁から御答弁がございましたけれども、三権分立及び司法権の独立の観点から慎重に検討すべきものではあると思いますが、一つの有益な情報提供の方法になるのではないかな、こういうことを今ここで感じ取ったところでございます。
西川(知)委員 憲法上の問題もあってなかなか難しいことは、それは私も法律家ですから十二分にわかっておりますが、今言ったような点、きょうのところはここまでにしておきますけれども、十二分に肝に銘じて、いろいろな対策というものを考えていただきたいというふうに思います。
 次に、一番初めの質問に戻りますと、去年の五月六日に、私、国会議員になる前にいわゆる会社関係の仕事を弁護士としてずっとやっていたわけですけれども、そのときに非常に便利だと思ったのは、外国のいろいろな弁護士事務所に行きますと、何かプロジェクトがあるときに、それは会計にも関係するし、税務にも関係するし、場合によってはパテントにも関係するということで、それぞれのところに一々行って意見を聞いてもなかなかうまく整合性がとれた意見がもらえないということで、これは一つの総合的な法律事務所というか、そういうような法律経済事務所ですか、そういうものができれば国民にとっても大変便利だなということで、それを去年提言いたしました。
 このことについて、当時の山崎政府委員が、これは本年度じゅうに、きょうまでですけれども、検討の結果を得ることとされている、大蔵省、国税庁、特許庁、こういうところと連絡協議会を設けて、問題点の洗い出しをして、これに着手している、やはり総合デパート、一カ所に行けばすべてが済む、こういうような観点から検討中でございます、きょうまでに結論を出さねばならないという状況でございます、こういうことをおっしゃっているので、今この検討状況はどういうことになったか、結論はどうなったかを教えてください。
房村政府委員 ただいま委員が御指摘になりましたように、弁護士、公認会計士、弁理士あるいは司法書士、税理士というようなそれぞれの専門職種がございますが、こういう方々が一つの事務所で共同して執務をしておられるということになれば、利用者としては、その事務所に行けば法律問題あるいは会計の問題、税金の問題、特許の問題あるいは登記の問題、こういうものをすべてその事務所で処理してもらえるということで非常に便利ではないか、いわゆるワンストップサービスということから、こういう総合的な事務所ができないかということが検討課題になったわけでございます。
 ただ、問題は、今挙げたような専門業種につきましてはそれぞれの資格法制が法律で定められ、監督官庁が置かれておりまして、弁護士については監督官庁はございませんが、そういうことがありまして、業務執行につきましても無資格者がこれを執行することを法律で禁止しておりますし、また、その業務の独立性を保たなければならないという要請もございます。また、事務所の名称についてもそれぞれの法律がいろいろな定めをしている。
 このようなことから、便利ではあるが、一体そういう共同の事務所ができるのであろうか、そういうことを検討するために、前調査部長も答弁いたしましたように、法務省と大蔵省、国税庁、特許庁という関係省庁が集まりましてこの検討会をしてきたところでございます。
 今言ったような問題はいろいろあるわけでございますが、事務所の形態を工夫すれば、基本的には現行法制上、各種資格者が同一の事務所を共用し、顧客のニーズに応じてそれぞれがその専門資格に係るサービスを一定の協力関係のもとに提供することは可能である、こういう結論に達しました。これは現行法のもとでも可能だということでございます。
 ただ、こういうことが検討課題に挙げられたということは、今のように現行法のもとでも総合事務所が可能だという認識が必ずしも一般に持たれていない、それぞれの専門資格をお持ちの方々にとってみても必ずしもそれが当然のこととは受けとめられていなかったということであろうと思っておりますので、私ども、それぞれのところでそれぞれの専門資格を有する方々に対してこういうことを周知いたしまして、国民にとって便利であると思われるこういう総合的な事務所が利用されるように努力をしていきたい、こう考えております。
西川(知)委員 それは、これからの日本の経済、それからいろいろな外国からの企業が来た場合にも非常に喜ばれる便利な制度であるということで、政府の見解としてそれができるということが国民の前に伝わったということは極めて大切なことであったと思います。
 そこで、もう一つお尋ねをいたします。
 去年の五月六日は、外弁の関係でございましたが、実質的に外国から弁護士が日本に来て外弁として活動をして、そこで日本人の弁護士を、これは雇ってはいけないわけですけれども、実際雇っているというような状況、私が三年ぐらい前まで国際関係の渉外の事務所で仕事をしていましたときはそういうようなことがたくさんあったんじゃないかというふうに思って、この辺についてちょっと実態調査をして、そういう外弁法の法の趣旨から実際に離れたことが行われていないか、これを十分に調査してよく見ていただきたいというふうに当時の大臣に申し上げました。また、その大臣の答弁を受けて、政府委員としても、「いろいろ今御指摘の点も踏まえまして、関心を持って、日弁連の方にもいろいろ資料を提供していただけるなら、そういうもので実態をきちっと把握していきたいと考えております。」こう答弁されました。
 それで、当然のことながら、日弁連の方にもいろいろ資料を提供していただいて、実態をきちっと把握していただいていると思うのですが、その把握の状況を教えてください。
房村政府委員 ただいま委員から御指摘がありましたように、外国法事務弁護士に関する法律、いわゆる外弁法でございますが、この外弁法では外国法事務弁護士が日本弁護士を雇用することを禁止しております。したがいまして、仮にそういう実態があるとすれば、外弁法違反の事態が生じているということになるわけでございます。
 ただ、弁護士及び外国法事務弁護士に対する指導監督の権限は日本弁護士連合会にゆだねられております。そういうことから、昨年五月六日の当法務委員会における答弁におきましても、前調査部長が、日弁連の方にもいろいろな資料を提供していただけるならということを申し上げたわけでございます。
 委員からの御指摘もありまして、改めて日弁連にも、このような外国法事務弁護士が日本の弁護士を雇用しているという実態の有無を把握しているかということで問い合わせたわけでございますが、日弁連としては、現時点ではそのような外国法事務弁護士が日本の弁護士を雇用しているという実態は把握していないという回答を受けているところでございます。
 日弁連におかれては、こういう弁護士及び外国法事務弁護士の共同事業等の実態を把握する努力をされて、違法な事態が生ずることのないように適切に対応されていかれるものと承知しておりますし、私どもとしては、今後も日弁連と協力をしてまいりたいと考えております。
西川(知)委員 いつ日弁連からそういう回答を受けられました。
房村政府委員 随時連絡は取り合っておりますが、昨日改めて確認をしております。
西川(知)委員 実態はそれほど、弁護士会が言っているほどきれいな形になっていないというふうに私は思いますので、引き続き、随時この点について実態をきちんと把握していただきたいと思いますが、いかがですか。
房村政府委員 私どもとしても、法律違反の状態があるということは好ましいことではないと思っておりますので、日弁連とも協力しつつ、そのような努力を続けてまいりたいと考えております。
西川(知)委員 そこで、また後で時間があったらやりますが、ちょっと三番目の話をしたいと思います。
 これは今、不動産債権、土地債権の流動化、こういうことが大切で、そのためにSPC法等もできました。しかし、弁護士の営業許可の面等からすると、実は一つ問題点がございます。
 今いろいろなところで土地債権、不動産の債権の流動化ということが言われていますが、それは、もう不良債権化した債権の担保の対象となっている土地とか細切れの土地、そういうものを流動化させよう、こういうようなものが現状なんですが、これは余り欧米では好まれて使われる手段でなくて、今みんなが新しい国際化の中でやろうとしているのは、土地がこれから価値がありそうだ、流動化しそうだ、そういうものをある会社が買っていく。それに、何社か、土地を持つ人、例えば十名なら十社、その人にお金を貸して、そしてしかもそういう流動化できるような土地を買ってもらう。それを債権譲渡をSPCにして、SPCがそれを海外の投資家に売る、こういうようなことをやるわけですね。
 そうすると、もともと海外の投資家は、その土地を買った人、すなわちある会社から借金をした人には直接にお金を貸せない、貸すような格付もない。しかしながら、その土地を対象とした債券の格付をしていく。格付していって、そしてSPCに一つの会社が売る、こういうふうにすることによって海外の投資家もそのSPCに投資をしやすい、こういうことになっているわけです。
 そのときに、通常、SPCというのはスペシャル・パーパス・カンパニーですから何の実体もない。そこで、サービサーとして実際の債権の回収を、もともとお金を貸した人、十社なら十社に貸した人、その人をサービサーに任命するということになるわけです。そうすると、さっき言ったように、債権の流動化というものが起こりやすいし、万が一の場合はその人がサービサーとして取り立てをするということになるのですが、そのとき、サービサーは弁護士が一人要るわけです。そこで、弁護士に当然のことながらなってもらおうといって、弁護士会に営業許可なりそういう許可の申請をすると断られるのですね。そうすると、実際にサービサー法というものをつくったとしてもうまく機能しないのです。
 何でかというと、そういう土地債権の流動化をするときに、そのある会社が十社にお金を貸しますね。貸すと貸金業者というふうに認定をされるわけです。そうすると、弁護士会は、貸金業者であれば、そんなところに弁護士が取締役ということはもともと望ましくないというような固定概念があるのかもしれませんが、全部拒否されるのですね。こういうような場合でも拒否される。
 これは、せっかくここにいらっしゃる委員の何名かの方も貢献してつくったサービサー法、これの実際的な機能を十分に発揮できないようになるし、また時代おくれでもあるということで、この辺のところも、十二分にそんな事態が起こらないように、やはりこれは法務省の方でも弁護士会とよく話し合っていただいて、機動的なサービサー法の運営ができるようにしていただきたいのですが、その点について法務省の方からお答えを願います。
房村政府委員 ただいま委員御指摘のとおり、弁護士法では、弁護士が取締役に就任する場合には所属弁護士会の営業許可を必要とする、これは弁護士の品位を保つために余り変な会社の取締役になってもらっては困るということだろうと思います。その基準として、弁護士会の中には、貸金業の会社の取締役には原則として営業許可を与えないということを定めておるところもあるように聞いております。
 サービサーにつきましては、ただいま委員から御指摘のような形で、サービサー業務を適切に営むために貸金業というか、融資ですが、形式的には貸金業に当たるわけですね、これを兼業する必要があるものがあるのは事実だろうと思っております。したがいまして、法務省としては、このサービサーが本業以外の業務としての貸金業を営みたいという兼業承認が出た場合に、一律に承認をしないということは考えておりません。場合によれば、当然兼業承認の対象になると考えております。
 したがいまして、そういう貸金業をあわせ営むサービサーの場合に、弁護士会が取締役への就任の営業許可を一律に拒否するということになりますと、実質上そのサービサーの会社は取締役に弁護士を得られないということになりまして、非常に不都合を来すということでございます。
 これは、貸金業一般がどうかということはいろいろございますが、少なくとも法務省で法務大臣が許可を与え兼業承認をしたような貸金業を兼業とするサービサーは、内容的にもしっかりしたものであって、社会的に非難を浴びるようなものではないと考えておりますし、また、そういう会社に弁護士が取締役として入っていただくということは、その会社の業務を適切に運営することを内部から保証していただく、こういう趣旨でもあります。
 したがいまして、営業許可は各弁護士会の判断に係ることではありますけれども、そのようなサービサー法の立法趣旨を各弁護士会におかれても十分考慮して営業許可の適否を判断していただきたいと考えております。
 本日委員から御指摘のあったことにつきましては、日弁連にも連絡をいたし、各弁護士会にも伝える努力をしていただきたいと考えております。
西川(知)委員 時間が来ましたので終わりますが、こういうような現場を知っている国会議員もまだたくさんいらっしゃるかもしれませんので、答申が出てから、それからもう一回審議をするというのは当然のことですが、その時々にこういう委員会でもいろいろな意見を聞いていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
杉浦委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十三分開議
杉浦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。日野市朗君。
日野委員 司法制度改革審議会設置法案が今審議をされているわけですが、この法案の所轄委員会といいますか、それが法務に決まったということについては、小渕総理が、前の法務大臣であった中村法務大臣に、法務でやってくれ、こうおっしゃったというふうに仄聞をしているところでありますが、それで間違いありませんか。
陣内国務大臣 そのとおりでございます。
日野委員 ところで、この条文を見ますと、司法制度改革審議会については、主任の大臣は内閣総理大臣とするということの規定がございますね。この規定と、法務委員会でこの法律案を審議するということの間に、若干の違和感を覚えるのでありますが、いかがでありましょうか。
房村政府委員 ただいま委員御指摘のとおり、本法案の第八条では、「審議会に係る事項については、内閣法にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。」というぐあいに定められております。これは、内閣法で、内閣に属する事務につきまして主任の大臣を定めるという規定が置かれておりますので、それを受けまして、内閣総理大臣を主任の大臣としているわけでございます。
 それから、総理大臣から法務大臣に対して、本法案につきまして、国会対応の担当大臣ということで指名があったというぐあいに私どもも承知しております。
 どの委員会において審議をするかということは国会でお決めになる事柄でございますので、私どもとしては、この審議会の内容が司法に密接なかかわりがあるということで、法務委員会で審議をすることになったものと理解しております。
 以上でございます。
日野委員 私は、それに異議を述べるつもりは全くないのでありまして、余り警戒しないで答弁なすって結構ですよ。
 ところで、主任の大臣、こう書いてあるわけでございまして、では、どこからどこまで法務大臣がおやりになれるのか、そのことが私として非常に関心がある事項です。
 といいますのは、この法案が出るときには、皆さん余り重大視しなかったんだと思う。余り大事に考えないで、すっと通ってしまうのではないかということを政府の側としてもお考えになったであろうし、恐らくこれを提出された与党の側も、そんなに問題はないだろう、こうお考えになってきたんじゃないかと思うのですよ。
 ところが、我々がいろいろ検討をしてみて、きのうの参考人の意見にも出ておりましたね。従来の行政側、つまり政府の側と司法の側との関係というのは、これはやはり学者だな、大したものだなと思って、私は大出参考人の意見を拝聴したのでありますが、司法軽視、敵視という言葉をお使いになった。その歴史が日本の司法の歴史であったというふうに彼はお述べになっているわけですね。
 今、首をかしげておられるけれども、実は私も、そういう傾向がずっと今の日本で歴史的に続いてきていたのでないか、そして戦後、新憲法が制定されてから、その新しい憲法のもとでも同じような傾向が続いてきたような気がしてならない一人なのです。でありますから、そういう者の立場から見れば、この司法制度をこれからどのように運営していくかということは非常に強い関心を向けざるを得ない。そうすれば、どのようにこの司法制度改革審議会がこれから運営をされていくのかということについて非常に強い関心を持つわけですね。
 主任の大臣は総理大臣と決めている、そして、それにふさわしい重大な問題だと私も思っているわけですね。でありますから、では、どこまでが法務大臣としておやりになれることなのかということはちゃんとしておかなくてはいけない、こう思っています。いかがでしょう。どこまでという線引きをひとつ考えてみてください。
房村政府委員 内閣法で主任の大臣を定めるという事柄でございますが、これは、内閣の職権に属する行政事務のうちに、通常は、その事務の性質上、特定のどの国務大臣ということに分担管理が決まるわけでございますが、そういうものが決まらない事務がございます。そういう場合に主任の大臣を定めるということになっておりまして、今回、内閣に置かれます司法制度改革審議会につきましては、内閣が行政を代表する立場で、司法の充実強化のための審議会を設置して御意見を伺う、こういう事務になりますので、特定の国務大臣に分担管理させられる事務と性質が異なるということから、主任の大臣として内閣総理大臣を定めたということになります。
 したがいまして、法務大臣といたしましては、基本的に、法務に関する事務を所掌する法務大臣として司法制度についての事務を処理すると同時に、この審議会に関しましては内閣の一員として関与していくということになろうかと思っております。
日野委員 そうすると、ここは心して答弁を願いたいところだが、この法案が通過をした、そして司法制度審議会が設置されたとして、それから先の、委員を任命する作業、事務局を置く作業、どのような役割を果たしていくかというような作業、それからアジェンダ、つまりテーマとすべき事柄をどのように決めていくか、これはだれがやるのですか。
房村政府委員 まず、審議会が設置されました場合、これは内閣にその補助機関として法律で置かれる審議会ということになります。したがいまして、委員任命につきましては、法律で規定しておりますとおり、内閣が両議院の同意を得て任命するということになります。
 それから次に、審議会での審議事項等でございますが、これは審議会で各界からの提言等を参考にして、司法の実情を見ていただいた上で具体的な審議項目を決めていただくということが適当であろうというぐあいに考えております。
 事務局につきましては、やはり法律で事務局を置くということになりまして、審議会に直接事務局が設置されますので、内閣に審議会が置かれ、その審議会の下に事務局が置かれる、そういう意味では、最終的には内閣に帰属する形になろうかと思っております。
日野委員 あえて言葉の揚げ足をとらせていただきます。
 最終的にはと、こういうふうに今お言葉をお使いになりましたね。それはあくまでも最終的な責任の帰属ということはありますが、そこに至る過程でいろいろな作業が行われるわけですが、それを一つ一つこなしていくのはどこなのか。
房村政府委員 一つ一つといいますと、事務局の関係につきましては、設置された事務局において審議会のための事務を処理するということになります。事務局は審議会に設置されておりますので、審議会のもとに置かれているということになります。
日野委員 ちょっと私はそこで、心してというふうにお話ししたのは、それはあなたは形式論理で、審議会に設置をされる、こういうお話をされた。これはそのとおりなのです。
 ただ、現実に事務局を設置していく一つ一つの詰めの作業というものはどこがやることになりますか。それから、委員の任命もそうですよ。だれが任命することになるのか。その委員を選任することが、一人一人についてまさか内閣総理大臣がおやりになるわけではありますまい。その前段の作業をだれがやるのですか、こういうふうに聞いております。
房村政府委員 失礼いたしました。質問の趣旨を十分理解しないで答弁いたしました。
 具体的に内閣の中でこの審議会の事務を担当しておりますのは内政審議室ということになります。したがいまして、そういう事務的な作業は内政審議室において行っていくということになります。
日野委員 そうすると、こうなりますね。審議会が設置されればあとは内政審議室がこれをやっていく。内政審議室というのはもちろん総理の直属になりますから、法務省が関与するのはこの法律案が国会を通るまで、こういうことになりますな、あなたの今の答弁から当然の結論として出てくるのは。いかがですか。
房村政府委員 法務省としてもこの司法制度改革審議会設置法に協力をしてまいっておりますが、基本的にこれは内閣官房からの提出法案でございまして、内閣に置かれた内政審議室が現にこの法案についての事務は担当しております。
 また、この法案成立した後、例えば事務局の設置等の事務も内政審議室において行うことになりますが、審議会が立ち上がった後、審議についての個々の事務は、先ほども申し上げたとおり審議会に設置される事務局が直接担当される、こういう関係に立ちます。
日野委員 そうしますと、この司法制度改革審議会、提案理由説明を私も熟読させていただきました。それで、問題は、どのような司法をつくっていくかという哲学が一つ大事な問題ですね。それから、司法が果たすべき役割、司法制度の改革と基盤の整備に必要な基本的施策、こういうことが抽象的に書いてあります。
 そして、それについては、これも仄聞するところでありますが、こういったことは全部審議会にお任せをするんですというようなことを言っておられるんだけれども、全く白紙ということはあり得ないんで、一つののっとるべき基準というものが存在するわけです。それはとりもなおさず日本国憲法でございますがね。
 こういう抽象的に書いてある審議会の提案理由、それから法案も拝見すると、大体そういう形にできているわけですが、これについて法務省が関与できる範囲というのは極めて限られたものである、私はこう言わざるを得ない。そうでしょう。それから先、どのような司法を構成しようという構想を描いてどのようなシステムをつくり上げていくのか、そういうことについては内政審議室の仕事になるわけだ。そうすると、私は、この法務委員会でこうやって議論をしていることについて、非常に限られた議論しかできない、物事の本質に迫るような議論はできないと思うが、法務大臣どうですか、何か検討しておられるようなら、私はそう思いますが、いかがでしょう。
 これは非常に奥の深い問題であるし、そして、将来に向かって非常に重大なことを今我々は審議しようとしている。将来の司法の姿をどう思い描いていくのか、そして具体的にどのようなシステムを構想していくのか、こういうことですからね。それは内政審議室の仕事でございますと言われると、この法務委員会でやることには私は非常に大きな抵抗がある。総理大臣を連れていらっしゃいよ。総理大臣を。
陣内国務大臣 この審議会で審議いただくということについての基本的な目標というのは、二十一世紀の我が国社会において、多様化、複雑化していく中、また規制緩和が進む中で、司法のあるべき姿はどうなのか、そしてまた、そのための基盤整備あるいは改革の方向、こういうものについて調査審議していただくということでございまして、これについて審議会の中で法務省といたしましてはできるだけの協力をしていくと。例えば、現状の分析等も非常に大事なまず始まりであると思いますので、そういう問題については特に法務省が十分な情報を提供し御協力申し上げるというふうなスタンスで、この審議会が目的に向かって進むように私たちも努力してまいりたい、このように考えております。
日野委員 この法案に、最高裁もそれから法務省も日弁連もみんなで協力してくださいよ、こう書いてある。私はそれは正しいと言っているのです。このような機関をきちんと持って、そして、これからの将来の司法を構想していくということには私も賛成するのです。ただ、そのためにはいろいろ条件がありますよということを言っているわけです。
 なぜなら、これはもう官僚の皆さん、それから最高裁あたりも恐らく抵抗感を持って聞くかもしれないけれども、これは長年の私なんかの立場からすれば、または憲法感覚で育ってきた人間の感覚からすれば、現在の司法のあり方、これには非常に強い違和感を持っているわけです。きのうの戒能さんにしても大出さんにしても同じようなことを言っていた。同じような感覚というのは国民の中に非常に根強くあるのです。
 そういう二つの分裂した司法に対する感覚、さらに、物の見方と言ってもいいでしょう、そういうものを抱えながらこれから司法のあり方を検討していく。
 私は、総理大臣がこれを担当するというのはまさに適当なことだ、妥当なところだと思う。ところが、今お話を聞けば、法務省が担当される部分というのは、極めて矮小化された、事務的な、国会を通るまでの事項にすぎない。これでは審議はできないじゃないか。総理大臣を連れていらっしゃいよ。どうですか、委員長。
房村政府委員 具体的に、この司法制度改革審議会設置法につきまして御審議をお願いしておりますのが内政審議室で、それに法務省も協力しておりますが、この委員会で十分な質疑をして、この法案の意義を明らかにしていただければ、こう考えているところでございます。
 特に、審議会に関して、設置された後のことにつきましては、それは先ほどから申し上げておりますとおり、審議項目その他につきましては審議会の委員の方々にお決めいただきたい、こう考えております。
日野委員 あなた、そんなことを言っちゃいけない、そんなことを言っちゃ。
 これは、この委員会さえ通してもらえば後は適当にやるでしょうから、まずこれを通してくださいよ、あなたはこう言っているわけで、これができたらどうなるかという将来の展望なしにこの法案を審議できるわけではないのです。
 どうですか。私、これ以上質問しませんよ。これだけを通せばいいという委員会で、この司法制度という重大な事項、日本という国家の将来にかかわる事項、これを、事務的なことだけ処理して、国会を通すためだけに審議する、そんなことは私はできません。これ以上質問しません。総理大臣を連れてきなさい、総理大臣。
陣内国務大臣 司法制度改革審議会につきましては、基本的事項、総合的な事項、こういったものを調査審議していただくということで、これを受けまして、法務省として、法務大臣が会長を務めております法制審議会、ここで、民法、刑法その他の法律の基本的な事項に関しての立法のための審議会の審議というのは、それを受けて取り組んでいかなければならない、そういう関係にあるわけでございますので、そういう意味で、私ども、法務省としてこの問題に取り組んでいく必要がある、このように考えておるわけでございます。
日野委員 何のことかわからぬ。
杉浦委員長 日野先生、総理大臣を委員会に呼ぶかどうかという問題につきましては、理事会において御相談させていただきたいと思います。
日野委員 これは、けさの理事会での激しいやりとりなどについて、私は今ここでちょうちょうしようとは思わない。しかし、委員長はおわかりのはずだ。一体何が問題視され、きょうの委員会が一体どのような空気の中で開かれることになったのか、強行とまでは、私は礼儀正しい男だから強行という言葉は使いませんけれども、委員長御承知のはずだ。与党の理事の皆さんも野党の理事の皆さんも御承知のはずだ。
 そして、私なんか、きょう、質問取りさえ満足にしないでこうやって質問しているのですから、ちょっとお気の毒だとは思いながら、同情しながらやっていることは御理解いただきたい。
 私は、いじめるために言っているのじゃないのですよ。これを所管するのは、担当していくのは、具体的なことを決めていくのは、新しい構想を担って、つくっていくのは内政審議室だ、こう言うんでしょう。そうしたら、その長である内閣総理大臣が来て、こうこうこうやりますと言うのが本当じゃないか。
 僕は、こういう委員会をつくって将来の司法のあり方を検討していく、これは賛成なんですよ、あくまでも賛成なんです。ただ、あなた方じゃ答えられないでしょう。私は同情しながら言っているのです。総理大臣を連れておいで、きょうは。法務大臣が、ガイドラインで総括をやっているときに無理して来ているのですから、来れるでしょう、総理大臣も。
杉浦委員長 日野先生にお言葉を返すように相なりますが、当委員会を設定した段階では総理の出席要請はございませんでしたので、設定したわけでありますが、今御提案がありましたので、理事会において検討させていただきたいと思います。
日野委員 今ちょっと理事の皆さんで集まって、そこのところはちゃんと詰めてください。この法案、大体皆さんもおわかりのはずだ。総理大臣がいなければ、いて答弁しなければこの法案の審議はできないのだということは、今の政府側の答弁で明らかだと私は思いますから、そこでちょっとやってください、少し時間をとめて。
杉浦委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
杉浦委員長 速記を起こしてください。
 一たん休憩いたしまして、理事会を開催いたします。
 委員の方、恐縮ですが、暫時お待ちいただきたいと思います。
    午後一時五十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二十二分開議
杉浦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 ただいま理事会におきまして、総理に御出席をお願いする件については、次回の審議に御出席いただくという方向で、私において内閣の方と調整させていただくという結論に相なりましたことを御報告申し上げます。
 それでは、質疑を続行いたします。日野君。
日野委員 では、問題をかえまして、それでも、三権分立とこの法律案によって設置されようとしている審議会、これからはもう面倒ですから審議会とだけ言いますからね、審議会との関係についてですが、これはもう午前の論議からもうかがい知ることはできるわけでありますが、実は、我が党ではこの審議会を内閣に置くということの是非については議論がありました。ただ、これはまさか最高裁にも置けないのですな。それから、では国会に置こうかということで考えてみたら、御承知のとおり国会には衆参両院ありまして、そうすると両方に置かなくちゃいかぬのか。これは、まあしようがない、内閣かなというような議論に実はなっているわけなんであります。
 ただ、ここで、私は心していただかなければならないことがあるのだろうと思うのですね。やはり、内閣、それが内閣総理大臣が主宰するセクションになるのか、法務大臣が主宰するところになるのか、どっちにしても、こういう審議をすることについては、三権分立という建前があって、国会があり、最高裁、司法府があり、そういうことを十分に念頭に置いておかなければならないと思う。つまり、私がここで言いたいのは、慎みを持ってこの問題に取り組めということです。この点についていかがでしょうか。
杉浦委員長 房村司法法制調査部長兼内閣審議官、これからは内閣審議官と呼ばせていただきます。房村内閣審議官。
房村政府委員 この法案担当ということで、内政審議室の内閣審議官も併任させていただいておりますので、今後、その双方の立場で適宜お答えをしてまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
 今委員から御指摘のありました司法の独立を侵害することのないよう慎みを持ってという点は、私どもも基本的に全く同感でございます。そういうことから、この審議会の事項につきましても、司法の改革、基盤の整備に関する基本的施策ということで、具体的な司法権の行使あるいは司法行政権の行使に審議が及ぶことのないように配慮をしたつもりでございますし、今後の運営に当たりましても、内閣としても、そういう考え方で臨んでまいりたいと思っております。
    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕
日野委員 最高裁にもおいでをいただいております。
 これからの司法制度の改革の方向について、既に日弁連ではレポートを出しておられる。でありますから、大体日弁連の考え方というものはこういうものかなということをうかがい知ることができます。また、経団連ですか、あそこも出しておられますね。
 最高裁はどうなんでしょうか。既に最高裁の内部にチームをおつくりになって検討を進めておられるやに聞いておりますが、最高裁のこの問題に対する取り組みの現状はいかがなものでしょうか。
浜野最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 委員御指摘のように、裁判所は、四月一日付で審議官を中心といたします専門チームを発足させることといたしました。
 このチームは、昨今の社会経済情勢の変化を反映して国民のニーズの変化が生じておりまして、さらには、司法に対する国民の期待が高まっている中で、最高裁としてもこれからの司法制度全般の機能のありようについてさまざまな角度から検討していくために設置することとしたものでございます。
 これまで、種々の改善方策等を検討するに当たりましては、最高裁におきましては、それぞれの担当局課が所管事務に関連する事項について検討する体制をとってまいりましたが、さきに述べた、いろいろな立場から国民の多様化するニーズに対応するための検討を行っていきますためには、より総合的な検討体制が必要となるということから、専門チームを発足させていくことにしたものでございます。
 また、審議会が設置されました暁には、多角的な検討がなされるものと推察されるところでありますが、最高裁判所といたしましては、審議会からの要請があれば各種の資料の提供や実情の紹介をいたしまして、意見を求められれば裁判制度を担う立場から意見を申し上げるなど、できる限りの御協力をしてまいりたいという所存でございます。
日野委員 ちょっと言葉じりをとらえて悪口を言わせていただきますと、司法に対する世間の期待の高まりというくだりは、私は、へえ、そうかねと思っているのですよ。実は、司法に対する絶望感を持っている人間がいっぱいいるということも、ひとつ私お話ししておきたいと思います。それに反論したいなという顔をしておられるけれども、反論は必要ありません。
 それで、私、先ほど房村さんが言われた、大幅にというか、ほとんどすべてを審議会にお任せしたいというような考え方というのは、一つの考え方かと思うけれども、この提案理由を引きますと、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにする、司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議をする、こういうふうに書いてあるわけですね。全く真っ白なように見えます。だが、こういうものは、これまでの歴史というものを抜きにして評価はできないんです、こういう文言そのものは。
 実は、私も憲法派を自認いたした弁護士でありまして、私ごとで恐縮ですが、昭和四十八年だったと思いますが、白石営林署事件というのがありまして、これは年次有給休暇に関する裁判です。それで最高裁の判決が出た。実はその前に、いわゆる労働事件、公安事件と言われるものの中で、かなり提訴者側、労働者側とかの人権擁護的な判決が出たのがあるんです、最高裁でですよ。ただ、これは憲法判断は避けられた。憲法判断は避けて、限定解釈論なんというのをとりながら、いわゆる労働者側などを勝たせてきたという判決がずっと続きました。
 ところが、そういう状況の中で、自民党の中はかなり大騒ぎになっていたんです。そして西郷吉之助さんという方が法務大臣をやったことがある。昭和四十三年の十一月三十日から四十五年の一月十四日までやっておられた方でありますが、彼がこんな談話を、談話というかぶら下がりの新聞記者に話したのかよくわかりませんが、今の裁判所だけはどうにもならぬ、これを変えていかなくちゃいかぬということを法務大臣が話したことがあるんです。その当時から我々は、最高裁の判事の人事とか何かがどのように変わっていくかということを実は注意して見ていたんですが、随分最高裁の判事の人事についても自民党の方は気を使って選任をしたようであります。
 そしてさっき私が言った判決、これは私が担当したのでありますが、この事件が労働者側が勝訴をした最後の最高裁判決であります。それまでの最高裁の流れというのはその判決を最後にして、後は労働基本権の尊重等を主張する労働者側、これがずっと最高裁で敗訴を続けてまいります。
 私はそういうことをずっと自分自身が感じていて、非常に、私ごとでありますが、もはや司法の世界というのは自分が身を置くべき世界ではないのではないかというふうに実は感じまして、それから衆議院に出ることになり、衆議院に出てからも私は法務委員会にはできるだけ身を置かないというようなことをやってきたわけですが、今度はどういうわけか法務委員になったわけです。私は、そういう裁判所、司法、これが大きく変わっていった流れというもの、これを非常に今奇異の感を持っているといいますか、非常に深刻な事柄として受けとめているわけです。
 きのうの参考人の話にも、司法は政府から敵視をされ、それから軽視をされてきた。つまり、民はよらしむべし、知らしむべからずというような考え方なんでしょうね。そういう傾向が私はずっとあったと思うものですから、それでは、司法が果たすべき役割として何をとらえるのか、それから、司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策という形で何をとらえるのか、これは非常に大事なことだというふうに思っておるんです。これも全部新たな審議会のメンバーに任せる、こういうことなんでしょうか。それとも、やはり事務局的なものがあって、何かその主題となるものを提供していくんでしょうか。ここはどういう形になるんでしょうか。
房村政府委員 この点につきましては、審議会設置法の提案理由説明で、「二十一世紀の我が国社会においては、社会の複雑多様化、国際化等に加え、規制緩和等の改革により、社会が事前規制型から事後チェック型に移行するなど、社会のさまざまな変化に伴い、司法の役割はより一層重要なものになると考えられ、」というぐあいに述べておりますのは、このような事後チェック型、透明なルールと自己責任の理念といういわばグローバルスタンダードに立脚した活力ある社会、こういうものが二十一世紀には実現するであろう。しかし、そういう活力ある社会の実現を目指すと同時に、そのような社会で、すべての人々の人権、利益が最大限に尊重され、安心して暮らせる社会を実現しなければならないということが基本的な考え方でございます。
 ここで、司法の役割がより一層重要なものになるということは、今言ったような二つの観点から司法が司法としての役割を果たしていく必要があるんだ、それを達成するためにどういうような基本的施策、司法制度の改革と基盤の整備が必要になるのかということをこの審議会で御審議をしていただきたいということでこのような提案理由を述べているところでございます。
 したがいまして、私どもとしても全くの白紙でお願いをするということではなくて、こういう来るべき社会、その中で国民一人一人の権利が十分守られるような司法制度、こういったものを実現するためにどういう施策が必要となるのかということを念頭に置いて、自由な立場で審議会で審議をしていただきたい、こういうことを考えて今回の設置法を提案しているわけでございます。
日野委員 今のも私注意して答弁を伺いましたよ。今あなたがおっしゃったことは、日本の経済をやはり念頭に置いておられるね。活力ある社会の実現、こうおっしゃったけれども、ここに、事前規制型から事後チェック、それから国際化、規制緩和、こういうような一連の言葉がずっと提案理由説明にも書いてある。これは、日本の経済にいかに司法が貢献をしていくかというような観点があるように私には思えてならないんですね。
 グローバルスタンダードを実現していくということは、これは経済ばかりではありません。経済というのはいろいろな下部の構造があって、その上に経済というものがあるわけなんです。これは何も私はマルキストでも何でもないんで、ごく当たり前の常識を言っているわけですが、そういうものがあるんであって、その基盤がしっかりしていないところに現在の日本の経済の混乱もあると思うんです。
 これだけの経済的な力を持っている日本が、何でこんなに景気が悪いといってみんなで大騒ぎをするのか。これは考えてみれば、やはりその基盤になるところ、土台になるところ、それがしっかりしていないからなんですね。だから、経済だけグローバルスタンダードに合わせましょう、外国と商売するときに通りのいいようにしましょう、これは通らない理屈です。
 我が国においてその基盤がどうなっているか。その基盤をつくっているのは、私はやはり日本国憲法だろうと思うんですね。そして、司法の世界について言うなれば、これはやはり法曹というもの、法曹の構造、法曹の社会の構造、法曹世界の構造、これがきちんとしているということが私は必要なんだと思うんですね。
 きのうどなたでしたか、グローバルスタンダードを言うのであれば、外国並みの法曹一元を実現したらどうだということを言っておられた方がおられました。お聞きになっていたかどうか知りませんが、そういうことを言っておられた方がいた。
 実は、私が親しくしているアメリカ人の友人がコネティカット州に住んでおりまして、その奥さんが州の総務部長みたいな、あれも選挙なんですね、立候補したのです、負けましたけれども。いいかげんなことを言っていると思われると困るから、パット・ヘンデルという方です。その方のだんなさんは裁判官なんですよ。そして、一生懸命自分の女房の選挙運動のお手伝いをする。
 私は、一向にこれで構わないのだろうと思いますし、裁判官というのは、それだけの人間的な厚みを持って、しかも抵抗なく裁判の場にも臨める、こういうことであってしかるべきであって、そういうものが司法の世界におけるグローバルスタンダードだと思うのですよ。日本の司法のあり方が国連から批判されたとかなんとか、そんなことも言われているわけですが、私は、経済におけるグローバルスタンダードを考える前に、ちゃんと法曹の世界におけるグローバルスタンダードも考えなくちゃいかぬのじゃないか、こう思っているのですね。
 これについて、大臣は余り詳しくないかもしれませんけれども、お考えがあったらひとつ述べていただきたいし、それから房村さんにもちょっと述べていただきたい。
陣内国務大臣 今お話しなさいましたように、我が国が国境なき大競争時代を生き抜くために、あるいは透明なルールと自己責任の理念というグローバルスタンダードに立脚した体制の整備、これは一面では不可欠でありますが、同時に、御指摘のような国民の人権の擁護、権利利益の実現のためのセーフティーネットも整備していかなければならないということは当然のことだと思っております。
 したがいまして、そういうために、二十一世紀に向けた司法制度改革はどのようにあるべきか、こういうことをこれから調査審議していただく必要がある、このように考えております。
房村政府委員 ただいま法務大臣から答弁したのと全く同じでございますが、一点だけ。
 透明なルールと自己責任の理念というのは、確かに経済界において非常に重視されておりますし、グローバルスタンダードというと経済界がまず第一に浮かぶわけでございますが、私どもが申し上げている透明なルールと自己責任の理念というグローバルスタンダードというのは、必ずしも経済的側面に限らず、社会のいろいろな諸側面において活動するときに、あらかじめわかる透明なルールが必要だろう、そういうところでルールに従った活動をしていただく、そういう社会が望ましいということで申し上げておりますので、その点だけ説明させていただきます。
日野委員 今、私は法曹の問題についてお話をしました。
 さて、三権の中でどれが最も高い権力なのであろうか。これは難しいのですね。
 憲法によれば、国会が国権の最高機関というふうになっているが、学者によっては、あれは国会に対する美称である、おべんちゃらである、こう言っておりますな。それから、法哲学者なんかに言わせますと、最高の価値というのは法的価値である。法哲学者はこう言うわけですな。では、行政はどうかというと、なに、そんなことはどうでもいいよ、我々は力があるのよということのようであります。
 そこで、私は、行政が司法権に及ぼしてきた力というのは確かにすごいものがあるというふうに思いました。きのうの大出教授の話にもありましたし、私がさっき、法律の世界には身を置くべきではないという思いがあったということもお話ししたのですが。では、最高裁は行政の侍女であるというふうに言う方もいるわけですな。メードサーバントでございますね。侍女であると言われる。そう言われてもしようがないのかなというような思いは実は私にもあるのです。
 先ほど私が挙げた時期、つまり昭和四十八年、その前後といいますか、自民党あたりがしきりに、まず治安ということを言った。あの当時はまた新左翼なんかが非常に荒れ狂った時代でもありまして、自民党あたりがそういう心配するのも当然だったかもしれないと思われるような思いも私はないわけではない。
 しかし、その治安強化という方向に、治安を強化するということは、人権侵害という一つの契機を含むということなんでありますが、この点について、最高裁としてはずっと一つの締めつけをやってきた。
 まず、最高裁の内部において、司法行政権に基づいた裁判官に対するいろいろな干渉。宮本判事補事件だとか、それから青法協の裁判官は任用しないとか、そんな事件がありましたが、そういうことについてどう思っておられるのか。私は、もっと裁判所は誇りを持ってしかるべき、敢然として法の言葉を語るべき、こう思っております。もっと誇りを持たなくちゃいかぬと思っているのですが、御感想はいかがでしょう。
 そして、今度の審議会に向けてどのようなアイデアをお出しになるのか、そしてみずからを正そうとするおつもりがあるのか、そこいらを聞かせてください。
浜野最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 裁判所に対しましてさまざまな御意見、御批判があることは承知しているところでございます。
 ただ、裁判所といたしましては、提起された一つ一つの裁判事件につきまして、当事者の主張と証拠に基づき、法と良心に従って判断することにより、私的紛争の解決、法秩序の維持という司法の使命を果たすべく努めてまいったところでございます。
 私どもといたしましては、個々の裁判官がこのような司法の使命を自覚して国民の負託にこたえられるよう、適正な事件処理に努めているものと認識しております。
 社会経済情勢が変容する中で、国民の法的ニーズが変化して、国民の司法に対する需要が高まっていることは承知しておるところでございますので、裁判所といたしましては、このような法的ニーズにこたえるために、今後とも、司法の使命を自覚して、一層の努力を重ねてまいりたいと考えております。
日野委員 私が指摘したいのは、裁判官の官僚化といいますか、今の裁判所を見てみますと、まず、裁判所というのは上から下までずっと同じカラーに染め抜かれているということでございますね。そして、個々の裁判官も裁判官同士でしかおつき合いがない。話題といえば、あの人は今どこに転勤したとか、あの人は今度結婚したとか、子供がどうだとか、あの人の趣味はどうだ、これも全部裁判官の同僚同士の話ばかりだというふうに私の耳には入ってくるわけですね。
 裁判官は、もっと濶達にやらせていいじゃないですか。例えば寺西判事補みたいな、盗聴法はいかぬなと思うのがいたら、出してやればいいじゃないですか。何であんなにぎゅうぎゅう締めつけて、あれじゃむしろ、人権を守る司法どころか、部内人権抑圧の司法のように私には見えてしようがないですよ。いかがでしょうね。
 そして、私も見ていて、ああ、こいつは優秀だなと思っても、ちょっと人権派的な言い方をする、ちょっと政治的な行動があったなんというと全部支部の方に追いやられる。私はそういう事例をいっぱい見ています。こんなことをどう思うのですか。裁判官が官僚化しているなんて言われるのは、これは屈辱的なことじゃないですか。いかがですか。
金築最高裁判所長官代理者 裁判官のあり方という点については、いろいろ御議論がある、いろいろ御批判があるということは私どもも十分承知しております。私どもとしては、そういう意見については謙虚に耳を傾けなければならない面があるというふうには思っております。
 同じカラーに染め抜かれて、話題が狭いとか同僚同士としか話をしないとか、そういうことを指摘される向きもあるわけでございますけれども、私ども見ておりまして、全体として決してそういうことはないんじゃないか。裁判官も、仕事を離れますと、いろいろな人とつき合いますしいろいろな話もいたします。もちろん、これは仕事の性質上、例えば当事者とつき合う、事件を担当しておりますときに交際するというようなことがありますと誤解を受けるとか、例えば小さい町なんかで仕事をする場合にはそういう点は重々気をつけなければいけないということはあるわけですけれども、そういう制約はありながら、できるだけ自由濶達にやっている。最高裁の方でそういうことを締めつけてやらせないとか、そういうふうなことは一切考えておらないわけでございます。
日野委員 じゃ、今度は大臣に聞きますよ。大臣、よろしいですね。
 きのうの参考人質問の中で、自民党の方から、日本の社会の秩序というものは和をもって保たれてきた、こういうふうにおっしゃった。しかし、ちょっと考えてみていただきたいのですが、和というのは一体何でしょうね。和というものは、表面的に争いのない状態を言うのか、それともみんなが本当に心から納得し合ってつくり上げている和のことを言うのか。ここのところ、私は、自民党の内部での論議は一体どういったものだったのだろうなと思って、非常に好奇心をそそられた。
 それで、その和というものを、トラブルがないという現象面をとらえての和というものであれば、それをこの司法の改革によってつくり上げていこうとするのであるならば、ますます司法というものは小さくした方がいい、無力にした方がいい、そして、トラブルが起こりそうなものはどんどん社会からいろいろな形で排除するような形をつくればいい、こんなふうに私は思うのです。
 大臣が考えておられる和というのは、一体どういうものなんだろう。これは、大臣、その論議に入っていたかどうか知りませんが、一応の考え方だけ聞かせていただきたい。私は、和というものはお互いに納得し合ってつくり上げていくもの、こう思っているのですが、そしてそのような考え方にのっとってこの司法制度審議会における議論をも期待したいと思っているのですが、いかがですか。
陣内国務大臣 聖徳太子以来、和をもってたっとしとなすということが言われておりまして、私も大事なことだなと思っておりますが、その意味するところは今委員がおっしゃったようなことではなかろうか。少なくも、これから経済社会が大きく変わっていく、そういう中であいまいな基準とかそういうもので問題を解決していくときではないのじゃないか。やはり法化社会に向けて進む必要があるだろう、基本的にはそういうふうに思っております。
 それで、法的紛争については、最終的には裁判所において適正迅速に解決されることが担保されていなければならないということは当然でありますけれども、一方で、予防法学的な観点や裁判外での紛争処理についても充実が図られることによりまして、社会全体のトータルとして紛争が適正迅速に解決されることが極めて重要でありまして、そういう意味で和というものも大事じゃないかな、こういう認識でございます。
日野委員 先ほどからのやりとりで、私、これは大臣に聞いてもだめかな、総理大臣に聞かなければいかぬ事柄かなというふうに思いながら、それでも、やはり大臣も閣議を構成されるお一人でございますから、お考えを一応聞いておきます。最終的には、私はこれは総理大臣にちゃんとただし、総理大臣の方からお約束をいただくべき事柄と思っておりますが、今一応伺っておきます。
 まず、人事の公平。これは偏った人事であってはならない。例えば、治安を強化することによって表面的な平和をつくろうとしている人たちがいっぱいいるわけですから、そういう人たちに偏ったり何かされては困るわけでありますね。
 それから、房村さんは先ほどから、審議の内容についてもある程度の基準はなければならないのだということはお話しになりました。私もそうだと思います。ですから、それをどのようにつくっていくかということについて、これは事務局が非常に重要な役割を占めるわけでありまして、事務局をどのように構成していこうとしておられるのか、そして事務局というものは役人を排除する、このことが私は非常に重大なことであろうというふうに思っております。
 それから、一つはこの公開、議事内容を公開をしていくということが非常に大事だ。それも、特に三権とのバランスということを考えるならば、国会にきちんと報告をしていく。金融関係では半年に一回報告しなさいよということになっておりますな。あれと同じような報告を国会にしていくこと、これは非常に大事だというふうに思います。
 それから、二年間という期限を切って、そこで最後には駆け込みになっていく、無理やりに結論を出してしまうということは非常にいけないことだというふうに私は思っております。そういうことについてのお考えを一応聞かせてください。私は、これはやはり最終的には主任たる大臣の総理大臣と約束をしてもらわなければならないことだ、こういうふうに思いますので、一応のお考えを今伺います。
陣内国務大臣 内閣の一員としてお答えさせていただきたいと思います。
 まず、事務局の重要性については、今御指摘のような認識を私もしておるわけでございまして、事務局はこの司法制度改革審議会の審議のための資料の調査、収集、整理、分析及び審議結果の整理等の職務を行うこと等の役割を担うことにしております。そして、その構成としては、事務局長一名、それから参事官と所要の職員を置くということに予定しておるわけでございます。
 そして、この事務局のありようということでございますが、審議会において委員による十分な審議が行われるように、ただいま申し上げましたような補佐的な役割を果たすべきでありまして、それにふさわしい知識等を有している者を充てることが必要であると考えております。もとより、事務局が審議会の調査審議を方向づけたり、あるいは誘導することがあってはならないことであると考えております。
 それから、情報公開あるいはこの審議会の透明性についてでございますが、これは中央省庁等改革基本法の中でも、会議または議事録は公開することを原則として運営し透明性を確保すること、こういうことになっております。具体的な公開の方策を含めまして、この司法制度改革審議会において設置された後、基本法の趣旨を踏まえ、適切に対応していただくものと考えております。
 また、二年という審議期間では不十分ではないかということでございます。
 この点につきましては、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにするということでございますので、そういう目標からいたしまして、二年間というのは適当な期間ではないかと思います。ただ、内容的には、大変重要な多岐にわたる内容が審議されると思いますので、その審議の進め方については、この二年間で十分な調査審議が行われるように期待したいところでございます。
 情報公開については、ただいまちょっと御説明申し上げましたけれども、基本的には、中央省庁等改革基本法の中で決めておりますように、公開が原則であるということで、これを踏まえての審議会としての対応が行われる、このように期待しておるところでございます。
日野委員 終わります。
橘委員長代理 安倍基雄君。
安倍(基)委員 持ち時間が三十分ですから、余り重複のない程度にいこうと思います。
 まず第一に、今まで議論があったんですが、どういう目的で、どういう趣旨でやるか。これは人選にもかかわると思うんですが、昭和三十九年のときに、御承知のように、衆参議員、あるいは判検事、弁護士、そして学識経験者四という構成でつくった調査会がございますね。
 今度の場合には、いわば学識経験者ということで、委員を全く限定しないで発足しようという考えですけれども、この辺の考え方。というのは、一説によれば、よく最近は、評論家的な人間をぞろぞろ集めましてやろうという話も随分ある。そうすると、それなら、総理の私的諮問機関でもいいんじゃないかという議論もあるんですけれども、今回、こうやって委員の資格を限定しないというか、そういった背景と、これからどういう方向で委員を選定していくのか。
 それは、学識経験豊かな人と一言で言えばいろんな者が入るわけでございますけれども、それなりの構想がなくてはならない。それはまた反面、どういうことを議論し、どういうようにこの司法を持っていこうかという考えとも相関係すると思いますけれども、その辺の考え方を、まず法務大臣にお聞きしたいと思います。
陣内国務大臣 司法制度改革審議会は、国民的見地から、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、この司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について審議調査することを目的とするものでございます。
 したがいまして、ここでの審議会の委員には、司法制度に関する学識経験者のみならず、司法制度の利用者など、広く国民的見地に立って、二十一世紀の司法のあり方等について審議調査するにふさわしい有識者という方々を両議院の同意を得て任命する、こういうことにしております。したがいまして、人選の適正さは十分に確保されるもの、このように考えております。
安倍(基)委員 まあ抽象的に、いわば学識経験者と言うのは簡単なんですけれども、そうすると何で、こういった法曹関係の人間というので前回は限定したわけです。しかも、国会議員も含めたということで、その辺がどうもはっきりしない。それは大体いい人を選べばいいんだということは言えますけれども、それを排除した趣旨、その辺について、御答弁は模範答弁かもしれませんけれども、どうもその辺がはっきりしないので、はっきり教えてください。
房村政府委員 基本的な考え方はただいま大臣から御説明のあったとおりでございますが、例えば法曹資格者を、以前に内閣に設置されました臨時司法制度調査会の場合には、条文の中で、それぞれ、裁判官、検察官、弁護士というようなことで、一定の資格のある者を委員にするということを決めておりますが、今回は、広く国民各層から適任の方を選ぶという考え方で、法律で特に資格を決めるということはいたしませんでした。ただ、このことは、法曹の方々を委員になることから排除するという積極的な趣旨があるわけではございませんで、それは、司法の問題について豊富な経験と豊かな知識を持っておられるような方が委員に入っていただくということは、それなりに審議の充実に資するのではないかと思っておりますが、いずれにいたしましても、そういう方を資格ごとに法律で規定するということをしなかったということでございます。
    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕
安倍(基)委員 いずれにいたしましても、委員の人選というのは非常に大切なものでございますから、これは最終的には国会の同意ということでございましょうけれども、やはり、あらかじめ我々においてもいろいろ意見交換もさせていただきたいと思います。
 二番目に、では、これはどういう方向に司法を持っていくのか。
 抽象的には、グローバル化に伴い、いわば事後チェックという話なんですけれども、これはアメリカ的な司法を目指すのか。参考人の中には、アメリカのように弁護士がむちゃくちゃ多くて、何でも訴訟に持っていくというようなことではなくて、むしろ大陸系的な考え方もある。まあオーストラリアあたりいいじゃないかというようなことを言う参考人もおりましたけれども、その辺、法務大臣は、これは委員に論議してもらいます、こう逃げ口上しないで、一体、どういう方向を考えていらっしゃるのか。これは本当に、委員会が発足したら委員にお任せするんですというのじゃ、全く身もふたもない話であって、将来の日本の方向をどう考えていらっしゃるのか、その辺についての考え方をお聞かせ願いたいと思います。
陣内国務大臣 二十一世紀の我が国社会におきましては、社会の複雑多様化、国際化等が進み、その状況のもとで実施されている規制緩和等によって生ずる社会のさまざまな変化に伴いまして、司法の役割はより一層重要になる、このように考えられます。司法制度全般にわたる改革とその機能の充実強化が不可欠であります。
 このような見地から、いろいろな御意見が提出されておりますけれども、自由民主党における司法制度改革に関する検討結果を踏まえた報告、あるいは日本弁護士連合会や経済団体からも司法制度改革に関する提言がなされておりまして、司法制度改革はもう喫緊の課題であるという認識が広まっておるわけでございます。
 したがいまして、政府としても、同じような認識に立ちまして、二十一世紀の我が国社会を展望して、司法機能を充実強化するための司法制度改革審議会を設置して、そこで審議をいただきたい、このように考えております。
安倍(基)委員 そう言っては悪いけれども、その程度の答弁ならだれでもできるのですよ。はっきり言って、アメリカ的な法制に持っていこうとしているのか。これはこれからの議論かもしれませんけれども、法務省として、アメリカの、何でもかんでも訴訟でやるという話に行くのか。あるいは、日本は逆に、訴訟が非常に遅いから、その訴訟が遅いためになかなか皆訴訟に訴えないという方向でございますけれども、大陸的な方向で行くのか、いわばアメリカ的な方向で行くのか。その点、はっきり教えてください、考え方を。要するに、抽象的に何か皆の言うことを聞いてやりますというのじゃなくて、法務省はそれなりの腹案があるのかどうか、大臣、お答えください。
陣内国務大臣 司法制度改革というのは、我が国の社会に適合したものでなければならない、こういうふうに考えております。いわゆる訴訟社会の弊害に陥ってはならないというのは、言うまでもないことだと思います。
 ただ、法的紛争については、最終的には裁判所において適正迅速に解決される、こういうことが担保されておらなければならないわけでございますが、他方で、予防法学的な観点や裁判外での紛争処理についても十分実が上がる、充実が図られる、こういうふうにすることが、社会全体のトータルとして、結局は紛争が適正迅速に解決されるということにもなると思いますので、そういう考え方が大事だろうと思っております。
安倍(基)委員 日野委員の質問にも関係するのですけれども、この辺は一体、内政審議室が決めていくのか。もちろん、委員会が決めるにしても、事務当局がそれなりの構想を大体示して進んでいくと思いますけれども、一体、内政審議室が方向づけを持っていくのか、法務省が持っていくのか。お互いに相談するという話かもしれませんけれども、その辺はどういう形になるのですか。
房村政府委員 今のお尋ねですが、現在、この司法制度改革審議会設置法に関する事務は内政審議室において取り扱っておりますが、この審議会が設置されることになりますと、同様に、この設置法に基づきまして、審議会に事務局が置かれます。その事務局において、この審議会のための事務を処理する、審議に必要な資料の収集であるとか分析というようなことを行うということになりますので、審議会成立後、内政審議室において直接審議会の審議に関する事務を取り扱うということは、原則としてないものと考えております。基本的に、事務局において処理をしていくことになろうかと思います。
 それから、審議会でどういう事項をどういう方向に持っていくということについて、事務局等で原案をつくるのかというお尋ねでございますが、この点につきましては、基本的に、各種の提言を踏まえて審議会でお決めいただく。事務局はあくまで委員による審議会の審議を補佐する立場だということで考えております。
安倍(基)委員 では、事務局にやらせるとか委員が決めるという話であれば、これは一体、法務省は発言権があるのですか、ないのですか。要するに、事務局というふうに抽象的におっしゃるけれども、一体だれが本当に、今の日野さんのあれじゃないけれども、内閣でやるのか。事務局にやらせるというのは逃げ答弁ですよ、はっきり言って。その事務局というのは、じゃ、法務大臣が幾ら構想を持っておっても、法務大臣の意見がその事務局に反映しないのですか。その辺、はっきりお答えください。いや、むしろこれは両方で聞かなければならない。
房村政府委員 先ほどから何回か申し上げているところですが、基本的に、三権の一翼を担う司法のあり方ということで、司法権の独立とも関係する部分もございます審議会のテーマでございますので、政府としては、司法権の独立に意を用いるということと、それから、行政がそういう審議会の方向づけをしていくということについて、いろいろな配慮をする必要があろうか。そういうことから、基本的に、この審議会で取り上げる、その目的は、国民に身近で利用しやすい司法制度を実現していく、そういうことでございますので、司法の充実強化のためという目的ははっきりしておりますが、具体的な審議項目につきましては、そういう審議会で、審議の過程で決めていただくということを考えております。
安倍(基)委員 そうすると、では、今法務大臣にこれからどういった方向づけを考えていくかと聞いてみても、全く意味がないですな、おっしゃるには。
 事務局がやりますと。事務局の中身がはっきりしないわけですよ。事務局がやるといって、しかも委員にやらせるといっても、一体、それじゃ法務大臣がいろいろ構想を持っておっても、その事務局が全く独立した事務じゃないですか。その辺が本当に、事務局という名前で一体どちらがやるのですか。
房村政府委員 事務局がやるということではなくて、審議会の審議の場で、委員の方々に司法の実情を十分見ていただいて、具体的な審議項目を決めていただくということを申し上げているわけです。
 事務局がやることは、そういう審議会で用いられる資料を収集して分析をするとか整理をする、あるいは審議の結果を取りまとめる、こういう審議会に対する補佐の役割だということでございます。
安倍(基)委員 ですから、その事務局というのが、一体法務省はタッチするのですか、しないのですか。つまり、委員に議論させるといっても、通常、議論の土台というのは大体つくっているのですよ。その議論の土台というのは一体、法務省の担当がつくるのですか、どっちが、だれがつくるのですか。
房村政府委員 ですから、この設置法で「審議会に事務局を置く。」ということになっておりますので、その審議会に置かれた事務局で具体的にはそういう補佐的な役割をしていくということを申し上げているわけです。
安倍(基)委員 ちょっと、時間が三十分しかないから、本当にいろいろなことを聞きたいのですけれども、どうもその――とめてもいいですか。これはちょっと委員長、どうも答弁がはっきりしないですね。しっかり答弁してください。本当にわけがわからぬ。
杉浦委員長 陣内法務大臣。しっかり答弁してください。
陣内国務大臣 法務省としましては、この審議会が審議に必要なデータ、あるいはそのための分析、そういう面で事務局が機能していくように十分支援をしてまいりたい、このように思います。
安倍(基)委員 では、事務局の中身は、本当に一体、法務省がつくるのですか、内政審議室がつくるのですか。
 具体的ないろいろな、つまり、今、司法の方向をどう持っていこうか、アメリカ的に持っていこうか、あるいは欧州的に持っていこうかという話もございます。法曹人口をどうするのかという問題もございます。こういった議論のたたき台は、一体どちらがつくるのですか。
陣内国務大臣 これはあくまでも、審議会の委員の皆様に取り上げてもらって審議を深めていただく、こういうことだと思います。ただ、そういう中でいろいろと情報なり資料の必要性があれば、これは当然事務局を通じて、また私どもも、法務行政に携わっている立場から、御協力申し上げられる面は全面的に協力していきたい、こういう考え方でおります。
安倍(基)委員 ですから、法務省が、要するに今法務大臣が、日本の司法はこうあるべきだといういろいろな構想を言われましたね。しかし、それが全く、幾ら構想を述べてみても、事務局に対する責任がなければ、まあ、委員に討議してもらいますというのは簡単な話であるし、しかも、委員会に事務局がございますというのですけれども、法務大臣の構想というのは、果たして反映するんですか、しないんですか。さっきの日野さんが、内閣総理大臣に聞かなきゃわからぬと言われました、やはりそれは一理あるんですよ。この問題をいつまでもやってもあれですけれども、一体法務省はそれなりのイニシアチブをとるんですか。
陣内国務大臣 繰り返しになるわけでございますが、国民的見地に立って、社会の変化に対応し、国民に身近な司法制度を実現したいということで、国民的見地からこの審議会で検討していただくということを期待しております。
安倍(基)委員 今の答弁は全く繰り返しで、だれが今イニシアチブとるのか、とらないのかを聞いているんですよ。国民的見地からどうのこうのじゃないんですよ。一体イニシアチブは法務省はとるんですかとらないんですか。イエスかノーかで答えなさい。
陣内国務大臣 これは内閣において設置される審議会でございますので、そのような立場を踏まえて私どもは対処していかなければならないと思っております。
安倍(基)委員 いささか答弁に不満ですね。では、一応彼に聞きましょう。
房村政府委員 基本的に、審議会を設置する目的は、その審議会においてどういう施策がいいかということを審議していただいて、その結論を参考にしたいということで審議会の設置をお願いしているわけでございますので、どのような方向の結論を出すかということを事前に、設置をお願いしている私どもが示すということは慎みたい。基本的に、その審議会の場で、司法の実情を十分見ていただいて、国民にとって利用しやすい司法制度を実現するためにどういう方策が必要かということを審議会の委員の方々に議論していただいて、それをお示しいただきたい、こういうことでこの審議会の設置をお願いしているわけでございます。
安倍(基)委員 そうすると、今ここでいろいろの構想を聞いてみても意味ないことですね、はっきり言って。要するに、委員に議論してもらわなきゃわからぬというのであれば、今一つも我々は、司法をどちらの方向に持っていくかという構想がないということですね。いかがですか。
陣内国務大臣 これは、目的につきましては、法律にはっきりと示しておりますように、二十一世紀の我が国社会においてあるべき司法の姿、それからそのための基盤整備等について審議をいただくということでございますので、その趣旨にのっとった審議を期待するところでございます。
安倍(基)委員 では、法務大臣は構想は持っておっても、要するに委員会で論議してもらうだけだと。今ここで法務大臣が将来の司法についてどう考えるかということを聞いても意味がないんですか。
陣内国務大臣 この審議会の趣旨は先ほど来申し上げているとおりでございます。これを受けて、法務省としては、その取り組みについて、私どもその中から対応していくべき課題になるのではなかろうか、このように思っております。
安倍(基)委員 この問題をもう繰り返しても同じことだからあれですけれども、どうも最近の傾向は、大体委員にお願いする、委員の考えどおりいくということで、はっきり言って、みんな逃げるわけですよ、隠れみのじゃないけれども。こんなのだったら私的諮問機関でいいんですよ。何で私的諮問機関じゃなくて、そうやって、つまり、委員に任せますという話になるのか。一応、法務省がそれなりの意見を持ち出して、そこでもって、それをたたき台にして議論するというぐあいである程度はあるべきだと僕は思います。
 そこで私は、時間がないから一つ別の問題を出します。
 いわゆる通常の裁判というのは個人と個人の争いが多いんですけれども、行政の、国対個人という案件につきまして、昔は行政裁判所というのがあった。行政裁判所は、基本的にはそれで完結しておった。戦後は、行政というのは非常に信用ならぬということかもしらぬけれども、行政裁判所をなくす、むしろ司法でやるという話になってきております。
 これから私は、国と個人の争い、行政処分についてのいわば適、不適というものが争われてくることが多いと思います。今、国の賠償責任という問題いろいろありますけれども、行政処分に対する不服というのが何か、行政裁判所はなくなったわ、ただ、司法で争うには時間がかかって大変だいう問題が起こってきている。やはり、行政処分の適、不適、いわば国と個人との関係について何らかの紛争解決というか、行政裁判所がかつてやり過ぎた、つまり行政だけで完結したということがございましたけれども、若干こういったことを、これからの司法制度を考えるときに、特に国と個人との争いが生ずる、特にふえるということを考えたときに、一つの観点として、行政裁判所、それを最終的に司法でやる。
 というのは、私はこういった問題出しましたが、例えば、国税についての不服審判があります。これは調べてみますと、必ず大体提訴した人間負けちゃうんです。結局、なかなか司法に持っていくのも大変だ。私は大蔵出身ですから、何も国税不服審判所が悪いとは言っていないんですけれども。それは一つの例です。
 これからいろいろな行政と個人との争いが出てくる、これを全部司法でやるのも大変だし、というて、通常不服もろくに申し立てられない、申し立てても意味がないという格好では困る。やはり国と個人の関係についての一つの紛争解決方法という場があってもいいと思いますが、その点はどういうぐあいに考えておられるか。これはやはり法務大臣、お願いします。
陣内国務大臣 ただいま御指摘のように、行政不服審査法に基づく、行政処分に不服のある場合の不服申し立てに基づく救済手続でございますが、これは行政の適正な運営の確保を図っていく上で大事な制度だ、このように思います。裁判所における行政処分に関する訴訟の適正迅速な解決、これは重要なことはもちろんでございますけれども、このような裁判所以外での紛争解決制度の充実強化も必要である、このように考えます。
安倍(基)委員 三十分じゃどうも聞き切れないんですけれども。最初の部分が大分長くなったものですから。
 いずれにいたしましても、私今考えていますのは、個人がなかなか裁判を起こしたがらないというのは、基本的にどうしても日本の裁判は遅いんですよ。これはいろいろその数え方があるとか国によって違うとか言いますけれども、もっともっと裁判が迅速に行われれば手軽にいわば訴訟に訴えられる。訴訟に訴えると何年もかかってしまうのではどうしてもどこかで妥協せにゃいかぬ、泣き寝入りする。この点やはり、司法制度のいわば改正について、スピード化というか簡素化というか、これはどうしても不可欠だと思います。
 この点について私は、今度の、これからの司法制度改革の一つの大きな目玉というか、結局、ルールをつくってルールのもとでやって、あとは訴訟でやる、行政的なものをできるだけ減らすという方向に対して、これは本当に司法救済ができなければ全く、要するに何もかも規制緩和する、客観的ルールをつくるといっても、救われないのですから。
 もしこれからグローバル化、私はグローバル化という言葉が余りにも今行き過ぎていると思いますけれども、グローバル化によって、いわば後でいろいろな問題は司法で解決するという以上は、スピード化というか簡素化というか、その辺についてやはり徹底した議論をしてほしいと思いますけれども、この点についての法務大臣の御見解、いかがですか。
陣内国務大臣 今司法に対して求められているのは、委員のおっしゃった迅速化の問題が非常に大きいだろうと思っております。
 地裁の民事通常訴訟や刑事訴訟事件のうち、大半の事件については比較的短期間に処理されているわけでございますけれども、複雑な事件とかそういうものについては審理に比較的期間を要しておる、これもまたそのように聞いております。
 このような審理の長期化にはいろいろな原因があると思われますが、裁判が適正かつ迅速に行われることが極めて大事であるということはもちろんのことでございます。裁判所におかれましても、今後ともより一層迅速な裁判の実施に向けて適切に対処していかれるものと思いますが、法務省としてもこれに十分協力していきたいと考えております。
安倍(基)委員 それから、私は、裁判官の思想、信条の問題について、必ずしもほかの皆さん、特に野党の皆さんとは違う考えを持っていることなんです。
 というのは、どういう議論をしてもいい、どういう政治運動をしてもいいという議論もありますけれども、少なくともその裁判官が、個人と個人のいわば権利関係の争い程度ならいいけれども、非常に政治的な問題を含むような裁判で裁判官となるというときに、ある意味からいうと、被告もしくは当事者が裁判官を忌避する、こういう思想を持っている裁判官ではこの問題は審理してもらいたくないという忌避の制度がないと、裁判官の思想の自由ということばかり強調しますと片手落ちになるのではないか。
 ですから、私は、確かに裁判官がどういう思想、信条を持ってもいいけれども、事それが政治的な問題にかかわるような案件になった場合には、その裁判官を忌避するという制度による担保がなくてはいけない。この点、今の制度がどうなっているかという問題がございますけれども、この点について大臣の御見解を聞きたいと思います。
房村政府委員 裁判官の思想、信条の自由の問題につきましては、若干コメントを差し控えさせていただきたいのですが、今の民事訴訟法では忌避の制度を設けられておりますが、基本的に、ただいま委員御指摘のような、思想、信条を理由にして忌避の申し立てができるというような仕組みにはなっておりませんで、不公平な裁判がされるおそれがあるということが明確な場合に限られておりますので、現行法のもとでは、委員のお考えのようなことは難しいかと思っております。
金築最高裁判所長官代理者 制度的な問題につきましては、今法務省の方からお答えがあったとおりでございますが、裁判官も憲法上の思想、信条の自由を有しております。ただしかし、裁判官は、その職務の性質上、国民から公正中立さに疑念を持たれるような行為は慎むべきである、そういう点での自重自戒が必要である、そういうことを裁判所側としては申し上げておきたいと思います。
安倍(基)委員 時間も少し足りないので、もう一点話したいことがあるんですけれども、今の最初の権限の問題について、日野委員が総理に対して聞くという問題がございましたから、私もできたらその機会にお聞きしたいと思います。
 これでもって質問を終わります。
杉浦委員長 次に、木島日出夫君。
木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。
 司法制度改革審議会を設置するという大変大きな法案の最初の質疑でございますから、私も基本的な問題についてお聞きをしたいと思うのです。
 午前中からずっと論議を聞いてまいりましたが、かみ合っていないのには、二つ問題点があるんじゃないかと感じました。
 一つは、本来、日本の司法制度がどうあるべきかを論議する審議会をつくるというのですから、これは立法府、行政府、司法府、三権の一つをいじる、そういう法案ですね。ですから、例えれば、国会のあり方をどうするかを論議する審議会、あるいは内閣と行政府をどうするかというのを論議する委員会と同じような、非常に大きな日本の司法制度をどうするかという審議会をつくる法案ですから、これは一行政府の一つのセクションである法務大臣が答弁するにはふさわしくない、そういうスケールを持った法案ではないかということ、それがどうももう一つ説得力のない答弁を聞かざるを得なかった理由になっているんじゃないかと私は思うんです。
 もう一つは、この審議会の持っている根本的な性格ですが、方向づけが全くない、白紙委任なんですね。選ばれる十三人の審議委員に何を審議するのか全部げたを預ける、そういう白紙委任立法だということも、どうも質問と答弁がかみ合っていない根本的な原因ではないかというふうに感じております。
 それを基本に置いて、まず、こういう審議ですから、法務大臣の基本的な認識についてお伺いしたいと思うのです。
 そういう大きな意味を持った行政組織をこれからつくろうというのですから、そのためには、やはり日本の司法は国民にとってどうあるべきなのか、国民にとって司法が果たすべき役割は何なんだということをどう考えるかというのが基本ですね。そういう役割に対して、日本の現在の司法がまともに任を果たしているか、そこをしっかり分析して、こういう点で日本の司法に問題があるということをしっかりと提起してもらう。そして、そういう問題があるのはどこに原因があるんだというその原因、ここに原因があるんだということをしっかり出してもらう。
 その上で、こういう方向で改革していくんだという改革の方向、要するに任務、役割、問題点、そして原因、そして改革の方向、この四点は、少なくとも、これだけ大きな司法制度改革審議会をつくってほしいという法案を出してくるのであれば、出してくる内閣は、また内閣総理にかわって答弁する法務大臣は、しっかりとここへ打ち出してもらわなければいかぬというふうに思いますので、まず最初に法務大臣から、内閣にかわっての答弁をいただくわけでありますが、日本の司法制度の基本的な役割は何と心得ているのか、そして、そういう役割に対して今の司法はちゃんと任務を果たしているかどうか、基本的な認識をお伺いしたい。
陣内国務大臣 御指摘の、司法の役割についてでございますが、今日、我が国社会におきましては、市民生活の側面におきましても、また企業活動の側面におきましても、司法によって解決されるべき事件が増加してきている、またその内容も複雑高度化してきている、このように認識しております。
 さらに、二十一世紀の我が国の社会におきましては、これから社会がますます複雑多様化していく、国際化が進んでいく、そういう中で、社会が事前規制型から事後監視型に移行することに伴いまして、社会の諸活動が公正かつ透明なルールに基づいて行われるということが必要でありますし、そのことによって国民一人一人の権利が十分に守られていく必要がある、このように思っております。司法はそういう役割を果たしていくべき必要性がさらに高まってきている、このように思うわけでございます。
 それで、問題意識でございますけれども、司法に求められているのは、今、法的紛争を適正迅速に解決してもらいたい、また、それによって国民の権利の実現をしっかりと図ってもらいたい、国民の基本的人権を擁護し、その上で刑罰法令を適正に適用してもらいたい、これは刑事の面でございますが、あるいはまた、行政面でも法がしっかりと機能するようなあり方が必要である等々の問題があろうかと思います。
 いずれにしても、安全な国民生活を維持し、国民生活にとって、そういう上で大変重要な意味を持つ司法でございますので、十分現状を踏まえながら、国民のためになるような、そういう役割をしっかりと果たしていけるように改善していく必要がある、このように考えております。
木島委員 昨日、参考人の四人からお聞きしたわけなんですが、最近にわかに我が国の司法制度をめぐって問題点が指摘され、改革の方向も指摘されている。
 主な団体として、日弁連からの提言、経済同友会からの提言、そして経団連からの提言、自民党からの提言というのがありまして、この委員会にも出されております衆議院調査局法務調査室の資料にもそれが出ているわけであります。私、昨日の参考人質疑のときに参考人の先生方にもお話ししたんですが、これを全部読んでみますと、司法制度改革論議にも大きく二つの潮流があるようにお見受けできると見ているわけであります。
 一つは、経済同友会や経団連、自民党さんの方の基本的なスタンス。これからの日本社会は、いわゆる新自由主義に基づく事前規制型から事後チェック型の経済政策がとられていくであろう、そうすると弱肉強食の社会になって紛争が多くなる、そういう多発する紛争の後始末としての機関、役割を司法が担うべきだと。それで、そういう面から見ると、今までの日本の司法は現状も含めて小さ過ぎる、役に立っていないという観点から、いわゆる自由化路線といいますか、そういう中での紛議の調停としての司法をつくる意味から、司法基盤の充実等が改革の方向として提起されていると読みました。
 今回政府から出されている法案の提案理由説明もそういう方向に乗っておる。事前規制型から事後チェック型に移行するなど社会のさまざまな変化に伴う司法の役割をとらえて、その役割を果たせるような司法をつくっていこうという方向が位置づけられています。
 もう一つは、そうじゃなくて、そういうこともあるけれども、司法の役割というのは、三権の一つとして、紛争解決も当然でありますが、さらに基本的な役割として、国民の基本的人権をしっかり守る最後のとりでだと。とりわけそれは、基本的人権が侵害されやすい行政に対するチェック機能、もっと言えば、日本の憲法上与えられている立法に対するチェック機能、そういう憲法上の役割といいますか、これをきちっと役割の一つに位置づけ、日本の司法を見るときにその分野がまことに貧弱、立法、行政に対するチェック機能が全く貧弱という指摘で、そんなことから改革の方途を探ろうとする提言。日弁連などの提言にそれが読み取れるわけでありますが、それは国民の司法参加であり、国民に使い勝手のいい司法等となって打ち出されているんじゃないかと思うんですね。
 それで、昨日、参考人のお一人である戒能通厚さんからの問題提起がありました。大変鋭い問題提起だったと思うんですね。
 文書が配付されたんですが、こう言っているんですね。
 私が先ず提起したいのは、司法を活性化するための裁判所の改革である。裁判官が多くの事件を抱えて押しつぶされつつあるような状況にあることに加え、強い官僚的統制の下にあり、市民的自由を享受していない状態をなくさない限り、日本の司法は活性化しない。また、司法改革と言うのであれば、規制緩和の是非はともかく、司法の現状がいかなる状況にあるのか、市民が司法にどのような不満を持っているのか、現状の全体的分析があってしかるべきであるにもかかわらず、規制緩和の哲学であるところの「透明なルールと自己責任の理念」に照らした場合の現状の司法の不十分さが所与の前提とされ、司法に内在するその欠陥、それを克服するための方策は、司法内部からは聞こえてこない構造になっているように思える。
こう指摘しているんです。根本的な指摘がされているんですね。
 この指摘、これは主に裁判所に向けられているんでしょうか、司法に内在的にある欠陥、それを克服する方策が司法内部から聞こえてこない、こういう指摘を最高裁はどう受けとめるでしょうか。また、同じように、今回、司法制度改革審議会設置法案を出している政府として、こういう指摘をどう受けとめているのか、お答えいただきたいと思います。
浜野最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、司法の役割は、国民の間の私的紛争を解決して権利の実現を図ること、それから、適正手続のもとで刑罰権を行使して、もって社会秩序の維持を図ること、さらに、三権分立の原則に立脚した上で司法権を行使するというものと認識しているわけでございます。
 裁判所といたしましては、今述べたような司法の役割、すなわち、国民のニーズと期待を踏まえつつ、社会経済情勢の変化、国民の権利意識の変容等に対応しながら、これまで手続、制度の整備、機構の整備、事務改善等に関する種々の改善、改革をやってきたところでございますが、昨今の社会情勢の変容によって国民の法的ニーズに変化が生じておりまして、国民の司法に対する期待と要望がますます高まっているところでございます。裁判所といたしましては、このような国民の期待にこたえるために、今後とも司法の使命を自覚して一層の努力を重ねてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 また、先ほど委員御指摘の、裁判所に対するいろいろな御意見とか御批判があること、これは承知しているところでございます。
 ただ、裁判所といたしましては、提起された一つ一つの裁判事件について、当事者の主張と証拠に基づきまして法と良心に従って判断するということにより、私的紛争の解決、法秩序の維持という司法の使命を果たすべく努めてまいってきたところでございます。私どもとしては、個々の裁判官がこのような司法の使命を自覚して、国民の負託にこたえられるよう適正な事件処理に努めているものと認識しておりまして、そのような御批判は当たらないものと考えております。
陣内国務大臣 司法においても、今説明がございましたように、努力をしてこられていると思います。法務省におきましても、それを支援してまいりたい、このように考えております。
 なお、委員御指摘の点で、グローバルスタンダード化に対しての司法の必要性が高まっている一方で、弱者といいますか、人権擁護の観点からの必要性についてどうかというような御指摘でございましたけれども、当然、後者につきましては、司法制度の改革は、単に規制緩和等を推進していくために必要であるとの観点だけから行われるものではなくて、これからの社会において、司法制度の利用者としての国民にとりまして、身近で利用しやすくわかりやすい司法を実現するという観点から検討されなければならない、このように考えております。
木島委員 最高裁の方から、居直りとも聞こえる答弁がありました。裁判に対する批判は当たらないと。
 しかし、昨日当委員会へお越しになられた戒能参考人は、最後にこんなことも言っているのですね。ドイツの例やアメリカの例を引いた後でありますが、
 このような他国と異なって、わが国では裁判官は政治的関心をもってはならないというような少なくとも雰囲気が裁判官への統制にあり、そしてまたそのことが、その昇進システム・俸給体系の官僚的構造と相まって、市民的意識とは隔絶した裁判官を生む土壌となっている。これを打破することなくしてはいかなる司法改革も無意味である。
ここまで言い切っているのですよ。
 こんなに、司法を中心的に担っている裁判所、その最高の頂点にいる最高裁の事務当局が、国民の裁判に対する批判の中心である、官僚的になっているのではないか、国民の声に耳を傾けない裁判になっているのではないかという御指摘、御批判に対して、批判は当たらないという、そういう態度に、厳然として今こうやっている。ここに目を背けたまま司法改革はできない。どんな審議会がつくられようと、そんなものは魂のないもぬけの殻のような審議会になってしまうのではないかと私は危惧するのですが、法務大臣、そこの問題なのですよ、どういう認識でいるのか。どうですか、今の最高裁のこういう態度に対する法務大臣の認識というか印象といいますか、お答えいただきたい。
陣内国務大臣 裁判官が厳正、公平でなければならないということは言うまでもないことでございまして、裁判に対する国民一般の信頼を失うようなことがあってはならないと私も考えます。憲法は、それぞれの裁判官がその良心に従い独立してその職権を行使する旨を定めておりますが、裁判所におかれましては、このような裁判官の職権行使の独立の趣旨を尊重し、適切に対処しておられる、私としてはこのように承知しております。
木島委員 もとより、日本は三権分立でありますから、現実の一つ一つの裁判、その裁判の結論や内容や裁判過程、訴訟指揮、それに対して立法府や行政府がいささかも介入してはならぬと思います。しかし、国民的視点に立って、日本の司法がどうなっているのか、国民の声を聞いていないのではないか、それはこういう構造になっているからではないか、そういう点は、個々の裁判に介入するのではなくて、しっかりと直視をして、それを改めるような方向に向かって物を言い、制度をつくるというのは、まことにそれは司法改革であり、それは行政府も立法府も力を尽くさなければならぬのではないかというふうに思うのですね。
 そんな観点から、私、いろいろな資料を見て、比較的的確に論点を整理しているのに、本年一月二十五日の日経新聞の社説があるので、引用したいと思うのです。「国民本位の司法改革に踏み出そう」という見出しの社説であります。「いま日本の司法制度は、三つの機能障害に陥っている。」こう断言しております。「第一は社会の紛争解決手段として果たす役割が小さいことである。」「第二は立法・行政への監視・抑制機能が不十分であることだ。」「第三に市民感覚との間にギャップがあることだ。「裁判所は世間の実情に疎い」という不満が、裁判を経験した人に根強い。」非常にきれいに三つ指摘しているのです。
 この三つの指摘、ほとんど国民の皆さんの見方とも一致しているのだろうと私は思うのですが、この三つの観点から今回政府が出してきた審議会設置法の提案理由説明とその内容を見ますと、第一の観点は確かにあるでしょう。紛争解決手段として果たす役割が小さいからだめだ。しかし、第二の観点と第三の観点は完全に欠落してしまっている。司法行政に対するチェック機能、監視、抑制機能が不十分だという指摘、市民感覚との間にギャップがあるという指摘。こういう現状に対する認識は、今内閣、法務大臣は持たれていないのでしょうか。
陣内国務大臣 ただいま委員御指摘のような報道がなされたことは承知しておりまして、その内容は、司法の機能の充実強化が必要であり、国民の司法参加も含め、多角的な視点からの司法改革の検討を提言しておられる、このように受けとめております。
 二十一世紀の我が国社会を展望した司法制度の改革につきましては各種の御提言がなされておりますが、私といたしましても、今後生ずる社会のさまざまな変化に伴い、司法制度全般にわたる改革とその機能の充実強化が不可欠であり、司法制度の利用者など、広く国民的見地からの検討がなされる必要があると考えておるところでございます。
木島委員 これは、昨日、参考人の先生方からも意見があったのですが、日本の司法が歴史的に小さくさせられている。小さな司法だ。なぜかという、その一つの大きな理由として、政治の支配があったからだ、自民党政治が司法を小さくしてきたのだ、それが自民党の政治の支配にとって都合がいいからだという、そういう立場での論述があったと思うのですね。
 それが最高裁事務総局をして、裁判官の官僚統制の仕組みをほぼ完成させた。その結果、憲法上の大きな権限である裁判所の違憲立法審査権がほとんど使われない、そういう司法になった。また、行政事件では、市民、国民が行政庁を相手取った抗告訴訟等、行政裁判はほとんど勝訴できない、そういう結果になってあらわれている、こういう指摘なのです。
 陣内大臣も政党人の一人でありますし、行政府に今身を置く立場でありますから答弁しにくいかもしれませんが、そんなふうに日本の司法は見えませんでしょうか、率直に。そういう観点からの意見があるので、現実の裏づけがあるからそういう意見が出てくるので、そう見えませんか。
陣内国務大臣 法務大臣の立場としては、これに対してはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
木島委員 その辺は忌憚なく物を言わぬといかぬと思うのですよ。行政府としても、立法府としても、司法全体としてこういう問題があるのではないかと指摘をしなければ、それは何も裁判介入ではないのですよ。それが指摘できなければ、まともな審議会できっこないと思うのです。まともな司法行政もできないと思うんですね。どうですか、大臣。
陣内国務大臣 今お願いしております審議会においては、広く国民の立場から、いろいろな論議が行われていくことを期待しております。
木島委員 それでは、時間も大分迫っておりますので、つくられようとしている司法制度改革審議会の問題点について、絞って幾つかお聞きしたい。
 さっき言ったように、最大の問題は諮問事項がない、白紙委任になっているということであります。そういう場合は、無責任になってしまうおそれもあるし、たくさんの課題を抱えている今の日本の司法制度について、その一部だけがつまみ食いされるおそれもある。それは、財界からの要求である使い勝手のいい司法にするというだけの観点からの論議がされて、人権の最後の守り手としての司法の役割、あるいは行政、立法府に対するチェック機能としての司法の役割、裁判官の官僚統制をやめさせる、そういう根本的な二つの問題についての論議が、諮問がないわけですから、十三人のメンバーの選ばれ方によっては、完全にネグレクトされて、法務省から出してきた提案理由にあるような、財界本位の司法にするような審議会の審議がなされる心配も私はしているのですね。
 そういうことを考えますと、やはり先ほど言った三つの点、その点についての大きなテーマ、柱立て、それぐらいはやはりしてもいいのではないでしょうか。余り細かいことを絞るのは確かによくないと私は思うのですが、三つの問題、そういう三つのテーマについて深く掘り下げて論議してほしい、そのぐらいの問いかけが国会からあるいは行政府からこの審議会のメンバーにされてもいいのではないかなと私は思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
陣内国務大臣 司法制度改革審議会におきましては、国民各層の有識者委員の方々に、国民的視点に立って二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について御審議いただくこととしておるわけでございます。したがいまして、法務省を含め、行政省庁が審議会の方向づけをすることは慎むべきである、このように考えるわけでございます。
 しかし、司法制度改革における具体的な問題といたしましては、既に各界から各種の提言がなされております。先ほど委員が御指摘になったようなものでございますが、その中には、例えば法曹人口の増加とか裁判の適正迅速化、国民の司法参加のあり方といった点が取り上げられているというふうに承知しているわけでございます。しかし、具体的な審議事項につきましては、これらの各種提言をも参考にしていただきながら、審議会において明確にしていただくことが適当ではなかろうか、このように考えるわけでございます。
木島委員 まだちょっと納得できませんが、次に審議の公開の問題についてお聞きしたいと思うのです。
 諮問事項がなくて白紙委任になっている、どんなメンバーが委員として選ばれるかも全く見えてこないという中で、この審議会が暴走してしまったり、あるいは大事な課題のうちほんの一部だけつまみ食いしてしまうような審議会にさせないための一つの保障は、やはり審議の内容の公開だと思うのですね。国民にそして国会に広く開かれた審議をやってもらうことが非常に大事だというふうに思うのです。
 公開の仕方には、審議そのものを公開してしまう、マスコミの皆さんにも入ってもらうような審議にするというやり方と、議事録の公開ということもあろうかと思うのですが、先ほど来の同僚委員の質問に対して、政府の方は、この問題も審議会の委員の決定に任せるかのごとき答弁だったようにお聞きしているのですが、それじゃやはりいかぬと思うのですよ。審議の公開ぐらいは、国民のための司法をつくるための論議をしているんだということを担保するためにも、この法律にやはり書き込むべきじゃないか。
 本当に法務省なり政府が公開させようと思っているなら、お任せにしたら、私は、審議委員というのは公開しないという方向に流れていってしまうと思うのですが、ぜひこの法案を修正してでも公開の問題は書き込んでいただきたい、そういうお気持ちはないでしょうか、提案者。
房村政府委員 ただいま委員御指摘の審議の公開の点は、政府として、基本的に、審議会は会議または議事録を公開することで運営の透明性を確保するということを決めておりますし、これは国家行政組織法に規定する合議制の審議会についてでございますが、具体的に、中央省庁等改革基本法においても、そういう条文も入れております。
 そういう基本的な方針のもとに、具体的に、審議会において、会議または議事録をどのような形で公開するかということを議論して、適切に対応していただけるものというぐあいに考えております。
木島委員 もう時間が来たから、最後に一点だけ。
 先ほどどんなメンバーを委員として選ぶのかということに対して、国民的見地、国民を代表する人々にお願いしたいという答弁でしたが、もうちょっと具体的に、どんな階層を代表する人を十三人として選ぶ予定なのか。それだけは答弁していただきたい。それで終わります。
房村政府委員 これは、基本的には、両議院の同意を得て内閣が任命するということになりますが、先ほど申し上げたように、司法の問題を議論いたしますので、法律実務について経験を持ち知識を有しておられるような法律実務家の方々、あるいは法律学者の方々、こういう方々も当然委員に任命していただければというぐあいには考えております。また、そのほか、司法を利用するという立場から、経済界の実情に明るい方、あるいは労働界の実情に明るい方、あるいは消費者問題等に詳しい方とか、あるいは経済学について詳しい方とか、いろいろな方がいらっしゃろうと思います。
 そういうものについて、こういう国民的見地に立って審議をしていただけるのにふさわしい方を内閣で選任して、両議院の同意を得て任命ということにしていきたいと考えております。
木島委員 終わります。
杉浦委員長 次に、保坂展人君。
保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
 まず、今回のこの法案を何度も読んでみました。司法制度改革審議会設置法案、何度読んでもちょっとわからないことが多くて、その後に、自民党のお仕事で、自民党の司法制度特別調査会の報告、これを読んでみたら、経済団体のその前後のものももちろん読みましたけれども、なるほど少し見えてきたという気がいたしました。
 そこで、官房副長官に早速お尋ねしたいのですが、この自民党の報告、指針は、昨年六月にまとめられて当時の橋本総理に伝えられて、そしてまた小渕内閣でもって政府提案というふうになったものというふうに考えてよろしいでしょうか。
鈴木(宗)政府委員 きょうはまたガイドラインの審議もやっておりまして、官房長官は向こうに行っておりますから、役不足でありますけれども、私から答弁させていただきます。
 今、保坂委員御指摘のとおり、昨年の六月、自由民主党の司法制度特別調査会が「二十一世紀の司法の確かな指針」という報告を取りまとめられまして、その中で司法制度改革に関するさまざまな検討課題を示され、政府に司法制度審議会を設置することなどを提言されました。
 政府としましては、この与党からの提言を重く受けとめたことはもちろんでありますが、同時に、司法制度改革に関しましては、自由民主党以外の諸政党、また経済団体、日本弁護士連合会等のさまざまな団体からも数多くの提言がなされてきているところでありまして、これらの提言も踏まえて、司法制度改革に取り組むため、司法制度改革審議会設置法案を提出するというのが流れでございます。
保坂委員 経済団体及び自民党の指針を見ると、例えば社会の転換ということを言われています。自己責任の原則に貫かれた事後監視・救済型の社会に転換していくというような表現であるとか、透明なルールと自己責任の原則というのはたびたび出てくる表現なんですが、こういった基本姿勢は今回の法案も共有しているというふうに考えてよろしいでしょうか。
鈴木(宗)政府委員 十分そういったことも踏まえて、政府としても、これは二月の五日の閣議で決定をさせてもらったということであります。
保坂委員 それでは、実はこの自民党のお仕事の中で第二分科会というのがありまして、これは論点整理のような文書なんですが、第二分科会の二のところに弁護士自治の見直しという項目がございます。弁護士法上、弁護士会や日弁連は行政機関または裁判所による監督を受けていないなど高度な自治が認められているという現状を踏まえた上で、ヒアリングの中で出た意見、自民党のその委員の中から出た意見なんでしょうけれども、弁護士の活動の中には法制度の枠を逸脱した行動が多過ぎると世間は見ており、その見直しを世間は求めている。
 こういう意見も出たということなんでしょうけれども、これは自民党の、政権与党の骨格的な報告があり指針があって、一方で、この弁護士自治の見直しというのは今回政府は考えているのかどうか。これはちょっと大事な問題ですので、お願いします。
鈴木(宗)政府委員 自民党さんは自民党さんの中での議論でありますので、私からどうのこうのと言うことではありません。
 今回の司法制度改革審議会設置法案というのは、これは二年間の時限立法でもありますし、その中で委員を十三人で組織してもらったりして、今の時代に合った司法制度のあるべき姿というものを幅広く議論をしてもらえばいいのではないかという観点から出しているということで、御理解をいただきたいと思います。
保坂委員 それでは確認します。自民党では確かにこういう意見は出たけれども、政府としては同一ではない、つまり弁護士自治の見直しということは範囲に含めていないというふうに聞こえたんですが、それでよろしいですか。
鈴木(宗)政府委員 十分各般にわたる議論はしていただきたいということで、この司法制度改革審議会のメンバーも決めてもらって、当然その中で各般の議論がされるものだ、こう思っています。
保坂委員 今の御答弁を聞くと、そこも含めて自由な立場で議論していただくというふうに今度は聞こえましたが、それでよろしいですか。
鈴木(宗)政府委員 さようでございます。
保坂委員 それでは、お忙しいところ来ていただいているんで、これで副長官はお引き取りいただいて結構でございます。
 それでは、法務大臣に続けて伺います。
 三月二十四日、自由民主党と自由党の間で政府委員制度の廃止という国会史上かなり歴史的な合意文書、実は我が党はこれは反対でありますけれども、出てまいりました。政府委員制度を廃止する。廃止の主たる目的は、国会の議論を活性化する、政治家同士が生の言葉でちょうちょうはっしのやりとりをするということだろうと思いますが、自民党の議員でもあられます法務大臣にお聞きいたしますけれども、この政府委員制度の廃止、そして議員同士、大臣なり委員ということで、あるいは副大臣というのもありますけれども、こういう合意について歓迎されているかどうか、簡単にお願いします。
    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕
陣内国務大臣 委員会の活性化ということは大変重要でございます。今、党においてそういう観点から整理が行われたということは承知しておりますが、いずれにしても党で議論されていることでございますので、私からはコメントを控えさせていただきます。
保坂委員 当法務委員会、次第に議論が活性化してきていると思うんですが、大臣にお願いしたいのは、政治家同士の議論が活性化するためには、やはり政府委員がいなくなって、今はいらっしゃいますけれども、たくさんのメモを政治家がお持ちになって、質問する委員にそのメモを見ながら朗読する、これでは国会の活性化につながらないというふうに思うんでありますが、その点はいかがですか。
陣内国務大臣 これは副大臣とか政務官とかそういう役割、機能の強化の中で解決していくべき課題だと思っております。
保坂委員 生の言葉でお答えいただいてありがとうございます。
 そうすると、今回のこの法案、何度も読みましたけれども、今までの大臣の御所見あるいは政府委員からのお話でも、これは大事な問題だ。したがって、司法制度改革というのは国民各層に幅広く理解を求めて、つまり国民が知らないところでやって、はい、できましたということではだめだ。国民が理解をして、ああ、こういう議論があるんだということで初めてその条件が生まれてくると思うんですが、情報公開はやはり必須の条件だと思うんです。
 これについて、大臣、この司法制度改革審議会の情報公開について、やはり必要だと私は思うんですが、御見解を大臣からお願いします。
陣内国務大臣 審議会、これは八条の審議会でございますが、これについて、中央省庁等改革基本法の中では、公開を原則とするというようなことでございますが、問題のこの司法制度改革の審議会では、委員の皆様方がそういう基本法の考え方を踏まえてお決めいただく問題である、このように考えております。
保坂委員 大臣、そうしますと、ではこの設置法には何も書いていないのかというと、実は書いてあるわけです。「委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。」こういうふうにあるんです。軍事上、外交上に秘密なり機密というのがあるのは私たちも承知をしておりますが、司法制度改革の大きな骨格をめぐる議論で守秘義務を委員が課せられるような、そういう事態はどういうふうに具体的に想定できるんでしょうか。この条文は必要なんですか。
 大臣に聞いているんです。大臣はパスですか。
房村政府委員 とりあえず御説明を申し上げます。
 今回の司法制度審議会は、もちろん司法制度の基本にかかわる施策を調査審議するということでございますが、その調査審議の過程でいろいろな資料を扱うということがあろうかと思います。そのような資料の中には、場合によっては個人のプライバシーに触れるようなものとかあるいは企業の秘密に触れるようなものも含まれることもあり得るわけでございますので、そういう場合に備えて委員の守秘義務を規定したということでございまして、審議を秘密にするという趣旨でこの規定を置いているわけではございません。
保坂委員 それでは、せっかく内閣審議官兼司法法制調査部長の房村さんが御答弁されたので、ずばり伺いますけれども、先ほどの事務局の構成ですけれども、例えば最高裁からあるいは法務省からあるいは大蔵省から官僚の方が入るのが大体決まったというような話も聞いているんです。どうですか、事実は。そういう布陣がないというふうに言えますか。
房村政府委員 事務局の構成につきましては、先ほどから大臣からも御説明したこともございますが、基本的にこの審議会での調査審議のための資料の調査、収集、分析とかあるいは審議結果の整理というような、審議会の審議を補佐する役割を担うということでございます。そういうことから、このような補佐的な役割を果たすのにふさわしい知識等を有している者を充てるということが必要であると考えられているわけでございます。具体的には、関係省庁等の公務員がこの事務局に入るということも当然考えられるところでございますが、いずれにいたしましても、この法律が成立して事務局が設置される段階で選任されるということになります。
保坂委員 審議会の委員は、内閣総理大臣が任命をして国会同意人事で承認するというふうになっていると思うんですが、それでは、今房村さんが答えられた事務局長及び事務局の人員配置は、もちろん法案成立後でしょうけれども、だれがいつどのように決めるんですか、具体的には。
房村政府委員 内閣に設置される審議会に設置される事務局ということになりますので、内閣で任命をしていくということになろうかと思います。
保坂委員 その辺のプロセスが、房村さんも、透明なルールと言っているんですよね、一貫して貫くのは。透明なルールでやってくださいよ。今、あらゆる審議会がそうですけれども、これだけ大変な、しかもある意味で司法制度に関しては守備範囲外のいろいろな幅広い人も加えてやるわけでしょう。そうすると、こういう事務局の役割は大事じゃないですか。議論の骨格をどうするんだ、こうするんだ、こういう日程でいきましょう、こういう準備をこの段階で全くしていないで、やれますか、審議会。やっているんでしょう、今。今までやってきていることを出したらどうですか、国会に。それじゃないと審議できないですよ。
房村政府委員 その点につきましては、何度も申し上げておりますが、基本的に、審議会の場で、司法の実情を見ていただいて審議項目等を決めていただくということでございます。もちろん、事務局が設置されれば、そこで現在各界からなされております提言あるいは御意見というようなものを取りまとめて審議会に御紹介するというようなことは、これは事務局の職務として当然なされることであろうと思っておりますが、それ以上にわたりまして、審議会でどのような項目を審議すべきであるかというようなことについて事務局が積極的に関与していくというようなことは、本来の事務局のあり方を外れているのではないかと考えております。
保坂委員 委員長にお願いしますけれども、これはこれからの審議にかかわる問題ですので、今、事務局を立ち上げるに当たっての準備段階の資料、あるいは準備等、内閣の側にあるのであれば、ぜひ当委員会に提出していただくようにお諮りいただきたいと思います。
橘委員長代理 本件につきましては、後刻理事会でお諮りいたします。
保坂委員 それでは、続いて房村さんに簡単に聞きますけれども、内閣審議会になった理由はどんな理由でしょうか。
房村政府委員 この審議会で審議をいただくテーマが、二十一世紀の我が国社会における司法のあり方、こういうものを議論していただくという非常に大きなテーマでございます。その司法というものも三権の一翼を担う立場でございますので、そういうテーマを審議していただく審議会は、やはり行政を代表し国務を総理する内閣に置くことが相当ではないかということでございます。
保坂委員 そうすると、房村さん御自身が事務局に入る可能性もあるわけですね。可能性の問題です。
房村政府委員 そういう人事のことはちょっと私もわかりかねますので……。
保坂委員 もう一言だけ聞きますけれども、房村さんはたしか裁判官じゃなかったでしょうか。
房村政府委員 一番最初に任官したのは、裁判官として任官をいたしました。
保坂委員 それでは次に、法務、検察行政全般にわたって、この審議会にもかかわるんですけれども、実は、あした四月一日より、いわゆる被害者通知制度というものが動き出す。当委員会でも、片山隼君の交通事故の件等々、こういったことが必要だという声を上げてきたので、これは四月一日動き出して、効果を上げてほしいと思いますけれども、これはどうして四月一日、あしたから行われるのか。つまり、それまではどうだったのかということを踏まえて、やはりこれまでの点に不備があったということをお認めになって、四月一日改めようということで理解してよろしいですか。
松尾政府委員 お尋ねの、被害者等通知制度と言っておりますが、これは、従来も各検察庁がそれぞれ独自にといいますか、おおよその内容は似通ったものが多いわけですが、被害者通知制度を定めて実施しておりました。高等検察庁、それから四十二の地方検察庁というのがこの制度を有していたということでございます。
 ところが、その内容は各庁で若干の相違がございました。例えば、重要事件に限ってやっているところ、あるいは事件を問わず被害者の希望に応じてやっているところと差異がございました。被害者の立場を考えますと、こうした事件を処理した検察庁の相違によって通知の内容が異なるというのは、被害者等の立場に立てば決して好ましくないということでございます。
 それで、そうした全国の実情を昨年来調査いたしまして、これを統一的に運用するということで、その運用の実施の初日としては、新年度の始まる四月一日という区切りのいい日にいたしたということでございます。これまでにも、こういったパンフレットも既に用意いたしまして、被害者等に対して配りながら、その制度の周知徹底を図りながら、全国的にはあすから実施するという経緯でございます。
    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕
保坂委員 検察の歴史をいろいろひもといていくと、謙抑的という言葉がたびたび出てくるわけですね。一般の社会では余り使われない言葉かと思いますけれども、この謙抑的というのはどういうことを指しているんでしょうか、刑事局長にお聞きします。
松尾政府委員 なかなか難しい御質問だと思います。
 ただ、検察庁も含めまして捜査機関全般に言えることではないかと思いますが、捜査機関は犯罪の捜査をするということでございますが、その捜査手法の中には、強制力を伴うといいますか、基本的人権を、時によるとそのバランスの中で強制力を用いて個人のプライバシーに立ち入ることもあるとか、そういうようなことでございますが、そういった非常に強権を持っているということだと思います。
 そうしたことで、捜査を遂行する過程においてはいろいろな配慮が必要だ、その中の一つが、謙抑的という気持ちあるいは謙抑的という姿勢、これを常に持ちながら検察権の行使に当たるということだろうと思っています。
保坂委員 今の御答弁を聞いていて、まさにそういう姿勢、精神を今後とも一層高く掲げていただきたいというふうに思いますし、また、片山隼君の事件あるいは検察の窓口対応等でも、前々になりますけれども、下稲葉法務大臣時代に、やはり適切を欠くというようなことで随分と世論も注目をしたし、また、それについて関心も高いというふうに思いますので、ぜひそれは……。
 今回の司法制度改革の議論にここでスライドしていくんですけれども、裁判所に一問だけちょっとお尋ねを用意しているのでお答えいただきたい。
 この前にちょっと質問していますけれども、寺西裁判官の仙台高等裁判所の処分の理由の中に、組織犯罪対策関連三法の反対運動を自分は発言できないというような趣旨の発言を会場からしたことによって、言外に、これは広辞苑でちょっと引いてみたんですね。言外というと「ことばに出さないところ。」ということしか書いていないんですね。言外ににおわせるとか、言外の意味、こうなっているわけなんですが。
 裁判官が裁判所によって処分される、これは重い事態ですね。裁判所の中で使われる言外という言葉はどういう意味内容を持っているんですか。
金築最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 この言外という言葉は、この前のお答えでも申し上げたと思いますが、直接最高裁の大法廷決定が使っているわけではございませんで、高裁の決定の中に出てくるわけでございます。最終的には、最高裁の大法廷決定がこの処分を決めたということになるわけでございまして、大法廷決定が高裁が用いた言外という言葉をどうとらえているかということにつきましては、結局、分限裁判も、狭い意味の裁判体が行う裁判手続でございますので、大法廷がこれをどのように認定、判断しているかということについては、事務当局としてはお答えするのが適当でないわけでございまして、その点については決定を見ていただく、読んでいただくというほかないわけでございます。
保坂委員 まあ答弁もまた逃げ、これは追っかけていっても時間がなくなりますので。
 これは絶対納得できないですよ。言葉に出さずに、態度あるいはしぐさあるいはそれ以外に、言葉以外に何があるんでしょうね、沈黙もまた表現だったらそうなりますけれども。つまり、議事録に残らないんですよ、言外というのは。そういうものをもって処分理由にするというのが日本の今の裁判所なんだということを確認して、ちょっと、もっとハードル下げましょう。
 オリックスの宮内社長が裁判官の若手の方と話をされた。これは新聞記事に載っているんですけれども、休みの日にテニスをするぐらいの時間が欲しいなと言った、しかし、これは匿名でお願いしますよ、こう言われている。それほど裁判官というのはがんじがらめなんだと言っておられますが、どうですか。がんじがらめですか。処分されますか。
金築最高裁判所長官代理者 裁判官の言動について、最高裁が行政的にいろいろ締めつけをするとか統制をするとかというふうな考えは持っておりませんし、してもおりません。別にテニスをする時間がないと言ったからといって処分の対象になるということはないというふうに思います。
保坂委員 これは自主規制といいまして、子供の世界でも、僕はいじめの問題をずっと取材してきたんでわかるんですけれども、最後にはいじめられてもいないのに身を縮めるようになる、萎縮という言葉でも言いますけれども。
 それで、かつて裁判官でもあり、司法法制調査部長でもあり、また内閣審議官も兼ねている房村さんにもう一問行きますけれども、話の中では、例えば今お話に出たオリックスの宮内社長であるとか、あるいは京都大学教授の佐藤幸治先生だとかいう方が今回の審議会委員として入るんじゃないかなというような話もあるんですが、いかがでしょうか。
房村政府委員 委員の人選につきましては、この審議会設置法が成立をいたしまして、審議会が設置された後、内閣において国民的見地から審議をしていただける方を選任して、同意を求める手続を進めるという形になりますので、現段階でどなたを委員として考えているというようなことを申し上げる段階ではないと思っています。
保坂委員 内閣の側に立っても、これはちょっと、こういうやりとりを続けていればいるほど疑念が広がるという話になっちゃうんですね。
 要するに、透明なルールと言っているわけですから、だれから見ても、ああなるほど、公正に選ばれたなと。事務局、ああなるほど、役人の方も入るかもしれない。私ども、民間の、あるいは情報公開を求めてきた法律家であるとか、そういう人もちゃんと入れるべきだというふうにも言っているんですが、そういう事務局の人選ですね。そして、今るる聞かれていることについて、透明なルールが成立していると房村審議官は思いますか。透明なルールと胸張れますか。もっと透明化するべきじゃないですか。
房村政府委員 審議会の審議に関しましては、先ほど来申し上げておりますように、基本的に公開の方向で透明性を確保するということになろうかと思っておりますが、委員の人選あるいは事務局の構成ということに関しましては、まだ審議会の設置も決まっていない段階でございますので、この段階で私どもで申し上げるような状態ではないということでございます。
保坂委員 では、大臣に聞いてみます。
 かつて臨司と言われる、これは臨時司法制度調査会というのがございましたね。そして、これは調査室がつくった資料ですけれども、そこを見ていくと、調査会は、「内閣の諮問に答申し、又は内閣に意見を述べる。」これは今回も同様の文言がありますね。その次に、調査会は、「答申又は意見を内閣から国会に報告するように、内閣に申し出ることができる。」というのが入っていますが、今回の司法制度改革審議会の法案にはこういった条項はありますか。
房村政府委員 この条文を見ていただければわかりますが、国会への報告の規定は入れてございません。
保坂委員 それじゃ、なぜないんですか。大臣、ないとしている理由を明快に説明してください。
陣内国務大臣 国民的視点において論議していただくという中で、国民各層いろいろな立場の方の意見もそこにくみ上げられるんではなかろうか、こういう考えからでございます。
保坂委員 これは大臣、聞いていることをよく聞いてください。国会に報告するという条項を入れていない理由を明快に説明してくださいと言っているわけです。国民から選出された国会議員がそのことを知らなくていいわけがないわけです。もう一度答弁し直してください。
陣内国務大臣 失礼いたしました。司法制度改革審議会におきましては、審議会の意見が内閣に提出された後にはその内容も公表され、さらに、具体的な立法化を図る段階で国会の審議を受けることになるわけでございますけれども、そういうことから、特に国会に対する報告の規定は必要がない、このように考えたわけでございます。
保坂委員 昭和三十七年の法案に入っていて今日の時代の法案に入っていないというのはおかしいでしょう。つまり、国会に対する報告をあえて削る積極的な理由というのはありますか。大臣、お答えください。これは欠けているなら入れてくださいよ、大臣。
陣内国務大臣 現在の規定ではただいま御説明申し上げたとおりでございますが、必要に応じてそのような報告も審議会の方で考慮していただける、このように考えております。
保坂委員 必要な報告も審議会の方でということは、つまり臨司に入っているような条項を今後審議を通して入れることもあるというふうに理解をしていいですか、大臣。これは絶対入れないということだったら話が全然違うんですよ。はっきり答えてください、大臣。
陣内国務大臣 国民的な意見をくみ上げるという中で、今申し上げましたような国会への報告も審議会としては十分考えてもらえるというふうに思っておりますので、この法案の中では報告をするというような規定は設けておりません。
房村政府委員 この審議会設置法で国会への報告を規定していない理由の一つとして、最近の審議会の設置等の法律でこのような報告の規定を置いているものが少ないということが一つございます。
 今回置かなかった理由として、これは国会への報告をしないということを決めてこのような条文にしたということではなくて、それは適宜な方法で、それぞれ審議の適当な時期に国会の方にその審議の状況を御報告するということは当然考えられることだろうと思っております。それは、あえて条文をまつまでもなく、そのような方法はとり得るのではないかと考えております。
保坂委員 そういう解釈でしたら、昭和三十七年時代にすらあった条文を入れてもいいということになるんですよね。どうですか、大臣。
陣内国務大臣 最近の取り上げ方については今事務当局から御説明したとおりでございまして、こういう規定を盛り込んでおるものはないということで御了承いただきたいと思います。
 ただ、この運用につきましては十分国会に御報告申し上げる必要があるというふうに思います。
保坂委員 時間が過ぎていますので、これは委員長にお願いしますけれども、今ちょっと全然答弁の趣旨がわかりません。
 昭和三十七年の臨司に入っている、その当時もいろいろ議論がありました、これについては。そこに入っているものが今回ないという合理的、妥当な説明はないというふうに思いますので、改めて内閣の方からこれについての適切な説明を求めていただきたいと要望したいと思います。
杉浦委員長 御要望として承っておきます。
 次に、加藤卓二君。
加藤(卓)委員 司法制度改革審議会設置法案について質問させていただきます。
 二十一世紀の我が国社会において、複雑多様化、国際化が進み、また規制緩和の改革により、社会が事前規制型から事後チェック型に移行していく過程で、司法の役割は一層重要なものになり、その機能を社会のニーズにこたえ得るように改革し、充実強化を図っていくことが、まさに二十一世紀に向けての極めて重要な課題となっております。
 自民党におきましても、司法制度特別調査会を設置し、保岡調査会会長とともに、私も当初からこの問題に取り組んでまいりました。
 その調査会においては、二つの分科会を設けて検討し、昨年六月、自由民主党司法制度特別調査会報告を取りまとめました。この報告は、今後、規制緩和の諸改革を推進し、自己責任の原則に貫かれた事後監視・救済型社会への転換を図るための基盤をなす司法の機能の充実強化が必要であるとし、国民に身近で利用しやすくわかりやすい司法を実現するための検討課題を具体的に指摘し、政府に司法制度改革に関する審議会の設置を求めたのであります。
 自民党においては、この報告書を当時の橋本総理大臣に提出し、昨年十一月には、改めて政府に対し、早急に、司法制度審議会設置法案を提出し、内閣に司法制度審議会を設置することを強く求めるとの決議を行って、小渕総理大臣に提出したのであります。このような動きを受けて、司法制度改革審議会を内閣に設置するための法案が提出されたことは、大変に喜ばしいことであります。
 さて、司法は国民に身近で利用しやすいものでなければならないということは言うまでもありません。このことは、とりもなおさず、国民が法的なサービスを容易かつ便利に受けられるようにすることであります。そのためには、国民の依頼を受けて法的サービスを提供する弁護士業務のあり方が重要であります。
 そこでまず、昨日閣議決定され、改定された規制緩和推進三カ年計画においても取り上げられております弁護士事務所の法人化の問題についてお尋ねします。
 弁護士事務所を法人化するメリットについて、法務省としてはどのように考えておられますか。
房村政府委員 今お尋ねの弁護士事務所を法人化する場合のメリットでございますが、法人化いたしますと、事務所の経営の安定化、合理化が図られますし、法人となることによって、弁護士の個々の人間がかわっても、事務所としての継続性が図られるということがございます。そのような結果、コストの低減とかあるいは顧客に対する安定した法的サービスの提供が可能となるということがございますので、こういう時代の変化に対応してより高度なサービスを提供していくということが可能になると思われ、種々のメリットがあるというぐあいに認識しております。
加藤(卓)委員 弁護士事務所の法人化は、弁護士業務のあり方に直接にかかわる問題ですので、日弁連の意見も踏まえ、法務省が責任を持って検討を進めてもらいたいと思います。
 それでは大臣に、弁護士事務所の法人化の有用性に関する御認識と、今後、この実現に向けてどのような姿勢で取り組んでいかれるかという点をお聞かせいただきたいと思います。
陣内国務大臣 弁護士事務所の法人化につきましては、ただいま事務的にメリットを御説明申し上げたわけでございますが、法人化することによって事務所の継続性を強化し、安定し、かつ充実した法的サービスの提供が可能になる、このようなメリットがあると考えております。国民に利用しやすく多様なニーズにこたえ得るという点から、大変有用性の高いものであると思うわけでございます。
 しかし、これにも問題もありますが、ただいま事務当局からお答えしたようなことでございますけれども、いずれにしても、弁護士事務所の法人化は基本的に有用なものでありますので、法務省といたしましても、これを実現すべく積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
加藤(卓)委員 次に、総合的法律経済関係事務所の開設に関する問題についてお尋ねいたします。
 これは、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、弁理士などの専門的な資格者が一堂にそろって事務所ができれば、多様なニーズを抱える国民がトータルなサービスを受けられるので、大変に便利であろうという考えに基づいたものです。しかし、果たしてこのような事務所を開設することが可能であるかという点について、これまで必ずしも明らかでなかったように思われます。
 そうした点も含めて、法務省においてはこの調査検討を続けてきたものと思いますが、この検討状況や検討結果、講ずるべき措置の内容についてお話をお願いします。
房村政府委員 ただいま委員から御指摘のありましたように、弁護士を初めとする各専門職種の方々が総合事務所を構えれば、利用者にとっては非常に便利だと。しかしながら、他方、このような専門資格につきましては、非資格者による業務遂行が禁止されたり、あるいは業務の独立性の確保が要請されたりというような問題がございますので、果たしてどのような形で総合的事務所が可能となるかということを検討するために、法務省、大蔵省、国税庁、特許庁という関係省庁で検討会を続けてまいりました。
 その結果、現行法のもとにおきましても、事務所形態のあり方を工夫すれば、各種専門職種の方々が同一の事務所を共用して、顧客のニーズに応じて、それぞれがその専門資格に係るサービスを一定の協力関係のもとに提供することが可能である、こういう結論に達しました。
 しかし同時に、委員の御指摘にもありましたように、必ずしもこのような総合的な事務所が現行法上可能かどうかということが十分理解されていないという面があることも事実でございますので、このような可能な事務所の形態、そしてそういう形態をとれば総合的事務所が可能であるということを、それぞれの専門資格の方々に理解していただけるような措置を今後とっていきたいと考えております。
加藤(卓)委員 答弁によると、種々の検討の末、ワンストップサービスが可能であるということのようですが、今後、法務省を含めた関係省庁において、国民の視点に立ち、なぜこれまでこのような事務所が余り存在しなかったかという原因を考えながら、必要な周知のための方策を十二分に講じていただきたいと思います。
 さて、これも国民に利用しやすい司法を実現するという観点からの問題ですが、弁護士は、国民が身近に利用できるものでなくてはなりません。しかし、我が国の弁護士の数は少ないという指摘もあり、また、地域によっては弁護士がいないところもあるように伺っております。このような状況の中で、準法律専門職種と言われます司法書士の活用方法を考えられないかということであります。
 司法書士は、弁護士に比較すると全国的に広い範囲におられるということですし、顧客の依頼により裁判所に提出する種々の書類を作成し、国民に身近な法律家としての役割を果たしておられるとも伺っております。弁護士が全国でくまなく業務を行うことが可能となれば別ですが、そうでなければ、例えば簡裁における代理権を司法書士に与えるなど、このような司法書士をもっと活用することが考えられてもよいと思われます。
 この点に関して、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
陣内国務大臣 ただいま御指摘になりました、簡裁における代理権の付与などの司法書士のさらなる活用の点でございますけれども、国民に利用しやすい司法の観点から、司法書士の業務のあり方は一つの重要な検討課題である、このように考えております。
 ただ、この問題につきましては、当事者その他の利害関係人の利益の保護とか法律生活の公正かつ円滑な営みの確保の要請など、こういうものを踏まえた上で、国民的見地から慎重な検討が必要になる、このように考えるわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、委員が今御指摘されましたことを踏まえながら、今後とも必要な検討を続けてまいりたいと考えております。
加藤(卓)委員 ありがとうございます。
 司法書士を初めとする準法律専門職種と弁護士の協力関係のあり方等についての検討の重要性につき、大臣としても十二分御理解いただいているということを聞いて、私も安心したところであります。検討すべき種々の問題もあろうかと思いますが、国民に利用しやすい司法を実現するという見地から、今後とも積極的な検討をお願いいたしたいと思います。
 司法が国民に利用されやすいものでなくてはならないということは言うまでもありませんが、経済的に恵まれない人が民事訴訟を起こしたり起こされたりする場合に、弁護士の援助を受けられる必要があると思います。そうした場合に、経済的に恵まれない人を援助する制度である民事法律扶助制度が充実することによって、司法は国民に利用されやすい制度になるものと考えます。私としては、これを利用しやすくし、充実していくことが重要な課題と考えておりますが、この点について法務大臣はいかにお考えでしょうか。
 また、国民に身近な役割を果たしておられる司法書士等を民事法律扶助制度においても活用することも考えられますが、この点について法務大臣の考えをあわせてお聞かせ願いたいと思います。
陣内国務大臣 ただいま委員御指摘の民事法律扶助制度、これは、憲法三十二条に定める裁判を受ける権利を実質的に保障するという理念のもとに充実が図られてきた大変重要な制度である、このように承知いたしております。そして、この制度の充実強化を図っていくことは、司法を国民に身近なものにするという意味で、我が国の司法制度にとって喫緊の重要課題である、こういうことは言うまでもないと思います。
 本制度につきましては、法律扶助制度研究会というものが法務省の中に置かれまして、そこで既に昨年報告書を取りまとめて研究成果を発表しているわけでございますが、そういうものを踏まえながら、これは法制度化を含めまして、関係機関等ともよく協議検討しながら一層の充実発展に努めてまいりたい、このように思うわけでございます。
 そして、さらに御指摘いただきました、司法書士を民事法律扶助制度においても利用することが考えられないかという点についてでございますけれども、民事法律扶助制度の中でどのような利用が可能か、事務当局にその検討をさせたいと考えております。
加藤(卓)委員 ただいま法務大臣から、民事法律扶助制度が我が国の司法制度にとって重要な課題であるとの御答弁をいただきました。法務大臣が私と同じような意見であるということを知って非常に心強く感じました。
 これに関連して、法務当局は民事法律扶助制度をどのように充実してきたか、これまでの民事法律扶助制度の事業実績と国庫補助の状況について説明していただきたいと思います。
横山政府委員 お答えいたします。
 民事法律扶助事業につきましては、昭和二十七年に財団法人法律扶助協会が設立されまして、同年四月から事業を開始しております。国は、同協会に対しまして昭和三十三年度から補助金を交付して本事業の育成に努めております。
 国庫補助金を交付しました昭和三十三年四月から平成十年三月までの扶助事業の実績は、扶助決定件数が十一万五千七百六十一件、終結事件のうち約九五%が実質的に勝訴するなどして、扶助の目的を達成していると考えております。
 なお、平成九年度の扶助決定件数は八千百七十二件で、前年度の七千二百六十五件と比べて増加傾向を示しております。
 次に、国庫補助でありますが、昭和三十三年度から平成九年度までの国庫補助金の総額は、約四十二億八千六百万円であります。
 平成十年度について見ますと、阪神・淡路大震災の被災者を対象としました法律扶助事業実施のための補助金を含めまして、合計約四億七千七百万円、前年度に比して約四千百万円の増加となっております。
 また、先日成立しました平成十一年度予算によりますと、阪神・淡路大震災被災者を対象としました法律扶助事業実施のための補助金を含めまして、合計約六億七百万円の予算が計上されておりまして、前年度に比し約一億三千万円増額されております。
 ただいま法務大臣がお答えしましたとおり、本制度につきましては、法制度化も含め、関係機関とも協議検討しながらその一層の充実発展に努めてまいりたい、そのように考えております。
加藤(卓)委員 ところで、民事裁判において、土地の境界をめぐる紛争は難しく、解決するまでに時間が大分かかる類型の事件の一つであると聞いております。
 そこで、土地の調査、測量等の専門家であります土地家屋調査士を活用して、裁判によらないで、こうした紛争を迅速に解決する制度を創設することを検討してよいのではないかと考えております。この点について、当局のお考えを聞かせていただきたいと思います。
房村政府委員 委員からただいま御指摘のありました、土地に関する専門家である土地家屋調査士を活用した裁判外の土地境界紛争解決制度、こういうものを創設することにつきましては、委員も深く関与されております、先ほども委員がお述べになりました自民党司法制度特別調査会の最終報告書でも、その検討をすべき旨の提言がされているところでございます。
 これを踏まえまして、法務省では、そのような専門家である土地家屋調査士の方にも参加をいただいて、現在資料収集や問題点の整理を行っているところであります。
加藤(卓)委員 同じような問題なんですが、特許庁の関係なんです。特許関係の裁判も、これは世界で一番長くかかっているというように聞いておりますが、これを迅速に解決するという観点から、例えば、侵害訴訟において代理権を付与するなど、弁理士を活用する方法についても検討すべきではないかと考えておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
房村政府委員 特許事件、時代の先端を行く事件でもございます。その審理、裁判を適正迅速に行うということは非常に重要なことであろうと思っております。
 ただ現在、委員の御指摘のように、弁理士の方々は特許権の侵害訴訟における代理権は与えられておりません。代理権限を付与したらどうかという御提言があることは私どもも承知しておりますが、この点につきましては、国民のニーズを踏まえつつ、国民の権利利益の保護や法律生活の公正かつ円滑な営みの確保等に支障を来すことのないよう、国民的見地に立ちながら、弁理士に訴訟を的確に追行し得る専門的知識、能力等の面の制度的担保、すなわち適切な資格要件や養成制度等があるか否かなどを十分考慮した上で、慎重な検討を行う必要があると考えております。
加藤(卓)委員 以上、準専門職種というのですか、私たちもよくわからないんですが、法務省の管轄の中にも司法書士だとか土地家屋調査士だとか、やはり法律を非常によく勉強しないとできない業種の人がいて、そして地方にもいる。少額ないろいろな事件のときに、みんな当事者同士でやっているんですが、これに簡裁なんかでこういう方たちが関係されると物すごく早目にいろいろな解決がつくんじゃないか。
 なお、特に土地なんかの争いは、裁判所に持っていくような争いになるというのは、ほとんどこれは、何かというと、事件を引き延ばしたり、いろいろな問題で、むしろ法律を利用して迷惑をかけている人たちに利用されやすいんじゃないか。また、私は、裁判官が少ないとか、検事が少ないとか、弁護士さんが少ないとかと言いますが、余りこれもまたどんどんつくり過ぎるとアメリカ的なあれになっても困るのかなという中で、そういうふうな、制度上で使える方たちをぜひひとつ利用していただけば極めて話し合いがしやすいんじゃないかな、こう思いますので、この辺もいろいろ検討をしていただいて、日弁連なんかともよく話し合いができる機会をつくっていただけるといいな、こう思っております。
 また、これは過日の、私たちが制度調査会の中でいろいろあれされた中で、ここで答弁を求めることはちょっと難しいのかなというような感じもしますんですが、国会議員の修習免除の問題について、検討すべき重要なテーマではないかな、こう私らもそのときに感じたわけです。意見が非常に複雑になったように思ったので、この問題は答弁は差し控えてもらって結構でございますが、一応、司法制度改革審議会においても検討課題となるんじゃないかな、こう思いますので、ひとつお話しさせていただきたいと思います。
 ところで、既に新聞で報道されていますが、元弁護士が、依頼人から預かった不動産の売却代金約二十四億円を着服し、さらに贈与証書を偽造したなどの罪により、懲役九年の実刑判決に処せられたということがあります。私は、この事件の裏側で大変苦労している人たちを多数承知しております。証拠を偽造するということは、これは大変な問題だと思うのです。相当の被害者がほかのことで出ているようにも聞いておりますが、国民の権利義務にかかわる重要な職責を果たしている弁護士が、依頼人の信頼を踏みにじってこのような犯罪行為に及んだことはゆゆしき事態であると思います。
 国民から権利の実現等を委託された弁護士には高い倫理観と自覚が求められます。もちろん、大多数の弁護士は誠実にその職務を全うされておられます。一般の信頼を得ていることと考えております。しかし、報道されたような非違行為をする弁護士が一人でもおると、一般の信用を害するだけでなく、実害をこうむった国民も多数出るわけですので、弁護士一人一人の一層の自覚が求められると思います。また、弁護士会においても、引き続き適正な監督を行っていただきたいと思います。
 そろそろ時間も少なくなるんじゃないかと思いますので、なるべく私は時間短縮の方へ協力いたしたいと思いますので、最後に一言申し上げます。まだお聞きしたいこともいっぱいございますが、与党という立場で、時間を取り戻したいと思います。
 最後に、一言申し上げておきたいことがあります。
 それは、二十一世紀の社会がいかに透明なルールと自己責任の理念に貫かれた社会になったにせよ、我が国が濫訴を伴う訴訟社会に陥ることだけは避けなければならないということであります。世の中のあらゆる紛争が何でもかんでも訴訟の場に持ち出され、訴訟テクニックのみで紛争が解決されるような社会は望ましくないと考えております。司法の運営に当たられる方々におかれましても、どうかこの点を自覚され、健全な司法の構築と国民の権利の擁護のため御尽力いただきたいと考えています。
 この点を最後に指摘させていただきますが、もう大臣に御答弁を求めないで、質問を終わりにさせていただきます。
杉浦委員長 次に、保岡興治君。
保岡委員 私も与党の一員として、一時間の持ち時間ですが、半分程度にしろ、こういうことでございますので、できるだけ手短に伺っていきたいと思います。
 まず、改めてでございますけれども、大臣に、今回の司法改革に臨む歴史的な意義、どうして司法改革が今重要であるのかということについての基本的な認識をお伺いしたいと思います。
陣内国務大臣 二十一世紀の我が国社会においては、社会の複雑多様化、国際化等が進み、その状況のもとで実施されている規制緩和等によって生ずる社会のさまざまな変化に伴い、司法の役割はより一層重要なものになると考えられ、司法制度全般にわたる改革とその機能の充実強化が不可欠であると考えております。
 このような見地から、自由民主党において、司法制度改革に関する精力的な検討を踏まえて報告書を取りまとめられたのを初めとし、日本弁護士連合会や経済団体等からも司法制度改革に関する提言がなされるなど、司法改革が喫緊の課題であるとの認識が広まっております。
 政府としても、同様の認識から、二十一世紀の我が国社会を展望し、司法機能を充実強化するための司法制度改革審議会を内閣に設置するとの本法案を提出し、御審議をいただくということになり、お願いしたいと思っております。
保岡委員 今大臣の御答弁にもありましたとおり、一昨年、自由民主党では、憲法施行後五十年を記念しまして、司法制度改革の調査会を発足させまして、延べ二十六回審議をして、二十一世紀へ向けての我が国の司法の確かな指針という報告書を取りまとめまして、橋本内閣総理大臣に提出をいたしました。
 その審議のプロセスでございますが、国会議員の先生方も非常に熱心に参加をいただきまして、委員長にも調査会の重要な中心メンバーとして取り仕切りをお願い申し上げましたし、また、今質問されました加藤先生、あるいは今総務庁長官の太田先生など、分科会の責任を持っていただいて、精力的に検討した中で、実は弁護士の皆様方に、弁護士会のトップはもちろん、司法改革推進センターの司法改革をずっと熱心に進めてこられました先生方の中心に当たられた方々に、この二十六回の議論に全部参加をいただきました。このことは、自民党の歴史にもかつてないことでありますし、また、日弁連の歴史にもそういうことはかつてあったかどうかと思われるような画期的なことであったと思います。
 したがって、最後の自民党の報告書も、日弁連の先生方の意見を十二分に取り入れてテーマを策定いたしました。それについては弁護士会の幹部の方にも事前に見ていただきましたが、また深く広く検討をみんなでしていこうということで、結論についてはいろいろお考えもあったと思いますが、少なくともテーマについては、そして基本的な方向については、事実上すべて御異論がないというところまで詰めて、新しい日本の司法というものをみんなでつくっていこうという努力をしてきたつもりでございます。
 そういった意味で、日弁連からも昨年の十一月に司法改革の提言がまとめられましたが、私は、自由民主党の報告書と日弁連の改革提案とを比べまして、視点はいろいろ異なっている、あるいは重点の置きどころが違うところはありますけれども、しかし、基本的には、新しい日本の司法を求める考え方というものには共通の部分が非常に多くある。したがって、日弁連の方々も、今回提案されております司法改革審議会の設置には全会一致で理事会で賛成をされて、積極的に土俵に上がって議論をしていこうというふうに伺っているところでございます。
 そういったことを考えますと、私は、この審議会については一日も早く発足させることが重要だというふうに思います。いろいろ中身については議論があると思いますが、私は、これは当然国会で議論をして、そして提言や意見を国民の代表として述べていけばいいと思っておりますし、また、日弁連や我が党のほかに、経団連や同友会からもそれぞれまとまった考え方や提言もあります。ほかの政党の皆様方の政権構想や選挙のパンフレットなどを見てみますと、司法改革に触れているのもありますが、この委員会で他党の先生方が熱心に議論されるほど深く体系的な司法改革の御提言がまだ見えない。これもできるだけ早くまとめていただいて、提言をして、司法制度改革審議会に御提出をされて、いろいろな角度から議論を深めるべきだ、そう考えておりますが、司法改革審議会の進め方についてちょっと質問をさせていただきたいと思います。
 まず、委員のメンバーでございますけれども、これはいろいろ先生方からも意見がありました。私も一つの考え方がありまして、法曹三者は、現職の裁判官、検事は入れない方がいいと私は思います。退官された方を対象として、最小限度に法曹三者は数を絞って、そうして、他の委員は広く国民の代表になり得るような人を選ぶべきだ。それも、経済界だけではなくて、労働界あるいは消費者団体あるいは大学その他いろいろな方面から、できるだけ国民を代表できるような広い見地に立って議論をされる方を選んでいただきたいと思いますし、また、女性も入れていただきたい、お年寄りばかりでなく、若手の方も起用を願いたい、こう思っておりますが、いかがでございましょうか。
陣内国務大臣 司法制度改革審議会の委員の件についてお尋ねがございましたけれども、これは国会の同意を得た上で内閣が任命することとなりますけれども、委員御指摘のように、この審議会というのは、国民的見地から、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議することを目的とすることから、その委員については、司法制度全般についてこのような視点に立って調査審議するのにふさわしい有識者を選任する必要があると考えております。
 ただいま女性委員のことなどにもお触れいただきましたけれども、傾聴するべきお考えだと思います。
保岡委員 それから、先ほどから議論にもなっておりましたが、できるだけ審議のプロセスを公開するというのは当然で、私はパブリックコメントが非常にこの司法改革では重要なことになるのだろうと思います。したがって、審議のプロセスを公開するだけでなく、できるだけ中間的に取りまとめを、できればその都度国民に発表していただいて、それを基礎にさらに国民の論議が広く深まることを期待したいと思いますが、いかがでございましょう。
陣内国務大臣 この審議会の調査審議の中間結果を公表することについてでございますが、司法制度の改革について広く国民的見地に立って調査審議するという本審議会の目的に照らした場合に、その審議の充実を図るという観点から大変意義のあるものだと考えていますが、今委員が御指摘になりましたことも含めまして、これは審議会で御判断いただき、充実した調査審議を行っていただけるもの、このように期待しております。
保岡委員 審議会の自主性を尊重する立場から、大臣は慎重な御発言でございますが、私としては、できるだけ中間取りまとめなどを積極的にしていただきたいと思いますし、国民に少しでも考え方の方向を前広に示すことがこの司法改革を成功させる一つの大事な要素だと考えます。
 それから、私は、この際ですから、最高裁も、先ほどから、判事補が何か物を言えば非常に唇寂しみたいな指摘もあったりして、そういうことは大げさな話で、事実私はないだろうとは思いますが、しかし、この際、やはり将来の二十一世紀の裁判のあり方、司法の全体のあり方という非常に重要な大きなテーマですから、特に若い裁判官には、すそ野広く、この司法改革について、裁判の実務以外に時間をとっていただいて御議論をいただいたり、場合によっては、それをちゃんと、今度設ける総務審議官を中心とする検討の場に寄せて、それを参考にしていただきたいとも思うし、また、こんなことをしたことは今までないと思いますが、できれば、裁判官が国民と触れる場をつくっていただいて、懇談会なりディスカッションなりできると非常にいいんじゃないだろうかな。国民的な司法改革の関心が広まったり、また、日ごろ言えない裁判官の立場の方々に自由に物が言えるという機会は、私はこの司法改革にとっても非常に重要な意味をなすのではないかと思いますが、最高裁、いかがでございましょうか。
浜野最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 今回設けられます法案に出ております司法制度改革審議会といいますのは、司法制度を利用される国民の方々、いわばユーザーの視点から審議されるというふうに承知しております。
 裁判所といたしましても、審議会からの御要請がありますと資料等を提供して、意見を求められればこれを申し上げて御説明していくというつもりでございます。裁判所といたしましても、司法制度のありようを検討するに際しましては、現実に裁判に携わっている裁判官の意見、それから裁判所の利用者である国民の方々のいわばユーザーとしての御要望等を、その実情を十分踏まえていく必要がある、かように考えているところでございます。
 裁判所といたしましては、かような検討をする体制として審議官を中心とするチームを一応つくるということを予定しておりますが、ただいま委員が御指摘のような点も十分踏まえさせていただきまして、よりよい司法のあり方について検討していくための方法等について工夫を重ねてまいりたい、かように考えております。
保岡委員 そのほか裁判所としては、私は、今なぜ裁判が遅いのかとか、あるいは執行に時間がかかるのかとか、そういったことは一番の当事者でありますからよくみずからを省みてわかるということもあると思いますので、今の裁判の問題点を、いろいろな向きの指摘を踏まえて、日ごろ努力をされている立場からはいろいろ御意見もあると思いますが、指摘の向きがなぜそういうふうに出てくるのかということなどもよく検討をして、深く今後の司法のあり方に思いをめぐらしていただきたいと思います。
 また、海外などに視察に行くなど、そういった展開も積極的にやっていただくことも大切かなと思ったりしておるところでございます。
 同じ点について、法務省についても同じような観点からいろいろな工夫がされてしかるべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
房村政府委員 確かに、司法改革の問題、非常に大きなテーマでございますし、法務省にとりましても、法務行政を所管している立場から、いろいろな観点で国民の方々に利用しやすい法務行政というものを実現していかなければならないと思います。また、その過程では、当然それに携わっております法務省職員、そういう者のいろいろな声も取り上げていかなければならないだろうと思っておりますので、いろいろな工夫を今後も続けてまいりたいというぐあいに考えております。
保岡委員 司法改革の意義というものについて、先ほど大臣、述べていただいたんですが、私は、やはり一つの視点は、二十一世紀の世界がどう変わるかということを踏まえているということが肝心だと思います。世界が自由と民主主義と市場原理というものの中で競い合って、お互いに活力を求めて人類の幸せを実現していこう、国々の発展を図っていこう、こういう時代でございますから、それは競争あるいは競い合いということになると、ルールということが明確であってそれがしっかり守られるという社会であることが当然必要だと思います。
 ビッグバンで日本が国際化して、どんどん取引も外国と通じなきゃならない、交流していかなきゃならないという中で、裁判が遅い、わかりにくい、あるいは裁判を終えた後の執行も時間がかかる、こういうことでは、法があって法なきがごときそしりを免れない。あるいは仲裁センターなども、欧米はもちろん充実しておるように聞いておりますが、アジアですらシンガポールとかあるいはオーストラリアとかいろいろなところでどんどん優秀な仲裁機関ができていく。日本はそういう仲裁機関というものの整備も非常に立ちおくれているというようなこともあります。
 こういうことになると、日本は国際社会で競い合って元気のいい国になろう、すばらしい知恵と工夫を生み出す国になろう、こう言っても、なかなかそれがかなわない。それはもう喫緊の課題で、待ったなしで、制度改革も十年、二十年で進めるというようなものではない。この変化とスピードについていける改革が必要だ。
 そういう意味で、非常にこの司法改革は喫緊のテーマを私たちに与えていると思われますが、いかがでございましょうか。
陣内国務大臣 同じような認識でございまして、そのために二十一世紀に備えた司法のあるべき姿を早急に御審議いただき、調査をしていただきたい、このように願っておるわけでございます。
保岡委員 そのためには、私は、制度面を支える、あるいは人的な充実を図るというようなこととか、いろいろな制度を新しく誕生させ支えていくためには、予算が非常に重要だ。そういった意味では、裁判官を仮に、今二千百十三人ということを五百人ふやしたにしても五百億、先ほど加藤委員からも指摘のあった法律扶助制度にしてもまだ五、六億のところでございますから、諸外国と比べると圧倒的に少ないから、これを仮に十倍にしてもそう大きな金額になるものではない。
 幸い、予算というものはそう多くを要しなくても思い切った司法改革ができるという点を踏まえると、従来、行政はスリム化であるが、司法は量的にも質的にも充実強化だ。これは公取とかあるいは証券取引委員会とか銀行検査とか、こういう準司法と言われるルールを守る立場の人々の体制という点でも同じことが言えるのでございますが、そういった意味では予算面で非常に思い切って対応しなきゃならない。
 財革法が、実はこれは凍結されたわけでございますが、その中に、司法の予算といえばその他の項目で、前年度以下にして極力抑制、前年度以下にした上に、少なければ少ない方がいいというその他の予算項目に入れられていたり、これは我が党にも責任もあると思いますし、政府にも責任があると思いますが、こういう感覚では、私は司法改革は実現できないと思います。
 予算面でどういうふうに対処されるか、大臣の決意をお伺いしたいと思います。
杉浦委員長 陣内法務大臣。しっかり御答弁をお願いいたします。
陣内国務大臣 ただいま大変力強い御支持をいただいたということで、感謝いたしております。
 かねてより司法機構の質的、量的な拡充が必要だと言われておりますけれども、そのためにはやはり予算の拡大というのが欠かせないものだと思います。日ごろから御理解と御支援を賜っておりますことに感謝しながら、今後なお一層ひとつ御尽力を賜りたいと思います。
保岡委員 なお、今、予算に触れましたので、先ほど加藤委員からも御指摘のあった法律扶助制度でございますが、私としては、党の報告書をまとめたときも弁護士会の先生方と話したときも、まずこれを第一テーマにして、すぐに緊急答申でももらって、来年度予算要求に思い切って要求するような、それを司法改革の出発点にして、国民に身近な親しみやすい司法改革の一つの共通目標に向かってスタートしたという共通の認識を持てるように、できるだけ早くこの審議会をスタートさせて、来年度予算の概算要求に間に合う緊急答申を得るということ、そのことによってまた被疑者弁護など法律扶助の刑事版につながっていくものだ、そういうふうに思います。
 私は、個別で一つ一つ検討して、法曹三者だけでいろいろ技術的、専門的に議論していることから抜け出して、大きな司法のあり方の全体像を描くという中にいろいろな重要なテーマを位置づけて、そして絵をかいていく。そのことはできるだけ早くやるべきもの、あるいはすぐできるものというようなことで取り組んでも、司法のあり方に向かって、いい司法が実現する収れんを見せていく、そしてみんながやる気になるエネルギーが生まれる、そう思われますので、この司法改革の答申というのは非常に重要な意味を持っていると思うのでございます。
 そういう観点から、一つ司法改革の重要なテーマは、私は国民の意識改革にあると思います。
 日本の司法というものが、日本のあいまいさの中で、丸く結果をおさめればそれが一番いいんだというような文化的な要素もあるということは否定できないと思いますし、紛争はできるだけ表に出さないで済ませたい、そういう国民の文化もあろうかと思います。
 しかし、そういうものの問題を今の時代に照らして明確にして、改革をしていく。そういった意味で、やはり子供のときから、いろいろな紛争や物事をどう論理的に事柄の本質をよく踏まえて分析して、そして構想して、いい解決に向かうか、そういうことがとても大事であって、そういうことが法学教育の基礎としても法曹養成の基礎としても強く求められるんだ。そういうことがなければ、どんなに制度を充実しても絵にかいたもちになる可能性がある。
 そこで、司法改革の関連で、文部省がこれと協力してどのように対応していくか、その決意を文部省にお伺いできればと思います。
佐々木政府委員 司法制度の重要性につきましては、小学校、中学校、高等学校の各学校段階を通じて、子供の発達段階に応じて、社会科や公民科などの中で理解をさせることといたしておりますが、新たに学習指導要領が制定をされました。そして、その学習指導要領においては、小学校段階から裁判所などに関心を持たせることが大切である、そういう考え方に立ちまして、例えば、第三、四学年においては、自分たちの住んでいる市町村の主な公共施設などの場所や働きを実際に調べる学習を行う中で、裁判所の例も取り上げることを考えております。今後とも、小学校段階からこのような指導が充実するよう努めてまいりたいと思っております。
 あわせて、大学における法学教育でございますが、これまで一般的には法学的素養を持ったゼネラリストの養成を主眼とした教育が行われておるわけでございますが、そういうことを通して、法曹界を初め社会の各分野に広く人材を送り出してございます。
 大学教育につきましては、法学教育も含めまして、今後、課題探求能力の育成を図るということが重要でございます。そういう観点に立ちまして、教養教育を重視するとともに、専門教育について基礎、基本を重視する方向で改善を図ってまいりたいと考えております。
 平成十年の十月には、大学審議会答申において、「高度専門職業人養成に特化した実践的教育を行う大学院の設置促進」ということが指摘されております。文部省におきましては、これまでも大学院段階において専修コースを設けるなど充実を図っておるわけでございますが、今後、大学院設置基準の改正などを通じて、法律実務などの分野における大学院教育の充実を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
 また、大学審議会答申においては、現在法曹養成制度の改革が進行中であることを踏まえて、「(例えばロースクール構想など)について広く関係者の間で検討していく必要がある。」というふうな指摘もございます。これを受けて、文部省におきましては、本年二月に、法学教育の在り方等に関する調査研究協力者会議を設けております。
 今後、法務省等関係者の協力も得ながら、司法制度改革を視野に入れつつ、大学教育における法曹養成を含めた法学教育の改善について積極的に検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
保岡委員 今申し上げましたとおり、非常に司法教育というものは重要で、弁護士の先生や司法書士の先生方が小学校や中学校に行って司法の教育をしておられるという話を聞いて、すばらしいことだなと思っております。いろいろ工夫が必要だと考えます。
 最後に、もう一つ司法改革の重要な点は、さっき国際化という点で少し触れましたけれども、国際司法の共助、あるいは広ぐ犯罪、民事、国際的に広がりを見せていますので、そういった点から、法の整備が手続面、実体面で非常に急を要しているということもあります。また、アジア諸国への法制度の整備の一層の支援ということも、きのうもお話ししたように、諸外国が自由市場へ移っていくのに非常に制度的にも人的にもネックになっている、これを乗り切らなきゃいけないというので、日本に対する期待が大きいというものを感じました。こういうことが司法改革の重要なテーマになってくると思います。
 もう一つ、先ほど我が同僚の加藤先生からも御指摘があった知的所有権の保護の問題でございます。
 この点については、日本が将来本当に生き抜いて豊かな国になるためには、物として見えないが、知恵や工夫を保護する、知的財産の保護というものは非常に重要であって、この点で日本がパッシングを受けるようであったり、我が国の国民が利益をしっかり享受できる、時代のニーズに合った対応をしてもらえるかどうかということは、とても我が国の将来に大きな意味を持つものだと思います。
 この点について特許庁長官に、そういう知的所有権を扱われる立場から司法制度改革に望むことを、基本的に、短くて結構ですから、お答えを願いたいと思います。
伊佐山政府委員 今先生御指摘のとおりの認識でもって私ども行政を進めているつもりでございます。
 創造的な技術開発を推進することの重要性ということは改めて申し上げるまでもないわけでありますが、それがきちっとした知的財産権という形で守られていくかどうか、運用がそのように生かされた形でもって運用されていくかどうかというところが、実は、日々グローバルに競争している企業家の人たちの最大の関心の一つでございまして、そういう意味で私ども、今回の国会に特許法等の改正法案というのを出させていただいております。
 いろいろなものを盛り込んでおりますけれども、結論的に申し上げますと、欧米と比較いたしますと若干まだ立ちおくれている部分がございますので、特に権利の保護、これを大事にするという部分についての手続的なところ、あるいは実体的なところについて所要の改正をしていただきまして、これが成りますれば、大体日米欧同じような法制度を持つことになるのかな、そんな期待を持って今お願い申し上げているところでございます。
保岡委員 今申し上げたとおり、文部省も重要であれば、特許庁、通産省なども非常に重要だ。いろいろな省庁がやはり司法というものに広く関心を持たざるを得ない状況が、また、一緒に協力して新しい日本の司法を求めていくということでございますので、事務局には民間からのというお話もありましたが、私は、民間では弁護士会というのは非常に重要だと思っております。その他の民間というのはなかなか大変かなという気もしますが、各省バラエティーに富んだスタッフを私は必要とするんじゃないかというふうに内心思っております。
 そして、最後に申し上げたいと思いますが、これは我が党の希望でございますが、この審議会の設置というものは一日も早く行うことが大事だ。実は、昨年、内閣に私たちが報告書を出してから、昨年の金融国会、それから財政的ないろいろな対応をしなきゃならぬ、経済的な対応をしなきゃならぬ臨時国会にも提出が見送られ、また今次も、新しい年度にやがて入ろうとするという間際になっておりますし、一日も早く審議会を設置していただいて、そして、先ほど申し上げたように、次から次へ具体的な答申を得ながら、弾みをつけて、そして司法改革の大きさというものをお互いに共有していくということが大事だ、そう考えておりますので、ぜひ一日も早く、野党の皆様にも御協力いただいて、この法案が成立することを強く期待いたしまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
     ――――◇―――――
杉浦委員長 この際、お諮りいたします。
 第百四十二回国会より継続審査となっております森山眞弓君外三名提出、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律案につきまして、提出者全員により本日付で撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
杉浦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
杉浦委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま議題となっております本案審査のため、来る四月十三日火曜日午前九時三十分から参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
杉浦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、来る四月十三日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十二分散会

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