第一六五回
衆第五号
刑法及び道路交通法の一部を改正する法律案
(刑法の一部改正)
第一条 刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。
目次中「第二百十一条」を「第二百十一条の二」に改める。
第二編第二十八章中第二百十一条の次に次の一条を加える。
(酒気帯び運転等業務上過失致死傷)
第二百十一条の二 酒気を帯びた状態で自動車を走行させて、前条第一項の罪を犯した者は、十年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。薬物の影響により正常な運転ができないおそれがある状態で自動車を走行させて、同項の罪を犯した者も、同様とする。
(道路交通法の一部改正)
第二条 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)の一部を次のように改正する。
第六十五条に次の一項を加える。
3 車両等の運転者は、当該車両等の積載のために設備された場所として政令で定める場所以外の場所において、酒類(その容器又は被包が政令で定める方法により密閉されているものを除く。)を積載し、又は保持して車両等を運転してはならない。ただし、業務のために必要となる場合その他の政令で定める特別の事情がある場合は、この限りでない。
第六十五条の付記中「第百十七条の四第三号」を「第百十七条の四第三号 第二項については第百十七条の二第一号の二」に改める。
第六十六条の付記中「第百十七条の二第一号の二」を「第百十七条の二第一号の三」に改める。
第六十七条第一項及び第三項中「第六十五条第一項」の下に「若しくは第三項」を加える。
第九十条第七項中「五年」を「十年」に改める。
第九十九条の二第四項第二号ニ中「第二百八条の二若しくは」を「第二百八条の二、」に改め、「第二百十一条第一項」の下に「若しくは第二百十一条の二」を加える。
第百三条第六項中「五年」を「十年」に改める。
第百三条の二第一項第二号中「第一号の二」を「第一号の三」に改める。
第百七条の五第一項及び第八項中「五年」を「十年」に改める。
第百八条の四第三項第三号中「第二百八条の二若しくは」を「第二百八条の二、」に改め、「第二百十一条第一項」の下に「若しくは第二百十一条の二」を加える。
第百十七条中「五年」を「十年」に、「五十万円」を「百万円」に改める。
第百十七条の二中第一号の二を第一号の三とし、第一号の次に次の一号を加える。
一の二 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第二項の規定に違反した者(酒類を提供する営業を営む者が、その営業所において、酒気を帯びて車両等(軽車両を除く。)を運転することとなるおそれのある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒を勧めたときに限る。)
第百十七条の二第三号中「第一号の二」を「第一号の三」に改める。
第百十七条の四第四号中「第百十七条の二第一号の二」を「第百十七条の二第一号の三」に改める。
第百二十三条中「第百十七条の二第二号」を「第百十七条の二第一号の二、第二号」に改める。
第百二十五条第二項第二号中「第百十七条の二第一号の二」を「第百十七条の二第一号の三」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律の規定は、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定める日から施行する。
一 第一条、第二条(次号に規定する改正規定を除く。)、次項及び附則第三項の規定 公布の日から起算して二十日を経過した日
二 第二条中道路交通法第六十五条に一項を加える改正規定、同法第六十七条第一項及び第三項の改正規定、同法第九十条第七項の改正規定、同法第百三条第六項の改正規定並びに同法第百七条の五第一項及び第八項の改正規定 公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日
(酒税法の一部改正)
2 酒税法(昭和二十八年法律第六号)の一部を次のように改正する。
第十条第七号の二中「。)の規定」の下に「、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第百十七条の二第一号の二の規定」を加える。
(土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法の一部改正)
3 土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法(昭和四十二年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
第七条第一項第二号中「第一号の二」を「第一号の三」に改める。
理 由
最近における酒気帯び運転による事故等の発生状況にかんがみ、酒気帯び運転等業務上過失致死傷罪を新設し、救護義務違反罪の法定刑を引き上げるとともに、営業者の酒類の提供等に関する罰則を整備する等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。