第一九七回
参第二七号
医療、介護及び保育に係る法人制度改革に関する法律案
(趣旨)
第一条 この法律は、医療、介護及び保育に係る事業の社会経済情勢の変化に対応した経営の確保が重要な課題となっていることに鑑み、当該課題に対処するための医療、介護及び保育に係る事業を経営する法人に係る制度の改革(以下「医療、介護及び保育に係る法人制度改革」という。)に関する基本的な事項について定めるものとする。
(基本理念)
第二条 医療、介護及び保育に係る法人制度改革は、医療、介護及び保育に係る事業の経営の効率性の確保及び多様な需要に応じたサービスの提供等を通じた利便性の向上を図るため、医療、介護及び保育に係る事業の経営が、社会経済情勢の変化に対応した適切な経営形態により、公平な条件の下で行われるようにすることを旨として、行われるものとする。
(国の責務)
第三条 国は、前条の基本理念にのっとり、医療、介護及び保育に係る法人制度改革に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
(適切な経営形態の選択のための施策)
第四条 国は、次に掲げる施策その他の医療、介護及び保育に係る事業を経営し、又は経営しようとする法人について社会経済情勢の変化に対応した適切な経営形態を選択すること(これらの事業を終了することを含む。)ができるようにするための施策を講ずるものとする。
一 医療、介護及び保育に係る事業を経営する法人に係る次に掲げる事項に関する施策
イ 持分の定めのある社団医療法人の株式会社化
ロ 持分の定めのない医療法人又は社会福祉法人の分社化(これらの法人が株式会社を設立して、医療、介護及び保育に係る事業を当該株式会社に行わせることをいう。)
ハ 持分の定めのない医療法人又は社会福祉法人の解散の円滑化
二 医療、介護及び保育に係る事業への株式会社の参入を阻害する障壁の除去に関する施策
(経営条件の公平性を確保するための施策)
第五条 国は、医療、介護及び保育に係る事業を経営する法人に係る財政援助の制度、税制等の見直しその他の同種の医療、介護及び保育に係る事業を経営する法人間における経営条件の公平性を確保するための施策を講ずるものとする。
(法制上の措置等)
第六条 政府は、この法律の施行後三年以内に、前二条に規定する施策を実施するために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
理 由
医療、介護及び保育に係る事業の社会経済情勢の変化に対応した経営の確保が重要な課題となっていることに鑑み、当該課題に対処するための医療、介護及び保育に係る事業を経営する法人に係る制度の改革に関する基本的な事項について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。