第二〇一回
衆第二五号
新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた国民等に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律案
(趣旨)
第一条 この法律は、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響を受けた国民等が裁判その他の法による紛争の解決のための手続及び弁護士等のサービスを円滑に利用することができるよう、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響を受けた国民等に対する援助のための総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号)第十三条に規定する日本司法支援センター(以下「支援センター」という。)の業務の特例を定めるものとする。
(定義)
第二条 この法律において「新型コロナウイルス感染症」とは、新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)附則第一条の二第一項に規定する新型コロナウイルス感染症をいう。
2 この法律において「国民等」とは、国民又は我が国に住所を有し適法に在留する者をいう。
(支援センターの業務の特例)
第三条 支援センターは、総合法律支援法第三十条に規定する業務のほか、次に掲げる業務(以下「新型コロナウイルス感染症関連法律援助事業」という。)を行う。
一 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響を受けた国民等を援助する次に掲げる業務
イ 民事裁判等手続(総合法律支援法第四条に規定する民事裁判等手続をいう。イにおいて同じ。)、裁判外紛争解決手続(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平成十六年法律第百五十一号)第一条に規定する裁判外紛争解決手続をいう。イにおいて同じ。)又は行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に関する不服申立ての手続であって、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響を受けた国民等を当事者とする新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置に起因する紛争に係るものの準備及び追行(民事裁判等手続に先立つ和解の交渉であって、裁判外紛争解決手続によらないものを含む。以下「新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響を受けた国民等に係る民事裁判等手続その他の手続の準備及び追行」という。)のため代理人に支払うべき報酬及びその代理人が行う事務の処理に必要な実費の立替えをすること。
ロ イに規定する立替えに代え、イに規定する報酬及び実費に相当する額を支援センターに支払うことを約した者のため、適当な新型コロナウイルス感染症関連法律援助契約弁護士等(支援センターとの間で、支援センターの新型コロナウイルス感染症関連法律援助事業に関し、他人の法律事務を取り扱うことについて契約をしている弁護士、弁護士法人及び総合法律支援法第一条に規定する隣接法律専門職者をいう。ニにおいて同じ。)にイの代理人が行う事務を取り扱わせること。
ハ 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)その他の法律により依頼を受けて裁判所に提出する書類を作成することを業とすることができる者に対し新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響を受けた国民等に係る民事裁判等手続その他の手続の準備及び追行に必要な書類(当該業とすることができる者が他人の依頼を受け報酬を得てその作成を行うことを業とすることが法律により制限されている書類を除く。)の作成を依頼して支払うべき報酬及びその作成に必要な実費の立替えをすること。
ニ ハに規定する立替えに代え、ハに規定する報酬及び実費に相当する額を支援センターに支払うことを約した者のため、適当な新型コロナウイルス感染症関連法律援助契約弁護士等にハに規定する書類を作成する事務を取り扱わせること。
ホ 弁護士法その他の法律により法律相談を取り扱うことを業とすることができる者による法律相談(刑事に関するものを除く。)を実施すること。
二 前号の業務に附帯する業務を行うこと。
2 支援センターが新型コロナウイルス感染症関連法律援助事業を行う場合には、総合法律支援法第三十四条第一項の業務方法書には、同条第二項に規定する事項のほか、新型コロナウイルス感染症関連法律援助事業に関し、前項第一号の援助の要件に関する事項、新型コロナウイルス感染症関連法律援助事業の実施に係る援助の申込み及びその審査の方法に関する事項、同号イ及びハに規定する立替えに係る報酬及び実費の基準並びにそれらの償還に関する事項、同号ロ及びニに規定する報酬及び実費に相当する額の支払に関する事項その他法務省令で定める事項を記載しなければならない。この場合において、当該援助の要件は、少なくとも、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により収入の著しい減少があったことを要するものとしなければならず、当該報酬は、新型コロナウイルス感染症関連法律援助事業が新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響を受けた国民等を広く援助するものであることを考慮した相当な額でなければならず、かつ、当該償還及び当該支払は、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響を受けた国民等に係る民事裁判等手続その他の手続の準備及び追行がされている間、猶予するものとしなければならない。
(長期借入金)
第四条 支援センターは、総合法律支援法第四十七条第五項の規定にかかわらず、新型コロナウイルス感染症関連法律援助事業に必要な費用に充てるため、法務大臣の認可を受けて、長期借入金をすることができる。
2 支援センターは、毎事業年度、長期借入金の償還計画を立てて、法務大臣の認可を受けなければならない。
3 法務大臣は、前二項の規定による認可をしようとするときは、あらかじめ、総合法律支援法第十九条に規定する日本司法支援センター評価委員会の意見を聴かなければならない。
(総合法律支援法の規定の読替え)
第五条 支援センターが新型コロナウイルス感染症関連法律援助事業を行う場合には、次の表の上欄に掲げる総合法律支援法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第十二条 |
この法律 |
この法律及び新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた国民等に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律(令和二年法律第▼▼▼号。以下「新型コロナウイルス感染症特例法」という。) |
第十九条第二項第二号 |
この法律 |
この法律又は新型コロナウイルス感染症特例法 |
第二十三条第五項 |
この法律又は準用通則法(第四十八条 |
この法律、新型コロナウイルス感染症特例法又は準用通則法(新型コロナウイルス感染症特例法第五条の規定により読み替えて適用する第四十八条 |
第二十三条の二第一項 |
この法律 |
この法律、新型コロナウイルス感染症特例法 |
第二十九条第八項第一号 |
同じ。) |
同じ。)及び新型コロナウイルス感染症関連法律援助契約弁護士等(新型コロナウイルス感染症特例法第三条第一項第一号ロに規定する新型コロナウイルス感染症関連法律援助契約弁護士等をいう。以下同じ。) |
|
契約弁護士等に |
契約弁護士等及び新型コロナウイルス感染症関連法律援助契約弁護士等に |
第二十九条第八項第二号 |
第三十五条第一項 |
新型コロナウイルス感染症特例法第五条の規定により読み替えて適用する第三十五条第一項 |
第三十条第二項 |
前項の業務 |
前項の業務及び新型コロナウイルス感染症関連法律援助事業(新型コロナウイルス感染症特例法第三条第一項に規定する新型コロナウイルス感染症関連法律援助事業をいう。以下同じ。) |
第三十条第三項 |
前二項の業務 |
前二項の業務又は新型コロナウイルス感染症関連法律援助事業 |
|
契約弁護士等 |
契約弁護士等又は新型コロナウイルス感染症関連法律援助契約弁護士等 |
第三十一条 |
業務は |
業務並びに新型コロナウイルス感染症関連法律援助事業は |
第三十二条第一項 |
前条 |
新型コロナウイルス感染症特例法第五条の規定により読み替えて適用する前条 |
|
各業務 |
各業務及び新型コロナウイルス感染症関連法律援助事業 |
第三十二条第二項 |
前項 |
新型コロナウイルス感染症特例法第五条の規定により読み替えて適用する前項 |
|
前条 |
新型コロナウイルス感染症特例法第五条の規定により読み替えて適用する前条 |
第三十二条第五項 |
業務 |
業務及び新型コロナウイルス感染症関連法律援助事業 |
第三十三条第一項 |
契約弁護士等 |
契約弁護士等又は新型コロナウイルス感染症関連法律援助契約弁護士等 |
|
又は第二項の業務 |
若しくは第二項の業務又は新型コロナウイルス感染症関連法律援助事業 |
第三十三条第二項 |
及び契約弁護士等 |
並びに契約弁護士等及び新型コロナウイルス感染症関連法律援助契約弁護士等 |
|
前項 |
新型コロナウイルス感染症特例法第五条の規定により読み替えて適用する前項 |
|
契約弁護士等の |
契約弁護士等又は新型コロナウイルス感染症関連法律援助契約弁護士等の |
第三十四条第二項第六号 |
この法律 |
この法律、新型コロナウイルス感染症特例法 |
第三十五条第一項 |
業務 |
業務及び新型コロナウイルス感染症関連法律援助事業 |
|
契約弁護士等 |
契約弁護士等及び新型コロナウイルス感染症関連法律援助契約弁護士等 |
第三十五条第二項 |
契約弁護士等 |
契約弁護士等及び新型コロナウイルス感染症関連法律援助契約弁護士等 |
第四十二条の二第一項 |
この法律 |
この法律、新型コロナウイルス感染症特例法 |
第四十二条の二第二項 |
前項 |
新型コロナウイルス感染症特例法第五条の規定により読み替えて適用する前項 |
第四十六条第一項 |
以外の業務 |
以外の業務並びに新型コロナウイルス感染症関連法律援助事業 |
第四十六条第三項及び第四項 |
第一項 |
新型コロナウイルス感染症特例法第五条の規定により読み替えて適用する第一項 |
第四十六条第五項 |
前各項 |
新型コロナウイルス感染症特例法第五条の規定により読み替えて適用する第一項、第二項及び同条の規定により読み替えて適用する前二項 |
第四十八条の表第三条第三項の項 |
個別法 |
及び個別法 |
|
総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号) |
、総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号)及び新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた国民等に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律(令和二年法律第▼▼▼号。以下「新型コロナウイルス感染症特例法」という。) |
第四十八条の表第三十九条の二第一項の項 |
総合法律支援法(同法第四十八条において準用するこの法律の規定を含む。) |
総合法律支援法(新型コロナウイルス感染症特例法第五条において読み替えて適用する総合法律支援法第四十八条において準用するこの法律の規定を含む。)、新型コロナウイルス感染症特例法 |
第四十八条の表第五十条の項 |
及び総合法律支援法 |
、総合法律支援法(新型コロナウイルス感染症特例法第五条の規定により読み替えて適用する場合を含む。)及び新型コロナウイルス感染症特例法 |
第四十八条の表第五十条の四第六項の項 |
総合法律支援法(同法第四十八条において準用するこの法律の規定を含む。) |
総合法律支援法(新型コロナウイルス感染症特例法第五条において読み替えて適用する総合法律支援法第四十八条において準用するこの法律の規定を含む。)、新型コロナウイルス感染症特例法 |
第四十八条の表第六十四条第一項の項 |
総合法律支援法(同法第四十八条において準用するこの法律の規定を含む。) |
総合法律支援法(新型コロナウイルス感染症特例法第五条において読み替えて適用する総合法律支援法第四十八条において準用するこの法律の規定を含む。)及び新型コロナウイルス感染症特例法 |
第四十九条第一号 |
又は第四十七条の四第一項 |
若しくは第四十七条の四第一項又は新型コロナウイルス感染症特例法第四条第一項若しくは第二項 |
第四十九条第三号 |
第四十六条第一項 |
新型コロナウイルス感染症特例法第五条の規定により読み替えて適用する第四十六条第一項 |
第五十四条第一項第一号 |
この法律 |
この法律(新型コロナウイルス感染症特例法第五条の規定により読み替えて適用する場合を含む。)、新型コロナウイルス感染症特例法 |
第五十四条第一項第四号 |
若しくは第五項 |
、同条第五項(新型コロナウイルス感染症特例法第五条の規定により読み替えて適用する場合を含む。) |
第五十四条第一項第五号 |
業務以外 |
業務及び新型コロナウイルス感染症関連法律援助事業以外 |
第五十四条第一項第八号 |
第四十二条の二第二項 |
第四十二条の二第二項(新型コロナウイルス感染症特例法第五条の規定により読み替えて適用する場合を含む。) |
(法務省令への委任)
第六条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、法務省令で定める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次条の規定は、公布の日から施行する。
(準備行為)
第二条 支援センターは、この法律の施行の日前においても、新型コロナウイルス感染症関連法律援助事業の実施に必要な準備行為をすることができる。
(この法律の廃止)
第三条 この法律は、この法律の施行の日から二年以内に廃止するものとする。
理 由
新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響を受けた国民等が裁判その他の法による紛争の解決のための手続及び弁護士等のサービスを円滑に利用することができるよう、日本司法支援センターが、総合法律支援法に規定する業務のほか、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響を受けた国民等について訴訟代理、書類作成、法律相談等に係る援助の業務を行うものとする必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。